グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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映画やアニメで見る(学ぶ)犬のこと、犬をよく観察する機会に。

先日クラスの時に生徒さんから「ドッグシグナル」というアニメ番組のことを聞きました。

聞くところによると作者の方は獣医師やドッグトレーナーなど様々な人を取材した上で真剣に作られた作品で、今までの犬のアニメーションとは違うというらしいのです。

ひとりの青年がドッグトレーナーを目指して犬のことを学んでいくという内容らしく、犬について学びたい人々の興味関心をそそる素材として注目されているそうです。

じっくりと見られた生徒さんが言うには、「犬のことをよく観察すること」というのがまず最初にあるらしく、その部分だけはグッドボーイハートの指導内容と共通しているということでした。

犬の動物としての習性や行動、コミュニケーションはまだまだ完全に明らかにはされていません。

犬の行動の意味や目的や犬がどのような状態であるのかを知ることについて、常に共通点を見いだせるように議論しあって時間を費やすことは犬を知る上で最も大切な時間です。

当校ではそういう目的で「犬語セミナー」というセミナーを開催しています。

犬を良く観察すること、観察した上で得られる情報を精査すること、この二つが犬語セミナーの目的です。

「ドッグシグナル」という題名からは最低でも「犬にはシグナル=信号」というコミュニケーションがあるのだいうことは伝わってきます。

まずは犬の行動を読み取ることです。

その上で犬とどのような関係を築いていきたいかということは、個人の価値観が反映されるところでもあるためここは自分で考え、他者からも影響を受けるという姿勢でよろしいのかと思います。

さて、犬のアニメや映画をほとんど見ているこの生徒さん「“ベンジー”を見ましたか?」と尋ねてみました。

古い映画なのでもうないと思っていたのですが、生徒さんがスマホで検索するとなんとネットフリックスで配信されていたのです。

映画「ベンジー」はわたしが小学生3年生のころに学校行事で見た映画です。

スクリーンの中の賢いベンジーに犬好きな私が虜になったことは想像していただけると思います。

その後、この仕事を始めるようになって出会ったベンジーのストーリーは過去のブログ記事にアップしています。

犬に寄り添い自然に近づいた人のこと:昭和の犬の映画「ベンジー」のドッグトレーナーとの出会い

人生は本当に不思議なご縁でつながれています。

皆さんと犬の出会いもまた特別でかけがえのない出会いであったことを皆さん自身が体感していらっしゃるでしょう。

犬語セミナーは4月に開催を予定しています。

Posted in 日々のこと, 犬のこと

グループトレッキング&犬語セミナーを開催しました。

2月もグループトレッキングを無事に開催できました。

菜種梅雨なので降ったり止んだりは覚悟の上でしたが、お天気に恵まれたトレッキング日和となりホッとしました。

参加回数の多い犬たちばかりだったからか、いつもは緊張しそうな犬ちゃんたちも穏やかに過ごせていました。

グループトレッキングスタート地点でオスワリして待機する犬たち



社会化は決して「馴れ」だけではありませんが、「馴れる」過程は社会化の中で欠かせません。

「馴れる」を通して安心を得られるようになると見えてくる景色や得られる感覚も変わってくるはずです。

犬も飼い主も「馴れる」トレッキングをしていただくために、月1回のグループトレッキングは今年も継続していきます。

 

トレッキングの風景



同じことの繰り返しは面白くないと感じられるかもしれませんが、小さな違いを見つけることが楽しいのです。

トレッキング中の風景も、毎回同じ写真のように思えるかもしれませんが、犬は年齢を重ねているし自然も年齢を重ねています。

私がこの尾歩山に移転したときにはトレッキングコースは杉山で歩く場所もないほどでした。

トレッキングで歩いている道がちゃんとした道になるのもずいぶん時間がかかりました。

昨年からヤギのアール&ゼットが山の風景として参加したため、尾歩山の風景は少し変わりました。

尾歩山で過ごすヤギのアール&ゼット



動物がいるだけで自然の風景が生き生きとして見えるから不思議です。

●来月のトレッキングクラスのお知らせ

3月のトレッキングクラスは以下の日程で行います。

3月24日㈰ 10時開始~

午後のセミナーは3月はお休みさせていただきます。

ご質問があれば4月のセミナーのテーマとして取り上げますのでお気軽にどうぞ。


最後になりましたが、この日に2月生まれの私の誕生日を祝っていただきありがとうございました。健康でお役に立てるように今年もがんばります。

Posted in クラスのこと, お知らせ

オポの梅が今年も開花しました。

愛犬オポが亡くなったときにみなで樹木葬を行いました。

そのときに埋めた「しだれ梅」が今年も無事に開花しました。

土地や気候にあまり合わなかったであろうしだれ梅が開花すること自体が奇跡だと思っていますので、咲かなくても仕方なしなのですがやはり開花はうれしいものです。


梅の花のものすごく遠くにヤギのアール&ゼットの姿が見えています。

オポが今この風景を見ていたらどんなにびっくりしてくれるだろうかと思うのです。

まさかヤギが住みつくようになるとはさすがのオポでも思いもしなかっただろうと。

オポ広場ができたり、ニホンミツバチからハチミツをもらっていたり、

オポの知らない犬たちがここで成長を楽しんでくれていることも、

きっとオポなら喜んでくれていると思います。

何より成長しなければいけないのは犬でも梅でもなく私自身だということは重々承知しています。

オポが他界して8年間をすぎ、この間ずっと家庭訪問のトレーニングを続けてきました。

たくさんの生徒さんたちとの出会いをいただき、学びの機会をたくさんいただいたことに感謝しています。

オポと始めたグッドボーイハートも今年で25年を迎えます。

今年はいろいろと変化の年になりそうです。

成長することを止めないことを信条に、柔軟に変化していきたいと思います。

 

Posted in 日々のこと, オポのこと

「犬の服従性行動について」セミナーまとめより

先月の犬語セミナーで取り上げた「犬の服従性行動について」をテーマに、本日は補講と称して2回目を開催しました。

セミナーを受講された方の復習用にまとめとして記載しておきます。

主に5つのテーマに分けて説明を進めました。

  1. 犬の服従性行動とはどのような目的を持った行動か?
  2. 犬の服従性行動とはどのような行動のことを言うのか?
  3. 犬の服従性行動は大きく二つに分けることができる。
  4. 犬の服従性行動と見間違いやすい行動とは?
  5. 犬の服従性行動を引き出すために飼い主としてできること。
答えの欄を見る前に、この項目について自分なりに答えてみてください。

犬の服従性行動とはどのような目的を持った行動か?

質問の意味は、犬の服従性行動は犬の社会的行動の中でどのような目的を果たしているのかというものです。

名前のとおりですが、服従性行動はある犬が特定の犬に対して「服従していることを表現する」行動です。

その目的は、個体間で序列を決めるために表現するものです。

簡単に言えば立ち位置としてどちらが上でどちらが下かということをはっきりとさせておくための行動です。

この服従性行動が表現されることで個体間の位置がはっきりとし、群れの中の序列を整えることができます。

犬の社会的行動は群れ行動で成り立っているという基盤の部分を作るコミュニケーションであるため大変重要なシグナルです。

自分の入るべき列がはっきりとしていることで自分の役割が決まってくる序列の社会は人社会と同じです。

みんな仲良しでみんな一緒の友愛を唱えたい人からすると縦社会という言葉自体が敬遠されるものかもしれません。

しかし実際には社会は縦社会で成り立っており、捕食活動を続けてきたイヌという動物にとって長い間必要とされてきたこの縦社会の部分はまだまだ消えることがありません。

縦社会には、親分~子分的な社会もあれば、親~子の家族的な社会もあり印象も様々です。

どちらにしてもイヌは「あなたが私よりも優位です。」と表現することで社会=群れを成り立たせているのです。

 

犬の服従性行動とはどのような行動のことを言うのか?

ここでは服従性行動として具体的な行動を上げてもらいました。

例として

耳を下げる

尾を下げる

体を低くする

お腹を見せる

目線を避ける

伏せる

後ずさる

舌をぺろぺろ

等があります。

 

犬の服従性行動は大きく二つに分けることができる。

上記の服従性行動は二つに分けることが出来ます。二つとは

1 能動的服従性行動

2 受動的服従性行動

 

犬の服従性行動と見間違いやすい行動とは?

ここでは動画を見ていただき説明を加えました。

子犬が3歳の犬に対して示す行動の動画を見ました。

動画の中で子犬が服従性行動を示しているかどうかを確認しました。

また服従性行動に大変似ているがまったく違う行動が出ていることを確認していただきました。

似ている行動とは「甘え行動」と言われるものですが、子犬を表現する行動です。

はっきりとみられた甘え行動は、まとわりつく動作でした。

これは子犬が人に対して大変多く行われる行動で、多くの飼い主が「犬が自分に服従している」「犬が自分のことを好きだと言っている」と勘違いする行動です。

子犬期のまとわりつき行動には拒絶のシグナルを出す必要があります。もしくは受け取らないように注意する必要があります。とても重要なシグナルです。

 

犬の服従性行動を引き出すために飼い主としてできること。

犬の服従性行動は自分よりも優位なものに日常的に出されている行動です。

犬は優位な犬に対して大変丁寧に服従性行動を示しますが、優位な立場にある人に対しても服従性行動を示します。

ですが、前述したとおり服従性行動ではない行動を誤ってみていることも多いのです。

例えば、「お腹を見せる」という行動をすべて服従性行動であると判断することはできません。

単発の行動は前後の行動を重なり合って文章になっています。

単発の行動を拾い上げるのは重要な作業ですが、その前後の行動と結びつけて判断することがより重要になります。

こうした複雑さから多くの人が犬のコミュニケーションを読み取りし間違えてしまいます。

いい例は「犬が尾を振っているから喜んでいる」です。

犬は攻撃するときも尾を振ることはありますので、これだけの情報では読み間違いしてしまいます。

犬の服従性行動を増やすためにできることは、以下の2点です。

1 犬のシグナルをできるだけ正確に読み取れるようになること。

2 犬が優位だと認められるような飼い主であること。

犬のよき理解者になり犬の良き友達となれるよう、これからも定期的にセミナーを開催する予定です。

Posted in 犬語セミナー, 犬のこと

群馬県内の公園で犬が12名にかみついた事件について。犬はなぜ人に噛みつくのか?

ネットニュースを見てさすがに私も驚きました。

一般の方よりも圧倒的に聞いたり見たいする回数の多い仕事に携わっていますので「犬が人に噛みついた」くらいでは驚きません。

しかし、公園で12名に次々と噛みついたという記事を見たときには、どんな状況でどのような犬がどのような人に噛みついたのだろうかと、事の詳細を把握したい気持ちでいっぱいでした。

犬の噛みつき事故の事実確認。何が起こったのか。

その後ニュースで見た内容が間違っていなければ、以下のような状況であったということでした。

・群馬県内の公園で、小学生4人と40代の男女2人の合わせて6人が犬に噛まれた。

・上記の15分後、公園から300メートル離れたふたつめの公園で小学生5名と60代男性1人の6名が噛まれた。

・ケガの程度はいずれも軽症。

・噛んだ犬は地域の男性が飼う四国犬(体長1メートル30センチ、2歳、オス)

・犬は現場で県の動物愛護センター職員が捕獲。

・飼育時は外の犬舎に入れていたが、犬舎から逃走した。理由は不明。

※以上はヤフーのニュースに掲載されていた内容(2024年2月8日現在)

 

事実状況から推測する、かみつきの状態はどのようなものだったのか。

上記のニュースの内容や、他の動画ニュースの配信も確認しました。

目撃者の証言には、犬は人々に近づいてにおいをとっていたが一人の少女が走り出したのに追いかけるように噛みついていったという内容もありました。

別の証言では、男性が連れていた小型犬の頭に噛みついて振り回していたので飼い主の男性が足で犬を蹴って追い払おうとしていた、というものもありました。

病院の映像では足首を噛まれて怪我を負った男性の映像がありました。

人々の足や転んだ人の他の部分に対して、動くものに反応するように噛みついた状態であったのではないかと推測しています。

小型犬の状態については報道されておらずとても心配ですが、犬に対しては殺傷目的をもって噛みついたあとの振り回しが出たと推測します。

 

四国犬ってどんな犬?

ニュースの詳細が分かったときに犬が四国犬であったことを聞いて多少納得しました。

四国犬を身近に見たことのある方は少ないと思います。

ペット化した柴犬という日本犬がとても人気となり増えている中で、同じ日本犬種でありながら柴犬よりも一回り大きな四国犬が全く流行らないのにはそれなりの理由があります。

四国犬は猟犬として飼育されている場合がほとんどで、ペットショップではあまり見ることがありません。

四国犬はペット化されていないため特定の人にはなつくが他人にはなつきにくく、猟犬として育てれば飼い主の言うことに従う服従性を示すがきちんと飼育管理することでその良さが生きる犬です。

飼い主のコメントでは犬舎からは出られないようにしていたはずなのに…といことでしたが、実際には犬は犬舎から出たのですからどこかに老朽化した部分があったか、締め忘れた戸口があったのか、いずれにしても犬は犬舎から出たという管理ミスが悲劇を生みました。

犬は噛みつく動物なのか?

犬を愛して共に暮らす飼い主さんたちにすれば「犬がそんなにたくさんの人に無差別に噛みつくなど信じられない」と思われるかもしれません。

そもそも犬は噛みつく動物なのでしょうか?

答えは「はい」。

犬は噛みつくという行動のできる動物です。

どの動物にも生まれつき備えている行動は機能と結びついています。

犬が噛みつくという行動は、犬にとって何らかの機能を果たすために必要な行動です。

その機能とは、犬は人からエサをもらう以前は捕食性動物であり動物を噛み殺すことで食べものを得る動物でした。その習性は今も変わっていません。

また、犬や群れを外敵から守るために噛みつきを攻撃性の方法として使用します。

では、今回の四国犬の噛みつきはどのような理由の噛みつきだったのでしょうか。

状況から察するところ、動くものに反応するように噛みついたこと、噛みつきの傷は軽傷であったことから追い込むように噛みついたであろうことなどを考えると、捕食性行動を利用した猟犬の噛みつき行動のパターンのようです。

猟犬はあくまでコントロールできるリーダーとしての猟師とグループになってこそその役割が発揮されます。

同時にリーダー不在の状態で刺激だけが与えられると、衝動的に噛みつき制御できない状態に陥る危険性もあります。

全ての猟犬がそうだということではなく、未完成の状態であればあるほど刺激反応は危険なものです。

犬の行動を考えるときにはこのようにその機能性について考えるのですが、残念なことに考える必要のある多くの行動は「人と暮す犬の問題行動」として取り上げられたときの方が多いのです。

この事件を、ただ可哀そう、残念だと片づけるのではなく、犬という動物の行動を考える機会としていただければと思います。

大きな犬に噛まれたり追われたりして辛い思いをされた子供さんや成人の皆様の体と心の一日も早い快復を心よりお祈り申し上げます。

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<お知らせ>ビッグウッド商品の価格改正のお知らせ

ドッグフード、サプリメントメーカーのビッグウッド商品の価格改定のお知らせがビッグウッド株式会社より届きましたのでお知らせいたします。

以下の通り転載

誠に恐縮ですが、ビッグウッド製品の商品価格の変更をご報告いたします。

昨年にも一度価格変更を予定している旨をご案内しておりますが、原料価格の高騰が続き資材・光熱費・人件費が上がり続けております。

クローガーハーブなどの海外の原料については、納入価格が仕入れのたび外貨に関係なく値上がりしている状況は変わりなく、

国内の仕入れメーカーさんからも複数回の値上げがあり、これまでできるだけお客様にご負担をおかけしないよう内部吸収にて努力して参りましたが現在の価格を維持することが非常に困難な状況となって参りました。原料の仕入れ先や原料の見直し等を何度も繰り返し検討してきましたが、弊社のこだわりと品質維持の観点から変更が困難な面も多く、これ以上は内部吸収や企業努力では賄いきれず価格改定は避けられない状況となりました。

つきましては2023年3月15日(金)ご注文分から全商品約20%値上げさせていただきます。

お客様には大変心苦しいお願いとなりご迷惑をおかけ致しますが、何卒ご容赦のほどお願い申し上げます。

以上のとおりです。

新商品の価格表はまだ到着しておりません。また送料も上がるとのお知らせをいただいています。

現在価格でのお渡しは2023年3月10日までに注文が可能な分とさせていただきます。

まとめての購入をご希望の方は早目にご連絡下さい。

ご注文いただいた商品は2月末から3月はじめにかけて注文いたします。

よろしくお願いいたします。

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犬語セミナー「犬の服従性行動・社会的活動について」を開催しました。

年に数回開催している犬語セミナー。犬についてみんなで学ぼう!という少人数制のセミナーです。

最近は参加者のレベルがどんどんアップしているため、今回の犬語セミナーでは犬の行動学的な学問の要素をちょっと取り入れました。

生徒さんからいただいた二つのお題「犬の服従性行動について」「犬の社会的活動について」です。

ひとつめのお題「犬の服従性行動について」でほとんどの時間を費やし、また受講生のみなさんもいっぱいいっぱいになってきたため、「犬の社会的行動について」は入口部分だけをお知らせして終了しました。

犬の習性やしくみを知ると、普段はただ愛らしいと思っている犬との暮らしがもっと楽しいものになるはずです。

犬について学ぶなら、トレッキングのようにワクワクしながら進んでいく気持ちと体感がとても大切だと思います。

「結局なに?」を知りたくて山の頂上までヘリコプターで行ったとしてもなんの感動を得られません。

歩いていく過程が楽しいのですからもったいないです。

それに、求めていた場所に来て見える風景もきっと人それぞれだし、誰と歩くかでも体感は全く違います。

不思議なことに犬と歩くことは今までと違った特別な時間になるはずです。

今まで見えなかったものが見えるようになる、そんな犬語セミナーになるように次回のセミナーまで考えを進めます。

次回の犬語セミナーは3月の第4日曜日のトレッキング後を予定しています。

 

補講セミナーのお知らせ

今回の犬語セミナー「犬の服従性行動・社会的活動について」補講クラスを開催します。

2月25日 日曜日 12時頃から2時間程度 予約制

参加費 おひとり2500円

今回参加できなかった生徒さんから動画でもよいのでということで事前に依頼がありましたので企画しました。

セミナーの動画を見ていただきながら補足説明を加えていきます。

 

グッドボーイハートの生徒さんたちは熱意があり教師としての私を鍛えて下さいます。

いつもありがとうございます。

Posted in 犬語セミナー

能登半島地震で活動する災害救助犬という使役犬について

能登半島地震でがれきの下かた救出された犬たちの写真や映像を見てほっとし、犬の生命力はやはりかなり高いのだなと再認識しています。

地震からかなり時間がたってしまったため、生存の確立はどんどん下がっているのでしょうが、おひとりでも多くの行方不明者の方が見つかるようにと祈っています。

地震直後はがれきの下に埋もれてしまい助けを求めている人をできるだけ早く救出する作業が危険と隣り合わせで行われていました。

余震が続き痛んだ建物や家屋が崩れ落ちる危険性の高い状況でのレスキューには経験や知識、能力を備えた特別なレスキュー隊員が活動をされていました。

そのレスキュー隊の中に、災害救助犬という災害時に救助の手伝いをする使役犬(しえきけん)もいました。

私はテレビニュースなどを見る時間があまりないのですが、友人が一枚の写真を送ってくれました。

写真はハンドラー様よりご提供いただきました(無断転載厳禁)



写真を送ってくれたのは、盲導犬訓練士時代の友人です。

一昨年、グッドボーイハートに盲導犬についてのセミナーの講師として来てくれたこともあります。セミナーを受講された生徒さんもたくさんいらっしゃいましたね。

この写真でレスキュー活動をしている災害救助犬は、実はその友人が盲導犬として育成していた中でキャリアチェンジ犬となって災害救助犬団体に移動になった犬だということでした。

キャリアチェンジというのは、盲導犬として繁殖育成をしてきた犬が、盲導犬としては適性がないため他の役割にチェンジするという仕組みです。

キャリアチェンジ犬の中には災害救助犬や補助犬になる犬もいますが、そのほとんどは家庭犬としてキャリアチェンジを果たしています。

盲導犬から災害救助犬へのキャリアチェンジというのは、決して多いものではありません。

災害救助犬の活動を見て、すごいなと思われる方も多いでしょう。

こうした使役の作業はすべての犬ができるわけではありません。

一定の資質を備えている犬に適切な飼育と訓練が重なってこうした活動が実現されるのです。

どの使役犬も危険でないことはありませんが、災害の現場となると使役の中でも緊張感の高い環境です。

ハンドラーと犬との協力関係がなければ、お互いに安全に作業することができません。

緊張感の高い作業ですし、達成したときには人だけでなく犬の方にも充実した時が生れるでしょう。

犬の高い社会性のなせる業なので、他の動物ではなかなかありえない関係性です。

ですが使役犬=作業犬は人に使われてる犬なので可哀そうという気持ちを持たれる方もきっといらっしゃると思います。

いつも暖かく安全な場所で人の膝に抱っこされて一日を終え「今日も楽しかったね」と暮している犬がいいのか、危険な作業に人と共に出かけて行って辛くて危ない時間を過ごす犬がいいのか、に答えはありません。

また、前述したとおり使役犬には適性というものがあり、繁殖の知識や情報がたくさんあっても生まれた犬がすべて適性があるということにはならず、現実は厳しいのです。

みなさんと暮している家庭犬は、家庭犬という目的に応じて繁殖された犬と、野良犬として人とは暮らしていなかった犬を保護された犬のどちらかでしょう。

どちらにしても、与えられた役割は家庭犬です。

家庭犬といっても役割は幅広く、どのような役割を準備しているかは飼い主次第となります。

使役犬が優秀で家庭犬が劣っているということは決してありませんので誤解のないようにお願いします。

 

※なお、掲載写真は犬の提供を受けたハンドラー様が繁殖と育成を担当してきた友人に送られてきたというもので、当ブログへの掲載の許可は頂きましたが転載許可はいただいていませんのでご了承下さい。

 

Posted in 犬のこと

今月の犬語セミナーで皆さんと学び題材として考えていること

先日のセミナー開催の告知で「質問があれば…」と書いてしまったため、早速セミナーで取り上げてほしい「質問」をいただきました。

グッドボーイハート生ならではの内容の濃い質問で思ったとおりではありましたが、説明するとなると私が理解している範囲を越してしまうため現在自分の頭の中で質問と答えを繰り返している最中です。

それで、参加される皆さんにも事前に考えてきていただくことできっと盛り上がると思い、本日簡単にではありますが題材を紹介します。

ご質問をいただいた中で今回のセミナーで取り上げようと思っているのは、以下のふたつです。

一つ目は「犬の活動について」

犬の活動というと日常生活で欠かせない活動は散歩です。

散歩はどのくらい言ったらいいですか?という質問をレッスン時にもよく受けますので散歩が犬にとって大切な活動であるということを一定数の飼い主は理解をしているようです。

ただ、活動といっても散歩だけではありません。

人にも様々な活動があるように犬と散歩以外の過ごし方を生活の中に取り入れていらっしゃる方も多いでしょう。

例えば、当スクールで開催しているトレッキングクラスなどは散歩とはまた別の活動です。

こうした活動をどのように準備すればいいのか、飼い主としては悩むことが多いと思います。この「犬の活動」について多いに盛り上がりたいと思います。

二つ目は「犬の服従性行動について」です。

犬の服従性行動の様々なシグナルについては動画を見る犬語セミナーの中でも多少はご覧になったことがあるでしょう。

どのような行動が服従行動が分からない方のために、服従行動のパターンについてもご説明したいと思います。ただ動画をそろえきれないので、ある程度説明しながらということになりますのでそこはご了承下さい。

この服従性行動ですが状況に応じて使い分けるように表現されています。その内容についての質問をいただいたので服従性行動について詳しく分析しようということを二つ目とさせていただきます。

セミナーが2時間が終わるのか不安ですが、どんなことでも一度では理解できません。

今回は初回の行動学セミナーということで皆さんと楽しみながら進めて行きます。

犬語セミナーは1月28日日曜日の12時~14時です。

人数は14名までとさせていただきます。(残席6)


 

 

 

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自然の中で長く過ごすと、知覚が鋭敏になること。

年末年始と唐津市のオポハウススクールで過ごす時間が長くなりました。

山の暮らしから都会の暮らしへと移ったときにいつも感じることがあります。

 

山での生活で味覚の変化を感じる

久しぶりに福岡に戻ってほっと一息で癒されるのはずのコーヒーが本当に不味い。

これは、福岡と七山(唐津市内の山)の二拠点生活の中で、山の滞在時間が長くなると毎度起きることです。

実は、ダンナくん(私の主人の愛称)もこうした話をしていないのに同じような経験をしていました。

「福岡に帰って紅茶を飲んだら不味いんよ…。

それで、開封した紅茶がダメだったんだと思って新しいのを開けて飲んだんよ…。

それでもやっぱり不味いんよ…。

で、水や!って気づいたんよ。」

という事ことがありました。

ただ、水が違うだけで美味しいか不味いかが分かれるなら水だけの問題なのですが、これがそれだけでもないのです。

水の違いだけでないのです。自分の舌が違いのわかる舌=味覚になっているのです。

博多で食べておいしいと思えるものが、七山では不味いと感じてしまうのです。

例えば、博多では食べられるインスタント食品が山では美味しいと感じられません。

山にいるときにはどんどん食事がシンプルになっていきます。

普段からごはんとお味噌汁とお豆腐で、と言ってるのもまんざら楽したいだけではないようです。

 

他の知覚よりもわかりやすい味覚の変化

山暮らしで変わっていく知覚についてですが、感覚的に一番はっきりと表れるのは「味覚」です。

接触行動は大脳の辺縁系が関与する原始的行動なので、最初に変化するのが味覚なのかもしれません。

もしくは、私たち人間が味覚以外の知覚が動物に比べて能力がなさすぎるという理由もあるのかもしませんが、いずれにしても味覚の変化は七山滞在時でもはっきりとわかります。

人工的な味付けのものを美味しいと感じられなくなり、味覚のごまかしがきかなくなってきます。それで、どんどんシンプルなものを食べたくなります。

個人的にはもともとその傾向が強いのですが、さらに加速していきます。

実際に変化しているのは味覚だけでなく、他の知覚も鋭敏になっている気がします。

 

嗅覚や視覚、触覚も鋭敏化する

空気がきれいな山の中ではにおいに敏感になります。

都市空間だったらつねにガスや食べ物や人工的な芳香剤のにおいがするため、臭いに鈍感にならなければ生きづらくなります。

ですが、山は土や草のにおいばかりですし空気の流れで常ににおいが流れていきます。

こんな透き通ったにおいの空間では、少しににおいにも敏感にならざるを得ません。

視覚も変化していきます。

常に視覚を遮られる状態で遠くが見えない都市空間と違い、遠くに動いているものもすぐに気づけるようになります。

さらに、ライトにさらされて鈍化してしまった視覚も、太陽の光や影に敏感になります。

肌の触覚にも変化があります。

ポリエステルなどの化学繊維に対して敏感に反応するようになります。拒絶感が強くなるのです。

鈍感な人間でもこれほど知覚に変化があるのですから、犬だったらもっと変化するはずです。

知覚が鋭敏化するというよりは、本来の状態に戻っているような気がします。

 

犬の知覚センサーが正常化するとどうなる

自然環境に暮らし始めると知覚が変化するということが犬に起きると、犬はどう感じるようになるでしょうか。

ジャンクなドライフードを美味しいと思わなくなるか。

洗剤のにおいに違和感を感じるようになるとか。

犬に尋ねてみないとなんとも言えません。

しかし冷静に考えてみるば、知覚の正常化は脳の正常化です。

正常になる、機能性が高まるというのに悪いということはないはずです。

犬の鋭敏な感覚は都市空間では時として邪魔になることがあるかもしれませんが、それが犬という動物だということを知って受け入れるということの方が重要性が高いのです。

要するに、犬がまともになる空間にできるだけ一緒に出かけましょうねということです。

寒い冬の季節ですが、山の空気は夏よりもずっと透明です。

ぜひこの季節も犬と山にお出かけ下さい。


 

Posted in 犬のこと, 自然のこと