グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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“Good Boy Heart”の本の制作秘話

ここ数日は、本をご購入下さったからからの連絡が相次いでいます。

本が今届きました、ネットで購入しました、天神のジュンク堂で購入しました、オポさんを思い出して読んでいます…など、楽しんでいただいているようで、写真を送って下さる方もいて感謝いたします。

合わせて同じようなご質問が多いので、本の制作秘話として少しだけ紹介させていただきます。

 

プロローグが“オポと卵”になった理由

プロローグとして“オポと卵”を取り上げることになったのは、編集者の方の提案でした。

実は、私自身は当初の本の企画の段階では、オポにまつわるエッセイを全く入れるつもりはありませんでした。オポの行動に対して考えたり悩んだりする私のブログはとても個人的なものであり、本として掲載するにはあまりにもプライベートすぎると思っていたからです。

ところが、企画段階で数名のブログファンの方に、ブログ記事のベストテンをあげて下さいとお願いしたところ、この“オポと卵”を全員がトップに入れられました。

その他のオポの行動に関するブログ記事を強く押されたこともあり、一旦は私の方で判断せず、出版社の編集のプロにお任せしようと考えを改めました。それでオポに関するブログ記事をいくつか抜粋し、企画案の中に入れて提出したのです。

本を制作するにあたり指定された文字数にできるだけ近づけて提出した企画の内容はブログ記事を大きく分類した状態で提出しました。その中で、“オポと卵”をプロローグとしましょう、という提案があり、それを受け入れた形となりました。

 

タイトル“Good Boy Heart”について

本のタイトルが“Good Boy Heart”となったのも、実は出版社の方のご意見でした。本のタイトルが決まったのはかなり早い時期でした。

出版を考えている段階で、最初にブログ記事を抜粋して出版社に送った際に、論評として送り返していただいたA4一枚の用紙がありました。自費出版とはいえ、出版することができるような内容なのかどうかを出版社である幻冬舎側が判断するという意味での評価です。この論評の仮題が『Good Boy Heart』となっていました。

その後、電話で出版するかどうかについて相談に応じていただいたときに、仮題として『Good Boy Heart』と付けられた意図について出版社の方にお尋ねしました。『Good Boy Heart』はスクールの名前なので、これをタイトルにすることを全く考えていなかったからです。私は皆さんが思っている印象と違って、結構内向的なので目立ちたくないという気持ちがすごく強かったことも躊躇した理由でした。

ところが、出版社のご担当者が「これはすごくいいです。本のタイトルもGood Boy Heartがいいと思います。これは、文章に書いてあることがすごく伝わってくる言葉です」と言われたのです。そこで、もう一度「何故ブログに書いてあることをわざわざ本にして出版しようと思ったのか」を自分に問うてみました。

思うままに書き連ねた結果、読みにくくなったブログ記事をもっとわかりやすい形にしたい、グッドボーイハートのホームページがもしなくなったとしても本なら自力で一人歩きを続けることができる、これまでに学びの機会を下さった皆様に何か形としてお礼がしたい、などが本にまとめる動機でした。

しかし、これもすべてGood Boy Heartという学び場があってこその過去の時間、今の時間、そして未来の時間なのだという気持ちに至り、アドバイスを受けてタイトルは『Good Boy Heart』に決まりました。

 

サブタイトル“犬のオポがつくった山の学校”について

サブタイトルは、企画編集の担当の方からいくつかの案が出されました。4つくらいの案をダンナくんと一緒に見て、読み上げて、なんとなく違うよねという同じ意見となりました。

そこでダンナくんが言ったのが、「オポがつくった学校だからそのままでいいじゃないか。“オポがつくった学校”これでいい」と完結させたのです。

しかし、私としては「犬」と「山」の二つの言葉をタイトルかサブタイトルにどうしても入れたかったため、“犬のオポがつくった山の学校”となりました。ダンナくんとしては「サブタイトルは俺が決めた」と言っていますので、そういうことにしておきます。

 

帯の内容について

白い本の帯は、本にとってはサムネイル的な存在です。本を購入する際に帯の内容を参考にすることはよくあります。そのため帯の内容はダンナくんの手伝いを得てかなり検討したものです。

当初、帯の内容は企画編集者から提案されたものがありました。やはりひとつではなく2つくらいの案が送られてきました。それをダンナくんとふたりで眺めて、何か違う、グッドボーイハートらしくないよね、という同意見となりました。

当初の帯面はとても親しみやすく優しい雰囲気の言葉で飾られていたのです。ふんわりと犬と暮らしている方が手に取りそうな、売れそうな感じの帯となっており、流石だなと思える内容でした。

しかし、その優しく甘い雰囲気があまりにも自分に合っておらず違和感を覚えました。なんか気持ち悪い感じがすると私が言うと、ダンナくんも「グッドボーイハートはこんなに甘ったるくないんや、こんなんじゃない!」と熱くなっていき、ふたりで作り替えた帯が現在の帯面です。

多分、企画編集者の方のご提案を受け入れた方が売れる本になったに違いないのですが、そもそもゆっくりと出会うべき人に出会えればいい本として考えていた自分としては今の帯が気に入っています。

そして、帯にオポの尻尾がかぶさっていることに気づいて下さった方もいらっしゃいます。これははじめ帯にはなく、帯がかぶるとオポの尻尾が途切れてしまうように見えていました、これは私として我慢ならず、イラストレーターの方に、帯を付けた状態でもオポの尻尾が見えるようにしていただいたのです。この変更提案が通ったときが一番ほっとしました。

 

表紙について

表紙はたくさんの方に褒めていただき、また喜んでいただけてホッとしています。表紙は本の洋服なのでどんなものが良いのだろうかとドキドキして作ったのですが、案外パンと出来上がったのです。ここではネタばらしをしませんので直接会ったときに聞いて下さい。

また表紙にある著者名をもっと小さくしていただくようにお願いしたのですが、これ以上小さいと本として通らないからということで、それでもごねてなんと著者名の文字の太さを最大に細くしていただきました。

そんなことなら仮名でも出版できたのでそうすれば良かったのではないかというご意見もあるでしょうが、ペンネームでは真実が伝わらない気がして本名にいたしました。今までまとまりのない形でブログ記事を書いてきたのですから、今さらなのですが最後の悪あがきでした。

本の出版について相談したのが昨年の10月だったと思います。契約が11月で12月には初版の原稿制作に取り組んでいました。すでにブログにある文章ですが、約一年間をかけて本を作った中で学んだこともたくさんあります。

またこれから思い出しながら少しずつ紹介していきます。

グリーズちゃんから届いた写真



 

Posted in 日々のこと

グッドボーイハートの本の購入方法について


皆様のご支援のお蔭様で、無事に書籍を発行することができました。

たくさんの応援のメッセージをいただきありがとうございます。

グッドボーイハートの本の購入先は以下のとおりです。

Amazonショップはこちらから

楽天ブックスはこちらから

紀伊国屋書店オンラインショップ

その他の書店でも取り寄せが可能です。

オンラインショップによっては一時的に品切れになっているところもありますが、在庫はありますので入荷までお待ちください。

グッドボーイハート公式ホームページのトップページでもご紹介しています。

ショップなどで仕入れをしたいというご要望があれば直接ご連絡下さい。

何事も急に変化すると反動が生じますので、ゆっくりペースで読みたい方の手にいつか届けばというくらいの緩やかな感じで本たちが活動をしていくのを楽しんで参ります。

いつか、皆さんと読書会も開催したいなど愉快な夢を見たり語ったりして、その中で犬の真実にひとつずつ近づいていく瞬間を今後も探し続けます。

本は出版を終えましたが、本そのものはこれから旅に出かけます。

そして、私自身は終わりのない犬についての探求の旅を続けていきます。

Posted in 本の紹介

室内照明における犬の不快グレアに配慮した環境の整備をしよう

我が家では私とダンナくんの感覚の違いによる対立が、日常的にいろいろと発生しています。その中でも頻繁に起きているのは「室内の照明に関する問題です。

ダンナくんが部屋の中の行く先々で電灯のスイッチをオンにして活動するのに対し、私がそのスペースを使うたびに電灯のスイッチをオフにするという作業が毎日のように行われています。

私がいる部屋の電灯のスイッチをいきなりダンナくんが入れることで「まぶしい!見えない」と私が反応し、逆にダンナくんのいるスペースの電灯のスイッチを私がオフにしてしまうと「暗い!見えない」とダンナくんが叫びます。

対立の理由は、私とダンナくんの必要としている光の量が全く違うからです。

眼鏡を外すと目の前に立っている私の顔そらまったく見えないというくらい視力の低いダンナくんは、電灯をマックスにしていなければちゃんと見えないといいます。キッチンでも洗面所でもリビングでも、明かりを全灯にした上で、さらに電灯の色を白くするほどきれいに見えるという世界です。

対する私の方は、電灯が白かったり多かったりすると、照明のまぶしさで逆に見えなくなってしまい、不自由さを感じると同時に不快感も感じます。

明るくすると見えなくなるという私の世界はダンナくんには理解できないらしく、よくそんな暗い場所で作業ができるね、と不思議そうにいいます。白い電気だとまぶしく感じてしまうため昼白色の光灯は特に苦手でオレンジの電球色の電灯を好む私の方は、標準からすると多少、照明に対して過敏なのかもしれません。

光が眩しすぎて不快感を感じることをグレア(glare)といいます。日常的に不快グレアを感じるシーンとしては、夜間に車のライトがまぶしいと感じられるような状態のことです。

私がこの最近このグレアという言葉を興味深く聴いたのは、椅子研究家の織田憲嗣氏の室内照明に関する動画でした。織田氏は動画の中で、天井に電灯をつけてはいけないことや間接照明が室内に与える効果などについて話されていて、興味深く拝見しました。

というのも、光に敏感は私は天井の蛍光灯を使うことがほとんどなく、小さな卓上ライトや手元ライトやスタンドを好んで使うタイプだからです。こうこうと照らされていない室内空間に安らぎを感じることができるのです。

そもそも人工的な眩しさが苦手な自分のために間接照明を使ったり、デスクの電灯の前に衝立を立てたり、扇風機のボタンのオレンジや青の点滅には黒のマスキングテープを貼って環境整備をしています。そして、犬も同じではないかと感じて、照明に対して配慮を払うようになりました。

眩しい光は犬にとっては不快感を与えるものになりやすいため、常日頃から照明の使い方には気を付ける習慣が身に着いています。太陽の眩しさよりもずっと不快感を受けるのは室内で避けることのできない人工的な照明の方です。犬にとっては人工的な光は馴染みのないものなのですし、自分で制御することもできないものです。

自分の為にしている環境整備に輪をかけて、犬が寝ている空間では照明を落とし、犬の空間が不快なものにならないよう心掛けています。幸いなことに、山の学校「オポハウス」のメインの部屋の天井の照明はダウンライトなので、調光機能を使えばすぐに光の量を調整することができます。

反対に、ダンナくんはオポハウスのこの暗い照明になかなか慣れ、頭にヘッドライトを付けて生活していた時期もありました。そのダンナくんもオポハウスで過ごす時間が増えていくことで、少しずつですが私と犬がたくさんの光に不快グレアを感じやすいことを理解してくれるようになってきました。犬は私以上に光に敏感であることを伝えて、決して強い光を与えないようにと注意を促しています。

犬は嗅覚をメインとして活動をする動物なので視覚に頼らず活動できるのですが、犬の方が人よりもワンランクアップの機能を備えています。それは、わずかな光を集めて自らの眼球を懐中電灯替わりにできる視覚的機能もので、この機能により暗闇でも人間よりも自由に行動することができます。

グレアには見えにくくなる生理的グレア(不能グレア)やまぶしさや違和感を感じる心理的グレア(不快グレア)があります。私とダンナくんの比較でもわかるように、同じ人という動物でも不能、不快感はかなり差があります。人と犬という異なる動物であれば、あたそこに違いが生まれます。

養鶏で産卵を促すために長時間にわたり照明にさらすという方法からも、照明が動物の生理活動に影響を与えていることがわかります。長い間、太陽が沈むと月明かりの中でしか活動をしてこなかった動物が、本来の暗さから遠ざけられて人工的な照明の中で過ごせば、犬の神経や脳に何らかの影響が出る可能性は十分にあります。

照明に過敏な私は、犬と寄り添って暮らすうちに自然な感覚が芽生えて来たのかもしれません。とはいえ、不自由さを感じることはなく、むしろ薄明りを楽しめるようになりました。

人工的な室内空間で犬のためにできる環境整備は、少し照明を落としてあげたり、電球の種類を変えてあげるだけです。ポール・へニングセンやルイス・ポールセンのライトを使ってみるなどは憧れですが、犬の為にできることは人の為にもなります。チャレンジを楽しみましょう。

 

Posted in 犬のこと

オポと雷のことで思い出したネイティブ・アメリカンとつながる話

昨日のブログ「昨晩、雷の爆音で飛び起きて思い出したオポと雷の日のこと」を書いたあとに、つながりで思い出したある出会いがあります。

思い出話ばかりは面白みに欠けますが、この出会いは私の山暮らしの困難を支えてくれたものでもあるので、皆さんにとって有益であるかどうかは皆さんで判断していただくとして、思い出しついでに語らせていただきます。

前者のブログで書いたように、犬のオポが雷の夜明けに不思議な行動をとったのを見て「オポは何者なのだろう」と考えたときに思い浮かんだのが、その時期に読んだ本の主人公の名前でした。そうだ、オポはローリング・サンダーなのだ、と思ったのです。

ローリング・サンダーとは実在したネイティブアメリカンの名前で、ローリングサンダーを紹介した本はグッドボーイハートの本棚でも紹介しているこの本です。

ロ-リング・サンダ- メディスン・パワ-の探求

平河出版社
発売日 : 1991-01-20
文明の中で育った自分からすると、自然と語り合うセンスを持つ人間が本当に実在していたとしてもおとぎ話のようにしか聞こえないのですが、動物に近い感覚、いや人としての動物的感覚を持ち暮らしていた狩猟採集民族は確かにいたはずです。そして、犬はそもそもネイティブであり、また自分もその末裔なはずなのだという視点を与えてくれる一冊でした。

実は、この本にたどり着くつながりはもっと別のところからでした。

この本よりも前に出会った本は「自然のレッスン」という本でした。「自然のレッスン」は名前を憶えていないのですがどこかのお店、カフェだったか雑貨屋だったか、とにかくどこかのお店で目に留まって開き、すぐに購入した本で、著者は北山耕平氏です。

北山耕平氏はネイティブアメリカンに関するたくさんの記事をブログにアップされており、そのブログを読むうちにこの“ロ-リング・サンダ- メディスン・パワ-の探求”にたどり着きました。

さらに、この時期に北山耕平氏が福岡でミーティングを開くということで偶然にもそれに参加して北山氏に直接会うことになりました。ローリング・サンダーと直接会ったことのある方というだけでとてもワクワクした気分で出かけました。とにかく一言お礼がいいたかったのです。

講演会ではなくミーティングといったのは、本当に円座になって座る程度の人数で、ひとりずつ「なぜここに今いるのか」を語るのが会の始まりでした。

これは、ネイティブアメリカンがとても大切にしている時間のようで、ひとりひとりの話す時間に制限はなく、20名くらいの方が話をしていくと会場の貸し時間を超えてしまい、続きは公園でしましょう、というような本当に珍しい形の会でした。

話は私の番になりました。

博多のドッグスクールを七山に移転させてからまだ間がなかったため、そのことについて話しました。オポの異変がきっかけになり山に学校を移転させたこと。そしてオポという犬の行動を見てローリング・サンダーなのだと感じたことを話しました。最後に、ローリング・サンダーという本を翻訳して下さり、学びの機会を与えて下さってありがとうございました、と述べました。

北山耕平氏は、「あなたが自分についているリードを外すことができたのですね」という旨のことをおっしゃり、そして「ありがとう」と締めくくられました。私がお礼を言うべきところに逆に「ありがとう」と返して下さったことがとても印象的でした。

ローリング・サンダーの本は残念ながら新本がありませんので図書館などで見つけていただくしかありません。分量のある本でしたが、実際に起きたことばかりの物語なので一気に読めます。ファンタジーのように思えることばかりですが、本当にこのような人がいたのだということを北山耕平氏が証明して下さったことで勇気をいただきました。

さて、うちのネイティブドッグのジェイは、まだ都会の臭いを残しつつも少しずつ泥っぽくなりつつあります。

昨日は、私のお昼ご飯のために夢中になって拾っている姿に影響を受けたようで、私が栗を拾っているそのそばで、栗を口で噛んで食べ始めました。これは初めてみる光景で、本当に食べるのだろうかとジェイに影響を与えないようにと思いつつもかなり注目してしまいましたが、殻ごとゆっくりと食べました。

自らその行動にいたったのか、私の栗拾いの執着行動がジェイに影響を与えたのかがわかりませんが、こんな小さな行動を見ることがジェイと過ごす大きな楽しみです。

草を食べるジェイ



Posted in 本の紹介, オポのこと

昨晩、雷の爆音で飛び起きて思い出したオポと雷の日のこと

昨晩の未明、ドドーンという爆音で飛び起きました。

手探りで充電式の電気を入れて一息、隕石が起きたのかと思ったのですが、いや雷か…と納得して犬たちや家の状態を見て回ります。犬達はハウスの中で吠えることもなく動くこともなく、事態が収まるのを待っている状態でした。穴に入って寝ている状態ですから、これ以上安全な場所はありません。

ジェイは点検する私の後ろを少しだけついてきましたが、すぐにフセて待機モードに、ダンナくんは起きてこないので、冷蔵庫が止まってるからブレーカーを上げてね、と声をかけて起します。

真っ黒な空を見上げるとピカ、ピカと一億ボルトともいわれる雷の電光が定期的に光っています。季節外れで驚きましたが、今日はこれがずっと続くことになりそうだなと諦めて寝室に戻りました。そしてふと、忘れることのできない雷の日のことを思い出しました。

それは犬のオポと七山に引っ越して2回目の夏のことだったと記憶しています。

その夜はずっと雨が続いていた梅雨の時期で、夜中を迎えると同時に頭上で雷が鳴り響きました。

ピカピカ、ゴロゴロ。ずっとライトが点灯しているかのような明るさでした。山に引っ越しして少し時間が経っていたため、都会ではありえない雷の存在の近さにも慣れ始めたころで、特に怖いという気持ちもなく、安全な室内にいるのだから大丈夫という気持ちで横になっていました。

オポは雷の音を怖がることもなかったので、あまりに気にすることもなく、室内で音と光を感じながら朝を迎えることになりました。

翌朝には雷は収まり朝日が上がり室内が明るくなり静けさを取り戻していました。しかし、いつも私よりも早く起きて座っているオポの姿と気配がありません。

あれ、どうしたかなと立ち上がって調べると、オポは寝室に置いていたソフトクレートの中で横になっていました。それを見た瞬間、すぐにおかしい、何かが起きたのだと察知しました。

何故かというと、クレートに横になったオポは顔だけをクレートの入り口から出すような状態であったこと、オポは目を開けているのに、近づいたすぐに私に反応しない状態であったからです。

大丈夫?と声をかけてひざまずいてオポの体に手を置くと、オポの体が硬直しているのを感じました。そしてその瞬間、オポはぐっと力を入れて立ち上がりドアの方に向かって歩き始めました。

オポの様子がおかしかったため、柵のあるポーチ側の玄関から外に出しました。するとオポは少し排尿をしたあと、地面の上にしばらく座っていました。しかし、やはり柵から出たいとばかり柵の前に立っため、柵を開けると今度は庭の坂を少しだけ上がった場所にやはりじっと座っています。

座ってどこかを見ているというよりも、地面に腰をつけるという感じで座っているのです。山から下りて来るときに警戒するような座り方でもなく、ここに座っているという意志を感じられるような行動でした。

オポが何をしているのかがよくわからなかったのですが、とにかくやりたいようにさせておこうとしばらく見守っていましたが、その時間は数時間に及びました。

この日は午前中に来客があるため、窓からオポの様子をみながら室内の清掃をして、そのうちに生徒さんが到着しました。オポのことをよく知る生徒さんが到着しても、オポは全くその場から動くことがありません。

庭に入った生徒さんはオポを見て「オポさん、何をしているんですか?」と尋ねられました。私にもよくわからないのだけど、昨晩、たくさんの雷があったことで何かが起きようなのだということをお伝えしました。クラスは室内で行われたものの、オポの様子が気がかりでしたが、やはりオポを室内に呼び戻さずにそのままにしておきました。

数時間たって室内のクラスを終えて来客が帰宅する直前にオポが一度室内に戻ってきました。そしてしばらく室内にいたのですが、再び庭に出ていき、今度は土の上に伏せてその日を終えたのです。夜からは異変を感じることもなく、通常のオポに戻っていました。

あの朝オポに何が起きたのか、オポは庭に座って何をしようとしていたのか、を考えました。

雷が落ち続けた結果、オポは体に異変を感じた。推測になりますが、帯電したのではないかと思います。その帯電を、地面に座ってじっとするという行為で放電をし続けたのではないか。

そういえば、私も同じ日にパソコンを触っている時に、いつもとは違い違和感を感じるような感覚がありました。多少過敏なところがある私にとっては珍しいことではないので異変として受け取っておらず、自分の帯電状態に気が付くのが遅くなったのかもしれません。

室内にいても帯電はします。梅雨時期だったので窓は全開でした。雷の電気は屋根を伝って窓から入ることもできたでしょう。そういう意味では完全密室の車の方が安全だったのでしょうが、暑くて車の中にいられるような季節でもありませんでした。

体に違和感を感じたオポが土の上に何時間もしっかりと座っている姿を見て、私は犬という動物と暮らしていたはずなのですが、犬が何であるかをまだ知らないのだと深く思いました。

この「雷とオポ」のはなしは、オポがいろんな行動を通して伝えてくれたメッセージのひとつです。山で暮らしたからこそ見ることのできた、ひとつの風景でもあります。

山にいるオポ

Posted in オポのこと

もう後戻りはできない“夢の本”の出版日のお知らせ

令和7年9月になりました。早いもので、昨年12月のオポディで発表した夢のひとつ“本を出版します!”が実現に近づいています。

「先生、そろそろ本が出るころじゃありませんか?」とちょこちょこ突っ込まれてドキドキしていたところです。もしかしたら、宣言したけどやっぱり止めたと思われていた方もいらっしゃるかもしれませんが、ちゃんと歩み続けてきました。

私の書いた本の出版予定日が9月12日となりましたのでお知らせいたします。

販売先はネットではAmazonで購入が可能です。購入先のリンクは数日前にならないとわからないため、改めてお知らせいたします。私の実名で出版いたしますので、私の名前を検索していただければこの本が探せるはずです。

もしかしたら楽しみして下さっている方がいらっしゃるかもしれないので、そのもしかの人のために本の書名は出版日まで内緒にさせていただきます。どんなタイトルなのか、ブログのどの記事を載せたか、どんなカバーデザインなのか、どんな構成になっているのかなど、想像に妄想を載せて大きく膨らませて下さい。

ひとつだけ、事前にお伝えしたいことは掲載写真のことです。数点ではありますがモノクロの写真が掲載されています。こちらから提出した写真の中から、文章の内容に応じて出版社の編集者の方が選んで下さいました。

私個人としては、ずっとグループクラスに参加して下さっている生徒さんたちの写真を掲載したかったのですが、モノクロで画像が粗く人数や頭数が多いとわかりづらいという理由により掲載された写真にはわずかの生徒さんや犬となりました。本の構成についてはプロの意見を受け入れるという姿勢を持って臨んだため、結果を受け入れています。

しかし、今回の自費出版の目的は、これまでクラスで関わって下さったたくさんの飼い主さんや犬たちから学ばせていただいたことに対する感謝の姿勢を表すことでした。写真として紹介できなかった全ての飼い主さんと犬たちを、ひとりひとり、一頭一頭、思い出しながら思いを込めて書きました。

ブログにつづったような大した発見もない、多くの人にとっては価値のない本なのかもしれませんが、感謝のお返しするのにはそれなりの包みに入れて大切に渡したい、みんなにびっくりしてもらいたいというサプライズの気持ちを込めました。

自費出版にもいろいろな出版社があり価格もそれぞれに違いがあります。もっと安価にできるところもあったのですが、文字を書くことに関しては素人の私が多少迷惑をかけてもびくともしない大手の出版社が良いと思って決めました。

ぜひ読んでいただきたいという気持ちがものすごく隠れた場所にあるのですが、一番強い気持ちは恥ずかしくて隠れてしまいたいという気持ちです。

これまでずっとブログを書いてきたのだから恥は書き続けているはず、なにを今さらと思われるかもしれませんが、文章は鏡同様に自分を隠せないものです。出版にあたりプロの目が入って構成は若干のアドバイスを受けたものの、文章は私のものです。

自分の文章を見つめる作業はなかなか大変なものでした。これをみなさんに見ていただくのがすごく恥ずかしいのです。

ですが、私がこれまでグッドボーイハートで出会ってきた飼い主さんと犬との出会いに、どんな出会いについても有難く感謝しているという気持ちには自信を持っています。

上手くいかないこと、失敗、間違っていたこと、辛いことなどネガティブなこともたくさんありましたが、仕事ですからそんなことは当たり前のことです。でも、そんなネガティブさも全てを感謝の気持ちに変えられるほどの素晴らしい時間をいただきました。

だからこそ今私を知っている生徒さんたちに、そしてまだ私を知らないこれから出会うかもしれない皆様に向けて、自信を持ってこの本を薦めます。購入されなくても、図書館で申請することも可能です。ぜひ、手にとってみて下さい。

オポハウスの前で

Posted in 本の紹介, お知らせ

犬のジェイの初めての博多入りはカフェデビューでした

犬のジェイを今年の2月4日に家族として迎えたのですが、一緒に出掛ける機会がありませんでした。

うちは休業日がないし、さらにここが一番環境が良いのだから、ジェイのために出かける必要がないということもあります。最初に出かけたのは、予防接種のための動物病院の通院でした。

ですが、今回急な要件ができたため、お出かけ知らずのジェイと外出することになったのです。

生徒さんの経営するトリミングショップ“アンドパイン”さんが本日閉店することになり、「ジェイくんも一度連れてきてください!」のご要望にお応えすることになりました。

犬達のお世話もあるため閉店間際にお店に到着しましたが、大型犬のジェイを快く迎えて下さいました。

カフェでスティするジェイ



カフェに入ると、案内されたテーブルに着席して、ジェイは着席した椅子の脇下にダウンステイさせます。

ジェイとカフェ練習をしたことはありませんが、ベースを維持しているので問題ありません。リードで居場所の指定をしてあとは人の用事が終わるまで待つのが犬の仕事です。

すぐ直後にトリミングのお客様が来られたため、ガラス窓からトリミングの様子を見学させていただくことができました。

プロトリマーのトリミング風景を見るダンナくん



敏腕トリマー先生の鮮やかなトリミング風景をダンナくんが見入っています。

あんまり見るとトリミングされている犬が緊張しそうなので私はチラ見でしたが、初めてみるプロのトリミングの技術に思わず注目したようです。そのダンナくんの姿を見てハッと思い出したことがあります。

そうだ、2年前にアンドパインが開店した時に、ダンナくんが見習いになってトリマーになりたいと言っていたのを思い出したのです。それをダンナくんに話すと、そんなこともあったよね、みたいな他人事の感じで流されてしまいました。

ジェイは少しだけ長くなりそうと思ったのか休憩ポーズに入っていました。


ジェイは体重が23キロでラブラドールレトリバーとしては小柄ですが、国内のカフェスペースは割と狭いのでこのくらいのサイズであることが助かりました。

カフェでよく目にする犬を抱っこしていたり椅子の上に乗せることを私は好みません。

お店によっては床の汚れが気になるかもしれませんが、そのときにはカフェマットを持っていき居場所を指定して待機させるのがベストです。犬もその方が落ち着けますし、まずこの状態で落ち着くことのできない犬はご自宅の中でも落ち着かないのではないかと想像します。

アンドパインの前で



お店の前でアンドパインの店長とスタッフの皆様にお礼を告げてお別れしました。

2年間という短い間でしたがご縁をいただきありがとうございました。

そして、私たちはあたふたと都会の博多区から山の学校へとリターンしました。

駐車場までの短い距離でしたが、半年ぶりくらいにタウンも歩いて、ジェイにとっては刺激の多い時間となりました。

タウンを私とジェイが歩いているのをダンナくんが見て「盲導犬みたい」と言いました。そういえばダンナくんは都会でのトレーニングクラスを見たことのないのです。家庭犬はみんなこんな風に歩くのが当たり前な社会がいつか来るのかな。

Posted in Jのこと, 日々のこと

年内の特別休業日のお知らせ(令和7年10月)

いつもグッドボーイハートをご利用いただきありがとうございます。

年内の以下の日程を休業日とさせていただきます。

この期間、お預かりクラスも休業日とさせていただきますのでご了承下さい。

令和7年10月28日~10月31日

また、この期間のラインやメールでのお問い合わせに対する返信は、11月1日以降順次対応させていただきます。

以上のとおり、宜しくお願いいたします。

Posted in お知らせ

9月のグループトレッキングクラス日程のお知らせ

山の方は日に日に秋の訪れを感じられるようになりました。

気になるお米の収穫はまだ始まっていませんが、もうそろそろかなと期待しています。今年はお米がたくさん収穫できるとうれしいです。

9月のグループトレッキングは以下の日程で行います。

9月28日 日曜日 10時~ ※9月から10時スタートとなります。

雨天中止

ご参加希望の方は事前にご予約下さい。

9月からは山の本シーズンです。一番楽しい季節を犬と共にゆっくりとお過ごしください。

Posted in お知らせ

脳のRAS(ラス)システムで眠れない夜のバトンタッチ

当校ではお預かり犬ちゃんたちがお泊りに来ている日があります。ほとんどの犬が連泊で、なぜかリレーのようにやってきます。

Aちゃんが帰る日にBくんが来て、Bくんが帰る日にCちゃんが来るみたいな感じです。そうなるとお預かりの日々が続くことになります。

そんな連泊中の犬たちがいるある日、ダンナくんがこんなことを言いました。「さちこ先生がいるとよく眠れるけど、さちこ先生がいないと何度も目が覚めてしまうよ」と。

なるほど、脳のRASシステムが起動しているわけですね。

RASとは「脳幹網様体賦活系」。こう書くとすごく難しい印象ですが、英語では「Reticular Activating System」とシンプルな感じです。

RASのシステムはAIによるとこういうものです。

引用:脳幹にある神経ネットワークであり、覚醒状態の維持、五感からの膨大な情報の中から自分にとって重要なものだけを選び出し、意識に上げるフィルターとして機能するメカニズム

だそうですが、もっと簡単には「五感から入った情報の中から自分にとって気になるものだけを選択して注意を向ける」ということです。気になるものといってもいろんな方向がありますが、特に「責任を感じるもの」には強く反応することがあるようです。

お預かり中の犬たちは、夜は各自のハウスに入ってちゃんと寝てくれています。もちろん、大いびきをかく犬もいるし、寝言をいう犬もいるし、初めてのお泊りでキュンキュンが続く場合もあります。しかし、それ以上に黙って具合が悪くなる犬がでても不思議ではありません。

犬にとっては普段とは違う環境、普段とは違う日中の過ごし方、屋外での遊びや他の犬との接触、また分離不安傾向の犬にとってはストレス値が上昇するなど、預かりの状態は決して日常とはいいがたいのです。

24時間預かりといっても人間も寝るのだから24時間ではないですよね、と言われたこともありますが、私達の脳は24時間ずっとお預かり状態が続きます。ダンナくんは私がいることで責任を私に投げるため、自分は熟睡できるということを言っていたのです。

若いころに盲導犬の育成施設に寝泊まりしていたときも、犬舎まで3歩くらいの部屋に寝泊まりしていた時代がありました。犬の小さな鳴き声や吠え声にもすぐに起きて見に行く習慣があったので、今でも犬の気配には敏感に反応してしまいます。今思えば、若かったからこそできた体験でした。

私自身が体力が限界のときにはそのことをダンナくんに伝え、要するに私は今日倒れるからあなたは熟睡しないでね、ということを遠回しに伝言してから休みます。

とはいっても私の方が親分ですから、お預かりの犬がいるときはいつでも眠りが浅い状態が続きます。ダンナくんのいびきなどで起こされると激昂するのは、そういう背景があるからでもあるのです。

いびきを改善するために、今年こそ鼻の手術を受けると宣言しているダンナくんですが、その日程は今年もとれそうにありません。私達の浅い眠りはまだまだ続きそうです。

しかし、脳のRASシステムが健在であることは、老化を恐れる私達にとっては有益はお知らせです。

ちなみに、犬にも脳幹にRASがあります。犬達はどんな情報を“重要”だと捉えているのかとても気になります。

撮影した写真を確認するダンナくんの背後にいるラーズくんとルージュくん

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