グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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飼い主に執着する分離不安傾向の犬たちを最後に救うのは自然環境です。

時代により変化する犬の問題行動

犬の問題行動って昔と何か変わってきてますか?

とある生徒さんに尋ねられました。

私が家庭犬のトレーニングに取り組み始めたのは2000年なので22年前。

それまでは誰もができないと思っていた集合住宅での犬の飼育が始まり始めたころのことです。

同時に特定の小型犬が流行り始めました。

小型犬といえばそれまでもシーズーやマルチーズが「お座敷犬」と呼ばれて特定の趣味の世界として飼われていましたが、小型犬のスタイルももっと違ったものとなりつつあったのです。

屋外に飼育されている犬も雑種から純血種に変わり始め、庭のある家庭でも犬を室内飼育するような犬の飼い方が広がっていきました。

室内飼育が広がると当時に犬の排泄の失敗に悩む方が増え始め、そのことでトレーニングの依頼が増えたように感じます。

質なし飼育の広がりと同時にワクチン接種が一般的になると、子犬の屋外活動が遅れてしまい社会化不足の犬たちが散歩中に吠えることになります。

散歩中にリードをひっぱったり吠えるという問題に対するトレーニング。

インターホンに吠えるという犬の行動問題に対するトレーニング。

そして飼い主にかみつくというご相談も、犬のサイズを問わずに増えてきました。

そして何よりも最も増えたのは間違いなく、飼い主に執着する分離不安行動による吠え、自傷行動、失禁、いたずら、留守番ができないなどのご相談です。

犬の問題行動の変化には、様々な犬を取り巻く変化が影響をしています。

犬の飼育環境、繁殖、流行りの犬種、飼い主の価値観、飼い主の生活スタイル、犬のしつけやトレーニングに関する情報などです。

ですから、自分の犬が飼い主に執着する分離不安行動を起こしていたとしてもそれをすべて飼い主自身の問題だとする必要はありません。

いろんな環境要因によって犬はそのようになってしまったということに過ぎないのです。

ですが、大切なのは執着という行動のパターンにはまってしまい苦しんでいる犬を救ってあげることができるのもまた飼い主の自分しかいないということを自覚してください。

どうしてこうなってしまったのだろうということに囚われるよりも、どのように改善していけば犬が楽になるのだろうかということを考えることが問題を解決します。

 

犬が飼い主に執着する行動とはどういう状態なのかを理解する。

犬の分離不安行動は犬の飼い主に対する執着行動です。

自分の犬が分離不安傾向にあるかどうかは行動チェックをすればある程度わかります。

このブログにもチェック項目がありますので確認してみてください。

犬の分離不安行動は、犬の脳が何かに執着している状態だと考えるとわかりやすいです。

脳が何かに執着するというのは、脳が快楽を追い求めている状態です。

といっても、私も脳科学者ではありませんから具体的な脳の仕組みはわかりません。

私がそう思っているのは、様々な脳科学や心理学の本を読み、犬の行動を照らし合わせながら考えた結果、今のところそうであろうと思っているということです。

快楽というのはある脳内物質(ホルモン)によって起こるらしいのですが、その快楽ホルモンもはじめは行動の意欲につながります。

何かをしよう、そして習慣化させようというホルモンですから、犬が獲物を追い続けるときなどにはこのホルモンが出ていると推測します。

しかしその活動ホルモンが過剰にですぎると興奮ホルモンとなり、何かを追い求めることでこの興奮ホルモンが出続けることになります。

快楽を追い求めることを止めない活動、それが執着です。

飼い主を追い続ける犬を見ると飼い主のことが好きだという風にも見受けられます。

しかし「好き」と「執着」には違いがあり、脳内的にも違いがあるということを理解してあげる必要があるでしょう。

見方としては犬の「興奮性」「攻撃性」が高まってきたときはすでに犬の執着はかなり高まっている危険信号なのです。

 

飼い主に執着する犬にこの行動だけはやってはいけない。

興奮しやすい犬の飼い主がやってしまいがちな間違いとして、興奮すると犬を抱っこしたり撫でたりすることです。

興奮する犬を抱き上げれば犬が落ち着く、だからすぐに犬を抱っこする飼い主がいます。

しかもほとんどのケースでは犬は小型なので、容易に抱っこできるし犬も飼い主の膝に上がりたがります。

中型犬や大型犬では犬が人の股の間に入ってきたり膝に犬の頭を乗せたり、飼い主が撫でている間中おとなしくしているようになりますがこれが依存の始まりです。

依存は共依存といって不安定な飼い主側にも一時的な落ち着きを与えてくれます。

これもまた本当の落ち着きではなく、依存という関係性の上になりたつ安定で大変もろいものです。

抱っこする飼い主、犬を撫で続ける飼い主の方もまた、快楽物質を出すようになり分離不安行動は共依存として犬と人の離れがたい距離感を作ってしまいます。

 

恐ろしい犬の執着行動を解決するためにできることのはじまりとは。

飼い主である自分のことが好きなのだと思っていた犬が、興奮しやすいとか攻撃性を見せるようになると、飼い主は何かが間違っているのかと感じるようになります。

それが排泄の失敗といった自分のテリトリー内を荒らす行動であれば飼い主はすぐに警笛を鳴らします。

犬の行動のパターンが興奮性となると、普段から興奮している犬のどこが興奮しているのかに気づかない飼い主も多いのです。

興奮性行動が屋外や環境の変化によってみられるようになると、散歩中に吠える、興奮する、旅行先で落ち着かないといった、犬と飼い主の社会生活を狭めるようになり問題に気づく飼い主もいます。

犬の行動を解決したいと思った時点からすぐに解決が進めばよいのですが、執着行動は根が深くなかなか思うように元には戻りません。

ほとんどの問題行動が子犬の脳の発達の段階から繰り返されたことなので、生後6ケ月未満に築いた飼い主との依存関係を改善するのはなかなか大変なことです。

犬を飼い主の執着から解放させるためにできるスタートは当たり前のことですが、問題の本質を見極めることです。

犬の行動全般を客観的に評価することができなければ、専門家のアドバイスを求めて下さい。

次の準備は、生活環境や飼い主の接し方、犬の分離不安行動を引き出すような要因をすべて解決することです。

これは飼い主側ができることなので、やる気があればだれでもできることです。

ただ人も習慣性の動物なので、新しい習慣を身に着けるまでに時間がかかります。

形を理解し、頭で描き、行動に移す。

トレーニングはこの繰り返しですが、まずはここからスタートします。

しかし、これだけでは不十分です。

上記のトレーニングと同時にやらなければいけないのは、犬の脳内を立て直すことです。

執着した脳からリラックスできる脳へ。

快楽を求める脳から、活動をする脳へ。

そのことを実現するためにどうしても必要な素材があります。それが「自然環境」です。

脳は全体でできています。

全体の中で自分がどのように活動するのかを考えているのが脳です。

その全体とは、犬という動物を取り巻く全体のことです。

自然環境というと大がかりな気がしますが、土があって緑があって生物がいる豊かな環境といえばいいでしょうか。

屋外の庭でも、人工芝や砂利石の庭であれば土もない草もない生物もいません。

人間ですら原始的な生活から離れてまだ間もないのに、犬という動物はほんのつい最近まで土の上で暮らしていたはだし族なのです。

分離不安状態となり様々な不安定行動をするようになった犬たちが、自然環境のここ七山に長く滞在していると自然と不安定行動がなくなっていきます。

ずっと室内で自分の手をなめている犬が、七山での預かり期間にその姿を見ることはありません。

犬の感覚が戻ってくるまでにはかなりの時間がかかりますが、犬たちの行動の変化を見てやっぱり自然しかないとなんども思い返しています。

飼い主のみなさんに自然の中で生活するという選択をしていただければ本当にうれしいのですが、もしすぐにはそうならないとしたら私が変わりに犬を自然環境に触れさせよう、それが七山のオポハウスでの犬との合宿です。

自然の猛威を回避するための毎日の草刈、笹刈、犬たちが見守る中で今日も頑張りました。

犬の分離不安行動は犬の脳の問題だということ、いっしょに考えいっしょに解決していきましょう。

犬たちの健やかな生活のために。