グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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おすすめの本:「岐路に立つ自然と人類」今西錦司著、生物の見方が変わり世界が広がる本

 今日お薦めする本は、日本に生き物たちと暮らすすべての日本人に読んでいただきたい今西錦司先生の本です。

書籍名 岐路に立つ自然と人類
著者 今西錦司
発行 アーツアンドクラフツ

岐路にたつ
● 今西錦司先生という生態学者

 生態学という学問はもちろん専門分野なので、ノーベル賞でもとらない限り世間から注目されることはありません。ノーベル賞は科学的な裏づけがあって評価されるものです。今西先生の研究は細かくみるのではなく、生物全体を抽象化しておおきく全体からとらえるという視点から立っていると感じています。そのため、抽象論だとして見逃してしまうこともあるかもしれません。しかしその見方や考え方にはひとつの哲学があり、ほんとうに惹かれてしまうのです。

 今西先生の専門分野や生態学、文化人類学ということらしいですが、生態学から文化人類学へ以降した経過についても、この本の中に述べられています。また人のことを知りたいと思って入った文化人類学という学問さえ、西洋の細分化やその偏った見方に対して常に警笛を鳴らしていらしたようです。

 「私は人類学をやろうと思って、生物学をやったのではない。生物学をやっているうちに、人間のしていることも、現象的にはどうであろうと、また人間がこれに対して、どのように好き勝手な理屈をつけようと、その根底には、生物の生活を支配している法則が、やはり人間だの生活も支配しているのではなかろうか。つまり、人間だけが、他の生物から切り離された特異なものでなくて、生物といい、人間といっても、それらはともに、同じ地球のうえで、同じような運命にしたがわなくてはならないのではなかろうか、というように思われだしたのである。」(本文より抜粋)

 というように表現されているのですがこれはあくまで抜粋です。このあとに続くまた最もだ思われる今西先生の持論にワクワクすると同時に、この時代にこのようなことを述べられた先生の言葉に対して、大勢は耳をかさなかったのだろうかという不思議な気持ちにもなりますが無理もありません。当時は、といいますか今でも、学問については西洋に習えの姿勢が強いのです。実験室の中で起きていることがすべてで正解で、実験室の中で起きていることは再現性が高く科学的に評価されてしまうからです。そして、研究の目的が自分が本来知りたいことではなく、他者や多くの人たちに評価されることに変化してしまえば、みな実験室に帰っていくということでしょう。


● 「岐路に立つ自然と人類」カバーコメント

 この「岐路に立つ自然と人類」は今西錦司先生の著作やコメントやらを集めて一冊の本としてまとめられています。発行が2014年で先生が他界されてから、22年もたったあとに出版されました。そのカバーコメントにはこのようにあります。

 「実験室のなかの生物(生命)ではなく、自然に生きる生物を、生物全体社会として環境もふくめ思考した今西錦司ー。
 21世紀の科学の閉塞的な状況を予想した今西錦司は、登山家として自然に関わるなかから、細分化・専門家する生物学に対して、自然に生きる生物自体を対象とする「自然学」を唱えた。本書では、その「今西自然学」の主要論考とエッセイを収載する。」

 今西錦司先生のいろいろな考え方の側面に浅く触れ、自然や生物といったものに対する見方に幅を持たせるための導入書としては、とにかく多くの方に読んでいただきたいという内容です。

 たとえば、ダーウィンという名前は多くの方がご存知です。生態学を学んだことのない方でも、生物に興味がなくても耳にしたことがあるでしょう。そのダーウィンが唱えた生物の進化論についてあらたな見方を提唱されています。また、ダーウィンの進化論が持てはやされたあと、実験室の中の科学で行われた進化を研究する遺伝子的な学問の中で、遺伝子が突然変異して進化するという見方についても厳しく論じられます。

 「だからダーウィンのように、進化は現在も進行中であるという見方に、そのあまま賛成しがたいばかりか、遺伝学者のように、実験室内で突然変異がおきるからといって、それをそのまま自然でもおきているかのように要請するのは、事の順序を誤るものとしなければならない。とくに、その突然変異がでたらめなものである、というにいたっては、もはや自然を侮辱し、これを冒涜するものであるといっても、過言ではない。われわれの自然は、好きこのんでそんな無駄な気まぐれをしない自然である。自然には、自然によってたつ経済があり、種社会にはまた種社会で、それを維持していくための、経済というものがあるかである。」

 と最のことを、整然と述べられていて感嘆してしまうわけです。

● 登山家の今西錦司先生

 本の中には、今西先生は一時自然に対置されるものとして人工を選んだけれども、西欧流の考え方では、自然に対置されるものは人間であるといわれています。全くそのとおりだと思います。そしてその上で、先生は「しかし、私は、人間もまた自然である、と思うようになった。」と続けられています。

 今西先生は学者としてすばらしいだけでなく、生涯を通して山を愛した登山家でした。山に対する言葉や山で感じたことなどの言葉も紹介されていることで、今西錦司先生という方が自然とどのように過ごしてこられたのかを知り、感動を覚えます。先生は、自分は長く自然の中ですごしすぎたかもしれないがともの述べられていました。自然に過ごす時間がながければ、思ったり知りえたことがあってもそれを著作として残す時間はなくなるのです。しかしそうした自分と自然の時間を削ったところで、机の上で何が学べるというのでしょう。

 蒙古の遊牧民族の家畜化と西洋の家畜化の違いや、人が人として育つことの環境についてなど、犬との暮らしに絶対に役立つ見方や考え方が満載です。これは一度に読める本ではありませんが、手元においていつも見返して今西先生を感じられる本の一冊です。

 愛犬をしつける本や、ほめて育てる犬のしつけなどという本をもう捨ててください。そして、犬や動物、そして人間を自然のひとつとしてみる、今西錦司先生のような本に触れていただければ、きっと今日からのあなたと犬の関係は確実に変化していきます。

・グッドボーイハートのお薦めの本はこちらからもご覧いただけます。
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Posted in 本の紹介, 自然のこと

人に吠えたことがない犬に吠えられるのは何故なのか:犬が見ている世界とは

 たまにというよりも、犬と会ったときに度々起きる不思議なことがあります。

 レッスンで訪問したり、偶然通りかかったドッグランの中にいる犬や、ときには散歩中に近付いてきた犬が、普段人に対してしているのとは違う行動をすることがあるらしいのです。


● 人には吠えたことがないんですといわれたこと

 たとえば、こんなことがありました。あるご家庭へ訪問レッスンに伺った初日のことです。わたしはまだ飼い主さんとも顔をあわせていません。インターホンを鳴らすと中からワンワンと犬の声がします。

 その声は、ワンワンというよりはガウガウという風に、戸口の向こうなのでこもった声ではありますが、多少の緊張感もあわせて伝わってきます。中から飼い主さんが「どうぞー開けてください。」といわれるので、戸口を5センチくらい開けてみます。5センチしか開けられないのはその後の犬の行動を多少なりとも予測しているからです。

 ドアを少し開けたとたん、玄関の框から玄関の戸口の前まで中にいる大きな犬がガウガウいいながら突撃する姿をみました。それで戸口を5センチから3センチ程度にせばめます。

 「すみません!犬にリードをつけていただけますか?」と大きな声でお願いします。戸口の向こうで飼い主さんが犬にリードをつけたのを確認します。飼い主さんがそのまま犬に引きづられないことを見ながらようやくドアをはっきりと開けると、犬はますますガウガウと今にもとびかからんばかりです。

 そこで飼い主さんがひと言「今まで人に吠えたことはないんです。」といわれました。


 同じようなことはなんどもありました。ドッグランの横を歩いていたら、中からウォンウォンと太い声で大型犬が私の方を向いて吠えています。周囲には犬も人もいませんから、わたしに対して吠えているのだとは思います。

 飼い主さんは犬を抱きかかえるようにしてなぜかわたしをにらんでいます。そして「人に吠えることなんてないのに」とひと言。もちろんその犬とは初対面で、犬との距離は10メートル以上は離れている上に、間には高い柵もあります。


● 他のパターンの「他の人と違う」といわれた犬のこと

 他にも普通の人とは反応が違うといわれたことがあります。歩道を歩いていると散歩中の犬がわたしのそばをとおりかかるときに衣類の臭いをとるような形で立ち止まってしまい、そのあとわたしの後を追うように数歩ついてきます。

 このときなぜか飼い主さんもついてきてしまう上に、このような状態で自分の背後を見せるとトラブルが起きることもあるので、一旦止まって相手の犬が下がるのを待つようにしています。

 犬は入念に臭いをとったあと、少し顔をそらして立ち止まりじっとしています。それをみながら飼い主さんは「他の人とは違いますね。犬を飼っているのですか?」とたいてい尋ねられます。

 犬と暮らしてはいないのだけど仕事で犬に接することがありますのでとお答えすると、飼い主さんの方は納得します。せっかくだから「他の人に対するのとどう違うのですか?」と質問させていただきます。「他の人にはとびついたり、体を寄せたりするんです。」とのことでした。なるほどですね。

 こんなことの積み重ねで、当然家庭訪問レッスンでも飼い主さんや他の人とは違う行動を犬たちが見せてくれます。犬のトレーニングクラスの訪問レッスンでは、インストラクターであるわたしが直接的に犬を訓練することはありません。少しだけやりかたの説明などをするときに犬に接するというだけのことです。

 しかし、ほとんどの犬は他の人とは違う反応や行動をするようになります。大人しくなったり、飼い主さんいわくいつもと違うおりこうさん、今日はできるモード、従順にしているなどといった行動になる犬たちがいます。


 しかし逆もあるのです。前述した「人には吠えたことがないのに吠える犬」と同じように、他人に対する反応がいつもより過剰になることがあります。
 こういう激しい行動が出たときには「わたしの後ろに100頭の犬がいるような感じですから」とか「他の犬に対する反応を同じ反応をされますから」という冗談ともつかないような説明で一旦は納得してもらいます。

 この不思議な犬の行動に注目されすぎると今日やりたいレッスンが不十分になるからですが、本当はこの犬の反応は犬の社会性を表現する大切な行動です。他のトレーニングを進めるうちに、この不思議現象も次第に理解できるようになります。


● 犬が感じているのは何なのか?

 タイトルには犬が見ているとしましたが、正確には犬が感じている世界は何なのかということです。もう少し科学的にいうと、犬が感知している環境は何なのかということです。その感知した環境の因子のひとつがわたしという“人間”です。

 もちろん、犬たちはわたしのことを人として間違いなく感知しています。まさかゴジラだと思っているわけでもないし、未知の生物と感知したわではありません。そして、一番疑いをかけられる「犬と間違えているのではないか」というわけでもありません。

 犬は臭いの動物です。確かにわたしは日常的にいろんな犬の臭いを衣類につけています。毎日洗濯はしていても、わずかに残った犬の臭いがついていることは間違いありません。犬が衣類の臭いをかいでいるときは、わたしに関心があるのではなく、今つけてきた犬の臭いに関心があるのだなということはわかります。だからといって、わたしを犬と勘違いしているということはありません。

 遠くで吠えられることもあります。逆毛を立てられることもあります。臭いがとどかないような状況でも、瞬時に吠えられることもあることです。犬に関心はありますが、凝視して相手を挑発するような行為をしたわけではありません。戸口の向こうにいてまだ会ってもいない相手に吠える犬は、一体なにを感知しているのでしょうか。

 こういうときに「オーラが見えてるんですよね!」といわれることがあります。気のようなものですね。戸口の向こうにいる相手に対してただならぬ気を感じて吠えているというのでしょうか。いやそこまで強い気を発するほどの人間でもありません。いたって普通の人間なのです。

 犬の先生が来ると飼い主さんが意識していたため、その飼い主さんの意識が犬に働きかけたのかもしれません。ただ、そうともいいきれません。同じ仕事なのにスタッフの訪問ではこうした行動が見られなかったからです。

● 犬の隠れた社会性を観ること

 こうしていろいろな状況を冷静に考えてみても、今まで人に吠えたこともないという犬が、まだ会ってもいない状況下で吠えるのでしたら、それはかなり高い犬の環境を感知する能力であると思います。オカルト的な意味ではなく、どのように感知しているのかは不明だとしても何かを感知したのでしょう。

 対面したときに明らかに犬の反応が他の人と違うことについては、ある程度説明ができます。なぜなら、自分が見ている犬というのは、見るではなく観るです。しかも、外側のかわいい容姿や形を観ているのではありません。知りたいのはその犬の性質について、特に社会性についての情報です。

 もしかしたら、犬はわたしが何を観ているのかを感知しているのかもしれません。そして慌てふためいて吠える犬は、何かを見透かされてるのを恐れているのかもしれません。自分にとって一番怖い相手は、自分のことを見透かしてしまう人です。犬という動物は、人に対して表面的にはお利口さんに言う事をきいているように見えても、実際には本来の社会的な服従関係にはないこともあります。それは観ればわかることです。

 ということで、もしカウンセリングに伺ったときに犬が他の人とは違う反応をしたとしても、決して驚かないでください。あなたの犬は環境がいつもと異なることを感知する能力を持っていて、それをあなたとの関係の中にも使ってきたということです。それは安定した関係を築く能力でもありますが、バランスを崩せば不安定な依存関係に発展していることもあります。

 こうしたなんでもないけどいつもと違う行動には、犬を知る上での重要なメッセージが隠されています。そのメッセージ受け取っていますか?

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Posted in 犬のこと

タッチヒーリングクラス(人用)リンパマッサージのオプションができました。

 ドッグヒーリングクラスは飼い主さんもいっしょにタッチヒーリングを受けていただけるペアクラスがあります。
犬は飼い主の鏡なのですから、癒しを必要としている犬の飼い主さんにも癒しの時間を持っていただきたいからです。

 その飼い主さんのタッチヒーリングクラスのオプショナルコースに「リンパマッサージ」が加わります。追加料金は700円(税込)です。

 
 実はリンパマッサージは数年前にアロマ整体クラスを運営されている先生の下で指導を受けて学びました。その後自分のケアで練習し、セルフケアのひとつとして少しずつクラスの中で生徒さんにご紹介してきました。七山校で調子の悪い方には短時間ですが無料でさせていただいたこともあります。

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 飼い主さんのセルフケアというのはとても大切です。飼い主さんのストレス状態は犬に直接的に影響をするからです。犬は飼い主さんの状態にはとても敏感です。人は時代とともに発達して豊かな生活を実現してきたはずなのに、なぜかストレス過多の社会になってしまいました。ストレスを緩和させるためにペットを飼う人も多いのです。しかし飼い主のストレスはペットにとってはとても強いストレスになります。

 癒し=リラクゼーションではありませんが、リラクゼーションがストレスケアをすすめてくれるのは確かです。リンパマッサージは皮膚に直接的にアプローチし、リンパの流れが改善されるのを助けてくれます。もちろん医療行為としては行いません。健康ケアとして、気持ちよいと感じていただければ、セルフケアとして覚えて帰ってください。リンパマッサージならご自宅でも気軽に自分でやっていただけます。

 今までヒーリングクラスで無料のオプションで提供していたものですが、「サービスとして加えてほしい」というご要望があったので、ヒーリング料金+700円でご提供することにしました。

 リンパマッサージは、デコルテ、フェイス、膝から下のあし、脇からしたの腕のみです。タオルなどが必要なので来校の方のみとさせていただきます。また、お顔の化粧などとれますので、フェイスをされる方は化粧品もお持ちください。

 使用しているオイルはニールズヤードレメディーズのグレープシードオイルをベースオイルとして、飼い主さんのお好きなアロマオイルを使っています。アロマの種類もそれほどたくさんはありませんが、ニールズヤードのオイルなので香りは絶品です。700円はオイル代として頂戴します。

 専門家の方のようにはいきませんが、七山に流れる自然のリズムがマッサージの緩やかさを支えてくれます。みなさん、よく寝てくださいます。お気軽にご利用ください。


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Posted in お知らせ

お盆の犬のお預かりクラス:犬たちの夏のお昼寝は体調管理のために

 お盆に入り七山校周辺はますます涼しくなってきました。福岡佐賀方面では雨も降りました。一雨ごとに涼しくなれば、犬たちが活発になるあの秋がやってきますので、雨もまんざら悪くはありません。
 このお盆の間に帰省する飼い主さんたちから離れて、七山の季節を楽しみにやってきた犬たちが数頭います。その犬たちの姿を見ながら、あることを考えました。

● お昼寝してますか?

 まだ秋が深まるまでの間、どんな犬にも、そして多分人にも大切な時間といえば、お昼寝です。日中休みなく働いていらっしゃる方々には申し訳ないのですが、みなさんはお昼寝されるでしょうか?

 お盆のある日、数頭の犬たちがお預かりでいっしょになることがありました。2頭は数年来のおつきあいで気のおける仲間、そのうちの1頭と子犬の方もなんどか顔を合わせて距離を保てる関係ということで、テラスや室内に犬たちをセパレートして過ごしましたがとても静かに過ごしていました。

 交代で散歩や相手をしたり、草刈をいっしょに過ごしたり、それぞれにお昼のオヤツを食べたりしてまったりと過ごしていたのですが、昼過ぎの13時くらいになるとなんとなくわたしを含める全員が活動停止モードに入りました。

 それぞれの場所でそれぞれに始めたお昼寝です。昼寝のポーズも時間を経て少しずつ変わってきます。立ち上がって部屋の中を歩いても犬たちの方は起きませんが、少し気配が大きくなると起きてしまうので睡眠の深さはそれほど深くないようです。犬たちのうちの一頭はおちびさんだったので、寝言を言っていました。

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● 犬の昼寝の機能とはなんだろう

 犬という動物をいろいろと観察していると、もしくは日々観察する飼い主さんに話しを聴いてみると、犬とひなたぼっこが切り離せないように、犬と昼寝という関係もかなり深いつながりがあるようです。確かに動物の活動時間は、陽が上っている間、陽が沈んでいく間の朝夕です。夏場は太陽が高いところにある時間が長いため、その時間は活動を停止しています。

 動物は自分の内側の作用、つまり欲求に対して純粋に反応しています。人に飼われる犬ですから、飼われていることがストレスになるのですからストレスによる欲求の変化や行動の変化というのはある程度あります。その犬にかかるストレスを少し横に置いて考えると、犬の活動性は太陽や気圧によって左右される犬の中にある自律神経による調整によって行われているように感じるのです。

 たとえば、太陽が出ているときは自律神経の交感神経が活発になります。交感神経は活動の神経なので、太陽がのぼっていれば活動が高くなるように思えます。しかし実際には熱帯低気圧が迫ってくるこの季節は気圧が下がるため副交感神経が活発となります。副交感神経は休息の神経なので活動が低下します。そのため、犬たちも低気圧の多い夏の季節、特に気圧の下がる日中には昼寝が多くなるという仕組みのようです。

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● 睡眠の質を高めるためによいお昼寝をしよう

 人は行動を情報操作によって左右され考えて決めてしまうことがほとんどです。たとえば、テレビでこれが老化防止に効果があると紹介された食品がその日のうちにはスーパーに山積みされています。つまり売れるからです。

 睡眠についても同じような傾向があります。昼寝は短い方がいいとか長い方がいいとかいろいろと情報がたくさんありますね。情報によって正否を決めてからでないと行動できなくなってしまった人と違って、犬の方は自然体です(ストレスの低い犬のことです)。

 自然体の犬は昼寝の時間を決めていません。好きなときに寝て好きなときに起きています。言葉を変えると体の要求に応じて寝ますし、体の要求に応じて起きています。ただ、犬が自然に寝たり起きたりしたいと思っても、周囲の環境が不安定だと動物は寝ることはできません。

 犬の周りでは常に人間が活動しているわけですし、その人間が環境の安全の確保した状態で、部屋に閉じ込められているとかつながれているとか柵の中に入れられているのです。環境を飼い主などの管理人に委託しているといえばいいでしょうか。

 ところが人はなかなか日中にゆっくりとすることがありません。行動は止まっていても脳内は常に活動しているのが人という動物です。妄想も含めて人の脳はなかなか止まることができません。一番できることは、自分も昼寝をしてしまうことですが、今度は人が昼寝をすると犬よりも熟睡しすぎてしまうため管理人として不十分となり、犬の方が起きてしまうことがありますね。人もいっしょにお昼寝はおすすめしますが、犬の気配ですぐに起き上がる程度のちょっと横になって浅く眠ったり起きたりするという術を身につけるといいでしょう。

 実はわたしは大変長い間このタヌキ寝入り状態で過ごしてきました。犬を管理する施設で働いていたので夜でもいつも犬の気配で犬舎を確認しに行ったからです。若いからできたことですがとても疲れる仕事でした。当時は人手がなく毎日のことでした。しかしこの術は今とても役に立っています。犬たちの昼寝のときにタヌキ寝入りでうまく休息をとることができます。夜も短期間ですからこの状態で寝ています。ちょっとした犬の気配でも起き上がることができます。

 夏の昼寝は犬の疲れを回復させてくれます。お留守番中には犬は十分に休めていません。たいていの犬は緊張して過ごしています。前脚や後脚をずっとなめている犬もいます。体をかき続けている犬もいます。雨の日や太陽の高い日にお出かけの予定がないなら、お昼は犬のお昼寝につきあってあげてください。今年も犬の夏が終わっていきます。あと少し体をゆっくりと休めて、活動期を迎えましょう。

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ラジオ出演します:久しぶりに月下虫音で大田こぞうさんと犬のこと話します

 昨年からたびたびお誘いを受けていたラブFMのラジオ番組「月下虫音」に出演する事が決まりました。

 出演というと大げさですが、大田こぞうさんと犬のことを話しますので、ぜひ聴いてください。

放送予定日 2017年8月24日木曜日 22時~

番組 ラブFM 月下虫音(げっかちゅうね)は22時~23時30分まで
毎週月曜日~木曜日まで放送されています。

パーソナリティは大田こぞうさん。グッドボーイハートで学んだ生徒さんで、今でもたまに勉強に来てくれています。

大田こぞうさんの番組は昨年からグッドボーイハート生にも人気があり、
たくさんの方が聴かれていますね。
紹介は不要とは思いますが、昆虫のことならお任せくださいという昆虫博士でもあり、絵の才能もすごいです。

音楽のことはよくわかりませんが、自然のセンスの強い心地良い音楽がたくさん流れるので、わたしもよく大田さんの番組を聴いたあとにCDを購入することがあります。

さて、今回のテーマは「犬が必要としていること」みたいな内容になりそうです。いつもとおり打ち合わせなしのぶっつけ本番なので、姉妹漫才みたいになりそうですがぜひ楽しんで聴いてください。

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どの季節を生きているのか:犬との暮らし時間の差を越えるために

先日あるご家庭で「一番暑い夏は越えましたね。もう秋ですからね。」というと
「少し季節が早いのですか?」と尋ねられました。

お尋ねの理由はわかります。福岡では、また夏まっさかりというほどの暑さなのに、
もう秋ですからねというのは不思議ですね。

理由は、週の半分くらいを七山に戻って過ごしているからです。

実はわたしも七山に来たばかりのとき、山の手入れについて土地の方とお話しているときに
季節の違いを知りました。
自分が夏だと思っていた8月の中旬は、山の人にとっては秋の始まりなのです。

単なる価値観の違いではなく、肌を通して季節の違いを感じます。


8月7日に立秋を過ぎて、七山ではすっかり秋の風を感じられるようになりました。

まだ蝉の声が一日中響いてはいますが、ツクツクボウシの声が聞こえるようになりました。
この声を聴くと秋が近付いているというお知らせを受け取ったような気持ちになります。

棚田の稲穂は頭をしっかりと下げています。

栗や柿の実は枝がたわむほどになり、いくつかは青いまま落ち始めています。
雑草は夏枯れを終わり、まだまだ最後のひと葉を広げようとします。

山の斜面にオオスズメバチが巣を作ってしまい、山歩きのコースの変更を迫られました。
これが最近の一番の山の悩みです。
ハチは10月にかけて巣を大きくしていきますので、ハチの数が増えるのはこれからです。
これも季節の流れです。

この季節の移り変わりは、街中のファッション店の季節の先取りと同じ速さですが、
肌を通して伝わってくる感覚は全然違います。

この季節感を全身で味わえるようになって、やっと私も8月のこの季節に秋が始まったと
思えるようになるのに何年もかかりました。

犬たちが季節を情緒的に受け取っているのかどうかはわかりません。
ただ、犬たちが太陽や風の移り変わりを毎日感じていることは確かです。

過去にも未来にも執着しない犬という動物ですから、冬のことをうらやむこともありません。
早く涼しい秋になればいいなと思うこともありません。
ただ、今日の一日を体で感じることが彼らのできる最大のことであり、そして最も有意義なことです。

こうして外気にあたって季節を感じることが動物の幸せであると思えるようになったことは、
七山という土地で過ごす時間をいただいたことで体が学んだ大切なことです。

考えると自分にとっては約50回(ここは曖昧に)の夏を越したということ。
犬たちは多くて10数回の夏を越すだけです。
犬の寿命を考えると、犬によっては6回、7回、8回の夏だけだとしても不思議ではありません。

しかし、これはやはり回数ではないと思うのです。

どんな夏をどういう風に過ごして越したのか、やっぱり毎日の生きる質を思います。

人と比べるとほんのわずかな回数しかない犬たちのそれぞれの季節が、
自然とともにあり、季節を体感できるものであるための環境作りは決して簡単ではありません。

でも、どんなことも思わないと変わりません。

まず、犬にとって大切なことは何かを思い、考え、そしてそれを実現しようと願い、行動する。
できなくても今日できることをひとつやってみる、そのくり返しです。

犬の生きる時間の短さを思うと、なかなか人の成長は追いつかないのですが、
気づいて変化しようとする飼い主と共にいるだけで、犬は気持ちが楽になるのではないでしょうか。

活発なハチを横目に、秋はやっぱりお山のシーズンです。
体験トレッキングクラスも行っていますのでお気軽にご連絡ください。

クウーちゃん山登り

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犬の排泄行動に自由を与えよう!:ペットドアを使って広がる犬の世界

犬が室内飼育であったら、安全に導入していただきたい犬用の道具があります。

ペットドアです。ペットドアはいろんな意味で犬の世界を変えるすばらいい道具です。


● ペットドアって何?どうやって使うの?

 ペットドアとは、室内と庭やテラスやべランドを仕切る戸口につける犬猫専用のドアのことです。室内の部屋と部屋を行き来させるためにも使われることがありますが、今ここで重要性を説明するのは屋外と屋内をつなぐドアにつける犬用の出入口です。

 使いやすいタイプは、網戸に設置するタイプです。引き戸のサッシの間に挟むものもありますが、留守中のセキュリティの意味からも現実的ではありません。ペットドアは飼い主が室内にいるときに使用するものと考えると、網戸の一部にペット用の戸口をつければいいということで十分です。

ペットドア

 このペットドアをつけることで、犬は庭やテラスやベランダという屋外へ飼い主の手を借りずに行くことができるという権利を獲得します。ペットドアをつけなければ、庭に出るたびに飼い主に扉を開けるように要求する必要があります。犬によっては戸口の前に座ったり、気づかないと扉に手をかけて音を出したり、扉の前をウロウロしたりします。しかしこれも、伝える力の高い犬の行動です。

 他の多くの犬は飼い主に上手く庭に出ることを伝えることができずに、すぐに諦めてしまうのです。これもあまり気づかれていないことですが、じつに簡単に諦めてしまいます。犬の生活が飼い主不在ではなりたたない自律性の低いものなので、庭に出たいと思っても立ち上がって扉の前に座ることができないような状態に追い込まれてしまう、それが今の犬たちの姿です。ペットドアによって飼い主が犬の外に出たいという欲求に気づかなくても、犬は飼い主を気にすることなく庭やテラスに出ることができます。

 生徒さんにお願いしてご自宅の様子を撮影していただきました。短いビデオですのでご覧ください。
ペットドアを使って庭と室内を行き来する犬(動画)
※you tube に投稿した動画へリンクします

● ペットドアによって変化する犬の行動

 この自由行動によって一番先に変化するのは、排泄をどこでいつするのかという生活習慣です。庭やテラスなどの家の周辺の屋外に出入りができるようになると、犬は屋外で排泄をするようになります。特に土や草などの自然環境のある庭であれば、比較的早い時期に庭で排泄ができるようになるでしょう。

 この排泄行為によって犬のテリトリーは変化していきます。犬の生活にとって最も大切なのはテリトリーのあり方です。屋外にも犬のテリトリーができることは、城にたとえると堀ができたようなものなのです。これは犬の生活する世界を現実的に大きく変えていきます。

 具体的な変化としては、室内での排泄をしなくなり庭で排泄をするようになります。中型犬以上だったら当たり前のことと思われるこの行動も、自律性の低い小型犬だとなかなか実現しません。散歩中に排泄をするが室内でのトイレで排泄をする行動がずっと続きます。むしろこれをいいことだと思っている飼い主さんも多いようですが、人にとって都合のいい行動が犬の発達の視点からみて良いといえるかどうかは別です。室内で排泄行動を続ける犬は、精神的に人に依存している状態であり、自律性は低いということになります。

 先のビデオに登場してくれたミニチュアピンシャーの犬ちゃんですが、マンションでも使っていたペットドアを戸建てでも使うようになりました。マンションの時にはベランダではひなたぼっこはするけど排泄はなかなかせずに、室内排泄行動がつづきました。しかし庭に自ら出るようになって、現在では庭でしか排泄をしないため室内にあったトイレトレーは不要になりました。

 ベランダでの排泄は、子犬の時期には上手くいくのですが成長が進むとしなくなってしまいます。まだ散歩中に排泄場所を決めていないような時期では、人の管理する空間の中の屋外でするという行動になるからです。犬舎で管理されるような犬たちも、排泄場所というのは決まっているので、コンクリートの上で排泄をします。これも収容管理上とはいえ、犬の習性には無理のある行動です。

 成犬はマンションのベランダでの排泄をしないとしても、ペットドアはマンションでも効果を発揮することがあります。たとえば、よくひなたぼっこをするためにベランダに出て行く犬がいます。ベランダから外に出ることもできないし、強い風、反響する音や臭いなどは動物にとってはとても違和感のあるものです。そうであっても、閉ざされた空間に長く閉じ込められることは犬にとってストレスになるものです。ベランダに人があまり来ないことを知っている犬は、人との距離をとるために出たり入ったりすることもあります。そうであっても犬にとって必要なスペースになることがあります。

 しかしペットドアはやはり戸建てで使用してください。ベランダは安全なようで危険なこともあります。動物はビックリしたら飛び越えられないような柵も飛び越えることがあります。火事場の馬鹿力というものが出るのでしょうが、犬が絶対にベランダの囲いを飛び越えないとは言い切れません。ベランダ使用の方は犬の行動を管理しながら、ベランダを気分転換の場として上手に提供してあげましょう。


●おまけ

 さて、ペットドアの画像を検索していてこんなもものを見つけました。
ペットドアのデザインしたiphoneのケース

 アメリカ製のデザインのドアかもしれませんが、海外ではドアそのものをペット用に加工されていることもあります。こうしたドアのデザインは珍しくないようです。戸建てなのに室内で排泄をさせるということの方がずっと珍しいです。映画にもよく犬を飼っている家が出てきますのでチェックしてください。室内のペットシーツを置いていることは珍しいことなのです。

 ペットドアの利用を通して犬のナチュラルな排泄行動やテリトリーの広がり、犬の自律性について考えるきっかけを作ると楽しく理解が進みます。下の写真は、大きすぎてペットドアがなかったオポのための手作りのペットドアです。

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Posted in おすすめのアイテム, 犬のこと

叱ったら犬が逆切れして吠えるのは何故か?:どうやって叱ったらいいかは飼い主のセルフコントロールが解決

 犬を叱ったら逆に吠えたりとびついてきたり、ひどいときには咬みついてきたりするというご相談を受けることがあります。いわゆる逆切れという状態です。


● ほめてしつけるトレーニングだったら犬を叱る必要はないの?

 ルールに違反したら間違いを指摘することや、興奮しそうになるときにそれを抑えることは犬の成長過程では大切なことです。ほめてしつけるトレーニングにもいろいろあって、その中には犬に間違いをさせないから叱る必要もないというものもあります。これもドッグトレーニング技法のひとつの考え方ではあると思います。しかしこれは成長や発達を促すトレーニングとはいえません。

 叱ることなくほめるたりオヤツのごほうびを与えるだけのトレーニングは、完全管理しているので犬は失敗しないということです。がんじがらめの生活です。たとえば動物園の動物がときどき芸を披露するイベントがあります。海洋動物や哺乳動物もオペラント条件付けで強化すれば特定の芸を覚えます。しかし芸を披露したあとはまた完全管理の檻の中に閉じ込められます。動物園の動物は叱られることはありません。

 叱るというのは、犬との関係を作る上で大切なことです。特に犬が成長の過程の中ではこうした行為が必要になるからこそ、「いつどのように叱るのか」という飼い主としての姿勢を身につけておくことも同時に大事なことなのです。


● 叱ったら犬が吠えたり咬みついたり来るのは理由がある

 犬をきちんと育てるというと漠然としていますが、要するにルールをきちんと教えていきましょうねということです。そのルールを破ろうとしたときには「いけない」という意味で叱る必要があります。もちろん、このルールの導入は、犬に安全でストレスのない生活環境が与えられていることが前提での話しです。犬がサークルやケイジに閉じ込められて長時間の留守番を強いられ、必要なコミュニケーションが与えられていないような環境では、犬にルールを導入することすらできないことは前提の上での生活ルールの導入です。

 犬と人の暮らしに導入する生活のルールや関係性のルールはご家庭によって様々だと思います。その中で、どなたにも導入していただきたい簡単なルールを例にあげて説明します。そのルールとは「テーブルに手(脚)をかけない」というルールです。

 犬がテーブルに脚をのせようとしたときは「イケナイ」といって叱る必要があります。叱る言葉はどんな言葉でもいいのですが、自分が安定して用いられる言葉を使ってください。いつも同じものでなくても構いません。ただ名前を呼ぶだけでは意味を伝えることにはなりませんし、名前を強い口調で呼ばれることはプレッシャーがかかりすぎます。自分の名前を大声で呼ばれるよりは、イケナイといわれることの方が犬にはダメージが少ないのです。

 まずこれで叱る言葉という道具が必要なことを理解できたでしょうか。ですがこれがなかなか上手くいかないようです。つまり、ブログの題名にあるとおり、叱ってもすぐに同じことをくり返すとか、叱るとワンワン吠える、叱ると部屋の中を走り回る、叱ると牙(歯)をあててくるといった反撃を受けてしまうことがあります。理由はふたつあります。まず理解できないという理由です。犬に何がイケナイのかを理解させるためには「叱るタイミング」が大切だからです。

 犬がテーブルに脚をかけそうになった瞬間をつかみ「イケナイ」とうまく言えば、犬は「何がイケナイのか」を理解します。ここでは、その瞬間にというのが叱り方の最初のポイントです。犬の理解力によっては、脚をかけた後に「イケナイ」といってもわかりそうなことですが、ここは動物として何がイケナイのかを伝えるためには、まさにテーブルに脚をかけそうになる、つまり飛びあがった瞬間でテーブルに脚をかける前の瞬間に「イケナイ」の声を出してください。このタイミングを逃すと多くの犬には何がイケナイのかの理解に時間がかかります。どんな失敗も学習経験になってしまうからです。

 本来の犬の状態なら何度「イケナイ」をくり返せばわかるかということですが、おそらく1回もしくは2回程度です。それ以上くり返さないと理解できないのであれば、他の生活改善ももう一度見直す必要があります。犬は飼い主の叱責を理解できずそれをストレスを感じるとワンワンと吠えたり走り回ったりすることもあります。もちろん、同じイケナイ行動をなんども繰り返します。ストレスが強い状態におかれている犬は社会的なコミュニケーション力が低いのです。人も同じなのでここは相似している部分ですから理解しやすいところです。


● 飼い主の状態が犬に影響を与えること

 犬を叱ると逆に反撃されてしまうもう一つの理由は、その叱り方は感情的であるときです。叱る側の飼い主の方が興奮して叱るというよりも怒りになり攻撃的になってしまっているときです。こういうときには犬はこれを受け取りません。攻撃には攻撃や防衛をというのは動物のナチュラルな反応だからです。犬は軽い防衛のポーズをとったり、叱った飼い主に吠えたり、ときにはいきなりとびついて牙をあてることもあります。

 犬を叱っている飼い主が感情的であるかどうかを最も知っているのは犬の方です。犬は人が思っている以上に相手の状態を把握する力があります。たとえば、仕事のときの外出では吠えない犬がプライベートのお出かけのときには後追いをするといったことも、なぜわかるのだろうという犬の理解力です。

 特に飼い主がイライラとしている軽い攻撃モードに入る感情を持つことをすぐに察知します。なぜならその飼い主にはその臭いがするからです。感情の高まりは見えない心の問題でなく、動物のホルモンの状態を変化させます。攻撃をするためにはそれに必要なホルモンがありますから、その放出量が上がってきます。犬が最も敏感に察知する臭いです。

 そんなにイライラしていないよと思ってもそうではない飼い主側の状態があります。仕事で疲れている、処理していない問題を抱えている、家族は夫婦間の折り合いが悪い、子どものことで悩んでいる、近所の人から不快なことをいわれた、テレビで不安になるニュースを見たなど、人もいつもストレスにさらされているのです。

 このストレス社会の中で、人の方がリラックス状態を保てずにいることがあります。そのストレス状態にさらされている飼い主が、普段から問題行動を起こす犬のルール違反に対して必要以上の感情が上昇してしまることがあります。そして結局この叱る行為によって犬は興奮し、再び飼い主はストレスを受けることになります。全くの悪循環です。

 いろんな事情はあるかもしれませんが、まず飼い主の方が自分の毎日の心身を健康に保つことに戻ります。まず、自分が安定した状態であること、そして、犬にも安定した生活ができるような環境を整えることです。その上で生活のルールを決めること、そして生活のルールを伝えること、その中に叱るという行為が登場します。

 犬を育てること、犬のしつけ、犬のトレーニングなど、犬との関係性を築いていくどんなときにも自分(飼い主)が犬に与えている影響について考える視点を持つ事がこの問題の解決のポイントです。いいかえれば、犬にとって飼い主はそれだけ重要な存在であるということなので、謙虚にまた楽しく犬から学びたいものです。

 戦国の武将、武田信玄の格言にもこんなものがあるそうです。「組織はまず管理者が自分を管理せよ」。犬と人のグループは仲良しグループではないのです。毎日危険と戦いながら安全を確保し、そして楽しく暮らす家族というひとつの組織です。犬を家族とするグループの武将として襟をただしていきましょう。


カレンお外2

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渋谷の忠犬ハチ公は普通の野良犬だったという事実:犬のFACT(ファクト)をそのまま尊重することについて

 先日レッスン中に飼い主さんと、犬の服従性の発達の重要さと依存的な行動の違いについて説明をしていました。そのとき飼い主さんからハチ公の名前が出て「えーー!本当ですか?!」という意外に大きな反応をいただいたので、今日はそのハチ公をテーマにお話しします。


● ハチ公は本当に亡くなった飼い主を待って渋谷駅に通ってきたのか?

 そもそも、ハチ公が忠犬として銅像を立てられ、教科書に「恩を忘れないこと」を教えるための教材として取り上げられ、そしてついにあのリチャードギア主演の映画にまでなってしまった理由は、ハチ公の忠犬としての涙なくしては語れない物語にありました。

 そのハチ公の物語とはあまりにも有名なのでここで説明するまでもないでしょう。つまり、勤務先で亡くなった飼い主の死を知ることもなく、飼い主の帰りを待っている飼い主に忠実な犬「ハチ公物語」です。犬が飼い主に忠実だというのは、ハチ公が物語になる前から取り上げられていることです。

 故事にも「飼い犬に噛まれる」というものがあります。恩を仇で返されるという意味のことわざです。犬は飼い主に忠実であるということが前提でのことわざですが、忠実といっても様々な形があります。3日えさをもらうと3年恩を忘れないなどといわれることもありますが、確かに食にありつける場がないときに、3日もえさにありつければえさをくれた人を長い間忘れずにまた通ってくるというのは、イヌという動物の知性の高さによる行動そのものです。

 しかし、ハチ公の忠犬性は食べ物とは切り離されて報道されていました。老犬のハチ公は飼い主の死も知らずに毎日渋谷駅へと通ってくる恩を忘れない犬として紹介されたのです。もともとハチ公は秋田犬だったのですが、その秋田犬を見た日本犬協会の役員が朝日新聞に忠犬物語として紹介した記事が掲載され、ハチ公ブームが巻き起こったのです。

 しかし実際のハチ公は、飼い主の死後一旦は別の家に引き取られたがその家にいつかず、結局元の家に戻されたが駅近くをうろついていたということです。というのも渋谷駅前には当時夕方になると屋台が出ていたからです。最初の飼い主も屋台を利用するうちにハチ公もおこぼれにあずかり、そのうち飼い主がいなくとも屋台で焼き鳥を食べる客から焼き鳥をもらっていたのでしょう。実際、ハチ公が死亡して解剖されたときには胃の中から焼き鳥の串が3,4本出てきたという記録も残っているようです。

 お腹もすかせて飼い主を待ち続ける忠犬ハチ公ではなく、大好きな焼き鳥をもらいに渋谷駅に通い続けた野良犬ハチ公だというのが、本来のハチ公の姿なのでしょう。こちらの方が犬としては本来的な行動であり、とても納得のいくものです。

ハチ公

● ハチ公をめぐる誹謗中傷事件もあったこと

 そのハチ公をめぐって誹謗中傷が起きていた事実もありました。つまり、ハチ公は渋谷駅の屋台の食べ物を狙っていた駄犬であって忠犬ではないというものだったようです。この誹謗中傷には、各団体の利権争いも絡まっていたようで、こうしたものはいつの時代にも起きていたのだなと権威や利益を争う人々の思惑が見え隠れします。

 背景やハチ公の残されている行動を見れば、ハチ公が餌をもらうために渋谷駅をうろついていたことは間違いのない事実でしょう。かといってハチ公が忠犬でないということも筋が立ちません。飼い主に可愛がられ、飼い主と共に立ち寄った焼き鳥屋で焼き鳥をもらい、飼い主の亡きあともその屋台の客らに可愛がられて焼き鳥をもらっていたハチ公は、それだけで忠犬であるからです。ハチ公は飼い主の家に居つかない野良犬であり、そして亡くなった飼い主にとっては忠犬でもあったのです。

 ハチ公をめぐる事件については、以下のホームページで当時交わされた手紙を取り上げて詳しくとりあげられています。
★参考資料★
忠犬ハチ公への中傷事例について←「帝國の犬たち」ホームページに掲載されています。


● 普通の野良犬だったハチ公の事実が広がらないメディアの報道と人々犬に求めるもの

 ハチ公が野良犬であった事実について、中傷されなければいけない理由はどこにもありません。もしあるとすれば、ハチ公が特別の忠誠心を示した犬であるという報道に対して、それはうそではないかという騙されたことに対する思いからくるものであればわかります。もしそうであれば、それはハチ公やハチ公の飼い主に対して向けられるものではなく、報道したメディアやそれを考えなくそのまま広げてきた各所機関に対して一旦は向けられるかもしれません。

 しかし、その次に向けられなければいけないのは自分に対する質問です。自分自身がこのハチ公の感動の物語を聞いたときに「これは犬としては何かおかしくないか?」という違和感を覚えられなかったほど、犬についての理解が進んでいなかったという事実を認めるのが先決です。その上で、ハチという犬がそのままで亡き飼い主や地域の人々とそれなりに関わりあいながら野良犬ハチとしてよい日々を送っていたのであれば、それはそれでいいではないでしょうか。

 むしろ、ハチがハチ公として新聞に取り上げられた後、まだ生存していたハチを見ようと見物人がおしかけることがハチの人生を変えてしまったであろうと悲しく思います。ハチ公の銅像は人々の善意の募金によって建てられました。ハチは亡くなったあと解剖され剥製にされて保存されています。ハチは剥製にされることを望んだのでしょうか。これは人の善意なのでしょうか。

 犬は本当にすばらしい動物です。ハチもきっと人にとびつく多少怖がりの傾向のある犬で、でも上手にみんなに大好きな焼き鳥をもらって生きていたのでしょう。その生をそのまま尊重できるような価値観は、これからも犬を救うと思います。

 さて、名犬ラッシーは本当に名犬だったのか。ぜひ疑問を持って犬の事実をしり、その事実の中から犬がどのように扱われてきたのか、もしくは犬として尊重されてきたのかという事実を組みとっていくと新しい見方が育ちます。犬には不幸な歴史もたくさんあります。それは大きな学びなのですが、それすら見えなくなってしまい、人は犬を愛している、犬も人のことが大好きだという妄想に浸るよりも、真実の中に犬のすばらしさを見出して行きたいと思います。

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保護犬から家族との暮らしを取り戻した“さくちゃん”と向き合う日々

グッドボーイハートの家庭訪問トレーニングクラスを受講されている生徒さんからいただいたメッセージです。

今回は、マルチーズのさくちゃんのご家族からいただきました。

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保護犬だった2才のさくを譲り受けて、もうすぐ2年になります。

わが家に来て間もない頃は、歩と犬にありがちな分離不安傾向が強くありました。

たとえば、留守番の間ずっと吠える、ケージの中のトイレシートを食いちぎってビリビリにしていたり、下に敷いているベッドを破壊する日々が続きました。

わたしが動くとすぐについて回ったりと不安なのかなと思える行動もいくつも見られました。

さらに、困ったことがありました。排泄の失敗が続きなかなか指定の場所でしてくれるようになりませんでした。

こんなさくの状態に途方に暮れていたわたしに友人が紹介してくれたのが、宮武先生です。

サクちゃんフセ
家庭訪問でのトレーニングを続けるうちに、さくに少しずつ変化が見られるようになりました。

いつも家族の誰かの膝の上や、人が座っている椅子の上に乗ってきたさくが、自分のベッドやクレートで落ち着いて長い時間過ごせるようになりました。

自分からベッドに乗って寝ている姿もよくみられるようになったのです。

サクちゃんベッド
散歩のときにも、とても緊張しているようで早足で歩いたり、身を隠すように道の隅っこを壁にくっついて歩いていました。

はじめのころは、散歩中歩いているときにいきなり立ち止まり排尿をすることもありました。

散歩コースを選びなおしたり、散歩のやり方などを練習したりして、少しずつ引っ張りもなくなってきました。

dav

散歩中にはまだ緊張しているさくも、七山でのトレッキングのときはかなり様子が違います。

リードから解放されてゆっくりと土のにおいを嗅ぎながらわたしたちといっしょに歩いていきます。

途中で草を食べたり、草の上にコロコロと寝転がってにおいつけをするようなこともします。

そして、ときには立ち止まって遠くを眺めてみたり、など。

そんなさくを見ていると、わたしたちもうれしくなってきます。

dav

以前、先生に「犬にとっての幸せって何ですか?」と質問した事があります。

先生は「犬らしく生きること」とおっしゃいました。

この言葉を忘れないでいようと思います。

さくにとっての「頼れるリーダー」になるためには、まだまだ時間がかかりそうですが、ゆっくりと良い関係を作っていきたいと思います。

サクちゃんハウス
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 小さなさくちゃんですが、きちんと環境が整わないとできないこともたくさんあって、環境整備を進める毎日が続きました。

 特に初期に環境を変化させてトイレトレーニングを開始したときには、環境の変化により一時的に飼い主さんにとっては予測のたたないような状態も生じます。そのたびに飼い主さんとなんどもメールや電話でお話ししました。

 順調に変化していると思われる行動も、一日でトイレ成功という状態にはならないので、飼い主さんが不安をかかえられるのも当然のことです。それでも着実に変化を重ねていくうちに、ある日突然できる日が来ることもあります。さくちゃんのトイレトレーニングの変化は、小さな変化をくり返しながら、本当にある日突然できるようになるという形で起きました。ごほうびや罰は使っていません。さくちゃんは準備されていたトイレ場で排泄を自らするようになったのです。さくちゃんが自分で選択したことです。

 しかし同時にさくちゃんが選択したことがあります。飼い主さんの膝や人の座っている椅子に執着しないようになったことです。飼い主さんが椅子から立つとすぐに座椅子に座ったりしていたさくちゃんが全くそのことに関心を示さなくなったと同時にトイレを指定の場所でするようになりました。

 狭いケイジにいれたまま留守番をさせていたことを悩まれていました。ケイジの中のシーツやタオルを破壊するなどケイジはさくちゃんにとって落ち着かない場所となっていました。今では、リビングを解放して必要なときには自分でベッドにあがったりハウスに入ったりして留守番をすることができるようになりました。さくちゃんにとってお部屋が安心できる場所に変化したことが安定した留守番ができるようになったの理由です。

 囲いのある室内や犬たちの多すぎる都市空間の散歩コースから解放されて山歩きをするさくちゃんは全く別の犬のようです。動きもゆっくり、臭いを嗅いだり草の上に寝転んだり、排泄もちゃんとできます。飼い主さんに執着することもなく、かといって興奮して走り出したりもしません。みんなが歩く速度でいっしょに山を登っていくのです。見かけは本来の犬の姿からずい分と変化してしまったさくちゃんの中に、イヌという動物の血が流れているのを感じる瞬間でとてもうれしく感じてしまいます。

 小さなさくちゃんは案外メリハリがきちんとしています。ベタベタされることよりも、お互いに良い距離感を持っていることがさくちゃんの安心につながっているようです。家庭訪問にレッスンに行ったときには、飼い主さんいわく「実力以上」の出来栄えということらしいのですが、きっとこれがさくちゃんの実力なんだろうなと思います。「やっぱりさくちゃんは犬なんですね。」とこぼしたときに、飼い主さんが「とにかく犬でよかったです。」と応えられた笑い話もありました。

 その飼い主さんから「犬にとっての幸せって何ですか?」と尋ねられたことを覚えています。自分の犬の幸せとは何かと考えられる人も実はわずかです。それを犬にとってのといえるようになるまでにはとても時間がかかることですが、さくちゃんの飼い主さんは元からそのセンスをお持ちであったということでしょう。

 自分の犬の幸せですら間違えていることもたくさんあります。なぜなら、最初から犬はこれが好きと決めてかかってしまうからです。このゴハンが好き、この人のことが好き、このオモチャが好き、抱っこされるのが好き。そして好きなものを与え続けることが幸せだと勘違いされてはいないでしょうか。

 幸せって何かというと価値観もあり哲学でもあり、なかなか難しいことではあります。それでも唯一いえるのは、犬として生きること、人として生きるということかなと思うのです。まだまだ多くの犬が、犬という動物として生きることが許されていないのが身近な犬たちの状態です。土の上を歩くことも、草の臭いをかぐことも、風に当たることも、どれも犬に戻っていくために大切な時間なのです。

 様々な理由で保護された犬たちの中には、複雑な経験をしてきた犬もたくさんいます。
今まで飼っていた犬とは違うということや、きちんと環境を整えようとしても、なかなか上手くいかないこともあります。しかし、それだけに相手を理解する必要があるため、たくさん学ぶことができます。さくちゃんはそんな学びをたくさんくれるさくちゃん先生です。さくちゃん先生、これからもよろしくお願いします。


 犬のしつけについてのご相談、犬の問題行動を解決する家庭訪問トレーニングはこちらで紹介しています。問題があってもなくても、犬を知る機会として一度チャレンジしてみてください。

Posted in 受講生のコトバ
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