グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬は隠れる動物

犬のトレーニングクラスで大切にしている課題のひとつが「環境を整える」ことです。

家庭犬インストラクターとして、今までにさまざまな形のクラスを通して犬の生活を飼い主さんといっしょに考える機会がありました。訪問件数が多くなりすぎて訪問ができなくなってしまい、通学型のドッグスクールに変えたこともあります。通学型のスクールの良い点というのもありましたが、どうしてもクリアできなかった問題が、家庭環境を直接見て、その中で犬の行動を観察することができなかったということです。家庭訪問トレーニングから通学型に変更したあとに、家庭訪問トレーニングの大切さを改めて痛感しました。

通学型のトレーニングのときには、飼い主さんにヒヤリングを行ったり、ビデオや写真を取ってきてもらい、いろいろと改善点を探していきました。ですが、実際に家庭訪問を行うと、犬とって大切である環境のいろんな部分が犬目線では考慮されていないことに気づきます。「通路からは犬のスペースが見えないように配慮されていますか?」という質問に、「はい、大丈夫です。」と答えられても、実際にはそうなっていないことがあるのです。

家庭訪問でトレーニングを行うと、犬の目線に立っていろんな角度から、犬の生活している環境を犬がどのように感じているのかを知ることができます。そして、より早く犬の落ち着かない理由を見つけ出すことができるのです。
たとえば、室内と続きのスペースで犬の居場所を設置されている場合があります。テラスを犬用のスペースにされている状態を想像されると良いでしょう。こうした空間は仕切りが家のガラス戸です。そのため、カーテンが閉まっていないと、室内の人からも犬がすぐそばに見え、犬の方からも室内の人が見える状態になります。

カーテンはいつもあけられ、室内にいる飼い主さんたちに常に見られている犬がテラスにいます。もしくは、飼い主さんたちは、各自が犬を見たくなったときにカーテンを開けて犬を見るということも多いようです。
小さな子供さんがいる場合には、犬のスペースは中からみると動物園のような観賞用のスペースになってしまい、子供さんは動くものを見たくてガラス戸に張り付いたり、手を振ったり、ガラス戸の内側でオヤツを食べたりしているのをみかけます。

こうした状況を好まない犬は、そのスペースにある犬小屋に隠れたりすることもあります。まさに動物園の動物が、見物されることをさけるため、奥の部屋に隠れている姿のようですね。あまり出てこない動物のスペースには「夜行性なので日中はあまり外に出てきません。」の表示がかけられていることもあります。犬もそう思われてしまうかもしれません。

犬小屋に隠れることもできないタイプの犬は、自分のスペースを左へ右へとウロウロと歩き回ることがあります。ときには円を描くようにグルグルと回ることもあります。こうした行動も動物園の動物がしているのと同じ行動です。これは常同行動といって、同じ行動を何回もくり返すストレス性の行動で、動物のストレスの度合いはかなり高まっていますよというシグナルです。

犬は動物園の動物と異なり、人に対し積極的なコミュニケーションをとりますので、相手を遠ざけようとワンワンと吠えたり、唸ったり、ガラス戸にとびついたりすることもあります。ですが、こうした攻撃的な行動も、犬が喜んでいると受け取られてしまうことがあるのです。実際これらの行動を見て、小さな子供さんたちはキャーキャーとはしゃいでいます。犬はますます興奮します。犬舎から出てこれらの子供達と接触した場合に、日頃の攻撃的行動のくり返しにより事故が起こる可能性も高まっていくため非常に危険な状態です。

こうした犬の行動から見ると、犬が室内から「いつも見られている」環境では、落ち着けないことがわかっていただけましたか?犬がガラス戸に飛びついたり、吠えたり、くるくると動き回っているのは、喜んでいるからではないことを、知っていただきたいのです。

犬は散歩や遊び以外の多くの時間を休むために使います。他の動物達と同じです。人のように熟睡をしない犬は、浅い眠りを続けますが、その時間はとても長いのです。活動時間は午前中と夕方が中心となり、昼間と夜は寝ています。そのため、犬の生活空間は、落ち着いて寝ることのできる場所を必要としているのです。

子供さんや家族にいつも見れてしまう動物園状態になっている環境では、犬の視線が隠れる高さまで何らかの目隠しをします。犬と遊びたくなったら犬舎まで出て行ったり、犬の散歩に出かけるなど、直接的に触れ合うコミュニケーションをとっていただくこともルールのひとつです。目隠しの設置で犬はかなり落ち着きを取り戻していきます。

室内に近いテラスを犬のスペースにされることが増えているのは、いくつかの理由が考えられます。
いつでも犬に触りたいので、犬を汚したくない。
せっかく犬を飼うのだから、できるだけ近い場所にいていつでも会いにいきたい。
庭が狭いため、テラス以外に外飼いが可能な場所がなかった。

理由はともかく、テラスを犬の生活環境とするなら、きちんと環境を整えてあげる必要があります。

犬という動物は「隠れることが休むこと」という動物です。実はわたしたち人にもその性質があるため、この点については共感できると思います。犬の視点で考えること。動物を理解するためのシンプルな方法です。

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