犬のジェイとオオスズメバチの出会い、オオスズメバチと私の戦いについての記録です。前編はこちらからどうぞ。
犬のジェイとオオスズメバチ【前編】
後編に続きます。
前編では、ジェイと小型犬くんとわたしが三匹のオオスズメバチから退散して広場を出るところまでをお話しました。このままでは広場が使えないため、オオスズメバチを広場から追い出さなければなりません。
いつも大切なときには何故か現場にいないダンナくんは、やはりこの日もオポハウスを不在にしていました。しかし、夕方になるとダンナくんの弟子としてお手伝いに来てくれているとしちゃんが来ることがわかっていました。30代の男性だから頼りになります。
作戦を立てるために、唐津で農家をしている生徒さんに状況を連絡し、何か秘策があれば教えて欲しいという旨を相談しました。生徒さんはすぐに連絡を下さり、良さげなネット情報を教えて下さいました。
その対策とは、木酢を使うというものでした。木酢をクヌギの木につるしたり振りかけたりするとオオスズメバチが近づかなくなるらしいのです。木酢は様々な虫よけとして日常的に使っており、オポハウスには大量に常備してあります。早速、ペットボトルに木酢を入れて樹木に下げる備品を樹木の本数ほど準備しました。
しかし、現在オオスズメバチが集まっている木に近づくことはできません。夜になればきっと山に帰っていくはずだからと待ち続け、21時くらいになって作戦を開始することにしました。私ととしちゃんは養蜂用にもっている簡単な防御服を着て、念のためにライトを軽く照らして、さらには念のためにスズメバチ用の殺虫剤も準備して現場に向かいました。
オオスズメバチさんたちもこんな時間には山に帰っているはずだと思い見に行くと、なんとまだ同じ場所に三匹のオオスズメバチがいたのです。夜になったのに巣に戻らず、クヌギの樹液にみなで集まっています。これはもう直接対決しかありません。
犬の過ごす場所なので殺虫剤を使いたくないのですが、このままではもっとたくさんのオオスズメバチが集まってきて誰かが大怪我をしてしまいます。今回は仕方なく殺虫剤で追い払った後に、木酢を木にスプレーして、木酢ボトルをぶら下げて、わかりやすいように小枝を切って整備をしました。翌日になるとオオスズメバチはいなくなっており、飛んでくるオオスズメバチも木にとまらずUターンしていく姿を見て、広場の安全を取り戻したとほっとしていました。
しかし、そのさらに翌日にはまた二匹のオオスズメバチがクヌギの木に戻ってきました。樹液がたくさんでているようでいつも同じ木なのです。スプレーした木酢の臭いが薄くなってしまったのかもしれません。その後はオオスズメバチを見つけるたびにスプレーを遠慮なく降って追い払っています。大きいのでスプレーが当たっても死ぬことはないのですが、何もしないと占領されてしまうので防衛としてやっています。
預かっている犬達はスプレーをもって立ち上がる私の姿の方に注目していますが、ジェイのようにオオスズメバチにそのものに反応する犬はいませんでした。オオスズメバチは他のハチと同じように黒いものに攻撃するという習性があります。なぜ黒い色なのかについてはいろんな説があるようですが、この習性は間違いありません。
しかし、防衛作戦が効果を上げているようで、広場には安全と安心が戻ってきました。ジェイもその後は大きな反応をすることはありません。
前編にも書きましたが、野生の生物と犬の関わりにはリスクもありますが学びもあります。どこまでを見守り、どこから管理すべきなのかの判断には迷いがでることもあります。もちろん、預かっている犬達であればリスクよりも管理が重要です。しかし、自分の愛犬となると、管理よりも多少はリスクありの方に振れてしまいます。生物との対話で学ぶことという貴重な体験をすべて奪いたいとは思いません。
オオスズメバチはまだ活動期です。今年から来年にかけて、ジェイがオオスズメバチとどのような対話をしていくのかが楽しみです。しかし、黒いから対話なしに攻撃されてしまう可能性もあるのですが、どうだろうねジェイ。