グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬のためのカラス対策:カラスに向けた「カラス進入禁止」の紙は本当に効果があるのか?

都市圏ではカラスの数がずい分増えていますね。カアカアとなく声と大きく黒い体を福岡市内でもよくみかけます。
カラスは雑食性で小動物も捕食してしまうことがあります。小型犬に限らず犬にとっては怖いとか不快な存在になることがあります。

●犬のためのカラス対策を考える必要

犬のためのカラス対策とは、犬の過ごす庭やベランダにカラスが近づいてこないようにする対策を考え処置をするということです。冒頭に書いたとおり、カラスは犬を捕食してしまう可能性が十分あります。ネズミやヘビを持ったまま飛んでいるカラスの姿はなんども見かけました。子猫などが持ち去られているのをみたことがある人もいるかもしれません。最近では極小サイズといわれる3キロ未満の犬が増えています。こうした犬は簡単にカラスに持っていかれてしまいます。

カラスであれトンビであれ、大きな鳥が獲物をとるシーンを見たことがある人ならその速さにビックリすることでしょう。鳥の移動する速度は犬の歩く速度ですらミミズのようにしか感じられないほどの違いがあるのです。山歩き中に何かと間違えたのかトンビかタカのようなものが足元に突撃してきたことがありました。白い帽子をかぶっていたことで勘違いさせたようですが、その速さとV字で上がっていく素早さにビックリしてしばらく動くことができなかったくらいです。カラスが来るのことを事前に把握することはできません。ならばカラスが近づいて来ないように、環境を整えておくことが最善にできることです。

●カラス対策に効果があるものとは

庭やベランダを犬にとって安心できる場所とするために、カラスを近づけさせないようにする方法を考えてみます。カラス対策については多くの方が悩みを抱えているようです。ネットでもたくさんの情報提供があると同時に、あまり効果がなかったという感想もたくさんありました。畑ではよくカラスの人形を逆さにつるしてあるものを見かけます。最初は本物だと思ってビックリしたのですが、本当によくできた偽者のカラスが農業用に販売されているようです。ホームセンターでも販売していることがあります。逆さにつるすというところがポイントのようですが、確かに視力に頼る哺乳類であるカラスも警戒して近づけなくなるという一定の効果があるのでしょう。

ところがやっかいなことにカラスには学習能力があります。次第にその吊り下げられたカラスは偽者であることを学習してしまいます。一旦学習すると他のカラスも学習したカラスの行動に影響を受け、その後は効果がなくなってしまいます。他にもCDなどをつるすという対策もあります。キラキラと反射する光がカラスを警戒させるという仕組みです。しかしこれも同じようにいつかカラスが学習してしまい、防衛効果の期間切れが来てしまいます。

●以外だけど納得するカラス対策の方法

 先日、カラス対策に悩んでいるときにある生徒さんから面白い話を聞きました。その方は海洋学者の佐藤克文先生の文献を読む機会がありそこからカラス対策に佐藤先生が関わったというお話しを見つけられたそうです。佐藤克文先生はテレビなどにも出演する著名な学者なのでご存知の方も多いかもしれません。

 その佐藤先生が他の環境医学の専門からアドバイスを受けて実施したカラス対策というのは「カラス侵入禁止」という紙を貼り付けてみるということでした。本当に?と思えるこの方法ですが、実は動物の習性を見事に理解した方法で愉快なのでこちらに紹介させていただきます。

 佐藤先生がカラス対策の被害の相談を受けたのは岩手県大槌町にある東京大学の研究施設でした。東日本震災によって3階建ての建物の最上階まで侵食してしまい、窓や扉もなくなった建物をカラスが巣作りに利用しはじめたということです。津波によって周囲の住宅も全滅してしまい、巣作り場所として集中したのかもしれません。巣作りのために建物の部材をはがすなどの被害も出てきてしまったということで佐藤先生に相談があったとのことです。

 佐藤先生はカラスの専門家である宇都宮大学の「雑草と里山の化学教育センター」の竹田研究員(環境医学)に相談をもちかけたところ、「警告文を出してみてはどうか」というアドバイスをもらったということです。佐藤先生も最初は冗談だろうと思ったが試しに警告文をつるしてみたそうです。警告文のつるし紙には「カラス侵入禁止」と書いてあります。するとすぐにカラスは来なくなり、一時的かと思ったが効果が長続きしたとのすごい話でした。

 「カラス侵入禁止」の紙にカラスが応じたのはなぜでしょうか。実はこの用紙をとおりかかる施設職員や学生が不思議におもってみあげることで人が空を見る回数が増え、それに対してカラスが警戒して近づいて来なくなったというのです。


●野生動物とのせめぎあいと人の役割

 この用紙を見上げる人たちも最初は見上げるがそのうち見上げなくなってしまうはずです。カラスの被害の多い春時期に限定して張り紙をつるすことで「空を見上げる人たち」という本当にカラスを防御する刺激を作り出すことに効果をあげています。カラスの作り物もCDの反射の光も、カラスという動物の習性を考えた行動ではありますが、やはり最も効果があるのは、人が管理しているという姿だということにとても感銘を受けました。

 一般のご自宅でもこの張り紙は一定の効果を表すでしょうが、たくさんの人に見てもらう必要があるので住宅地では抵抗があるかもしれません。自宅の方向に顔を向けてほしくないという気持ちもあるし、犬への刺激にならないかという不安もありますね。とりあえずこの空を見る人を増やすという戦略で何か他のことを考えてもいいのかもしれません。

 全く別のことでしたがカラスの対策になったというひとつの例もこの人の効果ではないかと思えるものがありました。それはテラノザウルスの人形を庭に置くというものです。実物大なので8メートルくらいあります。パチンコ店の入り口などに置いてあるもので本当に人目を引きますね。庭においてあるとテラノザウルスの上部分が見えています。カラスはそのうちになれるでしょうが、通りすぎる人はテラノザウルスを見ることでしょう。近隣の騒ぎになるかもしれない危険性を覗けばこれはこれで効果があるやり方です。

 ところが人通りのない里山では通り過ぎる人もないため掲示物は効果がありません。人がウロウロとして空を見上げる機会を自分で作っていくしかありません。カラス対策に時間のかかる人も、ベランダや庭ではしょっちゅう空をみあげて警戒信号をおくって下さい。小さな犬の場合には特に大事に至るまえによろしくお願いします。


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