グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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落ち着きがない犬じゃない理由

ウエストハイランドホワイトテリア・・・長い名前ですね。
テリア種はイギリスやドイツでネズミを捕る犬として、人為的に繁殖された犬種です。

チョコちゃんは「ちょこちょこ動き回る」という理由から名前がついたそうです。
テリア種独特の動きですね。
よく動き、気になるものを見つけるとなかなかそこから離れようとしません。

飼い主さんはお父さんの単身赴任をきっかけに
新しい家族として向かえたのがチョコちゃんだったそうです。
ところが、父母共に犬を飼うのは初めて。
しかも引っ越したばかりの新しい集合住宅。
ペットシッターさんのご紹介で早速トレーニングを始めることになりました。

子犬のチョコちゃんにはまだ大きな問題行動というのはありませんでした。
ご相談は飼い主さんが接し方が分からないということでした。
ご相談とは別にチョコちゃんの行動にある特徴が見られました。

飼い主さんの接し方についてはひとつひとつ練習を重ねることです。
チョコちゃんの行動をよく観察することと、接し方の練習します。
予測が立たないと犬の行動に対して瞬間的に反応してしまい、
悪循環に陥ります。

接し方のコツはチョコちゃんの行動を事前にある程度予測できるようになることです。
そのためには環境を整える必要があります。
環境によって犬の行動が変化していききますからね。

もうひとつのチョコちゃんの行動に見られる特徴とは、過敏なことでした。
飼い主さんが「チョコチョコと動き回る」と思われた以上に、反応の高い行動がありました。
カウンセリングではこうした飼い主さんの気づかれていない犬の性格について説明していきます。

過敏というのは性格ではありません。
子犬期の過敏性は繁殖と飼い主さんの元へ来るまでの環境が影響しています。

犬の販売方法によって子犬にストレスを与えることがあるのです。

チョコちゃんの飼い主さんはこうした事をご存知なかったようです。
こうした知識は犬と暮らしている人にははいりやすいのですが、
これまで犬に縁のない生活を送ってこられた飼い主さんには珍しくありません。

犬種として行動が早いため過敏性がさらに高められたように感じます。
飼い主さんの思惑とは違う行動を起こし、
それを止めようとするとますますその行動をするようになる、
をくり返してしまいます。

チョコちゃんは子犬期にこのことに対応し、力を使った矯正や脅かしを用いず
正しい接し方をしたため、過敏性を抑えていくことができるようになりました。

過敏性が恐怖心に変わると他の犬や人と接触することも難しくなってしまいます。
理由はわからなくても「初めて犬を飼うから」という単純なきっかけで
トレーニングを受けられたことが幸運でした。

チョコちゃんにたくさんの笑顔が生まれて、飼い主さんにもたくさんの笑顔が生まれます。
どんな出会いも偶然ではありません。失敗でもありません。
そこからできることが大切ですばらしい関係を築いていきます。
「ピンチはチャンス」ですね。



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子犬のしつけ、パピートレーニングは、問題行動を予防するだけではありません。
子犬の気質を安定させるために環境を整えるトレーニングです。
環境の中には飼い主さんの接し方は理解が重点をしめます。

問題が起きていなくても、すべての子犬と子犬を育てる飼い主さんにとって
パピートレーニングは財産になります。


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コラム「たくさんの知識が必要なのか?~しつけ・トレーニング~」

久しぶりに美容室へいきました。グッドボーイハート福岡のご近所の美容室です。髪の手入れをしてもらっているときもこの地区の近所犬のはなしがつきません。
美容師さんはミリちゃんというミニチュアダックスの飼い主さんです。ミリちゃんの子犬時代からグッドボーイハートで犬のしつけやトレーニングを通して犬についてたくさん勉強され、散歩中に会う犬についてもわかることが多くあるといわれます。

「勉強する」というとどこから、どのくらい勉強すればいいの?と不安に思われるでしょうか。実はとてもシンプルに犬のことを学び始めることができます。

ミリちゃんの飼い主さんがグッドボーイハートに犬の飼い方について相談された理由は「犬を飼ったことがないし犬があまり得意ではないけど知人に相談されてつい飼うことになってしまったんです。」というものでした。家に迎えたミリちゃんのことがわからない、だけどきちんと育てたいという責任感からトレーニングは始まりました。

最初、飼い主さんは犬については真っ白の状態です。子犬がどのような生活環境を必要としているか、何をしなければならないのかなど、課題が決められインストラクターの指導によってトレーニングはステップアップしながら進みます。課題は「こうしてください」というものだけではありません。「ミリちゃんはそのときどうしていましたか?」という質問の方が多くなります。飼い主さんはミリちゃんをよく観察して、こういうときにこういう行動をするのはこういう意味があるのだな、と理解を深めていきます。

この段階で自己流のしつけ方にこだわりインストラクターのアドバイスを受け入れられなかったり、事前に得た知識「私は犬のことをよく知っている。」という気持ちが観察力を落としたりします。なぜしなければならないのかと納得できないとしない、という場合にはトレーニングはなかなかすすみません。それがわかるのは実際に練習をくり返し犬に変化がみられたときなんです。

大切なのは知識や情報を仕入れることではなく、この犬に何が必要なのかというシンプルな答えだからです。頭の中だけで知ろうとするのは意味がないばかりかその間にも犬は問題を山積みにしていきます。そのためにこの道の専門家がいるのです。美容師である飼い主さんは、専門家がいうことを「ただ実践するという力」を持っていました。技術は魔法ではありません。飼い主さんの受け取る力が大切です。

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山登りの達人に学ぶ

先日、状況の折にある知人に再会しました。
以前アメリカで開催された犬関係のセミナーでご一緒した仲間です。

彼は、再会の数日前にオーストラリア大陸のコシウスコという山への登頂を果たし帰国したばかりで、
来春には7サミット(世界最高峰の7つの山)の全てを制覇してしまうという、とてもパワフルな方です。

こんな人に出会うと聞いてみたくなることは
「きっとすごく訓練を摘んだり、相当忍耐力がないとできることではありませんよね?」ということです。

ところが、「そんな事は必要なものの大切さからすると、ずっと下の方ですよ。
要は“いかに要領よく登るか”ということだけです。」
とさらりと言われます。

“要領よく”とはどういうことでしょうか?
どうもピンと来ない聞き手の私たちに対して、
登山の極意を分かりやすく話して下さいました。

彼にそれができたのは“すばらしいガイドに巡り合ったから”だそうです。
すばらしい山のガイドやその山の全てを知り尽くしています。
なるほど。山にはいろんな顔があって、今日はこんな顔かな?とか
こんな表情の時は気をつけた方がいいよということを
山と会話ができる人なんですね。

その瞬間の山の状態から、
どうすれば安全でどのように行動すれば危険なのかを、
そして個々の登山者にとってそれぞれに必要な情報を、
すばらしいガイドは適切に提供してくれるそうです。

次に大切な事は、登山者はガイドの教えをきちんと守って行動できるかどうかだそうです。
話を聞く事はできても、それを実行できる能力がなければ
ガイドの教えも宝にはなりませんね。

そして、その行動を成し遂げるためのモチベーションを
自分が明確にしているか、と続きます。
これは互いたそれぞれの役割の元に信頼を結んでいくためには大切なことです。


この話を聞きながら、まるで飼い主さんと犬のような関係だなと、
と感じました。
きっと犬たちも、言葉もわからぬ。文化も違う見知らぬ国で、
自分のガイドとして飼い主さんにサポートをして欲しいと願っているのだと
思います。

ところが最近は「はじめて犬と暮らす」という飼い主さんが多いため
犬といっしょに迷子になっているようですね。

そういう時は飼い主さんにもガイドが必要です。
自分がどの道を歩いているのか分からなくなったり、
迷路にはまったり、
一緒に登山をしているメンバーとのコミュニケーションがうまくいかないときには
ドッグインストラクターという臨時のガイドが必要でしょう。

ひとりひとりの飼い主さんにとって、よきガイドでありたいと思うと
毎日の勉強にもひときわ力が入ります。

みなさんもステキなガイドとの出会いを見つけてくださいね。

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このコラムはグッドボーイハート機関紙(2004年12月発行)に掲載されたものです。

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