グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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夏の終わりに、グループトレッキング&セミナーを開催しました。

お盆を超えて涼しい風に心地よさを感じる時間が増えてきました。

犬たちの夏休みもそろそろ終わりが近づいてきました。

今回は、平日のセミナー&トレッキングクラスを開催しました。

オポ広場でフリースタイルのコミュニケーションタイム



飼い主さん同士が交流が多かったこともあり犬同士もリラックスしていたため、グループトレッキングクラス前にフリータイムを設けました。

お預かり中の数頭の犬たちも参加させていただきました。

広場の三分の一が日陰のために自然に日陰に集まってきました。

到着時にリードを外す前には勢いのあった犬たちがリードを外してしまうとわりとチーンとおとなしくなってしまいます。

山の中で休憩する犬たち



飛ぶ虫に悩まされていた山の中もだいぶ過ごしやすくなりました。

この日は山羊のアールとゼットも山の中でフリー活動をしていました。

アールは朝のうちに柵をくぐって脱走をはかっていました。

ゼットはいつもとおりゲートを開けると山の方へ歩いていきました。

 

やぎのゼット



山頂から降りて来ると私たちを出迎えたのは山羊のゼット。

山羊好きの生徒さんたちは「ゼット、オイデ~」。

山羊に興奮する犬と歩く生徒さんたちは「ゼット、来ないで~」。

オイデとか来るなとか言われても全くマイペースのゼットにアールも合流したため、私が最後尾に回ってうまく回避して下山してきました。

グループトレッキングクラスで山歩き



隊列を組んでゆっくりと歩く犬たちの姿です。

写真では斜め掛けのリードを使っている上級者の方も多いです。

リードを引かずポジションを理解する犬たちは軽い補助でリラックスして歩きます。

対面のクラスのあとは、犬語セミナーを開催しました。

毎回、みなさんと対面しながら学ぶ犬語セミナーでは犬の行動についての疑問だけでなく、犬の習性について、犬に私たちが与えている影響についても考える機会をくれます。

犬語セミナー2024年8月



犬語セミナーには答えはありません。犬について真剣に考える時間が大切です。

犬語セミナーを動画配信してはどうかというご意見もいただきましたが、対面クラスで生まれるエネルギーにしばらくはこだわっていきたいと思います。

次回の開催は未定です。

Posted in 犬語セミナー, クラスのこと

犬の服従性と依存性について~その起源、人と犬の関係性について

2024年4月の犬語セミナーで「犬の服従性と依存性について」についてお話したのでそのまとめをしながら、さらに深い部分まで掘り下げていきます。

 

●犬の性質は犬と人の関係性に影響する

ご存じのとおり、それぞれの犬の性質(性格)は大きく違いがあります。

柴犬とトイプードルでは違う犬種ということで大きな違いがありますが、柴犬と柴犬、トイプードルとトイプードルと同じ犬種を比較しても個々の性質には違いがあります。

性質については「生まれか育ちか」という疑問が生れますが、そのどちらもが影響しあって出来ているのが性質であることは間違いありません。

しかしここで上げる「服従性」というひとつの性質については、かなりのウエイトにおいて生まれつきの資質の方にウエイトがあると言えるでしょう。

はっきりというと、生まれつき服従性の低いものを極端に服従性の高いものに変化させることは難しいということです。

例えば、盲導犬などの使役犬の繁殖の中では犬の服従資質という質を重要としていることなどに表れています。生まれつき服従性の低い犬を盲導犬にしようと訓練をしても決して盲導犬になることはありません。

使役犬には適性という一定の資質の枠がありその中に入っていない犬を訓練することは犬の負担にもなるため繁殖はとても重要な計画になっているのです。

となると、うちの犬は使役犬にはならないから服従性など関係ないと思われるかもしれませんがそうではないのです。

犬の服従性という性質は人と暮すすべての犬が持ち合わせている性質なのだということをまず理解します。

犬の服従性質がある変化を見せたことで今の「犬と人との暮らし」が成り立っているのですからとても大切な性質なのです。

同時に、個々の犬の服従性という特質は犬と飼い主の関係に強く影響をします。

自分の犬の服従性についてよく理解することが、犬とどのような関係を築いていくのかということに影響をするのです。

少し関心をもっていただけたでしょうか、では次に犬の服従性の起こりについてお話します。

 

●犬の服従性の大きな二つの起源

犬の飼い主に対する服従性とは、犬た人と暮すようになった起源ともいえます。

これは歴史的な過程で、振り返ってみればなぜ犬という動物はこうして人と暮すようになったのだろうかとあくまで仮説としてしかとらえることができません。

いくつかある仮設の中で今でも最も有力であり、私もそうだと信じている二つの起源説についてはコンラート・ローレンツ先生がその著書「人イヌにあう」の中に記しているものです。

 

犬の服従性の起源① 子犬の母犬に対する愛着という絆

多くの家庭犬にみられる幼い子犬としての気質で、この幼犬としての気質はほとんどの犬で生涯にわたり持ち続けられているようです。

この気質は犬の形に見ることもできるのですが、例えば、丸い犬の頭、短いマズル(鼻からの長さ)、垂れた耳、ふわふわした毛質などに子犬としての形が残されています。

大型犬はオオカミに近い形質をもった犬ですら頭の長さは顎の形は野生の犬科動物とはかなり違いがあります。

また鼻慣らし行動や甘え行動なども成犬になっても見られる場合が多くあります。

子犬期に人との暮らしに馴染める理由も人を母犬の代わりとして接触することができる犬という動物の特徴の一つであり、またこのことで飼い主は犬を赤ちゃんとして可愛がる満足を得ることができるのです。

ただこの犬の赤ちゃん扱いはとても重篤な犬の問題行動や犬の発達不全を引き起こす問題となりますので注意が必要です。

 

犬の服従性の起源② 犬を群れのリーダーに結び付ける絆

服従性の二つ目の起源は、飼い主を犬のリーダーとして服従するという性質です。

これは犬のしつけでよく言われる「飼い主は犬のリーダーになって下さい。」という部分なので頭の中では理解しやすい反面、犬と親子関係でいたい飼い主にとっては馴染みにくいかもしれません。

親子関係から主従関係ということは、親子関係の愛着から上司と部下という少し緊張感のある関係へということになります。

この二つ目の起源である服従性質を持てなければ飼い主と主従関係を結ぶことはできないのですが、ところがほとんどの犬は主従関係を結ぶために必要な服従性が備わっています。

それは愛玩犬と呼ばれるトイプードル、チワワ、ポメラニアン、ダックスフントにも備わっているものなのです。

 

●服従性か依存性か

二つの服従性の起源について説明をしましたが、服従性と混乱されていている「依存性」について説明します。

依存性は服従性とは異なります。間違いの多くは、犬の依存性を母子関係の服従性と間違えていることです。

母子関係の服従性とは、母と子という立場上の違いによる役割分担で成り立っています。

例えば、母犬がエサをとってきて子犬に与えるというもので、家庭犬は生涯これが続くことが生涯にわたって飼い主と母子関係が続く理由にもなっています。

ところが依存性というのは、犬と人がお互いを利用しあう関係になります。

犬側でいう依存性の高い行動とは、飼い主の膝に居座る、飼い主に自分に関心を示すことを要求する、飼い主について回る、飼い主のもの(匂い)に執着を示す行動などがあり、犬の飼い主に関する依存性の高まった状態が犬の分離不安状態です。

人側でいう犬に対する依存性の高い行動とは、犬をよくさわる、抱っこしたい、すりすりしたい、犬をよく見ている、犬を膝の上の乗せたい、犬の要求にすぐに応じるなどの行動がありますが、こちらも人側の犬に対する分離不安状態になっています。

依存性という関係性はお互いを利用しあう関係であって服従関係の示すところの役割分担による群れ行動とは違うということをはっきりと認識することが大切です。

依存関係はいずれ関係のひずみを発しますので、犬の吠える、咬みつく、常同行動、破壊行動、落ちているものへの執着である拾い食い行動などの重篤の問題行動が発生します。

こうなると犬と人というひとつのグループ(家族)は群れとしての機能を失い不安定な状態になります。

逆に、服従性質が発揮され犬と人が主従関係を構築するようになると、そのグループ(家族=群れ)はより強化され安定性を増していきます。

犬は飼い主を群れのトップとして尊重し、飼い主もまた犬を家族の一員として尊重するという強い絆を作ることができます。

これは犬にとっては犬という動物としての習性が最も発揮されるところで、その活動はとても生き生きと美しいものでさえありますので、犬と暮す方にはぜひ体感して欲しいと願うところです。

 

●なぜ学ぶのか

最後に、なぜこのようなセミナーを開催しているのかについて説明します。

犬の飼い主は犬の行動学の専門家ではありません。よほどの興味関心がなければ犬について勉強をしようという気持ちにもならないかと思います。

そんな面倒なことをしなくとも吠えるのを止めさせる簡単な方法が知りたい、というのが飼い主の求めていることだということはわかります。

しかし、犬の問題行動を簡単に止めさせる方法ほど危険なものはありませんし、その問題をきっかけに知るはずだった犬の本当に知ってほしいメッセージを封じることになってしまうのです。

逆に犬の問題を犬のメッセージととらえ、自分と暮している犬の行動、習性、性質をよりよく知ることで、自分と犬との関係性が変化する可能性があるとしたらどうでしょうか。

そのことが「犬がより暮らしやすくなる」方向に向かうのだとしたらどうでしょうか。

もちろん犬のことを知ることで飼い主の方は犬と同じ、いやそれ以上に大きな喜びを得ることができると思います。

関連記事:「犬の服従性行動について」セミナーまとめより

Posted in 犬語セミナー, 犬のこと

「犬の服従性行動について」セミナーまとめより

先月の犬語セミナーで取り上げた「犬の服従性行動について」をテーマに、本日は補講と称して2回目を開催しました。

セミナーを受講された方の復習用にまとめとして記載しておきます。

主に5つのテーマに分けて説明を進めました。

  1. 犬の服従性行動とはどのような目的を持った行動か?
  2. 犬の服従性行動とはどのような行動のことを言うのか?
  3. 犬の服従性行動は大きく二つに分けることができる。
  4. 犬の服従性行動と見間違いやすい行動とは?
  5. 犬の服従性行動を引き出すために飼い主としてできること。
答えの欄を見る前に、この項目について自分なりに答えてみてください。

犬の服従性行動とはどのような目的を持った行動か?

質問の意味は、犬の服従性行動は犬の社会的行動の中でどのような目的を果たしているのかというものです。

名前のとおりですが、服従性行動はある犬が特定の犬に対して「服従していることを表現する」行動です。

その目的は、個体間で序列を決めるために表現するものです。

簡単に言えば立ち位置としてどちらが上でどちらが下かということをはっきりとさせておくための行動です。

この服従性行動が表現されることで個体間の位置がはっきりとし、群れの中の序列を整えることができます。

犬の社会的行動は群れ行動で成り立っているという基盤の部分を作るコミュニケーションであるため大変重要なシグナルです。

自分の入るべき列がはっきりとしていることで自分の役割が決まってくる序列の社会は人社会と同じです。

みんな仲良しでみんな一緒の友愛を唱えたい人からすると縦社会という言葉自体が敬遠されるものかもしれません。

しかし実際には社会は縦社会で成り立っており、捕食活動を続けてきたイヌという動物にとって長い間必要とされてきたこの縦社会の部分はまだまだ消えることがありません。

縦社会には、親分~子分的な社会もあれば、親~子の家族的な社会もあり印象も様々です。

どちらにしてもイヌは「あなたが私よりも優位です。」と表現することで社会=群れを成り立たせているのです。

 

犬の服従性行動とはどのような行動のことを言うのか?

ここでは服従性行動として具体的な行動を上げてもらいました。

例として

耳を下げる

尾を下げる

体を低くする

お腹を見せる

目線を避ける

伏せる

後ずさる

舌をぺろぺろ

等があります。

 

犬の服従性行動は大きく二つに分けることができる。

上記の服従性行動は二つに分けることが出来ます。二つとは

1 能動的服従性行動

2 受動的服従性行動

 

犬の服従性行動と見間違いやすい行動とは?

ここでは動画を見ていただき説明を加えました。

子犬が3歳の犬に対して示す行動の動画を見ました。

動画の中で子犬が服従性行動を示しているかどうかを確認しました。

また服従性行動に大変似ているがまったく違う行動が出ていることを確認していただきました。

似ている行動とは「甘え行動」と言われるものですが、子犬を表現する行動です。

はっきりとみられた甘え行動は、まとわりつく動作でした。

これは子犬が人に対して大変多く行われる行動で、多くの飼い主が「犬が自分に服従している」「犬が自分のことを好きだと言っている」と勘違いする行動です。

子犬期のまとわりつき行動には拒絶のシグナルを出す必要があります。もしくは受け取らないように注意する必要があります。とても重要なシグナルです。

 

犬の服従性行動を引き出すために飼い主としてできること。

犬の服従性行動は自分よりも優位なものに日常的に出されている行動です。

犬は優位な犬に対して大変丁寧に服従性行動を示しますが、優位な立場にある人に対しても服従性行動を示します。

ですが、前述したとおり服従性行動ではない行動を誤ってみていることも多いのです。

例えば、「お腹を見せる」という行動をすべて服従性行動であると判断することはできません。

単発の行動は前後の行動を重なり合って文章になっています。

単発の行動を拾い上げるのは重要な作業ですが、その前後の行動と結びつけて判断することがより重要になります。

こうした複雑さから多くの人が犬のコミュニケーションを読み取りし間違えてしまいます。

いい例は「犬が尾を振っているから喜んでいる」です。

犬は攻撃するときも尾を振ることはありますので、これだけの情報では読み間違いしてしまいます。

犬の服従性行動を増やすためにできることは、以下の2点です。

1 犬のシグナルをできるだけ正確に読み取れるようになること。

2 犬が優位だと認められるような飼い主であること。

犬のよき理解者になり犬の良き友達となれるよう、これからも定期的にセミナーを開催する予定です。

Posted in 犬語セミナー, 犬のこと

犬語セミナー「犬の服従性行動・社会的活動について」を開催しました。

年に数回開催している犬語セミナー。犬についてみんなで学ぼう!という少人数制のセミナーです。

最近は参加者のレベルがどんどんアップしているため、今回の犬語セミナーでは犬の行動学的な学問の要素をちょっと取り入れました。

生徒さんからいただいた二つのお題「犬の服従性行動について」「犬の社会的活動について」です。

ひとつめのお題「犬の服従性行動について」でほとんどの時間を費やし、また受講生のみなさんもいっぱいいっぱいになってきたため、「犬の社会的行動について」は入口部分だけをお知らせして終了しました。

犬の習性やしくみを知ると、普段はただ愛らしいと思っている犬との暮らしがもっと楽しいものになるはずです。

犬について学ぶなら、トレッキングのようにワクワクしながら進んでいく気持ちと体感がとても大切だと思います。

「結局なに?」を知りたくて山の頂上までヘリコプターで行ったとしてもなんの感動を得られません。

歩いていく過程が楽しいのですからもったいないです。

それに、求めていた場所に来て見える風景もきっと人それぞれだし、誰と歩くかでも体感は全く違います。

不思議なことに犬と歩くことは今までと違った特別な時間になるはずです。

今まで見えなかったものが見えるようになる、そんな犬語セミナーになるように次回のセミナーまで考えを進めます。

次回の犬語セミナーは3月の第4日曜日のトレッキング後を予定しています。

 

補講セミナーのお知らせ

今回の犬語セミナー「犬の服従性行動・社会的活動について」補講クラスを開催します。

2月25日 日曜日 12時頃から2時間程度 予約制

参加費 おひとり2500円

今回参加できなかった生徒さんから動画でもよいのでということで事前に依頼がありましたので企画しました。

セミナーの動画を見ていただきながら補足説明を加えていきます。

 

グッドボーイハートの生徒さんたちは熱意があり教師としての私を鍛えて下さいます。

いつもありがとうございます。

Posted in 犬語セミナー

今月の犬語セミナーで皆さんと学び題材として考えていること

先日のセミナー開催の告知で「質問があれば…」と書いてしまったため、早速セミナーで取り上げてほしい「質問」をいただきました。

グッドボーイハート生ならではの内容の濃い質問で思ったとおりではありましたが、説明するとなると私が理解している範囲を越してしまうため現在自分の頭の中で質問と答えを繰り返している最中です。

それで、参加される皆さんにも事前に考えてきていただくことできっと盛り上がると思い、本日簡単にではありますが題材を紹介します。

ご質問をいただいた中で今回のセミナーで取り上げようと思っているのは、以下のふたつです。

一つ目は「犬の活動について」

犬の活動というと日常生活で欠かせない活動は散歩です。

散歩はどのくらい言ったらいいですか?という質問をレッスン時にもよく受けますので散歩が犬にとって大切な活動であるということを一定数の飼い主は理解をしているようです。

ただ、活動といっても散歩だけではありません。

人にも様々な活動があるように犬と散歩以外の過ごし方を生活の中に取り入れていらっしゃる方も多いでしょう。

例えば、当スクールで開催しているトレッキングクラスなどは散歩とはまた別の活動です。

こうした活動をどのように準備すればいいのか、飼い主としては悩むことが多いと思います。この「犬の活動」について多いに盛り上がりたいと思います。

二つ目は「犬の服従性行動について」です。

犬の服従性行動の様々なシグナルについては動画を見る犬語セミナーの中でも多少はご覧になったことがあるでしょう。

どのような行動が服従行動が分からない方のために、服従行動のパターンについてもご説明したいと思います。ただ動画をそろえきれないので、ある程度説明しながらということになりますのでそこはご了承下さい。

この服従性行動ですが状況に応じて使い分けるように表現されています。その内容についての質問をいただいたので服従性行動について詳しく分析しようということを二つ目とさせていただきます。

セミナーが2時間が終わるのか不安ですが、どんなことでも一度では理解できません。

今回は初回の行動学セミナーということで皆さんと楽しみながら進めて行きます。

犬語セミナーは1月28日日曜日の12時~14時です。

人数は14名までとさせていただきます。(残席6)


 

 

 

Posted in 犬語セミナー

“犬は人間ではない”が当たり前で“犬が人間だと思っている”が危ういのだと気付くために。

週末はグループトレッキングとセミナーを開催しました。

セミナーは各月で開催している「犬語セミナー」です。

犬のコミュニケーションについて学ぶセミナーですが、講師が一方的に説明する形式ではなく、参加者全員で考え、犬という動物について思いっきり議論しようという趣旨のセミナーです。

講師がこれまでに知っていることを話す時間ではなくセミナー用に準備した動画を参加者と一緒に分析して考えていくスタイルですので、講師の私にとっても気合のいるセミナーです。

思い込みや知っているつもりでいっぱいになっている頭の中に、空白のスペースを開けるという作業は学べば学ぶほど難しくなっていくからです。

新しいことを学ぶ度に「ああよかったこれで全部分かった」と思うと同時に「いや、まだ知らないことがたくさんあるはず」という現実がやってきます。

セミナーに参加して下さっている生徒さんたちはみなさん長く犬と暮しながら犬について学び続けている方々です。

その中のおひとりがセミナーの終わりにこのような発言をされました。

“犬は人間じゃない、というとまるで犬を虐待しているように思われることがあり残念です。”

この発言に参加者のみなさんが深く頷いていたのです。

“犬は人間じゃない。犬は犬なんです。”という当たり前すぎるこの価値観が通用しない別の価値観が増えているらしいのです。

つまり“犬は人間と同じ”という価値観がかなり世間では一般的となりつつあるということなのでしょう。

言葉は言葉ですから、あくまで行動に移してこそはじめてその価値観の意味がわかるというものです。

犬は人間と同じという言葉の意味が、犬を人と同じようにお互いをしりその存在を尊重するというのであれば共感します。

しかし、犬は人間と同じという言葉の意味が、犬に布団をかぶせて寝かせたり、服を着せたり、靴を履かせたり、外に出すのはかわいそうという理由で土の上を歩くこともできないというのは少し違うのではないかと思うのです。

「うちの犬は自分のことを人間だと思っている。」と得意げに言われることがありますが、これは本当に大問題であって微笑ましいどころか笑い話にもなりません。

犬を犬として理解したいという気持ちは、犬を犬として尊重し愛する飼い主への道なのです。

今年もたくさん学ばせていただき、参加者の皆様には感謝いたします。

私自身も知っていることが言葉になるのに数年はかかっていますので、もっと早く言葉になるように毎日を学びの時間といたします。

Posted in 犬語セミナー, 犬のこと

11月のグループトレッキングクラス&犬語セミナー開催のお知らせ

今年も山歩き、山遊びに最高の季節がやってきました。

11月は紅葉の期待される季節です。

ちょっと寒く冬の到来を感じる11月のトレッキングクラスは以下のとおり開催いたします。

●グループトレッキングクラス

2023年11月26日 (日) 10時集合~11時30分

チケットもしくは当日チケットが必要です。

グッドボーイハート生のみ

●犬語セミナー

同日 12時15分~14時15分

参加費 おひとり 2500円

一般の方もご参加が可能。

 

どちらも事前のお申込みが必要となります。


【追記】

10月のトレッキングクラスで遭遇したオオスズメバチの巣は、寒気の到来で収束しました。トレッキングコースは安全に利用できます。お知らせまで。

追記20231116

曜日は日曜日です。訂正いたします。

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犬語セミナーで学ぶ「犬はなぜその行動をするのか?」を読み解くヒント。

お天気が味方になってくれたので今月もグループトレッキングクラスを開催しました。

はじめての犬たちも数頭デビューし、先日デビューした犬たちはもう先輩犬になります。


グループトレッキングクラスに参加している犬たちは、みんな家庭でのしつけクラスを受講された生徒さんたちです。

共通のルール、共通の価値観があればこそまとまることができるグループクラスの集団行動で犬たちも落ち着きを取り戻します。

グループトレッキングのあとは、犬語セミナーを開催しました。

犬語セミナーは犬と犬が対面する動画を見て、犬のコミュニケーションについて学ぶセミナーです。


動画を繰り返しみて、犬の尾や耳の形、犬の動きなどの犬のシグナルを読み解けるようになれば、ある程度は犬の行動の種類を推測することができるようになります。

犬語セミナーは繰り返しご参加になる方が多いため、参加者はかなり犬語を読み解けるようになっています。

落ち着かせ行動、警戒、威嚇、挑発、攻撃、興奮など犬の行動を表現する言葉が次々と飛び出します。

動画でみた犬の行動を種類別に分類できるようになると、次に知りたいのは「なぜ犬はそのような行動をするのか?」です。

犬の行動の目的について考えるために、人と犬の考え方の違いを理解しておくと少し犬の世界に近づきます。

例えば、犬は人のように長い時間の単位を持っていません。

犬は明日の事を考えて「今日は早く寝よう」と行動を起こすことはありません。

犬のしつけの中でも失敗しやすい傾向としてあるのは、教える側の人の方が自分のもっている過去と未来を持ち出して犬に接してしまうことです。

犬の行動は、犬が情報として脳内に持っている記録に基づき、入ってきた外的な情報に対してかなり反応的に行動をしているということです。

反応しているというと衝動的だと誤解されそうですが、そうではありません。

むしろ、犬は現時点にかなり集中しているのです。

今に集中しているというと犬の立っている場所は小さな点になりそうですが、同時に犬には深い情報があります。

犬は現時点に立っている、同時に過去や未来よりももっと深い記憶の中にいるのです。

生まれながらに遺伝的に受け継いできた情報を持っていて、犬のコミュニケーションのシグナルもまさに生得的に身に着けています。

この深い記憶の世界に犬が入っていくことができるようになると、犬の世界はぐんと広がります。

犬は犬として生きる時間をよりたくさん持つようになるでしょう。

そんな犬の世界を覗きたくて、犬をじっと見ています。

犬語セミナーに参加された方からいただく感想で多いのは「こんなに真剣に犬のことを学んでいる飼い主さんたちがいることに驚きました。」ということです。

皆さんの犬を知りたいという熱意というエネルギーがいろんなものを動かしていきます。

一緒に学ばせていただいてありがとうございます。


 

 

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5月のグループクラス&犬語セミナーのお知らせ

ゴールデンウィークもあっという間に終わってしまいました。

5月のグループトレッキングクラスとセミナー開催のお知らせです。

5月28日 日曜日

・10時~ グループトレッキングクラス

事前のお申込みが必要となります。

・12時15分~14時15分まで 犬語セミナー

事前のお申込みが必要となります。

 

いずれも雨天の場合には中止いたします。

中止は前日の夕方までに決定いたします。

先月は犬語セミナーをお休みさせていただいたので動画はたくさんたまっています。

整理整頓に追われているところです。

みなさまのご参加をお待ちしています。

Posted in 犬語セミナー, お知らせ

犬語セミナーで学べること「犬のコミュニケーションと社会性」「飼い主が犬に与えている影響について」

先月末に犬語セミナーを開催いたしました。

犬語セミナーとは、犬の動画を見て犬のコミュニケーションを学ぶセミナーです。

動画として使用しているのは、ほとんどが預かりやクラスのときに撮影したものです。

グループトレッキング後に開催している対面の練習クラスで撮影した動画は特に人気があるようで、参加した生徒さんたちは食い入るように見られていました。

犬の動画を見て学べることは、まず犬のコミュニケーションの仕組みです。

犬のコミュニケーションはシグナルという規則正しい信号によってなりたっています。

尾を立てる、横に振る、巻くとか、

耳を立てる、下げる、倒すとか、

横に動く、かがむ、前進するとか、

吠える、唸る、牙をあてるなどもです。

ひとつひとつのシグナルを動画を見ながら読み取ります。

そのシグナルは一度に複数出されることもあるし、犬の状態に応じて時間とともに変化していきます。

そうなるとシグナルの数も多くなり動きも複雑さを増していきます。

犬が一貫して変わらない姿勢を貫けば、シグナルは非常にわかりやすいのですが、

犬の気持ちや方向性があっちへいったりこっちへいったりと不安定になると、行動も複雑化していきます。

犬の気持ちに寄り添うように犬のコミュニケーションを読み解く作業はとても楽しいもので、犬の気持ちがわかったと思うときには笑いが出たり、ため息が出たり、飼い主さんも一喜一憂します。

 

犬と犬が関わる動画が中心になりますので、個々の犬の持つ社会性(社会的なコミュニケーションの力)についても知ることになります。

その犬の個性となることもありますし、成長とともに変化していく行動もあります。

例えば犬と犬の対面練習の動画を一年前のものと見比べてみると、犬の行動が大きく変化していることがあります。

犬が成長とともに社会性を変化させたことを知ることもできるのです。

同時に、犬の社会性やコミュニケーション力に飼い主としてどのような影響を与えているのかを考える機会を持つことになります。

犬と犬のコミュニケーションを見るときに、それがすべて「犬の個性」だとすることはできません。

犬の社会性は犬の年齢とともに変化することは当然のことですが、同時に犬の環境によって大きな影響を受けています。

何より最も影響を与えているのは、犬に日々接している飼い主です。

犬と犬の関係性なのに、なぜ飼い主が影響をしているのかがわからないという方もいらっしゃるかもしれません。

犬の社会性の基礎は、飼い主との社会的関係だからです。

犬と飼い主の社会的関係とは、犬と飼い主はひとつの群れ(家族)として暮らしていることで関係性を持っているということです。

これは犬の動物としての習性ですが、種が違う動物であっても同じテリトリーを守りつつ生活している同居動物を犬は群れと見なします。

この協力関係を結べることが犬の素晴らしいところでもあり、やや面倒なところでもあるのです。

 

犬語セミナーは最終的には「では、自分が犬に与えている影響とは何か。」について考えるためのセミナーです。

グッドボーイハートの生徒さんたちは根強く学ぶ方々なので、この難しい質問について真摯に向き合い全力で取り組まれています。

あくまでも、自分を苦しめるためではなく、自分と犬が楽しく暮らすためにです。

犬を抱きしめたり撫でたりすることは、犬との暮らしの上で表面的な喜びでしかありません。

本当に喜びとなるのは、共感の世界に入ることではないでしょうか。

 

共感を抱くには、他者の存在を認識し、他者が必要とするものを感知しなくてはならない。

フランス・ドゥ・ヴァール著書「道徳性の起源」より


 

 

Posted in 犬語セミナー