グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬に求められるのは原始的(プリミティブ)もしくは斬新さなのか?

犬にはいろんな形、色、柄、サイズがあることが犬を飼うことの楽しみにもなっているようです。

犬は他の動物と比較しても多種多様に変化した特別な動物であるようです。

犬の繁殖に対して人為的な介入がなされているということを含めても、ここまでいろんな形を生み出す種類の動物が他にあるでしょうか。

そのいろんな形をした犬も、そもそもは世界各地区に存在したイヌという人の介入なしに生活していた動物から発しています。

そのイヌが人為的な繁殖によって特別の形やサイズに系統づけられて「純血種」として作り上げられたのは今から200年ほど前です。

純血種の繁殖は、はじめは「目的別」に、つまり犬をどのような目的で人のために活用するかということを目的に作られていました。

しかしその犬の役割は機械にとって代わるようになり、犬にはその用途として働く必要がなくなってきます。

純血種の繁殖はそのまま「人の求める形への犬の進化」に変えられていきます。

それは主にヨーロッパ地域で始まり、洋犬種の「純血種」としてそれぞれに定義づけられました。

定義付けたのはケンエルクラブという貴族のクラブでした。

今皆さんのそばにいる、様々な種類の洋犬の純血種はまずここで純血種という血統として位置づけられその後は同じ種類の純血種同志の繁殖が繰り返されているのです。

同じく日本でも柴犬保存協会や四国犬保存協会といったグループによって、日本の純血種を作り上げ、現在でもその種を保存できるように努められています。

その一部がペットとして飼い主の元にわたり生活を共にしているわけです。

純血種の繁殖にはいくつかの目的があったと思いますが、これらは以下の二つのどちらかを選択された結果です。

ひとつは原始的であること。

原始的とは、イヌという家畜化される前の日本でいうところの山犬としての性質をできるだけ残していこうという選択です。

原始的な繁殖を目指したものが日本の純血種、柴犬、北海道犬、紀州犬などそれぞれの地域の特徴を残した地域に根付いた山犬の末裔です。

以前ブログでもご紹介したとおり、日本オオカミの遺伝子構造に一番近い動物が柴犬であるという論文からも、その繁殖の目的がうかがえます。

逆に、イヌらしからぬ形を求められた繁殖もありました。

毛の抜けないプードル、ほとんど毛がないイタリアングレーハウンド、鼻のつぶれたシーズー、背中の曲がったボルゾイ、ふわふわの毛のビジョンフリーゼなども、すべて人が求めたからこそできた純血種なのです。

つまりは、人が犬に何を求めるのかによって、犬の形や機能は大きく変わっていくのだということです。

日本でとても流行っている豆柴犬などは、柴犬としての原始的で犬らしい形が好みだけれど、性質としてはおとなしくお人形さんのようであってほしいというわがままな人の欲求によって生まれた種類の犬です。

確かに豆柴は形は和の犬で、中身は機能性が低く管理しやすいペットとなったことでマンションでの飼育もできるようになりました。

しかし私はこの状態に少し複雑な気持ちを抱くのです。

人はなぜ犬と暮らしたいと思うのでしょうか。

犬を抱っこしていると自分が安心し安らげるから、犬が自分にとって癒しの道具になるからでしょうか。

それとも、犬という動物の能力や機能性の高さを知り、その機能が発揮されることに喜びを覚えるからでしょうか。

もしくは、犬の機能性を自分の生活の一部として役立てたいという目的を持っているからでしょうか。

犬に斬新さを求めすぎると犬は犬という動物としての機能性を失うことになり、もはやいつか犬ではなくなってしまうかもしれないということを、私は不安に思っているのだと思います。

この国内においては、犬は人の介入なしに繁殖することはなくなってきました。

野良犬や野犬といった存在もなくなり、餌付けされている野犬たちも近親交配状態に陥っています。

犬を愛するみなさんが「犬がかわいい」と思うからただ飼うのだというとてもシンプルで幸せな気持ちはぜひそのまま大切にしていただきたいと思います。

犬としての機能が落ちていったとしても、可愛ければよいではないかという意見もひとつの価値観です。

ただ、ひとつだけ知っていただきたいことがあります。

失っていく機能の中に、犬が最も大切にしている「群れ」のシステム、そしてそれを維持するための「コミュニケーション」もあるのだということです。

どんな動物にとっても最も大切なもの、それは「コミュニケーション」であると私は思うからです。

彼ら犬から、コミュニケーションの機能と群れを維持する機能を奪いたくないのです。

ひとりひとりが犬を知って犬を見張ることで、犬がこれからどのように変化していくのかを歴史を見届けられるでしょう。

私は見届けていきます。

犬の末路までずっといっしょに。

柴犬、雑種犬、豆柴犬たち

Posted in 犬のこと

他の犬におびえる犬を抱っこして「大丈夫、怖くないでしょ」は犬には通じない。

街中を移動しているとワンワンと犬の吠え合うような声が聞こえてその方向を見ました。

想像したとおり散歩中の犬がワンワン、ギャンギャンと吠えている姿がありました。

その向こう側には、小型犬よりも少し大きめの犬が飼い主さんに抱きかかえられた状態のまま、ワンワン、ギャンギャンと吠えています。

リードをつけた犬を持つ飼い主は止まったまま、犬を抱きかかえた飼い主は脚早に通りすぎようとしています。

抱きかかえた犬に大きな声で話しかける飼い主の声が聞こえてきます。

「大丈夫だよ。お友達だよ、お友達。」

そんな声が聞こえてきました。

さほど珍しくない、街中ではよく見かける光景にはなりましたが、いろいろと思うところがあります。

 

一番お伝えしたかったことは、他の犬におびえる犬を抱っこして歩いてもその問題は決して解決はしないということです。

解決しないばかりでなく、抱っこされていた犬はこれからもますます他の犬におびえるようになるでしょう。

飼い主としては、他の犬に吠えたりおびえたりする犬を特別問題を抱えている犬という風には感じていないからこのような行動になるのでしょうが、これは大きな問題です。

動物が他の種類の動物を怖がったり怯えたりするのであれば、それはあまり問題ではありません。

誰でも苦手な動物がいますから、うさぎが大好きという人もいれば、嫌いという人もいる。

猫が大好きな人はたくさんいますが、絶対に触れないという人もいます。

そして犬が大好きな人もいれば、犬におびえる人間もいるのです。

そうだとしても、その人は社会的には全く問題を抱えていません。

人が問題を抱えるとしたら、特定ではない他の人を怖がったり怯えたりするようになったときです。

他の犬に吠える犬、他の犬におびえる犬というのはこれと同じことで「同種」に対して恐怖を抱くという、大変難しい状態に置かれているということをまず理解する必要があります。

「他の犬におびえたり吠えたりする行動が、犬としてとても危険な状態である。」

ということを理解することができたら、次に犬が抱えているその問題を解決するために飼い主としてやるべきことがあるかを考える必要があります。

絶対に間違えてはいけないのは「この犬は、自分のことを犬だと思っていない」などという一方的な判断を下さないことです。

これは判断というよりは飼い主としての逃げなのでしょう。

「わたしの犬は自分のことを人間だと思っている。だから犬のことを怖がっているのだ。」という言葉をたまにですが聞くことがあります。

これは本当に問題なことであって、犬が犬であるということを理解できるように育ててあげるべきです。

他の犬に吠える、他の犬におびえる行動をする場合には、ほとんどの場合、飼い主の犬に対する接し方や育て方がその行動を引き出している理由になっています。

犬を抱っこして「大丈夫だよ。」となだめても全く問題の解決にならないのに、それを続けているのはなぜなのでしょうか。

犬よりも飼い主の方が「わたしの犬は人間の子どもなのだ。」と思い込みたい気持ちをもっているからかもしれません。

犬が犬として生まれて来たからには、犬として幸せになる権利をみな持っています。

すべての犬が幸せになれなかったとしても、自分のもとにいる犬には幸せになってほしいと、このブログを読まれている方なら思うでしょう。

そう思うなら、他の犬への怯えや、怯えからくる攻撃性を解決するために、今までの自分の犬に対する価値観や態度を一度おもっきいり捨ててやり直してみて下さい。

飼い主として間違いに気づくことにはとても勇気が必要です。

自分が犬に対してやってきたことが間違っていたと知る瞬間は胸が痛くなるものです。

しかし、痛みを感じたら癒しは一気に進みます。

犬についてもっと知ってほしい、

いや犬についてもっと共に学びましょう。

Posted in 日々のこと, 犬のこと

犬が驚くほど落ち着いた訳は飼い主のある行動の裏に…。

家庭訪問レッスンに伺っているときに感じる空気というのがあります。

それは犬の状態が良くなっているのか、悪くなっているのかという今までと違うという空気です。

最近訪問レッスンに伺った時のことです。

リビングに入ったときに犬の様子がいつもと違うと感じることがありました。

あれ、いつもと違う。

いつもより犬が落ち着いている、表情もテンションも今までとは全く違うと感じたのです。

「変わりましたね。」とわたしが一言。

「ホント、なんか今日は特別にお利口さんにしてる」

と飼い主さんも少し驚いた感じでした。

毎日変化は続いていたのでしょうが、飼い主さんの方としてはそういえばいつもと違うという程度だったようです。

そして椅子に座るときに今までそこにはなかったものを発見しました。

ああ、これか。これでこの犬は変化のきっかけを得たのだな。

それは壁に貼り付けられた紙です。


なかなか改善されなかった犬のとびつき行動が

この警告の張り紙で一気に解決したらしいのです。

「犬に飛びつきをさせない」という単純なルールの導入だったのですが、「飛びつかせない」ということができない飼い主が多いのです。

多くの質問が「犬に飛びつたらどうしたらいいですか?」です。

いえ、飛びつかれたら…ではなく、飛びつかせないでください。

この押し問答が続きます。

そしてこの張り紙がリビングに張られていました。

全く飛びつかれなくなったということなのです。

犬が全く飛びつかなくなったと同時に、犬のいろいろな行動が一気に変化しました。

吠え、なきの問題もなくなり、テンションの高い要求行動もなくなっていました。

レッスンの間、フセてマテをして待っていました。

ただの「犬のとびつき行動」。

いえたったこれだけの行動が、犬にとっては大きな行動なのです。

 

初回のカウンセリングクラスで飼い主さんに尋ねられるのは「どのくらいよくなりますか?」という質問です。

質問しなくても心の中で思っている飼い主も多いことでしょう。

答えはひとつしかありません。

「それはあなた次第」

犬は飼い主次第なのです。

飛びつき禁止の用紙を貼り付けて家族で犬の行動に変化を起こした飼い主さん。

本当にびっくりするほど変わったと驚かれていました。

犬の変化は飼い主の変化です。

犬はやっぱり飼い主の鏡ですね。

Posted in クラスのこと, 犬のこと

犬との健全な暮らしで犬も飼い主もダイエットが完璧にできたそうです。

昨日のダイエット関連のブログ記事に何名かの生徒さんが反応してコメントを下さいました。

その中のおひとりはこのようなコメントでした。

コメント公開の許可を受けましたのでご紹介します。

「犬の散歩でダイエット、のブログを読んで…実はわたしも実体験者です。

子犬を迎えて10ケ月になりますが、実は全く食事制限をしていないのに10キロ痩せました。

10年前の体重にはあと一息届きませんが、歩くのが苦にならなくなって、少しの距離なら歩くようになりました。

家の中でも動くことが億劫でなくなりました。

実感しはじめたのは子犬を迎えて半年たったころでした。

散歩は朝、夕に60分~90分。

そのほか公園や山に行き、ほとんどは歩かずに長いリードをつけたまま犬の行動を見守っていることもあります。

当たり前のことですが、早寝早起きが基本になりました!

犬をダイエットのに使おうなんて毛頭考えていなかったのに、うれしい限りです!!」

こんなコメントでした。

早寝早起きの規則正しい生活というのも、体を整えるのによかったのでしょうね。

しかし、何よりもよかったのは、体を動かすことが生き生きとできるようになったからではないでしょうか?

犬と公園や山にいくのが楽しく、ワクワクして行動をしていることで身体が自然に動けるようになったのではなかと思うのです。

どんなにダイエットしたくても、無理に運動をすると続かないしリバウンドしてしまいます。

犬との山歩きは体だけでなく頭も使います。

それに全身の神経や感覚も研ぎ澄まされていきますね。

これは人に限らず犬も同様です。

私も我慢せずに食べる方ですが、体はまだまだ動きます。

やっぱり好きなことをしているからかもしれません。

寒さには負けそうですが、若い犬がくると「負けるもんか」と年甲斐もなくはりきってしまいます。

関連のブログ記事

ダイエットしたいなら食事制限よりも犬の散歩が一番って知ってましたか。

 


 

Posted in 犬のこと

ダイエットしたいなら食事制限よりも犬の散歩が一番って知ってましたか。

犬の散歩こそダイエットにつながる

先日、生徒さんの訪問レッスンで60分びっちりと散歩の練習を見ることになりました。

見ることになったといっても、私も60分歩きとおしのレッスンです。

歩く速度もやや早めで安定しており、リードの持ち方や体のバランスもばっちりです。

犬の脚の運びやバランスも以前よりもずっと良くなって、散歩行動が以前とは全くちがって改善されていることに感心しました。

と、感心している間に飼い主さんと犬くんがどんどんと小さくなっていきます。

まずい、私の速度が遅いのだと早めにすたすたと歩き始めました。


そして山のような公園につき、アップにつぐアップ、ダウンにつぐダウンと隆起する地面を進んでいきます。

これは相当の運動になると感じ、散歩で痩せたのではないかとお尋ねしました。

なんと、ベルトの穴が二つ小さくなるくらいになりズボンがぶかぶかになるほどお痩せになったとのことです。

もともとダイエットする必要のないスマートな飼い主さんが、そこからまたそれだけ痩せられたということは、体が締まったということなのでしょう。

以前にも他の女性の飼い主さんから「散歩でズボンがぶかぶかになりうれしい」と聞いたので、やっぱり散歩の運動量とはすごいのだなと改めて実感したのです。

本当に痩せたいなら食事制限よりも運動、ですよね。

この実体験を裏付けるような情報も同時にネットから入手しました。

本を読みたいのだけど時間がないという私の願いを少しだけかなえてくれるYouTubeの動画をときどき聞いています。

本要約チャンネルという番組で、その名前のとおり本を要約して説明してくれるものです。

本当の「本を読む」という価値観とは違いますが、簡単に情報が入ってくるというところでは役立たせていただいています。

そのチャンネルでダイエットに関する本が取り上げられていました。

要するに、効果的なダイエットとは食事制限ではなく運動をすることだということだったと受け取りました。

食事制限はすぐに痩せるがリバウンドが激しく、むしろ太りやすい体質をつくるということ。

そして、運動はなかなか痩せないけれど継続していくとじっくりと痩せてくるのでリバウンドしにくいのだという内容には納得しました。

太りにくい体を手に入れることこそ、健康的なダイエットの形ですね。

ネットの情報をなんでも信用する方ではないのですが、科学的な根拠に納得がいき実際に体験を通して実感できると「なるほど」が増えていきます。

犬の散歩に行ってダイエットができ、犬もまた散歩に行くことで活動が広がり社会性もあがるのでしたらこんなに素晴らしいことはありません。

ちなみにこの飼い主さんは毎日朝晩の散歩をこのペースで60分~90分はされているようです。

犬も飼い主も健康で幸せになるために、毎日の散歩を楽しく行きましょう。

Posted in 犬のこと

冬が終わってしまう前に犬と山歩きに行こう。

山のクラスでは極寒の数日を過ごしました。

インスタグラムなどをご覧になった生徒さんからは「大丈夫ですか?」のお声もありましたが、全然積もっていません。

とても寒い数日でしたが、少しだけ積もった雪景色に大興奮する今月1才になったばかりの若い犬たちの行動を見ていました。


オポと一緒に何年も山で冬を越したので、2月からの寒さのたびに春がやってくるのを感じられるようになりました。

雪解けと同時にみられる新芽や黄色の花たち。

雪が降った日は犬たちもふんふんと雪の地面を嗅ぎまわり、雪の下で起きている春の変化を敏感に感じ取っているように思えます。

都会で暮らす犬たちの多くは彼らの健康のために不妊去勢手術を行っていますから、野生動物のように春とともに出産を迎えるわけではありません。

それでも、動物にとって春の兆しというのは厳しい冬を超えてワクワクと何かが湧き出る感じがあるのではないのかな~と犬をみながら感じています。

どの空間にいても季節は感じるものですが、山の自然の風景の中で感じる季節感はやはり特別なものです。

その自然の空間の中で犬が何を感じるのかをじっと見ているのが楽しいのですが、寒さでダメージも大きいですね。本当に戦いです。


さて、犬と暮らすみなさんは犬が何をしているのを見るのが楽しいでしょうか?

犬の寝顔を見るのが好き。

犬がおもちゃ遊びをしているのを見るのが好き。

犬がごはんを食べているのを見るのが好き。

いろいろとあるかもしれませんが、犬が自然の中で探索しているのを見るのが好きという方もきっといらっしゃるでしょう。

だとしたら、この季節にしか見られない犬の特別の行動をぜひじっと観察してみてください。

山の中を歩く犬、山の中を探索する犬が何を思い何を感じているのか。

犬はそれを人のそばで見せてくれる特別な動物なのだということを知ったときに、犬はきっと今よりずっと豊かな時間を持てるようになるはずです。

Posted in 日々のこと, 犬のこと

犬のしつけ方がみんな同じだと思っていたらそれは大きな間違いです。

たくさんの本を読んだりYouTubeの動画サイトを頼りに犬にしつけをした結果うまくいかなかったというケースが増えています。

本の内容やYouTubeの動画配信の内容を十分に把握することすら難しいのですが、そもそも犬について得た情報が思っていたのと違うのであったら進む方向は全く違ってしまいます。

みなさんは「情報が間違っていた」と激怒されるかもしれませんが、間違っていたのは情報ではなく情報の選び方です。

犬なんてみな同じなんだから犬のしつけ方も同じではないのか、と考えられているとしたらそれこそ大きな間違いであるということだけをお伝えしておきます。

犬のしつけ方にはたくさんの道がある。これが結論です。

個々の犬にもそれぞれに個性がありますので、たしかにそれもしつけ方に少しは影響します。

たとえば、この犬種は外飼いが向いているとか、この犬種は室内飼いが向いているということです。

それでもいくつかの工夫をすれば、屋内飼育と屋外飼育の違いを克服することはできます。

なのでこのあたりは大した違いではありません。

小型犬と大型犬では気質が違いますが、それもしつけ方の違いにはさして影響しません。

犬という動物としての習性や気質を持っているのであれば、基本的にしつけ方の姿勢は同じです。

犬のしつけ方がたくさんある「違い」の理由は、犬と人の関係性があまりにもたくさんありすぎるからです。

はっきりとした言い方で誤解を生むかもしれませんが、人が犬を飼う目的、つまり人がどのように犬を使いたいのかというところが人によって様々であるからです。

使役犬と呼ばれる働く犬などを除いたとして、家庭犬としてみた場合にも人が犬を飼う目的というのはかなり違いがあるのです。

洋服を着せてカフェに連れていきたい、犬といっしょに寝たい、犬を膝の上にのせてテレビを見たいという飼い主がいるとすれば、そうでない飼い主もたくさんいます。

犬とアウトドアを楽しみたい、犬と山歩きをしたい、という飼い主がいてもそうでない飼い主もたくさんいるでしょう。

犬という動物とどのような場所でどのように過ごしたいのか、という飼い主側の希望が違えば、犬との暮らし、犬のしつけ方もまた違ってきます。

その形にひとつを探すために、コーラント・ローレンツ先生の「ヒト、犬にあう」の本を先日もご紹介したところ数名の方から購入しましたというお声かけをいただきました。

動物行動学者にも様々な先生方がいらっしゃる中で、私のような凡人が気軽に読める書籍を書いて下さった先生もごく一部であるとは思います。

その本で出合った動物行動学者のローレンツ先生のこの本の中に、犬との暮らしの歴史を読み取ることができるのです。

かなり長い間、ヨーロッパではこうして人と犬が暮らしてきたのだろうなと感じることのできる本です。

犬との暮らし方は様々です。

どのような暮らしも飼い主が犬を愛しているということを否定することはできません。

ただ言えるのは、あなたの犬は本当に犬として生きる時間を持っているのかということです。

本を読んだら、ぜひ感想を聞かせて下さい!

Posted in 人イヌにあう, 犬のこと

犬のしつけが成功するのは犬を肯定することが必須です。

犬の問題行動や犬のしつけに悩む飼い主さんからのご相談をお受けするようになり今年で22年目です。

2という数字はふたつあるという意味、どんな問題にもたくさんの選択肢があるようで結局のところふたつのどちらかを選んでいるように思えます。

犬との関係をより良い方向へ進ませたいのになぜかうまくいかないというのであれば、この二択のうちのうまくいかない方を選択してしまっているのかもしれません。

そこで今日は、犬の吠えたり、かみついたり、いうことをきかないという行動がなかなか解決できない飼い主さんに、具体的な方法ではないけれど根本的に大切な部分についてお伝えします。

犬が何かができるようになれば…という考え方

犬のしつけや犬の問題行動に取り組む飼い主の中には、犬が吠えないようになれば、咬まないようになれば、と考えて日々の生活を送ってはいないでしょうか。

実はこの考え方は一行に前進しない考え方なのです。

犬のしつけの例にもなりますが、犬に否定形を教えることは難しいことです。

動物のとてもシンプルな脳の機能の中で、吠えてはいけない、咬んではいけない、とびついてはいけない、を教えることはできないのです。

それと同じように、飼い主側も、犬が吠えないようにするにはどうしたらいいのか、とびつかないようにするにはどうしたらいいのか、かみつかないようにするには…という考えを持つようになると、全く物事は進まなくなります。

そうした考えの中では、常に犬を否定する姿勢や言動が起きるようになり、そもそも否定形を理解しがたい犬の方は、飼い主が何をやろうとしているのか、飼い主が何を要求しているのかが全くわからず混乱してきます。

犬にできることをさせることこそ最も有意義である

犬の噛みつく行動や吠える行動、排泄の失敗などの問題となる行動もすべて止めて欲しい行動ですがこれを「止める」方法を犬は知りません。

特に排泄の失敗などは間違いに陥ると改善が難しくなる行動のひとつです。

どこで排泄してはいけないと教えるよりも、どのような排泄行動をとるのかを理解して環境を整備しなければ問題解決には結びつきません。

要は「犬ができるようにするために自分ができること」を考えるしかないのです。

噛みつきや吠える、飛びつくという行動は犬が興奮しているときや攻撃的になるときに出る行動です。

なぜ犬が攻撃的になるのかを考える前に、落ち着せるためにできることは何かを考えます。

犬に「伏せ」を伝えることの意味とは

全く考えが進まなくてもできる落ち着かせ行動が「フセ」です。

そのため何も考えが進まないときにでも、犬がフセをいえばいつでもフセができるように練習することには価値があります。

犬ができないことより犬ができることを増やしていく。

落ち着いていられるようにするための行動を繰り返しさせる。

例えば犬のフセなどは1回では効き目がありませんが、一日に繰り返してフセとマテをする機会があれば、回数と共に犬は落ち着きを増してきます。

フセやダウンといっても全くフセができなかった犬が、すぐに伏せができるようになると同時に落ち着きが増してきたなと感じられることがあります。

飼い主は絶対的に落ち着いていること

但し相手に落ち着けといっているのですから、飼い主自身が落ち着いていることが大切です。

なかなか落ちつけずできない犬とともにいると、犬のパワーの方が圧倒的に強いため飼い主側が落ち着かなくなってしまうことがよくあります。

犬のネガティブパワーに負けてしまったということです。

動物は結構力がありますが、精神的にも同じことです。

彼らには今しかなく、幸せだった過去や未来や死にすら逃げることができません。

彼らは今戦うしかなく、そのパワーは絶大なのです。

否定ではなく肯定で、できないことではなく今日できることを一つやってそれを繰り返して下さい。

パフォーマンスやトリックや芸は、犬とのあそびには取り入れても犬のしつけには必要ありません。

できることとは、フセてマテ、一緒に歩く、ハウスで休む、この連続が活動です。

Posted in 犬のこと

人と犬の境界線について、わたしの独り言。

先日の「犬の境界線」についてのブログについてたくさんの反応をいただきありがとうございます。

追加の情報をブログでお渡ししたいのですが文章をまとめる時間が足りず、今日はわたしの独り言として軽く読み流していただきたいと思います。

犬と人の境界線ですが、なにも犬に限ったことではありません。

人と人の間にも越してはいけない境界線があります。

その境界線は、お互いの関係性の中で決められています。

夫婦の境界線、親と子の境界線、先生と生徒の境界線、上司と部下の境界線などいろいろあります。

犬と飼い主の境界線は親と子の境界線に近いものがありますが、それよりももっと厳しい境界線です。

屋外で飼われている犬は家の敷居をまたいで室内に入ることはありません。

そこには強い境界線があってお互いに距離を置いて生活をしていたという時代が日本にはありました。

犬が室内で飼われるようになったことで一気に飼い主との距離が近まってしまい境界線は崩れてきています。

室内で排泄をする犬、人の膝の上で寝る犬、周囲の物音に吠え続ける犬…。

人との境界線を失った犬の行動はわかりやすいメッセージで自分に起きていることを人に伝えています。

その犬のメッセージは人にわかりやすい行動で伝えられていますね。

だから犬の行動をきちんと読み取れるようになることが重要です。

犬のしつけ方の本を読むくらいなら、犬の行動学の本を読まれることをおすすめします。

行動学の本ではありませんが、動物行動学者のコーラント・ローレンツ先生の「ひと犬にあう」の本は絶対に読んでいただきたい一冊です。

さいごに。

ブログを読んで下さりラインやメールでコメントや報告をいただくことが度々あります。

ブログを読んで共感したり悩んだり考えるきっかけにしていただいてとてもうれしいと思います。

「犬との境界線ができていないと思う」という気づき。

「犬にどのように境界線を教えたらいいのかわからない」という問題提起。

「犬にどうやったら境界線を教えることができるのでしょうか?」といった質問も含めて

、みなさんの独り言として既読スルーさせていただくことがありますのでご了承下さい。

犬のことをお伝えするには個々の犬と飼い主に向き合うための時間が私にも必要だということをご理解いただき、ぜひプライベートクラスやオンラインクラスをご利用下さい。

また気軽に読んでいただけるようにとブログを更新していますが、ブログ記事の書き込みにも打ち込む以上にたくさんの考察の時間が必要になります。

ブログを読んだだけで問題が解決することはなかなかないと思います。

ブログはただみなさんが犬のこと考えるきっかけにしていただくために利用していただければと思います。

ひとりで犬に向きあうことが難しくなったら、犬語セミナーなどのグループセッションクラスをご利用下さい。

悩んでいるのは自分だけではない、犬ことを大切に思っているのも自分だけではない、みな真剣に取り組まんでいる姿を見て勇気をもらえると思います。

境界線について、また犬語セミナーでも取り上げたいと思います。

とりあえず今日の独り言はここまでで。


 

 

 

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飼い主になついているのに飼い主に噛みつく犬は「境界線」を教えられていない。<後編>

このテーマの前編では、飼い主にかみつくようになった犬がどのような状態であるのかを人の社会生活と比較して説明しました。

飼い主にかみつくようになり社会行動に不安定さがではじめた犬の行動のパターンは以下のような行動です。

・飼い主にまとわりつく

・飼い主に鼻慣らしをする

・飼い主が離れると不安を表現する声や飛び上がりをする

・飼い主の手をなめる

・飼い主にとびつく

・他人にとびつく

・来客に吠える、とびつく、失禁する

・他の犬におびえる

・他の犬に吠える

・散歩のときにリードをひっぱる

・散歩のときにマーキングをする、もしくは排泄を道でする、排泄できない

・室内でマーキングをする(トイレの回数が多い)

・ごはんの時に唸る

・ごはんのときにかみつく

このような行動が数点でも見られたら、犬はストレス状態が上昇していると判断しましょう。

こうした犬は飼い主との関係が築くことができていません。

関係を築けていないというのは、言い換えるなら犬は飼い主との境界線が築けていないということです。

飼い主と犬の境界線とは何か?

「境界線」と聞いて思いつくのは何でしょうか?

人と人の関係でも「一線を引く」という関係があります。

一線を引くとは、自分の領域を明らかにし他者を自分の領域の中に立ち入らせない行為のことです。

境界線を引くとは、自分の領域を明らかにする行為のことです。

家と家の間に境界線があるように、人と人の間にも境界線は必要です。

家族でも、親と子供の間にも夫と妻の間にも兄弟の間にも境界線は必要なのです。

飼い主と飼い犬の間にも境界線は必要です。

そして、この境界線を作ることができない犬は「飼い主にかみつく犬」になります。

もしくは「他人や他の犬におびえる犬」になることもあります。

犬は飼い主との境界線をどうやって知るのか?

子犬のころは噛みつきがなかった犬、なぜ飼い主にかみつくようになったのでしょうか?

飼い主との境界線を知らずに育った犬、子犬は自ら自分の領域を作り上げることができません。

実は子犬に境界線を教えるのは飼い主の役目です。

ほとんどの噛みつくようになった飼い主に甘える犬は、飼い主にかわいがってもらい大切に育てられています。

ところが、その飼い主の愛情だけでは犬に境界線を教えることはできません。

子犬は自分の領域をもつ「おとなの動物」から境界線を学ぶことで自分の領域を作るようになります。

子犬が飼い主に対してとびつきや甘噛みなどの甘え行動を見せる最初の数ケ月から親犬は子犬に対して「境界線」を教える行動をとります。

子犬のとびつきを抑制する、子犬の甘嚙みを適切に防御し時には威嚇行動をとることもあります。

子犬の甘え鳴きや鼻を鳴らす声には無反応になり、子犬の衝動的な行動には襟元を掴んで運ぶ行動で落ち着かせていきます。

親犬が子犬に対して自らの領域と役割をはっきりと提示(示して見せる)することで、子犬はその群れの中で自分の領域をつく上げていくようになります。

子犬同志もお互いに体を寄せあったり、ジャンプで横跳びしたり、牙を見せ合ったりして、自分の領域を守る遊びをします。

そもそもこうした子犬同志のワンプロと呼ばれる遊びも、一番接触のある飼い主との境界線がはっきりとしない状態で子犬同志を放置すると、お互いの領域を奪う行動を繰り返すようになり、境界線を持てない犬になってしまうのです。

成犬になっても境界線を持てず飼い主にかみつく犬に対してできることとは

ひどい噛みつきが出てしまい飼い主との信頼関係が築けず、自らの領域設定もできていないかみつくようになってしまった犬に対してできることを考えます。

まずは、生活上で境界線を越える行動について「受け取らない」ことから始まります。

犬の行動学を十分に理解できていなければ、受け取る必要のない行動についてまず学んでから実践に取り組んで下さい。

飼い主が犬に対して「境界線」を教えることは難しいことではありませんが、境界線を持たぬまま成長した犬にとっては、時間のかかる作業でもあります。

また安定したどこかのグループに入ることもおすすめします。

規律の高い集団行動は、社会的な動物を落ち着かせます。

今の日本のように食べるものがあり住む場所がある生活の中では集団を必要としません。

しかし精神的に追い込まれたり、生きることに不安を抱えるようになるといろいろな集団が力を持つようになります。

人に飼われている犬たちは家畜化はしたものの生きるために集団を必要とする本能的な部分は強く残っています。

家族と犬という集団、知人たちと行動する集団、一定のルールを持った集団内での活動は犬を落ち着かせる効果があります。

飼い主側が境界線を引いたら犬が境界を持てるようになるまで辛抱強く待つことも大切です。

境界線を伝える環境として囲われた室内空間には限界があることも理解してあげましょう。

人間のパーソナルスペースの構築も屋外環境で作られるという論文を以前ブログでもご紹介しました。

限られた空間で作られる境界線は非常に物理的なものであり、動物が精神的にもつ境界線とは少し違いがあります。

もちろん、クレートやベッドなどの物理的な境界線を維持できるのも大切なことです。

最後に犬にいろいろとやってみる前に、まずは「人と犬の境界線って何?」をもう一度考えてみてください。

分からなければ、人と人の境界線って何?親と子供の境界線って何?と考えてみてください。


 

 

 

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