グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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<クラス>犬の預かりクラスでできること:犬を一面で判断しないこと

秋の飼い主さんたちの行事で連続したお預かりクラスが、ひとまず終わりそうです。

グッドボーイハートのお預かりクラスは一般的な預かりトレーニングではありません。

犬を預けてトレーニングしてもらい返すという預かりトレーニングは行っていません。

なぜなら、犬の行動を作っているのはベースである基本的な性質を元にした環境要因であるからです。

犬の行動にどのような環境が影響を与えているのかを、飼い主が理解して変化させていかなければ、犬を飼うことはできません。

環境がほとんど変化しない動物を飼う環境とは、水槽のように一定した環境を維持するような方法によってのみです。

動物園の飼育場所も同じように環境が変化しないため、人と暮らすために必要な社会的な性質を育てる必要がありません。

犬をケージやサークルだけで飼い続けることは環境を一定させることにはなりますが、それでは犬を人が飼っているとか人が犬と暮らしているとは到底いえません。

ふつうに犬と暮らすという当たり前のことの中にこそ、犬の行動に影響を与えている環境がたくさんあるのです。

お預かりクラスでは、いつもと異なる環境で犬を預かります。

いつもと異なるといっても、家庭で犬が生活している中で最低ベースで必要な環境は預かりクラス中にも継続させます。

たとえば、お預かりクラスはクレーとトレーニングができることがお預かりの条件となっています。

いつも飼い主の膝の上に抱っこされているような状態では、お預かりはできないということです。

クレートや食器やマットがいつもと同じ、食べているものもいつもと同じ、排泄する場所はいつもと違う、お世話をする人も違います。

こうした預かり時の環境の変化で、家庭にいるとのは違う行動をするようになるのは犬としては当たり前のことです。


預かり時の犬の行動ですが、預かりの日数が増えてくると日に日に変化が見られます。

変化する犬の行動、その変化の過程を見ていると、犬の現在の行動がどのようにして現れるようになったのかが少し見えてくるのです。

家庭訪問トレーニングでは日常的な犬の行動をできるだけ直接見たいのですが、警戒心の高い犬ほどいつもと同じ行動をしません。

警戒していますから、どちらかというと大人しくなってしまいます。

来客に対して防衛が高くなるため、いつも以上に興奮していたり攻撃的になってしまい、やはり普段の行動をみせてくれません。

慣れてきて日常的な行動をとるようになったとしても、今度は飼い主さんの方がいつもと同じように接しないため、犬の行動に影響を与えている細部がわかりにくくなります。

預かり時に変化する犬の行動は、普段の家庭での生活に近い行動に戻っていくという過程から始まるので、犬がいつもどのような環境にいるのか、飼い主さんがどのように接する癖があるのかを知ることができます。

犬の預かり時のビデオを飼い主に見せると驚かれることがあります。

普段見ている自分の犬とは違うように見えるからです。

ビデオを通して客観的に見ることができるからいつもと違うように見れるというのもあるでしょう。

また、飼い主は普段は犬の一面しか見ていないともいえるのです。

飼い主の見ている犬の一面とは、犬にこうして欲しいと願っている部分でもあるのです。

ところが、犬の望んだその行動が犬にとって負担の大きなものであると、犬にはストレスがかかりますので、飼い主の全く望まない行動をするようになります。

お利口さんでいて欲しいと育てた子供が最初はお利口に振る舞うのですが、本来の自分が確立されないために、反発に転じ全く手に負えなくなるという状態だといえばいいでしょうか。

どれが正解ということでもありませんが、犬もひとつの命として誕生し人と摩擦を繰り返しながら生きている上に、犬に常に不自由なのです。

犬という動物として、少しの時間でも犬らしく、犬という動物として人と関わる時間を持ってほしいのです。

お預かりクラスにかかる体力、気力と時間は大変なもので、さらにそのことを消化する時間はその数十倍必要です。

ですが、犬のことを知りたいという単純な欲求が勝つため、効率を無視して活動してしまいます。

それでも、何かを見つけたときの喜びは計り知れないものです。

犬が自分の探究心の火をともし続けてくれる存在であり、生徒さんたちが共に成長していただける存在であってありがたいことばかりです。

アルクと彼岸花

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<犬のこと>犬と飼い主は似る、つまり犬と飼い主のエネルギーは似る

先日犬語セミナーを開催したときに、数名の生徒さんと犬のペアが顔合わせすることになりました。

ある生徒さんが「犬と飼い主さんって顔まで似るんですね~」とおっしゃいました。

「犬は飼い主に似る」つまり「犬は飼い主の鏡である」は古典的な犬の本にも書いてあります。

あの動物行動学者のコーラントローレンツ博士も「人、犬を飼う」の著書の中で、

犬は飼い主と似るものであることをエッセイを添えて書いています。

ノーベル賞受賞学者のお墨付きである「犬は飼い主に似る」説ですが、本当にそのようです。


コメントされた生徒さんは、ただ顔つきが似ていますねとおっしゃったのです。

そもそも、犬と人は全くことなる種なのですから、種の異なる動物の顔が似ているというのもすごいことです。

人事となると「ほんとに似てるよね。」と盛り上がる話ですが、自分のこととなると「この犬と自分が似ているってどういうことだろう?」と考え込んでしまいます。

ですが、冷静になって観察してみると、顔つきだけでなく行動のパターンもよく似てくるのです。

行動のパターンだけでなく、気合とか勢いといったものも似てきてしまいます。

そのため、老人の飼っている犬は行動がゆっくりとなるというのも、犬の定説のひとつです。

本当にゆっくりとした動きになっていくのは不思議なことと思います。

先日、練習中のバイクに乗って七山校から一番近い生徒さんのご自宅まで家庭訪問トレーニングに伺いました。

バイクに乗る時間があまりないので、生徒さんにも「今日はバイクでいきます」とラインで連絡しました。

その生徒さん、なんとバイクの音ですぐに出て来られました。

そしてバイクをみてとても興奮されているのです。

話を聞くと、若いころにバイクの免許をとりたかったけど、タイミングがあわずとれなかったが今でも乗りたいとのことです。

私もよりもずっと若い女性の方なので、ぜひ乗ってくださいと強く勧めました。

すごく迷われていたけれど、私がバイクに乗ってきたことで刺激を受けましたとのことでした。

若いといっても中年期が始まってしまうと、若いときのようにエネルギーが出ません。

守りに入ってしまうだけになると、犬の行動も守りが強くなり、新しい一歩も踏み出せないこともあります。

飼い主さんの一歩で犬の何かが変わる可能性も十分にあります。

少し守りにはいりがちなその犬ちゃんのことを思い、飼い主さんのエネルギーがちょっと膨らむといいなと結構お誘いしてしまいました。

犬と飼い主はなんでも似てしまうのです。

それは、犬にとっては当たり前のことなんです。

なぜなら、犬は飼い主を映し出すという意味でとても「忠実である」。

それが犬という動物だからです。

空とブルーベリー3

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<犬のしつけ方>犬のしつけ方、いろいろ探して試したけど結局わからなくなってしまった方へ

彼岸の季節になると、きっちりと花を咲かせてくれる彼岸花が七山でも見られるようになりました。

お米の収穫時期と重なるので、彼岸花を見ると新米を連想してしまい、結局は花よりだんごなのは犬と同じようです。


さて、犬のしつけ方のご相談でご連絡をいただくときに、同じような壁にぶつかっていらっしゃるのだなと感じるようになりました。

犬のしつけ方についていろいろと調べてたくさんの情報を得たのでいろいろやってみたけれど、一体どれがいいのかわからなくなってしまったというものです。

10年前にはあまりなかったことですが、現在のように誰でもスマホを使って簡単にネット検索ができるようになった背景があります。

ネット検索は広告宣伝や収益と常に結びついているために、みなさんの検索しやすい情報が散乱している状態になっているからです。

しかもその情報の中には、いろんなページのコピー&ペーストであったり、本に書いてあることの受け売りだったり、はたまたフェイクニュースだったりといい加減なものもたくさんあります。

特に犬のしつけ方に関しては、「これをすれば犬の困った行動がなくなりお利口さんになる」というようなハウツー的な情報には注意が必要です。

逆に、犬はこのような動物です、犬の習性にはこうした行動がありますといった情報は、まず疑いを持ちながらも精査していく情報のひとつとして取り上げていくことができます。

一般の方が犬の行動を読み解けるようになるまでは、かなり時間がかかってしまいます。

そのうちに犬はどんどん成長したり、難しい行動がますます難しくなるといった状態に至ってしまいます。

そのために、焦りが出てしまい早く解決しなければいけないと思って、ハウツー情報に頼って犬のしつけにとりかかってしまうというお気持ちもよくわかります。

ところがこの対処法ですが、そう長くは続きません。

一旦はよくなったように思えても、次に膨らむときには前以上の問題となって浮上してきます。

犬をノックアウトさせるようなしつけの方法になると効果があったとはいえますが、時間をかけて成長を促していき発達の機会を与えるという「育てる」時間も奪われてしまいます。

大人しい犬になったとしても、飼い主さんとの関係は難しいものになってしまうこともあります。

犬の行動を読み解けるようになるのに、何が一番難しいのしょうか。

それは、犬の行動に影響を与えているのは飼い主である自分自身だということです。

飼い主が自分の行動を客観的に見ることのできる機会を得られなければ、犬の行動を変えることはできません。

飼い主は無意識にやっている日常的な行動が犬に影響を与えているとは、なかなか考えられないのです。

こうなると第三者的な立場に立って説明を行う人が必要となります。

家庭犬インストラクターという仕事はこの第三者的な立場として入っていくことです。

直接、犬をしつけて飼い主に渡すのは、家庭犬インストラクターの仕事ではありません。

自分の役割は、犬を理解する力を身につける人をひとりでも多く育てていくことです。

23日は犬語セミナーを開催します。

このセミナーも同じ目的を持っています。

今回もまた、スカイプ利用でのご参加を受付ました。

インターネットという道具を有効に利用して、日本全国から犬語セミナーに参加してくださる方々といっしょに、この何もない七山で犬のことを真剣に考えます。

はな1

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<犬のこと>尾が短い犬を不思議に思う子供たちと、可愛いという大人たち

子供たちの犬を見て思ったり発言したりすることは、大人としてドキッとすることよくあります。

先日グッドボーイハートのトレッキングクラスに犬と共に参加してくれた子供たちが、純血種の犬をみてこういいました。

「あれ?尾っぽが短い?なんで?」

子供たちの知っている犬の姿は尾が長く、巻いている尾だったり、長く垂れた尾だったりするのです。

「これね、人間が犬の尾っぽを切っちゃったから短くなったのよ。」というと、

「なんで???かわいそう。。。。。」と黙り込んでしまいました。

尾を切ることがかわいそうという当たり前の反応と、それを自分たちの仲間である人が行ったという罪悪感を感じるからでしょう。

子供たちに対して、大人が犬にこんなことをしてごめんねと誤らなければなりません。

ところが、大人になると逆の反応になります。

「このプードルはなんで尾が長いんですか?」という質問を受けることもあります。

プードルは生まれたときに尾を切断されること、切断されていないプードルの尾は長いこと、尾を切断するのはそれがプードルであると人が決めたからという説明を加えることになります。

だから、自分たちと一緒に家族として暮らしている犬が尾を切断されたことを知らない飼い主はたくさんいます。

純血種の中の断尾という尾を切る行為を強いられている種類の犬たちは、尾を切断しないと売れないようですね。

なぜなら、大人の方が尾が短いのがその純血種でかわいいと思い込んでいるからです。

たとえば、尾の長いものはプードルではなく欠陥商品であると思ってしまうのです。

子供のころに感じた「なんで尾を切る必要があるの?」という純粋に動物に興味をもつ気持ちを、人は何才ころになくしてしまうのでしょうか?

子供のこうした感性を生かすためには、やはり大人がやりすぎを訂正する必要があります。

動物にやりすぎたこと、今からでもいいので「ごめんなさい」といって誤って道を変えることはまだできないのでしょうか。

切ってしまった尾はもう戻りません。

だったら、これから尾を切られようとしている犬たちがそうならないためにできることをするしかありません。

自分のできることは、あなたの飼っている犬は尾を切られていますよとお伝えすること、そしてブログを通してその行為と目的をお伝えすることです。

犬の尾が短いのは、決して可愛くはない、なぜなら子供たちでさえそう見るのです。

尾は犬という動物にとって必要であることは言うまでもありません。

アルクトレッキング1

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<犬のこと>昆虫を追いかけて遊ぶ子犬は犬らしくありませんか?

ずい分と涼しくなり少し気持ちが楽になってきました。

福岡でも朝晩はエアコンの要らない日もあり、七山では衣替えを完了しています。

気温差の激しい七山では新米がすでに出回っています。

毎年の当たり前のことなのですが、お米ができるとうれしいのは日本人として長い間受け継がれた血なのでしょうか。

犬たちにも長い時間をかけて犬として受けついできたものがあるはずです。

それは感性だったり、行動に現れたりするものです。

もえりえちゃんお庭1
犬も人も成長と共に、硬い価値観を持ち始めます。

価値観は場合によっては自分の身を助けることもあるけれど、時として行動を極端に限定させてしまうことがあります。

つまりワクワクと興味関心のあることがなくなってしまったり、他人が多数で寄り集まる価値観に流されたりして、自分の感性をなくしてくということです。

犬も子犬のときには好奇心旺盛でワクワクと行動を起こすものです。

七山でお預かり中の犬の行動を観察していると、柔らかい土の上をこの季節に這ったり飛んだりする虫を追いかけるのに夢中です。

土の中に逃げていく昆虫を片前脚で押さえ、逃げられると再びジャンプして追いかけて、よーいドンとまた前脚を上手に使います。

逃げられてしまうと深追いはせず、また新しい獲物を見つけてはちょっかいを出して遊んでいます。

蝶々が飛んできたときには空中戦となるため、頭上を見ながら走り回り、転んだり吠えたりと空中の生き物は手に負えないことも学ぶのでしょう。

こうして子犬期を過ごしていても、子犬はいつか成犬となり昆虫には興味を示さなくなっていきます。もちろんこれも普通に子犬が発達したという経過なのです。

子犬が昆虫に口をつけようとしたり前脚で触れようとすると、汚いから止めさせたいという気持ちになる飼い主もいるかもしれません。

犬の口は人の手にあたるため、なんでも口にいれて確認しようとします。

そういった意味では人の赤ちゃんも同じような行動をしているのを見かけます。

こうした行動は意味のないもので、飼い主にとってはやって欲しくない行動なのかもしれません。

養老孟司、池田清彦、奥本大三郎ら先生方が記された「虫捕る子だけが生き残る」という著書があります。人も最初に関わる捕りたい生き物は昆虫なのです。

犬は昆虫をつぶさに研究するために捕るわけではありませんが、虫との関わりをとおして脳の発達を促進する機会を得ていると私は考えています。

科学的な説明は科学者の方にお任せするとして、犬の行動を日々観察していてそのように感じるからです。

好奇心が消えてしまう子犬のころに、小さなお庭でもいいので虫と対話する機会を子犬に与えてください。

お庭がない場合には、山遊びに最適のこの季節を逃さず活用しましょう。

秋は本当に長いです。いろんなことを学ぶのには十分な時間があります。

それでも秋は犬には多くても10~13回くらいしか来ません。

私達は70回くらいは来るのでしょうか。

犬には1回の季節が大切なときなのです。

空預かり庭3

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<犬のこと>子犬のトイレのしつけは将来にわたり犬の行動に影響を与えます

今月は生後6ヶ月の犬ちゃんがお預かりクラスを利用しています。

若干長めのお預かりになるので、預かり中にステップアップして行動の範囲を広げていきます。

預かりの犬のテリトリーの広げ方も、家庭でのトイレのしつけができているかどうかが大きく影響します。

家庭内でトイレのしつけができないような状態では、預かったときに適切にテリトリーを作りながら安定を図るというのは犬にとっては難しいことだからです。

逆に、家庭内できちんとトイレトレーニングができていると、預かりや屋外活動を始めたときの行動がより早く安定します。

家庭内でのトイレトレーニングも、寝床のテリトリーから輪が広がるようにいくつもの境界線を広げていく形で行いながら、ベランダや庭といった屋外スペースに排泄場所を獲得できている犬たちは、テリトリーの安定度が高くなります。

逆に、室内拘束状態となってトイレがいつも室内のトイレトレーという環境になると、そのことは犬の行動にも影響します。

犬が家庭内で適切な排泄行動をするようになったら、やっと次のテリトリーで行動ができるようになります。

つまりやっと散歩に出られるようになるということです。

たくさんの刺激にたださらすことが社会化だという検討違いな考え方や方法論が横行しています。

トイレのしつけもできていないような状態で屋外の刺激にさらすことは、社会化を後退させることになるためおすすめできません。

さて、現在預かり中の犬ちゃんですがご自宅に来る前からトレーニングのご相談を受けていたため環境整備がスムーズに進みました。

飼い主さんの努力もあってトイレのしつけは早い時期に終了していました。

預かり中も庭で排泄の機会を与えるようにすると、庭の端の方で排泄を行います。

庭に出る前に広めのテラスがあるのでそのスペースがひとつの境界線になって安定するようです。

またテラスが地面よりも高く階段3つ分くらい上にあるため、そのことも犬の行動を安定させるのに役立っています。

室内の一定の場所で過ごさせるように練習しても、室内で排泄の失敗をすることはありません。

排泄欲求が高まり庭への戸口に早くたどり着けるように、室内環境も一度に広げずに少しずつ広げていきます。

預かり中に行動を安定させるために、排泄の管理についてはかなり慎重に行っています。


同じことですが、家庭内で排泄行動が安定している犬は、旅行先などでの排泄の失敗もほとんどありません。

ただこの場合も、室内のトイレトレーで排泄をする習慣をもつ犬の場合には若干不安定になってしまいます。

日本国内では、室内にトイレ場所があるのが普通になりつつありますが、海外では室内トイレを見ることがまずありません。

小型犬でも庭に出られるようにペットドアをもうけている家がほとんどで、みな庭やベランダなどの屋外で排泄をしています。

この室内のリビングというゴハンを食べる場所に犬のトイレ場があるという光景が、異様に思われていないのはなぜだろうと不思議でなりません。

大型犬の場合には排泄量の多さからなのか、子犬の時期から庭で排泄させられるご家庭も多いようですが、大型犬もサークルに入れられて排泄を強いられているのを見ると、のちの行動に影響を及ぼしてしまうと思い危機感を覚えます。

テリトリーが安定していると犬の自由行動範囲も広がっていきます。

つまり犬の自律した行動が引き出せていけるということです。

犬が自分のテリトリーを主張しすぎると人が犬を呼んでも帰ってこなくなるという逆の問題も生じてきます。そこは人との関係性の問題なので、しっかりと取組みましょう。

犬が成長していけば次の新しい課題が出てくるのは当然のことです。

こうして人も犬も動物としてひとつずつ成長していくのだと思うのです。

そうなるのが嫌だからと犬を閉塞的な空間に閉じ込めてしまうと、犬の豊かな生活と性質の発達はできません。

つまりはどちらかを飼い主が選択する必要があるということです。

犬とどのように暮らしていきたいのか価値観も様々でしょうが、お互い様とまではいかなくても家族である犬がそれなりに動物として成長し豊かな感情で安定して生活できるようにしたいものです。

預かり犬ちゃんですが、いろいろと行動を起こしてくれるので行動観察の素材として楽しませていただいています。

また、その様子をお知らせします。

空預かり庭1

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<犬のしつけ方>習ったら即実践:インプット70とアウトプット30の原理

家庭犬インストラクターとして長く仕事をさせていただいていますが、一昔前まで、こんな仕事が成り立つなどとは誰も思いもしなかったような仕事です。

犬のしつけ方を飼い主さんに教えることが業として成り立つようになるなどと、昭和の時代には思いもしなかったことです。

少なくとも、自分が子供のころに犬を飼っている時代には無縁のことでした。

犬のトレーニングの学校といえば、警察犬とか麻薬犬など特殊な犬たちの学校のことだと思っていました。

自分が短大を卒業するときに選んだのは、盲導犬訓練士になることでした。そのときに家庭犬トレーニングというのは、一般的ではなかったので選択肢として思い浮かぶわけもなかったわけです。

それが、時代の流れでこうして家庭犬のしつけ方を教える家庭犬インストラクターとして仕事をさせていただくことになっています。

盲導犬の訓練と家庭犬のしつけ方指導の学びは、多少は重なりますが全く異なる勉強をしなければならないことの方が多かったと思います。

その勉強方法は、本、ネット、セミナーと多岐にわたりますが、最も勉強になるのは実践学習です。

勉強の際に気をつけていることは、自分が入手(インプット)した情報は必ず様々な方法でアウトプットすることです。

このインプットしたら必ずアウトプットさせるという学習は、どうやら的外れではないようです。

本を読んで「その通りだなとか、そうなんだな」と納得した内容は、本当にそうなのかを実際の犬たちの行動を観察して当てはめることで分析していきます。

犬のしつけ方の具体的な方法のいくつかをセミナーで習ったときにも、必ず自分でまずやってみたりその内容について再度自己検証を行ってから現場での実践につなげていきます。

トレーニングの現場で実際に行うことで、その内容がより理解できるようになると共に、思い違いや見方を変えることを求められることもあります。

いずれにしても、入手したらすぐにアウトプットして作り上げていく、これが自分の仕事のスタイルです。

実際に犬にしつけを行う飼い主さんのステップアップにしても同じ作業が必要になります。

前回のブログでご紹介した「お散歩マップ」もひとつのアウトプットの形です。

他にもマテのやり方をレッスンで習ったら、そく練習を重ねていくことでアウトプットしていきます。

犬の行動に関する理論や頭の中で学んだことは、それを含めて再度観察していくと理解がより深まります。

たとえば、生徒さんが「人の接し方で犬の行動が変わるといわれていたけど、先日散歩中に犬に触ろうとしてきたときに、犬が体をかきはじめて、本当にそうなんだなと思いました。」といわれました。

これもアウトプットの形のひとつです。

インストラクターから説明を受けて「へー」で終わらずに、言われた事をさらに観察してみて実際にどうなのかを確認し、そして確認したことを私に対して言葉で説明するという、すごくステップするアウトプットです。

こうしてアウトプットしていくと、その人の中での価値観が大きく変わります。

だから、生徒さんたちからの行動のアウトプット、言葉のアウトプットをとても大切にしています。

たくさんお話ししているので1時間のレッスンがあっという間で、ついつい時間オーバーしてしまい移動にバタバタしてご迷惑をかけている次第でして、みなさんすみません。

犬のしつけ方や犬について学び犬を育てていくためには、自分の脳を成長させる必要があるのです。

アウトプットの形のひとつとして、犬語セミナーのあとのお茶会やグループレッスンの中での食事会などがあります。

いろんな飼い主さんとのアウトプット大会もまた楽しいものです。

レッスンやセミナーで学んだら次はアウトプット。ぜひ実践してください。

モカちゃんベッドフセ

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<犬のしつけ方>犬のお散歩マップを作ろう!

古い資料を整理していたら、家庭訪問トレーニングクラスを受講された生徒さんが作成した資料が出てきました。

その資料とは、犬の散歩中の行動について図面でまとめたものでした。


家庭訪問トレーニングクラスは毎回カウンセリングから始まります。

散歩の練習はクラスのときに実践練習をするのですが、実際に他の犬にあったり人に会うことができないため再現が難しいことがあります。

同時に、私というインストラクターの存在が犬の環境に及ぼす影響が回を重ねることに増していきます。

レッスンを重ねるたびに、犬が普段とは違う行動をするようになってしまいます。

現在は「動画撮影」が簡単にできるようになったため、撮影してもらい後で確認する作業もできますが、それだけでは不十分です。


犬語セミナーの勉強に見られるように、飼い主にとって一番大切なことは「まずは犬を観察する」ことだからです。

犬を日々観察して、犬がどのような行動をしているのかを説明できるようになることで、飼い主の犬に対する理解力は上がっていくのです。


散歩中の犬の行動をまとめたチェック表は、飼い主さんの犬に対する理解力を表現する道具となっているのです。

チェック表のブログアップについて快く許可していただけたので、こちらにアップさせていただきます。

お散歩マップ
排泄をどのような場所でするのか、犬がどのような行動をするのか、こうしてお散歩マップにしてみるととてもわかりやすいのです。

さらに、散歩コースにどのような犬がどのあたりにいるのかを把握することもできます。


写真の散歩マップは、散歩練習の初期のころの状態でした。

どこにいっても他の犬とテリトリーが重なってしまうため、なかなかテリトリーをつくることができず狭まっている状態がよくわかります。

住宅地では犬を飼う家庭が多く、他の犬のテリトリーに囲まれてしまう状況は珍しくありません。

散歩をはじめる犬は新米犬です。近所の犬たちとすぐに仲良しというわけにはいかないのです。


散歩にはいろんなストレスの要素があります。

リードで拘束されていること、人との関係性、近所の他の犬のこと、車は音などの人工的な障害物など。

これらの困難を克服して社会化を果たし、犬の散歩が楽しくなるためには、まず散歩の状態を把握することです。

そのための道具として「お散歩マップ」の作成をおすすめします。

散歩ができるようになるまで、子犬でも数ヶ月はかかりますし、成犬でも犬によっては時間のかかることがあります。

一旦、落ち着いてできるようになっても、1歳前後の青年期に、3才前後の中年期に入る前に、再び行動が乱れることがあります。

成長と共に変化し続けるのは、犬も人と同じです。

飼い主が成長すると犬もさらに成長するはずです。


お散歩マップを作ってくださった飼い主さんと犬ちゃんですが、今ではテリトリーを獲得してゆっくり散歩に出ています。

大変だったころも懐かしくなる、どれも大切な家族との大切な思い出です。

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<犬のしつけ方>道具選びは犬のしつけとトレーニングの基本

犬のしつけ方とトレーニングクラスの中にはいろんな提案事項があります。

その中でも絶対に欠かせないのが、犬に使用する道具の提案です。

犬は人との暮らしの中で、様々な形で管理されています。

犬を飼うことを専門的には飼育管理とか飼養管理とかいわれるのも、犬を管理することが犬を飼うことの前提になっていることの証です。

ハロ3
犬を管理するために必要な道具はたくさんあります。

たとえばサークル、クレート、ケイジといった似たような犬の個室もその用途や使い方をわかっている人は多くはいないようです。

また、どの犬にも使う必要のある首輪やリードやハーネス(胴輪)にもたくさんの種類があります。

犬のトレーニングのご相談ある際には、ある程度の道具は購入されているのですが、実際には使えるものが少なくトレーニングの際に買い替えを提案しなければなりません。

ペット用品は以外に高価なものが多く、たくさん飾りのついた首輪は数千円もするものが普通です。ハーネスにしても五千円前後するのも当たり前の値段になっているようです。

ハーネスなどは犬の体を安定させるための道具ですから、犬にあった安定した道具を使用する必要があります。

すでに高いハーネスを購入していらっしゃると「これ結構高かったんですけど…」と買い替えに難色を示されることもあります。

あとは飼い主さんの判断でということですが、知っていることはお伝えするのがインストラクターとしての私の役割ですから、料金をもらってやっている以上は黙っているわけにはいきません。

生徒さんに尋ねたところ、やっぱり結構はっきりと買い換えて欲しい事を伝えているらしいです。

もちろん結果としては、買い換えてよかったということの方が多いです。

クラスの中で道具の変更をお願いするのは、かっこよさやデザイン性を求めるためではありません。

レザーリードがカッコイイから使って欲しいのではなく、革のきちんと作られたリードは犬にも人にも負担なく、相手にこちらの動きが伝わりやすいからそうご提案させていただいているのです。

自分も新しい道具で良さそうなものがあれば、いろいろと試してみます。

仕事なのでその部分については無駄になっても惜しみなく使います。

古いものの方がいいと思う場合もあるし、この値段ならこれでも納得のいくというものもあり様々です。

道具をきちんと選ぶことは犬のしつけとトレーニングの基本です。

犬は様々な状況で人が管理する必要のある環境に生きているし、そのためには道具が必要だからです。

目的にあったより良い道具を見つけてください。

気軽に購入できる道具はブログの「おすすめのアイテム」でもご紹介しています。

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<犬のしつけ方>いろんな姿形になっていく犬たちは、どこまで犬で在り続けるのか?

犬といってもそれぞれに思い浮かべる姿や形は様々です。

他の動物と犬が異なるひとつの理由は、犬というひとつの種で非常にバラエティにとんだ見かけになってしまったことです。

1キロ未満の小さな犬から60キロもある大きな犬まで。

フワフワしたぬいぐるみのようなものや、ロングヘアーの犬、脚の長いのもいれば、短いものもいます。

耳の垂れているものや、立っているもの、尾の巻いているものや、人工的に切断されて尾のない犬たちも存在します。

人と同じものを持ちたい、人と違うものを持ちたい、そうした人の欲望を満たしてくれる存在となりやすいのもわかります。

ペットとされる犬たちは、人の欲望に応じて人為的に繁殖されて本来のイヌ科動物とは随分異なる形となっていきました。

小型犬と暮らす飼い主さんたちには、野良犬のような風貌の犬は親しみがわかないでしょうし、逆に野良っぽい風貌の保護犬と暮らす飼い主さんたちには、ぬいぐるみのような犬が犬のようには見えないことでしょう。

仕事柄ですが、様々な形や顔をもつ犬たちを相手にコミュニケーションをとる必要があります。

よく純血種の犬種別の特徴を尋ねられることがあります。

例えば、ラブラドルリトリバーは物を持ち運ぶのが得意なのでボール遊びが上手にできるとか、テリア種は防衛傾向が高いため、テリトリーを守って吠えることが多いなどといったことが、犬種別の特徴です。

ペットとして純血種を作る際の人為的な繁殖は、現在では見かけ重視で行われています。

特別な使役犬を繁殖させている施設では、仕事をストレスなくこなしてくれる優秀な遺伝子を求めているため、行動の質に焦点をあてて繁殖されていますが、これは一般的な飼い主さんとはあまりご縁がないでしょう。

ということは、現在繁殖されている純血種の多くは、かわいいとか珍しいという理由で繁殖をくり返されています。

犬という動物を使役という仕事に従事させようとしてはじまった西洋の歴史の名残が、今だ純血種犬たちの中に流れているため、犬種別の行動傾向が根強くのこるものの、その行動すら犬としてというより、動物の行動の一部を格別強めてしまったゆがんだ結末であると思うのです。

話が複雑になってしまいましたが、要は今いるどのような容姿をもつ犬であっても、犬としての行動が受け継がれているのだろうかということが、自分の関心の中心になっています。

となると、犬としてのナチュラルな行動とはどのようなものなのだろうかという疑問にぶつかってしまいます。

七山で犬と暮らした10年はその答えをもらうにはあまりにも短すぎて、ほんの一部しか学ぶことができなかったのですが、それまでに考えていた世界とは大きく違ったものであったということだけを確信しています。

行動は環境に応じて変化し、変化した犬たちはまた人為的な繁殖をくり返されています。

多分ですが、犬の行動はどんどん変化し続けているのだと思います。

そして、ついに犬は自分が犬だと思っていた行動とは全く別の行動をするようになる日が来るのかもしれません。

私が尊敬して愛する犬という動物がいつまでも犬で在り続けてほしいという個人的な願いは、そう遠くないうちにかなわなくなってしまうかもしれません。

そう思う反面、山があって自然があって、犬が自然の一部である限り、犬は犬で在り続けるのだという希望も少しだけ持っています。

そんな犬たちとの山歩きは、やっぱり最高に楽しい時間です。

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