グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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野生動物の深追いをさせないようにするためにできることとは

この秋、栗林で毎日のようにうろつくイノシシを追うようになった犬のジェイ(黒ラブ3歳)の記録を先日のブログで紹介しました。

ブログ記事:令和八年の秋、イノシシ追い犬になる犬のジェイ

里山に暮らす私にとっては野生動物との遭遇というのは珍しいことではありませんし、山歩きやキャンプを趣味にしている人なら活動中に野生動物と出会ったり、見たり、気配を感じたことは必ずあると思います。

犬は人よりも敏感に野生動物の気配を感じ取って反応をするため、犬がいることでその危険性をいち早く知ることができるのは大変なメリットです。もっと言えば、そのために自然活動に犬を同伴させているといっても過言ではありません。

ところがこれに反する事実があるのです。それは、犬が野生動物の気配を感じたり察したとき、動物を追って走り去ってしまうという事実です。このヒヤリとする経験を山歩きやキャンプなどで経験したことのある方もいると思います。いつもはリードをつけて管理しているはずの犬を広い場所や他人がおらず車のない“安全な自然”で油断してリードを置いたり緩めたりしたときに限って犬が走り出したという経験です。

山の中で勢いよく走り出した犬は、茂みの中や森の中に野生動物の気配を感じとった可能性が高く、実際にそのような場面に出くわした人の話によると目の前を鹿が走ったのを追っていったとか、ちょっとリードを置いたら山へ走ったなどといったことを聞いたことがあります。本来なら、犬がいることで野生動物の情報が得られて「安全」になるところを、逆に野生動物との距離が縮まることが「危険」となってしまうという真逆の結果になります。

では、イノシシを追ったジェイの行動に戻って考えてみます。裏山を背にする里山の家で犬と暮らす私が最も恐れていることは、犬が野生動物を深追いしてしまうことです。深追いというのはその言葉のとおり、野生動物に執着して動物をしつこく追うことです。その行動とは、動物を追って走り出し追い続けることだったり、野生動物の足跡を嗅ぎながらゆっくりと追うことでもあります。速度は別として、深く追うのであればそれは私の定義では「深追い」ということになります。

今回、栗林を荒らすイノシシをジェイが追う行動の観察結果では、ジェイはイノシシを追ったが深追いはしませんでした。ジェイが立ち止まる最後の地点は、共に行動をしている私たち人間(家族)の立つ場所によって変わりました。そこにはいくつかの見えない境界線があり、私たちがその境界線を超すたびにひとつ先の境界線で停止するというように行動をしていました。

このジェイの境界線で停止しイノシシを深追いしなかった行動は私の求めていたものでしたが、それが実現できるかどうかを確認するためには野生動物との距離が縮まるタイミングを待つしかありませんでしたが、今回はそれを確認できました。といっても遭遇したのはたったの数回です。繰り返すことで(反復することで)安定した行動の再現性が高まることになり、結果として安心を得られます。

しかしジェイには事前学習の機会がずっとありました。彼がいつも食べている山のふもとの柿の木の下にはいつもイノシシが荒らした気配があり、ヤギがうろつく裏山の入口にはイノシシの糞便が落ちているのは日常です。山を少し奥まで歩けばそこにはイノシシのにおいの痕跡がたくさんあり、以前にもブログに記録した木に傷をつける牙かけやラッセル痕は人が視覚的に得られるイノシシの痕跡であると同時ににおいも残された犬にとっての情報源でもあります。

ジェイはそのイノシシの痕跡をいままで一年以上嗅いでいたものの、イノシシ本体には出会ったことがないというところからスタートしているのです。私の方はイノシシに出会ったことがなくとも画像や動画でイノシシを見たり想像することはできます。運転中に出会った瞬間に「ああ、これがイノシシなんだ」と認識できます。でも犬のジェイの方は事前にそのようなことを知らないのに、イノシシのにおいの痕跡からそのサイズや様子を知らなければならないのです。

これは犬に聞いてみないとわからないことですが、お互いにすれ違う可能性のある動物だったり、もしくは遠い昔に食べることのできた動物として遺伝的な情報としてある程度は持っているのではないかと推測しています。

話を元に戻しますが、イノシシのにおいの痕跡を嗅ぎ続けたジェイですが、この一年間、決して私から離れて動物を深く追ったことはありません。野生動物の痕跡はずっと続いていますのでそのにおいをたどっていくことはできるはずですが、それよりももっと執着しているのが私との距離感だったのではないかということです。

私との距離感といっても、ジェイが2歳前で私の家で共に住むようになってから経験と時間をかけて少しずつ距離をとって活動できるようになったのであって、いきなりリードを外して自由行動をさせてきたわけではありません。

山の中で野生動物を見て走り出す犬がいたとして、その行動を人と比較してみたらどうでしょうか。山の中で野生動物と遭遇した人が、驚いて山を駆け降りる行動をとることがあったとしても動物に向かって走り出す行動をとる人はまずいないでしょう。ここが犬と人の大きな違いです。

山で出会った野生動物を犬が追うのは犬なんだから当たり前だと思いますか。もし犬だから野生動物を追うのは当たり前だと考えるのだとしたら、その理由は、つまり犬にとっての目的は何なのでしょうか?イノシシを捕食するためにイノシシを追って走り出したと考えるのか、イノシシが怖くて衝動的い走り出したと考えるのか。犬が野生動物を追う行為が当たり前だと考えるほど答えが見つかりません。

私は、この行動は当たり前ではなく犬としては不自然な行動だと考えています。動物は行動をした結果、利益か不利益を得ます。山にいたとしても、里にいたとしても、出会った動物を犬が走り出して追う行動には大きな不利益が伴います。特にそれが自分の群れと共にいた場合には大きな損失です。犬の走り出す行動によってその群れと分かれる結果となるかもしれないからです。別の損失はイノシシが振り返って攻撃に転じた場合です。別の損失では自分が崖から落ちて怪我を負うという可能性もあります。

では、このような不利益を得る行動をどうして犬はするのでしょうか。そしてそのような危険な行動をさせないようにするためにはどのようにすれば良いのでしょうか。ぜひ考えてみてください。

山で柿を食べるジェイ



 

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川トレッキング&川トレーニングという「川トレ」で何を学ぶ?

お盆を過ぎてオポハウスには秋がやってきましたが、この夏もたくさんの思い出を振り返るころとなりました。

今年は例年以上に“川トレクラス”のご要望がありました。川トレクラスとは川トレッキングであり川トレーニングです。いつもは「山」という自然環境の中での学びですが、川トレでは山の中の「川」環境に絞って活動をするクラスです。

川トレ希望者の中には「うちの犬も泳げるようになりたい」という夢を抱いている飼い主さんが多いのですが、川トレの目的は犬を泳がせることではありません。結果として犬が泳げるようになるということはあり得ますが、どんなトレーニングの目的も結果ではありませんので川トレもまた同じです。

では、川トレの目的は何かというと、繰り返しお話している「結果」ではなく「過程」です。川という普段活動する場とは全く違う犬にとっても飼い主にとっても馴染みのない環境の中でどのように過ごすのか、これが川トレの目的です。

過ごし方は様々ですが、やはり山を過ごすのと同じように環境をよく知るためにまずは川の中を歩いていく川トレッキングから始めます。川の中央を歩くというよりも歩きやすいところを歩きます。リードをつけて歩きますが、山よりももっといびつな地形のため犬と人の連携が必要になります。石ばかりで水が流れているし川のゴウゴウという音で会話も聞こえません。

リバートレッキングするダンくんと飼い主さん



常日頃からリードをつけてい歩いているはずですが、これほど自分の足元に注意が向くとリード上でのコミュニケーションがいかに大切かわかります。

 

人が歩いて渡れる場所でも小型犬は泳いで渡る必要のある場面もあります。どのタイミングで犬が地面から足を離すようになるのか、サポートが必要なのか任せていいのか、ルードを変えた方がいいのか。リードをつけているときは一心同体なので経路を決める飼い主にはいくつもの選択肢を決断する能力も求められます。小型犬だからといってずっと抱っこして歩いてしまっては川トレーニングの意味がありませんので、どこまで自力でできてどこから援助するのかと犬への注意は欠かせません。

川の環境では大型犬の方が利がありそうですが、決してそうとも言えません。特に川トレッキングの場面では、小型犬たちは小さな岩に四つ足をのせてうまくバランスをとっています。大型犬なら足がひとつしか乗れない場所です。いくつもの違った岩にそれぞれの足をのせてバランスをとっている大型犬にとってはうらやましい光景です。

石から石へのジャンプも小型犬ならではの体重の軽さで実現できます。大型犬の方が体重がありすぎてジャンプ移動が難しいことが多いのです。自分の愛犬がこの環境でできることとできないことを飼い主側が知るチャンスにもなります。同時にさっきまでできなかったことをできるようになるという場面を見ることもできます。

移動する能力が高まることは動物として一番大切なことだと思います。家畜化の歴史のある犬は移動の必要がなくなったことで人同様退化しています。川トレッキングの練習は人にとっても犬とっても良いトレーニングになります。

リバートレッキングするコータくんと飼い主さん



川トレッキングで環境を把握したあとはやや深い場所に移動して「泳ぎ」の移動を試します。あくまで私たち人間が足がつく環境の中で安全に行っています。

「どの犬でも泳げるようになるのですか?」という質問には、もちろん泳げるようになりますという答えになります。どの程度泳げるようになるのかと聞かれると、それは犬にもより環境にもよりますから一概には言えません。川トレでは犬が泳ぐというのがどのような行為なのかを言葉ではなく実践で体感します。この体感とは犬に起きていることを人も体感するということで、つまり共感につながります。

泳ぎの得意なはるちゃん



泳いでいる犬の姿勢は足が地面につかない空間を歩いているのと変わりません。ただ立ち止まると沈んでしまうため、ずっと歩き続けなければいけません。歩く方向さえ決まれば、ただその方向にむかって歩いているだけです。

ただ、川の中には水の流れる方向というのがあります。上流から下流へ、そして大きな岩や川の地形によって流れが変わり、川の上と下ではまた流れの強さが違います。川の流れをうまく利用しながら移動できるようになるということは、犬が環境をうまく利用できるようになったということです。

移動の行為だけでは積極的に泳ぎと関われない場合には、水の中に落ちているものを拾ってくる行為で泳ぎを誘発することもあります。しかしこれは最初からではありません。まずはリードでうまく誘導しながら移動の行為としての泳ぎを引き出していきます。

川の中でのリードワークは歩いているときと少し違います。当校で許可をとっている場所は深い場所が比較的少ないため、そのスペースに犬がうまくはまりかつ移動の方向がわかるようにリードを操作していきます。

犬の動きをよくみながらのリードワークは歩行の練習とは違うのですが、万が一犬といっしょに川を渡らなければならなくなっときにはきっと役にたつと思います。だって、犬を抱っこした状態で川を渡ることはできませんから。先日豪雨で冠水した道路の映像をたくさん見ましたが、こんなときに犬といっしょだったら泳いで避難するしかありません。万が一はあるかもしれません。

初泳ぎのさゆちゃん



移動の行為としての泳ぎができるようになったら、水の中に投げたものを持ち運ぶ、リトリーブの練習で泳ぎを克服します。

持ってくる行為を縮めて持来(じらい)といったりしますが訓練で使う言葉なのでどのような言い方でも構いません。リトリーブが得意な犬もいれば得意でない犬もいますので、あくまでもその犬が得意であったらトライしてみましょう。

小枝をリトリーブするジェイ



ラブラドルリトリバーはその名前が示すとおり「持ってくる」が得意な犬ですが、特に水の中に落ちたものを拾ってくるのが仕事であったためこの作業には執着します。黒ラブのジェイは昨年はじめて川へ連れていったときには水につかることできず川岸でキュンキュンと鼻を鳴らしていましたが、今年は果敢に飛び込みをした上に一分以上泳ぐようになりましたが、これは遺伝子の情報が引き出された結果です。

小枝をもって泳ぐダンくん



上の写真はダンくんが泳いで小枝をくわえて持ってきています。物を口にくわえて移動するときはふつうに泳ぐときとは姿勢が違います。どうしても頭が浮いてしまうので後半身が沈みがちになります。地上での持ち運びとは違う筋肉を使ってバランスをとっています。

犬が泳ぐときにもっとも必要な体の部位はどこだと思いますか?答えは「尻尾」です。尻尾は歩くときにも走るときにも大切な役割を果たしていますが、特に泳ぐときにはもっと尻尾の役割が重要になります。尻尾は船でいうところの舵です。

舵の役割とは川の流れに流されないように直進を促すことです。舵である尻尾をしっかりと水面で降ることができればもっと直進するのですが、尻尾の短い犬は思うように行きません。また尻尾のちゃんとあるジェイですら尻尾をきちんと使うことがまだできていません。

ジェイの場合には、歩いたり走ったりするために尻尾の動きがそれほど必要とされなかったということでしょうが、風のように走るのなら、いや風の中を移動するときならもっと尻尾が必要だったはずです。今までそうした環境で使うことがなかったからという理由で発達していないのなら、泳ぎの練習によって回復する可能性はありますので期待は低く今後も川トレを続けていきたいと思います。

初泳ぎするといぞうくん



川トレでは犬が泳ぐ姿を見て「わー泳いだ~」と飼い主さんが喜ぶのは当たり前のことですが、ただそれだけではこの時間がもったいなさすぎます。犬がその環境の中で何を感じ何をしようとしているのか想像したり考えたり、そして一緒に体験して体感する時間になると犬との暮らしはもっと深いものになるはずです。

今年は川トレのために半年前から樹木の選定、竹を切ったり、川の中に浮かんでいた孟宗だけを撤去したりと労力を時間を使って整備を続けましたが、みなさんとの学びの時間でその苦労も報われました。

来年への学びにつながるようにこれから引き続きます。

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柿の実と犬の事件、ジェイに起きたこと。

七山ではお盆が来る少し前から涼しい風が通り抜け、例年よりも早く秋の到来を感じるようになりました。近くの農家さんから聞いたところによると、お米の育ち方も早いらしく酷暑の都会とは違った空気感があります。

秋が近づいてくると変わり始める風景の一つとして秋の実が育ち始めていること。栗林には大きな栗の実がなりそのうちのいくつかは地面に落ち始めています。

今年の初めに剪定した柿の木にはきれいな青い実がたくさんなっています。その柿の青い実のいくつかは熟す前に落ちてしまうのですが、昨年から柿の実を食べることにはまった犬のジェイが落ちた青い実を見つけました。

最近は柿の木周辺のパトロールに熱心だなと思っていたのですが、柿の実が落ちる前からジェイの頭上に漂うかすかな匂いを感知していたようです。もちろん私にはまったく匂いはわかりませんが、視覚の優れたホモサピエンスですから緑の葉に囲まれてカモフラージュした青い実を見分けることはできます。私もジェイも、そろそろかなと期待に胸を膨らませていたころでした。

偶然にも風の力で地面に落ちた青い柿の実は犬が食べられるほど熟してはいません。犬の顎の力で簡単に砕ける硬さではありますが、わりと慎重なジェイは一度に砕こうとせずに少し歯を当てては離れ、また少し歯を当てることを繰り返していました。多くの青い実は哺乳動物にとっては危険なもの、この様子では一度に食べることはないから大丈夫だなと青い実を取り去ることなく放置していました。

その日の夕方のジェイの夕ご飯の後、いつもよりとても早く外に出たいというシグナルを発しました。いつもは夜の21時から22時くらいに庭に出るのに、その日は19時くらいに庭にでていき、またかなり長い時間戻ってこなかったのです。青い実を少しかじって下痢をしたのか、もしくは新しい青い実を見つけて格闘しているのかどちらかは不明でしたが、20分ほどするとようやく戻ってきました。

事件はこの日の未明に起きたのです。

夜中の3時くらいに部屋の中を歩く足音で目覚めました。これはジェイが外に出るというシグナルとして部屋を歩く音です。飛び起きてジェイだけを庭に出して寝ぼけた私は玄関で待つ、やはり青い実を食べて下痢をしたのだと確認しました。

しばらくすると戻ってきたので再び部屋に戻りいったんベッドに横たわったのですがほんの数秒してすぐにまた歩き出すジェイの足音に飛び起きて、またジェイだけを庭に出して2回目は30分ほど待ちましたが戻ってきません。あまりにも遅いので服を羽織って外に出ようとしたタイミングでジェイが戻ってきました。

そして部屋に戻ったあとベッドに寝ようとしたのですが、どうやらジェイの方はまだ収まっていないようで、少しうろうろとしたあとベッドの近くに座りました。これはまだ問題が解決していないという合図です。

私は床に座る姿勢をとり、次の要求があればすぐに応じられるようにスタンバイしているよというアピールをしました。するとジェイは私の近くに対面で足を崩して伏せました。そのとき左足が小刻みに震えているのがわかりました。さらに時折足をつっぱるようにわずかに蹴り出す行為も見られます。その様子をしばらく見守っていたのですが、少しすると震えている自分の足をなめたりかじったりするようになりました。

ここからは私の推測になりますが、柿の青い実を食べたことがきっかけで下痢などである程度は排出したもののすでに体内に入り込んだ毒性があったのか軽い神経症状を起こしたのかなと思いました。本来なら毒性の強いものを食べた直後に胃が受け付けず嘔吐する、腸内で吸収せずに下痢をするで解決するはずですが、量が少なすぎて反応が低かったのかもしれません。

ジェイが足の様子を気にしているのが二時間ほど続きましたが次第に落ち着いてベッドに移動したのは明け方の6時前くらいでした。見守っていられたのは呼吸が安定していて意識がしっかりとあったからです。犬が熟す前の実を食べて消化不良を起こしたり、毒性のあるものを口にして嘔吐することなどはよくあることです。

先代犬のオポにも青い実の事件がありました。田舎暮らしを始めたばかりのことにたくさんのトマトを作ったのですが、トマトが好物のオポがまだ赤くなりきっていないトマトの青い実を一度に全部食べてしまったのです。このときにはしばらくしてすべて嘔吐し、その後は青いトマトを口にすることはありませんでした。

自然の中とはいえ普段から生活している環境なのでどのような植物がどこにあるのかということはある程度把握していますが、毒性のあるものをすべて犬から遠ざけることはできません。犬も間違いを犯しながら少しずつ学んでいくしかないのです。もちろん自分の犬にだからこそさせられることです。もし預かりの犬が同じようなことをしようとしたらすぐに取り上げて厳しく管理します。

自然との暮らしや体験は決して心地の良いものばかりではありません。むしろ自然の中では難しい問題や厳しい教えがたくさんあります。だからこそ、対峙して学ぶ価値があると思うのです。今回のジェイと青い柿の実の学びは完結したとは言えませんが、引き続きその学びを見守り、見守ることを自分の学びとします。

柿の青い実を嗅ぐジェイ



 

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犬を飼ったら暮らしが変わる

ここ数日、枕元でゴーゴーと鳴り響く雨の音がやっと落ち着いてきました。

都市のマンションの中では気にならない強い雨音も、山と川に挟まれた谷に位置する山の家では不安を感じる音になります。特に四年前の線状降水帯で家の裏山が崩れた記憶がまだ新しく、今年はどうかなと工事した斜面や水路の流れが気になります。

その雨もやっと上がったようでようやく梅雨明けとなりそうです。明日からは毎年必ずやってきてくれる強い太陽の日差しのもとでの活動が始まります。梅雨やいやだけど夏はもっと厳しく、嫌なものが過ぎ去ったなと思ったらもっと苦手なものがやってくる、自然の中とはいえ決して楽しいことばかりではありません。

そんな、ドキドキとワクワクがたくさんつまったこの山の家に住むことになったのも、先代犬のオポがきっかけでした。いや、きっかけというには軽すぎてオポという犬との暮らしが私の暮らしを大きく変えることになったというのが本当のところです。私の人生プランの中には絶対になかった山暮らしをすることになったのは、オポという犬を飼ったからです。

実は、現在お預かりクラスに来ている犬くんはこのお預かりの帰宅後は別宅へ移動することになっています。この犬くんの飼い主さんも犬を飼ったことで暮らしが変わり、マンションから庭付きの戸建ての家に引っ越すことになったグッドボーイハート生のひとりです。

初回のカウンセリングは二年前くらいだったかなと記憶しています。飼い主さんとの対立関係が強くなっていたのですが、同時に環境の変化に適応する能力、社会化が十分にできておらず、いろんな動くものに衝動的に反応してしまう厳しい状態でした。

飼い主が犬を管理するまでには相当の努力が必要でしたが逃げることなく忍耐強く向き合って下さったお蔭でやっと犬の方も逃げるのを止め、人と向きあうようになりました。散歩行動などもかなり落ち着いてきて、当校での預かり時にみなさんが見られた感じでは、どこに問題があるのかと思えるほどに変化したのです。

すでに購入されたマンションにお住まいで仕事を含める日々の活動でも過ごしやすい環境でいらしたようで、当初は引っ越すという選択肢はなかったのではないかと感じました。お仕事で延長に出張されるときだけ短期の預かりをしながら定期的に様子を伺いながら当校に通学していました。ところが、昨年「やはり庭付きの家に引っ越そうと思うのですがどう思われますか」という連絡を受けたのです。もちろん大賛成だと即答しました。

庭のある家で犬を飼った経験がありマンションでも犬を飼った経験のある方なら、庭のある家が犬にとってどんなに過ごしやすい空間であるかは理解できるはずです。そもそも山がお里の動物である犬が、室内から出ることできないというのはとても厳しいことです。

「犬の立場になって考える」ことを学ぶのが当校の目的です。マンションで犬を飼っているとしても、使えるテラスやベランダを活用する、できるだけ良い環境に長い時間散歩に行く、休日にはもっと時間と空間を求めて自然の中で過ごしてほしい、そんなことを提案しています。私から飼い主側に要求することはできませんが、犬の立場になって考えれば自然とそのような選択肢が生まれるのではないでしょうか。その究極の選択肢が、庭付きの家に引っ越すことです。

この究極の選択をした生徒さんたちがこれまでに何人もいらっしゃいました。覚えているだけで指の数には収まらないほどです。しかし、これほど大きく暮らしを変えることはそう簡単にできることではありません。犬の寿命は約十年です。私がオポと都会から山暮らしへと暮らしを変えたときにオポは7歳を超していました。そのとき体調を崩していたオポがもう何年もいや数カ月も生きるかわからないような状態でした。そうであっても、犬にとって最善の選択をしたいと引っ越しを決めたのは犬のためではなくあくまで自分のためなのです。

今回の犬くんとは別に来年早々には新築の庭付きの家に引っ越しを予定している犬ちゃんの飼い主さんが、「犬のために仕事を変えるとか家を飼うとかクレージーですよね」といって笑っていました。人から見ればクレージーなことかもしれませんが、犬のことを大切にして愛してやまないという気持ちが行動に移されたということです。

庭付きの家に引っ越したことで、毎日犬が庭に出て土の上に排泄をして、太陽を浴びて、土の上で昼寝して、風を感じて、雨を受けてぶるぶるして、草のにおいをかぎ、花をいっしょに楽しむそんな姿を見ることができるのです。私が引っ越したのが犬のためではなく自分のためだと言ったのは、犬が安心して豊かさを感じる環境で犬と一緒に暮らすことが私自身の願いであったからです。

犬の方は飼い主が引っ越す決意をしてそれを実行するためにどれほど大変だったかと思うこともありません。ここから帰ったら全く違う家になっていることに最初は戸惑い、落ち着かない様子を見せることもあるでしょう。でもすぐに庭を散策するようになり、今までとは違う姿を見せてくれるようになるでしょう。

一年位前に、福岡の中心部からかなりの山の中に引っ越してきた生徒さんも引っ越し後に「もうあの場所には犬を連れては戻れない」と言ったのが印象に残っています。その言葉と同じことを私も感じたし今でもそう思っているからです。

だからといってすべての飼い主さんがマンションから戸建てに引っ越すことができるとは思ってはいません。これは本当にすごく大きな決断でありチャレンジでもあります。私にはそんなことはできないと落ち込む必要もありません。その分は先に述べたようないろんな工夫を生活の中に取り入れていけば良いのです。

そういえば、山を一年借りるというシステムがあって私が覚えている限りでは2件のご家庭がこの山レンタルを利用していました。別の生徒さんは自然空間の中にある別荘を購入されました。別荘というと高級なイメージがありますが、田舎には空き家が増えていますから古い家を買ったり借りたり、アイデアはいろいろとあります。

どちらにしてもそのために時間とお金を使うという意味では同じことです。それが犬のためとなると不具合が生じますので、あくまで犬の豊かな暮らしが自分が一番望んでいるものだと思える人にだけこの道を選んでいただきたいのです。自分にはもっと別にしたいことがあったのに犬のためにこんなことになってと後悔することになるなら、その選択に犬も賛同しません。

山暮らしの動機となったオポ亡きあとにずいぶんと時間が流れ、今はジェイド(愛称)はジェイ)という黒ラブと暮らしています。朝起きてジェイと顔を合わせると、ものすごく長い伸びをしたあとにジェイがこう言っているように聞こえます。「それで、今日は何をする?」。

どんな暮らしであれ飼い主との暮らしが犬の暮らしです。犬はどこまでも飼い主に付き合う素晴らしい家族です。そんな犬と人の暮らしが豊かなものでありますように、皆で知恵を絞りましょう。

どんな暮らしが始まるかな



 

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“シャンプーゼロ”で暮らす犬のジェイ

黒ラブのジェイ(名前はJade)がうちにきて一年を過ぎました。一歳九ケ月で迎えたジェイも来月で三歳になります。

家に迎えたときには自分の尻尾をなめたり口でくわえたり、その他の体の部位をなめる習慣があったため被毛の一部が変色して茶色になっていました。特に尻尾の部分はひどく、生まれつき色素の薄いタイプなのかと思うほどでした。

しかし一年を過ぎて色は全体的に黒味が増してきて、特に目立った尻尾の茶色のアクセントもほとんどわからないくらいに黒く変わってきました。

テラスで休むジェイ



うれしいことに最近では「ジェイくんは毛の艶がいいですね。」と言われることが多くなりました。

そして、どのくらいシャンプーをしているのかとみなさんに尋ねられるのですが、実はジェイはここにきて一度もシャンプーをしていません。

そう答えると皆さん相当驚かれるのですが、逆に私の方は毎月のように犬をシャンプーすることの方が驚きです。カットの必要な毛の犬であれば定期的なプロのケアは必須だと思いますが、短毛の犬たちには月一回もシャンプーをする必要があるのだろうかと思うのですが、なかなか事情は難しそうです。

ジェイの場合は暮らしているのが自然環境の中ですから、汚れといっても泥汚れくらいです。都会暮らしの犬たちは科学的な汚れが毛についてしまい黒くなったりべたべたしたり、土で汚れるのとは違う汚れ方をしてしまい、そのことがシャンプーの多さにつながっているのかもしれません。

過ごしている環境の違いという点を考慮したとしても、シャンプーの回数を減らす、石鹸を使わずにお湯で洗うなどの方法を多く取り入れることで犬に負担をかけないケアができる可能性もあります。

オポ広場で雑草のカラムシを食べるジェイ



実は先代の黒ラブのオポも、山の家に引っ越してきてから八年間、一度もシャンプーをしたことがありませんでした。そのオポの毛づやの良さではよく褒められていました。

今目の前にいるジェイという犬の毛づやがきれいなのは、シャンプーの回数でもシャンプーの種類でもないということをジェイを通して伝えることができれば、これもまた犬からメッセージのひとつです。

もちろんジェイの毛づやが良いのはシャンプーをしていないからではありません。私たちの毛と同じように毛の一本一本に栄養だけでなくエネルギーや活力がみなぎっているかどうかということです。

毛のカールしたタイプの犬でも毛づやがすばらしい犬を何度もみたことがあります。その犬たちはイキイキと生きているというエネルギーやパワーを感じます。精神的な強さや脳の発達も毛のエネルギーに影響を与えます。そう考えると犬の毛というのはとても分かりやすい情報源です。

犬たちの生活やもっと大きなライフについて何が必要かを考えるのも、それを提供することができるのも、ただ飼い主だけです。だからこそ責任も重いのですがやりがいもあります。

敷地の境界線で宅配便を迎える犬のジェイ



 

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2049年でも必須のパワーコマンド“ステイ(マテ)”

少し前から読み進めてきた本『「風の谷」という希望 残すに値する未来をつくる 安宅和人氏著』がいよいよクライマックスに近づいてきました。この本の莫大な情報の多くをまだ十分に理解していないのですが、これからそのパズルのパーツを取り出して楽しむことになりそうです。

それで早速、この本の第一章の30ページに出てきたパーツをひろいました。

とはいえ、このまま行けば、人類は映画『ブレードランナー』で描かれたような、都市にしか住む場所のない未来へと一直線に向かうことになる。

『「風の谷」という希望 残すに値する未来をつくる』より引用

映画ブレードランナーとはどのような世界なのか、アマゾンプライムで検索して早速見たのですが、どうやらそれはこの映画の2作目だったようです。映画通でもないので映像から感じる未来都市を体感できればとふわりと「ブレードランナー2049」を見ていました。

ところが後半に入って「犬」が登場したために画面に釘付けになりました。シェパードくらいのサイズのミックス犬なのかふわるふわとした独特の毛質ですが、雰囲気満載の犬でした。

映画ではレプリカントと呼ばれる人造人間と人の関わりが中心なので、その犬を見た男性が「これは本物か?」と問います。もはやこの時代には本物の動物も樹木も存在していなかったようですが、私の中では本物であって欲しいという気持ちが高まり、やはり犬は人類最強の友なのだと印象付けるシーンでした。

さて、今回の話題はここからです。

このシーンの少し前に戻ります。ハリソンフォード演ずる男性(この犬の飼い主でもある)とこの犬が一緒に歩いてきて部屋の入口まで来る。男が立ち止まると犬もすぐ横後ろに立ち止まる。男が「ステイ」といって歩き出します。

2049年の近未来の都市空間でもステイの合図が使われているとは、なんとも感慨深いと思ったのです。すべてが破壊された世界に残された人と犬が、寄り添って生きているだけでも素晴らしいことなのに、まだこの段階にいたって犬は「ステイ」に応じているのです。

私が見た映画は吹替版であったにも関わらず、「ステイ」の合図は「マテ」ではなく「ステイ」のままでした。吹替なら「マテ」としてもよさそうなものなのに、なぜ「ステイ」のままだったのだろうと考えました。「ステイ」に込められているのは言葉としての意味ではなくシグナルとしての役割だからかと…。

犬にとっての号令(合図)とはシグナルであること、例えばこのシーンに犬がウォンと吠えたとしてもそれを和訳する必要はありません。訳などどうでも良いことなのかもしれませんが、たった一言の号令が示す人と犬の関係性はどうでも良いことではありません。

犬にしつけること、トレーニングすることは、決して複雑で難しいことではありません。このステイが表しているように、犬にポジションを与え犬もまたそれを果たす、ただそれだけのことなのです。どんなにたくさんのことができるようになってもステイ(マテ)ができていないのなら、関係づくりはこれからです。

「ステイ」、愛しい我が犬にかける美しい言葉。

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「もしも新しい犬を迎えたら」と「もしも自分に何かあったら」を考える

先月中旬にこちらのブログでも告知をした上に個別にもご協力をあおいだグッドボーイハート生のラーズくんは、新しいご家庭で元気に生活をしています。

ラーズくんを迎えて下さったのもまたグッドボーイハートで学んだご家庭であり、かつそのご家庭の犬くんとラーズくんはお預かりクラスを通して若いころから繰り返し関わった経緯もありました。そのため、今回のラーズくんの里親決定はスムーズに決まりました。

「もしも新しい犬を迎えたら」

ラーズくんの新しい飼い主探しのお願いを皆さんに送った直後から、ご心配いただく声やご協力に応じて下さる旨の連絡を受けたことは大変心強くありがたく感謝いたします。

また、数件の生徒さんから「もし受け入れ先がなかったら家で」というお声をいただいたことに大変驚きました。ラーズくんに直接会ったことのある方やラーズくんと自分の犬が関わっている様子を動画などで見たことのある方が「ラーズくんなら」と思う気持ちは良くわかります。

高い社会性や柔軟な性質を持つ小型犬はあまり多いとは言えません。グッドボーイハート生の皆様はみなすでに少なくとも一頭の犬を飼っているはずなので、次の犬を迎えるとなると多頭飼育になるからです。

多頭飼育となると「うちの犬が新しく迎える犬とうまくやっていけるだろうか」という心配が先立つはずですが、その心配やリスクが非常に低い上に多頭飼育で得られるメリットの方が十分に高いと予測させてくれる犬がラーズくんでした。

今回は多くの生徒さんが「もし犬を迎えたら」を想像した中になかなか良い光景が見られたこととお察しします。お預かりクラスをあまりご利用でない方の中にも告知の写真から何かを感じられたのか「この子なら多頭飼育が全然大丈夫ですよね。もしもでしたらうちで」とすぐに連絡をいただきました。犬のことを深く学んでいる生徒さんだからこそ写真で受け取ることのできる情報量も多いのだと痛感させられました。

「もしも自分に何かあったら」

そしてもうひとつこの件を通してみなさんお頭の中をよぎったのは、「もし自分に何かあったら目の前にいるこの子を誰に託せば良いのか」という質問であったと思います。

うちのようにたとえ夫婦で犬を飼っているご家庭でも、夫婦が二人とも一緒にバン!してしまうことも十分に考えられます。どちらも一緒に死んでしまったら私たちの犬はどうなってしまうのかということは、犬を飼う前に決めておくべきことです。今までなんとなく曖昧に考えていたことを、強く想像するきっかけになったのではないでしょうか。

私個人のことを言うと、ジェイを友人の紹介で譲り受けた理由の一つが「もし私に何かあったら」、でした。もし私もしくは私たち夫婦に何かあったらその時にはジェイのお里である友人もしくはその施設に連絡し、次の飼い主を探してもらうことも譲渡するときにお願いをしました。

犬を成長させるための様々な目的の中には社会化というものがあります。もし環境が変わっても犬がうまく新しい環境に順応してできるだけストレスを抱えずに生活を転換させることができる力もまた、社会性の高さにつながっています。

今回生徒さんたちとのやり取りの中で、「ジェイならうちでウエルカムです」と言って下さった生徒さんを見つけました。小さいとはいえ20キロを超える犬を管理し育ててくれるご家庭はそう簡単には見つけられません。その上、犬のことをちゃんと理解し共感して愛してくれる飼い主となるともっと見つけられません。それが生徒さんの中に見つかったのです。

こちらからも「もしものときにはぜひ」ということになり、この依頼については、逆に先方の犬に行先がなくなったときには私の方で、というトレードとなりました。もちろん犬のために全力で何が何でも犬を見送るまで生き抜くつもりではありますが、どんなことも明日は我が身ですから、ちゃんと警戒して防衛する必要があります。ジェイのもしもには選択肢が広がりました。

二つの「もしも」。みなさんはどう考えられたでしょうか。


 

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お休みの日に感じたこと、学んだこと。

もう数年前からダンナくんが要望していた「ダンナくんの帰郷」の願いを叶えるために、皆さまにご協力いただいて数日のお休みをいただくことができました。

ところが、休日を直前にしてダンナくんが左手を骨折するという事故が起きてしましました。そこでダンナくんは帰郷計画を断念して治療に専念することになりました。そして、私はそのお休み時間を犬のジェイと満喫することにしました。

 

犬のジェイと車でお出かけ練習

ジェイを連れて外出したことが全くなかったので、車での外出体験も練習をかねてしておこうと初日は佐世保のパールシーリゾートに出かけました。この日は夫婦で外出したこともありクレートを利用せずにバッグスペースにジェイを待機させる状態での移動を試しました。車での移動は訓練期間も含めて慣れているはずのジェイでしたが、左右に大きく揺れる山道には馴染みがないのと、今までなら車では人の足元に居場所を作っていたはずのジェイは足元の方に移動しようとするような行動も見られました。どんな行動にも経験や慣れという習慣性というのが影響されますから、ジェイの行動を見ていてそう感じたのです。

クレートでの移動はできることを確認済みだったので、お休み期間をとおして、車ではバックスペースに待機させる練習を繰り返し、三回それを体験させるとやっと落ち着ていて過ごせるようになりました。大型犬なのですぐにクレートを準備できなくても車に待機することができるようになっている方が安心です。どのような練習も短い期間で繰り返し体験させる方が身に着きます。お休みが数日間続いたからこそできた移動の練習となりました。

パールシーリゾートは犬が歩けるスペースもあり少しだけ水遊びもできました。このすぐ近くにお住まいのグッドボーイハート生の情報では、夏場は犬もいっしょに泳ぐ練習をしていたそうです。“遊泳禁止”と書いてありましたが犬なら泳いでも良いらしいです。整備された公園でしたが水がとてもきれいで、こんなところで水泳教室ができたらすばらしいだろうなと想像しました。他にも散歩中の犬ちゃんがいましたしあくまでも公共の場なのでそこは配慮しながら、ですね。芝生は犬のトイレ禁止の看板もありました。自然公園とは違う空間を気を引き締めながら楽しみました。遊覧船の通過を見学して良い社会勉強となりました。

遊覧船が通過したあとに起きる波と風を感じて踏ん張るジェイ



ちなみにパールシーリゾート内にあるUMIAC(うみあっく)というお店は梅吉くんのご家族のお店です。アミアックにはモンベル、ノーフェイス、ニールズヤードといったお気に入りの製品が置いてありました。モンベルの青い笛を見て新しい企てを思いつきお土産といたしました。

 

くろやぎさんとしろやぎさんたち

お休みのほとんどはジェイと山羊たちと共に山で過ごしました。いつもは係留しているヤギのアールとゼットをできるだけフリー活動させてあげたくて、アールとゼットを12メートルの長さのリードでつなぎ、ある程度はフリーで活動できる状態にして見守りました。

三頭が集まっているのはケンポナシの木の下です。ケンポナシはクロウメモドキ科ケンポナシ属の落葉樹木です。この季節にケンポナシの実がたくさん落ちているのですが、三頭ともこの実を競って食べています。熟すとナシのような香りと味がして人も食べることできます。ときどき食べてみますがものすごく美味しいというわけではないのですが、甘いので犬が好んで食べるのはわかるような気がします。

しかし、このケンポナシを山羊たちが食べるというのはどういう仕組みなのでしょうか。ヤギは栗の実も食べないし柿の実にもあまり関心を示しません。ヤギはケンポナシを食べるのだろうかとググってみると、なんと私自身が書いたブログやインスタグラムが出てくるだけで他の情報が見当たりません。特にゼットの方はかなり熱心にケンポナシを食べていました。ヤギのゼットと犬のジェイが同じ食べ物を競うように食べている風景を見ていると、普段には見られない同族感を感じました。

ヤギは 犬のジェイとヤギのゼット(中央)、アール(左端)



ケンポナシの効能について調べてみました。

果実は利尿,解毒作用があり,二日酔い,嘔吐,口渇のほか,大小便不利にも用いる.中国では幹の汁をわきがに外用する.樹皮の煎液は消化不良に服用,痔に外用する.葉も二日酔いに煎液を服用する.
太く肉質になった果柄は非常に甘い.(熊本大学薬学部薬用植物円植物データベースより引用)

ケンポナシはまっすぐいに育つ太い幹を持つ樹木なので家屋にも利用されていたようですがケンポナシの柱を使うと酒が水になるといった文章も見つかりました。うちは人も含めてお酒には縁のない暮らしですが解読作用もあるということですから、当面の間は食べて良しとすることにしました。

尾歩山のケンポナシは移転時の山の手入れの際に二本を植えていただいたという記録が残っています。しかし実際に尾歩山にあるケンポナシは5本くらいあります。モミジよりも早く成長して種を高く飛ばした結果、自生しながら増えていったようです。

ケンポナシの実は昨年も落ちていたのですが、山羊たちがこの実を食べていたかどうかをあまり覚えていません。昨年のこの時期はジェイ広場作り(当時は名前なしの広場)に没頭しており、山羊たちとゆっくりと散策する時間を持てていなかったのだろうと反省しました。

中央の木がケンポナシの木



山羊たちにフリータイムをと思ってじっとそばで様子を伺っていたのですが、ケンポナシを食べている時間が相当に長くかかっていたようでほとんど移動していませんでした。長いリードでつながれた二頭のヤギを山に放置したまま、ジェイと少しずつ移動をするとジェイがまた新しい雑草を夢中になって食べています。


画像検索しても植物の名前がわからず、はじめはイノコヅチかなと思ったのですがどうやらこれはイヌタデのようです。すごく巨大なのでイヌタデのように見えないのですが、山にある植物はオオバコであれミツバであれシロツメ草であれ、さらに植えていただいたオクラでさえ巨大化しているためイヌタデではないだろうかと予測を付けています。

イヌタデは人が食用とする山菜で薬効としては以下のようなものがあるそうです。

イヌタデの薬効には、胃炎や健胃作用、回虫駆除、利用作用、解熱作用、そしてマムシに咬まれた際の応急処置などがあります。(AIによる概要から引用)

マムシに咬まれた際の応急処置としては葉を絞って傷に塗るらしいのですが、覚えておきたいと思いました。

こうした薬効成分があることを知らずにイヌタデの葉をむしって食べるジェイを見ながら、人に近づきすぎた犬もまだ動物としてまだ忘れることのない情報や行動を持っているのだなとほっとします。

 

勉強も妄想も、どちらも楽しく

お昼は制作が途中になっているテラスで休憩を取りました。屋根ができあがっていないからこそ見ることのできる秋の絶景を楽しみました。

制作途中のテラスの上で休むジェイ



紅葉の始まる気配を感じられる秋の季節は、いつまでもこのままでいてほしいと思えるほどの有難い時間でした。

ゆっくりとした時間に読書も進みました。今読んでいる本は「風の谷という希望」という本です。みなさんにとてもおすすめしたい本なのですが、最後まで読み切ってからご案内します。もちろんすでに読んでいる方がいらっしゃいましたらぜひお声をかけて下さい。いっしょにワイワイとお話できることもまたグッドボーイハートならではの時間です。

そして最後には小さな喜びであるランチタイムの写真です。ランチとして準備したのは、広島の有名なパン屋さんのパンと、うちのニホンミツバチたちからいただいた蜂蜜の入ったヨーグルトにきなこと黒ゴマをまぜたもの、そして自慢のうちの水でいれたコーヒーです。私のこれからの新たな“夢”が実現するのかどうかがつまった写真です。この夢は本当に小さな夢で、本当に実現するのかみなさんもいっしょに楽しんでいただけたらと思います。オポディまでお待ちくださいね。

テラスでおうちカフェ



そんなこんなでお休みはあっという間に過ぎていきました。

ジェイと水入らずで過ごすゆるやかな時間を通していくつもの気づいたことがあります。解りやすい行動の変化としては、排泄の場所がいつもとは明らかに違ったことです。これは以前から状況に応じて多少の違いを見せていたので、ダンナくんの方も敏感に感じ取っていたようです。

お休みの日々のジェイの排尿と排便場所は大きく広がりました。普段、預かりの犬達がいる時、預かりの犬が落ち着かないとき、何か複数のクラスがあったり人の出入りが多いときは、ジェイが排泄をする場所が家からとても近い場所になります。もちろんテラスの上などではしないのですが、テラスの制作中に道具がテラス前のあちこちに置いていたときにも同じように排泄の場所が家の近くになりました。小さな環境の変化が、ジェイという犬には影響を与えていることがわかります。この変化は今後も続く可能性もあるし、ジェイの暮らしの中で今後は違う形へと変化する可能性もあるし、それも含めてジェイの変化として観察を続けていきたいと思います。

また次の解りやすい変化としては、被毛がとても柔らかくなったことです。普段はあまり大きなことに驚いたりせずに、預かりの犬が到着しても見に行こうとしたりしないし、性質的にはおっとりしているように感じられるジェイですが、実はとても繊細です。ダンナくんは「オレに似て繊細やな…」とよく口にしていますが、神経質ということではないのだけどなと私は黙って思っています。

自分の家に複数の犬が長い期間に渡り泊っているという特別な環境がジェイの暮らすオポハウスの仕事です。そういえば、私の母も父も同じような環境で育っています。母は旅館の娘だったので、自分の暮らす家にお客様が泊りに来るという生活でした。父の方は料亭の息子ですが、やはり自分の住まいにいつもお客様が来ている環境で育っています。そういう意味ではジェイも父は母と同じ旅館のコということになるでしょう。

ですが、ジェイは旅館に泊りに来る犬達と共に成長する機会も得ています。毎日みなと一緒というわけではありませんが、半分くらいの時間を広場に入って過ごしていますし、他の犬と過ごすことをジェイも拒否していません。今後もお預かりしている犬達との時間がジェイにとってもお泊りに来ている犬達にとっても楽しく有意義な時間となるように私達が管理するようにと勤めてまいります。

お休みがあるからこそメリハリもできます。今後もみなさんに思いっきり甘えながらお休みを確保させていただこうと思っています。どうぞ、宜しくお願いいたします。

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犬のジェイとオオスズメバチ【後編】

犬のジェイとオオスズメバチの出会い、オオスズメバチと私の戦いについての記録です。前編はこちらからどうぞ。

犬のジェイとオオスズメバチ【前編】

後編に続きます。

前編では、ジェイと小型犬くんとわたしが三匹のオオスズメバチから退散して広場を出るところまでをお話しました。このままでは広場が使えないため、オオスズメバチを広場から追い出さなければなりません。

いつも大切なときには何故か現場にいないダンナくんは、やはりこの日もオポハウスを不在にしていました。しかし、夕方になるとダンナくんの弟子としてお手伝いに来てくれているとしちゃんが来ることがわかっていました。30代の男性だから頼りになります。

作戦を立てるために、唐津で農家をしている生徒さんに状況を連絡し、何か秘策があれば教えて欲しいという旨を相談しました。生徒さんはすぐに連絡を下さり、良さげなネット情報を教えて下さいました。

その対策とは、木酢を使うというものでした。木酢をクヌギの木につるしたり振りかけたりするとオオスズメバチが近づかなくなるらしいのです。木酢は様々な虫よけとして日常的に使っており、オポハウスには大量に常備してあります。早速、ペットボトルに木酢を入れて樹木に下げる備品を樹木の本数ほど準備しました。

しかし、現在オオスズメバチが集まっている木に近づくことはできません。夜になればきっと山に帰っていくはずだからと待ち続け、21時くらいになって作戦を開始することにしました。私ととしちゃんは養蜂用にもっている簡単な防御服を着て、念のためにライトを軽く照らして、さらには念のためにスズメバチ用の殺虫剤も準備して現場に向かいました。

オオスズメバチさんたちもこんな時間には山に帰っているはずだと思い見に行くと、なんとまだ同じ場所に三匹のオオスズメバチがいたのです。夜になったのに巣に戻らず、クヌギの樹液にみなで集まっています。これはもう直接対決しかありません。

犬の過ごす場所なので殺虫剤を使いたくないのですが、このままではもっとたくさんのオオスズメバチが集まってきて誰かが大怪我をしてしまいます。今回は仕方なく殺虫剤で追い払った後に、木酢を木にスプレーして、木酢ボトルをぶら下げて、わかりやすいように小枝を切って整備をしました。翌日になるとオオスズメバチはいなくなっており、飛んでくるオオスズメバチも木にとまらずUターンしていく姿を見て、広場の安全を取り戻したとほっとしていました。

しかし、そのさらに翌日にはまた二匹のオオスズメバチがクヌギの木に戻ってきました。樹液がたくさんでているようでいつも同じ木なのです。スプレーした木酢の臭いが薄くなってしまったのかもしれません。その後はオオスズメバチを見つけるたびにスプレーを遠慮なく降って追い払っています。大きいのでスプレーが当たっても死ぬことはないのですが、何もしないと占領されてしまうので防衛としてやっています。

預かっている犬達はスプレーをもって立ち上がる私の姿の方に注目していますが、ジェイのようにオオスズメバチにそのものに反応する犬はいませんでした。オオスズメバチは他のハチと同じように黒いものに攻撃するという習性があります。なぜ黒い色なのかについてはいろんな説があるようですが、この習性は間違いありません。

しかし、防衛作戦が効果を上げているようで、広場には安全と安心が戻ってきました。ジェイもその後は大きな反応をすることはありません。

前編にも書きましたが、野生の生物と犬の関わりにはリスクもありますが学びもあります。どこまでを見守り、どこから管理すべきなのかの判断には迷いがでることもあります。もちろん、預かっている犬達であればリスクよりも管理が重要です。しかし、自分の愛犬となると、管理よりも多少はリスクありの方に振れてしまいます。生物との対話で学ぶことという貴重な体験をすべて奪いたいとは思いません。

オオスズメバチはまだ活動期です。今年から来年にかけて、ジェイがオオスズメバチとどのような対話をしていくのかが楽しみです。しかし、黒いから対話なしに攻撃されてしまう可能性もあるのですが、どうだろうねジェイ。


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犬のジェイとオオスズメバチ【前編】

自然という環境の中で犬といっしょに活動することにはたくさんの楽しみがあります。中でも貴重な体験は、犬が野生の生物たちとどのように関わるのかを見ることが出来ることです。

先日出版したグッドボーイハートの本の中にも、犬のオポがヤマカガシというヘビと遭遇したときの様子について書きました。よくいう「もし犬が○○に出会ったら」とか「もし犬が○○と戦ったら」みたいな感じでいろんな想像をするのですが、その想像を超える現実が目の前にあったら本当にドキドキが止まりません。そして今回は、犬のジェイとオオスズメバチについての話です。

黒ラブのジェイは山の学校で暮らし始めてから10ケ月が経ちます。しかしまだ一シーズンも超えていないので、出会う生物も植物もみな彼にとっては新しい対戦相手ということになります。

ジェイは生後一歳九カ月まで訓練施設に入っていました。ジェイの子犬時代について詳しくは聞いていないのですが、ジェイの山に来たばかりの体の使い方を見る限りでは、ジェイは山で過ごした時間はほとんどないのではないかと思っています。都市空間で育ったジェイが山の中で出会う生物にどのような反応を見せるのか、見逃してはなるものかと真剣に見守っています。

先日、オポ広場にジェイと預かりの小型犬の二頭と共に過ごしていました。どちらも草を食べることが多く、この日も地面をくんくんと嗅ぎながらそれぞれにお気に入りの草を探して歩いていました。私は日陰を見つけて腰を下ろし、二頭の様子を伺っていました。

すると、ジェイが数本のクヌギ(どんぐり)の木の下で、突然自分の大腿部あたりに鼻先を向け、次の瞬間には上を見上げました。この反応は、「誰かに攻撃を受けた、しかもそれは上からやってきた」です。そしてくるりと回ってもう一度上を見上げました。

この反応が特に大きな動作だと感じた私は「スズメバチか…」と予測し、「ジェイ、カム」と呼びの合図をかけて私の方に引き寄せました。私とジェイの距離は20メートル位です。何かの虫に集中していたジェイは、一回目の合図には反応しませんでしたが、二回呼ぶとこちらに走ってきました。

犬が虫などの生物に対してやっていることを止めるべきか見守るべきかは、瞬間的な判断が必要です。全てを止めるべきではないが、状況によっては管理も必要です。スズメバチはこちらが攻撃すると反撃に転じることもあります。それが一匹ではなく複数になることも想像されるので反射的は攻撃はデメリットが多すぎると判断した上で、合図での管理をしました。

ジェイが私の元に走ってきたあとに状況を確認しようと立ち上がると、ジェイが再び木の下に走っていきました。そして、木の下で顔を上に向けて回っています。鼻先で危険な何がなんであったのかを確認しようとしています。一旦は私の元に来たもののすぐに戻っていくということは、ジェイは攻撃を受けた何かに執着している状態だったということです。それが何であるかを確認するという作業がまだジェイの中で続いていたということです。

犬が自然環境の中で危険を感じることなどよくあることです。その危険度も低いものから高いものまで様々にあり、危険度の高さは攻撃を受けた度合い、その気配の音や色やにおいなど様々な情報によって決められます。ジェイの頭上で飛ぶ昆虫は樹々の間に隠れて目視することはできません。おそらく音と臭いが気配となって伝わってきたはずです。

これらの対面は、当然のことながら経験の多いものは落ち着いて対応し、経験の浅いものは興奮してしまいます。自然環境での活動が未熟なジェイの動きは、興奮が高い上に執着が強く、これ以上の探索は危険だと私が判断しました。ジェイを再び呼び寄せて、遠くの木に係留しました。

もう一頭の犬はこの全ての状況に全く気付いておらず、草をにおう散策を離れた場所で行っていたので混乱を避けるためにこの犬の方には声をかけずにそっと現場に近づいて状況把握を開始しました。

そして木に近づいてビックリしてしまう風景を見たのです。クヌギの樹木のちょうど私の目線よりと同じくらいの高さに、三匹のオオスズメバチが集まって活動しているのです。オオスズメバチといえば世界最強のスズメバチです。ご親切なことに黄色と黒色のはっきりとしたボティで「危険ですから近づかないで下さい」とメッセージをくれています。

これはまずいです。絶対にピンチの状況です。振動に敏感なオオスズメバチを刺激しないように、すばやくしかも静かにジェイのところへ戻って首輪を持ち、同時に小型犬の名前を呼んで出口の方に移動を始めました。

ところが、いつもはすぐに走って来るこの小型犬くんが草に夢中になっているようで私の合図に気が付きません。オオスズメバチを恐れて大きな声を出せなかったのもありますが、とにかく早く広場を出なければと、念を入れて名前を呼び続けるとはっと気づきこちらに走ってきました。そして二頭とわたしは無事に、広場を出ることができました。

しかし、オポ広場はオオスズメバチに占領されたようなものです。

オポ広場を奪還せよ!

ミッションがスタートしました。後編に続きます。

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