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犬の尻尾の使い方:犬の身体的機能性の発達を求めて

今年最後の尾歩山(やま)トレッキングが終了しました。今年もなんどこの山を歩いたことかしれません。参加された生徒さんに改名後の名前にコメントをいただきました。「尾歩山(おぽさん)って、ほんと、いい名前ですよね。尾っぽのある動物って犬だけじゃないから、いろんな動物が歩いている山ということですものね」。そうなんです。尻尾のある動物は犬だけではありません。ことしは草履事件でお騒がせだったタヌキやキツネ、よく顔をみせてくれるアナグマ、近所の猫たちもしくは野猫たち、ウサギ、イタチ、サルなど。他にもいるかもしれません。

こうやって考えてみると、尾がないのはヒトだけですね。2本足で立って歩くようになると尾がバランスを保つのには役立たなくなり退化したあとの尾骨だけが残ったのでしょうね。尾でバランスをとらずに、体の軸でバランスをとろうというのですからヒトのバランスの取り方は独特なのかもしれません。

犬の尻尾がバランスをとるためにあるということは知られています。前後左右のバランスをとりますので、尾の動きも自由自在です。バランスを取るために動いているため、尾がよく動くときには「バランスを取る必要がある状態」であるともいえます。山歩きをしていると犬の尻尾が微妙なバランスをとるために動いているのを見ることができます。人の好む平地ではこうしたバランス感覚を必要としない事も多いため、尻尾も十分に活躍する機会がなく動きが鈍くなってしまいますが、山歩きにはこうした体の機能を充実させる機会を得ます。駆け上がったり走り回ったりするよりも、ゆっくりと歩いているときの方がバランス感覚を必要とします。バランスを取ることが苦手な犬は、ピョンピョンと跳ねながら登ったり、すべるように下りてしまうことになります。

尻尾は体のバランスをとるためについているのですが、感情がゆれると体もバランスを失うので、感情のゆれるときにも尻尾が触れてしまいます。人の状態を表現する言葉ですが、「浮き足立った」という表現がありますね。気持ちが浮いてしまうときには足も浮いてしまうということで、体と気持ちは一体なのです。

「犬が尻尾を振るときは喜んでいる」という古いコトバのようなものがありますが、「犬が尻尾をふるときは喜んでいることもある」という程度にした方がいいでしょう。犬の気持ちが動けば尾も動きます。恐怖を感じているときも、興奮しているときも、緊張しているときも、尾をふることがあります。動物の真の感情はなかなか理解しがたいものです。動物にとって何が喜びであるのかを、人が知ることはなかなか難しいものです。ゴハンの前に尻尾を振らなくても、満足してゴハンを食べている犬はたくさんいます。ゴハンの前に尻尾をブンブンとふるのだけど、興奮して食べてしまうため満たされない感じの犬もいます。尾を円形にふる犬もいますね。アニメのようですがこの状態では先の「浮き足立った」状態であり、尻尾の動きで飛んでしまうような感じでしょう。感情の乱れの多い若い犬でよくみられるようです。

やはり、堂々としたオオカミは尻尾の動きにも安定が見られます。気持ちが落ち着いている、バランス感覚がすぐれている、そしてバランスを取り戻すのも早いのでしょう。犬も少しずつ落ち着いた大人の犬になるにつれ尻尾の使い方も変わってきます。

尻尾を切られている犬たちの話しは前にも書きました。尻尾がないことで犬はバランスをとることが難しくなります。尻尾を切断することは犬たちにとって何のメリットもありません。人はこれだけ犬という動物を大切に思うことができるのだから、尻尾を切断するのを止めることはそろそろ決断できる時期ではないかと思います。法律にならなくてもみなさんひとりひとりの気持ちも問題です。尻尾は犬の一部です。犬の一部を切り取らないで、犬に尻尾のある生涯を与えていきましょう。

尾歩山、来年もたくさん歩いて犬の尾につなげていきたいと思います。

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