グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬語セミナー<犬と犬の距離の縮め方>

今日は犬語セミナークラスを開催しました。
ビデオを見ながら、犬の行動を観察し、その行動から読み取ることができる犬の情報や成長を確認したり、考えたりするセミナー形式の講座です。

今回は犬と犬の初回対面から同じ組合せで3回目までを続けてみることで、犬の行動の変化や関係性の変化について勉強しました。

一頭の犬は生後6ヶ月で他の犬に対する緊張が高く、散歩中も興奮しやすい状態です。もう一頭の犬は8歳で他の犬に対して積極的ではありませんが、関心を示しながら安定性を求めるタイプの犬です。強く優位を示すことができないため、幼年期から青年期にあがる時期の不安定な犬にも脅威を与えることはありません。この2頭は性質的に共通点があることが対象を選んだ理由で、性別はオスとメスという組合せにしました。それにも理由はあります。

生後6ヶ月といっても、その成長の段階は固体差が大きいものです。ペット化やそれに伴う人為的な繁殖が進む中で、大型犬であっても「幼児性」を強く残してしまう傾向があり、犬の発達は時間のかかるものになっています。くわえて飼い主さんの接触により犬への世話が多すぎる傾向があると、飼い主への依存性が高まり他の犬への緊張度や恐怖行動が増加します。

この生後6ヶ月の犬が他の犬に関心を示す発達段階であり、他犬への攻撃行動が現れていない状態であれば、接触によって関心を安定に変えていく可能性は十分にあります。

今日題材にしたビデオの中で確認できたのは「犬と犬の距離の縮め方」です。

片方が社会的な経験値が低く、他者に対して消極的な態度しか見せるとができないけど社会的な関係に関心をもつ者であった場合で、もう一方も他者に対して消極的な態度で対応するが、グループでの安定性を求める姿勢を身に付けていたとします。

犬に関心のある犬は、他犬に対して距離を縮めようと行動しますが、相手がそれに対して何かの反応を見せると距離をとろうとします。相手が一定の距離から近づいてこなければ、消極的な成犬はそれ以上のコンタクトをとろうとはしません。
これに対し、関心のある犬は少しずつ距離を縮めていきます。緊張に伴うストッパーが少しずつ外れていきます。緊張の一線を越えると、次は相手に対して自分に関心を引くような行動が引き出されてきます。

こうした行動をみていると、犬が何か目的をもって「こうやったら相手がこうなるだろう」などとと予測して行動しているかのように見えますが、実際にはそれほどの策を講じた行動ではありません。非常の単純な社会的行動という枠組みの中で、群化行動と安定という基盤の上で引き出されている行動です。

ビデオをみていただけないためここで伝えるのは大変難しいですが、犬と犬の距離の縮め方にはいろんな形があり、特に社会的に緊張を伴いやすい犬は非常に時間をかけることがわかります。

逆に犬と犬の距離感を急いで縮めようとする状況や環境は、多くの犬には不利に働きます。犬同士が出会ってすぐに走り回り行動を始めたり、追いかけっこと見られるような追まわし行動は、犬同志が距離を十分に取れないことから発しています。

人の価値観からすると「犬と犬は出会ったらすぐにお友達」と誤解してしまうかもしれません。ですが、犬は大変社会性の高い動物であることを思い出してください。その社会性や社会的なシステムを維持している機能性は、人に近いものがあります。

走り回り行動をせずとも社会的な関係性がつくられていることを、犬語セミナーを通して学ぶ日となりました。
「犬が走っている=喜んでいる」「犬が動いている=楽しい」という思い込みを一度すてて客観的に犬をみると、また犬の新しい世界が見えてきます。


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