グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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トレッキングクラスで学ぶこと:犬と共に山を感じる感覚を養う

犬といっしょに山歩きをするトレッキングクラスは、ただの山遊びクラスだと思われがちですが、実はとても奥の深いクラスです。

このクラスは七山校で始まったと思われている方もいらっしゃるのですが、実はとてもグッドボーイハートではとても古くからあるクラスです。グッドボーイハートが開校翌年くらいからは開催していました。

最初は私が愛犬のオポと山に遊びに行くだけだったのですが、飼い主さんの中で山行きに関心を持たれそうな方を連れて、一緒に山を歩く練習をしていました。

当時はわたしと犬のオポにとっては、博多の都会暮らしが日常で山の中は非日常の世界でした。
山歩きが必要かどうかなどと行動学的に考えることもなく、ただ山に入るとオポがいつもとは全くことなる表情をするため、犬であるオポにとっては必要な時間なのだと軽く思っていた程度です。そして、その時間は自分にとっては都会でたまった疲れのガス抜きくらいの気持ちでした。

ところが、生徒さんの犬といっしょに山に行くようになり、いろんな角度から見て知ることができるようになりました。
一飼い主としてオポという犬の変化を楽しんでいたときから、家庭犬インストラクターとして生徒の犬や飼い主さんが山で歩く姿を観察するようになる体験に変わったことで、ますますトレッキングをグッドボーイハートのクラスとして開催したいと思い、その後は定期的に開催するようになったのです。


それでも、都会暮らしの自分にとって山は不思議な非日常の世界。
きちんと見えているようで見えていないものがあることを知ったのは、オポと山裾に暮らすようになってからです。

見えていなかったものが見えるようになる、聞こえなかったものが聞こえるようになる、臭わなかったようなものが臭う、考えなかったようなことを考えるようになる。
そして、味わえなかったような感覚を味わうようになるのに、少し時間がかかりました。

都会で育ったわたしが、山の中をただ歩くという単純な時間の中でこれらの様々な知覚の変化を得られるようになったのは、オポという自然に近い動物がその機能性をわたしよりもずっと早く開花させて山の一部になってしまったように思えます。


飼い主さんとのトレッキングを通して、犬の感覚が少しずつ開いていく姿を見ることは感慨深いものです。やっぱり犬だなと感じられることが、なによりもうれしいのです。



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犬語セミナー開催しました:人に対する行動を科学的に分析することで見えてくる犬の社会性

グッドボーイハート七山校で毎月1回開催している犬語セミナーが行われました。

犬の行動のビデオを見ながら観察した結果をリストアップしていきその行動を細かく分析します。最後にその犬の性質や必要としていることについて考えるためのセミナーです。

ビデオの素材にはみなさんからの提供されたものもありますが、主にはレッスンのときに撮影したものが中心となっています。犬語セミナー参加者の中に飼い主さんがいることも珍しくありません。むしろ、自分の犬の行動を飼い主さんに他の方々と一緒に見ていただくことで、客観的に犬の行動について考え理解を深めるための機会としてこのクラスを利用していただきたいと思っています。

今回素材として利用したビデオの中にもレッスン中に撮影したものが含まれていました。
ビデオ素材の中から人に対する社会的行動の観察と分析に焦点をあてながら、犬の社会性についてみなで考えました。

犬が犬に対してする行動と、人に対してする行動では行動の種類がかなり違います。
犬にとっては犬も人も同じように社会的対象になるのはずですが、犬と人では種が異なるという明らかな違いがあります。でも違いはそれだけではありません。

人と距離を保って生活をする野生動物であれば、種の異なる動物とは距離を置いてお互いを刺激しあわないように生活しています。その関係が捕食関係=食べるものと食べられるものという関係になるとまた別の距離感を持って生活をします。
いずれにしても動物を飼うという関係性をもつ人は、動物と動物の境界を大きく越えた関係を持ちます。家畜化というのは人の他の特定の動物に対する独特の行為であり人の文化なのです。

犬が人の家畜となった歴史は人と犬の関わりを変えるひとつのきっかけになりました。家畜という言葉にはあまりいいイメージがないかもしれません。しかし、冷静に考えても一定の敷地など決めれた範囲内にいれられて食べ物を与えられ飼育される動物は家畜化された動物です。
犬の場合には人の家族同等の権利を与えられてることもあるため、動物の中でも伴侶動物やコンパニオンドッグという名前で呼ばれ、人と変わらないように大切にされて飼われているという事実もまた間違いではありません。

ただ、犬と人の距離感が大変近くなってしまったという事実と、そのことが犬の人に対する行動を変化させているのもひとつの事実です。犬は人との距離感が近まっても犬が他の犬に対して行う行動を人には行わないように思えます。ですが、これらの対犬、対人に対する行動はそれぞれに全く異なる行動の種類であるのに、犬の状態としてはかなり同じ内容であると感じられるものがたくさんあります。

そのため、ある犬の人に対する社会的行動をきちんと読み取れるようになれば、その犬が他の犬に対してどうような社会性を持っているのかを比較的近いところまで知ることができます。

本来なら犬は他の犬に対する行動の方がシンプルです。受け取っている他の犬の反応がシンプルで間違いのないものだからです。犬に2本脚をかけられて飛びつかれた犬が、「わたしのことが好きなのね」といって喜ぶことはないのです。飛びつかれた方の犬は威嚇の声「ガウ」を出して相手を遠ざけるか、軽く咬みつくか、逃げるなどの拒否的な行動をします。

ですから他の犬に対するビデオをみればその犬の社会性の多くは見ることができます。かといって、普段から他の犬と接触する経験のない犬を簡単に他の犬に対面させることもできません。そういう場合でも、その犬の人に対する行動を細かに観察して分析できるようになれば、犬の社会性に関する多くの情報を得ることができるようになるということです。

犬語=犬のコミュニケーションを読み取るときのヒントは、感情の話は横においておくこと、好き嫌いのことは横においておくこと、そして何よりも大切なの先入観を捨てる勇気をちょっとだけもつことです。

その動画から今まで思っても見なかった犬のことについて知ることになったとしても、深く理解することが犬にとっての最大の愛であるという事実は変わることはありません。
飼い主さんたちの貴重な時間をこうしたセミナーに費やしているのは、少しずつでも犬を理解する眼を養っていくことが犬が一番望んでいることだからです。
そして、そのことがひとりの人間がある犬に対する接し方を変える機会になります。
その変化は犬の行動の変化に直結していることをぜひ体験してみてください。


5月の犬語セミナーは以下の日程で開催予定です。

28日日曜日12時~14時 七山校で開催

福岡校での開催をご希望の方は曜日の希望を添えてお申し出ください。
2名以上でいつでも開催いたします。



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犬の咬傷(かみつき)事故の危険性を回避するために:唸る、吠えるの行動なく咬みつく行動への対処

「犬の咬傷(かみつき)事故の危険性を回避するために」の続きで4回目です。

昨日のブログ「犬の咬傷(かみつき)事故の危険性を回避するために:犬の攻撃性行動の表現について」では、犬の攻撃性行動の種類について説明しました。攻撃性行動はいろいろな行動の組合せですが、今回は理解を進めるために行動の種類は単純なものにし、いくつかのわかりやすい攻撃性行動に限定して説明していきます。

犬が咬みつき行動に至る前に起こるわかりやすい行動は“唸る”と“吠える”です。
犬の行動や表情を読み取ることが苦手な方でも、唸る声と吠える声の音は独特なので、ほとんどの人はこの警告を受け取ると後ずさりや静止をして攻撃を回避する反応をするでしょう。

ところが、咬みつき行動の前の“唸る”と“吠える”をしない犬がいるのです。

犬にはそれぞれに性質、人でいうところの性格というものがあります。
この性質把握は、キャラクターとしてとらえすぎると、見誤ってしまうこともあります。
しかし、慎重に審査して犬の性質を行動のパターンとして正しく把握できるようになると、犬が咬みつきなどの危険な行動を事前に把握することができやすくなります。

その特徴的な行動パターンの中に、唸ったり吠えたりせずにいきなり咬みつき行動をする犬というのがいるのです。これは特別な犬ではありません。割合まではわかりませんが、よく犬に接する人であれば、おそらく1頭くらいはこの行動パターンをもつ犬に接したことがあるのではないかと思います。

犬に距離をとって接するように心がければ、犬のテリトリー(領域)を侵したときにでる咬みつきは出ません。このことが、犬の行動パターンを見抜けず、間違った対応をして大きな事故につながる危険性を含んでいるのです。

“唸る”と“吠える”をしない犬は、「あまり吠えたり唸ったりしないおとなしい犬」と思われていることがあります。小さな子供達が簡単に手を出して頭を撫でていたり、顔を触ったり、オヤツを与えたりしているのを見かけるとゾッとすることがあります。

咬みつきの危険性がある場合と、本当に大人しい犬をどうすれば見分けられるのかですが、これは実際には専門家でないと難しいことがあります。
攻撃的な性質についてテストをする方法もありますが、ある程度の行動の傾向がわかるという程度で100%咬みつきはないと保証することはできません。

まずは、知らない犬には急激に近づかないということと、自分は犬のことを知っていると思い込まないことです。その上で、一番大切なことは、それぞれの飼い主が自分の飼い犬についてだけは、行動のパターンとその性質についてできるだけ理解する必要gああります。

例えば、これらの表現の少ない犬が行う他の行動パターンは、じっと立っていて動かないでいるという特徴があります。犬は逃げる体勢に入るときに後ろに下がったり、飛びのいたり、もしくは相手を遠ざけるために前進したり、前傾になろうとします。しかし攻撃態勢の準備のないこれらの犬たちは、ほとんどまっすぐに脚を伸ばしたまま立ち尽くしています。その場を動かないことが、これらの犬たちのテリトリーの主張でもあります。

犬によってはテリトリーを主張するために動きを伴うことがあります。しかし、これらのわかりにくい犬たちは、立ち尽くしているかもしくはくるりと回る、もしくは8の字を描くように回ります。口元は閉じていて口にも動きがありません。

どちらかというと雑種よりも純血種の大型犬、特に防衛犬として使用されていたような犬たちの中にこれらの行動パターンをもつ犬がいます。純血種は使役の目的や、外見の好みを人の希望にあわせて人為的に繁殖を続けられている犬たちです。これらの人の目的が達成されれば、人に対して咬みつき事故を防止しにくい行動のパターンであっても、これらの犬は人為的繁殖によってつくられてしまいます。管理の行き届いた専門家によって飼育を受けているときには問題のない行動も、犬を飼ったこともない人を含めた一般の方が家庭犬として飼うとき、不安定な環境によって、お互いを傷つける咬みつきの事故にいたるケースもあるのです。

雑種犬も同じように、人のそばで暮らすことによって、繁殖については人のゆるい淘汰を受けてきています。好ましくない行動パターンをもつ犬は、長い時間をかけて人によって淘汰されてききたという歴史があります。例えば、人にいきなり咬みついてしまうような犬は、人里を追われて生きる術を失ってしまいます。人のそばでえさをもらいながら子を産むことができなくなります。唸ったり吠えたりする警告なしに咬みつくという行動は、人にとっては不利益なため、人と暮らす犬たちの性質の中からは自然と淘汰される方向に向かっていったのです。

最近は少し様子が異なるようです。これらの雑種と純血種の交配によって生まれた犬の中には、純血種としての行動パターンを残してしまうこともあります。純血種の繁殖はまだ始まってから100年くらいですが、強められた行動というのは簡単には消えない根強いものなのです。


犬が人に咬みつく事故を防止するために、テリトリーに関する咬みつき事故を回避する方法は三つだけです。

一つ、犬のテリトリー(領域)を侵さないように行動する習慣を身につけてください。

二つ、“唸る”と“吠える”をしない犬には不用意に近づかないでください。

この二つは飼い主以外の人も実践して欲しいことです。

飼い主に対してはもうひとつあります。

飼い主は犬のテリトリー(領域)に最も近づかなければいけない人です。
どんな状況下であっても、飼い主が犬のテリトリーに近づくことをある程度寛容に受け入れ安心できる状態でなければ、犬に対する医療行為にも支障が生じます。最後はやはり犬と人の関係性について知り考える必要があるでしょう。

過去に攻撃的行動をしたことがあり、飼い主自身がその犬に怖くて近づくことがでいないなら、他の人に飼ってもらうこともできません。犬を他人に譲るときには、攻撃性行動について把握できないような状態では不可能です。知識が十分にあり犬への理解が深い方が見つかればそれは本当にラッキーなことですが、逆に今までに何ども犬を飼ったことがあるという方でも、その犬にあった安定した環境を作ることができなければ、犬のストレス値は上がり、犬の攻撃性を引き出してしまいます。これは犬にとって最も苦しいことです。

もし、あなたの犬がまだ若い犬でとびつきや甘噛みのある段階であれば、まだ十分に対応が可能です。犬の安心できる環境と関係をつくっていってください。

一番危険なことは、犬のことをかわいいと思ってはいるから犬を手放すことはできないけど、犬の問題に対応することもせずに、いつかきっと良くなるという問題を先延ばしする姿勢で、犬の気になる行動を放置しておくことです。


どの犬にも人に愛され心から信頼できる関係をつくる機会を提供したいものです。

咬みつきは犬のもつ社会的行動のひとつです。
ただそれを乱暴に使うことなく犬が安心して生きていくことのできる環境を、わたしたちで作っていきましょう。



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犬の咬傷(かみつき)事故の危険性を回避するために:犬の攻撃性行動の表現について

一昨日のブログ→昨日のブログ
からの続き文です。

昨日のブログで犬の攻撃性行動はどのように使われるのかを考えることから始めました。
わかりやすくするため二つにわけで考えていきます。

1 どのような時(状況)に使うのか

2 どのような方法(表現)を用いるのか

(1)のどのような時に使うのかについては、昨日のブログで説明しました。
今日は(2)のどのような方法を用いるのかについて説明します。

犬は人のように様々な道具を用いて攻撃することはありません。犬はもっと単純に攻撃行動をまさに行動として表現するだけです。
(2)を言い換えれば、犬は攻撃性行動をどのように表現するのかということです。

攻撃性行動にはいろいろな表現があります。
咬みつくことだけが犬の攻撃ではありません。
たとえば、こんな行動も攻撃性を表現する行動です。

唸る → 声を伴う

吠える → 声を伴う

飛びつき

甘噛み(軽くくわえる)

牙を見せる

牙を当てる

咬みつく

これらが代表的な攻撃性行動です。

飛びつきや体当たりについては、興奮したときに出る攻撃性行動としてあげることもできます。ここでは咬みつきが起こりやすい攻撃性行動に焦点をあてていますが、飛びつき、体当たり、甘噛み(軽くくわえる)はその予備軍です。

甘噛み(軽くくわえる)、飛びつき、体当たりなどは攻撃性行動としては見落とされやすい行動です。攻撃性行動が出現しにくい未熟な年齢で起きます。未熟というのは実際の年齢ではなく、成長していない依存性の高い行動が見られる状態を指します。興奮すると、飛びつく、体当たり、甘噛みといわれる口で軽くくわえるという行動が出始めます。この行動は遊び行動として見過ごさずに、この時期に犬の状態に気づき対応する必要があります。それが咬みつきに変化するのは成長段階の、ほんの一瞬なのです。吠えない大人しい犬だと思われていた犬が、突然咬みついたように思われていることもあります。


これらの攻撃性行動のうちの上の二つ“唸る”と“吠える”は声を伴う行動です。

攻撃性行動はできるだけ戦わないために必要な行動ですから、わかりやすい声(音)という表現により戦いを避けるために“唸る”と“吠える”が使われます。攻撃性行動の中で表現されるときにはどちらも低い音です。人の言葉に置き換えるなら、こっちへ来るなとか、それ以上近づくな、下がれ、手を出すなという感じで、いずれも領域を守るために使われます。いわゆる「警告音」です。

唸る、吠えるという警告が通用しないと、飛びついて牙を当てるとか、咬みつくという行動に転じます。自分の領域から逃げ出したり離れることができない状況であるとき、もしくはなんらかの理由で領域をどうしても死守する必要があり、相手が下がらないのであればいたし方ありません。
それでも、牙を当てるという行動は致命傷を負わせるのが目的ではありません。少し刃を相手に向けて、相手が退散することを目的とした行動です。牙をあてて相手がひるんだすきに逃げ出す犬もいます。

そして、最後に本当に咬みつくという行動にいたります。最後の最後に選択すべき行動です。こちらが相手を傷つけてしまえば、結果相手の攻撃性を引き出すことになってしまい、自分が攻撃によってやられてしまうかもしれないからです。それでも、戦うしかないという状況下では、咬みつかれる前に咬みつけというのもひとつの選択でしょう。

それは、どうしても守るべきもの、つまり逃げることのできない子を抱えているときや、動きがとれずに逃げられないとき、そしてつながれたり拘束されていて逃げることができないという状況が、この戦うという選択を引き出してしまいます。

犬と接するときに、唸ったり吠えたりしてくれるときは分かりやすいので助かるなと感じます。唸る、吠えるといった声を発する攻撃性行動を人は受け取ります。
動物に唸られると人は後ずさります。それは人の動物としての本能的な反応のようです。犬の行動学を勉強していない人でさえ、むしろ、していない人の方が素直にこの警告音に反応するでしょう。

逆に、非常に攻撃態勢に入っていると推測されるのに、その表現のない犬たちがいます。全く声を発することもなく、体を攻撃態勢にすることもなく、立ったままで表情も変わりません。犬の表情が変わるのは、唸るときにシワをよせたり、牙を見せるときに唇を上げるような表情でもわかるのですが、その表情もありません。

そうです。犬の中には唸ったり吠えたりする警告なしに、いきなり咬みつく行動にでるタイプの犬がいます。そして、これらの行動パターンをもつ犬は、相手に警告を与えることなく咬みつきの事故が起きてしまいます。

このような警告せずに咬みつきにいたる犬について、事前に何か知っておくことができるのかについて考えていきましょう。
次回に続きます。



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犬の咬傷(咬みつき)事故の危険性を回避するために:犬が咬みつくなどの攻撃性を発する状況とは

昨日のブログ記事に引き続き犬の重篤な咬傷事故を防ぐために考えます。

犬の咬傷(咬みつき)事故の危険性を回避するために:犬の殺傷事故を科学的に考える昨日のブログにも記述したとおり、危険犬種を特定させることだけが犬の重篤な咬傷事故を回避する方法ではありません。しかし、特定の犬種に対する理解を深めることは、この問題の本質を捉えるために必要なことです。

まず、犬の咬みつきという行動を行動学的な側面から説明します。

咬みつきという行動は、犬の攻撃性行動の中に入ります。
咬みつくという行動は、犬の攻撃性を表現する行動のひとつなのです。

攻撃性行動は社会的なすべての動物に見られる行動です。犬にも人にも攻撃性はあります。
秋田犬にもチワワにも雑種犬にも攻撃性はあります。わたしにもあなたにも攻撃性はあるのです。
こういう風に書いてしまうと「私には攻撃性はありません!」と激怒される方もいらっしゃるかもしれませんが、それは攻撃性という言葉の理解の行き違いがあるからです。

攻撃性行動は社会的行動であり、動物が安心して生きていくために必要な機能性の高い行動です。たとえば、部屋の中に入ってきたハエをハエたたきで殺したことがあるのなら、それは攻撃性行動のひとつです。攻撃性行動とはまず自分の身を守るために身につけた安全を確保するためになくてはならない行動なのです。

誰かが刃物をもって襲ってきたときにまず逃げるという手段をとることができれば幸いですが、逃げることができなければ、自分も対応する道具を持って戦うしかありません。もしくは、相手が攻撃に転じる可能性があると判断をすれば、そっちがやるならこっちもやるわよと挑発を受けてたつ姿勢を見せておいた方が衝突を避ける手段にもなります。

攻撃性は動物が内に持っていること自体は正常なことです。
大切なのはそれをどのように使うのかということです。
どのように使うのかということを以下の2点に分けます。

1 どのような時(状況)において使うのか

2 どのような方法(表現)を用いるのか


ひとつずつ分析していきましょう。

1 攻撃性をどのような時(状況)において使うのか
攻撃性を必要とされる状況は、シンプルに考えると次のような状況です。
・自分が攻撃されると判断したとき
・自分のテリトリー(領域)を侵されたと判断したとき

細かく考えていくともっとたくさんありますが、少し単純に想定していきます。
ここでは、わかりやすく「判断」と書きますが、犬の判断は瞬時に行われるもので、考えた結果ということではありません。
まず、状況を整理してみましょう。

自分が攻撃されると判断したときとは、自分が傷つけられるかもしれない状況に至って逃げられなければ防御もしくは攻撃をする必要があります。この状況は、自分が生活の場から離れているときのも発揮されます。
たとえば、ただ道を歩いていたときに前方から傘を振り上げた人を見つければ、自分も何かをもって応戦するしかありません。
犬の場合にも、リードをつけられ逃げられない状態で散歩をしているときに、リードを放された犬が自分の方に突撃してくればそれは自分に対する攻撃として受け取り咬みつくしかないでしょう。
余裕があれば事前に吠えて、自分の領域に近づくなという警告を促せる可能性もありますが、犬が至近距離に入っていれば攻撃態勢になるのに時間が必要なため、攻撃を受けこちらからも攻撃を返す姿勢になる選択をすることになります。

この攻撃を受けるという防衛的攻撃は、逃げることのできないつなぎ犬のテリトリー内でも発生します。どのような長さでつながれていたとしても、つながれていることは逃げることができないという状況下であることを犬は知っています。
そのため、ある程度の長さでつながれている犬でも、自分を犯されると判断した場合には瞬時に攻撃性を発生してしまいます。
犬に対して相手が攻撃的な行動を先に示せば、その状況の説明はわかりやすいものです。犬に対して人が棒を振り上げる、何かを投げ付ける、蹴る、手を上げるなどの行動は、犬からは攻撃的行動と受け取られる行動です。他にも他の犬が飛びついてくる、体当たりしてくる、体重を自分に乗せようとする行動は同じように攻撃的行動として受け取ります。

状況の説明が理解しにくいのは、犬に対して攻撃性行動をしていない人に対して攻撃をしてくることです。
自分が攻撃をしていないのに相手が攻撃をしてくるとすれば、病気でなければ自分が相手のテリトリー(領域)を侵した場合でしょう。人の場合には心理的領域というのがあるため複雑ですが、犬の場合には物理的領域としてみることができ、状況把握はあまり難しくありません。

人から見て理解しがたい犬の攻撃が起こるのは、ふたつめの「自分のテリトリー(領域)を侵されたと判断したとき」です。
この問題は犬の咬みつき行動の原因なる可能性が非常に高いのですが、テリトリーに関する人の理解はなかなかすすみません。それは犬という動物のテリトリーのルールが存在していることを人が理解しにくいというだけではなく、人が犬を飼うという関係性の中で人の方が曖昧に処理してしまっている部分があるからです。

また極端な例を出すなら、野生動物にもテリトリーがありその領域を侵されたと判断され逃げる選択ができない場合には野生動物も攻撃性行動を行うでしょう。動物園の動物には幾重にもなる柵や溝によって見学者との距離がとれるように安全整備をしています。
ところが人が飼う犬は、飼い主の家や庭などの領域の中に入って生活をしています。その人と犬の間には領域争いなどないのだという価値観の方もいるでしょう。だとしたらこれだけ多くの犬たちが毎日吠えているという事実も存在しないのではないでしょうか。

そもそも犬が飼い主に領域を侵されると感じられるような関係を持ってしまったことは、犬の飼育者としては不十分です。お互いの領域を守りながら、共有のルールを適応できる場、犬を尊重すべきこと、お互いの領域が重なることを受け入れる関係性、そして逆にお互いの領域を侵さないという配慮。
これらの領域に関する犬と飼い主のルールは、犬と暮らす上で絶対に守ってほしいことなのです。

それは犬の方が咬みついてもたいした傷をおさせる危険性のない小型犬であっても、人と犬がより良い関係性を目指すのであれば、ぜひ実現してほしいことです。

明日は、犬の攻撃性行動について「どのような方法(表現)を用いるのか」に続きます。

dav

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犬の咬傷(咬みつき)事故の危険性を回避するために:犬の殺傷事故を科学的に考える

犬が人に咬みつき死亡や重傷を負わせるという不幸な事故が、また起こってしまいました。
その周辺で辛く悲しい思いをしている方々のお気持ちを思い心苦しくなります。
一方で、犬という動物を愛し犬が人と共に暮らす幸せを実感するものとしては、別の気持ちや考えを持つことも事実です。

今日はこの現状をできるだけ科学的かつ行動学的にお伝えしていきます。

まず、環境省の犬による咬傷事故状況(全国統計)資料による国内で発生した犬の咬傷事故のうち、被害者が死亡にいたったものの件数について最近のものを調べました。

以下の数字が犬の咬傷事故の発生年数と死亡者数です。
平成27年 2名
平成26年 3名
平成25年 0名
平成24年 1名
平成23年 1名 
平成22年 1名
平成21年 2名(飼い主)
平成20年 1名(飼い主)
平成19年 5名
平成18年 1名
平成17年 11名
平成16年 7名
平成15年 1名
※()書きのないものはすべて飼い主以外の一般人が被害者

この数字を多いと見るか少ないと見るかは、その見方によって変わるでしょう。
統計の前後からいうと平成17年と平成19年に死亡事故件数が上昇した以外は、ここ10年では1~3名という数字です。

国内では犬による死亡事故が発生した場合に大きなニュースとして報道されることから、比較的数の少ない事故であると同時に、動物による殺人はあってはならない事故だという一般的な認識を強く感じられます。


少ないように見える死亡事故統計の数字ですが、大切なことがあります。
それは「ゼロ0」という数字がほとんどないということです。

ということは、犬が人を咬み殺してしまうかもしれない事実は十分にあり得る現実的な問題であることを認識する必要があるでしょう。ここでは、死亡件数しかあげていませんが、死亡にいたらなくとも重篤な状態にいたったり皮膚に傷を抱えたまま生涯を送っている人の数は、数千件に上ります。

犬などの捕食動物と馬や猪などの大型の草食動物には、人を殺傷する能力があります。
まず、動物のもつ能力のひとつとしてきちんと受け取る必要があります。
それは、動物が怖いという気持ちを植えつけるのではありません。
ヒトという動物にも人を殺す能力はあります。
上記の統計の横に人が人を殺した死亡件数をあげれば、圧倒的に人が人を殺した数の方が多いのです。


野生動物であるイノシシと山中で遭遇することを恐れているのは、イノシシに殺傷能力があり自分がそれによって殺されることはなくとも大ケガをする危険性があるからです。その緊張感は、同じ場所でウサギを見たときのものとは全く違います。

家畜である馬は牛も後ろ脚の蹴り上げる力は強力なので、近づくときには警戒しながら接近をはかるでしょう。

ところが犬は、家畜動物といっても馬や牛などとは管理の仕方が違います。
馬や牛が動物を管理することを学んだ専門家やもしくはそれに近い人が飼育しているのに反し、犬はだれでも飼うことができます。

そして、犬は人の住む庭先や家の立ち並ぶ敷地の隅につながれていることもあるし、今や家の中で飼われることは特別なことではなくなりました。敷地の間にブロック塀などの敷地を区切る壁が設置されているため、犬の姿をあまり見ないように思えても、都心ではあちこちから犬が吠える声が聞こえてきます。
出先の公園で散歩している犬の姿を見ることは日常のことですし、車でドライブをしている犬の姿も珍しくありません。国民の中の多くの人がイヌという動物を犬として飼っているのです。

人の生活に最も身近で数の多い動物は犬と猫であるという事実を受け止めます。
身近というのは好き嫌いという意味ではなく、実際的に数がいるという意味です。

その犬と猫の両方に殺傷能力があります。

犬の場合には猫と異なりサイズの幅が大変大きいことが特徴です。
小さな犬は数百グラム(1キロ未満)から、大きな犬は80キロを超えます。

犬の殺傷能力については、やはりサイズが大きくなるほどその能力が高くなります。
1キロ未満のチワワでも生肉を咬みきって食べる能力を持つこともありますので、ヒトが咬まれたときに皮膚など体の一部を食いちぎってしまう能力があることは否定できません。
ただ、死亡に至らせる可能性は低いです。

犬の殺傷事故のうち人が死亡にいたったのは、犬のサイズが大型犬以上のものがほとんどです。
ニュースでもすべてが純血種というわけではありませんが、純血種が多くを占めるというのもこの事故の事実です。秋田犬、土佐犬、ピットブル、マスチフ、シェパードそして先日はゴールデンリトリバーといった大型の純血種が実際に死亡にいたる咬みつき事故を起こしているという事実があります。

自治体によっては犬種の中で危険犬種として指定されているることがあります。自治体によっては事前に飼育の管理方法についてのチェックを受けることもあるし、危険犬種として自治体の管理が行き届くように条例が作られている場合もあります。ただしこれは自治体ごとの対応です。
環境省では危険な特定動物としてオオカミとイヌを交配させたハイブリッドを指定していますが、現在のところ特定の犬種を危険犬種としてはいません。

個人的な意見としては、危険犬種を特定させることだけが殺傷事故を解決するとは思いませんが、純血種の大型犬の行動の特殊性についての理解を深め、純血種のブリーディングやその犬を飼う飼い主の意識を変革させることは必要だと思います。

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福岡校で犬語セミナーを開催しました:生後1才未満の犬の社会的行動について

昨日のあたたかな日曜日にグッドボーイハート福岡校で犬語セミナーを開催しました。

せっかくの犬と過ごせる貴重な時間をいただくのは心苦しいと思う気持ちもあります。でも、この2時間の犬語セミナーを受講していただいた後は、今までとは違った犬との時間が過ごせることは、参加者のほとんどが体験、体感しています。

だからこそ、心苦しさを抑えて「犬語セミナーに参加してください!」とお願いしていたみなさんといっしょに、犬のコミュニケーションや犬の性質などを読み解く学びの時間を共に過ごしました。


今回使用したビデオは1才未満、正しくはもうすぐ1歳になる月齢の犬が、はじめて成犬に会うというビデオです。

今回のビデオは休みなく20分程度の時間を撮影したものでした。
その間編集もなく犬に対して一切の合図もなく、制限もかけていません。

たとえばビデオ途中で犬が対象の犬に近づいた行動を、「近づくように号令をしたのですか?」という質問もありましたが、そういう状態ではないのです。

あくまで、犬と犬が自主的に行動したものだけを捉えました。

最初の柵越しの対面のシーンから見ていただき、次に柵を外したときに犬と犬がどのように振舞うのかという予測もしていただきました。

予測はあっていても、間違っていも構いません。
とりあえず予測してみるということが大切なのです。

ビデオではたくさんの犬の行動と、時間の経過に伴ってほんの20分程度の間に、行動が次々と変化していく様子を見ることができます。


もうすぐ1歳になる犬は、今まで一度も犬と接したことがありません。

子犬のころにたくさんの犬に対面させることで、社会的行動が退行してしまうことがあります。条件が整わないのであれば、対面の時期と環境を考慮して行った方が、犬の安定した社会的行動を引き出せることもあるのです。


最近の飼い主の関心は、自分の犬が他の犬と「仲良くなってほしい」という事にウエイトをおかれています。この“仲良し”という言葉はとても曖昧で誤解を生みやすいので、社会的な行動を説明する表現としては用いていません。

次に、飛んだり跳ねたり走り回ったりする行動を、喜んでいる、楽しそう、この犬が好き、元気という風に分析してしまうとその先に見えるものはありません。


仲良しという言葉を一旦横において、犬が他の犬に行動というコミュニケーションをとっているのですから、それをただ観察してそして分析していくという作業が犬語セミナーです。

「犬の行動を見る」という作業の中では、最初に着地点を決めてしまうとつじつまがあうように見ているものを変えてしまいます。これでは、見たものを分析することも、その分析内容から犬の行動を評価することもできません。

たとえば、最初に「犬は楽しい、犬は喜んでいる」という風に着地点を決めてしまうと、何度見てもそのようにしか見えないということです。


プライベートクラスを受講されている生徒さんは、犬の行動に対する観察眼が鋭いです。
犬の行動を見る力を、プライベートクラスの中で求められているからでしょう。
求めているのはインストラクターであるわたしです。
どのような行動をどのような時にしているのか、その行動がどのような状態の表現なのかについて、たくさん質問して、飼い主さんと何度も話し合います。

飼い主さんなりの見方は尊重しますが、わたしがどのように見るのかも発言します。
一方的に考えを押し付けるということはしません。
ただ、私はこのように分析するという内容と、その理由についてお伝えします。
お互いの意見が相反してもそれを戦わせることで、より良い見方が生まれてくるのです。
飼い主側が真剣に日常の犬の行動を観察していてくれれば、その分だけ内容も濃いものになり、理解も深まります。

犬語セミナーの最大の目的は、自分の一番身近である犬のことを理解できることです。
ここには一点の違いもありません。

どんなに他の犬のことを理解したとしても、もっとも自分の影響を受けている犬のことを理解していないのであれば、それは真の協力とはほど遠いものです。

実際のセミナーの中でも、行動を見たり考える素材として、それぞれの身近にいる犬たちの行動のことをなんども思い出しています。同じような行動をどのようなときにするのか、自分の犬だったらどうするんだろうと考えることは、とても大切な作業です。

セミナーのこうした目的と内容を充実させるために、犬語セミナーは数名の少人数制で行っています。

4月23日日曜日はグッドボーイハート七山校で犬語セミナーを開催します。
あと数名で締め切りいたします。
グッドボーイハートホームページのお問い合わせフォームよりご連絡ください。
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大人しい犬の行動の複雑さに思うこと:犬の行動の偏りに気づき犬として尊重する気持ちを取り戻すために

トレーニングクラスでの犬の問題となる行動のご相談内容は、この20年くらい、あまり変わっていません。

トイレのしつけ、無駄吠え、留守中のイタズラ、来客に吠える、散歩中のひっぱり、かみつき…など。

上記にあげた問題行動の割合は、問い合わせ全体の多くをしめています。

件数は多いものの、こうしてあげると行動の種類としては少ないように感じます。
この数少ない項目の中にほとんどはまった形でご相談を受けているため、犬の問題はすごく単純なもののように思われています。

「インターホンに吠えるんです。後は別に困っていないから、これだけ治してもらったらいいんです。」

「散歩のときに引っ張るので困っています。後は別に問題はないので、散歩だけ見てもらったらいいです。」

問い合わせのときに上記のようなコメントをいただくことも多いのです。
行動のひとつだけが問題なのだけど、後は特に問題がないから短時間で解決できないだろうかということでしょう。

ところが単純に見える行動の問題も、実は複雑さを秘めていることもあります。
そのため、当校では必ず初回カウンセリングを受講していただきます。

ひとつの行動に対する対処法だけを行うトレーニングは動物をサポートできません。
犬という動物のすべてを理解し、それに寄り添っていくために、飼い主さんが必要ないと思われることも含めて質問します。

こうしたカウンセリングでお話しを聞いていくうちに、犬の抱える問題は以前よりもずっと複雑になっていると感じています。
誤解を恐れずに述べると、感じるというより現実的に複雑な犬の行動が生じているのです。

犬の生活環境や飼い主さんの接し方の影響が様々なことと、生活環境や時間をかけないしつけ方法によって犬の人に対する依存性が高まっていることもその一因なのかもしれません。

ひとつの問題を解決したように思えても、そこには違う問題が発生することがあるのです。

それは、犬におりこうさんになってほしいという願い。
おりこうさんな犬がかわいいといわれるという一定の価値観にはまってしまうことです。

生徒さんや知人にも、人の教育に携わっている方々がいらっしゃるため、人も同じであるという話を伺うこともあります。
たとえば、育児についてです。

子供に対しこうなってほしいという理想の形があり、その形にはいるようにごほうびと罰を使い分けながら育てられることがある、
子供は親の顔色を見ながら親が望んでいるとおりに行動をしてお利口さんと評価されるような子供として成長していく、
ところが、大人になっても自律性が育っていないため自分で考え行動する力がなく、社会の中で居場所が獲得できない、
大人になると自分が自律できないことが親の育て方のせいであると気づき親を責めはじめる、

このような苦しい子供達と同じような境遇におかれている犬もいるのです。

犬の恐ろしいところは、最後の行にある行動はでないことです。
犬は、飼い主の育て方に問題があると気づき責めるという行動はしません。

もし生ずるとすれば、飼い主の要求を含む環境がストレスになり問題行動が激しくなるという程度です。
これは大変わかりやすいメッセージで、逆に問題行動が出てくれて良かったと思うこともあります。

ほとんどのおりこうさんの犬は、わかりにくいメッセージを発しています。

たとえば、こんな行動はないでしょうか。

外では全く吠えることもないのに、室内では外のちょっとした物音に過剰に吠えておびえている
来客の来るときや帰宅するという環境の変化に対する吠えが強い
大きな物音や環境の変化におびえやすい
飼い主から離れられない分離不安傾向のある行動を表現する
特定のオモチャに執着して、遊びを要求したりくり返し遊び行動を継続する
食べ物への執着が高く、ゴハンの前だけ異常に興奮する
普段は置物のようにじっとして過ごしている


普段はおりこうさんなのに、一部だけ異常に興奮したり吠えたりする行動がある場合には、その犬の自律性の発達について疑問をもたれてもいいでしょう。

犬の表面的には犬を理解したように思えても、深い部分では見過ごしていることがたくさんあります。
犬に関わらないならまだしも、犬のしつけやトレーニング、犬と出かけることの多い飼い主さんたちには、犬の深層心理を読み取ることにチャレンジしていただきたいです。

その心理に、このような複雑性が生じているのかをしれば、ある反省点が生まれます。
後悔は人にとってはすごく怖いことです。
過去のことを変えることはできないからです。

でも、相手のあることです。

今犬が必要としてる本当のことに気づくことで、自分が多少ショックを受けたとしてもいいではないでしょうか。

犬が幸せになるのだったら、自分が未熟者だった時代も「ごめんね~」で済ませることもたいしたことではありません。

自分を変えていく人にこそ未来がある。
自分を変えていくことで犬にも未来が生まれる。

毎日大きな希望を持って進んでいきます。

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ドッグトレッキングクラスデビューに最適の季節に入りました。

ウグイスのさえずりが耳に心地よい季節となりました。

比較的苦手な飛び虫たちもまだ活動を開始していないし、
暖かさの中に春風が通りぬけていく、本当に心地良い季節です。

こんな季節はトレッキングデビューのチャンスです。

山を歩くこと、特に犬の成長を目の当たりにして共に歩くことは、どの季節でも喜びでしかありません。
暑いね~といって休憩したり、寒いね~といって立ち止まったり。
ただ、静かな時間がながれていきます。


ところが、まだ行動が不安定で飼い主に依存気味だったり、興奮しやすい、抑制がきかない段階のときには、こちらも集中力が必要になるため、プラスの暑さと寒さは少し控えて体力を温存したいのです。
犬だけでなく、飼い主さんのセンスが上がってくるまでは、十分に注意が必要です。

春と秋は季節的に穏やかです。
秋は以外に生物たちが冬に突入するためにワサワサとして、衝突する事故も生じやすいので案外厳しい季節ではあります。
春の方は、厳しい季節を乗り越えた後ですから、これから暖かくなるというワクワク感と、ようやく孵化した生物や、長い間土にこもっていた生物たちがゆっくりと活動をする時期なので、こちらの方が新しい活動をしやすいなあと感じてしまいます。

6月下旬になると梅雨を迎えます。
春は2月からですが、やっと暖かくなったと思ったときには、あっという間に終わってしまいます。

トレッキングクラスデビューのみなさん、ゆっくりと一歩ずつ、お互いの関係の変化を楽しんでください。

この季節はデビューにはおすすめですが、どの季節も山の空気は動物を本来の姿に戻そうとすることは、間違いありません。

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室内の犬用ベッド(ドッグベッド)のミラクル:犬の落ち着きを引き出す空間作り

犬用ベッド(ドッグベッド)の設置の重要性について、くりかえし説明してきました。

以下のブログは参考になりますので、ぜひご覧ください。
室内で生活する犬のための犬用ベッド

つい先日もプライベートクラスで、犬用ベッドを導入して犬に居場所を提供する環境を整えてくださった生徒さんから喜びの言葉を聞けました。

「ビックリしました。
ベッドひとつであんなに行動が違うなんて。
本当に驚きです。」

なんだか、ありきたりのCMのようなコメントのように聞こえますね。
「あんなに行動が違うなんて」のところが詳細にお伝えできないのが残念です。

犬用ベッドをリビングに設置することが犬に与える影響については、行動学的に説明することが可能です。

犬用ベッドは犬にとっては自分のスペースであり最も小さなテリトリーなのです。


日本では、リビングなどのみなで一緒に過ごす室内空間が、昭和初期から現在の平成にかけてずい分を変わってきました。

昭和初期といえば、広々とした和室空間で、あまり物や棚や飾りものがなくガラリとしている室内です。
食事のときにはコタツのようなテーブルを出してそこで食事を取るが、必要のないときにはすぐにテーブルを片付けてしまい、また新しい空間として活用できるような知恵も生きていました。

ところがこの昭和初期時代には、室内で飼われている犬はわずかです。
少数のシーズーや狆といったいわゆる「お座敷犬」が、限られた家庭の室内で飼われていました。比較的大きなお家ではなかったでしょうか。

その他の昭和初期の犬たちは、庭やその辺につながれたり、つながらなかったりしてゆるりと生活をしていました。


時代がすぎ、リビングのつくりやインテリアも変化しました。
コタツは椅子とテーブルになり、ソファも設置されるようになります。
家具は固定され、空間は、食事をするところ、テレビを見るところ、寝るところ、と細かく分かれるようになります。
椅子やソファが固定されると座る場所が決まってきます。
昭和初期とはずい分ちがった室内空間ができあがっているわけです。

これらのインテリアの配置された現在の家の室内に、室内犬は暮らしています。
彼らもリビングで休憩したり、休んだりします。

飼い主に依存する傾向の高い犬は、人のテリトリーと同じ場所を死守します。
人の座る椅子、テーブル、座布団、膝の上に乗っている犬たちはこれらの傾向があることを示しています。

人とある程度距離をとって安定をはかる犬たちは、これらの場所ではないところに、自分の居場所を持とうとします。
ところが室内の多くは、人の移動のルートになっています。
そのため、室内犬は落ち着ける場所として、テーブルの下、椅子の下、リビングの端、カウンターの下、など、人が通行できないような場所や隠れられる場所を探してはそこに居場所を作ります。

それも見つからないと、あちこちに休んでいるように見えるのですが、そうでもなさそうです。

十分に休む自分の居場所が与えられていない犬は、飼い主の足に寄り添っていたり、壁に臭いをつけたり、仰向けになって寝たり、伏せて顔を地面につけた一時休憩姿勢をとったりして、神経をすり減らして生活しています。

犬用ベッドの必要性と効果について、一度考えてみてください。
それが犬にとってどのような影響をもたらし、どのように有効なのかについても。


犬用ベッドを設置するだけで、そのベッドに自分の臭いをつけながら、いつもベッドに休むようになる犬もいます。

しかし、そうならない犬もいます。


飼い主という人の領域からでることにできない、分離不安傾向を持つ犬たちです。


これらの犬にはまた別の環境を整える方法で、ひとりの居場所で落ち着けるように導いてあげる必要がありそうです。

どちらにしても、犬用ベッドを設置しないと、犬が何を選択するのかもわかりません。


犬のサイズが大きいと、ベッドは案外場所をとるかもしれません。

アメリカ映画では、大きなリビングのドッグベッドに犬が横たわっているシーンもよくみかけます。日本の部屋はあんなに大きくありませんが、室内でしか飼うことのできない大型犬を迎えたのですから、多少、犬に場所を必要としても仕方ありませんね。


その犬のサイズや好みにあった犬用ベッド(ドッグベッド)をさがしてあげてください。
ミシンがある方であれば、ハンドメイドでリメイクしたり作ってあげることもできるでしょう。

購入したいのだけど、どれがいいかと尋ねられたときは、以下のブログで紹介したアメリカブランドのベッドをお勧めしています。
グッドボーイハートお勧めグッズ:犬用ベッド編

重量があってやわらかすぎず、少し大きめだけどそれほど邪魔にならないということで、
好評価を得ているベッドです。

食べ物であれ、クレートであれ、犬用ベッドであれ、物質的な支援は人と暮らす犬には必要です。

ところが、この支援のもっと大切なことは、犬の必要性について飼い主が理解しているということです。

犬用ベッドの設置協力も飼い主の理解のひとつです。

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