グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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老犬とともに暮らしながら子犬を迎えるときに注意したいこと

 多頭飼育をされるご家庭が増えてきたようです。どのような状況でも、新しく子犬を迎えるということにはいろいろな配慮が必要です。中でも特に注意してあげたいのは、一緒に暮らしている犬が10歳を超える年齢に達する老犬になっているときです。
 10歳といえばまだまだ若く老犬と呼ぶには早すぎますが、若年寄くらいの年齢には達しています。先住犬が10歳を超えてから子犬を迎えるときには、いろんなことを細かく配慮してあげたいものです。


●子犬中心の生活にならないように
 どの年齢でも先住犬がいるときには、子犬中心の生活にならないように配慮してあげる必要があります。子犬は人との生活をはじめたばかりです。排泄に行く時間を細かく定めてトイレトレーニングを行ったり、クレートに一時的に休憩させるクレートトレーニングの時間があったり、庭で過ごす時間など生活のタイムスケジュールと、生活空間の使い方に慣れるために、しばらくはつきっきりでのお世話が必要になります。
 この子犬の生活の世話によって飼い主の動きが多くなってしまうため、つい子犬中心の生活になってしまうことがあります。今まで先住犬と過ごしていた時間を変えずに子犬のお世話も増やしてしまうと、とても時間がないと感じられるかもしれません。つい先住犬が老犬であれば、リビングでゆっくり昼寝やひなたぼっこ、飼い主さんとゆっくりと過ごす夜の時間だったひとときの間にも、子犬のお世話で飼い主が動いてしまうたびに老犬も落ち着かなくなってしまうかもしれません。それまでの犬と飼い主の関係性によって反応はさまざまですが、もし老犬が落ち着かない様子になるときには家族が交代で子犬のお世話に当たるなどの配慮が必要です。もし家族がおらずひとりで2頭の犬の世話をする必要があるなら、犬たちのお世話にかかる時間をたくさんとれるように仕事や他の用事を少し減らして時間調整をする必要性もあります。
 老犬の中には子犬の世話をするたびに鼻を鳴らしたり後追いをするような状態になることも考えられます。かといって老犬を必要以上になでたり触ったりしてなだめようとするとそれも逆効果になります。子犬に必要な時間については、老犬には「ちょっと待ってね。」ときちんと区別をつけてあげることで、老犬も次第に落ち着きを取り戻します。


●老犬が子犬を受け入れないのはよくあること
 子犬はお母さん犬から離されたばかりです。当然ですが、お母さん犬の代わりになってくれる存在を捜しています。そのため、成犬を見ると寄っていって自分の世話を受け入れさせるような行動をします。舌をペロペロと出して成犬の口元をなめたり、ついて回ったり、腹部を見せたりします。現在の成犬の多くは子犬をなかなか受け入れませんので、無視をしたり相手にしません。子犬から逃げる成犬もいます。
 成犬に受け入れを拒否されてしまうと、子犬はますます興奮してきます。とびあがったり、相手をされないと飛びついたり、手をかけたり、甘噛みをしたりします。成犬はとてもうっとうしくなり、吠えたり唸ったり軽く牙を当てることもあるかもしれません。子犬の方は世話を拒否されて居場所を獲得できず、部屋の中を走り回るなどの興奮した行動をしてしまうことがあります。
 成犬が吠えたり唸ったりするのを子犬に対する教育だと勘違いされていることがありますが、よく観察とその多くは拒否行動になっています。子犬の要求や興奮を抑える行動とは多少違いがありますので慎重に観察してください。
 こうした成犬、特に老犬が子犬を受け入れない行動をするとガッカリされることがあります。しかし、これは仕方のないことです。特に老犬については子犬の面倒を見ることを期待してはいけません。子犬にこのことを理解させることは難しいことですが、子犬が興奮しすぎて老犬に激しくアクションするのはのちのお互いの関係性を難しくしてしまいます。子犬の面倒を見るのは人であることを時間をかけて教える必要があります。


●生活のスペースをゆっくりと子犬に提供していくこと
 子犬をゆっくりと老犬の生活の中に入れていくためには、スペースをゆっくりと子犬に提供してくことです。老犬が子犬を受け入れしない限り、老犬のテリトリーの中に子犬が入ることを老犬は不快に感じます。ストレスの行動を出したり、隅っこにいったり鼻をならしたりすることもあるかもしれません。
 子犬を室内に慣らすときには子犬の本拠地であるクレートを老犬のメインスペースとは別の部屋に設置します。その上で、子犬の遊び場も子犬のクレート近くにつくるようにして老犬のくつろぎスペースを邪魔しないように配慮します。一日のうちの少しの時間を老犬といっしょに過ごすようにスペースの区切りを解放します。しかし、部屋のつくりなどで老犬の居場所に排泄をするようなことがあれば、その時間配分も工夫してあげる必要があります。自分の居場所を子犬の排泄で汚されるのは老犬にとってとても強いストレスになることを理解してあげましょう。
 大型犬であれば早い時期に庭で排泄ができるようになります。管理の方法ひとつですぐに子犬は庭に排泄場所を獲得するでしょう。老犬はこれだけでもひとつのストレスをクリアできます。また子犬はひとりで休めるようにクレートトレーニングを休息や睡眠、留守番のときに活用して練習を行います。子犬が人のそばでないと落ち着けないようになってしまうと、老犬はますます子犬との関係が難しくなってしまいます。

 こうした子犬の管理を続けながら時間をかけて老犬の生活に子犬が入ってこれるように配慮してあげてほしいのです。特にずっとひとりで過ごしてきた老犬にとって子犬の登場は大きな壁です。年をとるほどに環境を変えたくないと感じるのは、人でも同じことではないでしょうか。孫はとてもかわいいけど、お世話をするのはときどきでいいと感じられることもあるでしょう。老犬にとってエネルギーの高い子犬は、時に疲れる存在にもなるのです。老犬のペースを維持しながら子犬を家族として迎え入れ、お互いに時間をかけて関係をつくっていくことと、子犬をきちんと物理的にも管理をすることは、老犬の家庭に子犬を迎えるときにぜひ気をつけてあげてほしいことです。


dav