グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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里山犬の育て方

グッドボーイハート七山校は山との境界線にある、いわゆる奥山と里山をわけるような地形にあります。それぞれの里には家のすぐ裏側に「自家製の野菜室」となる畑を作られています。その畑を奥山から狙っている野生動物たちがいます。イノシシ、タヌキ、アナグマ、テン、イタチ、サル、キツネ、モグラ、鳥たち…とメンバーもそうそうたるものです。

これらの野生動物たちによる被害は大変なものらしいことをイノシシやシカに関する本を読みながら知りました。家の裏の畑は生産物用ではなくあくまでも自宅用のようですが、それでも手をかけて育てた日々の食材に手を出されることは阻止しなければなりません。そこで野生動物を寄せ付けない方法としていろいろな手立てが行われているようです。そのひとつが犬です。

私も当初は、他の生産物用の畑の用に動物用のステンレスの柵で囲っておけばいいのではないかと考えていたのですが、なぜか、家の裏の畑には見たところどのご家庭もその仕様がありません。その必要がないのだとすると、その存在は里の犬たちのガードによるものだと推測しています。

七山校の近くのご家庭にも立派な里山犬が住んでいました。その犬はとても不思議な犬で、私の犬知識をさらに深めてくれた犬になったのですが、まさに彼は飼われているというよりは、住んでいるという犬だったのです。この犬については逸話はまた別の機会にゆっくりと書いていきます。話しを戻します。それで、その立派な里山犬は亡くなって数年たったのですが、1ヶ月ほどまえにその家に新しい犬が来たのです。

さいしょは、ワオーン、ワオーンと4ヶ月くらいの犬が出すような呼びなきが聞こえてきました。まさか捨て犬ではないかと注意深く聞き耳を立てていると、ときどき、キャインキャインと興奮した声になる時間があり、明らかに人が子犬に接触していることがわかりました。新しい里山犬が来たのです。

先代の犬にとても興味があったので、次の犬はどんな犬なのだろうとついつい犬の様子を観察したくなってしまいます。実物を見ると体型はかなり大きくなっており子犬という風貌でもありません。若年期くらいかなと。その犬が少しずつつながれる場所が変化していくその過程がさらに面白いものでした。まだ途中なのですが、つい先日、日中裏側の畑の車のそばに係留されるようになりました。

その日は七山で一日作業日だったので、デビューした犬の様子を掃除したり洗濯したりしながらその日の成長を見届けていました。そしてある行動を学んでいることを目撃しました。というか私自身がその刺激になってしまいました。
午前中に洗濯物を干しに出ると、ちょうどその犬の視界に入る状態になり、ウォンウォンと警戒吠えをするのですが(私は目線を合わせずに淡々と洗濯物を干す)、尾は下がったままで、体重も若干後ろにかかっており、後退の動作にはいっています。私の方をみながら、ウォンウォンと吠えたり、吠えやんだり、吠えたり、吠えやんだり。行動の不安定さにその気持ちもうかがえます。室内に入ると吠えるのを止めましたが、しばらく尾を垂らしたまま立ち尽くしていました。
午後になって、洗濯物の位置を変えに出ると、なんと今度はつながれている車の下にもぐって、吠えずにこちらの様子を伺っています。私の方からは明らかにその姿が見えているのですが、私が視線を送らなかったり、気づかないふりをしていることでその「隠れる行動」は継続しました。結果、室内に入るまで隠れたままでいたのです。
「隠れる行動」については先日ブログに書いたばかりです。
犬は隠れる動物

つながれた午前中は私の姿以外にも、ちょっとした変化にいちいちビクビクとして吠える回数が多かったので、このままビクビクさせて終わってしまっては社会化学習は後退してしまうと心配していたにもかかわらず、昼過ぎには隠れる行動を自分から行ったことで環境は一変し、警戒吠えは明らかに対象を認識したときだけに変化していきます。
途中家の人が作業のためかそばを通ると、キャインキャインと飛び上がろうとする後追い後鳴きをしてアピールしましたが、振り返ってももらえていませんでした。はたからみるとかわいそうかと思えるこうした接し方も、犬が自主的に行動することを引き出すきっかけとなり、簡単には判断できないものです。

田舎でも犬は係留して飼育するようにとの指導が厳しいため、どの犬も係留されています。ですがその育て方は数十年前とたいして変わっていないのではないかなと思えるほど、原始的な感じがします。農業も機械化が進む中で行程自体はかなり変化してきたのだと思いますが、変わらない作業は変えようとしないという風潮が見られるからです。そして犬育てについても同じように「つないだだけ」あとは変わらないという風景に見えるのです。そのことが、犬にとってストレスを与えていることもありますが、変わらないものの中には、犬が育つ接し方も垣間見えて、何事からも学ぶべきことは多いのだと感心させられているところです。

さて、このニュー里山犬。冬季からの今シーズンのイノシシ防衛に力を発揮できるほどになるのでしょうか。陰ながら応援しくたいと思います。

いつもながら犬の立場にたって写真はありません。白地に黒いぶちのある洋犬風のミックス犬。その表情と行動の変化がこれから楽しみです。

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