グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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アナグマと犬が遭遇したら:山の中で野生動物を見たときの犬の反応でわかること

 お天気続きでつい山に脚が向いてしまいます。梅雨時期になるとさすがにトレッキングも難しくなるので、暖かなこの季節はトレッキングクラスでステップアップをはかる短いチャンスでもあるのです。

●アナグマとの遭遇

 そんな気持ちよいトレッキングクラスのときに、珍しくアナグマと遭遇しました。
トレッキングクラスでよく出会う野生動物といえば、鳥とかヘビとか、うさぎくらいまでは比較的多いのですが、四つ足の哺乳動物にはめったに出くわすことはありません。見晴らしの良いトレッキングコースでは人の声や犬の動く気配も伝わりやすいため、警戒心が高い四つ足の哺乳動物の方も接近しないように気をつけているのでしょう。

 出会う可能性のある四つ足の哺乳動物の具体的な動物名は、タヌキ、キツネ、イタチ、アナグマといったところです。このうち、タヌキとキツネがイヌ科動物で、イタチとアナグマがイタチ科動物です。それでこの2つのグループは大きく違います。
 イヌ科動物は警戒心が高いためなかなか姿を現しません。それと比較するとイタチとアナグマは活動が活発なのかよく目にします。野生動物を見る機会がない人でもペットのフェレットは見たことがあるかもしれませんが、フェレットはヨーロッパのイタチ科動物で家畜化されたペットです。イタチはフェレットによく似ています。アナグマはフェレットというよりはタヌキの方に少しにている形をしています。

 このアナグマですが、このあたりの福岡、佐賀周辺の山々では日中でもわりと見かけることがあります。七山のグッドボーイハートの裏側にはよく昆虫の幼虫をとりにきているようで、穴を掘っては何か食べているのを見かけることもあります。地面に落ちたサクランボを食べているのも見たことがあります。梅雨前になったら野イチゴを食べにくるので日中の接触率はぐんとあがります。


●アナグマは怖い動物なのか

 アナグマを凶暴と思われているようですが、人間ほど凶暴ではありません。どんな動物も恐怖を感じて逃げることができないとなると、その行動は逃走行動から闘争行動へと変化してしまいます。アナグマを追いかけたり追い詰めてしまい、アナグマが逃げることができないという判断を下すとその瞬間に攻撃に転じることがあるでしょう。攻撃といっても最初は唸ったり牙を見せたり口を開けたりする威嚇行動です。威嚇行動は犬と同じように、「そっちが攻撃するならこっちだって戦うぞ」という戦いの意志を表現するもので、動物の表情をよく見れるようになれば、ここまでは怖くありません。威嚇行動は相手に分かりやすく伝えるために表現方法がオーバーになっています。歌舞伎のようなものですね。特に相手が異種間の場合や距離がある場合には、はっきりと伝えて相手を遠ざけるためにその表現方法はわかりやすいものになります。人から見るとそれが「こわい」という印象を受けるのかもしれません。


●アナグマに遭遇したときどうするの

 動物たちだったらアナグマに遭遇したときにどのようにすればいいのかといったことを考えて練習したりはしませんね。若い年齢の動物は衝動に負けてしまい動物に向かって走り出し大ケガをすることがあるかもしれません。ただ、きちんとした社会的関係を持つグループに所属していれば、衝動に負けて少し走り出しても途中で停止することができます。それは、走りすぎることでグループ=群れを離れすぎてしまうというゴムのようなストッパーがかかっているからです。群れから離れることは自分を最も危険にさらすことでもあるし、群れそのものを危険にさらしてしまうことでもあります。社会的な力というのは、自己利益だけでなく、自己にとって有益なという理由であっても群れの利益になるように、一定の行動のルールができあがっています。
 こうした行動は、考えて行われてないというのが不思議なところです。走り出したら飼い主さんに怒られるとかそんなことを犬は一切考えていません。社会性が未熟な時期には野生動物との遭遇には十分に注意をする必要があります。お互いのテリトリーを侵さず、脅かさず、安全と安心を保っていられるようにするための距離感を身につけることは、動物としてとても大切で利益のあることです。実は犬がこの社会的距離感を一番学習してるのは、対人間に対してなのです。人との関係や距離が近すぎると、一定の距離を他者ととりながら関係性をつくることはとても苦手です。特定の人には甘え、他の人には遠ざかるという傾向がどうしても強くなってしまいまうようです。

 動物との距離感は野生動物との距離にも現れるのです。いろんな体験から犬を知り、自分を知り、そして世界を知ることができます。山の環境はやはりすごいなと感じる一日でした。


dav