グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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Monthly Archives: 6月 2016

子犬と庭あそび

子犬が生後5ヶ月くらいになってから、トレーニングの相談を受けて家庭訪問に伺うことがあります。散歩に出ようとしてうまくいかなかったり、子犬の室内飼育から外飼いに変更しようとして、外で吠えるようになるなどの問題の相談が多いですね。

お話をうかがうと、子犬をずっと室内に入れたまま飼育していたといのです。ワクチン接種が数回済むまでは、外には出してはいけないというアドバイスを受けたり、そのような事がしつけ本に書いてあるということでした。

子犬を室内に閉じ込めておけば、細菌やウイルスから子犬を守ることはできるでしょう。でも、子犬を室内に閉じ込めてしまったことで、子犬の脳の発達を阻害することになるとしたらどうでしょうか。

子犬脳のは刺激を受けて発達していきます。その発達の期間は非常に短く、生後4ヶ月になると脳の8割が形成されるという研究結果もあります。刺激を受けて行動を起こすことをくり返しながら子犬の脳の神経が伸び、脳が形成されていくのです。

ちょっと想像してみてください。この時期に、子犬が平坦で狭い空間にいれられていたとしたらどうでしょうか。自分で排泄に行く環境もなく、サークルの中で排泄をしなければいけないとしたら、子犬の環境把握はどうなるでしょう。外の臭いを嗅ぐこともなく、室内の食べ物や香料の臭い、人の臭いに囲まれて過ごしたとしたら、行動の制限が与えられて何かしようとすると飼い主が抱き上げるという行動をしたとしたら…。
子犬期のこうした閉鎖的な環境は、成犬になったときに自律行動ができず、ストレスを回避することが難しく、パニックを起こしやすい性質になる可能性が高いのです。

子犬は応答性のあるものが好きです。ですが、動くおもちゃ、ネット、ケーブルなど室内にたくさんのオモチャを置いてあげれば、脳を発達させるのに十分でしょうか。子犬の脳を本能的に刺激させて満足を与えてくれるものの対象を人工化されたものだけにすると、子犬の環境への適応力は低いものになります。

脳の発達は哺乳動物としての人と同じですが、必要な刺激は種としては異なることを理解する必要があります。
子犬は土のにおいを嗅いだり、草を口で食べてみたり、枝にジャンプしたり、草の上を転がったり、穴をほったりして遊びます。これらの臭いは、動物として犬を安心させる臭いのメッセージであり、泥を体につけて遊ぶことも意味のあることなのです。その意味については、ブログ記事「犬の隠れる術「カモフラージュ」で紹介しましたのでご覧ください。

子犬を外に出すのは怖いという飼い主さんも、整備した安全な自分の庭や他の犬の使用していない知人の庭などを、子犬の遊び場所として活用することができます。もちろんリスクもあります。ですが、子犬を閉鎖的な環境に閉じ込めることによる性格形成に対する影響や、環境によるストレスによりで免疫力が落ち、重篤な病気に感染する危険性も十分にあるのです。子犬が部屋の中で急に走り回ったり、クルクルまわるようになったらそれはストレスのシグナルだと受け取ってあげてください。

今の時代にも、庭で生まれて庭で育っている子犬たちもいます。子犬の環境に対する考え方は多様化したというだけで、何が正しいのかという応えを出すものでもありません。あとは飼い主さんの選択です。選択をするためには、本やネットの情報だけではできません。いろんな犬の育ち方について関心をもち、いろんな選択肢があることを知ってください。

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犬語セミナー<変化の兆し>

雨が続きますね。雨の日なりの動物としての過ごし方で、一番落ち着くのは土や木々の葉におちる雨音を聴くことでしょうか。

今日は、今月2回目の犬語セミーを開催しました。

ビデオに登場のBくん(仮名)は、数年前にトレッキングクラスに参加し始めたころはロングリードをつけた行動中に、興奮したり、リードをひっぱったり、制御すると威嚇する、リードを短くするとパニックを起こすなど、非常に不安定な状態でした。ところが、飼い主さんの真剣な取り組みによって、昨年くらいから、グループ行動が比較的スムーズに行えるようになり、少しずつ変化が見えはじめていました。

Bくんの他の犬との新しい対面は久しぶりのため、対面の様子がどのようになるのか、B犬を知る飼い主さんたちは楽しみにしていたようです。
さて、ビデオの映像を見た飼い主さんたちは、驚きを隠せませんでした。

今まで、犬を見ると興奮したり、逃走しようとしたり、とびのいたり、硬直したりとストレス行動を多発していたBくんが、落ち着いた状態で対面を果たすことができたからです。

犬と犬が対面した際には、必ずお互いの関係性を示すような行動が見られます。それは関係を作ろうとしない行動のこともあるし、関係を作ろうとする行動のこともあります。わかりやすい言葉では、対立する?もしくは対立を避ける?という姿勢、そして関係をつくる場合には、どちらが優位かというシグナルを出します。優位性については、オスとオスの場合にはわかりやすく、メスについては不安定でわかりにくい場合もあります。

対立するといってもいきなりケンカをするわけではありません。どちらかがどちらかを追い出そうとする行動をしたり、一方が対立的な行動をして、一方が対立を避けようとして逃げようとすることもあります。

どちらが優位か、という関係性をつくることができない場合には、対立をさけるシグナルを出して緊張緩和を維持しているということもあります。犬の性格として、リーダーや班長(小さなリーダー)といった役回りにも持たない犬のほうが数は多いのです。また、飼い主の力をかりて優位を主張している犬が、実は飼い主さんがいないと全く優位性を示さず気配を消してしまうこともあり、飼い主との関係も持ち込まれるため、犬と犬の関係はとても複雑になっています。

話しを元に戻します。
このBくんがどうしていたかというと、回避行動をとりながら相手との距離をとろうとする行動をしていました。過去に見られた硬直やパニック、逃走行動がみられなかったのです。対立を避けるシグナルとして出るものに、落ち着かせ行動というシグナルがあります。落ち着かせ行動は自分や相手の緊張をとくために出てくるもので、次のようなものがあります。耳をかく、顔をそむける、片足を軽くあげる、ゆっくり歩く、回避行動をする、においをとる、身震いをするなどです。この落ち着かせ行動を出すことによって、自分の緊張をといていき、その緊張の緩和が相手にも伝わっていくというものです。

犬は社会性が高い動物だということはなんども書いてきました。社会性が高いということは、社会的なコミュニケーション力が高いということです。私たち人間はシグナルを視覚的にしか捉えることができません。ですが犬と犬にとって一番重要がとれるのは臭いなのです。
視覚的シグナルしか受け取れないなら相手のことをじっとみていなければなりません。みていなくても顔を背けていても相手のことがわかるのは、臭いの情報を得ることができることと、相手の気配を感じることができるからです。やっぱりここでも気(エネルギー)の受け取りが行われていることがわかります。

また社会性が高いというのは「仲良し」とは違います。犬と犬は、職場の仲間のイメージでとらえると分かりやすいでしょう。役割分担があって、秩序をそなえて行動し、安心安全を獲得する。職場のあるグループが社会的に円満で、互いが役割を認識して行動し、安定感をもって仕事を行えば、そこに所属する社会的満足感というものが得られると思います。Bくんも、グッドボーイハートという臨時のグループであっても、グループの中で得られる安定を得て社会的欲求を満たすことで、自宅に帰ってひとりになってもその安定度が継続しているのです。もちろん、飼い主と犬にもこの社会的関係は大切です。

こうした変化も、今までに不安定な行動をした中でも、グループの犬と飼い主さんが根気強く見守り続けてくれたおかげだと、有難く思います。こうした変化はゆっくりとしか起こらないのですが、起きたときは本当に奇跡だなと思います。犬の精神に深く刻まれている高い社会性。その社会性に触れる瞬間は特別の時間です。

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おすすめの犬の本・コンラートローレンツ「人イヌにあう」

中学生のときに犬の訓練士になりたいと思ったときから、犬の本をたくさん読みました。30年以上前、覚えているのは犬の行動学に関する本はほとんどなかったということです。犬のしつけ本すらありませんでした。犬は外で飼うのが当たり前で、咬む犬は飼えないという判断が当時の常識だったことや、室内飼育の犬が少なかったことが、しつけ本のなかった理由なのかもしれません。

しばらくすると、海外の動物行動学者で、オオカミやジャッカルなどのイヌ科動物を観察対象とした行動学の翻訳本が出版されるようになりました。これらの本が出たらすぐに購入して読みふけりました。逆にペットの増加で急増した犬のしつけ本のほとんどが、大変つまらないものばかりでした。犬の本質にはふれない、対処法的なものばかりでしつけ本の危険性を感じたものです。

今や膨大な犬の本の中で、この本だけは自信をもっておすすめすることができます。

動物行動学者のコンラート・ローレンツ博士の著書「人イヌにあう」

この本は古典です。1966年に翻訳された初版が出版されました。犬の本がすくなかった私の学生時代にもあり、いち早く手にとり読んだ本です。ところがその当時、まだ犬のことを理解できていなかった私にとっては、この本はなかなか難しい本でした。他の行動学の本と異なり、ローレンツ博士が自分のイヌやネコとの関わりの体験を元にして書いた、動物の行動学に、人と動物の関係学が含まれた内容となっています。

人と動物の関係学については、のちにこの分野が確立されるようになり、動物行動学とは別の研究分野となってさまざまな本が出版されています。動物の家畜化の過程や、ペットの人に与える影響などについて書かれています。

ですがローレンツはずっと以前から、イヌとネコは他の家畜化された動物とはことなる動物として分類していたようです。本の冒頭にも、友人からイヌとネコの本を別々に書くように忠告されたことが記述されています。動物行動学として考えれば、イヌとネコは別々の動物ですが、ローレンツ博士がここで伝えたかったことはそれだけではなかったことが、イヌとネコのことをいっしょに書いたことからも伝わってきます。

私は今でも時折この本を読み返します。イヌという動物のことを理解すればするほど、この本のすばらしさを共に理解することができるようになり、少しずつだけど近づいているという感覚を得られて自分の道を確認することができます。そして、ローレンツ博士のいう「イヌ」が減っている危機感もつのらせています。この本は古典であり真実です。

本からはコンラート・ローレンツ博士の動物に対する愛を感じます。それが彼がイヌやネコ、他の動物を正しく見ることができた姿勢なのだと感嘆し、自分もそうありたいとそこを目指しています。

イヌを心から愛するという姿勢を持っている人なら心に届く本です。。読んだことがない方はぜひ、読んだことがあるけどあまり覚えていない、という方はもう一度読んでみてください。

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犬に会わせた方がいいの?<他犬への社会性>

犬に「会わせた方がいいのか、会わせない方がいいのか」という質問を受けます。
この質問は、一般的ではないので考えたこともなかったという方もいるでしょう。
犬のコミュニティのようなものがSNSなどで知られるようになって、犬に会わせたいという方が増えてきているのかもしれません。

犬が犬と過ごすことは、飼い主さんのライフスタイルや犬を飼う目的によって全く異なります。犬が犬と「出会う」状況にはこのようなものがあります。

散歩中に互いにリードをつけて犬とすれ違うくらい
親戚の犬にたまに接触させる
他の犬と近づくことはない
散歩中にリードをつけて鼻をつきあわせるくらい
友達の犬といっしょに出かける
ドッグランで他の犬と過ごす

散歩中に犬同志が鼻を付き合わせる程度のことをするか、もしくは犬に近づけられないという方も結構と多いと思います。

犬が犬と出会う風景の例をあげます。犬にリードをつけていない時代に、犬が各自のなわばりをうろついています。普段からなわばりが明確なので、どの犬がどのように通行したのかという情報を犬は知っています。避けたい犬は避け、避ける必要のない犬は避けない。出会えば対立もある。メス犬を探していればその臭いを追跡してたどり着く。そういった単純な出会い方です。

ところが、最近では犬にお友達を作らせようという飼い主の愛情から、犬と犬を複数でいっしょに過ごさせる場所や機会が増えています。でも飼い主の準備した「会わせる」という行為が犬の負担になることもあります。

リード付きの犬は、公園などで犬と出会ってしまうと避けることができずに、犬と犬は互いに近づいていくことがよくあります。飼い主さんは犬と犬が仲良しだと思い込んでしまいます。これらの行動は、リードという道具によりなわばりが不安定になり、犬に不自然な行動を強いられていることで起きているものですが、このような不自然行動がたくさん見られます。

ドッグランや他のコミュニティでも同じです。多数の犬が同じ場所に入れられて柵があって逃げられない状況下の場合、犬たちの行動を十分に監督する必要があります。自分のテリトリーでない場所でしかも逃げる場所もない、そのような場での犬の行動が不安定であることに気づいているでしょうか。

どのような状態でも、犬の行動をよく観察してください。犬の行動はとてもシンプルで読み取りやすいのですが思い込みによる間違いは多いものです。走り回っている、飛び跳ねているのを犬が喜んでいると思って放置すると、いずれこの犬は、他の犬に対してストレス行動を示すようになるかもしれません。

犬は犬とコミュニケーションをとるときに、はじめて自分が犬である機能性を発揮するため、犬との関係作りというのは、犬の成長において大切なことです。ですがそれは「あわせる」という単純な行為でもなく、興奮させるということでもありません。

犬と犬のコミュニケーションには、犬の性格や犬同志の相性だけでなく、日常生活のストレスや飼い主との関係性が強く反映されています。動物のコミュニケーションとして自分たちに置き換えて考えると、生活のストレスや家族間の関係性や日常の行動が、他者とのそれに影響していることを理解していただけると思います。

このことに関しては、単純に説明できないないのですが、注意してすすめていただくためのポイントだけを紹介します。

まず、犬と犬は会わせるのではなく、関係を作るのだということ、そして、その関係作りには、年齢や性格や経験によって、それぞれの関係性ができますが、全てが「仲良し」にはならないのだということ。関係作りには十分な時間と環境が必要です。さらに、それぞれの犬の飼い主と飼い主の関係も反映しています。

こうした条件で、犬と犬の関係作りを支援しようと思ったら、お友達や家族間の犬と犬が最も可能性が高いということです。お友達といってもグループ行動は危険です。一対一で信頼関係を結べるようなそんな関係作りをすすめてください。

最後に飼い主さんの目的をはっきりさせてください。犬に「会わせたい」と思うのは、自分の犬に犬のお友達が欲しい、という理由からでしょうか。もしそうなら、自分の犬の社会性をまず知ってください。他の犬と並んで写真を撮りたいのであれば、犬はそれを望んでいるのかを考えてください。

少し厳しい意見ですみません。子犬のパーティや犬と会わせる会に参加した経験が、犬の社会性を後退させることもあります。飼い主自身が学び、現実をきちんと見れるようになれば、やるべきこともはっきりしてきます。犬語セミナーなどのビデオ勉強を通して、客観的に細かくシグナルを観察しながら犬と犬のことを学ぶ機会をつくっていきます。「理解すること」これが一番の気持ちです。


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もしもマムシに咬まれたら

七山を数日離れて戻ると、草刈したはずなのになぜ?という状態になっていました。この梅雨の時期、刈っても刈っても延びてくる雑草。その生命力には驚くばかりですが、気持ちが負けそうになることもあります。「あとは野となれ山となれ」というコトバの感覚が、山暮らしにより身にしみて分かるようになりました。

梅雨の晴れ間に都合よくトレッキングクラスが開催できました。わんこ山の下刈りをお願いしたばかりだったのでコース変更でわんこ山散策となりました。下刈りというのは、まだ成長しきっていない雑木を育てるために、雑木の間に生えてくる成長の早く高い雑草を刈り込んでいく作業です。私も手をいれますが、梅雨時期になると一気に伸びてしまい、素人では思うようにいきません。それで、下刈りをお手伝いしていて、おかげさまで雑木はスクスクと成長し、山は健康に育っているようです。

下刈りをお願いしている方はご近所にラブラドルリトリバーと暮らしています。子犬のころから七山のきれいな空気と水と空間のある環境で暮らせるなんて素敵ですね。そのラブちゃんとご家族が立ち寄られてお野菜をいただきました。少し前にマムシに咬まれたと聞いていたのですが、腫れもほぼひいてとても元気な様子でした。

山歩きや畑近くの散策でマムシと遭遇する確立は非常に高いです。草むらで何かの動く気配があり、顔をつっこんだり、脚を踏み出したりしてマムシに咬まれる可能性も十分にあります。「マムシに咬まれたらどうしたらいいですか?」と聞かれることもよくあります。

マムシに咬まれるときは突発的なので、瞬間なにがあったのかわからないこともあります。マムシに咬まれたとわかる理由の一つ目はすごく腫れてくるということ、二つ目は、咬み跡が穴が開いたように小さいけどはっきりとした傷があることでわかります。

腫れは、時間の経過と共に少しずつ進むので、数十分にかけてゆっくりと、かなり大きく腫れてくるでしょう。咬まれた傷から出血し少しずつですが継続します。毒が体内に少し入ってくるのを防ぐため免疫反応が高まり、息遣いが荒くなってくることもあります。最初はゴハンも水も取りたがらず、じっとふさぎ込むようになるか、犬によっては土の上にいたがることもあります。体は毒素をできるだけ外に排出しようとするため、嘔吐するような症状が出る事もあります。戦っているんですね。

いずれも自己治癒力のなせる業です。治癒反応は、犬も他の動物のようにとても高いなと思います。人と暮らして長く、動物力を落としているように思えるのですが、犬という動物の底力はたいしたものだと関心します。腫れは人間よりも少なく、食欲の快復も早く、2日目には何かを口にするようになり、行動も快復に応じ普通に動くにようになります。

犬は治癒反応を出しながら快復へがんばるのですが、飼い主はどうしたらいいのか、というのがみなさんの知りたいところでしょう。犬がケガをしたときにどのように対応するのかには、飼い主さんの価値観や経験が強く反映されます。よく「病院に連れて行ったほうがいいのか」尋ねられるのですが、それを私が決めることはできません。私だったら、と答えるしかなく、飼い主さんのしたいようにしていいのですよ、ということです。

マムシに咬まれたら、私だったら病院へは連れていかずに様子をみます。それは私が自分の犬が自律して行えることに対しては、それができる環境を整えたいと常々思っているからです。特に自然環境の中で、犬として生きていたら遭遇する確立の高い昆虫やヘビなどに咬まれることについては、犬の体もそれに対する機能を備えていると信じていますし、毎日の生活の中で犬である過ごす時間を大切にしていれば、犬の動物力は見えてきます。

でも、普段から犬という動物のことを知らなかったらとか、また、下痢をしたりゴハンを食べなかったらすぐに動物病院へ連れて対応される飼い主さんには、病院へ連れていかずに様子を見るということは難しいことです。またストレスのかかる生活をしている犬は、何事においても無気力なる傾向があります。体が戦う用意があるのかどうかと不安を感じることもあることも事実です。

そして、犬にとって一番難しいことは、自分のグループの基盤である飼い主が落ち着かず、不安で、悲しげな顔をして緊張していることです。だから、病院へ連れていきたいと思うのならそうしてください。犬のためにというよりは、自分を落ち着かせるためにという理由であっても、結果、犬も落ち着きます。犬がケガをしたり症状が出たのが、病院と連絡のつかない夜間や土日に出るのであれば、夜間対応する病院を事前に把握しておくといいでしょう。

それよりも、常日頃から犬が犬らしく過ごせる時間や環境、関係性を大切にしているかどうかを考えてみてください。犬らしさがわからないのでしたら、犬ってどんな動物なんだろうという素朴な質問をもって学ぶことをおすすめします。まずは思い込みを捨てること、これが最初の一歩です。

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自然療法セミナー

今週予定していた熊本でのお手伝いが高速道路が不通となってしまいました。また仕切りなおして、寄贈いただいた中古の犬舎などを、早く現地に届けたいと思っています。

ボランティアというと特別のことをしているように思われることもありますが、人にほめていただいたりお礼をいわれるようなことではありません。ボランティア活動を通して、普段は関わりのない方々と話す機会を得られたり、日常とはことなる現場を体験したり、新たな出来事について考えたりと、活動を通して得られるものは、どれも自分にとって宝になることばかりです。その中で、自分が十分に役立っているかどうかについての評価は常に自己反省が必要とでが、日々の仕事を含める基盤をしっかりと軸にしながら、できることをチャレンジさせていただいています。

熊本地震の支援活動のためのセミナーを今年の9月に開催します。その打ち合わせの会議が昨晩行われました。企画のきっかけは、臨時に構成したボランティアの会のメンバーと、こうした災害などの非常事態に備えるためには、日々の心の備えというのが大切なのではないかという話しが持ち上がったことです。

日々の備えというと、災害時のペットのためのフードや人のための避難グッズなどのハード面では、十分な情報が得られていると思います。準備をするかどうかは自分次第ということです。ところが、心の備えとなるとどうでしょうか。いつか自分も災害に会うかもしれないと思うことは心の準備にはなるでしょうが、こちらに偏ると不安に心を奪われてしまうのではないかと思うのです。

心の備えを考えるにあたり、やはり自然の力と切り離して考えることはできないと行き当たった次第です。自然の力が犬や猫など人と暮らしている動物に与える影響をいろんな側面から知ることで自然と動物のつながりについて触れ、それが心の備えになるのではないかと思いました。
このテーマについてはいろんな側面から様々なセミナーが思いつきますが、今回は今までなかなか聞く機会のない「ペットの自然療法」について、地域の臨床獣医師の先生方の生の声を聞けないだろうかということになりました。

早速、自然療法をしている獣医師の先生にチャリティセミナーということをご理解いただき、セミナー講師について快諾いただきました。それだけでなく、ペットの自然療法の研究会が主催団体として参加してくださるということになったのです。一般の飼い主さんは、動物のために自然療法を取り入れている動物病院を選び、治療法としてそれを選択することは可能ですが、様々なペットの自然療法について獣医師の先生から話しを聞くという機会は、日常ではなかなか得られるものではありません。

どんなことでも、特に動物たちに代わって彼らのために選ぶためには、まずきちんと知ることが大切です。きちんと知るというのは、インターネットで検索したり、本を読んで情報や知識を得ることだけでは終わりません。私はやはり、人と人だと思うのです。どんなことでも、直接会って話す、話しを聞く、ということが本当に知ることだと、常々思っています。

熊本地震を通して災害が自分たちにとって身近なものになることで得られる備えたいという気持ちは、学びたいという気持ちと同じものです。みなさんに湧き上がるこういう気持ちが広がって、セミナーの開催に至ったのだと実感しています。

昨晩の会議では、一般飼い主や会場として借用するペット系専門学校の学生たちにとって、理解しやすく興味のもてる内容に構成されることなどが決められました。真剣なお話はもちろんですが、簡単にご家庭でも取り入れられることも紹介していただけるようで、私も主催の一員ですが、今からとても楽しみにしています。

今回のチャリティセミナー「ペットのための自然療法セミナー」の詳細は、近々ブログ末尾にある「熊本被災ペット支援ネットワークの会」ブログでもお知らせします。チャリティセミナーは定員がありますので、早く知りたいという方はグッドボーイハートへご連絡下さい。


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チラシのPDFをこちらに添付します。
ペットのための自然療法セミナーチラシ



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犬と夢

犬も夢を見るんですか?と尋ねられることがあります。

犬が夢を見ているように感じられるのはどういうときでしょうか?
犬が寝ている最中に、吠えたり唸ったりして、声を出すことがありますね。他には、寝ているときに、歩いたり走ったりするように四肢を動かしたり、耳をぴくぴくさせたり、尾を振ったりすることもありますね。

犬が夢を見ているかどうかは、犬にしかわかりませんが、犬が夢をみているような睡眠をしているかどうかなら、知ることはできます。犬にも人とおなじように、睡眠の深さに違いがある深い睡眠と浅い睡眠があります。深い睡眠のときには、脳も体も休んでいるので、ぐっすり寝ているような感じです。浅い睡眠のときには、体は休んでいるのだけど、脳が機能しているため脳の反応によって筋肉や神経が動き、それが動きや声などとなって表現されています。

寝ているときに声を出したり走る四肢の動きを見せると、「夢のなかで楽しそう、走っているのかな。」と思ってしまいますね。

実はこの浅い睡眠は、私たち動物にとっては大切な睡眠らしいのです。脳の情報を整理する役割をもつ睡眠で、余分な情報を処理するためにも必要な睡眠です。浅い睡眠ができていると、脳もスッキリするということです。「なんか昨日いやな夢を見たな。」という風にはならないでしょうから、安心してください。

逆に、寝ているときに吠えたり鼻を鳴らしたりしているのがかわいそうに思って、犬を起こしてしまうことがあるかもしれませんね。せっかくの情報処理の時間ですから、そのままにしてあげた方が犬のためにいいので、ぜひ見守ってあげてください。

この浅い眠りと間違えられるのが、ほとんど寝ていない眠りです。たとえば、犬の目の前を静かに歩いただけでも目覚める、なんども目をあけて寝返りをうったり顔を上げたりする、などの行動をして、寝付けない状態になっている犬がいます。安心して寝る場所が確保できていなかったり、興奮してハイになりすぎたり、緊張しすぎたり、不安が継続すると、犬も「眠れない症候群」になってしまうのです。静かな環境が得られにくいとか人工灯が明るすぎるなど、犬の「眠れない症候群」も増えているようです。

なかなか眠れない犬は、他の行動も不安定になってきますので、飼い主さんは早めにそのシグナルを受け取ってあげましょう。事情があってたくさんの犬たちの入る犬舎や、多頭飼育を強いられいている環境にいる犬の安眠は難しいものです。一時的に睡眠の取れる場所に移動させるなどの工夫も必要です。

夢を見ているような犬の睡眠は、犬にとって大切な睡眠です。
今日もいい夢がみられますように。

オポお昼ね22年3月


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留守番する犬のためにできること

レッスン以外でも犬と暮らしている飼い主さんと話す機会がよくあります。どんな飼い主さんからも犬が喜ぶためにできることをしたいという気持ちを感じます。みなさんがすぐにできることでやっていることは何でしょうか?

順位付けるのは難しいと思いますが、オヤツや食べ物を買ってきて与えるということではないでしょうか。都市環境で忙しく時間もないし、伸び伸びとした環境も整っていないとなると、帰宅の時に留守番してくれた犬に何かお土産を買い与えたくなるのも、飼い主ゴコロというものです。もちろん、犬は大喜びするでしょう。与えられれば喜んで食べる、犬は素直に反応してくれます。

でも全く別の面からも、犬の留守番を助けてあげることができます。何だと思いますか?

犬の留守番する環境を整えるということです。
このブログでも何ども紹介した、犬が落ち着けるように道具などを用いて環境を整えるということはもちろんです。これについては、犬の成長の段階や、生活環境、ライフスタイルによりステップアップ式なので、個別の指導を受けられることをお勧めします。さらに、もうそんなことは十分にできているという飼い主さんでもできることがあります。

今日、本屋さんに立ち寄ったら、掃除や整理整頓、持たない暮らしなどの話題の本を集めたコーナーがありました。
現代の人の生活で見直すべきことのひとつなのだろうな、みんなが必要としている本なのかもしれないと眺めつつ通り過ぎながら、今日のブログの話はこれにしようと決めたのです。
実は、これらの本に書いてあることを実行することで、犬が過ごす環境を整える手助けができます。


一時期流行ったコトバでいうと「断舎利(だんしゃり)」という整理整頓です。以前にこんな間違いがありました。留守番するスペースに、犬が隠れるような場所を作ってあげてほしいと飼い主さんにお願いしたら、使っていない荷物をダンボール箱に入れたものを部屋に敷き詰めて、犬のスペースを小さくしたというケースがありました。隠れる場所を作ってくださいというお願いには応えてくださったのですが、不要なものをいれたダンボール箱で囲まれた犬の感覚は、理解しがたいものだったようです。犬も空間のかもし出す空気感に敏感なんですよ~と説明しました。

エネルギーつまり「気」の話しになりますが、犬や猫が「気」に敏感だということを感じられることはありませんか?
では、人が要らないものに囲まれて暮らしていると精神的に不安定になることがあるけど、物や気持ちの整理整頓をすると、身も心も軽くなり今までできなかったことをやってみようと思ったり、悩んでいたことが解決したなどの体験をされたことはないでしょうか。

少しでもそんな体験をしたことがある飼い主さんなら、飼い主さんが抱えている余分なものを犬もいっしょに抱えているという姿を想像してみるとよいでしょう。犬の生活空間である部屋の生理整頓や、要らないものや心を整理することで、部屋の空間はずい分と変わります。それは他人が部屋に入ったときでも感じられるほどの変化となります。室内だけで留守番している犬は、人よりもずっと長い時間その部屋にいるのです。忙しくて帰って寝るだけという短い時間ではなく、昼間もずっとその部屋の中で過ごしているのです。留守中に犬が寝ているだけでほとんど動いてなかったとしても、その部屋から感じるものの影響を受けるとしたらどうでしょうか。

そんなことあるわけないと思われた方も、ぜひ一度やってみてください。この要らないものを捨てることって結構エネルギーが必要です。買うことの10倍以上のエネルギーが必要だと感じます。本当に要らないものならいいのでしょうが、捨てられないものを捨てることが難しいからこそ、断舎利やものを整理する本がたくさんあるのでしょう。

普段はできないと思っていたことでも、大切な犬のためなら!と一念発起する飼い主さんもいると思います。
犬はいつも以外なところで背中を押してくれます。雨の週末、ちょっとだけ犬のために整理整頓する時間をつくってみてください。オヤツをもらったときのような反応がなくても、犬は心地よさを感じてくれるはずです。

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純血種の繁殖について

大雨で地盤が緩んでいたり、鉄砲水に襲われたり、浸水したりと、福岡でも避難勧告や避難準備を促すサインがネット上に出ています。七山校はすぐ裏手が山なのですが、七山校よりも博多駅の近い福岡の方が、よほど危険にさらされているのは不思議なことでしょうか。

グッドボーイハート七山校は、七山地区でも最も奥、つまり一番標高の高いところで、七山校の集落を基点に佐賀市へ向かうと下りになるという場所にあります。あまりにも奥地過ぎて人の手が入りにくい状態で維持されているので、山の奥の姿は昔とたいして変わっていないようです。

それと比較すると、人の入りやすい場所はなんども手を入れられ、植生も人の必要にあわせて変わり、道路も作り変えられるなど、人の手による改善がくり返されてきました。博多の都市環境になると、都市整備は大変進んでいるのですが、その分、大量の雨水の流れる場所がないことで、こうした大雨には弱い環境になってしまったのでしょう。

人が手をいれるということは、人にとって良い方へと考えて行われているはずなのに、自然の力までを考慮できなかったという反省は、都市整備だけではないと思います。

犬の場合もこれは多いにあります。純血種の犬を家族に迎えている方が増えました。先日もミックス(雑種)の犬を人に紹介したところ「これは何犬ですか?」と尋ねられました。純血種が犬だと思ってしまうと、全ての犬が何かの純血種だと思ってしまうのかもしれません。純血種が犬だという誤解も、いつの間にか広がってしまいました。

純血種とは、人が必要だと思う形質を、人為的な繁殖で強めていき、それを固定化させて作った様々な犬の種類です。その繁殖方法は、非常に狭い遺伝子のプールの中でくり返し行われます。そのくり返しの繁殖により、通常のイヌ科動物には出ないような毛の質、色、尾の形、骨の形、脚の長さなどが出るようになって、今のような、いろんな種類の純血種をつくってきたのです。

人為的に選択した形質は残せたけど、近親繁殖により動物に不利な情報を持つ遺伝子を隠すことができず、本来なら隠れている弱い部分が現れやすくなります。
特別な形質を持った犬はいろいろと弱い部分をかかえているのは、純血種と暮らしているみなさんもご存知のことと思います。遺伝的な病気として有名なものは当然のこととして、神経の障害、脳の障害、骨の形成の異常、関節形成の異常など、純血種の抱えている問題はとても深刻です。

純血種の繁殖が始まってから120年くらいになります。これを長いと考えるか、短いと考えるか。その間、遺伝子のプールはどんどん小さくなっており、そして、今でもまださらに、その純血種をさらに人の好みにあわせて繁殖する動きは止まりません。最近、日本では純血種をさらに小型化させている傾向があります。

小型の純血種が一番多いのは、日本ではないかというのが私の印象です。それほど旅人ではありませんが、外に出るたびに犬の行動にはつい目がいってしまうのですが、これほど小型の純血種が街中を歩いているのをみることも、海外では珍しいと思います。

小型化は、小型の犬のさらなる小型化と、日本犬のような中型犬の小型化にも広がっています。マンションなどの住宅事情で、小さな犬しか買えない日本人のライフスタイルに合わせた工夫と、愛玩化を好む傾向に応えることのようです。この小型化をビックリする方もいるようですが、今までの純血種の繁殖の目的と変わらない「人為的繁殖」ということで、流れとしては何も変わっていないのです。

ですが、みなさんに注目してほしいことがあります。小さな遺伝子プールでの繁殖は、動物の機能にいつか障害をもたらすことになります。行動が不自然、ストレス行動が多い、不自然行動が多い、など、なんらかの形で行動に異常が見られたら、それは動物としての危険信号として受け取ってあげてください。

犬という動物も自然とひとつです。自然からあまりにも離れてしまうといつか大きな災害を受けるように、犬もその波に飲まれてしまう危険性もあります。犬が犬らしさを失わないように、犬を愛する皆さんで見守ってほしいのです。

犬の繁殖をされる方も、純血種と暮らしている方も、みんな犬のことを本当に好きなのだと思います。あまりにも好き過ぎていろんなものが見えなくなることもあります。だから、犬好きたちは、お互いに関わりをもって、「もしかしたらおかしいかも。」という犬のメッセージを大切にしてほしいのです。そのためにも、犬の行動のいろいろについて、これからもブログを通して伝えていきます。

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<犬のしつけ方>子犬のトイレ失敗はいつまでに解決する?

子犬の家庭訪問のときに、初回のカウンセリングで説明する必要があるトレーニングが、トイレトレーニングについてです。そして、子犬のトイレの失敗について、ほとんどの方が「まだ犬が小さいから、トイレを失敗するのは当たり前」という誤解をされています。

人間の赤ちゃんのころにはオムツをしているし、オムツを外せるようになっても排泄の失敗はしばらく続くので、子犬のトイレも同じように思われているのかもしれません。子犬を母犬から離して人が飼うようになる年齢は、生後7週齢~8週齢が一般的です。子犬のこの年齢は、もう幼稚園生に入るくらいの年齢になっており、人でいうとオムツはとうに外れている年齢にあたります。

子犬がひとりで排泄行動ができるようになるのは、生後21日目からです。生後3週齢という早い時期なのはあまり知られていません。生後21日になると、子犬たちは巣穴から出てきます。この巣穴から出てくるときと、排泄を巣穴の外でするようになるときが同じなのです。巣穴から出て排泄をするようになった子犬は、巣穴を汚したりしません。外環境でこのまま成長する犬は、成長と共に排泄をする場所を変化させていきますが、そもそもトイレトレーニングとも、トイレの失敗とも無縁ということです。日本の一昔前の犬たちはみな外飼いでしたから、トイレトレーニングなどなかったということですね。

「トイレの失敗」という環境を作っているのは、犬を室内に閉じ込めたことでおきてしまうのです。犬は室内空間で排泄をする場所を失い、がまんできずにいたるところで排泄をするようになってしまいます。子犬だからトイレの失敗をするのではなく、必要な環境が整えられていないことで排泄の失敗をしてしまいます。

戸建てで庭のある環境でも、子犬の排泄場所として庭を提供できていない場合があります。ワクチン接種が完璧でないから外には出せないと思われていますが、そんなことはありません。ご自宅の庭には他の犬も入ってきません。子犬の時期から庭で排泄できるようになり安定している犬の方がストレスが少なくなり、免疫力にも影響を与えます。

集合住宅で庭がない場合にも、環境を整えてあげるとトイレの失敗をすることはありません。環境の中には人に対する社会化や、新しい家庭に移動するまでにどのように過ごしていたのかということも含まれます。せっかく子犬が生後21日で排泄行動を自律してできるようになっているにも関わらず、子犬が育った場所がその行動を可能にするものでなければ、家に連れてきた子犬はすぐに排泄の失敗をしてしまうでしょう。

とにかく、トイレの失敗は子犬の問題ではなく、環境の問題であることがわかれば、トイレトレーニングはほめたり叱ったりすることではないことも、わかっていただけると思います。

排泄の場所を室内に限定させたいという飼い主さんも増えています。外に出ないと排泄をしてくれないのは困るとか、預けたときに室内でしてくれたら助かるとか、その理由は犬側の都合ではなく、人側の都合によるもののようです。

室内で排泄をしたがらない犬と、室内でも排泄をする犬の気質は異なります。室内飼育される場合に、室内で排泄したがらない犬の方が性質が安定してきます。性質とは犬の性格のことです。性格は、遺伝的要素や、後天的に得られた経験や環境の影響などがあり、一概にひとつのことだけをとりあげて限定することはできません。それでも、犬の排泄行動が犬のテリトリーを決める行動であることなど、犬の機能性のしくみを知っていただくと、排泄行動と、日常行動の安定の関連性について理解していただけると思います。。

といっても、排泄を街中でされると臭いがきつい、家の周辺でされるのは迷惑だというご近所の言い分も十分にわかります。都市環境では、犬の生活密度が上がっていますので、こうしたペット公害に対しては、犬を飼っている側が気配りをして対応をすべき問題です。排尿のあとは水を流すことなどは当然のマナーであると思います。

犬の排泄行動が、犬にとってできる限りナチュラルな犬の習性にそったものとなるよう、飼い主さんとしてぜひ協力してあげてください。

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