グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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<クラス>トレッキングクラス&犬語セミナーを開催しました

今月も犬語セミナーを開催しました。

グッドボーイハートのブログを検索ヒットで見つけて下さり、かなり遠方からご参加いただくことがあります。

今回もトレッキングクラスの見学も兼ねて犬語セミナー初参加のメンバーといっしょに午前中の犬たちとのトレッキングを満喫しました。

梅雨も中盤といっていいのでしょうが、湿度も低く気温も安定していて、犬も人も心地よく自然の風と土と緑の臭いをかぎながら、探索行動で共感力を高める時間を持ちました。

犬との山歩きは飼い主の意識がどこにあるのかでその質は全く違うものになってしまいます。

山という自然の中で楽しませてもらおうと受身になりすぎることも、山を自分のスペースとしてわがままに使いすぎることも、どちらもバランスを崩してしまいます。

一体感という言葉はあまりにも漠然としすぎているとは思いますが、ゆっくりとした時間の流れを意識するようにしています。

午後の犬語セミナーでは、人に対して吠えたり咬みつくという攻撃性行動を見ながら、その行動を深く観察し、そして分析してその背景にあるものを探していくという、今回は深く読み取るという形で行いました。

参加者の顔ぶれやスキルによって犬語セミナーの内容を変えていけるのも、少人数制のセミナーならではできることです。

犬に関する学びは、長く続けているといったりきたりしながら少しずつ前進です。

学び続けるうちに不安は疑問、立ち止まり、引き返しがでるのは当然のことです。

前進したいという意欲とエネルギーをもつ者だけが、迷いによって引き返すことをやめ新たな道を切り開いていくのかなと思います。

犬の行動学を学ぶ犬語セミナーは、最初は少しなじみのないものでしょうが、知っていくと動物の不思議に触れることができる味わいのあるセミナーです。

来月は第4日曜日の12時~開催を予定しています。

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<犬のしつけ方>犬のしつけは飼い主が主役:ドッグトレーナーが犬をトレーニングしてくれるという思い違いは今すぐ解決

犬のしつけやトレーニングについてのご相談の中で、とても多い間違いが「犬を訓練してください」というご依頼です。

犬の問題となる行動や犬のしつけを、ドッグトレーナーが家庭を訪問して瞬時に解決してしまうと勘違いをされていることがあるのです。

テレビ番組の中で、ドッグトレーナーが家庭を訪問して犬をトレーニングすると犬が瞬時に変わってしまう様子を見てそう思うのかもしれません。


犬のしつけや問題行動の解決のためのトレーニングをドッグトレーナーが犬に教えることで解決してもほとんど意味がありません。

意味がないどころか、飼い主は愛犬のことを理解し関係を作るという大切なチャンスを失ってしまいます。

こうした思い違いは、犬のしつけや問題行動の解決を犬だけの問題だと思っているところから起きてしまいます。

犬の困った行動は、犬の問題ではありません。

むしろ、犬を飼育するまさに、犬を飼い育てている環境に問題があります。

その環境のもっとも重要な因子が飼い主なのです。

そのため、飼い主が犬のしつけに主役となって取組むことでしか、この問題は解決しないのです。


思い込みのきっかけになったかもしれないテレビ番組はどうなの?と思われるでしょうか。

犬に関するテレビ番組の裏にはいろんな仕掛けがありますから、放送されていない時間に何か一時的には即効性のある対処法を用いた可能性もあります。

もしそうでないとしても、犬は非常に警戒心が高く人の見分ける力があります。

家庭で問題行動を起こしている犬ほど、人との関わりが強く人をよく観察する力を持っているのです。

ドッグトレーナーやドッグインストラクターといった職業の人間が、一般の人と明らかに違うということを犬たちはすぐに見破ります。

そのことが一時的に犬の行動に影響を与えるのです。

散歩中に他の犬に吠えていた行動が、ドッグトレーナーが犬のリードを持つと吠え止むといったことは全く珍しいことではありません。

これらの行動を見て、ドッグトレーナーが犬を「修理」して戻してくれるという勘違いをされるのでしょう。

ですが、これは犬のしつけとしては成功しません。

犬は飼い主のつくる環境によって行動を変化させています。

飼い主自身が犬を理解し、犬に必要な活動やしつけを提供し、犬と関係を築く時間を持たなければ、犬の問題行動は解決しないのです。


犬のしつけをオスワリやフセを教えることだけと思っていると、間違ってしまうかもしれません。

確かに、ドッグトレーナーが犬にオスワリやフセを教えて飼い主に戻すことはできます。

でも、この犬はいつどのような時にでも飼い主が要求するとオスワリやフセをするようになるわけではないのです。

オヤツがあるとする、餌のときにはするけれど、本当に必要なときには言う事を聞かない以前と変わりのない犬がそこにはいるのです。

変わっていないのは、飼い主の方だからです。

犬にきちんとしつけをして犬が社会的に安定して生きていくことができるように成長を促すのは、飼い主の役割です。

ドッグインストラクターとして私ができることは、飼い主さんに学びの機会を提供することだけです。

犬のしつけは、犬との関係をつくる貴重で楽しい時間です。

しつけやトレーニングの時間を通して、犬を今以上に理解することができ、そして犬との関係性が深められます。

早くよくなればいい、誰か犬のしつけをやってくれないかなという気持ちは、犬と向き合うことを避けていることになります。

そしてこのことに一番気付いているのは、犬自身なのです。

犬とどのような関係を築いていきたいでしょうか。

犬はあなたの家族の一員なのでしょうか。

犬のしつけには毅然とした態度やたくさんのエネルギーも必要ですが、費やした以上の喜びが戻ってくることは、犬と向き合った方だけが体験する特権です。

犬と暮らすすべてのみなさんに知っていただきたいことです。

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<犬のこと>人がテーブル下に落とした食べ物をとる犬の行動も様々なこと

ドッグインストラクターという商業柄当然のことですが、家庭内での犬の行動を比較するのが習慣になっています。

犬のしつけ方教室というと、オスワリがどのくらいできるのかとか、散歩中に人の横について歩けるのかなどの行動ばかりを観察していると思われるかもしれませんが、実はそれだけではありません。

犬に対するしつけやトレーニングで大切なことのひとつに、その犬の個性をよく把握しておくということがあります。

直接的にその犬を理解するという目的と同時に、犬の行動をあらかじめ予測するために役立ちます。

人側がこうしたら犬はきっとこう反応だろうなという行動をある程度予測することで、犬に対してどのように接すればいいのか、どのように学習を促していくのかという過程を組み立てていくからです。

こうした犬の理解のための観察素材としては、散歩の様子やオスワリの学習よりももっと日常的な行動についての情報の方がより重要です。


それでよく飼い主さんとの会話の中でいろいろとお尋ねしています。

先日は、人が食べているときにテーブルの下に落としたものを犬が拾いに来ますよねという話題になりました。

人の食べこぼしを犬が食べることを許すかどうかというのは、ご家庭によってルールは様々でしょう。

犬のしつけとしては、食べ物を落としたときに「それダメだよ」とゆっくりと声かけして、犬が食べずにいられれば十分にしつけができているといえます。

わたしの飼っていた犬については、人が食べても良いと許可したものについては、拾っても良いというルールを導入していました。


床に落ちたものを食べさせても、それが拾い喰いという悪しき習慣につながるわけではありません。

落ちたものが犬が口にしてはいけない食材であることもあるでしょうから、食べてはいけないといわれたときにはきちんと応じるというのは最低のルールとして必要です。

ところが、犬の中には人の食べこぼしを拾いに来る犬の中にはそんな制止の余裕のない犬もいるようです。

人が食べこぼした食べ物がテーブル下の床に落ちる前には走り出し、落ちた瞬間には即座にその食べ物を口にしてしまうという早業犬も案外いるようです。

飼い主の報告によると、それらの犬たちは猛ダッシュで走ってきて食べ物を拾うと別の場所へ走っていき一気に飲み込んでしまうというのです。

行動の様子からすると、誰かに取られまいとして慌てて食べているということですが、競い合っているのは多頭飼育されている犬の場合もあるでしょうし、飼い主の場合もあります。


これらの早業犬たちとは違って、状況をよく確認した上で、落ち着いた行動で落ちた食べ物を拾って食べる犬たちもいます。

このケースでは、飼い主が食べ物を落とした瞬間にそれを見ている間は犬は顔を背けており、飼い主が落ちたものがわからずに放置してしまうと、犬の方が行動を起こします。

しかし、その行動は食べ物に走ってくるというものではありません。

ゆっくりと立ちあがった上で食べ物の落ちている方向になにげなく前進してきて、少し鼻をおとしながら偶然のように食べ物を拾っていきます。

飼い主から「ダメだよ」と指摘がはいればいつでも行動を変化させることのある余裕を感じられる行動で、状況がいつ変化するかもしれない状態での行動への配慮が見られます。


この二つのタイプの犬は、どちらも落ちた食べ物を食べることを目的とした行動ですが、その行動のパターンには飼い主との関係や犬の性質(性格)を見ることができます。

こんな、日常のなんでもない行動について飼い主さんに質問をくり返していくと、犬の個性がより理解できるようになります。

そしてなによりも、最初は的確に質問に答えられない生徒さんたちも、質問をくり返すうちに観察力が増していくという学習が起こります。

今までとは異なる面から犬の行動を観察できるようになるということが、飼い主として最初に必要な学習事項なので、楽しみながら犬を観察していただきたいです。

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<犬のしつけ方>犬への声かけが犬を不安にさせることもある:怖がる犬をなだめないで欲しい理由とは

犬に対する飼い主や人の声かけが、人の思惑とは別の方向に向ってしまうことがあります。

最も多くみられる間違いで、人側がなかなか改善できないのが、怖がる犬に対するなだめ行為です。

怖がる犬に対するなだめ行為とは、まさに、なだめるということを目的とした声かけです。

人の犬に対するなだめ行為について例をあげてみましょう。

散歩中に環境の変化に適応できず、硬直して動けなくなり立ち止まって尾を下げている犬がいるとします。

それを見た人の多くは、犬をなだめようとします。

犬に対して「大丈夫よ~」とやさしい声をかけて、体をさすっている行為を見かけることもあるでしょう。

もしくは、犬を抱きあげた上で赤ちゃんのように上下左右に振って、抱っこしてあやしながら「大丈夫よ、怖くないわよ~」となだめてはいないでしょうか?

犬を抱っこしてあやしている状態は、犬を赤ちゃんと取り違えている擬人化した行為になります。

抱っこという行為自体が犬に対して負担をかけるペット化の接し方ですから、抱っこをせがむ犬は当然社会的に不安定な状態にあります。

犬という動物に対する対応としてこれらの接し方が不適切だということは理解されやすく納得もいくでしょう。

しかし、体をさすってやさしく声をかけるなだめがなぜ犬にいけないのかというのはわかりにくいことです。

そもそも、なだめるというのは相手に状況を理解させて説得したり、納得させたりするための時間稼ぎです。

説得の行為に関しては言葉のコミュニケーションを用いて理解させるという方法です。

そのなだめる行為に、体に触れるという接触を伴う人が用いる落ち着かせのコミュニケーションが入っています。

犬にこうした行為が通じない理由は、簡潔にいえば人と犬ではコミュニケーション方法が違うということです。

では、怖がって尾を下げて震えている犬がいたとしたら、犬だけで生きている群れの犬たちはどうするでしょうか?

犬が怖がる状態を脱却する方法は、自力で快復するのを待つというやり方になります。

同時に、群れの強さを感じることができれば、群れの安定度によって犬の快復力は高まっていきます。

つまり、その犬の近くで普段と変わらず堂々と振舞うことが、怖がっている犬の快復力を高める方法です。

怖がっている犬が必要としているのは、やさしく声をかける人間ではありません。

やさしい声は違う面からみると、弱弱しい声ということです。

怖がっている犬が必要としているのは、弱い動物ではなく群れを率いてくれる強くてたくましい存在なのです。

何かあっても群れのために戦う意志があるトップの犬たちがいて、規律のある群れにいると犬は自律した快復力が高まっていきます。

逆に、やさしく語りかける飼い主の声となでる手は、犬が怖がっていることをさらに強化する(その行動を高める)要因となってしまいます。

犬はますます、怖がることをやめられなくなっていくのです。

飼い主の気を引くために、わざと怖がっているわけではありません。

怖がりの強い犬は自律性が育ちにくく依存性が高まりやすいため、飼い主に対する依存性を高めてしまう行為によって飼い主の反応が出やすい行動をしてしまうということです。

犬が怖がることを改善したいと願う飼い主が、実は犬の怖がる行為を高めているということに多くの飼い主は気づいていません。

動物の行動学的にはとてもシンプルな構造なのですが、行動に変化が見られないということは、何か周りの環境に要因があるということです。

最も大きな要因が飼い主のつくった環境(生活環境のすべてを含む)と飼い主の接し方です。

だから、飼い主が変われば犬の行動は案外簡単に変わってしまうのです。

預かりのトレーニングで結果が出やすいのは当然のことなのですが、同時に飼い主の元にもどれば以前と同じになりやすいということです。

人と犬ではコミュニケーションの方法が違うということ、当たり前のことなのですが再度確認しましょう。

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<お知らせ>犬語セミナー6月開催のお知らせ

グッドボーイハートで毎月開催している犬語セミナーのお知らせです。

6月は以下の日程で開催します。

平成30年6月24日 日曜日

時間 12時~14時

場所 グッドボーイハート七山校

参加費 おひとり2500円 当日払い

少人数制のゼミスタイルのセミナーのため定員になり次第締め切りします。

お申込 グッドボーイハートお問い合わせフォームよりご連絡ください。


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梅雨の合間をぬって、久しぶりにロングコースのトレッキングできました。

風通しのよくない場所には、蚊が出てくるこの季節。

快適とはいえませんが、まだ梅雨明けしていないので風が冷たく心地よいです。

福岡の都心でグルグルと車を運転しながら、訪問トレーニングを続ける毎日の合間に、こうした山のクラスを開催できることが自分にとって呼吸を取り戻す瞬間でもあります。

大きな木々の中で、自分が小さな存在であることを知ります。

自然の中で一番感じること、心地よいこと、謙虚な気持ちになれること、一歩を踏み出す勇気が出ること。

犬たちはどう感じているのでしょうか。

犬語セミナーは犬と暮らしていない方でもご参加いただけるセミナーです。

勇気を持って一歩を踏み出し、いっしょに学びましょう。

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<クラス>犬の預かりクラス:外飼いの犬は落ち着ける空間が室内飼育の犬とは違うこと

グッドボーイハートのクラスの中に「お預かりクラス」というのがあります。

名前がよくないのでしょうが、よく預かり訓練と間違えられてお問い合わせをいただくことがあります。

グッドボーイハートでは、預かり訓練は行っていません。

理由は、預かり訓練は飼い主との関係改善にはならないというとてもシンプルなものです。

では、なぜ「お預かりクラス」というのかというと、単にお世話をする預かりではありませんよという意味合いをこめています。

飼い主さんがご不在やご旅行のときに犬を預かるといういわゆるドッグホテル形式であることは間違いありません。

一般的なホテルと違うのは、犬を預かっている際に見られる行動やシグナルについて飼い主さんに報告すると同時に、自宅で出来ていること、十分にはできていないこと、犬の変化やステップアップのためのヒントなどをご報告することがクラスの目的にもなっています。

預かりの方法については、できるだけ犬に負担をかけずに一対一で向き合う時間をつくるために、原則として1頭ずつしかお預かりしないことにしています。

また、預かり時の扱いについては、犬の環境に対する適応性と安定度をみながら、室内、屋外のどの場所をどのように使うのかも決めています。

たとえば、先日は外飼いされている犬くんの預かりをしましたが、この場合には、係留が可能な時間には落ち着ける場所に係留し、係留時に安定できるように観察しています。

お預かりのときに、他の生徒さんのトレッキングクラスが重なってしまうこともありますが、お互いにストレスとならないように上手に回避できる空間を作っています。

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トレッキングから帰ってくると、山の上から犬くんが寝ているのが見えました。

写真ではよくわかりませんが、さらに近付いてみるとわかります。
置いてあるクレートに入って熟睡しているようです。

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プライベートクラスにもよく参加してくれて、グッドボーイハートのルールもよくわかっている犬たちは、預かりのときには安定した状態で過ごしてくれます。

自宅では物音や子供の声などに落ち着かなくなってしまうことのある犬くんも、グッドボーイハートでは騒ぐことなく落ち着いていられるのです。

環境が広く臭いがなく、自然環境に恵まれているというのも理由のひとつなのかもしれません。

さらに、その環境を管理している人間が、この場合には私がその管理者になりますが、一定のルールをもって接し、預かり中は犬をきちんと守るという意志を表現できるほど強くなければ犬は不安になってしまいます。

先日のブログにご紹介したように、犬に対する甘えが犬を不安定にさせてしまうのです。

犬に必要以上に厳しくする必要はないんのですが、不安定になりがちな犬に対しては、興奮しないこと、慌てないこと、パニックを起こす前に落ち着きをもたらす強さを示すことは、犬のために必要なことです。

犬も人も同じかもしれませんが、精神的に弱く恐怖を感じやすい動物ほど、パニックになりやすく攻撃性も高まりやすいのです。

群れとして、家族として、規律のある社会に存在することは、社会性の高い犬という動物にとって、愛情よりも大切であるということを犬たちが教えてくれます。

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<犬のしつけ方>人が犬を甘やかすと犬が不安になるという仕組みを理解しよう

犬の問題行動の発生に関しては、そのほとんどが「厳しくしつけた」ことが原因ではなく、甘やかし過ぎたことが原因になっています。

「甘やかし過ぎました」というのはあくまでも飼い主側の言い分であって、
事実としては、甘やかし過ぎではなく単なる甘やかしが犬にとっては大変な負担になるということを理解することが難しいようです。

可愛がるところのどこがいけないのですか?という質問を受けることがありますが、
可愛がることがいけないのではなく、その行為は可愛がりではなく甘やかしですよということなのです。

犬の甘やかしを人の甘やかしとは違うと思ってしまうのは、犬にはできないことが多すぎて日常の世話を必要以上に飼い主に頼っているからです。

ゴハンをもらうこと、散歩に行くこと、ドアをあけてもらうこと、トイレにつれて行ってもらうこと、排泄を処理してもらうことなど、完全管理状態の人に飼われる犬たちは人から世話を受けないと生きていくことができません。

しかし、お世話をすることは甘やかしとは違います。

犬に行われている最も多くの甘やかしはもっと違うところにあるのです。


甘やかすとはそもそも犬がひとりでできることをできなくしてしまう存在として飼い主がいるということです。

たとえば、犬がすぐに膝の上に乗ってきて飼い主に抱っこ状態になったとしましょう。

犬は自分のベッドで落ちついて過ごすことができなくなると、すぐに飼い主に頼る状態になっています。

これは、すでに飼い主が甘やかしの結果、犬を落ち着かない状態にしてしまったということです。


他にも、必要以上の触るという行為は甘やかしになります。

常に人が接触することで犬は落ち着いていることができなくなってしまいます。

これも犬ができることをできなくする人の典型的な行動なのです。


また、必要以上に話しかける行為も甘やかしになります。

上記と同じように、人が犬に話しかけを続けることで(ときには愚痴のこともあるかもしれませんが)、犬は落ち着かない状態になっていきます。


犬ができないことを食べ物を使ってさせることは、当然甘やかしです。

これには、多くの飼い主さんも「いけないとは思うんですけど」といわれることがあります。

食べ物でつっているという行為について、飼い主としても多少の後ろめたさを感じているということでしょう。


こうやって人の犬に対する甘やかし行動を見ていくと、これらの行為は人が犬を甘やかしているのではなく、人が自分自身を甘やかす行為のように思えてこないでしょうか?

甘やかしとは、そういった人側の不安定な精神状態が犬に伝わる行為であって、その結果、犬は不安定な状態に追い込まれているのです。

かわいい犬を前にして「毅然とした態度で」いることが、人にとっては辛いことだといわれる方もいます。

かわいい犬をかわいい、いとおしい、大切を思う気持ちはとても大切です。

ただ、犬に接する際には、犬という動物を尊重し犬に理解できるように一定のルールを持って接することが本質的な犬への愛です。

犬は人の可愛がりではなく甘やかしの行為によって、犬としての落ち着きをなくしてしまい、本来の落ち着いた生活を送る権利を奪われていることを、そろそろ理解する必要があるのではないでしょうか。

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<クラス>プライベートトレッキングクラスで山デビュー:初めてのトレッキング体験

梅雨の前半なので、まだ晴れ間の見える時間もあります。

わずかな雨の隙間を利用して、プライベートトレッキングクラスを開催しています。

グッドボーイハートのクラスのご利用で一番多いのは家庭訪問タイプのトレーニングクラスです。

ご家庭の環境を改善しながら、犬との暮らし方、過ごし方、しつけの仕方を覚えていただきます。

トレーニングクラスのご依頼も、家庭内での犬の困った問題解決のご相談がほとんどです。

家庭訪問トレーニングで日常的な接し方やしつけについて学んでいただく過程が進んだ方を対象におすすめしているのが、プライベートトレッキングクラスです。

なぜ、おすすめしているのかはひと言ではいえませんので、少しずつブログでも紹介させていただいています。

それでもひと言でというならば、犬と人という動物が自然とのつながりを思い出し、心身を健康にして生きる術を身につける機会とでもいえばいいでしょうか。

結局、ひと言では収まりませんね。

犬とのトレッキングクラスは奥行の深いクラスなので、あせらずじっくりと細く長く親しんでいただくことが大切です。


犬との関係と同じように、自然との距離感も一気に縮めることはできません。

急いで学ぼうとしたり、何かを得ようとする行動はむしろ危険です。

犬に動物らしさが残っていれば、山歩きをする犬の行動はとても慎重なのです。

自然の方が近付いてくれない上に、とてつもなく広く大きく、そしていろんな生き物がそのスペースを利用しているのが山という空間です。

山に入る動物は、警戒心を持ってゆっくりと行動してしまうのは、山という生き物に対していつの間にか身に付いている接し方のルールではないでしょうか。

いつの間にか身に付いているというのは、それぞれの動物が種として生きる文化の上に成り立っています。

犬には犬の文化が、人には人の文化があり、そして人という種の場合には地域によって異なる文化の違いがあるのが、他の動物の比べて際立っています。

犬という動物として、人という動物として、山という自然環境がどの程度遠くなってしまったかを行動を通して知ることは、それぞれの文化の変化を感じる瞬間です。

今回は、プライベートトレッキングクラスを利用して山歩きデビューをした犬と飼い主さんと一緒に山歩きをしました。

まだ若い年齢の犬くんですが、興奮の度合いはいつもよりもぐっとひくく、歩行の速度もゆっくりで立ち止まりながら臭いをかぎながら、最初は慎重に行動しています。

普段は飼い主さんの方ばかりをずっと見ているのに、飼い主さんをチラチラとは見ますが、他のことに強い関心を示しているようです。

山歩き初めての飼い主さんたちの方が、体や気持ちが山になじんでいないため、バランスを崩したりビックリしてしまいます。

犬くんが最初の体験で山環境に夢中になっている間に、人の方も自然に近付く練習をしなければなりません。

犬くんが視野を広げて観察できるようになったとき、そこに不安定な姿勢と気持ちの飼い主さんがいるということでは、群れという家族としてのバランスも失ってしまうからです。

山歩きという犬との静かな時間は、犬の生涯を通してできる関係作りの場です。

しかも、どの犬にでもできるということではありません。

犬という動物としては可能なのですが、犬の状態や飼い主側の準備としておすすめできない場合もあります。

山歩きを学び始めたということは、階段を一歩上がったといえることでもあるのです。

自分も都心での活動が多くなり、山で過ごす時間が今はかなり少なくなっています。

せっかく学び始めた自然とのつながりを大切にしたいと思います。

自然の中で人として過ごすことは、時間があるからではなくて、まず最初に選択したい時間です。





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<クラス>老犬のトレッキングクラス:老犬の過ごし方もさまざま

人と関わりの深い犬は、人の医療の発達の中で確実に寿命を延ばしているようです。

20年前なら、12歳といえば相当の老犬だという印象を受けたり、
15歳まで生きたというと、神がかったように思えたのですが、今ではそうでもありません。

もちろん、人と同じように犬の寿命には個体差があります。

犬という動物の生きる時間を考えれば、10歳まで生きれば十分な時間だといえます。

生物学的には活動しない動物ほど長く生き、活動する動物は寿命が短いという見方もあります。

だから、10歳を越えての昇天は、長くも短くもなくその犬が活動する分は使ったという風に見るようにしています。


今日は2組のペアのトレッキングでしたが、いずれも10歳を越える犬たちでした。

12歳が2頭、そして14歳が1頭です。

若い犬たちが歩くのと同じ山のコースをゆっくりペースで歩きます。

息切れしたり疲れることもなく、淡々と上っていくのは小型犬ならではの活動力かなと関心します。


自分がどのように老後を生きていきたいのか、この年齢になると考えることがあります。

その生き方の望みはやはりそれぞれなのでしょうが、自分としては活動を終えたと同時に死を迎えられればと思うのです。

そうなるためには活動し続けるしかないのですが、できるだけ人の世話にならないようできることはするということでしょうか。


老犬たちのトレッキングする姿には勇気をもらいます。

ついこの前まであんなに元気だったのに、と自分もいわれたいと思ってしまうのは欲深いことでしょうか。


梅雨の晴れ間に絶好のコンディションで老犬たちとトレッキングできて、良い時間をもらいました。


もしも老犬が家庭の中にいたとして、その犬がどのように過ごしていたとしても、最後までその自律性を支えてあげてください。

老犬の過ごし方それぞれ、それでよしだと思います。

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<犬のしつけ方>教えていることがある時突然できるようになるのは何故?

犬にいろいろな学習を促すいわゆる犬のしつけやトレーニングの中で起きる、不思議な「トレーニングあるある」のひとつに「いきなりできるようになる現象」というのがあります。

犬ができるようになる内容は犬によって様々で、特定のものではありません。

具体例として以下にあげますが、実際にいろいろとあります。


ペットドアをいきなり通れるようになった

ハウスというと、いきなり合図で入れるようになった

吠えているときに「イケナイ」という声に、ある日突然反応して吠えるのを止めるなるようになった

リードをつけるときに突然オスワリができるようになった


このいきなりできる行動の多くは、行動をするという積極的な反応の場合に起きています。

上記にあげた例の中で、イケナイというと吠えるのを止めるようになったという反応は、行動をしなくなったケースなので、該当しないように思われるかもしれません。

ただ、この行動も実際に確認してみると、吠えるのを止めると同時に飼い主の声に対して集中して注意を払うという行動に置き換えられているのがわかります。

結果、吠えるのを止める行為にいたったということですが、やはり「できるようになった」部門に入る行動改善です。


飼い主は口々に「今まで全くできなかったのに、何故できるようになったのかわからない」といいます。

こうした行動の変化は、自分達の身近にも起きていることがあります。

同じことを何回も練習をくり返すと、練習が一定期間に達してできるようになるということです。

犬にハウスといったらハウスに入るトレーニングなどは、犬をどのようにしてハウスに誘導するのかで行動の定着性が変わってきます。

同じ行動をくり返せば定着するわけですから、ハウスといって犬を抱えあげてハウスに入れることを何万回くり返しても犬は言葉でハウスに入るようにはなりません。

イケナイといって犬が吠えるのを止めるトレーニングについても、犬が飼い主の言葉に集中する素材がどこにもないとすれば、この練習を何回くり返しても犬は吠えるのを止めません。

犬が飼い主の合図という言葉に集中する素材とは、常日頃からわかりやすく伝える努力を飼い主側が続けていくことと、犬を惹きつける声を出せるようになるかどうかも大切な要因です。

声の出し方については、犬は反応度がかなり違います。

知らず知らずのうちに飼い主が犬が反応しやすい声を出せるようになっていることもあります。

練習しているのは犬ではなく飼い主の方なのかもしれませんね。

いずれにしても、犬の落ち着かせにとって大切だと思うルールは、いい加減な気持ちで導入せずに犬ができるようになるところまで継続することです。

それは数ヶ月かかることもありますが、練習の成果は必ずやってきます。

あきらめないこと、犬との関係作りのキーワードです。

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