グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

トップページ
お電話でのお問い合わせ
お問い合わせフォーム

雪の日の犬たちのお預かりクラス

今年2回目の積雪です。今回は長い。前回のが降り積もらなかったというならば、今日はしっかりと積もりました。最高ではないけれど、柵の上に10センチ以上、地面には20センチ程度の積雪ですから積雪といえるレベルの降り方です。そして、現時点でもまだ降り続けています。

今季2回あった積雪ですが、そのどちらもが犬たちの預かりクラスのために七山校にとどまることになりました。顔見知りの2頭の犬といっしょに山篭りしています。

昨日の朝は積もった雪がアイスバーンになってしまい、庭でもすべりそうなゴチゴチの地面になっていました。犬も滑りやすく動きもゆっくりになります。ふんわりした積雪とは違って足裏の冷たさも相当のものなのか、すぐに部屋にはいってきました。

今朝はふんわりで真っ白の雪のじゅうたんですが、その下には昨日凍ったアイスバーンが。
やはりゆっくりとすすみますが、さすがに少し興奮してきたようです。

dav
若い犬なら走り回るところですが、さすがに年をとると興奮度もそれほどではなく、緊張すると一旦大人しくなるというところですね。こういう時は、室内に入ったらとたんに興奮することがあります。落ち着かせはどんなときにも有効ですが、自分で自分を落ち着かせることのできる自律した犬は少なくなりました。かといって、放置しておけば興奮は増すばかりです。人の管理による環境制限や特定の合図などで落ち着かせるしかありません。

動物は生物ではありません。よく活動するようにできています。動きながら調べる、動きながら学習し経験し、動きながら活動することを生きるというのでしょう。人も動物ですが、他の動物とは少し動きが異なります。人は他の動物と比較すると圧倒的に大脳皮質を発達させた動物です。人のいう活動というのは、体を動かさずに大脳を動かすことを含みます。そういう意味では人も犬と同じようにいつも活動しています。

テレビを見ている、ゲームをしている、スマホをみている、ipodで音楽を聴いている、パソコンで文字を打っているなど、常に大脳を活動させています。

犬は体を活動させ環境を探索する動物であったはずですが、室内での生活では活動することを制限されています。人がテレビをみていても犬はテレビをみないしゲームもしません。妄想もしないし、音楽をかけていても人のように聴いているわけではありません。屋外で暮らす犬たちもつながれたままなので活動できず、犬という動物にストレスがたまっていくのも当然のことです。

家の中や限られた場所で犬を動かそうとすれば、柵の中でするスポーツや犬とおどるダンス、室内で芸やトリックを教えるといった事しかできません。こうした特定の動きは犬の本来の活動ではありませんが、一定のエネルギーを消耗してくれるので犬はすぐに疲れて寝てしまいます。私も以前はクラスの中でトリックの教え方などの練習をしていたこともあります。ですが今は積極的にはしません。

なぜかというと、犬が生きていく中でする権利のある本当に必要なことを取り上げておいて、人の都合にあわせて消耗させてしまうのはやはり不公平だと感じるからです。犬本来の活動をする学習の機会を犬に与えるなら、都心で生活する飼い主さんは多大な時間と労力を必要とすることでしょう。飼い主さんが自分の生活が忙しくどうしてもそれは無理だと感じられるなら、限られた人の作った空間の中で犬を人の号令によって活動させることで他の世界を教えないというのも仕方なしとして受け入れます。飼い主さんの価値観はそれぞれですし、必要な世話をする人には犬を飼う権利は与えられています。

この考えとは別に、犬と暮らし犬を愛する全ての人に対して、犬が本当に必要としている「犬の欲求」を知っていただきたいのです。その上で自分にできることを考え、できないことはできないとして切り捨てていただいて構いません。ただ犬が旅立ってしまってから「犬のことを知らなかった」という残念な気持ちを抱いてほしくないのです。どのような飼い主さんにも犬のことを知る権利があると思って伝えているのはそうした思いから発しています。

長い間自然から遠ざかっていた犬や知らない場所に連れてこられた犬は、最初はなかなか環境になじまず落ち着かず、自然に探索することもできません。人に行動や自分を守ることすら依存していますので、行動に自律性がなく不安定になるのは当然のことです。車椅子に乗っているクララにハイジが立って歩くことを促したようなものです。クララは車椅子から立ちあがろうとしても怖がり何ども車椅子に逃げ帰ってしまいます。クララの家庭教師は「かわいそうに」とクララをかばいますが、やがてクララは本当に自分の脚で立ちたいと思い、そしてその自律をハイジやその仲間と自然が見守り続けます。

自然にはじめて接した犬を見ると、まるで車椅子のクララをみているような思いです。そして、犬が汚れることを不快に思ったり、かわいそうにと思う飼い主の存在中では、犬の自律行動を促すことは無理なので、飼い主さんができる範囲内にとどめたほうがいいと思います。

犬の飼い主といっても、現代ではいろんな飼い方や暮らし方があるのだなと思います。
犬にとってどれが幸せかと考えるなら、自分だったらとまず考えてください。どれが正しくでどれが間違っているということもありません。ただいえるとすれば、その犬が中身から輝いているときにはドキドキするほど美しいものだということです。難しい、わからないという方は犬の瞳の輝きを見てください。人と同じく瞳の輝きは幸せの基準です。



dav