グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬の夏の暑さ対策

福岡は残暑が厳しいですね。山と比較すると夏の入りは同じ時期なのに、夏の終わりは都市では遅いと感じます。山ではもう秋の風が吹き降ろしてきているというのに、それが福岡の都市環境には届きません。

これだけ暑さが長引くと、犬は体力を消耗します。
暑さにより生じる犬の行動の変化はいくつかありますが、その中でも気をつけたいのは「食欲の低下」です。

食べものを消化することは体力を使います。夏の季節に食が細くなることは、犬の自己調整力でもあります。食べることを少なくして体力を温存させているのですね。
少し食欲が落ちる程度でしたら、犬の調整力と思って見守ることができます。
ですが場合によっては、本当に食欲が落ちていると感じられる状態になることがあります。

たとえば、夜の暑さで睡眠を十分に取れないと、朝ゴハンを食べません。犬の個体差や状態によりますが、いつも半分くらいは食べるのでしたらまだしも、全く食べないとなると睡眠の質は大丈夫だろうかと考えてあげた方が良いでしょう。

睡眠は消化機能や体力を高めるために必要な時間でもあり、脳の機能を休めるためにも大切です。犬は浅い眠りで長時間寝続けますが、夜の睡眠を十分にとることは体力回復のためにも役立ちます。暑さのために日中も体力を使っています。屋外飼育の場合には、若いときは大丈夫な犬も、10歳を超えたら夜の環境整備を考えてあげてください。

郊外にお住いの場合には、都市開発によって毎年暑さや風の流れが変わっています。昼間でも昨年よりも暑くなったなと感じられるときは、犬小屋のある外環境も同じように悪化していることもあります。離れたところでの環境の変化が、犬の環境にも影響を及ぼしていることにはなかなか気づきにくいものです。

屋外飼育の犬の場合は、室内の涼しい場所で過ごせるようにすることを犬が受け入れることができるなら、そのような工夫もあってよいでしょう。他にもそれぞれの環境の中で工夫できることがありそうです。犬が受け入れる形で少しずつ変化させていくことも、犬とのコミュニケーションのひとつです。

あとは秋を迎えるだけ。
秋風が早く犬たちを元気にしてくれることが待ち遠しいです。

※犬の暑さ対策については過去ブログ「犬が暑さを乗り切るコツ」でもお伝えしました。参考にしてください。

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犬の不自然な行動を知ること:限定される環境が犬に与える影響について

昨日のブログ「犬の行動範囲の真実」につづけていきます。

犬が日常的に過ごしている家庭訪問トレーニングクラスでは、状況に応じた犬の行動について飼い主さんから話を伺うことは、犬の状態や抱えている問題の質を知る上で大切です。

また、実際に犬と接して「人との生活の場」の中で犬の行動を見るとき、その中に不自然な行動をたくさん見ることができます。それは限られた環境に飼われている動物が多く見せる行動なので、もはやそれを「不自然な行動」と感じられる人が少なくなっています。

限られた環境に飼われている動物として動物園の動物をあげます。もちろん、動物園で生きることと、人に飼われて生きることは全くことなる環境です。環境が限られるということが動物に影響した結果、行動が変化してくるということを示す例としてはかけ離れています。

それでも、犬が人に飼われる環境の不自然さが進んだ結果、動物園の動物の行動と同じような行動を、犬が実際にしているという事実もあります。たとえば、サークルの中に長時間入れられている犬が、サークルの前で左右にいったりきたりする行動もそのひとつです。同じ行動をくり返すストレスを表現する行動です。

同じ行動をくり返す行動として、長時間の「毛づくろい行動」もあります。動物保護施設のネコ舎で、ずっと毛づくろいをしているネコたちを見たことがあります。これも同じ行動をくり返すストレス行動です。犬は毛づくろい行動をしないように思われていますが、自分の手や足をなめたり、毛をかんだりするという、毛づくろいのように見える行動を行っていることはよくあります。ただ、これが不自然な行動であることに気づく人が少なくなっています。

犬の状態を知るためには、その行動の意味を知る必要があります。
犬が習性として行う行動を人の都合で止めさせたり、逆に犬が不自然に行っている行動に気づかず対応していないということを知ることからはじまります。
そのことが、飼い主が犬に必要な環境を整える準備が始まった、ということなのです。

犬の行動について知りたい方は「チャリティ犬語セミナー2016.10.23」に参加してください。
犬の行動は犬が表現するもの、犬のコトバそのものなのです。
受け取る人がいるから表現がある。
受け取る人はわたしたちひとりひとりです。
ぜひいっしょに犬のコトバを受け取ってください!

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犬の行動範囲の真実:犬の安心は本当に獲得されているのか

七山校が里に位置するところにあります。里というよりはどちらかというと山裾といった方がいいかもしれません。相棒の草刈機1号がついに修理となり、重量のある草刈機2号で茂った山裾を少しだけ刈り込みました。
野生動物の行動範囲は、山から里にかけてその環境に影響するため、その環境に影響を与えている自分が介在する作業との関連性に、関心が続きます。

建物の近くまで来るアナグマは、草がきれいに刈り込まれている環境でもゆっくりとやってきて、家の周囲の土の中から幼虫を食べては山へ帰っていきます。アナグマの行動も環境だけでなく、その個体の性格によって違いが出ているのだろうと感じます。

犬にも行動範囲が広い個体と狭い個体がいます。その行動も犬の周囲の環境によって異なります。ところが、犬の活動の範囲が広い方なのか、狭いほうなのかということを知るために犬の日常過ごしている行動のパターンをみても、正しい情報が得られないことがあります。

なぜなら、これらの個体情報は犬があくまで「自然に」活動していることで知ることができるからです。現代の都市周辺環境での犬の活動は動物としては「不自然」に限りなく近いです。理由は、家や庭などの囲いのある場所でのみ活動しそこから出ることがない、出るときにはリード(ひきづな)をつけているため自由行動がない、リードから解放されるのはドッグランなどの囲いのある犬用の施設の中、という環境で過ごしているからです。

冒頭の野生動物から見る行動の範囲を考えるとき、動物が行動をするのは自分の安全を確保できる信頼を重ねた上でその範囲を広げていきます。危険だと感じられるところには近づかなくなり、身を隠せるような場所があると里に近づきやすくなります。動物の行動は常に自分自身の安全の確保と関連しています。

犬の場合には、その安全を常に人が提供しています。小さな庭には危険が襲うことがなく、自由に庭内を行き来することになり、リードをつけているときには飼い主という管理者がそばにいるため多少危険な行為だと思われることがあっても、飼い主が犬を守るという行動で片付けられます。

たとえば、散歩中に力のない犬が力のある犬に吠えかかっていっても、リードがついている限り相手が反撃することもなく、吠えかかった犬がその危険性を知ることもないということです。

自らの安全を確保してそしてそれを行動として広げていくという動物の基本姿勢を、犬は身に付けるチャンスを失ってしまったように思えます。

犬が安心して行動しているのであればいいではないか、という意見もあるかもしれません。
ただ、こうした依存的に行動するようになった犬は、決して「安心して」行動していないことを証明する行動がいくつも現れています。

突然、何かに遭遇したときにパニックを起こして奇声を発したり、飼い主がいつも自分に関心を示したり要求を聞くことを試す行動を毎日くり返し行っています。

これも飼い主という存在が犬という動物に与えているひとつの環境ではありますが、その関係性にお互いの自律を見ることができるようになれば、もっと犬の行動は自信にあふれたものへと変化していきます。

そんな犬の姿をときどき見る瞬間があると、なぜかホッとしてしまいます。

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犬に「天罰」はいらない

犬育ての基本姿勢は昔からあまり変わっていないように思います。

時代に応じて、いろいろと変わっていくのは「犬のしつけ方・トレーニング法」です。
犬のトレーニング法は犬育ての基本姿勢とは違う面を持ちます。
「しつけ方・トレーニング法」の中に手法などのテクニックを含んでいるということです。

その手法のひとつ、忘れかけていた言葉を生徒さんから聞きました。
「犬に天罰を与えるように教わったことがあるのだけど、上手くいかずに結局しませんでした。」
というものでした。

「天罰」というトレーニング法をわたしも覚えています。
最初に犬のトレーニングを学んだのが訓練所に勤め始めたときで、もう30年以上前のことです。
訓練所では、先輩方からそのやり方を学んだり、やっていることの意味を教えてもらいました。
その中に「天罰」という手法がありました。

今ではほとんど使われることはない古い手法のため、ご存知ない方のために説明します。
犬のトレーニングやしつけ方で用いる「天罰」とはこのようなものです。

犬に「罰」を与えたい状況になったとき、たとえば、犬が食べ物を盗み食いしたとか
家具をかじっているとか、サークルの中で吠えているとか…そういった状況です。

そのような状況に、犬に対して罰を与えるというものです。
ただし、その罰は自分(=人)が与えていると犬に思われていはいけない、
それを「天罰」として与えるのだという手法です。

その「天罰」の与え方も様々であるようですが、たとえば空き缶に石などをいれておき
投げて音を出す、その際にも空から降ってきたように投げることで、犬には「天罰」だと
思わせるというものです。

ではなぜ、犬に罰を与えているのが自分(=人)だと思われてはいけない理由はいくつかあります。
人を嫌いにならないように、人を怖がるようにならないように、という理由だったり
人が見ていないと罰を与える人がいないため、それらの困ったことを人がいないときに犬がするというのが主な理由です。

なんとなく「なるほど」的な感じがして、天罰を試したことがある人もいるかもしれません。

でも、よく考えてみてください。
これらの中にはいくつもの矛盾があります。

そもそも、やってはいけないことを「いけない」と飼い主が叱責することで
嫌われたり、怖がられたりするようなら、そもそもその飼い主と犬の関係性に問題があります。
叱責ができるのは、群れの順位が上のもの、わかりやすくいえば親的存在です。
してはいけないことを叱責されたことで、親のことを一瞬は不快に思ったとしても、
お互いに尊重しあえる必要な存在であれば、関係性に問題はなくむしろ関係性はより深まります。
このとき、犬に善悪の判断を理解させる必要もありません。子供とて同じことですね。

まずはルールを一貫して決めている役割のものがいるので、そのものがルールをわかりやすく
伝えるというだけのことです。
もちろん、そのためには犬と人が関係性をつくる必要があります。
関係性は罰を与えることでは作れませんが、犬にはグループに所属し服従するという能力があります。

天罰という考え方は人の中にあるものです。
たとえば、人のものをこっそり盗んだあとに、転んで怪我をするようなことがあったときに
自分に嫌なことが起きたのは、自分が人に嫌なことをしたからだ、これは天罰だ。
そのような内容ではないでしょうか。
こんな因果関係で物事を考えるのは、人、それも大人であって犬には起こりません。

そして、敏感な犬はその「天罰」が飼い主が与えた罰であることをすぐに理解します。
なげたものから臭う飼い主の手の臭い、それが動かぬ証拠です。

万が一「天罰」が成功したとしても、その結末はこんなものでしょう。
犬は何か行動を起こしたときに恐ろしいことが起きたため、他の行動も制限がかかる
突然恐ろしいことがときどき起きる、犬はその環境に対して不信感をもつようになる

場合によっては、犬がとても神経質な性格になる可能性もあります。
神経質になった結果、犬はいつも人について回るようになり、「犬がお利口さんになった」と勘違いする飼い主もいるかもしれません。

犬は社会性の高い動物で、ルールに敏感です。
それが犬が群れ=家族というグループに所属している証です。
ルールを決めている人が誰かを知りたいと思っています。
止めさせたいことを犬にわかりやすく伝えるために「天罰」は不要です。

もし天罰法を使ったことがあるとしても、悔いる必要はありません。
犬は忘れ去ることの上手な動物です。
前向きな関係作りを望んでいます。
今日から、今から、犬のよき理解者としてひとつずつ学べばいいのです。

犬育ての基本姿勢は、犬と向き合う心の持ち方です。

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関東から来た生徒さんから学んだこと

関東から夏休みを利用して帰省された生徒さんが、カウンセリング受講のために立ち寄られました。
15年前に1頭目のワンちゃんの子犬のために家庭訪問カウンセリングに伺ったあと、
パピートレーニングや成犬の家庭訪問トレーニングを受講されたご縁でした。

その後、ご結婚して関東地区に引越しされたのですが、昨年また新しい犬を家族として迎え入れたとのことです。
今回、15歳になったワンちゃんが元気に過ごしている姿を拝見して、月日の長さを感じました。
関東からは犬たちに負担をかけないようにと、車で休み休み時間をかけて移動してこられたとのことです。

立ち寄られた理由は、新しく迎えた犬がもう1歳を過ぎているのに、ご家庭でいろいろと
解決できていない問題があるということで、カウンセリングを受講したいということで連絡を受けていました。
関東でも子犬の家庭訪問トレーニングを受講したけど、問題が解決していないとのことだったのです。

どのような優れた犬のプロフェッショナルに出会えたとしても、飼い主さんの努力や向き合う力がなければ
犬のしつけやトレーニング、もっとわかりやすく言えば「犬との信頼関係作り」はすすみません。

ただ、過去に2頭のお世話をさせていただいた生徒さんなので、難しい環境の中でも根気強く犬との関係作りを
進めてこられたことを知っています。
ご実家からは福岡も七山も1時間程度ということでしたので、七山校で訪問カウンセリングクラスを受けていただきました。

犬の状態や環境についてカウンセリングさせていただくと、子犬のころに整えるべき環境を準備できておらず、
犬の行動や状態に問題が生じていることがわかりました。

子犬の頃の環境整備はとても大切です。
自宅内を子犬にどのように提供するのか
子犬の性質に応じてどのように接するのか
先住犬との関わりをどのように提供するのか
社会性を育てていくために必要な方法と時間をどう確保していくのか

多忙な上に多頭で迎えるとなると、その手順は少し複雑となり、小さなステップを踏むことになります。

家庭犬スクールや家庭犬インストラクターに相談したけど上手くいかなかったという場合には、
行き違いが生じている可能性があります。

今までに受講したというトレーニングの内容を聞いて「なるほどと納得がいきました。」

犬に「行動させるトレーニング」だけを教える家庭犬インストラクターもいるということです。
犬に行動させるトレーニングを中心とする場合には、グループのしつけ方教室や、スポーツ競技、
家庭犬のトレーニングテストを目指すクラスなどのクラス形式で行われます。
それが、家庭訪問トレーニングという形式でも実際には行われているということです。

たとえば、犬に行動させるトレーニングとは、オスワリ、フセ、マテ、ツイテを教えることや、
芸やトリックを教えることです。
これらは全て「犬に行動させるトレーニング」で、
飼い主が合図(コマンド)を出して犬が行動をするというトレーニングです。

これは犬の「行動を強化」するトレーニングです。
強化するためには陽性強化もしくは陰性強化という学習理論を用います。
陽性強化トレーニングは一時的に広まりましたのでご存知の方も多いと思います。
犬が行動をするとごほうび(いいこと)がでるという方法です。
陰性強化の方は、犬が行動すると今まであったいやなことがなくなるという方法です。

いずれにしても、犬に行動を起こさせることを目的としたトレーニングです。
犬は飼い主の「合図(コマンド)」に反応するため、飼い主さんもトレーニングにはまりやすく
ごほうびを伴うので犬も夢中になりやすいトレーニングとなりインストラクターも増えました。

このトレーニングと「犬を理解し、犬に必要な環境を整えるトレーニング」は別です。
合図に反応させるトレーニングが必要な時期と必要な環境もあります。
それも「使い方次第」ということで、合図に反応させることが目的ではありません。

飼い主の希望するトレーニングと、家庭犬インストラクターの提供するトレーニングがあっていなかったため、
問題がそのままになってしまい、犬への?が関係作りを一時的にストップさせてしまったようです。

短い時間でしたが、現在起きていることと最初のステップについて説明し、クラスは終了しました。
犬の行動やコミュニケーションについても多くの受け取り違いがあり、飼い主さんの方の誤解についてもすぐに認められ、
「ごめんね、言いたい事がいっぱいあったんだね。これからがんばるからね。」と約束されていました。

プロとして情報を提供するわたしたちの方も、飼い主が選択しやすいようにわかりやすくしなければいけない
と感じたカウンセリングでした。

今日、注文していた名刺が届きました。
わかりやすくするために名刺の裏にGoodBoyHeartの理念を記しました。

「犬を理解すること」
「人と犬が共に成長すること」
「自然とのつながりを通して調和すること」

GoodBoyHeartはまだまだ成長中です。
それでも目指していることは16年前と変わりません。

犬のことを知りたい、理解したい、いっしょに成長したい。
そして、犬とよりより関係を作っていきたい。
そういう方はぜひ共に学びましょう。

オポとみるく2

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犬語セミナー10周年<福岡クラス開催>

グッドボーイハートが犬語セミナークラスの開催を始めて10年がたちました。

犬語セミナーは、犬を同伴しないクラスです。
犬と暮らしていない方も参加できるクラスです。

地味だけど、犬を理解するクラスとしてコアなファンには人気があります。
今日はグッドボーイハート福岡事務局でのはじめての開催です。

ここ8年間はグッドボーイハート七山校で、山歩きクラスのあとに開催していました。
犬がグループクラスに参加できないとか、少し年をとってきてペースがあわないという飼い主さんを対象にして福岡で開催することになりました。

犬語セミナーは、いろんな状況で撮影した犬と犬のビデオ、犬と人のビデオを見ながら「犬のコトバ」について学ぶクラスです。

動物行動学の手順「行動を観察する→行動を分析する→行動を評価する」という過程を、参加者全員で行っていくゼミナール形式です。
講師が説明するだけでなくひとりひとりが答えを考えるので、犬語の習得が進みます。

今日のお題ビデオは「成犬と幼犬の初対面行動」「幼犬と幼犬の初対面行動」です。

幼犬はコミュニケーション力が未熟で性質形成が終わっていないため、行動もぼんやりとわかりにくいところも多くあります。
性質形成途中であるからこそ知りたい、子犬の本質のようなものが行動に見られます。
また、子犬が対して飼い主がどのように接しているのかも知ることができます。

ビデオで見る利点は、客観的に見れること、そして細かくみることができることです。
犬の行動は早く肉眼ではとうてい全てを見ることはできません。
ビデオで見ると、細かいシグナルをいくつも知ることができます。
犬がいかにコミュニケーション力が高いのかということを知るきっかけにもなります。

ところがクラス中はわかったと思ったことが、実際に犬をみるとわからなくなることがあります。
生身の犬を見ると感情が入りすぎて自分の目を曇らせるため、思い込みで見る習慣が身に付いているからです。

相手のしていることが自分のことが好きなのだと思い込んだり、
相手の欠点も長所に見えてきたり、相手の嫌悪的なコミュニケーションが見えなかったり…。
なんだか恋愛と同じですね。

だから「わからなくなったとき」はチャンスだと思ってください。
「わからなくなる=迷う」のは、自分が見方を変えようとしているからです。


クラスの目的は「犬を理解すること」です。
単純だけど毎日の生活の中で忘れてしまうことはないでしょうか?

犬が好き、犬を愛している、いつも犬といっしょにいたい、犬と過ごしたい。
そんな気持ちはずっと継続します。
でも自分の気持ちが高まりすぎることが優先してしまい、
犬の立場にたって考えることを忘れてしまうことがあります。

次回の福岡での犬語セミナー開催は9月22日(祝日)13時~です。

10月には犬語セミナーが始めてグッドボーイハートを飛び出します。
詳細は近日お知らせしますのでお楽しみに。

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犬の自律神経を整える

ブログ記事「天候と犬」では,
犬にも自律神経がありそのバランスを崩すと心身に不調が起きることをお伝えしました。

自律神経を整える方法については、人間の健康維持でも知られています。
その方法は様々ですが、犬にも通じるところが多々あります。

たとえば、動物と太陽との関係です。
規則正しくする生活習慣をとりいれて、自律神経を整えることができます。
ブログ記事「天候と犬」では、気圧によって変化する自律神経がバランスをとろうと働くことを書きました。
自律神経は太陽が活動を始めると交感神経が優位となり、太陽が沈むと副交感神経が優位になります。暗くても活動ができる夜行性といわれるイヌ科動物も、活動の中心は太陽が活動しているときで、日中以外です。

犬の自律神経が不安定になると、犬も昼夜逆転となり昼間に寝ていて夜間に徘徊するという行動をすることもあります。
太陽が昇ると目をさます犬は、健康な犬である証拠です。
子犬は太陽とともに目覚める元気がありますね。

夜型中心の人の生活にあわせてしまい、「散歩に行くのは日が沈んでから」という生活になると自律神経に負担をかけます。
この暑い季節にはそうなりがちですが、散歩にいく時間を早朝とし、夕方はできるだけ気温の低い、行き着けの自然環境に近い場所や山へ出向くなど、できることをひとつでも考えてみてください。

自律神経は呼吸にも関連します。
自律神経がバランスを取り戻そうとするときに混乱を生じると動悸や心拍数の上昇が起こります。
自律神経を整えるためには、意識して呼吸をゆっくりとする練習があります。
ところが犬に「ゆっくり呼吸してください。」といっても通じません。
でも、できることがあります。

犬は飼い主の状態に影響を受けやすいです。特に室内飼育となり飼い主との距離感が近くなると、飼い主の状態はすぐに犬に伝わります。
ということは、飼い主の呼吸が早くなったり荒くなったりすることにも影響をうけ、飼い主が安定した呼吸をするようになるとそちらにも影響をうけます。
緊張しそうになったら「まずは飼い主が深呼吸」。
犬と暮らす中でのコツのひとつです。

自律神経を整える方法は他にもまだたくさんあります。
少しずつ書き綴っていきます。


さて、今日は福岡市内を広範囲に移動しました。
車の中の暑さに深くため息をついて信号停車をし、横をみてビックリしました。

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七山?池原地区?
グッドボーイハート七山校の住所です。

「おいしい水と空気、自然の宝庫」
ほんとうにその通りだと深くうなずきます。

ここのお米食べたらその自然の力を味わえるということでしょうが、
犬だったらそこに行っただけで、自然の力を受け取れます。

携帯で写真を撮ることなどないのですが(五年に1回くらい)
バテそうな私へのプレゼントだと思い「ありがとうございます!」と記念撮影してしまいました。

みなさんいろんな力とつながっているのだと思います。
犬が教えてくれた「山とのつながり」は、わたしにとっての大切なつながりのひとつです。

山には秋風が吹き始めています。
明日は山の日らしいですが、山はすべての犬の心の中に存在しています。



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天候と犬<夕立>

ちびっコワンコの初トレッキングクラスを終了した後、涼しい七山校で過ごしました。

いわゆる「下界」(※都心部から七山に上がって来られる生徒さんたちが、なぜか都心部のことを「下界」といわれるので)に比べると気温は10度近く低く、午前中は「エアコン入ってますか?」といわれるほどの涼しさです。
午後になると夏日でじっくりと焼かれた家の中の気温は少しずつ暑くなり、15時くらいには扇風機回そうかなと思うほどになります。

こんな時「今、夕立が降ったら涼しくなるのにね。」と思う日々が増えています。
七山で過ごすようになってから10年ほどの間に、夕立が年々減っていると思います。

そういえば、小学生のころに福岡の博多地区に住んでいたことがあったのですが、夕立の思い出があります。
母といっしょに、慌てて洗濯物を取り込むという光景は昭和の日常でした。
天候の問題だけではなく、土が少なくなることで地表の温度が上がっているお知らせではないでしょうか。
日中庭で過ごす犬たちが気がかりです。

雨が降るときは気圧が低気圧になります。これは犬の行動に変化を与えます。
気圧の高低が動物の自律神経に影響するからです。
高気圧のときは交感神経が優位になり、低気圧のときは副交感神経が優位になります。
副交感神経は休息の神経で体を休憩させるため、よく寝るようになったりしますね。

自律神経は体の状態を外環境に適応させるために調整を働くのです。

ところが夏の夕立は急激に気圧が下がります。
急激な気圧の低下は、自律神経が副交感神経を優位にしすぎたり、落ち着けなかったりして調整がうまくいかなくなり不調を感じます。また、自律神経は血液の循環に影響しますので、自律神経の混乱により血液の循環にも影響を生じ、全身症状へと向かう事もあるため、病気がちな犬や老犬では心配されるような症状が出ることもあるでしょう。

犬の自律神経は行動に影響をしているため、トレーニングでも重要視する犬の仕組みです。

「自律神経を整える」ということを聞かれたことがあると思います。
でも、犬が「自律神経を整えようかな」と運動を始めることはありません。不自然な体操や食べ物を使って体を動かしてあげる体操や運動などは犬の自律性をさらに損います。

自律神経を助ける方法は、自律神経に負担をかけないということです。

続きは次回。

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犬の習性<分配する力>

犬と猫が人のそば暮らすようになったのは、「食べ物」を人の近くで得られたことでした。
ですが、犬と猫ではその過程が違います。

猫は人の環境の中に増えたネズミを食用するため、人の住処の近くにテリトリーをかまえるようになりました。
ネズミは害虫のため、人にとってこれは助かることです。積極的に猫を人の近くにおくようになり、ペット化されていきます。

犬の場合には少し違います。
犬は人の食べ物の残りものを狙って、人のテリトリーの近くをうろついていました。
人に見つからないように身を潜めて好機が来るのを待ちます。
そのとき、暗闇で他の動物が近づく気配があると、犬は「ウー」と唸り声を出します。
これが、人にとっては貴重な合図となり、自分自身の身を守る方法として人は犬を必要としました。
そのため犬に食べ物を積極的に与えることで犬が人の近くにいるようになり、人は使役、食用、ペットとして犬を利用する機会を得たのです。

「ペットとして利用」という言葉に抵抗を示されることがあるかもしれません。ペット化は否定されることではありませんが、人につく「家畜化」では崩れなかった犬の本来の性質が、ペット化によって変化してきたという事実はあります。
人が犬を飼うこと=ペットというわけではありませんが、人の愛玩の存在として利用されるようになることがあるという事実からは目をそらすべきではないと思います。この話しは少々時間がかかります。文字では限界を感じますのでまたいつか。

話しを元に戻します。

犬は人から食べ物をもらうようになりました。これは犬の動物としての本来の習性に適応していました。

イヌ科の動物は、群れのメンバーのうち狩りに出て獲物をとる動物と、食べ物を待つ動物にわけられます。
子犬は成犬が食べ物をもちかえるのを待ちます。
獲物をとった犬は成長した他の犬にも、子犬と同じように食べ物を持ち帰ります。

運搬できるものであれば口にくわえて持ち運びます。
そうでないものは一旦、胃袋に収めた上で「吐き戻し」という行為によって、他のものに与えられます。
子犬が親犬の口をペロペロとなめるのは、この「吐き戻し」行動を誘引する行動なのです。
結果、犬は食べ物を分配しているということです。犬が「群れ」という社会集団を構成する上で重要な習性です。

食べ物を分配する行為は、多くの動物で見られるように感じれるかもしれません。
自分の子にあたる動物に分配することは、ネコ科の動物でも同じことです。

これに対し、イヌ科動物は自分の子でなくても、群れのメンバーに対して分配を与えるということです。

人と暮らすようになった犬は、人から食べ物を分配してもらうことになります。
このことは結果として、人に対する群れのメンバーとしての関係を高めることにつながります。

イヌ科動物の分配には、別の情報も入ります。
群れを構成する犬は、その群れの中に順位制をつくります。
誰が何をするという役割分担で、その中には誰が優先的に食べものを得るのかということも含まれます。

優先的に食べものを得るものが、好きなだけ食べていいということではありません。個々が群れの一員として、群れが存続するために必要なものを得てバランスをとる必要があるからです。群れが健康に存続することが、犬の個体の強さにもつながっていきます。

分配の過程で順位付けがあいまいになっていると、争い事がおきることがあります。
人から食べ物をもらう行為に、犬が興奮行動などのストレス行動を伴うのはこのことが理由のこともあります。
ブログ記事「ゴハンのときに興奮しますか?」を参考にしてください。)
分配がうまくいかないのは、人と犬で構成された群れ内の順位付けがあいまいなためです。
もしくは多頭飼育の場合にも、分配がうまくいかずトラブルになる例があります。

人と犬で構成された群れの分配力は、その順位付けが影響し、それは群れの健康の度合いを示しています。
家族のメンバーが代わったり、犬が老齢化してくることで、順位が一時的に不安定になることがあります。
でも、それもしっかりとした健康な群れであれば、すぐに安定を取り戻すことでしょう。

この分配力ですが、実は人社会でもこの分配力を高めた結果、今の住居を固定する生活を安定させてきました。
食べ物をつくり、家畜を育て、そしてそれを分配する家族という構成です。
動物としては違う人と犬が、分配力については同じ習性を発揮しているのです。

犬の分配力は、人と群れを構成するようになった過程を示す重要な犬の習性(本来の性質)です。
犬の習性が十分に生かされるような環境と関係で、犬の分配力を育ててください。

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アメリカ版猫のヘルパーに学ぶ

生徒さんにジャクソン・ギャラクシーという猫の行動カウンセラーの本を借りて読んだことがあります。

そのカウンセリングがテレビで放送されていたとも聞いたのですが、そのときは見る機会を得られませんでした。それが最近ネット配信で一部を公開されていて(気づいたのが最近なのかも)、念願のジャクソン・ギャラクシーの番組を見ました。

猫を飼ったこともないし飼いたいとも思っていないのですが、自分の身近でウロウロとしている動物なので、動物として関心があることと、ペット化によって起きる問題をどのようにアプローチするのかということにも関心があります。

過去にテレビの取材をなんども経験したことがあるので、実際の現場とは異なる形で放送されている可能性が非高いことを承知の上で、じっくり拝見しました。

興味深いことがたくさんありました。
問題解決の基本は「犬と同じ」だということです。

番組内でジャクソン・ギャラクシーはまず、飼い主の自宅を訪問します。そして、飼い主から猫の現在の行動を聞き出し、現在の環境についてチェックをします。
改善の基本は「環境改善」です。

犬のトレーニングについて、家庭訪問が大切なことも同じ理由です。
犬の環境改善についてはこのブログでもお伝えしていますので復習してください。

アドバイスの中には、猫に隠れる場所を与える、猫が避難できるスペースを準備するなどがありました。
猫と犬で行動のパターンの違いはありますが、これらは犬にも必要なことです。

猫という動物として必要な環境と、猫の性質に応じて必要な環境の二つの点からみていきます。
これも、犬に共通しています。

犬の環境改善は、犬にとって最も大切なことです。
犬という動物として必要な環境と、犬の性質に応じて必要な環境です。

そして環境の中には、飼い主の接し方が入っています。
たとえば番組内では、猫の抱きかかえ方とおろすべきシグナルについて説明していました。
猫が決して抱きかかえられたいわけではなく、猫の許容する範囲にとどめるということでしょう。

犬も、飼い主の犬への接し方は猫以上に重要です。

「エネルギー」というコトバも使っていました。
番組内では「飼い主のエネルギーが猫の伝わる、だから撫ですぎないで。」と伝えました。

見えない部分なのでわかりにくいかもしれませんが、人が抱えているテンション、気分、思考、姿勢、などそのようなものが猫にも犬にも伝わってしまうのです。

犬と猫。
異なる種ですが、人の生活に組み込まれた家畜化の歴史をとった動物としては共通点もあります。
コンラート・ローレンツの本「人イヌに会う」でも、そのように紹介されています。

犬の場合、環境のうち「飼い主の影響」が非常に強いということです。
昔の人がいった「犬は人につき、猫は家につく」は深いコトバです。

また、日本とアメリカでは動物を飼うスペースがあまりにも違いすぎます。
犬の場合には、与えられている庭の広さにも驚くほどですが、庭を囲う習慣はないことに伴うトラブルも多いようです。

欧米でも猫は室内飼育傾向が高いことをうかがわせます。
それが猫の問題行動の急増にもつながっているのでしょう。

番組では猫の飼い主さんたちが口にしていた言葉が印象的でした。
「どんなことをしてもこの問題を解決したい。
この猫といっしょに暮らしたいんです。できることはなんでもします。」

これは、犬猫などの動物と暮らすトレーニングの必須項目だからです。
このエネルギーは何にも変えられないものです。

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