グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

トップページ
お電話でのお問い合わせ
お問い合わせフォーム

熊本県動物管理センターの支援活動について

熊本地震以来、熊本で被災した犬猫とその飼い主さんたちを支援するために発起した熊本被災ペット支援ネットワークの活動は今年の3月末をもって終了し会を解散いたしますのでお知らせいたします。
バザー用品の受付は2月末を持って終了させていただきます。
長きに渡りご支援をいただいた皆様、ありがとうございました。

今日は支援を続けてきた熊本県動物管理センターの状況についてお知らせすると共に、みなさんに考えていただきたいという主旨で現在私が知りえていることと個人の意見も述べさせていただきます。

熊本県内の被災ペットの状況はまだ継続しているようです。被災ペットといっても飼い主のいない犬猫ではなく、飼い主さんが住居の立替や転居により、一時的に預かりを委託していたり飼い主さんと同伴して一時施設に住んでいる犬猫のことです。熊本県が窓口となって対応に当たられています。

熊本被災ペット支援ネットワークの会は、当初被災ペットの支援活動として立ち上がったのですが、多くの活動は熊本県動物管理センターに収容が続く犬猫支援のための活動でした。みなさんからいただいた資金のほとんどが同施設で活動をしているボランティア団体フィリアに物資支援として提供いたしました。詳細は毎月はじめに同ネットワークの会のブログで公開している収支報告でご確認ください。

熊本県動物管理センターに収容されている犬猫のうち昨年10月までに収容されたものについては被災犬猫として扱われています。実際には、猫はほとんどが子猫のときの収容され、犬も飼い主が被災したことによりはぐれた犬というわけではありません。熊本県の10箇所にある保健所に持ち込まれたり捕獲された犬たちのうち、保健所で引き取りがなかった、新しい飼い主を見つけることができなった、収容スペースがない、譲渡対象とされなかった犬猫たちです。

昨年春から譲渡会の開催や動物管理センターからの直接譲渡を始める予定で計画を進められていたようです。その矢先の4月14日に熊本地震に見舞われ、通常業務として行っていた殺処分を停止し、収容数は増え大変な混乱に陥ったというわけです。熊本県動物管理センターには収容施設が整っておらず、屋外に犬舎を設けたり猫舎用のプレハブを立てたりすることにも大変時間がかかっていました。地震の被災によって人の生活のために資金や人手をとられ、動物の方にはなかなか目が向けられなかったことと、他の地域に比べて犬猫の再譲渡や処分を減らすためのシステムがなく活動も遅れていたと感じざるを得ません。

同施設で12月末までに収容した被災犬猫たちは、来月3月を持って被災動物としての扱いを終了し、通常の収容されている犬猫と同じ扱いになります。どういうことかというと、どの動物管理施設でも各行政(県の場合には県行政)の決めた基準を元に、新しい飼い主を見つける譲渡対象動物とされた犬猫には譲渡先を見つける活動をする、譲渡対象とみなされたなかった動物については殺処分ということになります。

殺処分という言葉を聞いただけで胸が痛くなる方もいらっしゃると思います。ですが、この現在の状況を理解しなければ、自分たちにできること必要とされること、改善されるべきことを考えることもできません。ですから、一方的にこうしたシステムを避難するだけでなく現実をきちんと見ていただきたいのです。

昨日の熊本日日新聞に熊本県動物管理センターで殺処分が再開されている内容の記事が掲載されました。数字については実際に記者の方が行政に確認された上でのことですから信憑性のあるものです。以下がその記事です。

<熊本日日新聞2017年2月11日朝刊掲載>
熊本県、犬の殺処分再開 昨年12月、「収容能力超える」 
 熊本県が熊本地震後に保護した犬について、病気などで譲渡が難しい個体に限り、見送っていた殺処分を昨年12月中旬に再開したことが10日、分かりました。保護・収容している県動物管理センター(熊本市東区)や県内10保健所の収容能力を超えたため、「やむを得ない」としています。
 県によると、10日までに犬計67匹を麻酔薬で安楽死。それでも同日現在、犬121匹、猫58匹を保護。通常の収容数である犬約10匹、猫約35匹を大きく上回っています。
 猫の殺処分は見送っているます、子猫の保護が増える春の繁殖期を前に「猫も殺処分を再開せざるを得ない状況になるかもしれない」としています。
 県は地震後、保護した犬や猫を「被災ペット」と位置付け、ボランティア団体などと連携しながら飼い主を探したり、新しい飼い主へ譲ったりしてきました。
 昨年末時点では、保護した犬861匹のうち710匹、猫1163匹のうち718匹を返還・譲渡。同年12月に策定した県政運営の基本方針「熊本復旧・復興4カ年戦略」でも「犬猫の殺処分ゼロを目指す」としていました。
一方、熊本市の市動物愛護センター(同市東区)は昨年4月から今年1月末までに、犬・猫計586匹を保護し、531匹を返還・譲渡。9日現在、計77匹を保護しています。これまで病気の治る見込みのない猫に限って16匹を安楽死させたといいます。=11日朝刊24面、太路秀紀、中尾有希記者
<ココまで>

まず、頭数についてですが、熊本地震が起きたことがきっかけで犬猫の収容頭数が増えているわけではありません。
平成27年度熊本県の犬の収容頭数は1518頭、うち殺処分数は267頭です。昨年は4月14日の地震直前まで殺処分を行っていましたのでその数が殺処分数に入っています。記事にもある被災後に変換譲渡されている数の中には、他の県や市、ボランティア団体や個人への譲渡が入っています。たくさんの支援の手を集めて数字だけでみても、非常に多くの犬猫が譲渡されていることがわかります。

実際、熊本県は一昨年の平成26年にはは昨年の倍近い数の合計で3830頭の犬猫を収容し975頭を新しい飼い主へ譲渡、2524頭を殺処分しています。地震の起きる前の年の方が収容数も非常に多かったという事実があります。

被災により支援の手が集まったにも関わらず、なぜ現在でも収容頭数が上がっていくのでしょうか。この数は被災した飼い主のいる犬猫ではなく、生活の中で飼えなくなり放棄される老犬、子犬、成犬たち、猫についてはほとんどが子猫です。熊本県という地域が、飼えない犬猫を減らすための活動が追いついていないという現実に眼を向ける必要があります。

処分された犬猫は、人が飼うことが難しい人に慣れない野犬、攻撃性を示す動物が主な対象となります。先日の山口千津子先生の動物福祉セミナーの講演の中にもありましたが、収容頭数を過剰に超えて動物を収容することは、動物にストレスを与え精神的な苦痛を与えながら生きながらえさせることになります。特に犬は多数で集まることが苦手な動物です。猫のようにケイジに入れられて大人しくしているということはありません。ケイジはさらにストレスになることもあります。収容時にストレスがかかると動物の行動状態は悪くなり性質にも影響を与えます。そうすると新しい飼い主を探すことも難しい、収容管理する職員にも負担がかかりストレスが上昇する。結果、犬猫が適切に新しい家庭に戻ることは難しくなるという悪循環を生み出します。

犬の場合には大半が成犬や老犬です。中には大人しくどうして捨てられたのだろうという犬もいます。理由はさだかではありませんが、子犬のときは可愛かったけど飽きた、引越すから、いうことを聞かない、吠えるなどの問題行動もそのひとつであることは間違いありません。

上記の熊本の新聞にあるとおり、今回の殺処分は麻酔による安楽死とのことです。最後は負担をかけさせたくないという動物の世話をされてこられた方々の熱意による行為です。麻酔による安楽死は人の手によって行われます。実際に業務としてどの地域でも行ってくださる獣医師の方々は、大変な精神的な負担を受けながら仕事を従事してくださっています。本当に大変な職務であると思います。

犬を飼う方は、犬を飼うということがとても難しいことであるということを事前に知った上で犬を迎えてください。
すごく犬のことを大切にしていた風だった飼い主さんでも、いきなり犬を手放してしまうことがあります。「自分は大丈夫」は危険な考えです。逆に本当に自分は犬が飼えるだろうかと悩むくらいでちょうどいいと思います。

私たちひとりひとりが考えるべきことは、飼い主は自分の犬猫を動物福祉の視点から見ても十分に満足がいくように犬猫に成長と発達の機会を与えて生きる機会を提供できているかということです。その上で、繁殖については本能を満たすことはできません。人が飼う動物はすべて生殖数の抑制をかける必要があります。不妊去勢手術はそれだけが目的ではありませんが、屋外に出て行く猫に関してはどこで子猫を生むかもわかりません。餌を与えるなら不妊手術は餌を与えた方の責任で行ってほしいものです。

犬の飼い主さんにお願いしたいことは、もし自分が死んでしまい犬が残されてしまっても、犬の行動は安定しており、吠えやかみつきや無駄ほえなどがなく、他の人や犬に吠えたりすることもない、精神的に健康な犬でだれもが飼いたいと思ってくれる犬なのかどうかを考えてほしいということです。

国内の犬猫の殺処分数は各行政や地域のみなさんの努力により、確実に減っています。犬猫の殺処分数は一昨年の10万匹からさらにおち昨年は9万匹まで減少しています。これに反してペット販売業者の申請によるペットの販売数は一年前より10万頭増えているという記事も先日新聞で公開されていました。この数字が信憑性のあるものならば、日本はいずれ純血種の国となり雑種犬は希少種になるのかもしれません。いずれにしても、犬猫の未来はひとりひとりが望んだとおりになるのでしょう。


追記2017年2月17日:熊本県動物管理センターでの被災動物扱いの期間が間違っていました。正しくは4月14日以降に2016年10月までに収容された動物が対象となります。訂正してお詫びいたします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html