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犬の行動範囲の真実:犬の安心は本当に獲得されているのか

七山校が里に位置するところにあります。里というよりはどちらかというと山裾といった方がいいかもしれません。相棒の草刈機1号がついに修理となり、重量のある草刈機2号で茂った山裾を少しだけ刈り込みました。
野生動物の行動範囲は、山から里にかけてその環境に影響するため、その環境に影響を与えている自分が介在する作業との関連性に、関心が続きます。

建物の近くまで来るアナグマは、草がきれいに刈り込まれている環境でもゆっくりとやってきて、家の周囲の土の中から幼虫を食べては山へ帰っていきます。アナグマの行動も環境だけでなく、その個体の性格によって違いが出ているのだろうと感じます。

犬にも行動範囲が広い個体と狭い個体がいます。その行動も犬の周囲の環境によって異なります。ところが、犬の活動の範囲が広い方なのか、狭いほうなのかということを知るために犬の日常過ごしている行動のパターンをみても、正しい情報が得られないことがあります。

なぜなら、これらの個体情報は犬があくまで「自然に」活動していることで知ることができるからです。現代の都市周辺環境での犬の活動は動物としては「不自然」に限りなく近いです。理由は、家や庭などの囲いのある場所でのみ活動しそこから出ることがない、出るときにはリード(ひきづな)をつけているため自由行動がない、リードから解放されるのはドッグランなどの囲いのある犬用の施設の中、という環境で過ごしているからです。

冒頭の野生動物から見る行動の範囲を考えるとき、動物が行動をするのは自分の安全を確保できる信頼を重ねた上でその範囲を広げていきます。危険だと感じられるところには近づかなくなり、身を隠せるような場所があると里に近づきやすくなります。動物の行動は常に自分自身の安全の確保と関連しています。

犬の場合には、その安全を常に人が提供しています。小さな庭には危険が襲うことがなく、自由に庭内を行き来することになり、リードをつけているときには飼い主という管理者がそばにいるため多少危険な行為だと思われることがあっても、飼い主が犬を守るという行動で片付けられます。

たとえば、散歩中に力のない犬が力のある犬に吠えかかっていっても、リードがついている限り相手が反撃することもなく、吠えかかった犬がその危険性を知ることもないということです。

自らの安全を確保してそしてそれを行動として広げていくという動物の基本姿勢を、犬は身に付けるチャンスを失ってしまったように思えます。

犬が安心して行動しているのであればいいではないか、という意見もあるかもしれません。
ただ、こうした依存的に行動するようになった犬は、決して「安心して」行動していないことを証明する行動がいくつも現れています。

突然、何かに遭遇したときにパニックを起こして奇声を発したり、飼い主がいつも自分に関心を示したり要求を聞くことを試す行動を毎日くり返し行っています。

これも飼い主という存在が犬という動物に与えているひとつの環境ではありますが、その関係性にお互いの自律を見ることができるようになれば、もっと犬の行動は自信にあふれたものへと変化していきます。

そんな犬の姿をときどき見る瞬間があると、なぜかホッとしてしまいます。

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