グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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<犬のしつけ方・動画>ベッドトレーニング:犬用ベッドは犬の室内生活に必須です

 犬のしつけやトレーニングをいつ頃から始めたらいいのかという質問に対する答えは、犬がどんな年齢であろうと「今」です。犬と暮らしていなくても、学ぶべきは「今」なのです。

 学ぶにはなによりも時間が必要です。今学んだことを理解できるようになるのにまず時間を必要とし、そしてそれを実際に身につけるようになるためにさらに多くの時間がかかります。さらに、それを人に伝えようと思ったら、その数倍の時間がかかります。

 テレビの洗脳なのか、世間の思い込みなのかわかりませんが、犬のしつけとトレーニングは生後6ヶ月を過ぎないと始められないと思っている方もいるようですが、とんでもありません。むしろ犬ができるだけ小さな年齢のときから、犬のトレーニングを開始してください。

 ここでいう犬のトレーニングとは、飼い主が犬のことを理解するための勉強のことであって、犬を訓練学校に預けるという意味ではありません。長期間の預かりトレーニングは一般の犬にはおすすめできません。

 子犬期にどんなトレーニングをすると思いますか。犬の日常生活に必要なしつけの多くは生後1才くらいまでに、ステップアップを重ねて教えていくことができます。

 今日はグッドボーイハートのパピートレーニングのカリキュラムのひとつでもあり、成犬のトレーニングにも必須項目のルールをひとつご紹介します。

「居場所を指定するトレーニングのベッド編」です。


● 居場所を指定する「ベッドへ」の意味と様子

 室内飼育の犬の場合には、犬だけのスペースを確保して生活環境の安定と安心を獲得させることは必須の犬を飼うための環境整備です。犬だけのスペースというのは、犬の立場からいうとそのスペースを他の誰かに侵されることのない安全地帯のことをいいます。また、個体のスペースを主張できるスペースでもあります。

 この物理的なパーソナルスペースは、人間も日常的に利用しています。自宅にあるダイニングの椅子、リビングのソファ、座敷の座布団、そしてベッドや布団といったものです。これらは、屋外の外敵から身を守るための場所というよりも、室内の限られた空間(テリトリー)を、家族(群れ)内の集団で上手に利用し、そのことで関係性を安定させるために役立ちます。

 では実際にどのような行動をするのかを動画で確認してみましょう。以下の動画は家庭訪問レッスンのときに撮影させていただきました。飼い主さんの「ベッド」という指示で自分たちのベッドに犬が移動するシーンです。

動画 「ベッド」の合図で自分の居場所に移動する子犬たち

 飼い主さんの「ベッド」という声の合図と手の指示で、それぞれの指定された犬用のベッドに犬がいきます。「ベッド」合図はしばらくそこで待機をするようにという時に使用しますので、ベッドの合図があったらフセの姿勢になれるように誘導していくと、ベッドでの行動がさらに安定してきます。

 動画に協力してもらったラブラドル・レトリバーの2頭の犬たちは、胴胎犬(兄弟犬)で、生後5ヶ月になります。トレーニングの際にオヤツは使用していません。報酬はもっと別のところに設定されています。


● 犬に「ベッドへ行って」のトレーニングがどのように役立つのか

 室内で犬の居場所を指定するトレーニングは生活の中で大変役立ちます。犬がどのスペースにいていいのかがわからないときに、ここに居なさいといわれることは、犬たちにとて居場所を獲得したという価値のある合図です。価値の高さは「居場所」という特別なスペースの存在が影響しています。

 人を例にして考えてみましょう。たとえば、家族の関係性によって、室内の家族が過ごす場所では細かく場所が指定されていることがあります。特にダイニングの椅子はそうです。

 食事をするときに利用するダイニングの椅子には、指定席というのがあります。みなさんのご家庭にもないでしょうか。自分はそこに座る権利があるというものです。食事をしようと思ったときに、兄弟間で席の取り合いになるのは、弟の席に兄が座ってしまうときです。お父さんはここ、お母さんはここという風にですね。いつもの自分の居場所に他の人が座っていると違和感を覚えるでしょう。時にはお父さんの椅子は格別立派ということもあります。昔は父親は上座に座るのが基本でした。居場所は家族間の序列を明確にするものでもあったのです。

 犬に話を戻します。犬はもともと屋外にテリトリーをもつ動物です。イヌ科動物が巣穴の近くで過ごすときには、かれらにはダイニングテーブルも椅子もありません。しかし、ある程度の配置がされています。あるのは巣穴とテリトリーの境界線だけです。巣穴には子犬たちが、巣穴の前には巣穴を守る犬たちが、そして境界線を外敵から守る犬は境界線を確認しながら配置されます。群れの中心的な存在のものは、少し高いところや全体を見渡せる中心地点にいます。

 そして一部の犬は、人といっしょに室内で暮らすようになりました。飼い主という人が管理する生活スペースです。寝る場所や隠れる場所としてクレート(もしくはケイジ)を与えられています。リビングで人とスペースを共有するときには、飼い主の居場所である椅子には上がらないように教えられるでしょう。

 最後に、リビングでくつろげる犬の居場所として犬用のベッドが必要なのです。犬用のベッドを室内に置いてある家庭はあります。犬は自分の好きなときにベッドの上で寝たり遊んだり、休憩したりしています。

ブランとマージベッド
 しかし、飼い主の指示で犬用のベッドに行ける犬はあまり多くありません。その理由の多くは、教える必要性の高さがわからないということ、日常的な犬との暮らしでのその合図の使い方が分からないとか、また、教え方がわからないというものでしょう。

 この合図の必要性の理由についてはたくさんあります。簡単に説明すれば、人と共有するスペースに自分の居場所を獲得すること、そしてその居場所は誰にも侵害されないものであるということ、そのことは、犬が自らの安全を確認できるということと、さらに群れの中での精神的な居場所の獲得にもつながっていきます。

 ひとつの状況を例にあげます。来客が来たときに来客に興奮したり警戒するシグナルを見落とされることがよくあります。吠えたりとびつくという犬の行動はわかりやすいですが、そうでないものもあるのです。

 来客時に落ち着かないシグナルとしては、部屋をウロウロとする、自分の体をなめたりかじったりする、おもちゃをもってウロウロする、床をなめる、来客に体をくっつけてくる、飼い主のうしろをついて歩くといったものも入ります。

 自分のテリトリーに、家族以外の動物が入ってきたのですから、落ち着かなくなるのは当然のことです。飼い主にとって日常であることが、犬にとっても同じようになることはなかなかありません。イヌ科の動物の生活では、他の社会的な対象となる動物が自分の生活圏に入ってくるのはとてもまれなことなのです。

 このときに犬にベッドにいくことを指示します。最初はクレートで練習をしますが、クレートとベッドは違いがあります。ベッドのテリトリーはもっとゆるいものです。クレートの中には人が手をいれられませんが、ベッドにいるときには簡単に犬に触ることができます。そのゆるい境界線の中に犬は居場所を獲得し、来客を多少の警戒心をもって観察していたり、環境全体の安定性についての情報を取得していきます。

 子犬のころはこうした観察や環境把握に時間がかかりますが、生後3ケ月もなると犬は自分の周囲の環境に対して強い関心を持つようになっています。少しずつ環境を把握させる練習もさせていく必要があるのです。もちろんそれは、たくさんの場所につれまわして、たくさんの人や犬に会わせることではありません。

 犬用ベッドに犬を行かせることは、犬を社会的に排除することではありません。むしろ犬用ベッドに行く練習をすることで、犬は安心を獲得し、自分の役割を理解し始めます。このベッドトレーニングは犬がインターホンに反応する前にできるようになることをおすすめします。

 少ない犬との時間でたくさん教えることがあるでしょうから、優先順位は決めていかなければいけませんが、少なくとも、犬にお手などを教えるよりはずっと重要なトレーニングです。


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