グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

トップページ
お電話でのお問い合わせ
お問い合わせフォーム

一年の終わりにいつも思い巡らすことを今年も再考して前進するしかないか。

毎年年越しのこの31日にお決まりで降る七山の雪。

豪華とはいえないのですが今年はちゃんと白いお化粧をまといました。

福岡と七山を行ったり来たりする生活の中で「先生はいったいどこにいるのですか?」とよく尋ねられます。

仕事のためにほとんど福岡で人として生活しています。

でも年越しは七山のこのオポと暮らした家でと思って今はここにいます。

 

12月31日、あと少しで新年を迎えるときにココで考えたいことがあるからです。

この山のふもとの家は、私の人生の中であり得ない選択だったからです。

なぜこんな山の中の寒くて不自由で寂しい場所に住んでいるんだろう。

そう考えたときに、オポという犬と出会ったからだと思い出すからです。

オポが山で過ごす時間を作るために、この山奥に引っ越して来ました。

 

そのオポが旅立ってから5年がたち、なぜここにいるのだろうとここ数年は考えました。

この山で過ごす犬たちのひとときを見たいから…確かにそうです。

山を歩く犬の姿、山の空気を呼吸する犬の表情を見るとなぜかほっとするのです。

しかし、どんなことでも他人のためにということだけでは通用しません。

与えられた時間と場所は自分の成長のために必要だからというのが鉄則だと思うからです。

私にはまだこの厳しい山の中で学ぶべき何かがあるのだと、

だからここを離れることが今はまだできないのだと体が感じているのです。

 

ではなぜ、今私のそばには犬ではなく人というパートナーがいるのだろう。

人として学ぶべきことがまだあるから、今はそう思っています。

犬のことをなぜ学んでいるのか。

犬が好きだから、そして人としてまだ未熟だからです。

 

この令和2年は世界中の人類の同士と共に人として今まで考えられなかったことを体験してきました。

マスクを外せなかった一年があと少しで終わります。

人として考えること、人として生きるということに向き合わなければ、犬が犬として生きる姿を見ることもかなわないのだとやっぱりここに行きつきます。

 

人と暮らすすべての犬たちが犬として生きる時間を少しでも得られますように。

犬と暮らすすべての人たちが人として犬と共感する時間を持たれますように。

そして何より自分のことは人として少しでも成長しますように。

 

良いお年をお迎えください。


 

Posted in 日々のこと, オポのこと

老犬くんが七山で癒しの時間を過ごしてくれること

福岡市の拠点と唐津市七山の山の学校を行ったり来たりする日々。

「先生もお忙しいですね~。」と言われること度々ですが、もうすっかりと慣れてきました。

今日は日帰りで七山まで行ってきました。

いろいろと要件があったのですが、ひとつはグッドボーイハート七山に毎月やって来てくれる老犬くんと癒しの時間を過ごすためです。

移動が犬にとっての負担にならず、七山に来ることが犬にとってのより良い時間になるのであれば老犬くんでも大歓迎です。

季節のせいか夏よりも元気になったような犬くんの姿を見て安心し飼い主さんともゆっくりとお話できました。

七山に学校を構えたことでいろいろと不具合もあったのですが、やはりメリットの方が圧倒的に大きいです。

都会で忙しい飼い主さん、その飼い主を支える犬たち。

時には山の中の透明な空気を吸ってリフレッシュして欲しい。

そんな気持ちで七山の学校を維持してきました。

そして私も同時にこの山の風に嫌なことを吹き飛ばしてもらっています。

コロナ時代に入り蓄積されるストレスは思った以上に大きなものです。

何もわからない犬たちも飼い主や世間のストレスのエネルギーには敏感です。

より良い形でリラックス、心地よい時間と場所を大切にしてきたいです。

 

Posted in 日々のこと, クラスのこと

オポディ(オポの日)無事に。今年もありがとうございました。

オポディが無事に終了しました。

偶然にも今日はオポの命日。

オポが12月中旬というこの時期に旅立ちを決めたことで、程よい時期に一年を感謝する時間を作ることができています。

午前中はいつもより頭数多めのグループトレッキングでした。


トレッキングに慣れている犬たちはリラックスした感じです。飼い主さんの落ち着かせもばっちりでしたね。

初参加の犬ちゃんたちは多少の興奮があり、でも歩いていると落ち着いてきましたね。

私が一番緊張していたかもしれません。

みなさんにお茶とお菓子とパンで少しだけの時間を共有するお昼タイムには、逆にいただいたものの方が多くなってしまいました。

たくさんの甘い差し入れ。

たくさんの果物の差し入れ。

パンやお菓子などなど…。

本当に感謝しかありません。

午後から来られた犬連れのご参加者の皆様。

なかなか生徒さん通しお話する機会もないので、いろいろと情報収集できたかなと思います。

次の機会にはいっしょにトレッキングしましょう!

グッドボーイハート生だった生徒さんたち、今は犬はいないけれどオポのお墓参りをかねてのご参加ありがとうございます。

初心者生徒さんたちに対するアドバイス、きっと心強いと思います。

みなさんこうしてご縁をつなげていただき、みんな犬に対して真剣に向き合って学んで下さる方ばかりです。

グッドボーイハートを始めて今年で21年、オポの命日は5回目です。

こうして今でも犬のことを学び続けることができるのも、グッドボーイハートという場で出会いの機会を得て、学びの機会を与えられたからです。

このことを心より感謝しています。

みなさんとの出会いがあったから、犬のことをより深く理解しようという時間を作ることができました。

そしてこれからもグッドボーイハートで出会う犬たち、一頭一頭と向き合う時間を惜しまない決意です。

オポという犬のひとりで唯一の飼い主として、できることは全部やったという思いと、もっと理解すべきことがたくさんあったという思いと両方があります。

その思いが、オポが旅立ったあともトレーニングスクールとして、ヒーリングスクールとしてのグッドボーイハートを続けていこうと思った理由です。

私もまだ分からないことばかり。

みなさんと一緒にこれからも学び続けます。

準備したグッドボーイハートの部屋 で一番奥の壁にはオポの写真



 

 

Posted in 日々のこと, お知らせ, オポのこと

福岡市内でも気のいい場所で犬とお散歩できる森でお散歩トレーニング

福岡市内はここ10年でさらに都市化が進んでいます。

同時にペットの数も増えていますが、なかなか良い散歩コースが見つからないのが現状です。

そんな福岡市でここだったら森の雰囲気がするという公園があります。

その公園には樹齢の高い木々が保存されていてまるで森の中を歩いているように気持ちよく落ち着きます。

ただ時間によってはたくさんの人と犬が集まってしまう一極集中になりがちなので、時間を選んで散歩に出ていただいています。

今日は2件の生徒さんの家庭訪問レッスンの一部が同じ地域の公園で時間差で行われたため、お互いをご紹介しました。

もしかしたらこの公園で散歩中にご一緒されることがあったら、もし少し時間があったらこのようにして歩いて練習されると良いですよと少しアドバイスさせていただきました。

普段の散歩コースで話の合う飼い主に出会う機会はなかなかないと思います。

今回はおふたりがどちらもグッドボーイハートの生徒さんということで、お散歩の少しの時間を共有されるだけでもそれぞれの犬たちにとっては良い社会化勉強になるとご提案しました。

犬に引っ張られながら散歩している人を見ると、何も教えていないのにリラックスしていていいなと感じることがあるでしょうがそれぞれの性質や環境もあるので比較しても仕方ありません。

それよりも自分の住居の近くにこんな素敵な森があることの方を喜んで活用しさらにステップアップを目指していきましょう。

犬に問題があったから学ぶチャンスもあったのだと思えるようになると素敵ですね。

私自身もたくさんの難しい犬がグッドボーイハートにやって来てくれるからこそ、自分には学びの機会がたくさんあるのだと本当に感謝しています。

お散歩練習が活発な季節にトレーニングが進みます。

明日も同じ公園で練習してきます!

Posted in 日々のこと, クラスのこと

トレッキングクラスのアフターコーヒーが美味しい!その単純な理由とは。

七山でのトレッキングクラスの後に、時間に余裕のあるときにはお茶をお出しするようにしています。

特に寒い冬になると暖かい飲み物をいただきながらゆっくりとお話を聞きたいですし。

それでセレクトしていただくのですが多くの方が「コーヒーをお願いします。」と言われます。

実は私もコーヒーが大好きなので、いっしょにいただきます。

といってもそんなに有名なお店のコーヒー豆ではなくて、普通のワンパックになっているスーパーで購入できるコーヒーです。

そのコーヒーを飲んで下さった生徒さんから先日も「コーヒーが美味しい」とほめていただきました。

結構ほめていただけるのです。

もちろんお世辞もあるとは思いますが、本当に美味しいと思います。

なぜトレッキング後のコーヒーは美味しいのでしょうか?

一番はやっぱり「水」です。水が井戸水なのですが、普通の井戸水といっても山からずーっと流れてきた山の下からくみ上げた水です。

グッドボーイハート七山のある場所が唐津ではかなり高い場所にあるので、水は格別まろやかです。塩素も入っていないし土にさらされて透明になった水です。

犬たちも水道水はなかなか飲まないけれど、井戸水はよく飲むということもあります。

そういえばオポも博多から七山に引っ越してきたときは体の中が全部入れ替えられるのではないかと思うくらい、湧き水を飲んでは排尿するをひたすら繰り返していました。

体を内側から洗っているように見えました。

トレッキング後のコーヒーが美味しいもうひとつの理由は、犬といっしょに時間を場所を共有して豊かに過ごした後だからかもしれません。

犬と人がいっしょに呼吸を合わせて山歩きをするというのは、とても原始的な行動なのです。

だから関係も昔に戻りよりシンプルになります。

そんな時間を過ごした後だからこそ、いいものはいいとわかるのかもしれませんね。

その辺のコーヒー豆でいれたコーヒーをほめていただけるのは本当にうれしいことです。

毎回準備できるわけではありませんが、できる限りお出しするようにしています。

トレッキングいつまでですか?と聞かれたのですが、1月も2月も3月もずっとトレッキングクラスは開催しています。

トレッキングのあとに暖炉にあたって暖かくしていただくこともできるだけですが頑張ります。

ひとりでいろいろとできないことも多いのですが、クラスに参加される生徒さんたちが自分たちでいろいろとして下さるので、それに甘えながら一緒に体験&体感を続けていきます。


 

Posted in 日々のこと, クラスのこと, 自然のこと

こんな時代でも犬と楽めることを続けてきて良かった

紅葉の終わるこの時期、山では一番活動ができる季節です。

気温良し、スズメバチいない、葉が落ちて山全体がよく見渡せる、体が動く。

山の手入れを急がなければいけないと気持ちだけが焦る中、助っ人参上で助かりました。

グッドボーイハートで学ばれ生徒さんが手入れのお手伝いに来てくださいました。

すでに犬ちゃんは他界。

今は自然と関わる様々な楽しみを生活の中に取り入れていらっしゃるようで時々お逢いしてお話を聞くのも楽しい時間です。

グッドボーイハートの尾歩山をいっしょに育てて下さったので、私がしっかりやっているかどうかチェックも含めてのお手伝いかと心から感謝いたします。

昨年の今ころは、まさか世界中の人間がマスクを着けて歩く姿など想像できなかった時代がやってきてしまいました。

旅行もイベントも自粛…。

こんな時代だけれど山で犬と過ごすことは以前と少しも変わりません。

昨年のこの時期も「早く山の手入れをしなくちゃ…」と預かり犬ちゃんを連れて山に入っていました。

やっていることは全く変わっていないし、これが一番楽しいし、これが一番学びになると昨年よりもずっと強く思っています。

今日あたりは北風の吹く風がときどき強まり「冬が来るよ~」となんどもお知らせが入っています。

昨日午後は福岡でのトレーニングクラスを開催し、こうして今は七山に来て犬といっしょに山歩きをしている。

人からよく「先生もお忙しいですね。」と言われるのですが、今はこの二つをつなぐことば役割なのだからさせていただくことはありがたいことです。

日本の山や田舎はヨーロッパのように管理されておらず暗い雰囲気が漂って人があまり寄り付きません。

でもそれは、近代になって小さな日本という国土の中で田舎から都会に向かってたくさんの人々が流れ出てしまったせいです。

こんな時代だからどこでも仕事ができると、今は郊外や田舎に家を探している人も増えていません。

芸能人のキャンプや山暮らしもYouTubeにアップされるようになり、これからは都会から田舎に向けて人が流れていく時代が来てくれると田舎はもっと洗練されて居心地よくなるでしょう。

そしたらきっとその自然あふれる里山に犬たちの健康な姿を見ることもできると想像します。

妄想とイマジネーションの違いがあるとしたら実現の可能性のある想像の方は、今できることをどれだけやっているかどうかなのではないかと。

犬の生涯は人の十分の一です。

だから毎日を大切に実現に向けて世界を作っていきたいのです。

福岡と七山を結ぶ「ドラえもんのどこでもドア」ができたらいいなと次世代につなぎます。

Posted in 日々のこと, 犬のこと, 自然のこと

開拓のドラマ「大草原の小さな家」に見る犬の姿

お預かりクラスの合間に七山の尾歩山の刈込みに疲れてきて、何か励ましになるような物語を見ようと思いついたのが「大草原の小さな家」でした。

テレビ放送されたアメリカドラマですが、あまりにも古すぎてそれなりの年齢の人しか知らないとは思います。

アメリカ大陸を開拓する移民のお話なので、先住民族との複雑な歴史など正確に描かれているとは思えませんが、大地を開拓する過程にはリアル感を感じます。

その大草原の小さな家の最初の最初。シーズン1のエピソード1を見たのですが、なかなか感慨深いものがありました。

① 犬の話から始まったこと

② 馬・犬・牛などの動物が人の生活を支えていたこと

この二つです。

 

① 犬の話から始まったこと

 

大草原の小さな家の1回目の前半は犬の話でした。

新しい土地を求めて移動する父、母、娘3人。そして同伴するのは中型犬(日本では大型にはいる)毛足の長いテリア種の犬でした。

テリア種はネズミなどの害獣を取るのが役割の犬です。

おそらく大陸に渡る船に乗せられてきた犬の末裔なのでしょう。

そのテリアのジャックという犬は開拓のために移民する家族の一員として暮らしています。

新しい土地を求めて移動する家族を乗せた馬車に寄り添いながら走り続けます。

実際に馬車に同伴できる犬もいたのでしょう。

犬はかなり長く走ることができる動物でしたがテリア種になると脚も短くオオカミのようにはいかなかったはずですが。

さらにジャックは毛むくじゃらなのにかなり汚れているしとてもシャンプーされている様子はありません。

ジャックは屋外と室内を出入り自由で、日ごろは家族と家畜を守るための番犬として大切にされています。

一度だけ家畜の場所につながれるシーンがあります。

ジャックをつなぐ父親に「今まで一度もつないだことがないのに、かわいそう」と同情する娘。

犬をつないだ綱を外そうとした娘が強く怒られます。

犬をどのように扱うのか厳しいルールがあったことがうかがえます。

そして何よりも、ジャックはよく人のいうことをききます。

子供たちの言うことももちろん聞きます。

子供の外出について来ようとする犬に「ジャック。ゴーホーム。」といって家に戻ることを教えます。

犬はそれに従い家畜場に戻ります。

「家にもどりなさい」の合図。

「オイデ」よりももっと難しい合図です。

犬と人の関係を考える上でとても考えさせるドラマです。

 

② 馬・犬・牛などの動物が人の生活を支えていたこと

 

大草原の小さな家の第一話にはたくさんの人と暮らす動物が登場します。

移動の際には馬車が活躍、馬の扱いを知っていなければ大陸を移動することもできません。

畑を作るには牛が必要です。

牛の扱いと管理は絶対でした。

そして鳥を育てて卵を食べること。

そして何より犬の存在の大きさが心に響きます。

動物を利用しているといえばそのとおりです。

動物の持っている能力を利用して人の生活を豊かにしようとする。

可哀そうだと思うかもしれませんが、みなさんのそばにいるお人形のような風貌の犬たちも同じ目的で販売されているのです。

考えなければいけないのは、彼らが動物として幸せに生きていくということはどういうことかということです。

動物福祉という言葉についてそろそろ考えてみる時代です。


 

 

Posted in 日々のこと, 犬のこと

可愛らしい女子犬ちゃんたちの戦いがあまりにも犬すぎて逆に微笑ましい

先日、可愛らしいメスの犬ちゃんを2頭お預かりしました。

それぞれ別の家庭で暮らしている犬ちゃんたち。

犬種は同じだけど、年齢は多少違います。

どちらもあまり他の犬とのコミュニケーションや関係作りが上手ということでもありません。

その日は福岡でのお預かりになり、あまり慣れていない2頭は今回は対面させずにお返ししようと思いました。

むしろ、対面させない状態でお互いの庭やクレートでの過ごし方がどのくらい変わるのかを観察したいと思いました。

どちらの犬ちゃんも普段は大人しいものの飼い主さんへの自己アピールはある程度強い感じです。

家庭で抱っこされながら育った犬ちゃんは、私が一番!私が女王様!と思っています。

トレーニングでクレートで休むこともちゃんとできるのですが、ちょっとしたときにクレートの中から気配を醸し出し「あのねー。用事があるんですけど!!!!」と主張することがあります。

実際に2頭の犬ちゃんたち、単独でのお預かりでは状況によってクレートの中で小さなアピール音を出すことがありました。

しかし今回、ふたつのクレートが同じ部屋の端と端においてある状態で、お互いに全く気配を消していました。

その気配の消し方はもはや忍法としか思えないほどのすばらしさです。

泥棒が入ってきたとしても、絶対にそのクレートの中に犬がいるということに気づかないでしょう。

見事な気配を消す2頭の犬ちゃんに関心すると同時に、庭での攻防が気になりました。

 

お庭を交互に使って遊ばせてみました。

庭に出たときには、それぞれがまず周囲を探索して、自分がここと思う場所で排尿や排便をします。

ここと思う場所で休んだり、遊んだりすることもあります。

この可愛らしい2頭の女子犬ちゃんたちはどちらもが「わたしが女王様」だと思っているのに、庭に別の犬が排尿をしていることを知ります。

そこでお互いに排尿と排便によるマーキング合戦が始まりました。

普段よりも排泄回数が増えて、排尿の場所ややり方、排便の回数まで変わってしまいます。

 

犬と犬の対決といってもオス犬とメス犬では多少関わり合いが違います。

動物には相違がありますが、この性別による違いは人と似ているところもあります。

オス同士の戦いは分かりやすく正面衝突、つまり「やれんのか(猪木節)!」的にメンチをきる喧嘩だったり、もしくは目をそらして戦いを避けたりすることもあります。

ところがメス犬とメス犬の戦いの場合には、あくまでけん制攻撃的なモードで張り合います。

まずはマーキング合戦です。

排尿と排便を使ったマーキング合戦ですが、当然のことですがオス犬もすることがあります。

ただオス犬の場合にはそのことが直接対決を引き出すきっかけになることもあり、目の前に相手がいるときには慎重な犬もいて経験数も行動に影響しているようです。

さて、女子犬ちゃんのマーキング対決に戻りますが、その犬ちゃんたちの排尿や排便の様子を見ながら、見かけは可愛らしいけれどやっぱり犬だな~と当たり前のことを思いました。

排泄物で臭いをつけて自己主張をするという行為があまりにも犬でほほえましくさえ思えました。

今回は同じ場所に2頭を出すことがなかったため、けん制的な行動で終わりました。

しかし排泄物をお互いに嗅ぎあったことで、お互いの性別、年齢、経験、そして性質に関わる情報までも相手に提供したことにもなりました。

もし今度2頭が対面したときには「あのときのあんたね。」となるわけです。

飼い主さんがいれば吠えるか逃げるかして対決を避けるでしょうが、飼い主さん不在の対面ではどうなるでしょうか。

犬と犬はいつでも仲良し、うちの犬は誰でも大好き、誰とでも仲良くなれるなんてそんなうそっぽいことを思いこむことはもうやめましょう。

自分が一番だと思っている犬はたくさんいるし、実際におうちでは本当に一番の女子犬ちゃんなのです。

そんな犬ちゃんたちの対決ですら、犬と人の難しい関係性よりはずっとシンプルなものです。

次回の直接対決が今から楽しみです。

Posted in 日々のこと, クラスのこと, 犬のこと

犬が成長する環境整備のために木々の育つ環境を整えています。

程よく暖かく程よく冷たい風が吹く秋の日。

山で作業をするには最高の気温です。

今日はお預かりクラスの利用で到着した犬くんをお伴に、年に数回しか手入れに入れない尾歩山の東側の斜面の手入れに突入しました。

棘のついた雑草やらカヤやら笹やら葛やら…。

山の木々の成長を阻害するものたちを鎌、はさみ、のこぎりの山の手入れ3種の道具を駆使して刈り込んでいきます。

お供の犬くんは作業する私の周囲で番犬をしてくれるので調子にのって2時間ほど続けました。

なぜこんなに苦労して山の手入れをしなければいけないかというと、この尾歩山の中で成長する犬たちがいるからです。

犬の成長と発達のために、何よりも必要なのは環境を整備すること。

生徒さんたちに常々お願いしていることですが、実は私もこうして環境整備を進めています。

室内環境の整備や、寝床を準備することや、お散歩のコースを選択することや、床材を整えることや、部屋に仕切りを作ること、テラスやベランダを整備することの全てが、犬が安心して成長できる環境を整えることです。

同じように私もこの尾歩山を安全かつ安心して活用できる場となるように環境を整備する責任を負っています。

いつもトレッキングクラスに利用している道だけを整備しているのではありません。

みなさんが普段通行しない尾歩山の全ての木々がちゃんと育って森になるように育てているのです。

木々を育てて健全な森をつくるには木々の育つ環境を整備しなければなりません。

犬を育てて犬の健全な心身をつくるには、犬の育つ環境を整備しなければなりません。

環境を整えていないのに、犬をほめたり叱ったり、ごほうびを与えたり罰を与えたりしても、何も変わらないどころか犬は壊れていきます。

それは私が山の環境を整えていないのに、肥料を与えたり、ロープをかけたりするのと同じことです。

木々の根が育つように、犬の脳内では神経がきちんと発達していきます。

犬が心地よく過ごせる環境が整えられていることが何よりも大切なことです。

犬は人間ではない、犬は人よりもずっと自然に近い動物であることをこれからも尊重したいと思います。

この季節だからこそできる山の手入れを今年も楽しみます。

Posted in 日々のこと, 犬のこと, 自然のこと

“警察犬が山で逃走した事件”についての個人的な考え・犬の衝動性について

少し前のニュースになりますが「警察犬が逃走したので地域に注意を呼び掛けている」というニュースが耳に入りました。

私がラジオのニュースで聞き覚えた内容はこのようなものでした。

・警察犬が山で逃走した

・逃走した警察犬は2歳でよく訓練されている優秀な犬だ

・警察犬は行方不明者の捜索のために警察官などと共に山に入っていた

・警察犬といっても大型犬なので地域に注意を呼び掛けている

そして翌日だったと思いますが「警察犬が保護された」というニュースをまたラジオでききました。

・行方不明だった警察犬が無事に保護されました

・警察犬はリードが木に絡まった状態で捜索中の警察官に発見された

・見つかったのはいなくなった場所から100メートルくらいだった

・発見されたときに興奮していた

・警察官から魚肉ソーセージなどをもらって食べた

こんなニュースでした。

 

ニュースの内容も事実と相違があることがありますので本当にこうした経過だったかどうかは分かりませんが、そうだとしての私の意見です。

そもそも捜索活動中の警察犬が行方不明になってその警察犬を捜索するというのですから、不思議なことになったのだなと言葉もありません。

山で犬が逃走したの理由はおそらく「衝動的に走り出した」ということだけです。

他の動物の気配などで走り出した可能性は十分にありますが、野生動物は犬の衝動的な行動を引き出すもっとも強い動機です。

よく捕獲本能が芽生えて動物を追いかけるといいますが、捕獲本能というのはそれほど単純なものではありません。

むしろ、わかりやすい言葉でいえば「ビビッて走り出した」ということです。

怖いものがあったら逆の方向に逃げそうだと人は思うでしょうが、監禁されている動物になると怖いものがあるとそれに向かって走り出すという行動になります。

街中で身動きがとれなくなったイノシシが人にむかっていきなり突進してくるような感じです。

 

見つかった場所がいなくなった場所から100メートルくらい。

ということは犬の移動距離能力を考えると本当にすごく近いですので、人や犬がワイワイといる中に戻れないわけはありません。

衝動的に走り出したが一定の距離を走って自分を取り戻した、しかしそのときにはリードが木に絡まっていて身動きが取れなかった、ということでしょう。

身動きが取れなくなっって周囲に動物の気配があれば、自分も気配を消すのが一番の身を守る方法です。

ここではちゃんと気配を消していたので、見つけてもらったときには大興奮となったと思います。

吠えて人を呼べばよかったのにと思うかもしれませんが、そうしなかったのは冷静な行動でした。

 

しかし、リードを付けたまま捜索しなければいけなかったこの警察犬は、行動の安定性からするとまだ信頼性は十分ではなかったのか、それともそのリードはほんの短いものだったのかが定かではありません。

いずれにしても「衝動的に走り出した」行動をした時点で、フィールドに出る使役犬としては「まだまだ」であったと言わざるを得ません。

犬の衝動性は「ごほうびと罰」でコントロールすることができません。

犬をほめたり叱ったりする方法で訓練をしただけでは、犬の衝動性を管理することはできないのです。

そもそもその犬の衝動性を制御できるのは「犬自身」出会って他者にはそれができないのです。

ではなぜ逃走しない人と共に活動できる犬を育てることができるのか。答えはとても簡単です。

犬が「個体」よりももっと大切だと思うものを自分の中にもっている時です。

「個体」よりも大切な「群れ」という存在の一部であることを犬が知ったときにはじめて犬は自分の衝動性を抑えることができるようになります。

この抑制は「それがいい」とか「それが悪い」といった価値観をもってされるのではなく衝動的になることがないという行動の変化で訪れてくるのです。

犬と人。違いもあれば似たところもあります。

犬が山で逃走したと聞くと「動物の本能で…」などと失礼な解説をする人も出てくるのもしれませんが、人だって何か別の生物に拘束されてしまえば、何かをきっかけに衝動的に走り出すはずです。

逃走した犬は、まだ群れに所属してはおらず、人にとらわれているという感覚があったのでしょう。

それにしても見つかったことがニュースになったり、美味しそうに魚肉ソーセージを食べたことがニュースになったりする当たり、この国は良い意味では平和、少し悪口をいうなら平和ボケしているのかもしれません。

私がもし山で逃走して見つかった犬を保護したら、その犬の生涯のために絶対に魚肉ソーセージをすぐに与えたりはしません。

本当にその動物を成長させてその犬の持っている力を引き出してあげたいなら、自分の気持ちも律して犬に接すること、これが今のところの私の犬に対する姿勢です。


 

 

Posted in 日々のこと, 犬のこと