グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬を撫でることについて

猫の本を何冊か読んでいます。他の動物の本もよく読むのですが、最近、知人からたくさん猫の本を借りてしまい、猫ずくしとなり猫の夢まで見るようになってしまいました。
犬の本も他の動物の本も同じですが、それぞれの動物の視点にたって書かれている本は興味深く読み応えがあります。動物の中でも人と暮らしている動物、犬と猫の視点にたった上で、その動物の行動や習性を考えることができるのは楽しいものです。

猫の本を読んでいるときにも、犬とは違うなとか、犬と同じ傾向があるなとか、ページをめくる度に犬のことが頭に浮かんでしまうのは、職業病なのでしょうね。

最近、関心を持って読めた猫の本は、アメリカの猫の行動専門家という男性が書いた本で、自伝的要素も強いのですが、猫の行動や環境による変化などの具体的な例の症例も多いものです。その中にもいくつも、犬と同じ傾向があるなと思う部分がありました。そのひとつを紹介します。

「猫を過度に刺激する要因として気をつけたほうがいいこと」ということで揚げられていたことが次のようなものでした。
1 撫ですぎ
2 攻撃的な遊び
3 環境の影響による興奮
4 過度に体をゆすったりしてほめること

これは犬にも当てはまることです。
「撫ですぎ」と「過度に体をゆすったりしてほめること」の二つは、実際にやっているい主さんも多いのではないでしょうか。

「撫ですぎ」といわれると、撫でて可愛がるのがなぜいけないことなの?という質問がきそうですね。「撫でる」というコミュニケーションは接触を伴うコミュニケーションで動物同士でも特別な意味を持ちます。
コミュニケーションの方法は動物によって様々ですが、イヌ科のイヌという動物がイヌ同士で接触しながらコミュニケーションをもとうとするのは、幼少期の子犬に対する親犬や世話犬の態度、幼少期の子犬同士のじゃれ遊び、青年期の犬同志の興奮遊び、繁殖期の性的な行動に見られます。これらは、いわゆる人の「撫でる」に相当するような刺激を受けるコミュニケーションとなります。まだ歩行できない子犬の世話に対する行動以外はどれも興奮を伴う行動です。
他の犬と犬の皮膚接触によるコミュニケーションは、かすかに触れるという程度のもので、これと比較すると明らかに人の「撫でる」という行為は刺激が強いものなのです。

ところが、犬、特に愛玩犬として人為的に繁殖されてきた犬は「撫でられること」を目的に飼われることがあります。ペットの語源も「なでる」という言葉から生じているという説もあるほどです。純血種の犬は、人の様々な目的に応じて作られてきました。働くための使役犬や観賞用の犬などもあります。愛玩犬もそのひとつだと考えると納得もいきます。

ですが、そのように繁殖されたからといって、犬を過剰に撫でることを受け入れさせるのも相手の立場にたたない行為ともいえます。撫でられることを喜んでいるように思える犬も、接触に対して依存的になっている傾向があるのです。たとえばこんな行動です。
飼い主の膝の上にすぐにのってくる。
飼い主のベッドでいっしょに寝たがる。
飼い主の体の一部に接触したがる。
ソファに座るとすぐに横にくっついてくる。
などはその例です。

犬ってこんなものだと思っていたという飼い主さんは、ぜひ犬という動物について知っていただきたいのです。少しずつ接触の仕方を変えたり、他の練習をいれていくことで、犬は自然な行動を取り戻していきます。
誤解していただきたくないのは、犬を撫でてはいけないということではありません。犬は適度にやさしく撫でられるコミュニケーションを好みます。それは、心を通じ合わせた家族や特別な知人からのものであり、そして何事にも節度というものが必要だということです。

「過度に体をゆすったりしてほめること」は犬に対してよく見られる光景ですね。
人が触り終わったあと、犬がブルブルっと身震いの動作をするようだったら、明らかにストレスを感じていたというシグナルですよ。撫でている途中で2本脚で立ち上がったり、跳ねたり、人に飛びついてくる行動や、体を押し付けてくるようなことがあったら、これも興奮行動といってやはりストレスを表現しているのです。

子犬のころに公園などで他人に強い接触をされていた犬は、成犬になってから人に対して興奮しやすいとか、自分の領域を守ることができないなど、社会化が難しい状態になっています。

それに反して、他人が触ろうとすると「ウー。」と小さく唸る犬は、自分の領域を守ることができる自信のある犬であるともいえます。こうした犬がしつけができていないといわれてしまうのは、とても残念なことです。

猫は普段の行動がゆっくりであるのに対し、犬は普段からの行動が早くなりやすく、興奮しやすい動物、もしくは興奮しているのが犬という動物だと思い込まれていることがあります。

興奮行動は脳をハイな状態にさせるもので、動物を疲労させてしまいます。
適度な興奮や運動は別としても、コミュニケーションはやさしくゆっくりとしたソフトなものに変えてみるのも、犬という動物を知る機会になると思います。


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