グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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<日々のこと>動物取扱業責任者研修会を受講しました

毎年1回、動物取扱業者に義務つけられている研修会に参加しました。

今回の主なテーマは以下のものでした。

動物愛護管理法の改正
動物由来感染症
狂犬病
マイクロチップ

研修内容の中から、皆さんも関心のありそうなことをいくつかをご紹介します。


この業界の法的な整備はまだ比較的新しく、ルールも表面的で不思議なものがたくさんあります。


例えば、犬猫の販売年齢に関する法律の制限は現時点では以下のようになっています。

「生後49日以内の犬猫の繁殖業者からの引渡等の禁止」

法律改正の検討事項として、「生後56日以内の犬猫の繁殖業者からの引渡等の禁止」とあります。

犬猫を早く親から引き離すと個体の社会化に悪い影響を与えるということで、改正が進められているのです。

飼い主さんもできるだけ長く親犬と過ごさせた方がいいと思われているようです。

子犬期の成長と発達のために、母犬や同胎犬といっしょに過ごさせた方がいいというのは当然のことのように思われます。しかし、ここには落とし穴があります。

単に母犬と長く置くということが社会化ではないのです。

日数という数字を合わせただけでは、動物は社会化しないのです。社会化はそんなに単純な仕組みではないということです。

むしろ、不適切なスペースに収容する時間が長くなるとことが子犬期のトラウマをつくつてしまいます。

不適切なスペースとは、サークルやケイジの中、他の犬の鳴き声が聞こえる空間、臭いのきつい空間、動きの取れない空間などです。

また、繁殖を繰り返す繁殖犬として人が利用している犬の中には、ストレスが強くかかり子犬と上手くコミュニケーションがとれない母犬もいます。

このような状態で母犬と同じスペースに長く置かれても、社会化は難しくなるばかりです。


法律の中には、犬猫の保管や展示のスペースについてもあります。

保管や展示の広さは、動物の体長の2倍以上の広さであることとされています。

逆から読むと、体長の2倍あればいいともいえます。

法律とはなかなか抜け道の多いものです。


また、毎年紹介される狂犬病に感染した子供達の症状のビデオを見るのは心苦しいものです。

日本は狂犬病が長らく発生していない国ではありますが、決して狂犬病がクリアな国とはいえません。狂犬病は他国入ってくる可能性が高く、その防衛に対して防御が甘すぎるため、いつでも狂犬病が国内に入る可能性があると思っておいたほうがいいでしょう。

ネットでは「RABIES」のワードで検索されると、狂犬病の感染に関する情報の動画を確認できます。特に人の感染動画は興味本位では見ることをお薦めしません。攻撃性と致死率100%という狂犬病は、犬という動物と共に暮らす上では、見てみぬふりをできない病気であるという認識は必要でしょう。

動物由来感染症については「手洗いの励行」「節度ある触れ合い」が予防のポイントとして紹介されています。
当たり前のことのように思えますが、案外なれてしまってできないことも多いものです。

最後に突っ込みをひとつ。

テキスト

Posted in 日々のこと, 犬のこと

<犬のしつけ方>犬のしつけは飼い主が主役:ドッグトレーナーが犬をトレーニングしてくれるという思い違いは今すぐ解決

犬のしつけやトレーニングについてのご相談の中で、とても多い間違いが「犬を訓練してください」というご依頼です。

犬の問題となる行動や犬のしつけを、ドッグトレーナーが家庭を訪問して瞬時に解決してしまうと勘違いをされていることがあるのです。

テレビ番組の中で、ドッグトレーナーが家庭を訪問して犬をトレーニングすると犬が瞬時に変わってしまう様子を見てそう思うのかもしれません。


犬のしつけや問題行動の解決のためのトレーニングをドッグトレーナーが犬に教えることで解決してもほとんど意味がありません。

意味がないどころか、飼い主は愛犬のことを理解し関係を作るという大切なチャンスを失ってしまいます。

こうした思い違いは、犬のしつけや問題行動の解決を犬だけの問題だと思っているところから起きてしまいます。

犬の困った行動は、犬の問題ではありません。

むしろ、犬を飼育するまさに、犬を飼い育てている環境に問題があります。

その環境のもっとも重要な因子が飼い主なのです。

そのため、飼い主が犬のしつけに主役となって取組むことでしか、この問題は解決しないのです。


思い込みのきっかけになったかもしれないテレビ番組はどうなの?と思われるでしょうか。

犬に関するテレビ番組の裏にはいろんな仕掛けがありますから、放送されていない時間に何か一時的には即効性のある対処法を用いた可能性もあります。

もしそうでないとしても、犬は非常に警戒心が高く人の見分ける力があります。

家庭で問題行動を起こしている犬ほど、人との関わりが強く人をよく観察する力を持っているのです。

ドッグトレーナーやドッグインストラクターといった職業の人間が、一般の人と明らかに違うということを犬たちはすぐに見破ります。

そのことが一時的に犬の行動に影響を与えるのです。

散歩中に他の犬に吠えていた行動が、ドッグトレーナーが犬のリードを持つと吠え止むといったことは全く珍しいことではありません。

これらの行動を見て、ドッグトレーナーが犬を「修理」して戻してくれるという勘違いをされるのでしょう。

ですが、これは犬のしつけとしては成功しません。

犬は飼い主のつくる環境によって行動を変化させています。

飼い主自身が犬を理解し、犬に必要な活動やしつけを提供し、犬と関係を築く時間を持たなければ、犬の問題行動は解決しないのです。


犬のしつけをオスワリやフセを教えることだけと思っていると、間違ってしまうかもしれません。

確かに、ドッグトレーナーが犬にオスワリやフセを教えて飼い主に戻すことはできます。

でも、この犬はいつどのような時にでも飼い主が要求するとオスワリやフセをするようになるわけではないのです。

オヤツがあるとする、餌のときにはするけれど、本当に必要なときには言う事を聞かない以前と変わりのない犬がそこにはいるのです。

変わっていないのは、飼い主の方だからです。

犬にきちんとしつけをして犬が社会的に安定して生きていくことができるように成長を促すのは、飼い主の役割です。

ドッグインストラクターとして私ができることは、飼い主さんに学びの機会を提供することだけです。

犬のしつけは、犬との関係をつくる貴重で楽しい時間です。

しつけやトレーニングの時間を通して、犬を今以上に理解することができ、そして犬との関係性が深められます。

早くよくなればいい、誰か犬のしつけをやってくれないかなという気持ちは、犬と向き合うことを避けていることになります。

そしてこのことに一番気付いているのは、犬自身なのです。

犬とどのような関係を築いていきたいでしょうか。

犬はあなたの家族の一員なのでしょうか。

犬のしつけには毅然とした態度やたくさんのエネルギーも必要ですが、費やした以上の喜びが戻ってくることは、犬と向き合った方だけが体験する特権です。

犬と暮らすすべてのみなさんに知っていただきたいことです。

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Posted in 犬のこと

<犬のこと>人がテーブル下に落とした食べ物をとる犬の行動も様々なこと

ドッグインストラクターという商業柄当然のことですが、家庭内での犬の行動を比較するのが習慣になっています。

犬のしつけ方教室というと、オスワリがどのくらいできるのかとか、散歩中に人の横について歩けるのかなどの行動ばかりを観察していると思われるかもしれませんが、実はそれだけではありません。

犬に対するしつけやトレーニングで大切なことのひとつに、その犬の個性をよく把握しておくということがあります。

直接的にその犬を理解するという目的と同時に、犬の行動をあらかじめ予測するために役立ちます。

人側がこうしたら犬はきっとこう反応だろうなという行動をある程度予測することで、犬に対してどのように接すればいいのか、どのように学習を促していくのかという過程を組み立てていくからです。

こうした犬の理解のための観察素材としては、散歩の様子やオスワリの学習よりももっと日常的な行動についての情報の方がより重要です。


それでよく飼い主さんとの会話の中でいろいろとお尋ねしています。

先日は、人が食べているときにテーブルの下に落としたものを犬が拾いに来ますよねという話題になりました。

人の食べこぼしを犬が食べることを許すかどうかというのは、ご家庭によってルールは様々でしょう。

犬のしつけとしては、食べ物を落としたときに「それダメだよ」とゆっくりと声かけして、犬が食べずにいられれば十分にしつけができているといえます。

わたしの飼っていた犬については、人が食べても良いと許可したものについては、拾っても良いというルールを導入していました。


床に落ちたものを食べさせても、それが拾い喰いという悪しき習慣につながるわけではありません。

落ちたものが犬が口にしてはいけない食材であることもあるでしょうから、食べてはいけないといわれたときにはきちんと応じるというのは最低のルールとして必要です。

ところが、犬の中には人の食べこぼしを拾いに来る犬の中にはそんな制止の余裕のない犬もいるようです。

人が食べこぼした食べ物がテーブル下の床に落ちる前には走り出し、落ちた瞬間には即座にその食べ物を口にしてしまうという早業犬も案外いるようです。

飼い主の報告によると、それらの犬たちは猛ダッシュで走ってきて食べ物を拾うと別の場所へ走っていき一気に飲み込んでしまうというのです。

行動の様子からすると、誰かに取られまいとして慌てて食べているということですが、競い合っているのは多頭飼育されている犬の場合もあるでしょうし、飼い主の場合もあります。


これらの早業犬たちとは違って、状況をよく確認した上で、落ち着いた行動で落ちた食べ物を拾って食べる犬たちもいます。

このケースでは、飼い主が食べ物を落とした瞬間にそれを見ている間は犬は顔を背けており、飼い主が落ちたものがわからずに放置してしまうと、犬の方が行動を起こします。

しかし、その行動は食べ物に走ってくるというものではありません。

ゆっくりと立ちあがった上で食べ物の落ちている方向になにげなく前進してきて、少し鼻をおとしながら偶然のように食べ物を拾っていきます。

飼い主から「ダメだよ」と指摘がはいればいつでも行動を変化させることのある余裕を感じられる行動で、状況がいつ変化するかもしれない状態での行動への配慮が見られます。


この二つのタイプの犬は、どちらも落ちた食べ物を食べることを目的とした行動ですが、その行動のパターンには飼い主との関係や犬の性質(性格)を見ることができます。

こんな、日常のなんでもない行動について飼い主さんに質問をくり返していくと、犬の個性がより理解できるようになります。

そしてなによりも、最初は的確に質問に答えられない生徒さんたちも、質問をくり返すうちに観察力が増していくという学習が起こります。

今までとは異なる面から犬の行動を観察できるようになるということが、飼い主として最初に必要な学習事項なので、楽しみながら犬を観察していただきたいです。

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<犬のしつけ方>犬への声かけが犬を不安にさせることもある:怖がる犬をなだめないで欲しい理由とは

犬に対する飼い主や人の声かけが、人の思惑とは別の方向に向ってしまうことがあります。

最も多くみられる間違いで、人側がなかなか改善できないのが、怖がる犬に対するなだめ行為です。

怖がる犬に対するなだめ行為とは、まさに、なだめるということを目的とした声かけです。

人の犬に対するなだめ行為について例をあげてみましょう。

散歩中に環境の変化に適応できず、硬直して動けなくなり立ち止まって尾を下げている犬がいるとします。

それを見た人の多くは、犬をなだめようとします。

犬に対して「大丈夫よ~」とやさしい声をかけて、体をさすっている行為を見かけることもあるでしょう。

もしくは、犬を抱きあげた上で赤ちゃんのように上下左右に振って、抱っこしてあやしながら「大丈夫よ、怖くないわよ~」となだめてはいないでしょうか?

犬を抱っこしてあやしている状態は、犬を赤ちゃんと取り違えている擬人化した行為になります。

抱っこという行為自体が犬に対して負担をかけるペット化の接し方ですから、抱っこをせがむ犬は当然社会的に不安定な状態にあります。

犬という動物に対する対応としてこれらの接し方が不適切だということは理解されやすく納得もいくでしょう。

しかし、体をさすってやさしく声をかけるなだめがなぜ犬にいけないのかというのはわかりにくいことです。

そもそも、なだめるというのは相手に状況を理解させて説得したり、納得させたりするための時間稼ぎです。

説得の行為に関しては言葉のコミュニケーションを用いて理解させるという方法です。

そのなだめる行為に、体に触れるという接触を伴う人が用いる落ち着かせのコミュニケーションが入っています。

犬にこうした行為が通じない理由は、簡潔にいえば人と犬ではコミュニケーション方法が違うということです。

では、怖がって尾を下げて震えている犬がいたとしたら、犬だけで生きている群れの犬たちはどうするでしょうか?

犬が怖がる状態を脱却する方法は、自力で快復するのを待つというやり方になります。

同時に、群れの強さを感じることができれば、群れの安定度によって犬の快復力は高まっていきます。

つまり、その犬の近くで普段と変わらず堂々と振舞うことが、怖がっている犬の快復力を高める方法です。

怖がっている犬が必要としているのは、やさしく声をかける人間ではありません。

やさしい声は違う面からみると、弱弱しい声ということです。

怖がっている犬が必要としているのは、弱い動物ではなく群れを率いてくれる強くてたくましい存在なのです。

何かあっても群れのために戦う意志があるトップの犬たちがいて、規律のある群れにいると犬は自律した快復力が高まっていきます。

逆に、やさしく語りかける飼い主の声となでる手は、犬が怖がっていることをさらに強化する(その行動を高める)要因となってしまいます。

犬はますます、怖がることをやめられなくなっていくのです。

飼い主の気を引くために、わざと怖がっているわけではありません。

怖がりの強い犬は自律性が育ちにくく依存性が高まりやすいため、飼い主に対する依存性を高めてしまう行為によって飼い主の反応が出やすい行動をしてしまうということです。

犬が怖がることを改善したいと願う飼い主が、実は犬の怖がる行為を高めているということに多くの飼い主は気づいていません。

動物の行動学的にはとてもシンプルな構造なのですが、行動に変化が見られないということは、何か周りの環境に要因があるということです。

最も大きな要因が飼い主のつくった環境(生活環境のすべてを含む)と飼い主の接し方です。

だから、飼い主が変われば犬の行動は案外簡単に変わってしまうのです。

預かりのトレーニングで結果が出やすいのは当然のことなのですが、同時に飼い主の元にもどれば以前と同じになりやすいということです。

人と犬ではコミュニケーションの方法が違うということ、当たり前のことなのですが再度確認しましょう。

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<犬のしつけ方>教えていることがある時突然できるようになるのは何故?

犬にいろいろな学習を促すいわゆる犬のしつけやトレーニングの中で起きる、不思議な「トレーニングあるある」のひとつに「いきなりできるようになる現象」というのがあります。

犬ができるようになる内容は犬によって様々で、特定のものではありません。

具体例として以下にあげますが、実際にいろいろとあります。


ペットドアをいきなり通れるようになった

ハウスというと、いきなり合図で入れるようになった

吠えているときに「イケナイ」という声に、ある日突然反応して吠えるのを止めるなるようになった

リードをつけるときに突然オスワリができるようになった


このいきなりできる行動の多くは、行動をするという積極的な反応の場合に起きています。

上記にあげた例の中で、イケナイというと吠えるのを止めるようになったという反応は、行動をしなくなったケースなので、該当しないように思われるかもしれません。

ただ、この行動も実際に確認してみると、吠えるのを止めると同時に飼い主の声に対して集中して注意を払うという行動に置き換えられているのがわかります。

結果、吠えるのを止める行為にいたったということですが、やはり「できるようになった」部門に入る行動改善です。


飼い主は口々に「今まで全くできなかったのに、何故できるようになったのかわからない」といいます。

こうした行動の変化は、自分達の身近にも起きていることがあります。

同じことを何回も練習をくり返すと、練習が一定期間に達してできるようになるということです。

犬にハウスといったらハウスに入るトレーニングなどは、犬をどのようにしてハウスに誘導するのかで行動の定着性が変わってきます。

同じ行動をくり返せば定着するわけですから、ハウスといって犬を抱えあげてハウスに入れることを何万回くり返しても犬は言葉でハウスに入るようにはなりません。

イケナイといって犬が吠えるのを止めるトレーニングについても、犬が飼い主の言葉に集中する素材がどこにもないとすれば、この練習を何回くり返しても犬は吠えるのを止めません。

犬が飼い主の合図という言葉に集中する素材とは、常日頃からわかりやすく伝える努力を飼い主側が続けていくことと、犬を惹きつける声を出せるようになるかどうかも大切な要因です。

声の出し方については、犬は反応度がかなり違います。

知らず知らずのうちに飼い主が犬が反応しやすい声を出せるようになっていることもあります。

練習しているのは犬ではなく飼い主の方なのかもしれませんね。

いずれにしても、犬の落ち着かせにとって大切だと思うルールは、いい加減な気持ちで導入せずに犬ができるようになるところまで継続することです。

それは数ヶ月かかることもありますが、練習の成果は必ずやってきます。

あきらめないこと、犬との関係作りのキーワードです。

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<記事掲載>ダイヤモンドオンライン記事:秋田犬は本当に忠犬か?ハチ公の美談には裏話も

様々な記事をネットで配信しているDIAMOND ONLINE(ダイヤモンド オンライン)から取材を受けました。
タイヤモンドオンラインは週刊ダイヤモンドがネット版として配信しているニュースサイトです。

取材内容は少し前に話題になったロシアのフィギュアスケートのアリーナ・ザギトワ選手に秋田犬が贈呈されたことに関連したものでした。

取材依頼の理由についてライターの方から、当ブログの秋田犬に関する記事に関心を持ったということでしたので今回取材協力させていただきました。

その秋田犬に関する過去ブログはこちらからどうぞ↓

渋谷の忠犬ハチ公は普通の野良犬だったという事実:犬のFACT(ファクト)をそのまま尊重することについて

電話取材でしたが、犬のことをご存じない方なのに深く組みとってくださり、さすがにプロのライターは違うなと感じさせられる記事でした。

タイヤモンドオンラインに掲載された記事はこちらからご覧になれます↓

秋田犬は本当に忠犬か?ハチ公の美談には裏話も

ザギトワ選手に秋田犬が贈呈されたことの是非を問うつもりはありません。

地元の珍しい純血種を他国の人に与えて親交を図ろうとする政治的行動は、江戸時代以前から行われてきたもので、古すぎるといえばそうですが特別なことではありません。

ただ、社会的に影響を与えやすいこうしたメディアの報道や情報について、みなさんには自分で考える力をつけていただきたいと思います。

人が飼う動物と本当の心触れ合えば、いつしかその苦しみにも触れることになります。

そして深く考え悩み、成長する機会を得られるのは犬と暮らす平等の機会です。

どんな形であれ、犬を家族として迎え入れられたのですから、いつかその瞬間を得られることを願っています。

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<犬のしつけ方>放置しても改善しない犬の分離不安行動

分離不安という言葉をあまり使いたくはないのですが、犬の状態をある程度把握していただくために納得しやすい表現として使用させていただきます。

犬の分離不安行動とは、もっと的確な表現をするなら、次の2つの要素を複合している状態の犬だと思ってください。

2つの要素とは以下のとおりです。

・安心できる自分のテリトリーを持っていない
・飼い主に対して依存執着行動を表現している

特に後者の飼い主に対して依存執着行動を示すことについては、とても分かりやすい行動のため、分離不安行動を特徴づける行動ともいえます。

飼い主が離れると騒いだり、飼い主の気を引く行動をします。

飼い主を自分の要求に応じて行動させるための甘え行動や脅し行動が見られるようになります。

脅し行動の中には、軽い甘咬みや首元に手を近づけると手をなめるといった行動から始まり、しまいには出血するほど咬みつく、あざができるほど咬むといった攻撃性行動にまで発展していくことがあります。

犬によっては、咬みつき行動が少なく甘え行動が中心となりながら、そのうち飼い主が離れると不安定になるパニック行動や興奮行動が見られるだけの場合もあります。

咬みつき行動がでないこうした犬たちは、飼い主が大好きという間違った行動評価を受けながら生涯を終えることもあるのかもしれません。

逆に、咬みつき行動が出た場合は飼い主にとってはとても辛く苦しいことになります。

しかし実際には、咬みつき行動が出始めると飼い主はなんらかの方法でこの問題を解決しようと犬との関係改善に踏み切ることになるでしょうから、こちらの行動の方が飼い主と犬はより良い関係を築く可能性が高まるということにもなるのです。

犬の落ち着かない行動はすべて犬からのメッセージなので、飼い主がどの程度真摯にこのメッセージを受け取るのかで、犬と飼い主の関係性は決まっていくともいえるのです。

とはいえ、飼い主は時には誤った対応をしてしまうことがあります。

飼い主に依存執着する行動からかみつき行動に発展してしまった犬に対して、放置という方法で改善を図ろうとするものです。

分離不安の犬にクレートトレーニングをして長い時間留守番をさせても、犬の分離不安行動は改善されません。

それでも室内犬ではクレートトレーニングが必要なのは、犬に最低でも安全なテリトリーを獲得させることで犬を安全に管理したいからです。

分離不安の犬を外飼いにして数ヶ月もしくは数年にわたって放置したとしても、犬の分離不安行動は改善されません。

犬をひとりにする時間をつくればそのうちに改善しそうな分離不安ですが、外飼いの犬でも分離不安症になってしまうことはあるのです。

保育園や預かり訓練に出しても、犬の分離不安は解決できません。

管理の行き届いた場所で一旦は落ち着いたように見える犬の状態も、飼い主の元にもどればすぐに復活してしまいます。

とにかく犬の分離不安行動は放置しても改善しないということを考えてみてください。

では、どのように改善できるのか。

それは分離不安行動がどのように作られたのかというところに焦点をあてれば見えてきます。

犬のは分離不安行動をつくっているのは、人が飼うという環境の中で起こります。

分離不安行動を作った接し方、環境、犬の性質、思いつくもの全てを書き出してみてください。

分離不安状態に影響を与えている環境を改善すること以外に、解決の道はありません。

そしてその環境の最も強い要因が「飼い主」なのです。


犬は環境にとても敏感な動物で、表面的な接し方ではごまかすことができません。

犬はいつも真実を知っているし、それを教えてくれるすばらしい生き物です。

重度の分離不安行動をかかえている犬がそばにいると、こちらも大変落ち着かなくなってしまいます。

その大変な問題にも解決の糸口があることを、犬自身が教えてくれます。

人として学ぶ機会に犬がいてくれる有難さを十分に感じています。

犬たちが心身ともに健康で朗らかでいるためにお手伝いできることを、飼い主さんといっしょにこれからも取り組んでいきます。

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<犬のこと>犬は湿気に弱い動物:この季節「湿度管理」に気をつけてください!

梅雨前のこの季節、雨が降りそうで降らない不安定な天候が続きます。

急に体調を崩してしまう犬も増えているようです。


犬の生活管理に注意を怠らない飼い主さんたちは、室内や屋外の飼育場所の温度管理にはかなり気を使われているようです。

犬は人のように汗を書きにくく一年中分厚い毛皮を着ているため、熱中症になりやすいというのは多くの飼い主さんが情報として持っているようです。

ところが、案外気づかれていないことがあります。

それは、温度管理と同じレベルで重要な湿度管理についてです。


まだ5月というこの季節は、真夏ように連日にわたり気温が高くなることがありません。

気温が25度程度であれば、危険性はないように思われます。

気温があまり高くなくとも、犬の息づかいが早くなってきたり、グッタリした様子をみせるようでしたら、湿度の方を確認してみてください。

犬の毛質やサイズによって個体差はありますが、湿度は60%を越えると犬の体には多少のストレスを与えるような環境になってしまいます。

室内にいるから大丈夫ではないかと思ってしまうのですが、実はそうではないのです。


土の上で生活している犬たちは、暑ければ土を掘って冷たい地面の上に体をうずめて冷気をとっています。

また、日陰で風当たりの良いところは湿度が低く保たれており、好んでこういった場所に身を隠しています。

これに反して、室内は風通しが悪く、土のような冷たさもありません。

体を冷すようなアルミ製のシートなども販売されていますが、土は冷却シートよりも冷たく心地よいのです。


風通しが悪く湿気を発しやすい室内には、エアコンという文明の利器がありますから、除湿で対応していただくしかありません。

特にクレートトレーニング中の犬については、クレート内の湿度が上昇しやすくなってしまいます。

除湿をしっかりかけて、扇風機を回して、室内の空気を循環させてあげましょう。


屋外の犬たちもコンクリートジャングルの中で、風を受けることができなくなっています。

地面は固められて大変暑く、熱気は下りてくるため逃げ場を失います。

屋外用の大きな扇風機を使ったり、日中は土間や玄関スペースや家の一部にいれるように練習するなどの配慮も都心では必要になってきているようです。

人為的に繁殖されている純血種犬の場合、自然環境で生きていくように設計されていません。

あくまでも、人が管理することが前提で人がデザインした犬たちです。

呼吸のしにくい鼻、分厚い毛、長くからまる被毛、脂肪のつきやすい体質など、犬はかなり厳重に管理しなければいけないようになっています。それが純血種犬だと理解しましょう。


愛犬に最適な湿度の基準をみつけるためには、温度と湿度管理をしながら犬の状態を把握して、その犬にあった環境を見つけていくことです。

留守中の気温の変化に対する反応は、リモートカメラでチェックできますね。

人工的な場所で、人工的に作った犬たちを飼うこと。

犬に負担を強いていることを認めた上で、エアコン代は必要と割り切ることも大切です。

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<犬のしつけ方>リモートカメラが大活躍の様子

当ブログで留守番中にリモートカメラを活用してほしいという内容の記事を書きました。

ブログ記事 <おすすめのアイテム>犬の留守番中のカメラ観察:連休明けには必須アイテム

留守番中の練習の他、クレートトレーニングの進行状況を確認するためにも、リモートカメラは結構活躍してくれます。

さらに、そのリモートカメラが安くても結構使える商品であることがわかってきたので、ブログに紹介しました。

数名の生徒さんにリモートカメラをお薦めしていたのですが、紹介記事に納得されたのかリモートカメラの導入率がかなり上がりました。

リモートカメラは静止画や動画の保存のできるものもあるため、留守中の様子を詳しく把握した生徒さんたちからその様子を説明してもらいます。

心配していた留守番の練習が、ステップアップしながら進んでいる様子がカメラを通して確認できます。

下の写真は、クレート留守番から、部屋留守番に変更した犬ちゃんの留守番中のひとコマです。

寝る場所はいろいろと変化しているようですが、安心して休んでくれている姿を確認できるとホッとします。

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ですが、中には部屋留守番にして落ち着かなくなったケースもありました。

こちらもすぐにリモートカメラで確認できたので、不安定行動を放置せずに対応することができました。


中には、留守中に以外な行動をしている犬ちゃんもいて、飼い主さんと「えーーーー!!!!」
となったこともありました。

犬にプライバシーがないのは申し訳ないとは思いますが、行動が安定するまでの確認作業なので、
その点は犬たちには受け入れてもらうしかありません。

それにしても人の世界でも犬の世界でも、録画や録音は動かぬ証拠です。

留守中のあんな行動やこんな行動が飼い主にバレているということを、犬たちは知っているのでしょうか。

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<犬のしつけ方>犬の攻撃性の基盤が依存によるときには早急に対応したい

犬のしつけ方やトレーニングを進めるためには、いろいろな視点から犬を理解する必要があります。

犬の習性と本能、犬の行動学、犬の生理学についてはもちろんのことです。

しかし、この分野だけではまだ十分とはいえません。


犬の心理学というと擬人化しているように思われるかもしれませんが、犬の精神構造やその状態を科学的に理解しておくというのは、どのような対応がどのような時期に必要なのかを知る上で重要なことです。

さらに、人に飼われる犬の行動は、人の接し方の影響を強く受けて行動を習慣化したり変化させたりしています。

人の接し方とは、接する人の知識という部分もあります。

たとえば、本に書いてあったからやってみたというものもあるでしょう。

ただ、こうした本に書いてあったからやってみた接し方は、接し方の時間としては短いものです。

犬に最も影響を与えているのは、飼い主がどのような心理状態で犬に接しているのかということの方です。

犬のしつけ方やトレーニングを考えるためには、犬という種を知ることはもちろんのこと、

ヒトという動物について知る必要があるという部分も忘れないでいただきたいです。


さて、ブログの記事を初心者の方にもわかりやすいように書くように努めています。

それでも、言葉が見つからずに専門用語になったり、意味がわかりにくいといったことがあることについては、今後も配慮していきます。

ですが、今日のブログ記事のテーマはあえてわかりにくいと思われる題目にしてみました。


「犬の攻撃性の基盤が依存によるときには早急に対応したい」

この題目に沿って、説明していきます。

まず、犬の攻撃性というのはどのような行動かを明らかにしましょう。

わかりやすいのは「咬みつき」行動です。

しかし、犬の攻撃性に含まれる行動にはもっといろいろな行動があります。

以下にあげる行動は、どのような状況でどのように表現されたかによって、それが犬の攻撃性の表現になるかどうかが決まります。

それをひとつひとつ検証することがここではできないので、あえて単発行動として記しますが、単純に攻撃行動と判断する前に、精細に観察してください。

攻撃性行動の表現として使用される行動にはこのようなものがあります。

吠える、唸る、とびつく、牙を見せる、牙を当てる、咬みつく など。

子犬期に見られる甘噛みは、咬みつきに発展する可能性があります。

まず、今自分の犬に攻撃性行動がどのようなときにどのような表現で出されているのかを観察していきます。


次に、攻撃性行動を毎日表現するような犬の場合には、その行動がどのような環境で作られていったのかを分析していきます。

攻撃性行動がほぼ毎日のように、飼い主や近隣の他人に対して出ている場合には、この犬の攻撃性を育ててしまったのは、飼い主の接し方を含む飼い主のつくった環境にあります。

環境改善や関係改善をしなければ、犬の攻撃性行動を改善していくことはできません。

環境を把握し、適切に整備することは、犬の攻撃性と衝動性を抑えるためにどうしても必要です。

この犬の攻撃性を育ててしまった環境のことを「犬の攻撃性の基盤」としました。

環境というベースを変えなければいけませんよ、ということです。


さらに、この基盤の中に犬が飼い主に甘え行動をとる、つまり依存関係を結んでしまった場合には、即刻対応をしてほしいのです。

この飼い主との依存関係のチェックですが、いくつかあります。

ほとんどのケースで犬が甘え行動として行うのは、以下の行動です。

とびつく、甘噛み、鼻をならす

この三大甘え行動を持ちながら、攻撃性行動もしているのではあれば、大変危険だと思ってください。


この状態の犬が、2才未満で犬の性質に甘えの部分が強く残っているようであれば、時間を稼がずにわかりやすい方法でしっかりと衝動性を抑えておくことも大切です。

わかりやすい方法とは、十分に理解してもらうために飼い主に直接説明させていただきます。

2才未満と区切ったのは、咬みつく行動が頻発となり発作的に咬みつきをするようになるのが2才前後だからです。

人間にたとえると、切れるように咬みつく行動が起きるようになった場合には、短期間で衝動性を求める対応はできなくなります。


犬が2才未満で、攻撃性行動と甘え行動が強く出ていて、しかし突発的な攻撃性が出現していない場合には、なんとか間にあうかもしれないと、早急対応をすることがあります。

人でいうなら、中学生か高校生ころの年齢で、明らかに大人に対して攻撃性の高い行動をとったときに、力のあるものが毅然とした態度で向き合い殴ったとしても、それは虐待には当たらず、生涯その人が攻撃性という衝動をコントロールすることができるようになる貴重な機会なのです。

親や教師が教育として行うことがすべて虐待と受け取られてしまい、人の攻撃性や衝動性が抑制を覚えないままに大人になり、ビックリするような残忍な事件を引き起こしてしまうことは、人として恐るべきことです。

犬も同じように、その年齢や状態でないとできないことというのがあります。

そのことがその犬が生涯を通して、攻撃性を適切に使いながら人と共に社会で自由に生きていくために必要だと感じるときには、自分も毅然とそのように対応します。


しかし、その前に飼い主にお願いしたいことがあります。

犬がどんなに幼くても、その攻撃性行動を見逃さないことと、犬が飼い主に対して甘えと依存を続けるような不安定な状態にさせないでいただきたいのです。

本当はこの部分が一番難しいのだと思います。

人が飼い犬を甘やかしたいという心理を解明すること、これからも続きます。

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