グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬の小さな変化を見逃さないことが犬との関係をより良くする

ご家庭訪問タイプのトレーニングクラスのために定期的にご家庭を訪問していると、犬の行動の変化を見ることができます。

トレーニングの内容に沿って進められた環境の変化に対する適応。

たとえばクレートというハウスで寝るようになる。

犬用のベッドで遊ぶようになる。

適切な場所に準備された排泄場所に排泄をするようになる。

そして排泄の失敗(トイレの失敗)というのがなくなってくる…など。

これはほんの一部ですが確かにトレーニングやしつけを行った結果に変化した犬の行動です。

ですが、犬の行動はいいことばかりではないし、いつもパーフェクトなわけではありません。

「今週も1回トイレを失敗しました…」

「まだ、とびつきがなおりません。」

「ものをかじるのを止めません。」

「吠えがなくなりません。」

飼い主側はできていない行動をたくさんあげられることは得意ですが、犬ができるようになったことを探すのは苦手のようです。

もう少しはっきりというと、犬ができるようになりつつあること、に気づかれるのが苦手のようです。

0か100。

完璧にできたら「できた」と思えるものも、中途半端な数字10とか50とか80ではまだまだ合格とは言えないので不安になられるのも分かります。

そのことに気づいて説明するのがインストラクターとして訪問している自分の仕事です。

先日まで訪問のときに吠えていたのが今は吠えていない。

最近まですぐに飛びついていたけれどゆっくりと近づけるようになっている。

ハウスの合図に対する反応がかなり高くなっている。

そんな、飼い主さんにとっては満点とはいえない犬の行動も、より良い方向に向かっていることを感じることができたら飼い主さんに報告しています。

これは、飼い主が現在整えている環境整備がうまくいっていますよ、ということなのです。

つまり自信を持ってこのまま継続されて構いませんという、私の中での合格サインです。

生徒さんからは「犬がまったくよくなっていないと思っていたけれど、こうしてお話を聞くと変化しているのがわかりました。」といわれます。

飼い主としてはとても高いところを目指しているので、そこまでにはまだまだ時間がかかるということで焦りがあるのかもしれません。

しかし犬のしつけや犬と関わるということは、完璧になりすぎてしまったら犬はそれだけ年をとったということもであります。

今「犬が出来ている」こと、今「私ができていること」を認めることの方がずっと有益だということを、客観的にみればわかることですが当事者というのはなかなかそうでもないのです。

責任感があってちゃんとしなければという気持ちが強ければ強いほど、犬へのプレッシャーもかかってしまいます。

犬がプレッシャーを抱えているシグナルとしては、しつけの練習の途中で逃げ出したり走り出したりしてしまうときです。

逃走は犬がもっとも得意とする行動なので、走り出すたびに練習を止めていたら練習にはなりません。

ただあまりにも拒否が強い場合には、少し深呼吸して自分にかかるプレッシャーを開放してから再びトレーニング練習にのぞみましょう。

繰り返し行動のしつけの内容はすごく単純で難しいことでも過酷なことでもないのです。

ちょっとの我慢ができれば、どんな犬にもできるようになります。

毎日が犬との闘いであっても良いではないですか。

より良い関係をつくるための闘争です。

犬を愛する気持ちが生まれるなら問題ありません。

Posted in クラスのこと, 犬のこと

犬のするプレイボウ(遊びのお辞儀)は本当に遊びのシグナルなのか?

犬のコミュニケーションについてのお話です。

犬のコミュニケーション方法は嗅覚、視覚、聴覚といろいろと発信の方法があります。

ですが私たちヒトとしてより正確に把握できるのは視覚的なコミュニケーションです。

嗅覚や聴覚で受け取れるものもありますが、視覚ほどはっきりと認識できません。

だからまずは視覚をつかって犬のコミュニケーションを勉強するのが一番です。

 

今日は視覚的なシグナル「プレイボウ」=「あそびのお辞儀」を取り上げます。

プレイボウとは、犬が前脚を地面につけて尻を上げるポーズです。

お相撲さんのはっけよいのポーズに似ていますね。


 

子犬が遊びを誘うシグナルとされていることからプレイボウ=「あそびのおじぎ」という名前が付けられました。

同時に敵意のない行動だとしても知られています。

ただ実際にこのプレイボウのシグナルを犬が出しているときに、

犬と犬が遊んでいる

だから犬と犬は仲良しで友達

と断定してしまうのは早すぎます。

 

犬と犬はプレイボウをしている最中はお互いに対立を避けようとしている。

だけどその対立を避けるシグナルは次の瞬間に破られてしまうこともあるのです。

 

プレイボウで犬が飛ぶ方向は左右飛びです。

右に左に飛びながら犬は境界線を引いていきます。

ここまでがボクのテリトリー、だからここからこっちには入ってはダメだよ、

という境界線を引いているのです。

それがプレイボウの横跳びです。

 

テリトリーを守っている、テリトリーに入るなと言っているとなると

いっしょに仲良くお友達ということでもありません。

お互いのテリトリーを主張しあい、お互いのテリトリーが守られる陣地取りなのです。

 

子犬のころはこの陣地取りの行動を遊び行動として群れの兄弟犬たちと繰り返すことで自分のテリトリーを確保することを学びます。

だから遊び行動の中に見られるプレイボウ…ですね。

 

兄弟犬であってもプレイボウの横跳びから相手のテリトリーへ向かって飛ぶ前後とびや手をかける、体当たり、飛びつき、空かみ、甘噛み、立ちあがりが入ってくるとこれはもう闘争の形になっています。

これをみなさんはワンプロと言われるようですね。

ワンプロは闘争のひとつの形です。

もみ合って遊び楽しいで終わるのか、犬によっては他の犬が苦手になることもありますので要注意ですね。

プレイボウについてはこれまでブログでもなんどか取り上げましたので検索して探してみてください。

ブログで犬語の説明難しいですね。

かといってYouTubeで説明するのも虚しいし、また犬語セミナ―開催のときにはみなさんといっしょに学びたいです!

Posted in 犬のこと

犬のメンタルマップの神経回路基盤について得た助言

少し前のブログ記事で犬のメンタルマップについて書きました。

記事はこちらです。

犬の行動を決める「メンタルマップ」について考えてみました。

要約するとこのような内容でした。

・動物の脳内には「自分とその周辺の地図」が存在していてそれをメンタルマップと呼ぶ。

・メンタルマップは犬にもあり犬はそのメンタルマップを基に行動している。

・メンタルマップの構築は犬の場合、嗅覚で得た情報によって構成されている。

 

上記のブログ記事にも書いたとおり私は脳科学者ではありません。

あくまで犬を行動する立場にある人間ですが、その中で犬たちがどのような仕組みでどのように物事を理解しているのかが知りたくいろいろな科学的見方を探しています。

メンタルマップは行動を決める指針ともいえるもので、犬の行動を考える上で重要な情報なのです。

 

今回このブログ記事を読んで下さったグッドボーイハートの生徒さんからメールをいただきました。

内容は「メンタルマップの神経回路基盤について」というものでした。

なんとその生徒さんはメンタルマップの最前線で活躍している教授や研究者の方々から直接話を聞けるような研究室にいらっしゃるとのことで、メンタルマップについてより詳しい情報を得られるサイトを紹介して下さったのです。

詳しい情報にはメンタルマップを説明するにあたり3つの脳内の部品について紹介されていました。

この三つを動物がどのように使っているのかを理解することでメンタルマップがどのように構築されているのかがわかるようになる仕組みの部品です。

1 海馬

2 場所細胞

3 格子細胞

海馬については有名なのでご存知の方も多いと思います。

犬の脳内にももちろん海馬は存在します。

記憶の整理をする場所として有名な海馬ですが、メンタルマップも記憶を基に構成されていくので海馬が関係しているということでより分かりやすくなります。

私の説明では今一つなので生徒さんがメンタルマップについて要点として書いて下さったメールの一部をここに紹介させていただきます。

 

マウス脳において、記憶に重要な役割を果たす「海馬」という部位の中に、特定の場所にいる時のみ反応する「場所細胞」があること。(つまりカーナビでいうと「現在地」を告げる細胞)、またその特定の場所に反応する仕組みとして、三角の格子状に分布する点にいる時にのみ反応する「格子細胞」を複数組み合わせる機構(つまりカーナビでいうといくつかの手がかりから現在地の座標を計算する仕組み)があることが示されています。

 

犬が脳の中に自分を中心とした地図を構成するには地点というものがたくさん必要になるということです。

つまり地図を書くときに線を引きまくるのではなく、郵便局、銀行、パン屋さん、信号機、公園といったものがありそれを結ぶように道があるというふうに構成されていくということです。

さらに最先端で研究されている生徒さんによると「これはメンタルマップの神経回路基盤と言えるような研究」なのだそうです。

私のブログ記事を読んで下さり「神経科学的なレベルでの知見と実地で実際に生物に触れる行動分析のレベルで得られた知見とが合致するような結果」だと感じて下さったということでとてもワクワクいたしました。

さらにその地点を把握する方法ですが、動物は知覚に基づいて情報を得ます。

人の場合にはほとんどが視覚に頼っています。

しかしほとんどの動物は嗅覚から得られた情報を最優先にします。

この人と他の動物との違いについてはまだ研究がすすめられているとのことです。

しかしもうひとつ大切な情報として、実は海馬に直接的に情報を送り込めるのは嗅覚だけなのです。

だから嗅覚は記憶に最も近い情報とされています。

その海馬がメンタルマップの構築をしているとなると臭いを中心にして生きる犬などの動物の方がメンタルマップの構築はむしろ確実なのではないかと考えました。

カーナビを持たない動物がどこを見ても同じ風景の森の中を移動するための手段として使っていたメンタルマップ。

あなたの犬の中にはどのように存在していると思いますか?

続きはまた次回。お楽しみに。

 

関連記事→

犬の行動を決める「メンタルマップ」について考えてみました。

<犬のしつけ方>動物同士の距離感:犬と人、犬と犬、人と人

地図「オポの行動から学ぶメンタルマップの構築について」

Posted in 犬のこと, 自然のこと

他の犬に対して興奮しやすいのたくがさんの犬に会わせ過ぎたからというのはどういうことですか?

他の犬に吠えたり興奮したり逃げたりする犬がいます。

小さいころからたくさんの犬にあわせて社会化を進めてきたはずなのに、どうしてこんなに吠えるようになったのだろうと思っているなら大きな勘違いをされています。

その勘違いというのは、犬と犬の社会化とはただたくさんの犬を会わせるということではないというということです。。

また、犬と犬のプロレス遊びの回数を増やすことでもありません

小さい頃のこうした犬に対する経験は、犬と上手にコミュニケーションを取れるようになるどころか、むしろ他の犬に対して攻撃性や怯えがでるようになることの方が多いのです。

たくさんの犬に会わせることよりも、もっと重要なことがあります。

それは、

どのように他の犬に会わせるのか。

どのような時間をいっしょに過ごすのか。

こうした、過程の方がずっと大切なのです。

ところが、本やネットなどの簡単に伝えられる方法や、コピペで回っていく情報はすごく単純な内容になります。

「たくさんの犬にあわせた方がいいんだって」という情報で伝わっていきます。

よく生徒さんから「この本にたくさんの犬に会わせた方が良いと書いてあります。」

と犬のしつけ方の本を見せていただくことがあります。

でもその本の中には他の犬にとびついていく犬の写真などは乗っていません。

ただ同時にどのように会わせていいのかの指導はありません。

なぜならそれは犬によって異なり、単純な文章として紹介することができないからです。

他の犬と安心して対面させていき、より良い関係を作っていくにはどうしたらいいのだろうか?

どうすれば自分の犬が他の犬と社会的に安心できる関係を作っていくことができるのだろうか。

そのためにはまず飼い主同士がお互いに共通の価値観を持っていることが大切です。

飼い主同士が犬のことについてはある程度お互いを信頼できるような関係を作ることが、犬と犬の社会性の発達につながっていきます。

この辺が日本で犬の社会化が難しい理由です。

犬に対する価値観など、ヨーロッパで犬と暮らしている方ならそれほど多様ではないからです。

日本の場合には犬との暮らしの価値観が多様化しすぎていて、また犬に対する理解があまりにも不足しているのに、動物を可愛がる愛護の精神だけが突出しています。

動物に対する理解のない愛護は、動物に対して相手を尊重しない態度に結びつく危険性があります。

共に学ぶ機会があるなら、その中でより良い関係が作れそうな方を見つける。

もしくは、自分の友達にも犬のことを伝えていっしょに学んでみる。

私などはあとで家族として入ってきたダンナくんが犬についての情報が全くない人でした。

すべての犬が足をあげて排尿をするものだと思っていたほどです。

どうしてかというと、自分が漫画で見た犬たちはみんな足をあげて排尿していたからだというのです。

なるほど、それもそうですね。

もちろん尻尾を振っている犬は、みな喜んでいると思っていた普通の人でした。

でもそのダンナくんは今は違います。

私の教育の元すごく短期間で犬のことを理解できるようになってきました。

今年は動物取扱士の資格をとるべく勉強中です。

いっしょに学べる飼い主を見つけて、いっしょに成長しましょう。

そうすると犬の世界もきっと広がります。

それが犬の社会化です。

Posted in 犬のこと

成長した犬のお乳を吸う行動のなごりはなぜ見られるのか?

犬が哺乳類であることをご存知だと思います。

哺乳類とはその言葉のとおり、子育てをするにあたって母にあたる動物が子の動物にお乳を吸わせて成長させる類のことです。

人と犬はどちらも哺乳類です。

人と犬にたくさんの違いがある中で明確な同じ部分がこの哺乳類という分類です。

身近な動物、猫、牛、馬、サル、イノシシ、鹿も哺乳類に入ります。

哺乳類である犬は、子犬のころに母犬からお乳を吸って大きく成長します。

ところがこのお乳を吸う行動=哺乳行動が犬が母犬から離れた後も、成長後かなりの年齢まで残ることがあります。

犬の哺乳行動が母犬から離れた状態で起きるときには、こんな行動になります。

・タオルに口をつけて吸う

・オモチャを持ち上げて吸う

・ケージの網を噛んだまま眠ってしまう

・飼い主の洋服を噛みながら寝てしまう

・飼い主の指を吸う

・他の犬の尾や体の一部を吸う

・フードの早食い

こんな何かをしゃぶっていたり吸っていたりする行動は、犬が哺乳をする行動なのです。

 

なぜこのような行動をするのか、人や他の動物の研究によって明らかにされていることが一つあります。

それは「十分に母犬から哺乳されなかった」という欲求不満です。

犬の哺乳欲求は食べ物を食べられるようになったらなくなってしまうように思えます。

実際には食べ物を食べていたらお乳を欲しがるわけではありません。

しかし必要な時期に必要な欲求を満足させる行動をしなければ、哺乳行動は満たされなかったということで長い間「他の何かを吸う」という転嫁行動として身についてしまいます。

先日のアニマルウェルフェアの講習会にも同じような話題があったのですが、牛も子牛のころにある強い吸入欲求を満たすことができなければ、舌遊びや柵かじり、ごはんの早食いをするようになるそうです。

子牛の場合にはお乳は人用に捕られてしまうため子牛たちはバケツにいれたミルクを与えられることがあり、この際にミルクをがぶ飲みすると上記にあげたようなストレス性行動をするようになるとのことでした。

これは犬にも同じことが言えるためとても興味深いなと感じました。

犬も同じようにお乳を十分に吸う時間を与えられないと、お乳を吸う行動の転嫁行動が生涯を通して残る場合があります。

犬にこのようなお乳を吸う行動が見られると少しびっくりされて慌てられるかもしれません。

しかしこの行動はそんなに簡単にはなくなりません。

ストレス行動は叱ったりほめたり、罰を与えたり、ご褒美を与えたりすることでは治すことができないのです。

犬が抱えている幼犬期の欲求不満をよく理解してあげ、適切なものに転嫁しつつ、他の対応を考えてあげる必要があります。

みなさんは笑顔で子犬を迎え入れられたでしょうが、子犬の方は「いろいろあって大変だった」ということだと思います。

最近は子犬の販売数が増えており、繁殖を急ぐあまりお乳を吸う時間を十分に取れていないこともあるでしょう。

あなたの犬を理解して対応してあげられるのは飼い主であるあなただけだということさえわかって下さればあとは飼い主さんが学びの中で今子犬にとって最も大切なことは何かを知って根気強く対応することです。

犬はあまりにも人になつきやすい動物であったばかりか、あまり理解されずに人のそばにいるようになりました。

犬の良いところが、犬にとっての難しさを生んでしまったわけです。

それでも犬は長い時間人と付き合ってくれる動物ですから、こちらも犬から学んだことを犬に返してあげる時間を持てます。

そのことだけが救いと言えます。

犬の乳を吸う行動の名残を見たら、犬にはまだこれから解決していきたいことがあるのだということです。

やりがいがありますね。

Posted in 犬のこと

こんな時代でも犬と楽めることを続けてきて良かった

紅葉の終わるこの時期、山では一番活動ができる季節です。

気温良し、スズメバチいない、葉が落ちて山全体がよく見渡せる、体が動く。

山の手入れを急がなければいけないと気持ちだけが焦る中、助っ人参上で助かりました。

グッドボーイハートで学ばれ生徒さんが手入れのお手伝いに来てくださいました。

すでに犬ちゃんは他界。

今は自然と関わる様々な楽しみを生活の中に取り入れていらっしゃるようで時々お逢いしてお話を聞くのも楽しい時間です。

グッドボーイハートの尾歩山をいっしょに育てて下さったので、私がしっかりやっているかどうかチェックも含めてのお手伝いかと心から感謝いたします。

昨年の今ころは、まさか世界中の人間がマスクを着けて歩く姿など想像できなかった時代がやってきてしまいました。

旅行もイベントも自粛…。

こんな時代だけれど山で犬と過ごすことは以前と少しも変わりません。

昨年のこの時期も「早く山の手入れをしなくちゃ…」と預かり犬ちゃんを連れて山に入っていました。

やっていることは全く変わっていないし、これが一番楽しいし、これが一番学びになると昨年よりもずっと強く思っています。

今日あたりは北風の吹く風がときどき強まり「冬が来るよ~」となんどもお知らせが入っています。

昨日午後は福岡でのトレーニングクラスを開催し、こうして今は七山に来て犬といっしょに山歩きをしている。

人からよく「先生もお忙しいですね。」と言われるのですが、今はこの二つをつなぐことば役割なのだからさせていただくことはありがたいことです。

日本の山や田舎はヨーロッパのように管理されておらず暗い雰囲気が漂って人があまり寄り付きません。

でもそれは、近代になって小さな日本という国土の中で田舎から都会に向かってたくさんの人々が流れ出てしまったせいです。

こんな時代だからどこでも仕事ができると、今は郊外や田舎に家を探している人も増えていません。

芸能人のキャンプや山暮らしもYouTubeにアップされるようになり、これからは都会から田舎に向けて人が流れていく時代が来てくれると田舎はもっと洗練されて居心地よくなるでしょう。

そしたらきっとその自然あふれる里山に犬たちの健康な姿を見ることもできると想像します。

妄想とイマジネーションの違いがあるとしたら実現の可能性のある想像の方は、今できることをどれだけやっているかどうかなのではないかと。

犬の生涯は人の十分の一です。

だから毎日を大切に実現に向けて世界を作っていきたいのです。

福岡と七山を結ぶ「ドラえもんのどこでもドア」ができたらいいなと次世代につなぎます。

Posted in 日々のこと, 犬のこと, 自然のこと

“ごぼうびか罰か”のトレーニングでは犬に安心を教えることはできないのです。

犬の学習やトレーニング、犬のしつけを学ばれている方にとって、罰を用いたトレーニングよりもごほうびを用いたトレーニングの方が圧倒的に人気があるのは分かります。

犬が「罰=痛みや嫌悪刺激」を避けるために何かを学ぶ罰を回避させるトレーニングは犬にとっても飼い主にとっても辛いものです。

オヤツを見せたらすぐにオスワリをするなら、オヤツを使ったごほうびトレーニングの方がずっと犬に優しいと思うでしょう。

でも、よく考えてみましょう。

「ごほうび」と「罰」はコインの裏表のようなものです。

楽しそうな「ごほうびトレーニング」にも実は落とし穴がたくさんあります。

ごほうびトレーニングと罰を伴うトレーニングが同じものだとはいいませんが、同じ種類の道具で犬を操作しようとしていることに変わりはありません。

そして何より(ここが一番大切なところ)ごほうびか罰トレーニングでは犬に教えられないことがあります。

それは「犬が安心&安全を得ること」です。

犬にオヤツを用いたトレーニングをしても、犬は安心&安全を得ることはできません。

犬はオヤツを見ると集中するし、オヤツを見せればすぐにオスワリをするし、オヤツをみせればすぐにハウスに入ります。

本当にすぐにできるようになるので食べ物をドッグトレーニングに使うことが流行りました。(すでに過去形ですみません。)

でもこのトレーニングは何かの特技を教えるときには有効な場合もありますが、他の場合ではほとんど無効です。

ほんの動機付けにはなっても、すぐに引き上げることをおすすめします。

さて、犬が安心して生活をすることを「ごほうびか罰か」のトレーニングでは教えることはできないと言いました。

では、犬はどのようなトレーニングで「安心&安全」を得ることができるのでしょうか。

グッドボーイハートで真剣に学ばれている生徒さんなら即答していただけると思います。

そうです。

不安を抱えている犬には、犬が安心して生活できる環境を整える=「環境整備」が必要です。

犬に必要な安全な寝床、安心できる休める場所、信頼できる飼い主。

この「環境整備」ですが、飼い主さんが準備できる環境がすべて異なるのと、犬の性質や経験や遺伝が全部違うので、一言でこの形とお伝えすることはできません。

室内飼育されている犬の飼い主なら、うちの犬は室内にいるから安心だと思っているはずと思い込んではいないでしょうか。

もし犬が室内で吠えたり騒いだりするなら、もし飼い主が留守番のときに犬が吠えるなら、もし来客のときにインターホンで犬がワンワンと吠えるなら、その犬は自分の住処をまだ安心だと感じていないのです。

犬は物理的な環境整備と、飼い主との関係性という精神的な環境整備のふたつによって安心と安全を獲得していきます。

犬は不安やストレスを感じると、吠えたり、騒いだり、飛びついたり、噛みついたりするのです。

犬にごほうびや罰を与えることよりも、もっと基本を整える環境整備トレーニングからおすすめします。


 

Posted in クラスのこと, 犬のこと

畜産のアニマルウェルフェアに学ぶ動物のストレス管理とチェックについて

先日のブログ記事で動物福祉についての話題を取り上げました。

以下の講義をEラーニングで受講させていただき、その中から犬との暮らしに役立ててただけそうなことがありました。

公益社団法人日本動物福祉協会主催「第8回動物福祉市民講座」

講義題目「乳牛のアニマルウェルフェアを分かりやすく」

講師 瀬尾 哲也 先生【帯広畜産大学 畜産学部 准教授 / (一社)アニマルウェルフェア畜産協会 代表理事】

瀬尾先生の講義の中では、畜産の現場でアニマルウェルフェア(動物福祉)を実現させるための指針としていくつかの具体的なチェック項目について紹介されました。

動物の健全な身体の維持に関わるチェック、そして動物の健全な精神の維持に関わるチェックがあります。

身体のチェックは分かりやすいものが多い中、健全な精神については知るにはどうしたらいいのかと思われるかもしれません。

そのチェック項目はグッドボーイハートの生徒さんならみなさんが持っているストレス性行動のチェック項目と同じようなものでした。

たとえば、牛の場合には次のような異常行動をする牛がいないことが基準をクリアしていると紹介されました。

その異常行動とは、

・犬座姿勢(オスワリの形で座る)

・舌遊び

・異物舐め(牛舎の柵などを長く舐める)

などが紹介されました。

しかも基準をクリアするためには、こうした異常行動をする牛が一頭もいないという数字だったのです。

異常行動のチェックは動物を管理する上では必須の項目だという認識はありましたが、その数が「一頭もいない」という厳しい数字であることを始めてしりました。

犬であれば、

・長い時間手をなめる

・サークルやケージの柵をなめたりかじったりする

・2本脚立ちをする

といった行動が上記の牛の行動と同等のストレスシグナルです。

多くの家庭犬たちがこの異常行動をしていますので、飼い主としては冷や汗の出るところです。

理由については後述します。

 

他のストレス値として、人に対する逃走反応スコアについても紹介されました。

人に対してどの程度の恐れを抱いているのかという反応のスコアです。

牛の場合には、後ろに身を引く距離で測るそうです。

犬の場合にも同じように後ろに身を引く行動でも測りますが、逆に人に飛びつく(攻撃のパターン)行動でも測ることになります。

 

また管理に関する基準の中には、尾を切る「断尾」が一頭もないことが基準とのことでした。

多くの犬たちがいまだ尾を切り落とされている家庭犬が本当に動物として尊重されているのかを真剣に考える必要がありそうです。

 

では先の犬の手舐め行動(ストレス性行動の中の自虐行動)は牛舎で飼われている犬よりも多い理由について説明します。

犬は他の家畜化された動物たちとは一線を画す動物であることを動物行動学者のコンラート・ローレンツ博士がその著書に書いています。

牛や豚のように長い歴史をかけて管理される家畜として人為的な繁殖してきた動物と犬では異なるのです。

犬はその多くが(純血種の多くもまた)本来の犬としての機能性を人が役立たせてきた動物です。

家庭の中に長い時間にわたり閉じ込めたり犬としての活動をする機会を失うとストレス性行動が多発します。

そのため牛では一頭も見逃されない舌遊び的なストレス性行動が、家庭の犬では多発することになります。

他にも不十分な計画による人為的な繁殖や、繁殖の過程も犬たちの将来の行動に影響をしていることでしょう。

牛の方が明らかに犬よりもきつく管理された動物であるにも関わらず、犬の方がストレス行動が多いという事実には驚きと反省が必要です。

 

その他、瀬尾先生のお話の中には犬の行動について理解を深めるためのいくつものヒントや、これまでそうではないかと予測していたことに対する革新的な後押しをいただきました。

今後また記事として記録していきます。

今回は貴重なセミナーを無料で提供して下さった瀬尾先生と日本動物福祉協会、そしてセミナーの開催をご連絡してくださったGBH生の皆様に感謝いたします。

Posted in 人イヌにあう, 犬のこと

犬との生活、犬のしつけ方も動物福祉の視点で考える時代になった

先日ドラマ大草原小さな家に出てくる動物たちが犬も含めて人に利用される家畜として大切にされている歴史についてお話しました。

いまや犬は家族の一員ですから家畜という言葉はもう時代にはあいません。

それでも犬は人が生活のために必要であるという理由で繁殖したり売買や譲渡することのできる動物であるという現実をまず受け入れておく必要があります。

その基盤の中で考えなければいけないのは、人と暮らす動物が幸せであるかどうかということです。

 

グッドタイミングで、公益社団法人日本動物福祉協会主催のEラーニング「第8回動物福祉市民講座」を受講しました。

内容が面白すぎて繰り返しみているためまだ第一部の瀬尾先生の講義を伺ったところです。

講義題目「乳牛のアニマルウェルフェアを分かりやすく」

講師 瀬尾 哲也 先生【帯広畜産大学 畜産学部 准教授 / (一社)アニマルウェルフェア畜産協会 代表理事】

瀬尾先生の講義の題目の中にある「アニマルウェルフェア」とはまさに「動物福祉」を英訳した言葉です。

瀬尾先生の講義の一部にはこのような説明がありました。

動物の飼育には動物福祉という考え方がイギリスを中心に広まっている。

動物福祉とは福祉という言葉から人の弱者を支援するサービスと誤解されているがそうではない。

“Animal Welfare”は「動物福祉」や「家畜福祉」と訳される。

“Welfare”には「幸福」や「良く生きること」という意味もある

畜産技術協会では「快適性に配慮した家畜の飼養管理」とし、アニマルウェルフェアとカタカナ表記している。

※引用ここまで

動物福祉という考え方は動物を管理飼育するすべてのものが考える必要のある知識であることは間違いありません。

畜産などでたくさんの動物を管理する場合には必須の規則です。

ここで瀬尾先生は動物愛護とアニマルウェルフェアの違いについても触れられました。

とても参考になる内容なので引用させていただきます。

愛護とアニマルウェルフェアの違い

愛護:かわいがり保護すること。

主語は人間。

動物を愛する情動。

アニマルウェルフェア:

客観的に動物の快適性の配慮を目指す。

動物の立場でとらえる。

※引用ここまで

瀬尾先生の講義のプリントのとおり、動物愛護とは動物をかわいがる人の情動のことであって、動物にとってはどうでも良いことなのです。

そもそもは子供たちに動物をかわいがる精神を教育しようというのが動物愛護です。

犬を飼うために必要なのは動物愛護ではなく動物福祉の方です。

もう十年以上前からこの議論はあったはずですがまだまだ一般の方々にはこのことが伝わらない、浸透していきません。

畜産の場合には多頭での飼育になるため「動物の日々の快適性にたいする配慮」がとても重要になります。

しかし犬も同じように「動物の快適性の配慮」が最も大切なのです。

犬は室内飼育が多いし、エアコンもあるし、毛布もあるし、清潔だし、快適性は十分に確保されていると思いますか?

犬が適切な場所、テリトリーの外で排泄ができる環境や、犬が土や草に触れられる時間、犬が日向ぼっこする場所や時間はありますか?

犬は臭いに敏感な動物なのに、部屋はいつも閉め切ったまま、食べ物や清掃品や洗剤の臭いに囲まれて過ごしてはいないでしょうか?

犬の立場になってとらえるためには、犬を科学的に動物として理解する必要があるのです。

そのために、犬の歴史、習性、行動、機能性、遺伝について学ぶためにドッグスクールが存在しています。

いろいろなドッグスクールがある中でグッドボーイハートは犬について学ぶための学校であると宣言します。

飼い主が犬のことを理解すること、それが犬の行動の改善につながり、犬と人の幸せにつながる、その中で犬の動物福祉を実現させること、それがグッドボーイハートの目指すところです。

瀬尾先生のアニマルウェルフェア基準にもとづく畜産の話の中でまだ興味深い内容がありますので次回もそのことに触れます。

Posted in 犬のこと

開拓のドラマ「大草原の小さな家」に見る犬の姿

お預かりクラスの合間に七山の尾歩山の刈込みに疲れてきて、何か励ましになるような物語を見ようと思いついたのが「大草原の小さな家」でした。

テレビ放送されたアメリカドラマですが、あまりにも古すぎてそれなりの年齢の人しか知らないとは思います。

アメリカ大陸を開拓する移民のお話なので、先住民族との複雑な歴史など正確に描かれているとは思えませんが、大地を開拓する過程にはリアル感を感じます。

その大草原の小さな家の最初の最初。シーズン1のエピソード1を見たのですが、なかなか感慨深いものがありました。

① 犬の話から始まったこと

② 馬・犬・牛などの動物が人の生活を支えていたこと

この二つです。

 

① 犬の話から始まったこと

 

大草原の小さな家の1回目の前半は犬の話でした。

新しい土地を求めて移動する父、母、娘3人。そして同伴するのは中型犬(日本では大型にはいる)毛足の長いテリア種の犬でした。

テリア種はネズミなどの害獣を取るのが役割の犬です。

おそらく大陸に渡る船に乗せられてきた犬の末裔なのでしょう。

そのテリアのジャックという犬は開拓のために移民する家族の一員として暮らしています。

新しい土地を求めて移動する家族を乗せた馬車に寄り添いながら走り続けます。

実際に馬車に同伴できる犬もいたのでしょう。

犬はかなり長く走ることができる動物でしたがテリア種になると脚も短くオオカミのようにはいかなかったはずですが。

さらにジャックは毛むくじゃらなのにかなり汚れているしとてもシャンプーされている様子はありません。

ジャックは屋外と室内を出入り自由で、日ごろは家族と家畜を守るための番犬として大切にされています。

一度だけ家畜の場所につながれるシーンがあります。

ジャックをつなぐ父親に「今まで一度もつないだことがないのに、かわいそう」と同情する娘。

犬をつないだ綱を外そうとした娘が強く怒られます。

犬をどのように扱うのか厳しいルールがあったことがうかがえます。

そして何よりも、ジャックはよく人のいうことをききます。

子供たちの言うことももちろん聞きます。

子供の外出について来ようとする犬に「ジャック。ゴーホーム。」といって家に戻ることを教えます。

犬はそれに従い家畜場に戻ります。

「家にもどりなさい」の合図。

「オイデ」よりももっと難しい合図です。

犬と人の関係を考える上でとても考えさせるドラマです。

 

② 馬・犬・牛などの動物が人の生活を支えていたこと

 

大草原の小さな家の第一話にはたくさんの人と暮らす動物が登場します。

移動の際には馬車が活躍、馬の扱いを知っていなければ大陸を移動することもできません。

畑を作るには牛が必要です。

牛の扱いと管理は絶対でした。

そして鳥を育てて卵を食べること。

そして何より犬の存在の大きさが心に響きます。

動物を利用しているといえばそのとおりです。

動物の持っている能力を利用して人の生活を豊かにしようとする。

可哀そうだと思うかもしれませんが、みなさんのそばにいるお人形のような風貌の犬たちも同じ目的で販売されているのです。

考えなければいけないのは、彼らが動物として幸せに生きていくということはどういうことかということです。

動物福祉という言葉についてそろそろ考えてみる時代です。


 

 

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