グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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Monthly Archives: 1月 2017

「動物福祉セミナー」開催に見る動物との関係の変化

1月28日に福岡市で「動物福祉の視点から犬猫の殺処分ゼロを考える」セミナーが開催されました。
講師は日本動物福祉協会顧問の山口千津子先生です。動物に関わり動物福祉を学ぶ中では必ず山口先生の講演や原稿に触れられることと思います。

山口先生から今回講演またこれまでに教えていただいたことについて、わたしなりの解釈にはなりますが今後もクラスやブログを通してみなさんにお伝えしていきたいと思っています。待ちきれない方は遠慮なく個人レッスンのときにでも質問してください。なぜなら、山口先生が伝えている動物福祉の姿勢は、すべての家庭で共に暮らしている犬の生活の質に関係する問題であるからです。


動物福祉という言葉は、動物愛護という言葉の影に隠れてしまいがちな考え方であり姿勢です。
しかし、今回のセミナーの開催運営を通して、ようやくこの動物福祉とは何かそれを実践するためことは、といった考え方が専門機関や業者をはじめとして一般市民にも広がり始めている感覚を得ることができ、とてもうれしくまた感動しています。
当初このセミナーを企画したときにはどのくらいの参加者を集めることができるのか予測が立ちませんでした。
これまでは「動物福祉」という視点で対話したくても理解を示していただけないことも多いというのが現状でした。

グッドボーイハート開講のクラスの特に行動学専門のクラスの中では、動物福祉の観点から行動を捉える意義を説明しました。専門学校講師時代の教え子たちは愛護と福祉の違いを知った上で、動物と関わる仕事に従事してくださっていることでしょう。ボランティア団体を立ち上げた際には、動物愛護団体ではなく動物福祉団体として活動をすることをその柱とし、会員の皆様もその気持ちをもって活動に参加してくださいました。

では、なぜ動物愛護ではなく動物福祉なのか。
セミナーの中では動物愛護と動物福祉の違いについて以下のように説明がありました。

動物愛護とは 主体は人
→動物を愛護する情・思いやり・共感を醸成する :心情的主観的アプローチ
 
動物福祉とは 主体は動物
→科学的アプローチで客観的に飼育環境・動物の状況を測定評価し、動物のQOL(生活の質)を向上させる 
:科学的論理的アプローチ

動物愛護の主体が人であるといわれると、反論や疑問も生じるかもしれません。動物をかわいがることがなぜ人が主体なのかと思われるかもしれません。確かに動物愛護の姿勢で動物をかわいがったとしても、各個人の中には動物を動物として捉える気持ちが全くないわけではないからです。特に日本人の場合には、歴史的な動物とのかかわりの中において、動物を動物として主体的に捉える感覚を見につけていると思います。動物愛護の姿勢を持たれていた方が非難されることもありません。

動物をかわいがる気持ちを持つ方は、「動物福祉」の視点にたって考えるという新しい見方を知って欲しいのです。
具体的な例をあげると、犬の行動を科学的に見るというのもそのひとつです。
犬の行動を「かわいい」「よろこんでいる」「癒される」「遊んでいる」と感情で受け取るのではなく、犬の行動学に基づいて分析し、そして科学的に評価します。これが動物福祉を基盤にした犬を理解するという過程です。
犬の行動学の学問は、専門家のためのものではありません。犬と共に暮らす飼い主さんたちのための学問です。みなさんに学ぶチャンスがあることを知って遠慮なく学んでください。


今回の動物福祉を考えるセミナーは熊本地震で混乱する動物保護施設の現状を知ってボランティア活動を続ける中で見えてくる限界と問題を、根本から考えたいという気持ちから起こりました。
セミナー開催までの時間が数ヶ月という十分な準備期間も設けられない中、日本動物福祉協会顧問の山口千津子先生に講演を快諾いただきセミナーの開催にいたり、そして意識の高い参加者のみなさまを迎えて共に学ぶ時間をいただいたことを感謝いたします。ありがとうございました。



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Posted in 犬のこと

明日は「動物福祉セミナー」です。

明日は動物福祉セミナー開催の日です。

動物福祉の視点から 犬猫の殺処分ゼロを考える

告知から少しお時間が経ちました。
参加申込みを完了された方は、お忘れなく会場にお越しください。

たくさんんの方から参加申込をいただき、セミナーは定員に達しています。
残念ながら定員のためお断りさせていただいた数も多数に上りました。

講師の山口千津子先生は本日福岡に到着後、一日をかけて熊本県動物管理センターと、
熊本市動物愛護センターの施設見学を行われました。
明日のセミナーに熊本施設見学を山口先生の視点で見たことについて、何かコメントがあるかもしれません。

私も今日、熊本市動物愛護センターの施設をはじめて見学しました。
いろいろと情報は耳にしていましたが、考えるところの多い見学となりました。
また、頭を整理した上で自分の意見としてブログやクラスの中でおはなしし、みなさんといっしょに考える機会とします。

dav




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Posted in お知らせ

薪割りは体幹トレーニングとして

午前中の尾歩山でのトレッキングクラスの前に、久しぶりにチャレンジしました。

薪割りです。

10年くらい、薪を割る機会がなかったため、斧がさびてしまいました。
最近庭木の手入れをしたときに少し太い木が出てしまいました。
広葉樹だったので薪ストーブ用の薪にしたい。
でも斧がない…。

10年前も決して薪割りはあまり得意ではありませんでした。
なにしろ斧は重いし、少し怖いです。
でも、最近バランス感覚が鈍っているような気がして、バランスを取り戻すためにできることを捜していました。それで「よし、薪を割ろう」と思ったわけです。

早速、斧を買ってきて今朝、久しぶりの薪割りとなりました。

かっこよくできたといいたいところですが、最初の一刀で木の間に斧の先がはまってしまい、どうやっても抜けなくなり、それを抜くのに大変な時間がかかってしまいました。
もともと苦手なことを、ずっとやってなかった上に、この10年で年もとっています。

気をとりなおし、もう一度バランスをとるために調整をしてみました。
ヒーリングでいうと、呼吸を沈めてグラウンディング、自分の中心をみつけて丹田に気を沈めて、みたいな感じです。
そして斧を振り上げるのではなく、自分の体のひとつとして手を上げて、まっすぐに落とすだけです。

だんだん気持ちよく割れるようになってきました。
体も温まってくれます。

薪は人を三度暖めてくれるという言葉はどこでいわれたのでしょうか。
薪を割るとき、
薪を運ぶとき、
薪をくべるとき


薪割りは気を許すと大きな怪我につながります。
それだけに気持ちも引き締まり、落ち着きも取り戻せます。
自分のバランスの悪さを知り、そこに向き合う時間にもなります。

薪割り機というのもあるけど、それはそれとして便利に使い、
薪割りの精神というのは忘れないでいたいと思うのです。

犬は人が何かに対して真剣であるときには、よくわかっています。
ぐうたらとしていることもよく知っています。
犬はこわいくらい、何でも知っていますね。

薪割りはみなさんに体験していただくには少し危ないのでお願いできませんが、
こんな楽しく自分を鍛えられることを、独り占めするのももったいない気がします。

薪割りをした薪を使う薪ストーブの工事が始まりました。
今まで使っていた暖炉とはサヨナラになります。
今までありがとう。これからは新しい姿となってまたいっしょに楽しくやりましょう。



dav






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Posted in 日々のこと, 自然のこと

犬を飼う前に:純血種を飼うのか、雑種を飼うのか

昨日のブログ「子犬を飼う前に」に引き続いて、犬を飼う前に知っていただきたいことをお伝えします。

純血種を飼うのか、雑種を飼うのか。

純血種を飼われる方の場合、専門用語では「形態」といわれる、つまり外見の好みで飼われることがほとんどでしょう。
他人が飼っているのを見て買いたかったというのも、人が買っている犬が可愛いからと理由も多いでしょう。
これは犬を飼う価値観の問題です。趣味的な選別ではありますが、そうした外見で選ぶという価値観が存在していることは認められることです。
ここでは、なぜ自分はこの犬を選ぼうとしているのかということを客観的に見ることができるようになってくださればそれで十分だと思います。

小型犬の場合には、外見で選ぶ傾向が強くあります。
そのため小型の純血種には「ブーム」があります。ひとつの犬種を有名人などが飼いはじめてブログやインスタグラムで紹介されると、同じような犬が欲しくなる、SMSでは広がりやすいものです。

人が飼っているのを見て他の人も欲しくなる、これをくり返していくと一種のブームが起こります。
小型犬のブームは、犬を集合住宅で飼育できるのが一般的になってきた30年くらい前からはじまりました。

最初のマルチーズやシーズーはまだ、お座敷犬と呼ばれるところがあり、少し特殊な犬として扱われていました。
犬を室内で飼育したり抱っこしたりする飼い方が趣味的であり、皮肉をこめて「お座敷犬」の名前がついたのかもしれません。

しかし、その後、小型犬の室内飼育は瞬く間に広がっていきました。
最初に少し広がったのはチワワでした。このころチワワはまだ今のように超小型化されておらず、体重は5キロくらいありました。本来のチワワは屋外でも元気にまた番犬としても優秀なほどの強い気質を持っていました。
そのため抱っこされるのをいやがったりとすぐには愛玩化されなかったようです。

そのうちにブームになったのはミニチュアダックスです。
これはよく増えました。ダックスフントは短毛でサイズも大きく愛玩用ではなかったのですが、このダックスにロングコートをつくりさらに小型化して愛玩犬として人為的に繁殖したのがミニチュアダックスです。
声質が太くよく吠えるため吠えの問題はいつも抱えていますが、愛玩化した犬としては非常に増えました。
そのうちあまり吠えない気質のミニチュアダックスも出るようになりましたが、おびえのひどい犬も多くなりました。

ミニチュアダックスの数が増えすぎたあとブームになったのがトイプードルです。トイプードルはもともとあった犬種ですが、プードルカットが好まれなかったものを、テディベアカットにされたことで本当のぬいぐるみのような犬になり、爆発的に販売されています。今でも街中では最も多く見られる小型犬ではないでしょうか。

そして、現在増えているのは小型化されたチワワです。特にロングコートのチワワですね。
性質的にはチワワではなく、パピヨンのようになっているチワワもいます。顔つきも少しパピヨンに似てきました。
パピヨンはヨーロッパで愛玩犬として繁殖されている犬で、ペットショップでも見られ飼っている方も多いですが、性質的に神経質なところがあるためか、あまり数は増えていません。

キャバリアも小型の愛玩犬で人気がありますが病気が多いためあまり増えてはいません。純血種はそれぞれに遺伝的に欠陥がありますから、病気になりやすく健康に過ごしにくいということも考える必要があります。キャバリアの場合には心臓に負担がかかりやすいため、行動が比較的ゆっくりで大人しい犬が多いのもそうした理由からです。性質が大人しいというよりは身体的理由でそのような動きになるのでしょう。

他には、短頭種たちです。パグ、フレンチブルドッグなど、犬としてはかなり形が崩されているため不具合のあることも多いのですが、変わっていてかわいいと受け取られるのでしょう。

純血種の犬たちが人の好みによって、また人のつくるブームによって変わっていくことがわかりますね。

犬という動物が愛されるのはうれしいことなのですが、外見で選びすぎたり、選別しすぎたりすることの危険性も知った上で行って欲しい事です。

純血種を選ぶ場合には、愛玩が目的なら愛玩犬を選べば良いでしょう。
小型犬はほとんど愛玩を目的として人為的に繁殖されています。
大型犬や中型犬で愛玩を目的としているのは、ゴールデンリトリバーや、いわゆる飾り毛のあるスパニエル系の中型犬です。
純血種のうちドッグショーに出すために繁殖された犬たちをショータイプといいます。ショータイプで繁殖されている犬たちは、実際の使役で使われている犬よりも大人しく扱いやすい犬になっています。顔つきや体つきは現在の審査員に好まれるように変わっています。たとえばボーダーコリーは顔が丸っこく体つきもどっしりしています。ラブラドルリトリバーも顔が丸く、脚が短く、実際に猟で活動するラブラドルリトリバーと同じ犬種とは思えません。

バーニーズマウンテンドッグやグレーとピレニーズなども同じようにショータイプがあり、繁殖者から人手に渡るのは大半がこのショーのために繁殖されたけど、実際にはショーではトロフィーをもらえそうにない犬たちです。ショータイプが飼いやすいからといって、これらの超大型犬を飼うことはおすすめしません。結局ずっとつながれたままになり、人や犬のいない夜間にひっそりと散歩しているこられの大型犬をよくみかけます。

純血種のうち使役犬を目的に選ばれる方がいるでしょうか。
実は日本には犬を使役として使う文化がありません。牧畜や牧羊、荷物を引かせる犬、ソリ犬、猟犬、などすべて西洋の文化の中で、動物を使うという形で生み出されたものです。猟犬については国内でも使われていますが、この使い方もいろいろ賛否のあるところですので、ここでは述べません。
これらの犬は一般の方が犬を飼う目的としてはないということで話を進めていきます。

次に雑種です。

雑種は繁殖に人の影響を受けていないように思えますが、実は雑種の方が長い時間をかけて繁殖に影響を受けています。
なぜかというと、人が飼いにくい雑種は生き残っていないからです。
かつては国内では人が犬を飼う法律がありませんでした。
犬は人の近くをうろつき、こびて食べ物をもらったり住む場所を与えられたりしてあとはのんびりと過ごしていました。
人に近づいて食べ物をもらうためには、人に大人しく尾をふったりゆっくり近づいていったり、その人が犬嫌いなときにはあわてて逃げるなど、多少の警戒心と、そして人を見て行動できる力が必要です。
やみくもに人に吠えたり咬みついたりする犬は食べ物をもらえないため、生き残っていくことができません。
日本が育てた雑種はみなおとなしくなつきやすく飼いやすい性質をもっていました。
こうした犬を昔は野良犬と呼んでいました。

ところが雑種の中には大変難しい犬がいます。
これらの犬は人になつきにくくおびえて、人に吠えたり警戒したり咬みついたりします。
これらの犬や野犬とよばれる犬で、山の中で犬たちだけで野生として暮らしていたものが、はぐれて里に下りてきてしまったものや、子犬のころに山で捕まってしまった子犬たちです。
野犬と野良犬は違います。野犬は犬だけの群れで動物を捕獲したり自力で生活をしています。山のサイズにもよりますが、野良犬よりも少し大きめで毛も短め、そしていつも自由に動いているため尾も巻いていません。
野生のイヌ科動物を見るとわかりますね。
活動する犬の尾は巻き尾ではなく、オオカミのようにまっすぐによく動く尾です。
尾の形だけでもその活動の様子がわかります。

野犬は今でも山に存在します。野犬はなつきにくく警戒心が高くすぐには近づいてきませんので、子犬のころから飼育したとしても人と信頼関係を結べるようになるかどうかは判断が難しいところです。人に近づいてこない子犬については、選択から外してください。そのような犬が家庭犬となることが全くできないわけではありませんが、慎重に判断する必要があり、一般の方にはおすすめできません。

野犬との付き合いに関してはみなさんも考えるところもあるでしょう。また別の機会にお話しします。

雑種に関しては、野良犬の場合には人になつきやすく飼いやすい犬たちが残っているのですから、気質的には確かに大人しいのですが、これはあくまで人との距離がある程度保てていたことが前提なのです。犬たちはリードをつけずにいつもふらふらとしていたり、夜になったらひもを外されて夜遊びを楽しんでいたという犬のことを覚えている中年以上の方もいらっしゃると思います。犬にとっても古き懐かしき思い出です。

これらの人になつきやすい野良犬たちは自由があったからこそ落ち着いて過ごせたのです。リードにつながれたり、庭で囲われて飼う場合には、いろいろと工夫が必要になっています。愛玩犬ではない、ふらふらした野良犬の良い気質を残した犬たちですが、都市環境での飼育にはむかないこともあります。こうした犬たちがまた、日本の犬としてゆるりと生活できるようになったらいいのになという希望も、わずかですが持ち続けています。

人の生活がこれからのどのように変化していくのか、人の価値観がこれからどう変わっていくのか。
人の周りにいる犬はいつも人次第です。

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Posted in 犬のこと

子犬を飼う前に考えること:犬を迎える準備

子犬を飼う前に、保護犬を迎える前に考えなければいけないことがあります。
すごく大切なことなのですが、考えなくもしくは衝動的に犬を飼う方が増えています。そのため、犬を飼ったあとに問題が起きてしまいます。そして、そのことが「飼い主が捨てる犬」が減らない原因にもなっています。
考える項目としてはとても単純なことです。以下にまとめてお伝えします。

子犬を飼う前に考えること、大きく分類するとふたつに分かれます。

●その1 犬を飼うことができる環境が整っているかどうか。

チェック項目でチェックしてみましょう。

□ 犬を飼うために必要なお金を準備できる
購入の買う資金ではなく、犬を育てるために必要な費用です。

犬の飼育にかかるお金は、食費、登録費、狂犬病予防接種費、犬用道具費、医療費、トレーニング費、預かりなどのお世話の費用などを考えると、毎年数万円のお金が必要になります。

□ 犬を飼う場所を提供できる

屋外で飼う場合 → 犬を安全に管理し、周囲にも迷惑のかからないような適切な屋外飼育場所がある。
きちんと囲われた場所や安全に係留できる場所を提供できる。
目隠しなどで、周囲の刺激にさらされないような屋外飼育環境の整備ができる。

※屋外飼育の場合には、場所があるだけでなく、周囲の住宅との距離や道路から犬が見えるかどうかなど、密集地帯では、以外に難しい面があります。
犬を安心できるように飼育場所を整えようとすると、日当たりが悪くなることもあります。
犬はテリトリーに近づくものがあれば吠えるという番犬吠えをするのは習性のため、全く吠えないようにすることもできません。
住宅密集地での屋外飼育は地域の苦情問題に発展することが多いため、十分に考えてから決める必要があります。

これは間違い! 以下の場所は犬を飼育できる場所ではありませんので、外してください。
□ ベランダ
□ 土間(一時的な避難所にはなりますが、飼育場所にはなりません)
□ 玄関 上記と同じ
□ 通路
□ 倉庫
□ 車庫
□ 物置
□ 畑
□ 資材置き場

このようなスペースで犬を飼う方がいるのかと驚かれる方もいるかもしれませんが、過去にご相談を受けたときに実際に犬の置かれていた場所でした。


室内で飼う場合 → 犬を上手に飼うための犬用のクレートや、居場所を一時的に制限するなどの工夫がなされている。
犬が歩きやすく滑らない床を準備している。
犬が気になるようなものや危険なものをおかずに室内が整備されている。
犬が適切に排泄できる場所を確保できる、もしくは提供できる。

※犬を室内飼育する場合の最も大切な問題は、その犬が室内飼育が可能である性質であるかどうかです。
犬の性質によっては人と距離を置くことでうまく人と関わりを持つことができる犬もいます。むしろ本来の犬はその性質を持ちます。
犬は人為的な繁殖によって愛玩犬化をすすめられてきたため、人がそばにいると安心、言葉をかえれば人がそばにいないと不安定な状態になりやすくなっています。小型の愛玩犬にはこの傾向が強くみられます。

これは間違い! 犬を室内で飼うときにサークルにいれて飼うというのは犬の習性に反する飼育方法です。
犬は大変落ち着かなくなり、不安定で吠えたり咬みついたりする問題行動を起こすようになります。
サークルでの飼育で犬に問題が起きているときには、犬の生まれつきの性質ではなないことが多いため、専門家に相談されることをお勧めします。
犬のサークル飼育は、飼い主がいつでも犬を観賞でき、自分の気分次第で簡単に出し入れできるため最近は増えているように思えます。犬という動物と暮らすことが、犬という仲間と共に暮らすことではなく、犬というアクセサリーを持つという風に代わってきているのかもしれません。時代の流れなのかもしれませんが、これまでに人と犬がつくってきた関係を思うと推奨できません。

□家族全員が犬を飼うことに賛成している

どこで飼育されようと犬は住居を共にする仲間になります。
人がそう思っていなくても犬の方は仲間と仲間でないものを分ける習性があります。
ひとりでも反対する人がいる、犬が苦手な人がいる場合には、犬を飼うことを諦めましょう。

・飼い主の家族構成
→ 小学生3年生よりも小さなご家庭で、子供の面倒を見る存在が母親だけの場合には、犬を室内で飼うことをお勧めしません。特に犬だけのスペースとして庭を提供できない場合には、子供の社会化が進み子供が室内に動く犬をおもちゃとして触りたいと思わなくなる小学生高学年まで待ってから迎えた方がよいでしょう。

→ ご自宅に介護中の方がいらっしゃって、お世話が必要な場合には、上記と同じ理由で犬を飼うことは延ばされたほうがいいでしょう。ただ、介護のためにサービスを受けられるなどの準備が整っていて、犬のお世話の方が重複した負担を強いられないのであれば犬を飼うことも可能でしょう。

□犬の世話をすることができる人がいる(責任者は大人だけです)

犬の世話をする責任者が一人以上いることです。この中に学生以下の子供は含まれません。
生活が安定している社会人だけを責任者とします。
大学生は大人ではありますがすぐに就職して生活時間が変わってしまいます。
そのため責任者予備にはなっても責任者にはなりません。

犬の世話をする人は、毎日数時間を犬と共に過ごすことになります。

犬のゴハン、散歩、遊び、など。特に子犬のうちはひとりにすることができないので、半日は子犬の世話が必要です。
また老犬になると再び半日、もしくは終日が老犬のお世話に必要になることもあります。
犬は病気もします。またこのときにも時間を割いて世話をすることを苦痛に思わずに飼えることはお互いにとって必要でしょう。


●その2 どのような犬を飼うことが可能なのか。

「どのような犬」を分類すると以下のようになります。

・犬の大きさ 大型犬、中型犬、小型犬
犬のサイズは、外界の環境の温度に左右して変化していきました。
日本の国土で季節を問わず屋外で活動することができるのは、体重が6キロ~12キロくらいまでの中型犬です。
15キロ以上の犬になると暑さによわく、5キロ未満の犬になると寒さに弱い傾向があります。

・純血種か雑種か
これはあくまで好みということですが、ぜひ知っていただきたいことがあります。
雑種というと、全く性質がつかみにくいと思われがちですが、実はいくつかに分類されます。
純血種の場合にも、一般的な犬種の性質とは別にわける必要があります。
この分類については明日のブログでご紹介します。

いずれにしても大切なのは「外見で選ばない」ということです。
犬を飼うことは人の趣味的な行為のひとつでもあるため「外見の好み」で犬が選択されることが多いようです。
しかし長い年月を家族として暮らしていくのです。「見かけより中身が大切」は人も犬も同じです。
性質はよしあしではなく、犬を飼育する環境に適しているのかという意味で大切だということです。

・犬の性別 メス、オス
性別による行動の差はありますが、その差は飼育の大変さには関係ありません。

都心であれば不妊手術をされることをお勧めします。
不妊手術は犬の病気を事前に防ぐ方法でもあります。また、都心で犬同志の生活距離が近いため、不妊手術をしていないことによる犬のストレスから解放させるための手段でもあります。
健康な動物に手術を受けされるのはかわいそうとも思われるかもしれません。しかしその前に、犬を飼育している環境がすでに不自然なのです。その不自然な環境の中で、犬の方に負担を強いていることも考える必要があります。
不妊手術に対しては賛否があるところだと思いますが、犬の立場にたって、飼育環境や犬の病気をかね合わせて十分に考えた上で飼い主さんが選択してください。

・飼育する場所 屋外飼育が可能か、もしくは室内飼育向きなのか
主に洋犬気質の犬、愛玩犬気質の犬は室内飼育でないと落ち着きなく不安定になります。
逆に、日本犬気質、野良犬気質の犬の場合には、人との距離を上手にとらせることで安定します。室内飼育でも距離感を保つことはできますが、物理的な部屋の広さは必要です。日本の狭い家屋やマンションではお互いに距離をとることはなかなか難しいことです。

・犬の年齢 子犬から飼う 成犬を迎える
現在の多忙な生活の中で犬を迎えるのであれば成犬から迎えることをおすすめします。
ただ、成犬であっても行動に問題がある、性質的に把握できないような状態で迎えることはお勧めしません。
信頼のある保護団体や保護施設を通して犬を迎えることができれば、安定した気質と行動の犬を迎えることも可能です。
ですが、すべての犬ではありません。施設にも不安定な状態の犬たちはたくさんいます。それをケアするシステムや場所や人手が整っていないからです。かわいそうだからとなつきにくい犬を引き取ってしまい、結局犬を安心させることができない場合もあります。飼い主は自分の力量を知って時間をかけてゆっくりと犬と出会ってください。

子犬を迎える場合には、前述したように1日の半分は子犬のために使うようにしてください。
子犬は成長が早くいいことばかりでなく、不安なことや危険なこと、いわゆる良くないこともすぐに覚えてしまいます。
子犬をただ甘やかしてしまい、成長の機会を与えずに成長後は手に負えなくなり放置してしまうのは、立派な動物虐待ですす。


・犬を飼育した経験があるのか
犬を飼育した経験がない方には→
飼いやすい性質の犬を提供できる環境にあわせて選択されることをお勧めします。

犬の飼育の仕方について学校で習われることは必須ですが、犬を飼う前から学ぶこともできますので、ぜひそのような良い相談場所をご利用ください。犬は飼ったあと「やはり飼えない」と捨てることも人にあげることもできません。
たとえば1千万円の車を買うことよりも、動物を飼うことのほうがずっと大変なのです。

犬は最初に人がどのように接したかが、その後の犬の性格形成や社会性に大きな影響を与えます。
問題が起こってから対処というよりも、最初から学ぶことは犬との生活を断然豊かにするでしょう。
犬のしつけ方についてのトレーニングクラスをご利用になった方のみなさんが「早くやればよかった」を口にされます。

犬を飼育した経験のある方には→
中には上手に犬を飼育されている方もいます。特に環境が安定している場合には、上手く犬を飼われている方もいらして関心すると同時に、犬のことをよく理解されているのだと安心してとてもうれしくなります。
このようなご家庭でしたら、幼少期に辛い経験をした難しい犬でも、残りの犬生を楽しく過ごせそうです。

しかし、そうではない飼い主もいます。

過去に飼育しやすかった純血種があると、同じ純血種を飼いたいと思うかもしれません。犬種が同じだから性質が同じということではありませんが、似たような行動の特徴が見られることは確かです。
ただ、犬という動物をもっと知っていただくためには、純血種にこだわらず犬を迎えていただきたいなと思います。

今まで飼っていた犬が大人しかったため問題がなかったが、今回の犬は問題があるという場合もあります。
これは、犬という動物を理解するチャンスでもありますので、ぜひ犬の学校などで学んでください。


・現在犬を飼育している どんな犬を何頭
現在犬を飼育している方が、さらに犬を迎える場合には、多頭飼育になります。
多頭飼育については法律で明確に制限された数はありません。
飼われている犬たちが動物福祉の観点から守られていれば、問題はないでしょう。

ですがあえて個人的な見解で数を上げさせていただきます。
集合住宅飼育の場合は、2頭まででしょう。
多頭飼育は吠えの問題を生みます。集合住宅内での吠えは非常に大きな問題です。
散歩も1頭ずつ行く時間を設けます。そうなると一日3回以上は散歩に出ることになります。
これだけでも大変なことです。

戸建て住宅の場合には、周囲の密集度が強い場合には同じ理由から2頭まで。
周辺が広く田舎環境で、その上犬の世話をする人が二人以上いる場合には4頭までです。
ひとりで2頭の犬の世話をすると考えて、ふたりで4頭、それでも少し多いかなと思います。

収容犬舎での飼育は、家庭で犬を飼うこととは違います。
犬は運動上かクレートケイジなどにいれられ、完全管理されているため、人が犬を飼うということとは別に考えてください。これは飼うでなく収容です。収容する施設のサイズと、世話をする人の人数で決まります。
もちろん24時間体制で世話をする必要があります。


・飼い主の性格と犬に対する価値観
実はこれが最も影響力があるでしょう。
結局、どのような情報があっても、「自分がこのように犬を飼いたい」という願望が先にある限り、人はそれをなかなか飼えることができません。もし犬を飼った後で「思っていたのと違う」というのであれば、それはあまりにも自分の最初の思いこみが強すぎたのだと謙虚に反省して、やり直してください。

やり直し方は二つ、その犬に新しい飼い主を見つけるための里親募集活動をする。
これは大変なことです。特に、老犬、病気の犬、問題行動のある犬、にはまず見つかりません。
犬を大切にして暮らしている方には驚かれることですが、「犬にかみつかれたから誰か犬を引き取ってくれないだろうか。わたしはもう飼うつもりはない。」というご相談もよくあるのです。ほとんどが子犬のころから飼育されていて、甘やかしと放置で問題が大きくなったケースばかりです。問題犬をつくって人に押し付けるのは、最もやってはいけないことです。

ふたつ目は、新たな気持ちでその犬を自分が責任を持って飼うことを決めがんばることです。
不満で飼っていても犬は変化しません。犬はとても繊細で必要とされていないことがわかるのですね。

どちらにしても大変です。

そうならないためにも、まず「自分がこのように犬を飼いたい」という願望が現実に即したものかどうかを、よくよく考えてから決めてください。冷静に考えられる方に相談することです。

あなたの近くで犬を飼うつもりの方がいたら、まずもっと考えることをすすめてください。

犬はすばらしい動物です。
だからこそ、犬との暮らしを犬と共に、豊かに楽しんで欲しいのです。

そのために、犬を飼う前にたくさん考えてください。



mde



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犬のお預かりクラス:ゴールデンくんのはじめての雪遊び

起床のときには積雪なく、お預かりのゴールデンくんと朝の散歩もスムーズに行けたのですが、9時くらいからでしょうか、猛烈に降ってまいりました。


dav
ほんの1時間くらいでこんなにたくさんの雪という水分が落ちてくるのですから、やはり自然の力はすごいですね。
一晩降り続いたわけではないので雪の高さはわずかではありますが、それでも今年一番の積雪になりました。
粉雪を淡雪のまじったような雪が地面にひろがっています。

さっそく雪に接するのは始めてではないかと思われるゴールデンくんを庭に連れてきました。

dav
刺激に犬がどのように反応するかという社会性については、犬の性質や経験とそれによって培った現在の犬の社会性の状態によって、さまざまです。逆をいうと、刺激に対する犬の反応を見ると、犬がどのような経験や性質を備えているのかの一面を見ることができます。新しい経験というのは見逃せません。

かなり緊張していましたが、少しずつ興奮へとエスカレート式に上がっていきます。
しばらくするとこんな行動になりました。はじめて犬が雪に接したときによく見られるいくつかの特徴のある行動がみられます。

[youtube]https://youtu.be/Ecy8ziliL4w[/youtube]


この行動を「遊び行動」と見るかどうは「遊び」を定義づけておく必要があります。
新しいものに対する社会化の過程と遊びの過程は同時に、重なって起きていることもあります。

「遊び」とは応答性を楽しむコミュニケーションのひとつです。たとえば、ひとり遊びであっても人の場合には、お人形さんを使ったり、ひとり言をいったり、おもちゃの汽車を走らせたりするのも、ひとりで応答性をつくっています。最近はこんな遊びではなく、もっぱらスマホやテレビのゲームが遊びの応答性を満たしてくれるものなのかもしれません。
他者との遊びが苦手な動物も、モノが応答性をもっていればそのモノでひとりで遊びます。逆に他者との社会性が育っていないことが、ひとり遊びの時間を多くしてしまう原因にもなってしまうのですが。

ということで、このビデオでも犬のことがいろいろとわかりますね、というお話しでした。

興奮の度合いも犬によって異なります。興奮が早く落ちる犬、一旦興奮するとなかなか興奮から冷めることができない犬。

犬の経験行動を通して飼い主が知ることができること。
そして、犬が経験を通して学び成長する機会を得られるのかということ。
この、どちらも重要です。

犬に何かを経験させるというのは、犬をドッグランやドッグカフェに連れ出すことではありません。
車がなくても、仲良しの犬がいなくても、自分の生活の範囲内で堅実に犬と共に経験することを大切にしてください。

情報が多すぎることで犬に与える経験が飼い主の一方的な思いによる押し付けになってしまい、犬に必要のない経験を強いられることのないように注意したいことです。
犬は喜ばせることだけで成長はしません。犬は失敗からもちゃんと学びます。ですがその経験はすべて飼い主さんがどのようにとらえるのかということです。

社会化の柱は「犬と飼い主の関係」です。

2月5日(日)に開催されるグッドボーイハート福岡の犬語セミナーが定員に近づいています。
ご希望の方はお早めにご連絡ください。

dav



※煙突工事の前で煙突に覆いをかぶせてます。


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犬のお預かりクラス:今日の七山

今週は福岡での活動中のため博多の空をみながら七山校は大雪におおわれているのではないかと思いをはせながら過ごしました。あと数日福岡滞在のはずでしたが、犬の預かりクラスの予約が入ったため、急遽本日七山に戻ることになりました。

朝からラジオで、雪予報とか、チェーン規制の放送が耳についてしまいます。預かりの犬さんといっしょに七山校までたどりつけるだろうかとドキドキしながら移動の途中に、ナイスタイミングで宅配便さんからの電話を受けました。
荷物をもって七山校に到着された様子です。すかさず実況をお願いします。
「すみません、今のそこですね、雪積もってますか?」
宅配さんによると、今は積もっていないけど雪はすごく降っていて今にも積もりそうだということでした。今回はチェーンを車に積んできていません。到着したとき大雪だったら身動きがとれなくなるかもしれない、そのときはチェーンをとりに歩いて家まで行ってくるかなといろんなシチュエーションを想像しながら、できる、できないと頭で分類しながら、七山に向けて走り出します。

考えているうちに体の中でアドレナリン値が上昇していくのを感じます。
なるほど。犬たちが大雪を目の前にして興奮しているのも、喜んでいるようにみえて、ただ体内の緊急時のホルモン、アドレナリンが上昇している状態なのでしょう。動物がこれまでなんども経験した風景だからこそ、この雪が自分を危機的な状況に追い込むという予測もDNAに保存されているため、雪を見たり予測することでアドレナリンが上昇してしまうのかもしれません。

今日はじめてお預かりクラスを経験する犬さんも、別の理由でアドレナリンが少し上がってきているでしょう。飼い主さんがいないと落ち着かなくなる犬は、飼い主さんが本当にいないという状況を受け取るまでは、飼い主を呼んだりクレートでガタガタと暴れたりすることもあります。
飼い主さんがいないと不安になりがちな犬は、お預かりが難しいためテストお預かりが必要です。今回は緊急であったことと、トレーニングクラスを長く続けていただいたことで、犬の行動のパターンや性質の把握がある程度できていたため「お預かりクラス利用OK」の了解にいたり、始めてのお預かりクラスとなりました。

ところが、犬は以外にものわかりのいいことがあります。預けられた相手が全く知らない人ではなく接したことのある「犬の先生」ですから、なんとなく状況を察知するようなところもあります。
状況をわからせ落ち着かせるためには、七山校に到着してから犬にあわせたいくつかの接し方を行い、犬が少しでも状況を受け入れ安定を図るようにして室内のクレートに入ってもらいます。犬に応じて最初にどこで落ち着かせるかを決めたりすることも、その犬に合わせた落ち着かせの方法です。

預かりの状況については1日に1回もしくは2回、メールで飼い主さんに連絡をいれておきます。犬を預かっているときにわかった犬の新たな行動の特徴や性質については、後日トレーニングクラスやカウンセリングクラスのときにご報告させていただきます。

数回のお預かりクラスの利用を重ねると、自宅での行動が少し変わることもあります。
犬のお預かりクラスは問題行動の解決や他のトレーニングを目的としたものではありませんので、これは付随したおまけのようなものです。預かって訓練をしても、飼い主の環境に戻れば行動も元にもどるというのが普通です。
グッドボーイハートでの犬の預かりクラス利用での変化は、私とその犬さんの関係が飼い主さん抜きで行われることで少し変化することがあるからです。クラスではいつもお話ししているとおり、犬の社会性は家庭の中で育てられます。社会性に最も影響を与えているのは飼い主の接し方と飼い方です。来客としてくる他人はわずかな影響しか与えません。もし他人が大きな影響を与えるとしたら、トラウマになるような暴力的なことがあったり、本来の犬の社会性が不安定でその不安定さによって影響を受けやすくなってしまったということです。

犬の預かりクラスのときには、犬のお世話をするわたしは犬くんにとって赤の他人ではありません。知っている先生であり、わずか数日であっても犬くんの食事や安全管理など、命にかかわる綱であることは明らかです。その綱とどのような関係で過ごすのか、その部分がとても大切です。それは、帰宅したときの変化を期待して行うものではありません。今わたしがこの犬くんと接するこのときを、人として犬としての大切な時間であると思うからこその真剣勝負です。

さて、ぐっすりと寝てくれるでしょうか。
明日の朝、積雪していたら雪遊びになりますね。


dav

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犬猫の殺処分ゼロを真剣に考える

福岡市で開催される「動物福祉の視点から、犬猫の殺処分ゼロを考える」セミナーまで、残すところ一週間となりました。日本動物福祉協会の山口千津子先生を講師として迎え、この問題をみんなで真剣に考える機会を得たいという思いから企画したセミナーです。
セミナーは現在満席でキャンセル待ちとして受け付けている状態です。行政、業者、ボランティア、そして一般の方と、多くの方がこの問題を考えたいと思ってくださっているということを知り、心強くなりました。

ここ数日見た犬猫の殺処分問題に関する二つのニュースの一部をここでご紹介します。犬猫に関するマスメディアの報道の内容については疑問を感じることも多く、すべてをうのみにすることはできません。その中で、ひとつでも何かを知ったり調べたいと思うきっかけになるのであれば、そうした情報は有効に活用していくべきだとも思います。この二つのニュースは今までの殺処分の取扱いとは少し異なる内容を発信しているものでした。

ひとつは1月18日にTBSニュースで映像配信された神奈川県の猫の保護活動に関する報道です。題名は<犬・猫「殺処分ゼロ」裏側で…ボランティア団体「対応は限界」>とあります。

ニュースの要旨は以下のとおりです。
神奈川県の動物保護センターで猫の譲渡会が行われている。猫を引き取る方へのインタビューもあり、ここまでは今までの動物を保護することの情報提供のように思われます。ニュースの主題はここからです。

同施設にある殺処分機はしばらく使われていない。なぜなら、神奈川県は犬は3年、猫は2年、殺処分を行っていない。神奈川県知事は、このまま殺処分ゼロを継続するといういわゆる「殺処分ゼロ宣言」を行っている。

その実態について譲渡会を主催するうちのひとつの猫のボランティア団体代表がコメント、「預かりは200匹にのぼりもう限界かな?」という。
預かりには多くの資金がかかり、特に病気の猫の場合には多額の医療費も必要。代表のコメントでは「殺処分がいつ始まるかと…」という不安の言葉が乗せられています。
実際のニュースはこちらです。
TBSニュース「犬・猫の殺処分ゼロの裏側で…」

このニュースの受け取り方は様々です。
事実として言えるのは、殺処分ゼロを宣言する県行政が多数あり、実際に犬猫の殺処分ゼロを実現している中で、犬猫の保護ボランティアに出される頭数が異常な数になっていることです。行政は数字の結果だけを残し、それ以外に必要なことを怠っているのではないかと思われる事態です。そしてその「殺処分ゼロ」という数字の達成だけを歓迎しているのは誰なのでしょうか。

犬と猫を比較すると、動物の習性の違いにより猫の方が多頭飼育にいたりやすいため、殺処分ゼロをかかげる行政がボランティアに譲渡する猫の数を調整しない限り、ボランティア団体の猫の飼育数は増えるばかりです。またその先に、一般の方の猫の多頭飼育が増えているという現実もあります。猫の多頭飼育が問題かどうかは、「動物の福祉」についてひとりひとりが考え、表面に流されない意見を持っていただきたいのです。

ふたつ目は1月19日にヤフーニュースで配信されたサイト発信の記事の中にありました。この記事の一文を抜粋します。

ココから

●「殺処分ゼロ」追い求めるだけでは問題は解決しない

ペットを取り巻く問題として、たびたびクローズアップされてきた殺処分の問題だが、以前と比べその数は大きく減少している。環境省の調査結果では、1974年に約120万匹だった犬猫の殺処分の数は、2015年には、約8万3000匹まで減少している。

これに加えて、2013年に改正動物愛護法が施行され、自治体は、ペットショップなどの「犬猫等販売業者」からの引き取りを拒むことができるようになった。安易に自治体に持ち込むことを防ぎ、殺処分の数を減らす狙いがあった。その結果、「殺処分ゼロ」を達成する自治体も出てきた。

ところが、行政がペット業者からの引き取りを拒むようになった結果、売れ残ったペットを有料で引き取り劣悪な環境で飼育する「引き取り屋」と呼ばれるビジネスが活発化し、問題視されるようになった。


ココまで

「引き取り屋」などという名前がつけられているのが事実かどうかはわかりませんが、終生飼育が原則の犬・猫の飼育の背景で、さまざまな事情で犬猫を飼育することができなくなった飼い主から動物を有料で引き取り、終生飼いますというビジネスが存在していることは事実です。老犬の世話ができなくなり老犬ホームに犬を預けてしまうことも、見方や考え方によっては、「飼えなくなったから業者が引き取って終生飼育する」という、上記と似たような形態になる可能性もあります。

すべての引き取り業者がずさんな飼い方をしているわけではなく、中にはほんの数頭を愛情をこめて最後まで飼ってくださるような家庭的な預かりを実現されているところも存在するのかもしれません。実際には、具体的にそのような理想的な形をビジネスという形では見たことがないので、あくまでそうあってほしいという気持ちでいるところです。家に飼われるということと、施設に収容されるということは、まったく別のものとしてとらえる必要があります。外側は一軒家のようにしていても、室内にはケイジやクレートがならび、その中に収容されるのであれば、それは家庭での飼育とはいえません。

犬と猫では、動物としての習性もことなり、人が飼うようになった歴史も、人が管理するようになった過程もすべてに違いがあります。そのため、この問題をまとめて扱うことは不可能ですが、唯一、動物の福祉という立場にたって考えることは、犬についても猫についてもできることです。犬という動物の立場にたって考える、猫という動物の立場にたってかんがえる。動物福祉という考え方も、それぞれの環境は立場に応じて考えていかなければいきつく道はありません。

飼い主として犬を飼っている方は、犬の立場にたって考えることが必要です。
甘やかしや人側に立ちすぎた可愛がりや愛情の注ぎ方が、犬という動物を犬ではなくものにしてしまうこともあります。犬という動物として成長する機会を奪われることが、動物が生きていく上でどのくらい苦しいことなのかを考えることもできます。
こうしたことも動物福祉という考え方です。動物福祉は数ではありません。雑種の日本の野良犬らしい犬を飼育できる方が少なくなってきました。環境が整わない、接し方がむずかしい、愛玩犬にむかないと理由はさまざまでしょうが、日本の土壌が育てた日本雑種の犬たちはそのうち絶滅危惧種になるでしょう。そして、珍種として動物園に展示されるようになるのではないかと思っています。オオカミの最後の数頭が生き残っていれば、同じ運命をたどったことでしょう。

殺処分ゼロの問題は、数の問題ではありません。殺されるのがかわいそうなら、魂を抜かれたまま生きることはもっとかわいそうなことです。

わたしたちのまわりには、犬猫の問題ばかりでなく、考えなければいけない問題は山のようにあります。それぞれに関心をもって自ら考えることに参加したいと思います。そして、特に自分が得意として、真実をみることができる世界については、そのことについて話す機会も持ち続けたいと思います。

犬猫の殺処分ゼロの問題。犬の動物福祉の問題をいっしょに学び、いっしょに考えましょう。

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熊本被災ペット支援ネットワーク
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糸島市で「犬のしつけ方教室」開催します

2月に福岡県糸島市で「犬のしつけ方教室」の講師をつとめさせていただくことになりました。

以下がしつけ方教室の詳細です。

 

犬のしつけ方教室 参加者募集

吠える・とびつく行動は犬からのメッセージ


参加無料

日時 平成29年2月18日(土)

受付 13時~

講座 13時30分~15時30分

会場 福岡県糸島総合庁舎 2階 大会議室

講師:宮武 佐千子(ドッグスクール GoodBoyHeart)

内容:犬の立場で考える「犬のしつけ方」

犬の行動学や習性を知って、しつけ方のヒントにしてください。

申込み:2月1日から

申込先:糸島市役所 生活環境課 電話 092-332-2068

※当日、犬の同伴(参加)はできません。

チラシのPDFテキストはこちらから入手できます。↓

犬のしつけ方教室糸島

飼い主さんが困った問題行動としている「犬の行動」を通して、犬の習性や心理について考えるチャンスに変えるセミナーです。犬のしつけを上手に行うには、犬を犬として理解することがポイントです。
糸島市近辺にお住いの方、どうぞお気軽にご参加ください。


dav

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尾歩山に近所の「2代目」参上。。。田舎犬ならではのすれ違い

寒波が来ましたね。七山では一気に雪が降りはじめ、仕事の都合で福岡へと駆け出したので、その後やどうなっているのやらと思いをはせています。

山にいるときは雲の動きに敏感になります。「山心や女心」というものでしょうが、いっしゅんのうちに天候が変わってしまうからです。その日、昼間には冬の空とは思えぬほどの青空だったのに、夕方の暮れる時間になると、空が暗くなるのではなく黒くなっていくのをみて、あれ?と思いました。

学校に戻り多少の片付けをしていたら、風景が一気に変わりました。

dav


この風景になるまで1分くらいです。
慌てて荷物を積み込み福岡へ移動しました。あの空ではきっと思いっきり積もったのだと思います。
今年は積雪を一度も拝んでいないので、気持ちは揺らぎましたが、翌日凍結してしまうと身動きがとれなくなってしまいます。気温が戻れば雪は3日ほどで姿を変えて通せんぼも終わりになります。

この荒れた天気になった日、グッドボーイハートの山「尾歩山(おぽさん)」ではちょっとした騒動がありました。
生徒さんの犬が帰宅するときに「ワン!」と勢いよく吠えたので「どうしました?」というと、飼い主さんが「あそこに犬がいます。」と庭のすぐ上あたり、山につながる道を指差しました。
「え?犬」。

最近このあたりでウロウロとしている犬はみかけなかったので、また猟犬が捨てられたのではないかと不穏な気持ちで見上げます。そこにいたのは、遠巻きに成長を見守っていた近くの家の犬でした。ご近所に1年ほど前から飼われている若い犬で、いつもつながれいるので声や小さな姿を遠くから見る程度でしたが、ある程度シルエットは把握していたので間違いないとすぐに確信できます。

その犬はこの土地で3、4ヶ月くらいの幼犬のころから飼われ始めたたようでした。最初は幼犬の声がするなという、ときどき姿を表したときに観察した内容ではあまり強さがなく比較的なつきやすい無邪気な印象を持ちました。この日、庭の少し高台からこちらを警戒している姿や行動や小さく出す声からも予測はまちがっていなかったようで、人が接するには安心できるタイプの犬でした。犬の首輪につながる長めのリードが見えたので、リードを噛みちぎって自宅の敷地を出てうろつくうちにうちの敷地内に入り込んだのだろうと推測しました。

無邪気な若い犬の警戒心は好奇心へと動きやすく、このふたつをいったりきたりします。状況によっては好奇心が勝ってしまうので、接し方次第でうまくコミュニケーションをとることも可能です。案の定、小さな警戒の音もすぐにやみ尾をふりながら近づいてきました。「何する?」の積極的なアプローチですが「家に帰るよ」と、犬の家の敷地まで送り届け庭に駆け込むのを見守りました。

一旦戻って一度室内に戻ってから再び庭に出て山を見ると、またその犬が来ています。犬たちが歩いた後を入念に臭いながらも、落ち着きなく走りながら、排尿しては地面をけったりかけたりしています。子犬のころから他の犬と接していなかったのですから、犬の臭いに興奮するのも仕方ありません。ふたたび家に送りとどけましたが、またやんちゃが過ぎてこちらに遊びにやってくるかもしれません。


先代の雑種犬はオポのよい話し相手でもあり犬らしく生きた里山犬でした。

名前がわからぬ新米の若い犬には「2代目」というニックネームをつけました。

七山の風景のひとつとして、今後共よろしくお願いします。





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