グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬の習性<分配する力>

犬と猫が人のそば暮らすようになったのは、「食べ物」を人の近くで得られたことでした。
ですが、犬と猫ではその過程が違います。

猫は人の環境の中に増えたネズミを食用するため、人の住処の近くにテリトリーをかまえるようになりました。
ネズミは害虫のため、人にとってこれは助かることです。積極的に猫を人の近くにおくようになり、ペット化されていきます。

犬の場合には少し違います。
犬は人の食べ物の残りものを狙って、人のテリトリーの近くをうろついていました。
人に見つからないように身を潜めて好機が来るのを待ちます。
そのとき、暗闇で他の動物が近づく気配があると、犬は「ウー」と唸り声を出します。
これが、人にとっては貴重な合図となり、自分自身の身を守る方法として人は犬を必要としました。
そのため犬に食べ物を積極的に与えることで犬が人の近くにいるようになり、人は使役、食用、ペットとして犬を利用する機会を得たのです。

「ペットとして利用」という言葉に抵抗を示されることがあるかもしれません。ペット化は否定されることではありませんが、人につく「家畜化」では崩れなかった犬の本来の性質が、ペット化によって変化してきたという事実はあります。
人が犬を飼うこと=ペットというわけではありませんが、人の愛玩の存在として利用されるようになることがあるという事実からは目をそらすべきではないと思います。この話しは少々時間がかかります。文字では限界を感じますのでまたいつか。

話しを元に戻します。

犬は人から食べ物をもらうようになりました。これは犬の動物としての本来の習性に適応していました。

イヌ科の動物は、群れのメンバーのうち狩りに出て獲物をとる動物と、食べ物を待つ動物にわけられます。
子犬は成犬が食べ物をもちかえるのを待ちます。
獲物をとった犬は成長した他の犬にも、子犬と同じように食べ物を持ち帰ります。

運搬できるものであれば口にくわえて持ち運びます。
そうでないものは一旦、胃袋に収めた上で「吐き戻し」という行為によって、他のものに与えられます。
子犬が親犬の口をペロペロとなめるのは、この「吐き戻し」行動を誘引する行動なのです。
結果、犬は食べ物を分配しているということです。犬が「群れ」という社会集団を構成する上で重要な習性です。

食べ物を分配する行為は、多くの動物で見られるように感じれるかもしれません。
自分の子にあたる動物に分配することは、ネコ科の動物でも同じことです。

これに対し、イヌ科動物は自分の子でなくても、群れのメンバーに対して分配を与えるということです。

人と暮らすようになった犬は、人から食べ物を分配してもらうことになります。
このことは結果として、人に対する群れのメンバーとしての関係を高めることにつながります。

イヌ科動物の分配には、別の情報も入ります。
群れを構成する犬は、その群れの中に順位制をつくります。
誰が何をするという役割分担で、その中には誰が優先的に食べものを得るのかということも含まれます。

優先的に食べものを得るものが、好きなだけ食べていいということではありません。個々が群れの一員として、群れが存続するために必要なものを得てバランスをとる必要があるからです。群れが健康に存続することが、犬の個体の強さにもつながっていきます。

分配の過程で順位付けがあいまいになっていると、争い事がおきることがあります。
人から食べ物をもらう行為に、犬が興奮行動などのストレス行動を伴うのはこのことが理由のこともあります。
ブログ記事「ゴハンのときに興奮しますか?」を参考にしてください。)
分配がうまくいかないのは、人と犬で構成された群れ内の順位付けがあいまいなためです。
もしくは多頭飼育の場合にも、分配がうまくいかずトラブルになる例があります。

人と犬で構成された群れの分配力は、その順位付けが影響し、それは群れの健康の度合いを示しています。
家族のメンバーが代わったり、犬が老齢化してくることで、順位が一時的に不安定になることがあります。
でも、それもしっかりとした健康な群れであれば、すぐに安定を取り戻すことでしょう。

この分配力ですが、実は人社会でもこの分配力を高めた結果、今の住居を固定する生活を安定させてきました。
食べ物をつくり、家畜を育て、そしてそれを分配する家族という構成です。
動物としては違う人と犬が、分配力については同じ習性を発揮しているのです。

犬の分配力は、人と群れを構成するようになった過程を示す重要な犬の習性(本来の性質)です。
犬の習性が十分に生かされるような環境と関係で、犬の分配力を育ててください。

チロル6


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