グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬の排泄行動に自由を与えよう!:ペットドアを使って広がる犬の世界

犬が室内飼育であったら、安全に導入していただきたい犬用の道具があります。

ペットドアです。ペットドアはいろんな意味で犬の世界を変えるすばらいい道具です。


● ペットドアって何?どうやって使うの?

 ペットドアとは、室内と庭やテラスやべランドを仕切る戸口につける犬猫専用のドアのことです。室内の部屋と部屋を行き来させるためにも使われることがありますが、今ここで重要性を説明するのは屋外と屋内をつなぐドアにつける犬用の出入口です。

 使いやすいタイプは、網戸に設置するタイプです。引き戸のサッシの間に挟むものもありますが、留守中のセキュリティの意味からも現実的ではありません。ペットドアは飼い主が室内にいるときに使用するものと考えると、網戸の一部にペット用の戸口をつければいいということで十分です。

ペットドア

 このペットドアをつけることで、犬は庭やテラスやベランダという屋外へ飼い主の手を借りずに行くことができるという権利を獲得します。ペットドアをつけなければ、庭に出るたびに飼い主に扉を開けるように要求する必要があります。犬によっては戸口の前に座ったり、気づかないと扉に手をかけて音を出したり、扉の前をウロウロしたりします。しかしこれも、伝える力の高い犬の行動です。

 他の多くの犬は飼い主に上手く庭に出ることを伝えることができずに、すぐに諦めてしまうのです。これもあまり気づかれていないことですが、じつに簡単に諦めてしまいます。犬の生活が飼い主不在ではなりたたない自律性の低いものなので、庭に出たいと思っても立ち上がって扉の前に座ることができないような状態に追い込まれてしまう、それが今の犬たちの姿です。ペットドアによって飼い主が犬の外に出たいという欲求に気づかなくても、犬は飼い主を気にすることなく庭やテラスに出ることができます。

 生徒さんにお願いしてご自宅の様子を撮影していただきました。短いビデオですのでご覧ください。
ペットドアを使って庭と室内を行き来する犬(動画)
※you tube に投稿した動画へリンクします

● ペットドアによって変化する犬の行動

 この自由行動によって一番先に変化するのは、排泄をどこでいつするのかという生活習慣です。庭やテラスなどの家の周辺の屋外に出入りができるようになると、犬は屋外で排泄をするようになります。特に土や草などの自然環境のある庭であれば、比較的早い時期に庭で排泄ができるようになるでしょう。

 この排泄行為によって犬のテリトリーは変化していきます。犬の生活にとって最も大切なのはテリトリーのあり方です。屋外にも犬のテリトリーができることは、城にたとえると堀ができたようなものなのです。これは犬の生活する世界を現実的に大きく変えていきます。

 具体的な変化としては、室内での排泄をしなくなり庭で排泄をするようになります。中型犬以上だったら当たり前のことと思われるこの行動も、自律性の低い小型犬だとなかなか実現しません。散歩中に排泄をするが室内でのトイレで排泄をする行動がずっと続きます。むしろこれをいいことだと思っている飼い主さんも多いようですが、人にとって都合のいい行動が犬の発達の視点からみて良いといえるかどうかは別です。室内で排泄行動を続ける犬は、精神的に人に依存している状態であり、自律性は低いということになります。

 先のビデオに登場してくれたミニチュアピンシャーの犬ちゃんですが、マンションでも使っていたペットドアを戸建てでも使うようになりました。マンションの時にはベランダではひなたぼっこはするけど排泄はなかなかせずに、室内排泄行動がつづきました。しかし庭に自ら出るようになって、現在では庭でしか排泄をしないため室内にあったトイレトレーは不要になりました。

 ベランダでの排泄は、子犬の時期には上手くいくのですが成長が進むとしなくなってしまいます。まだ散歩中に排泄場所を決めていないような時期では、人の管理する空間の中の屋外でするという行動になるからです。犬舎で管理されるような犬たちも、排泄場所というのは決まっているので、コンクリートの上で排泄をします。これも収容管理上とはいえ、犬の習性には無理のある行動です。

 成犬はマンションのベランダでの排泄をしないとしても、ペットドアはマンションでも効果を発揮することがあります。たとえば、よくひなたぼっこをするためにベランダに出て行く犬がいます。ベランダから外に出ることもできないし、強い風、反響する音や臭いなどは動物にとってはとても違和感のあるものです。そうであっても、閉ざされた空間に長く閉じ込められることは犬にとってストレスになるものです。ベランダに人があまり来ないことを知っている犬は、人との距離をとるために出たり入ったりすることもあります。そうであっても犬にとって必要なスペースになることがあります。

 しかしペットドアはやはり戸建てで使用してください。ベランダは安全なようで危険なこともあります。動物はビックリしたら飛び越えられないような柵も飛び越えることがあります。火事場の馬鹿力というものが出るのでしょうが、犬が絶対にベランダの囲いを飛び越えないとは言い切れません。ベランダ使用の方は犬の行動を管理しながら、ベランダを気分転換の場として上手に提供してあげましょう。


●おまけ

 さて、ペットドアの画像を検索していてこんなもものを見つけました。
ペットドアのデザインしたiphoneのケース

 アメリカ製のデザインのドアかもしれませんが、海外ではドアそのものをペット用に加工されていることもあります。こうしたドアのデザインは珍しくないようです。戸建てなのに室内で排泄をさせるということの方がずっと珍しいです。映画にもよく犬を飼っている家が出てきますのでチェックしてください。室内のペットシーツを置いていることは珍しいことなのです。

 ペットドアの利用を通して犬のナチュラルな排泄行動やテリトリーの広がり、犬の自律性について考えるきっかけを作ると楽しく理解が進みます。下の写真は、大きすぎてペットドアがなかったオポのための手作りのペットドアです。

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