グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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<犬のこと>犬の狼爪

犬の爪の話しです。
犬の指は前が5本、後が4本です。まれに後に5本の指があります。
地面に直接つかない親指にあたる部分があり、これを狼爪(ろうそう)といいます。イヌ科動物には狼爪があります。

狼爪は他の爪に比べて伸びやすいため、やっかいに思われることもあるようです。
子犬のときに狼爪を指ごと切除してしまうことがあります。特に小型の愛玩犬種では多くの犬に行われています。飼い主の家に来たときからないので、飼い主が気づいていないこともあります。前脚の指が4本しかなかったら、子犬のときに切除されたものです。よくわかりませんが、ダッコしたときに爪をひっかけてしまうとか、室内で指を怪我するかもしれないという理由かもしれません。

成犬になってからも切除手術を行うこともあるようです。理由は「ひっかけることがあるし役に立たないから」というものです。

後肢の狼爪はあまり機能していません。これが出るのは特定の純犬種の中におきたり、雑種でもその純血種が入っているのではないかと思われる種類の犬であるため、遺伝的な問題で生じたようです。後肢の狼爪には骨がない場合が多く、ぶら下がっているようになっていてさわっても力が入りません。

では、すべての犬にある前肢の狼爪はどうでしょうか。動物の体の中には、役に立たないものがあるのかもしれません。役に立たないと聞いて、本当にそうだと思いますか?実際に使っているのを見たことがあるという方もいるのではないでしょうか。

狼爪は犬にとって必要な指と爪なのです。
どのような時に使われているかというと、斜面を歩くとき、ジャンプするとき、立ち上がるときに使用しています。斜面のようなところを歩く機会がある犬は、狼爪を切る必要はなく、使用によって削れていきます。生活環境の中に勾配のある場所があり、それらを下りたり登ったりすることがあれば、同じように消耗してくるので狼爪を切る必要はありません。

狼爪に限らず、犬が日常的に過ごしている場所が、犬という動物の習性に適した場所で、また習性にあった行動を行っている以上は、人による「つめきり」は必要ないのです。
爪は移動や行動によって削れたり折れたりします。狼爪は比較的のびやすいのですが、これも立ち上がりなどの動作のときの使用によって、一定部分が延びると折れるようになっています。

狼爪が伸びきってしまういわゆる巻爪になってしまうのは、狼爪を使えるような場所を歩く機会がないからです。アスファルトの道路や整備された公園などでは狼爪を使う機会がないため、爪が伸びすぎてしまいます。

犬の爪は土の中に入り込む鉤型をしています。スコップのような形ですね。そのためアスファルトのような硬い地面では爪が地面に入らないため、削れてまっすぐになります。
これは本来のイヌ科動物の爪の形ではありません。爪が地面に入らないとすべるようになり歩きにくくなってしまうからです。人工的な環境が犬に与えている影響のひとつです。

狼爪を使えるような場所を歩くことが犬の健康につながります。
パッドも鍛えられ、脚の筋肉もついてくるし背骨もしっかりとしてきます。
若い犬なら、つめきりをする前に「歩く」という行為について何か工夫をしてみることをおすすめします。

老犬になったら、できるだけ犬が自分の脚で歩く時間が続くことを願いますが、寝たきりになってしまったら爪の処理は必要になります。

狼爪を切除することは犬にとって不利益なことです。
犬が狼爪を使う機会を、ぜひ大切にしてあげてください。



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犬が暑さを乗り切るコツ

毎年この時期になると思うことが「今年の夏は暑くなるのだろうか」ということです。
一般的に犬は暑さが得意でないため、夏に体調を崩すことも多く、暑さ予報にに敏感になってしまうのです。

一般的な犬というと、超小型の犬を外したほぼ全ての犬が暑さは得意ではありません。
大型犬や西洋の北部で繁殖されていたような純血種はもちろんのこと、日本の純血種である秋田犬や柴犬なども毛の量が大変多く、本州より南のこれらの犬にとっては夏は辛い季節です。
小型犬は暑さに強いように思われていますが、そのようなことはありません。トイプードル、チワワ、ミニチュアダックス、キャバリアなど、小型の純血種はたくさんいますが、どの犬も暑さには弱いです。
毛質の問題だけでなく、汗腺がほとんどないことがその理由です。

超小型のチワワになると暑い日も活動するため暑さへの反応は少ないようにみえますが、これらの犬たちも暑さは得意でないと思われることがあります。これは後で説明します。

犬が体温調節のためにすることは、ハアハアと口から蒸気を吐き出すことです。これが人が出す大量の汗に相当します。そのために水を余分に飲む必要があります。この作業は心臓のポンプを使いますので体力を消耗します。

涼しい場所で体を冷すということもします。外飼いの犬たちは家の軒下に穴を掘ってその中に体をうずめます。土が冷たく体温を下げてくれます。いくつもの穴を準備して、日替わりでその穴にはいっている犬もいます。コンクリートで穴が掘れないときも、床下は大変涼しいので、床下にもぐっていく犬もいます。それでも、周囲の環境の悪化は外飼いの犬たちにとって厳しいものへと変化しているようです。

子供のころに扇風機で過ごせた博多の夏が、エアコンがないと過ごせないようになりました。地球規模の変動もあるのでしょうが、都市環境が進みアスファルトの土地にたくさんのエアコンの室外機からの暖気によって都市環境の夏は酷暑になりました。それは中心地から進んでいますが、確実に外飼いをされている犬たちの地域にも影響を与えています。

水のあるところに伏せてしまう犬もいます。一旦は体が冷えて気持ちがいいのでしょうが、ハリのない毛質(飾り毛)の犬の場合にはすぐに毛が乾かず、人でいう濡れた洋服をきた状態になってしまうため、立ち上がったときにタオルなどで腹部を拭いてあげてください。

室内飼いの場合にはエアコンで乗り切られることでしょう。犬はエアコンはあまり得意ではありません。エアコンに当たると体がだるく感じられないでしょうか?エアコンの入っている室内では長袖を着る方が多いのも同じ理由からです。地肌が寒さを感知すると、少しでも熱を外に出したいという動物の体の機能に反するため、熱が体内に閉じ込められてしまい体がだるくなるのです。一定時間エアコンをいれても、外の気温が低い時間には窓をあけて風をとおしたり、エアコンを使わなくてもいいような場所に一定時間を過ごすなどと工夫をしてみてください。

山間部や田舎に住む友達がいたら、夏の数日でも掃除などを手伝いながらそこで過ごさせてもらうとか、週末ごとに通うとか、それでも犬の体調には良い影響を与えてくれると思います。これはある意味犬の別荘のようなものですが、贅沢という意味ではなく健康のためには必要なことではないかと真剣に思っています。

ハアハアと体温を下げる行為ですが、実はこの行為があまり出ない犬もいます。暑いのが得意なのではなくて、体力がないため行動が起きないのです。そのため秋頃になると体調と崩してしまいます。中にはハアハアいわないから大丈夫と散歩出てしまい、散歩中に熱中症で卒倒したという例を聞きました。こうした行動はわかりにいくく、なかなか気づいてあげることができないのですが、全体の表情や状態を日頃から細かく観察していれば、普通ではないその変化には気づきやすくなります。

熱中症につながるのは犬を興奮させることです。海や川での興奮遊びも涼しいからといって油断できません。興奮しやすい犬は短い時間だけ、休憩を十分にとって過ごしてください。人と同じように犬も夏の事故は多いので、怖がると何もできないと不安になるかもしれませんが、ゆっくりと時間を使うことがポイントです。
犬たちとよいひと夏を、夏はもうすぐそこですね。

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回想「オポのこと:人との関わり」

犬のパートナーだったオポが亡くなって、今日で7ヶ月たちました。
今でもお参りに来てくださる方います。そんなオポを知る方々を思い出話しをするたびに、オポがいろんな人や犬と関わりを持ちながら生きてきたことや、その中でオポから教えられたことも同時に思い出していきます。

グッドボーイハートの一員として、家庭訪問のトレーニングに付き添って手伝いをしてくれたり、デイケアクラスの先生をしたり、お散歩会のリーダーをしたり、みんなでキャンプにいったときのお世話など、その仕事は大変なもので、オポに頼りすぎてしまったことを今でも飼い主として深く反省しています。

オポのことを本当に心に留めてくださった人は、イベントような人や犬がたくさん集まる会の中のオポよりも、オポと一対一でお付き合いしてくださった方々なのだという事を実感しています。グッドボーイハートでは全体のリーダーとしてはたらくため、オポを表面的に見られた場合には「厳しい、こわい、迫力がある」といわれることもありました。ところが実際のオポは、お茶目でゆるやかで寛大なゆったりした犬です。(飼い主の惚れた欲目もありますね。)

特徴的であったことは、人であれ犬であれ、一対一できちんと向き合うことのできる犬であったことです。それは人からオヤツをもらえることとは異なる関係の作り方です。生徒さんとして迎えた人と犬には積極的にあいさつをし、要求はせず、よく観察し、相手が自分にコミュニケーションを求めたときは必要であれば応じるという態度でした。ですが、相手が自分を試すようなことをしたり、からかうようなことや上の空でいるような態度のときには、コミュニケーションに応じないという行動をみせることもありました。特に七山に移ってオポに行動の自由が獲得されてからは、その選択はハッキリしたものでした。

とはいえ、クラス終了後にして私が忙しくしているときに、話しかけられそうな生徒さんに自らコンタクトをとって誘導し、指定の場所に連れていくということもやっていました。「先生、オポさんがきゅうりのストックのところへ案内するんですけど…」と困惑されて飼い主の私が呼ばれることなどは、七山校では日常の風景だったように思えます。

オポにはグッドボーイハートのモデル犬にはなってほしくありませんでした。オポをアイドルにしたいとも思わなかった。オポがグッドボーイハートの活動の中で行うことに対しては、飼い主の私のしている仕事を知りできることをしているのだと感じ、パートナーとしてリスペクトし、有難く受け取っていたものです。その中でオポ自身は一頭の犬としてひとりひとりと関係を作っていたのだと知り、それはオポが選択したことであり、彼の生きる道の中での必然の出会いだったのだと思っています。

一方で犬たちは、オポの墓参りをしたりオポを思い出すこともありません。それでもオポがグッドボーイハートで出会ったどの犬とも、やはり一対一で向き合うことこそ大切なことなのだとういことを教えてくれました。そのことが互いに心がふれあうという体験であって、その体験は思い出すことがなくてもそれぞれの命の中にエネルギーを与えてくれたものだと信じています。

たくさんの心に足跡を残したオポ。

その力強い生き方に敬意を表し、後に続きたいと思います。

オポのお墓20160710

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室内で生活する犬のための犬用ベッド

室内で暮らしている犬たちには必要な道具がいくつかあります。
クレートの大切さについてはブログでもなんどかお伝えしました。
(※ブログ検索“クレート”で検索してみてください。)

クレートと同じくらい大切なため、ぜひ準備してほしい道具が「室内の犬用ベッド」です。なぜ大切なのかというと、犬用ベッドはクレートと同じように犬専用のテリトリーだからです。
クレートを室内に設置されているご家庭では「クレートがあるのにベッドも別に必要なんですか?」と尋ねられるのですが、クレートとベッドは別の役割を果たすために必要です。

犬を室内で飼われるような環境では、室内もあまり広くないことがありますので、犬のためにクレート、そしてベッドまでとなると場所をとるからと抵抗を示されることもあります。特に大型犬の場合にはクレートもベッドも大変場所をとるため、飼い主さんの気持ちもわかります。でも、このふたつはどうしても準備してほしいものです。

犬用のベッドはいろいろな形状があります。ラウンドタイプ、スクエアタイプなどですが、できればカウチのついているものを準備してあげてください。カウチがなくても素材によって周りに上手く囲いができるようなものであれば大丈夫です。

素材も大切です。犬用ベッドを何ども買い与えたのに全部かじってダメにしてしまったという犬もいました。それで犬用ベッドを準備しても意味がないといわれたのです。少し高価だけどお勧めブランドのものを買っていただいたところ、新しいベッドは破壊することなく、愛用してくれるようになりました。

みなさんがご自宅にソファを購入するときは、あちこちのインテリアショップですわり心地を試してみて、悩みに悩んだ上に生活スタイルにあったものを選びませんか?犬が一時的に休む場所は、人が使っているソファと同じものです。居心地が悪ければ遊びものになってしまいます。最初から少しいいものを準備した方が、結局はお得だということです。

形、生地の質、クッションの硬さ、犬にあったサイズをよく吟味してワンちゃんにあう一品を見つけてください。大型犬やすぐに大きくなりますので、子犬のころから成長したときのサイズのものを購入することをおすすめします。

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わんげる・ミーティング<植物の先生たち>

グッドボーイハートでは、毎月1回わんげる・ミーティングという半日のクラスを開催しています。
参加者は安定した行動をある程度持続させられる上級者です。頭数も少なくしてクラスの目的がきちんと達成できるように、生徒のみなさんには終始協力をお願いするため、規律、秩序が守られるクラス開催を目指しています。

梅雨の間の曇りの日にはなったのですが、七山の高いところは雲の中で、涼しくも湿度が高く動物にはこたえます。いつもとは違う場所を選択し、休憩もたくさんとってゆるりと過ごすことにしました。老犬もいたので、高い段差はサポートを行いながら、協調性、社会性を大切にしてお互いを敬いながら過ごすのがルールです。

下山途中に上がってくる数名の登山者と遭遇しました。道の端によけて通行されるのを待っているのですが、その歩みが非常にゆっくりであと数メートルなのになかなか近づいて来ません。向こうも相当のお年の方がいるのかなと思ったのですが、よくみると片手にメモ帳で何かを書き込みながら歩いて来られます。

近くまで来られたので「こんにちわ」と挨拶を交わすと、近くにある植物をひとつずつ手にとりながら「これは●●だね、ココにもあるんだね。」と聞こえて思わず耳を傾けました。「これはクロモジだね。」といわれたところで、「どれですか?」というと「臭いを嗅ぐといいですよ。」といわれ葉を渡されました。ハーブのような臭いがしました。
いつも「クロモジってどれだろうね。」といいながら歩いていたので、本当に出会えた気持ちがして感動でした。クロモジはつまようじに使われていた草木でお茶席などではなじみのあるものです。しばらくお話したあとで、正式には「ケクロモジ」という種類であることを教えていただきました。

この植物に詳しい方々は佐賀県の山々の植物の研究をしている会の一員だということでした。来月この山の植物観察会があるので、どのような植物があるのかを下見に来られたそうです。

以前は植物の種類には全く関心がないほうでした。ところが、七山校の裏手の敷地が杉林だったものを広葉樹に植え替えていただいたことから、手入れを行うことでよく触れるようになり、木々の成長に応じて植物も変化していく風景を10年近く見てきたため、自然と植物の種類について関心を持つようになりました。

そこで思わず「いろんな植物のことがわかって素敵ですね。うちの山も見てもらいたいな~」とつぶやくと「いいですよ、どこですか?」と聞いていただき「七山の池原です。」とこたえると「湿原のところですね。」と。七山で一番有名なのは樫原湿原(かしばるしつげん)です。北海道にいる知人も知っていたほどで、一般の方が湿原などの環境に興味をもたれていることがわかる瞬間です。

会のホームページから連絡させていただくことにしました。いつもと異なる環境に待つ犬たちもそれぞれの表情でしたが、ひとりの男性が一頭の犬の顔を見られていたので、犬が少し後ろに下がる行動をしました。「すみません、少し怖がりなので。」と飼い主さんがいうと「人間の心がよくわかるんですのね。」と言って通り過ぎていかれました。

動物であれ、植物であれ、鳥であれ、自然に近い存在について関心を示し、自然の姿について理解を深めようとする姿勢をもつ方は、いつか自然の全体のひとつとしてすべてのものを見るようになるため、犬の心にも触れることができるのかもしれません。偶然の出会いでしたが、学びの多い一日でした。

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ラジオ番組に出演します。7月編

先月出演したLoveFM(76.1)月下虫音(げっかちゅうね)へ、また今月もうかがう事が決まりました。

月下虫音に呼んでいただくことになったきっかけについては、過去ブログ記事「ラジオ番組に出演します。」に掲載していますので、ご覧になってください。

今回はどんな話をするんですか?と聞かれますが、言ってしまったらおもしろくないので、それは言えませんがヒントは「動物」です。あまりヒントになっていないかもしれませんね。大田こぞうさんと話していると、予定とは違う方向へ向かってしまうこともあり(それはそれで楽しいので寄り道してしまうわけですが)、取り上げるはずのテーマがそうならないこともあります。ですが今回は外しません。というのは先月取り上げるはずだった大切なテーマだったからです。

犬の先生の話しというと、犬のしつけについての話だと思われるかもしれませんが、犬についての話はそれだけではありません。社会的な現象や問題も犬についての学びのひとつです。犬という動物を理解していないと見えない現象というのを、むしろ犬を飼っていない方に知っていただく機会になればと思います。

ラジオ番組放送予定は2016年7月20日水曜日22時~1時間程度です。

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トレッキングクラス<完全管理からの一歩>

今週はプライベートトレッキングクラスの参加者が多く、とてもうれしく思います。
犬の問題や成長に応じて、プライベートトレッキングクラスを導入していきますが、生後6ヶ月以上の犬は原則としてどの犬もクラスの対象です。プライベートトレッキングクラスの最初の目的は生活環境により影響を受けた日常行動のパターンを外していくことです。

動物園の動物と犬を単純に比較することはできませんが、犬は室内飼育でリードで強く拘束されなければ安定した歩行が得られないような社会化の状況下では、檻の中にいられた動物に近い管理状態におかれています。

動物の行動を比較しても、同じようなストレス行動がみられます。動物園の檻の中にいる動物は管理下に置かれてかわいそうに思われるかもしれませんが、実際には、その管理下である檻の外に出すほうが難しいのです。外の社会に適応する力のない動物=社会化が未発達の動物の「安全な場所に閉じこもっておきたいという」執着にも近い欲求は、管理される動物のもつ特徴的な欲求です。

ところがこの欲求は、単に安全を確保するために働いているわけではなく、動物としての行動を制限することにもなるため、動物園では動物としての自然行動を見ることはできません。犬も同じです。ブログ記事「発見する楽しみ」に書いたような探索欲求を、室内だけで満足させることはできないのです。

プライベートトレッキングクラスに参加する犬の中には、不安や緊張をかかえている犬もいます。それを穏やかに解消するために最初にできることは、拘束された安全な管理下から一歩を出ることです。でも、最初はこのことがストレスになります。動物は環境が変化に敏感です。それが良い方向に変化したときでさえ、その違和感は動物にとってはストレスになります。そのストレスは行動で表現されますがその行動も実にさまざまです。個々の犬の性質や飼い主との関係、生活環境が犬に与えたことなどをみることができます。

飼い主は犬を「楽しませたい」と思うようです。大好きな犬がどんな気持ちでいるのか、楽しい気持ちでいて欲しいと思うことは大切な気持ちです。そういう気持ちを持つ飼い主と暮らせることは犬はラッキーですね。ただ、勘違いが多いのは、犬が走り回ったり飛び跳ねたりしている行動を、犬が楽しんでいると思われてしまうことです。

トレッキングクラスでも、犬が走り回ったり早足で歩いたり飛び跳ねたりすることがありますが、これは犬の興奮行動であり楽しんでいるわけではありません。この行動を楽しいと思ってしまうのは、自分自身が(人が)興奮を求めているからかもしれません。でも、本当にそうでしょうか。みなさんの本当に大切な時間は、興奮しているときなのでしょうか。

犬の安定した行動や状態を引き出していくと、犬が歩く姿が変化してきます。トレッキングクラスはそれ自体が学びのクラスでもあるし、日頃の状態を知るてがかりにもなるのです。どうぞ、これからもこのクラスを楽しんでください!

ルーク5
 

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本当に怖い動物とは「後編」

本当に怖い動物とは「前編」では、山の動物のイノシシ、キツネ、タヌキ、イタチ、テン、アナグマ、トンビ、カラスについてお話しました。

サルはいませんか?と生徒さんに尋ねられます。
サルはいます。七山校の敷地内にある電信柱に登っているのをみかけたり、裏の栗の木に登って栗を食べているのを部屋の中からみたこともあります。一番敷地で危険だったのは、テラスの屋根にいたサルが下りてきて庭の裏側を走って柵を飛び越えるのを見たときです。このときはオポが室内から吠えて追い立ててました。山の中で遭遇することはありません。サルも警戒心が高く、犬猿の仲とは本当のことでイヌを嫌いますので、犬と歩いているときには姿を現さないようです。七山地区ではときどき放送で「サルに遭遇しても手出しをしないでください」という内容の指導があります。サルによる農作物の被害は大変なものですが、サルは駆除の対象にはなっていないようです。

爬虫類で最も恐るべきはやはりマムシでしょうか。マムシの毒性が高いこととマムシの反射的にかみつく習性により、イヌがマムシに咬まれる事故は珍しいことではありません。これについては過去ブログ記事「もしもマムシに咬まれたら」をご覧ください。
他のヘビもその動きや風貌から「気持ち悪い」と恐れられていますが、私はあまり怖くありません。幼少期に母から教えられたことが記憶に残っているからです。ヘビをみて泣いていた幼い私に「へびは怖くないよ。ヘビは話しがわかるからはなしかけてみてごらん。」というような母でした。近くで顔を見るとゴジラのような感じですが、威嚇のシグナルがはっきりとしているので、オポが立ち止まるところにヘビありという程度でした。そういえば、昨日も一昨日もヘビをみかけましたが大丈夫です。ヘビは山神様といわれるくらいなので大切にしてほしい存在です。

昆虫の中で出会いたくないものがあります。ススメバチです。
キイロスズメバチも恐ろしいですが、なんといってもオオスズメバチが目の前を通過する際には、ヘリコプターのような音がして微動だにできなくなります。オオスズメバチの観察経路の高さは、ちょうど人の目線の高さくらいで、犬たちの目線には入りませんが、ホバリング音への反応は高いです。オオスズメバチは数があれば大きな動物への攻撃もするため、音への反応を身に付けているのかもしれません。

先生が一番怖いものは何ですか?と尋ねられ即刻応えたのがムカデです。私のムカデ嫌いは有名です。
屋外ではあまり怖くない気もするのですが、一度草刈のあとに首元がむずむずするので洗面所で首にまいていたタオルをとったらそのタオルにすっごく大きなムカデがついていて言葉を失いました。室内に入ってきたムカデはオポがいた当時はムカデセンサーだったオポがすばやく見つけたのですが、一度なかなか見つけられずについに…という事件がおきてしまい、それで夏場の睡眠の深さはかなり浅くなりました。オポ亡き後はホモサピエンスの私はムカデを見つけることができなくなり、ますますムカデにおびえる日々ですが、医療機関にお勤めの生徒さんからは「ムカデなんか昔はムヒつけてたんだからそれで十分。」とさらりと言われてしまいました。

犬の多くはムカデにそれぞれの反応を示します。鼻を近づけていく犬もいますが、ムカデに咬まれた犬を見たことがありません。少なくとも咬まれる現場を見たことはありません。咬まれたとしても対して腫れはないと予測します。そう説明すると、
山歩き中はあくまで移動中のテリトリーなので危険を回避すれば済むことですが、本拠地を侵害して攻撃を仕掛けてくる生き物となるとさすがに寛大ではいられません。今までに侵害してきてトラブルになったムカデ、アリ、アブ、ブユなどの昆虫たちと武勇伝はいつか少しずつ紹介していきます。

このブログを書いている現在も、一番小さなアリ、おそらくヒメアリと戦っています。なぜかこの時期、甘いものがあるわけではないのに温度の高いパソコンに住み着き、手から足からあがってきてかみます。チクリとして大変痛いのですが、オポがヒメアリを避けている様子を見たことがありませんでした。イヌはアリなど食べてしまいますから、イヌには近づかないのかもしれません。イヌがアリを怖がるなら靴もはかずに土の上は歩けません。

それにしてもやっぱりイヌはすごい、動物力は私たちより数段上です。

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本当に怖い動物とは「前編」

先日トレッキングクラスに参加した飼い主さんと、山の中で出会ったら怖い動物話で盛り上がりました。

山の中で出会ったら怖い動物といえば、みなさんにとっては何でしょうか。
怖い動物というと体のサイズの大きな動物を思い浮かべるため、福岡佐賀近郊ではイノシシが比較的大きな動物になります。イノシシにあったら怖いと思うのは当然のことでしょう。
私はオポと散歩中になんどもイノシシに遭遇したことがあります。オポが山で落ち着いた行動をするようになり安定していたため、最初のころに緊張していたのは私の方でした。悲鳴や奇声をあげたりするタイプではないのですが、行動力と思考力が確実に低下していました。それでも私にはオポという先生がいましたので、オポの行動をよくみて同じように安定を取り戻すことが可能でした。練習の甲斐あってイノシシを発見してもうまく対応できるように成長していきました。

イノシシ以外のこの近辺の山で遭遇する可能性のある動物には、次のようなものがいます。
四つ脚の動物はタヌキ、イタチ、テン、アナグマ、キツネです。
このうち、イタチ、テン、アナグマはイタチ科ですが、イタチ、テンがすばやく逃げるのに対し、アナグマは反応が鈍く出会う可能性も高いです。七山校の裏庭ではよく穴をほって昆虫を食べているのを1メートルくらいの近距離で見ることができますが、相手は気づいていないようでした。気づけば急いで逃げますので犬が追いさえしなければ怖くはありません。

キツネとタヌキは昔話にもよく出てくる、人と交流の深い動物です。
キツネはイヌ科キツネ属です。九州にキツネがいると聞いて驚かれることもありますが、キツネは昔話のとおり非常に警戒心が強く、簡単に人の前に姿を現しません。犬を連れていればなおさらのことです。車にひかれることもないので遺体を見る機会も少ないでしょう。

この中で犬にとって一番やっかいなのはタヌキかもしれません。タヌキもイヌ科です。
タヌキはよく車にひかれます。山に見るときには動きが遅い感じはしないのですが、キツネと比較すると警戒心が低いのかもしれません。そのため人との遭遇も多く、餌付けされてしまうことも多いため注意が必要です。
餌付けされた野生動物は人への執着が高く、必要以上に人に接近するためイヌとのトラブルmも多くなります。タヌキはこの良い例かもしれません。まず餌付けを行わないこと、イヌのタヌキに対する反応は、他の動物とは少し異なるのではないかというのが、私の現在の見方です。イヌと歩いているときにタヌキに遭遇した経験のある方は、そのときのイヌの反応をぜひ教えてください。

次に鳥がいます。大きなサイズの雑食の鳥といえば、トンビとカラスです。
オポと山歩き中にトンビに狙われた経験がありました。私が白い帽子をかぶっていたので、獲物とまちがえられたようで、私の膝元でV字を描きまっすぐに空へと帰っていきました。
このときもオポと私がほぼ横列だったはずですが、オポは全く歩速をおとすことなくゆっくりと前進をつづけました。立ち止まって停止した思考の快復をまったのは私の方です。以後白い帽子をかぶるのを止めました。

後編へ続く

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パピートレーニング<子犬と子犬の遊び>

子犬を迎えるのは生後7週齢から8週齢くらいです。少し早いと思われるかもしれませんが、この時期に迎えることで子犬に成長過程で必要なことを経験させることができます。

子犬を迎えた家庭で飼い主がやらなければいけないことは山のようにありますが、この中には難しいこともあります。そのひとつは子犬と子犬を適切に遊ばせる機会をつくるということです。

難しい理由はいくつかあります。たとえば、その子犬にあった性質の犬がみつかるかどうかわからないということです。子犬の性質もさまざまです。同じ犬種では似たような遊び行動が見られるため比較的安定した遊びを見られることがありますが、犬種よりも個性の方が強いため同種でも相性があわないこともあります。

問題をもっと難しくしているのは、子犬が人に飼われる環境に暮らし始めることで子犬の成長がストップしてしまったり、子犬が人に対して優位性を高めてしまうということです。子犬が母犬や他の兄弟犬たちといっしょに過ごしている姿をイメージしてください。子犬は特別な存在ではなく、他の兄弟たちと同等に扱われ、生後7週齢になると飛んだり跳ねたりする行動が増える子犬については、母犬を含め成犬は厳しく接します。

これに対して家庭に迎えられた子犬は、飼い主にダッコされ飛びついたり飛び跳ねたることも許されています。ワンワン吠えれば吠えるのを止めさせようとする飼い主から食べ物をもらえるし、怖がる反応を示せば「かわいそうに」と抱き上げられることもあるでしょう。

こうした家庭内での接し方が、子犬と子犬がうまくいかない理由にもつながるのです。
遊びは対等なものです。どちらかが自分の優位を占めそうとすると、相手は遊びを止めてしまいます。イライラして吠えると相手のテンションが上がりすぎて興奮が激しくなります。子犬の遊び方をみていると、ご家庭でどのように接しているのかが見えるのです。

人の接し方だけでなく、子犬の日常のストレスも子犬のコミュニケーション力に影響します。
生後8週齢を過ぎると、感覚が増し外界の音を含む刺激に反応が高くなります。順応性が育たないと子犬のストレスは強くなり、それが激しいコミュニケーションとして表現されてしまい、遊びも興奮遊びになります。

パピーウォーカーの指導員を勤めていたことがあります。盲導犬育成施設による計画繁殖された子犬たちなので、親犬のストレス管理から行われ交配、繁殖についても十分な準備の上行われます。生まれた子犬たちの社会性にも常に配慮が払われ、その子犬に適したパピーウォーカーさんを選びます。それでも子犬の気質が安定しないことがあります。団体として決められた接し方のルールがある上に同じ母犬から生まれた子犬でも、日常的な接し方の少しの違いが子犬に影響を与えていることがわかります。

また、子犬の興奮遊びを放置することは危険です。子犬のころは仲良く遊んでいたんですという犬が、成長して他の犬が苦手になるような状態は子犬の興奮を放置した結果起きることがあります。子犬の興奮を、子犬を管理する親犬や成犬は見逃しません。厳しく止めに入ると子犬は悲鳴を上げて逃げることもあります。でもこうした適切な制御は子犬にとって必要なことなのです。

子犬遊びの質を見極められない方は、専門家の立会いの下で子犬を遊ばせることで子犬について学んでください。多頭の犬があつまるパピーパーティは違う性質の異なる環境で生活している犬たちがの集まりです。パピーパーティに参加して社会性を落としてしまう犬がいることも事実です。子犬が隠れたり、走り回ったり、吠えたり、膝にのってきたりする行動をしたときは、異なる状況での遊び学習をおすすめします。

パピーパーティは海外から入ってきたものですが、成長後の影響について追跡は難しいです。子犬同士が集まっているのをみたいという飼い主の欲求を満足させるものになっていることもあります。また、子犬期には成犬のような吠える咬みつくという行動が出にくいため、多頭があつまってもその危険性についてわかりにくいという面があります。子犬のことを理解するためには、パピーパーティよりも子犬の行動としつけについて学ばれることをおすすめします。

子犬期の経験は子犬にとってとても大切です。それは誰もがわかっていることでしょうが、かわいい子犬をきちんと理解するためには、飼い主の知識だけでなく飼い主の自制を必要としていることを胸に、成長を見守ってあげてください。子犬にはストレスがないという思い込みをすてて子犬をよく観察してください。子犬は不安定な環境で常にストレスと戦っています。たとえば、子犬が自宅で家具をかじるような行動を見せ始めたら要注意です。子犬は吠えたり咬みついたりはしませんが、行動しやすく子犬のシグナルはわかりやすいものです。子犬のサインを早く受け取ってあげましょう。

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