グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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老犬に安らかな毎日を提供するために:老犬のお世話とケアのための訪問クラス

 老犬と暮らす飼い主さんのご自宅に、老犬のお世話やケアについてご相談を受けてアドバイスをする、老犬のお世話とケアのためのクラスのために家庭訪問に出かけました。


●老犬のお世話は何才位からどのように始まるのか
 
 老犬といっても年齢を特定できるものではありません。犬のサイズによっても個体差がありますが、一般的には7歳くらいからが老化が始まるころ、10歳になると若い老犬という時代、13歳になると老犬の中期、15歳になると十分に老犬の後半期に入るころにあたります。

 どんな動物も年とともに老化が進みます。犬も同じように老化によって体の働き方が今までと違ってきたり、長く使いすぎた内臓や体の一部に負担がかかって養生が必要になってきます。そのため、今まではできていたことができなくなってしまったり、生活の環境やスタイルを見直す必要性がでてきたり、人の手を必要とするいわゆる介護というお手伝いが始まることがあります。

 自分の犬がお世話をする必要がある状態になるのか、いつになったらそれが始まるのかは犬によって違います。飼い主側は不安を抱えやすいものですが、まずは何か変化が見られたら早期に対応の準備を始めるか、対応について相談できるような場所や人を確保しておきましょう。

 老犬の中には初老の時期にあまり手を必要とせずに寝ている間に旅立っていく犬もいます。介護のお世話をしようと準備を始めたときに別れを迎えることもありますが、旅立ちは犬の決めた特別のことなので尊重するとともに、犬の変化に慌てるよりは、備えあれば憂いなしの心構えで取り組まれると気持ちが安定して人の方も落ち着きを得られます。


● 老犬のお世話とケアの仕方を学ぶためのクラスとは

 老犬の介護についてサポートさせていただくためのクラスには3つのクラスを準備しています。犬への手当てヒーリング=ドッグヒーリングの訪問クラス、飼い主さんがご不在や忙しい時間にお世話をする訪問介護クラス、そしてお世話の方法やケアについての質問を受けたり、生活スタイルの提案や飼い主さんができることを提案する訪問カウンセリングクラスです。今回は訪問カウンセリングクラスで定期的に訪問指導をさせていただくためにご家庭訪問をしました。

 老犬のお世話についてのご相談クラスの目的は、犬が状態に応じてできるだけ安らかに毎日を過ごしていけるように環境を整えることです。グッドボーイハートのクラスをご利用した経験のある方であればもうお分かりのとおり、犬のトレーニングのためのクラスの内容も同じことを目指しています。老犬期に入った犬にとっての必要性についてお伝えし、環境を整備するためにできることを飼い主さんと一緒に考えながら提案していきます。

 老犬のお世話については飼い主さんの生活スタイルによってできることと、できないことにかなり違いがあります。ですが、犬が一番近くにいて欲しいのは最後まで飼い主です。飼い主が年老いた犬のそばでオロオロとして不安でいる姿を感じることで犬も落ち着きをなくしてしまいます。飼い主が哀しみを抱えていると犬はそのことも受け取ってしまいます。誰でもが死という旅立ちのときを迎えるように、犬もその日をいつか迎えます。老犬のお世話はその旅立ちの日に向かっていく日々でもあるので、飼い主の気持ちが落ち着かなくなることは当然のことです。残された大切な時間を悔いのないように、お世話を通して会話していただくために、この訪問クラスでできることを提案させていただきます。

 何をやっていいのかわからないとつい言葉がけやさすったり撫でたりする時間が長くなってしまいます。「痛いの?」「どうしたの?」「どうしてほしいの?」「何をしてほしいの?」こういうことを声で話しかけすぎたり落ち着かせようとして慌ててさすったりしすぎることで犬を疲れさせてしまうこともあります。こんな会話が言葉なしにできるようになるのがドッグヒーリングです。


 ドッグヒーラーがヒーリングする訪問ドッグヒーリングクラスとは別に、ご自宅でも飼い主が自分で犬に対してヒーリングができるようになるための訪問クラスを近くに開講いたします。たくさんの方に犬に触れるコミュニケーションとつながりの時間を体感していただきたいと思います。ご案内をご希望の方はお気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。



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犬語セミナーで学ぶ『犬の気持ち』:犬はただうれしく楽しく喜ぶ動物なのか?

 週末にグッドボーイハート福岡で犬語セミナーを開催しました。定員6名くらいのセミナーに対して今回はいっぱいのご参加をいただき、いつもより賑やかなセミナーになりました。


●犬を観察することは案外大変なこと

 犬語セミナーは犬の動画を見ながら犬のコミュニケーションを読み解いていくセミナーです。犬の行動にはうそがないのできちんと読み解く力がつけば、誰でも犬の気持ちを理解することができます。作業はいつも観察することからはじめ、次に観察した行動について分析をしていきます。たとえば、逆毛を立てているという行動を観察したら、その行動がどのような犬の状態を表現しているのかを分析していくのです。

 ところが、この犬語の見方ですが最初は混乱します。まず見ることがこんなに難しいことなのかと思うのです。ビデオを参加者に見せたあとに見たことについて質問していきます。ある人が「犬の逆毛が立っていました」と発言しても、別の人は「全く見えなかった」といわれることがあります。なぜ、こんなことが起きるのかというと、見ているところが違うからです。人はみな関心のあるところを見ているのです。犬の見方を見るとその人が犬のどこに関心があるのかがわかります。

 犬語セミナーは犬の行動を読み解く勉強会なので、まずは自分の見たいところではなく、犬語としてみてほしい行動に注目していくように練習していきます。た、回数を重ねるだけで犬の行動をかなり見ることができるようになります。専門家でなくてもできるところが楽しいところです。特に、この作業が得意なのは、観察力がある人、そして犬への思い込みを断ち切れる人です。犬を見て「かわいい!」と思ったり寄っていって触りたいという傾向のある人は少し時間がかかるかもしれませんが、犬のことを本当に知りたいという気持ちがあれば、この壁を越えるのは簡単です。


●犬はいつも楽しいだけの動物なのか?

 まず、きちんと犬の行動を観察して記録できるようになったら、次にこの行動を分析していきます。分析には犬の行動学についての知識と経験が必要な上に、この分野はいまだ不安定で疑問を感じるような情報も多いため、信頼できる情報を得ながら分析の作業を進めていきます。

 例えば、犬が逆毛を立てているという行動に対して出てきた意見にはこんなものがありました。犬が緊張しているとか、興奮しているのではないか、不安な状態なのではないかというものもありました。いずれの行動も、犬の「逆毛を立てる」状態に該当する可能性が十分にあります。緊張と興奮が入り混じった状態といえることもできるのです。
 次に、そのとき同時に表現された他の行動を組合せをしていきます。同時に、その状態のレベルについても考えていきます。どの程度の時間その行動が続いたのか、その行動の後に見られた行動とはいうふうに問い続けていくことで状態のレベルが上昇するのか降下していくのかも把握することができます。

 こうした行動を観察して分析する犬語セミナーにはじめて参加する方の中には、どの映像をみても「かわいいという風にしか見えない」「喜んでいるように見える」「楽しそう」だという意見に偏りがちです。ディスカッションを重ねていくうちに、普段の犬の様子を見ていても、犬はいつも楽しそうに喜んでいるように感じてしまい、犬が不安だとか緊張しているとか、ストレスを感じているようには見えないという感想も出てきます。
 実は一部の人にとっては、これはとても正直な感想なのです。犬が好きな人は、犬はいつも楽しんでいる、犬はいつも飼い主さんが好きという見方が先行してしまう傾向が高いと感じます。なぜなら、犬がいつも楽しそうで、うれしそうにしていると見えるから自分も楽しく幸せになるからです。逆に犬が走り回っているのをストレス行動だと見るようになると、犬を見ることは辛くなります。特に飼い主は、犬の行動に最大に影響を与える存在なので、犬にストレスを与えているのが自分だと気づいてしまうと、犬を見るだけで癒されるという単純な世界は持てなくなるでしょう。


●犬の気持ちを読み解くための道具としての犬の行動学

 単純に犬のことがかわいいと思っているだけだったのに、実は犬がいろんな状態を表現していることを知ると最初は少しガッカリしてしまう飼い主さんもいます。犬を見るだけで癒される時代は終わりますが、その代わりに犬が行動を通して表現する真実を知り、その真のメッセージに対して飼い主としてできることをする、つまり、応答するというコミュニケーションを返すことができるようになります。

 これはひとつの犬との関係性の変化のときです。犬の行動学はこうして犬の気持ちを読み解く道具として利用する科学的学問であるし、学べば学ぶほど奥の深い犬という動物の深さに触れる機会にもなります。少し難解な勉強はひとりで取り組むことは大変ですが、トレーニングクラスやセミナーを通して勉強を進めると、犬を見る世界が少しずつ変わっていきます。犬を愛することは犬を理解すること、そして犬を理解する力を人は持っているということが、グッドボーイハートの希望です。


 次回の犬語セミナーは6月25日日曜日12時~14時に七山校で開催します。



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山を育てる人を育てる、山を育てる人は犬も育てる:山村塾企画の「森林(もり)づくり活動講習会」のお知らせ

 グッドボーイハート七山校の尾歩山の下草刈りがピークを迎えています。というのも、梅雨入りの前にどのくらい整備できるかが今後の作業の量に影響してしまうからです。クラスの終了後によくお手伝いしてくださる生徒さんたちも「今やっとかないとね。」といってくださるので、草を向き合ううちにこれはただごとではないと感じているようです。この危機感と緊張感は毎年襲ってくるので、これを共感してもらえるというのことはそれだけでとても心強いことです。


●森林(もり)づくりとはどういうことなのか

 山を育てているのは、動物たちの住処を育てたいという単純な気持ちだというのは正直なところですが理由はそれだけでありません。犬だけでなく、わたしたち人間が健やかに生きていくためにも、山という自然環境はなくてはならない存在であると感じているからです。

 都心に生活する人々にとっては山は意識しなくてもそこにある存在なのかもしれません。でも今、その山が荒廃しつつあります。整備された登山道ばかりを歩くのではなく、ちょっとした里山で立ち止まったり山を車で超えるときに周囲を見渡して気づくこともあります。人は山から多くの自然を調達してきたので、山のほとんどは原生の姿を残していません。竹林、杉林、果樹園、山間の畑など、人が利用してきた場所が見捨てられ荒廃しているのです。この山は、手を入れつづけていく必要があり、そのためには森林づくりをする人の手を必要としています。

 ここでいう山というのは山の奥のことではありません。山のふもとの里のことです。この境界線をきちんと作って守り育てることは、動物たちから農作物を守ることにもつながるし、山の動物たちが人との急な接近に驚く回数を減らすことにもなります。境界線をきっちりと作るのは犬の飼育環境や犬との関係性についてもまず第一に必要なことですが、それと同じことを山でもやりましょうということです。

 ところがやり始めるといろんなわからないことや上手くいかないことも出てきます。そもそも知っている人について学んだのではなくあくまで我流なので、適当にやっていればどうにかなると思ってやってきたけど、むしろ無駄なことが多いのではないかと感じることもあります。都心と山を行き来すると痛感しますが、とにかく広い、そして高いです。平地がないからしがみついて草刈することもあるし、足を踏み外したら落下するのではとヒヤヒヤすることもあります。無知の強さとはいえ人に手伝ってもらっている身分なのですから、無知ではすまされません。


●山村塾の森林づくり安全講習会

 そこで勉強する機会を求め調べているとなんと「森林(もり)づくりボランティア育成」とい活動を福岡県でやっているという情報を得ました。里山に人が住まなくなって人手が足りないから、それを都心のボランティアの中から求めようということのようです。里山作りに関心のある方も増えていますし、いずれ田舎に暮らしたいという人々を取り込むこともできます。

 福岡県は現在、森林(もり)づくり活動のために活動安全講習会という1年に全7回の講座の運営を主催しています。この活動を企画運営しているのが八女市黒木町にある山村塾という団体です。
 チェーンソーの使い方を学びたくて調べているうちに山村塾のことを知り今年度の講習の案内を送ってもらいました。その資料が上記の講座でした。他の講座の内容が充実していて、どれも関心の高いものだったことに自分でも驚きました。山の裾野で暮らした10年で、「これどうするんだろう」「これでいいのかな」の疑問が続いていたことが全て講座になっていたのです。

・刈払機の取扱い→よく田舎でみかける丸い鋼がブンブンまわる草刈機を刈払機といいます。この講習だけで10時から16時30分までありますのでかなり内容の濃い講習のようです。主に畑などの家付近から山が始まる間の部分や斜面などの草を刈るために使っています。

・下草刈り→鎌などの手道具をつかった下草刈り作業で広葉樹の木の育成にはかかせません。こちらは樹木の間に生えてくる下草といわれる草を刈り取っていく作業です。七山校では今この作業にすごい体力を使っています。こちらの方は鎌とぎに苦戦しているのですが、なんと鎌とぎも講座の内容に入っていました。さすがですね。

・竹林整備→山から里の間にかけて斜面が崩れないようにするいわゆる「土詰め」のために竹や笹はどこにでも生えています。生活にもたくさん使われているものではありませんが、制限をしないとどんどん根を増やして広がってしまいます。放置しておくと年齢がたった竹が倒れて荒れ果てた山になります。実際にたくさん見ることができます。

ほかにもチェーソーの使い方とか間伐という中級編までありました。ボランティアのレベルでここまでくるとすごいと思いますが、この程度なら森林の仕事をしていなくても生活の一部としてだれでもできた時代があったのかもしれません。

これらの講座は無料です。そして1回でも参加が可能です。
詳しくはこちらでご覧いただけます。


平成29年福岡県森林づくり活動安全講習会案内

山村塾のホームページ



●山育てと人、そして動物

 いそがしいから森林ボランティアなんでする時間がないという方も多いかもしれません。しかし都心の小さな部屋の中で体を動かすスポーツではなんだかもったいないと思うのは私だけでしょうか。アウトドアスポーツの方が好きという方もいるかもしれないけれど、オートキャンプのために削られて平坦にされる山はもうあまり見たくありません。自然の中で汗を書いて気持ちがいいと叫びたい方で、犬がそばにいて一緒に協力して作業ができて、ありがとうといえるような関係を気づきたいなら、山育ては絶対にお薦めします。犬がほどよく木が生えて風通しの良い森林で紅潮する気持ちは、犬という動物の歴史を考えるとわかります。そして、犬と過ごす山で得られるこれこそ本当の犬のよろこびだと感じてしまう瞬間」は、自分にとって気持ちの高まる時間です。

 山を育てるということは、結局自分や犬が成長する場をいただいているということになります。考えれば結局は自分のためじゃないかということになりそうですが、それでも構わないと思っています。自分のためといってもいろいろあります。山育ての目的は、自己利益や自己顕示欲のためという気分の悪くなるものではありません。動物にとって体と心と精神の成長は、日々の時間がこのためにあるのではないかと思えるほど大切なことだと感じ、その場を山からいただいていると感じるからです。

 梅雨がもうすぐ始まります。下刈りはますますヒートアップしていきます。


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おすすめの本:『神なるオオカミ』モンゴルの遊牧民とオオカミ

 今回のおすすめの本『神なるオオカミ』は上下2巻からなる超大作です。場所はモンゴル地区、時代は毛沢東主席が先導する文化革命時です。モンゴル平野に遊牧民が移動しながらテントをはって生活している中に、知的青年として送り込まれる著者の自伝的な小説です。

 著者はこの小説が実体験に基づいたものであることをやんわりと否定していますが、確かにこのモンゴルでオオカミと出会い、そのオオカミとの体験を記したかったという思いが強く伝わってきます。

 本書をお薦めしたい理由は、モンゴル遊牧民と野生動物であるオオカミとの深い関係性が、実生活の細かい描写によって表現されている歴史書としても読み応えのある本だということです。その細かい描写の中には、読む人によっては受け入れられないと思うものも含まれています。動物との関係をやさしいもの、和やかなもの、楽しいものだけと考えている方にはこの書籍は受け入れ難いかもしれません。反対にペットを飼っていない人や動物を感情をある程度抑えて見ることのできる人にとっては読み応えのある本です。

 モンゴル遊牧民はオオカミトーテムを崇め、死後は人の遺体を山に捨てることでオオカミ葬を通して天に昇れるという思想と習慣を持っています。その一方で生きているオオカミたちとはお互いに命を張って戦い会いながら、ここまで必要なのかと思わせるほどの攻撃もしかけていきます。そしてオオカミを飼うことを拒みながら、犬という動物をテントでは飼っているのです。その過程の中にも動物愛護の精神からは考えられないようなことが表現されています。しかしそれらを単純にかわいそうと否定するのではなく、なぜそうする必要があったのか、そのことで続いていくことは何か、人と動物の関係性はどうだったのかを自分に問いつづける機会にすることができます。

 物語の後半部分はモンゴルという地区がいかにして砂漠へ変わっていったのかという、かなりきつい状態に触れています。新しい価値観の押し寄せる波に流されるように移動を迫られる遊牧民たちとモンゴルの山から消えていくオオカミの姿はまさに歴史のひとつの時間でした。歴史の真実というのは訴える力が強いものだと感じます。

 この本はすでに絶版になっており中古品しかありませんが、地域の図書館に設置してある可能性の高い本です。実は通りすがりで立ち寄った本屋さんのめったに立ち寄らない文芸のコーナーになぜか引き寄せられてこの本を購入したのは、本が出版されたばかりのときでした。引き寄せられるように立ち止まって手にしたこの「神なるオオカミ」は、出会うべきして出会った本の一冊であると確信しています。

 今は少し抵抗があっても、いつかそのうち真実を知りたいと思われたときにぜひ手にしていただきたい本です。

神なるオオカミ上神なるオオカミ下


 

Posted in 本の紹介

犬にリードをつける時のしつけ:オスワリかマテで落ち着かせることの大切さ

 飼い主が犬にリードをつけるときに犬の行動もつける側の飼い主の行動も百人百様のようです。
実はこうした作業にも、犬と人の関係を見ることができます。そして、そのひとつひとつの行動を見直すことは、「犬のしつけ」もしくは「犬のトレーニング」のひとつです。


●犬にリードをつけるときの行動を観察するとわかること

 まず犬にリードをつけるときの行動をよく観察してみます。自分の犬はどんな状態でいるでしょうか。

 じっと立っている(呼吸もゆっくり)、呼ぶとゆっくり飼い主に近づきオスワリする、呼ぶとゆっくりと飼い主に近づき立ったままリードをつけることができる。このような状態であれば、犬は飼い主がリードをつけるという行動に対して落ち着いているといえます。

 逆に、興奮して落ち着かない行動をする犬もいます。興奮してジャンプをくり返す、左右にも飛ぶ、飼い主にとびつく、飼い主に前脚をかける、飼い主が首輪をつかむと(リードをつけるため)甘咬みする、飼い主が首輪をつかむと前脚をかけてくる、うろうろしておちつかない、飼い主の膝にジャンプしてくる、飼い主に抱っこされるなどが落ち着かない行動の例です。


●リードをつけるときに興奮するのがなぜいけないのか

 まずどのような状況であれ犬の興奮行動については慎重に扱ってほしいことです。犬が飛んだり跳ねたり走り回ったりする興奮行動は、見ている人によっては楽しいと感じられることがあります。人よりも動きが早く躍動力も動物的であることが人を楽しませる理由にもなっているからです。反面、過度な興奮は犬のストレス値が上昇しているというシグナル(コミュニケーション)でもあるので、それを受け取って犬が落ち着くように環境を整える必要があります。そしてその落ち着かせのための環境整備は飼い主の責任です。

 犬がリードをつけるときに興奮したり多動になる理由はいくつかあります。ひとつは犬が「リード→散歩」という連想学習をすることです。つまり、犬はリードを見せると散歩に行くことを知り興奮するということです。この犬の興奮を「うちの犬は散歩が好き」と思っている人もいます。本当にそうでしょうか。
 事実については犬の散歩行動を細かく分析すればわかります。リードを見せると興奮する犬は、社会的に緊張状態にあり散歩を連想して興奮しているか、日常的な拘束時間が長すぎるため外に出る社会的行動に興奮しているなど他にもいろいろと興奮行動の理由を考えることができます。


●リードをつけるときに犬が甘咬みしたり腹部を見せるのも問題なのか

 リードをつけるときには首輪に一定時間手を触れる必要があります。首輪に手を触れていることで短い時間であれ犬は動きがとれなくなります。犬が首輪をつけることに対して協力的であれば、犬の方が少しの時間じっとしてくれています。ところが、飼い主がリードをつけるという行為に対する抵抗や、一定時間飼い主が自分の首輪をもって動きを止めることにストレスを感じる犬は、その手を払いのけようとして甘咬みします。甘咬みといっても軽くくわえたり、咬むまねのようなものから、結構強く歯をあててくる犬もいます。こうした犬の甘咬み行動を飼い主は「遊ぼうとしている」といって放置してしまいますが、これはとても危険なことです。こうした行動のひとつひとつが飼い主と犬の関係性をあらわしているからです。飼い主に甘咬みをする犬は、それが抵抗であれ甘えであれ、いつかは衝動的に牙を当てる可能性が十分にあるからです。

 リードをつけるときに犬が腹部を見せたりひっくりかえったりしてジタンダを踏む行動もひとつの興奮行動です。こうした犬のほとんどは、甘咬みをする犬達と同じように飼い主が犬の首輪を少しの時間持ち犬が静止をしているということができません。また、飼い主の膝にのってきたり、飼い主の股下に入り込んだり、体を摺り寄せたりする犬達は、飼い主に依存的な関係を要求しています。こうした関係性は動物にとってストレス値を上げる結果となるため、数年という長い時間を経て自分を攻撃するもしくは他者を攻撃するという攻撃行動や強いおびえ行動につながる可能性も十分にあります。


●落ち着かない行動を叱っても効果はない
※動画で確認する「リードをつけるときは犬も人も落ち着くということ」

 犬が落ち着きをなくして興奮していたり、依存的な行動をしているときに叱っても効果はありません。犬にリードをつけるという行為が必要なら、それについて犬が落ち着きを取り戻せるように練習していきます。そのステップには個体差があり、飼い主さんのできるところからというになりますが、食べ物があったらオスワリするという賄賂的なフードの利用はしないでください。日常生活が問題なく送れている犬ならどの犬も食べ物をちらつかせなくても座ることはできます。
 
 以下の動画は七山校に来ていた柴犬くんに協力してもらって撮影しました。
マテの合図をしなくても動かないのですが、わかりやすいようにあえて「オスワリ」と「マテ」の号令をつけています。
舌なめずりをしていますので落ち着かせ行動が働いています。飼い主さんが近くでビデオを構えていて何かいつもと違う感じは受け取っていたようです。

犬にリードをつけるという平凡なことですが、ご自分の日常と違いがあるのか以下の動画で確認してください。

動画「リードをつけるとき」


 犬のしつけは犬と人の関係性の構築が基本です。それにはごほうびと罰が自然と伴うこともありますが、フードを使ったごほうびトレーニングには落とし穴があります。食べ物は動物にとって強い強化の道具(行動を学習させやすい道具)です。使い方を間違えると、犬のおびえや攻撃性を高める事もありますのでぜひ注意してください。


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犬のためのカラス対策:カラスに向けた「カラス進入禁止」の紙は本当に効果があるのか?

都市圏ではカラスの数がずい分増えていますね。カアカアとなく声と大きく黒い体を福岡市内でもよくみかけます。
カラスは雑食性で小動物も捕食してしまうことがあります。小型犬に限らず犬にとっては怖いとか不快な存在になることがあります。

●犬のためのカラス対策を考える必要

犬のためのカラス対策とは、犬の過ごす庭やベランダにカラスが近づいてこないようにする対策を考え処置をするということです。冒頭に書いたとおり、カラスは犬を捕食してしまう可能性が十分あります。ネズミやヘビを持ったまま飛んでいるカラスの姿はなんども見かけました。子猫などが持ち去られているのをみたことがある人もいるかもしれません。最近では極小サイズといわれる3キロ未満の犬が増えています。こうした犬は簡単にカラスに持っていかれてしまいます。

カラスであれトンビであれ、大きな鳥が獲物をとるシーンを見たことがある人ならその速さにビックリすることでしょう。鳥の移動する速度は犬の歩く速度ですらミミズのようにしか感じられないほどの違いがあるのです。山歩き中に何かと間違えたのかトンビかタカのようなものが足元に突撃してきたことがありました。白い帽子をかぶっていたことで勘違いさせたようですが、その速さとV字で上がっていく素早さにビックリしてしばらく動くことができなかったくらいです。カラスが来るのことを事前に把握することはできません。ならばカラスが近づいて来ないように、環境を整えておくことが最善にできることです。

●カラス対策に効果があるものとは

庭やベランダを犬にとって安心できる場所とするために、カラスを近づけさせないようにする方法を考えてみます。カラス対策については多くの方が悩みを抱えているようです。ネットでもたくさんの情報提供があると同時に、あまり効果がなかったという感想もたくさんありました。畑ではよくカラスの人形を逆さにつるしてあるものを見かけます。最初は本物だと思ってビックリしたのですが、本当によくできた偽者のカラスが農業用に販売されているようです。ホームセンターでも販売していることがあります。逆さにつるすというところがポイントのようですが、確かに視力に頼る哺乳類であるカラスも警戒して近づけなくなるという一定の効果があるのでしょう。

ところがやっかいなことにカラスには学習能力があります。次第にその吊り下げられたカラスは偽者であることを学習してしまいます。一旦学習すると他のカラスも学習したカラスの行動に影響を受け、その後は効果がなくなってしまいます。他にもCDなどをつるすという対策もあります。キラキラと反射する光がカラスを警戒させるという仕組みです。しかしこれも同じようにいつかカラスが学習してしまい、防衛効果の期間切れが来てしまいます。

●以外だけど納得するカラス対策の方法

 先日、カラス対策に悩んでいるときにある生徒さんから面白い話を聞きました。その方は海洋学者の佐藤克文先生の文献を読む機会がありそこからカラス対策に佐藤先生が関わったというお話しを見つけられたそうです。佐藤克文先生はテレビなどにも出演する著名な学者なのでご存知の方も多いかもしれません。

 その佐藤先生が他の環境医学の専門からアドバイスを受けて実施したカラス対策というのは「カラス侵入禁止」という紙を貼り付けてみるということでした。本当に?と思えるこの方法ですが、実は動物の習性を見事に理解した方法で愉快なのでこちらに紹介させていただきます。

 佐藤先生がカラス対策の被害の相談を受けたのは岩手県大槌町にある東京大学の研究施設でした。東日本震災によって3階建ての建物の最上階まで侵食してしまい、窓や扉もなくなった建物をカラスが巣作りに利用しはじめたということです。津波によって周囲の住宅も全滅してしまい、巣作り場所として集中したのかもしれません。巣作りのために建物の部材をはがすなどの被害も出てきてしまったということで佐藤先生に相談があったとのことです。

 佐藤先生はカラスの専門家である宇都宮大学の「雑草と里山の化学教育センター」の竹田研究員(環境医学)に相談をもちかけたところ、「警告文を出してみてはどうか」というアドバイスをもらったということです。佐藤先生も最初は冗談だろうと思ったが試しに警告文をつるしてみたそうです。警告文のつるし紙には「カラス侵入禁止」と書いてあります。するとすぐにカラスは来なくなり、一時的かと思ったが効果が長続きしたとのすごい話でした。

 「カラス侵入禁止」の紙にカラスが応じたのはなぜでしょうか。実はこの用紙をとおりかかる施設職員や学生が不思議におもってみあげることで人が空を見る回数が増え、それに対してカラスが警戒して近づいて来なくなったというのです。


●野生動物とのせめぎあいと人の役割

 この用紙を見上げる人たちも最初は見上げるがそのうち見上げなくなってしまうはずです。カラスの被害の多い春時期に限定して張り紙をつるすことで「空を見上げる人たち」という本当にカラスを防御する刺激を作り出すことに効果をあげています。カラスの作り物もCDの反射の光も、カラスという動物の習性を考えた行動ではありますが、やはり最も効果があるのは、人が管理しているという姿だということにとても感銘を受けました。

 一般のご自宅でもこの張り紙は一定の効果を表すでしょうが、たくさんの人に見てもらう必要があるので住宅地では抵抗があるかもしれません。自宅の方向に顔を向けてほしくないという気持ちもあるし、犬への刺激にならないかという不安もありますね。とりあえずこの空を見る人を増やすという戦略で何か他のことを考えてもいいのかもしれません。

 全く別のことでしたがカラスの対策になったというひとつの例もこの人の効果ではないかと思えるものがありました。それはテラノザウルスの人形を庭に置くというものです。実物大なので8メートルくらいあります。パチンコ店の入り口などに置いてあるもので本当に人目を引きますね。庭においてあるとテラノザウルスの上部分が見えています。カラスはそのうちになれるでしょうが、通りすぎる人はテラノザウルスを見ることでしょう。近隣の騒ぎになるかもしれない危険性を覗けばこれはこれで効果があるやり方です。

 ところが人通りのない里山では通り過ぎる人もないため掲示物は効果がありません。人がウロウロとして空を見上げる機会を自分で作っていくしかありません。カラス対策に時間のかかる人も、ベランダや庭ではしょっちゅう空をみあげて警戒信号をおくって下さい。小さな犬の場合には特に大事に至るまえによろしくお願いします。


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Posted in 犬のこと, 自然のこと

犬語セミナーで学ぶ犬の世界:保護犬たちの抱える問題と社会背景

週末に七山校で犬語セミナーを開催しました。
今回は保護犬の成長過程のビデオを見ました。
毎回学びの多い時間ですが、保護施設からの譲渡犬については社会的な問題でもあり、一般飼い主さんにもこの問題をいっしょに考えていただく機会として貴重なセミナーになりました。

●犬語セミナーで学べること
 犬語セミナーは犬の動画を見ながらディスカッションを中止に進めるセミナーです。犬の動画にはいろいろな状況のものの中から、比較的分かりやすいものを選んでいます。犬と犬が過ごしてるビデオや犬と人が過ごしてるビデオはよく題材として取り上げています。

 ビデオの動画を見ながら犬の行動を観察するという作業を参加者に行ってもらいます。観察の仕方や記録の取り方についてはいっしょに学びながら進めますので、回数の多い方ほど観察力がついてきているようです。観察を事実に近づけていく際にはできるだけ「感情を伴わず」にみる力が必要です。犬の専門家にも求められる力ですが、感情的な目線では犬の行動を正しくよみとることができません。感情をいれてみてしまうと、見えるはずのものが見えなくなってしまうからです。人の情報処理能力というのはとても不思議なもので、自分にとって受け入れのできる情報しか受け取れないという情報収集の限界があるのでしょう。ビデオを見て犬の行動を知るなんて簡単と思われるこの作業が、犬語セミナーの中で最初の難関です。

 その後、その観察内容を行動別に分析していきます。行動学では行動を犬の状態の種類に応じて分別します。分別という作業は、どのような仕事にも取り入れられています。みなさんも仕事中になんらかの形で分別をしているでしょう。パソコンのフォルダもこのひとつです。情報を種類別に分別していますね。分別は内容を整理して分かりやすくするための最初の手順なのです。
 動物行動学には共通の行動の分別がありますが、全く勉強をしたことがなければこれらの分別はわかりにくいものになるかもしれません。たとえば、まちがった分別は「よろこんでいる」「遊んでいる」「わたしのことが好き」などです。これらは分別とはいいません。特に感情的な評価はまずゼロにして考えていきます。これも行動学になじみのない方にはつまらないと思われるかもしれません。このことが犬を理解することにつながっていくのです。行動の理解は犬の状態と性質の理解へとつながります。


●保護犬にかかわる問題について
 今回ビデオで使用許可を得た生徒さんの犬は今年保護施設から保護された保護犬くんです。生後6ヶ月ころに飼い主として譲渡を受けたあとすぐにレッスンクラスに入られています。保護犬に限らず、生後6ヶ月までの成長期に犬がどのような環境で飼育(生活)していたのかは、犬の性格形成、行動形成に大きく影響しています。三つ子の魂百までは犬の世界でも同じなのです。
 どのような保護施設であれ施設という形式ととる限り、犬達は一定数を収容という方法で管理されています。家庭での飼育状態とはちがいます。保護施設に限らず、訓練所や訓練施設などでも同じように多数の犬を収容管理しています。行政では保管という言葉を使います。あまり好ましい言葉ではないですが、施設の目的をきちんと伝えるためにはこの言葉が一番分かりやすいでしょう。

 収容管理施設での時間は動物にストレスを与えることはいうまでもありません。施設管理者はできるかぎりこのストレスが軽減されるようにそれぞれの努力をしています。ただ保護施設の場合には、その施設の建物があまりにも地域によって偏りがという現状があります。多額の資金を集めて立派な保護施設を管理運営しているところもあれば、狭い敷地の中で犬舎ももたずに集めたケイジやクレートをつかって多数の動物を収容している施設もあります。施設のハード的なつくりと管理方法は犬のストレスに直結していて、子犬たちは当然周囲の成犬たちのストレスの状態に影響を受けて成長していきます。

 同じ問題は行政の施設だけでなく、保護ボランティアにも発展しています。多数の犬猫を保護しているボランティアの家庭や団体では、もはや家庭犬のレベルを超えて犬を収容状態で飼育しているケースはみなさんの周囲にも見られることでしょう。保護犬の状態は悪化しなかなか譲渡に結び付けられなくなったり、おびえの強い犬を一般家庭に譲渡すれば、生涯にわたってその犬がおびえのつよいストレス状態で過ごさなければならなくなる問題も生じてしまいます。こうした難しい行動への対応や回復にふさわしい環境を整えるのは専門家でも難しいことがあります。知識や経験はもちろんのこと時間や空間が必要なため、忙しいという理由が最も実行できない理由になってしまうからです。


●保護施設などの犬を管理する施設を評価すること

 保護施設など資金のかかるハード面を作り上げていくためには、多くの方の理解と協力が必要です。しかし、現に今ある保護施設や収容管理状態の団体でも、犬のストレスレベルが高いと感じられる施設は存在しています。ひとりひとりが正しく見る目を持って、きちんと評価をできることによって犬にとって安心で犬の成長にも機能的な施設が残ったり、また新しく建設されることにもなるでしょう。
 そのために、保護犬を評価すると同時に、保護施設そのものを細かく評価する必要があります。評価というと上から目線的だと感じられるかもしれませんが、これはそうした意味ではありません。評価というのは自らが正しくその状態について把握するという意味での評価であって、悪か良ではないのです。評価を通して改善すべき点も見えてきます。
 だれでもできる簡単な評価基準がふたつだけあげられますので参考にしてください。以下の2点です。

1 臭い
2 騒音(動物の声)

保護施設や犬を保護されている場所でこれらの二つについて違和感を覚えたら、犬のストレスレベルは高いというお知らせです。臭いにおいは犬のストレスレベルを表現するという理由と、犬の声は同じように犬のストレスレベルを表現しているからです。犬は吠える動物だと思われていますが、きちんと整備されて管理されている施設では犬の鳴き声は一切聞こえません。それは犬を抑制させているからではなく犬達が安心して過ごしているからです。犬をただかわいいといって通り過ぎず、犬が適切に保護され管理されているかどうかを知ってそこに支援の目や手を向けてください。


 そしてまたこの二つの評価はご家庭でも同じことです。庭が臭い、部屋の中が臭い、犬が吠えている、という状態であれば、犬は同じように高いストレス状態にあります。簡単なことですが見過ごしがちなことです。犬が気づいてほしいことをまず気づき実践すること、それが犬を尊重したい自分にできる最善のことではないかと思っています。






dav

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山歩きに見る犬の行動:行動観察から得られる犬の性質と特徴について

お山のクラス「わんげるミーティング」を開催しました。5月も末だというのに、湿度も低く風通しもよく絶好のコンディションのゆったりの一日となりました。


●山歩きにみる犬の歩行の特徴

 山を歩いている姿を見るとその犬についていろんなことがわかります。まず体のことです。体の小さな犬たちは自分のできる器量にあわせて歩く場所を決めていかければいけません。飼い主が踏みあげる高さの段差も、犬にとっては飛びあがりが難しいことがあります。飼い主便りにならず、端の方の自分の歩ける場所を見つけていくことを最初はあまりできないことが多いです。しかし回数を重ねていくと犬も学び始めます。自分にとってよりよい環境を見つけようとすると、飼い主の歩く方向には進みますがより自分の歩きやすい位置を決めていきます。
 バランス感覚の育っていない犬は飛びあがりが多くなります。一定の場所に立っていることができないからです。山はどの地点をとっても坂です。坂といってもアスファルトのような坂ではなく、4つの脚を置く場所の高さが全て違います。左右が横並びならないこともあります。そうしたところで歩いては止まり歩いては止まりができる犬は慎重でバランスをとることを重要としていることがわかります。反対にジャンプして上ったり下りたり、走ったり(走るのもジャンプです)、左右にウロウロとしたりするのはバランスをとることが苦手だからです。不安定な場所にいることで犬は体にストレスを感じます。それを落ち着かせることができる自律タイプの犬と、興奮してしまう自律が不安定な犬では行動の安定感がまるで違います。

●歩く位置に見る犬の特徴

 犬は飼い主の前を歩きたがる場合には、いつも飼い主から見てもらい管理されていることが日常になっている場合です。散歩でも家でも、飼い主はいつも犬を見ています。飼い主よりも後ろを歩かせようとすると抵抗をすることがあります。飼い主が自分を見ていないと落ち着かなくなるからです。こうした犬ほど飼い主よりも後ろを歩かせるように練習する必要があります。歩く位置はその関係性の現われです。不安定な犬は飼い主の後ろ、つまり飼い主に従って歩くということです。この位置関係を受け入れさせるだけで、犬は飼い主に服従しているという関係を作ることになります。多くの小型犬はこの飼い主との服従関係をつくっていくのが得意ではないようです。すぐに飼い主の膝の上に乗ってきたり居場所を主張したり、ときには鼻をならして赤ちゃん行動をしたりする犬が多いですね。赤ちゃんは社会での役割を与えられないので、服従関係は結べません。犬の中でいう服従関係とは役割分担という意味です。言い換えれば飼い主と対等に社会に属しているということが前提の関係性です。


dav

●未熟な犬の行動の危険性について

 それでも楽しそうに走っていくからいいじゃないかと思われる方もいるかもしれません。実際にそうしていらっしゃる方もいるでしょう。これは事故につながります。未熟な犬は何か事が起きたときに衝動的に走り出してたり吠えたり、パニックを起こしたりしてしまうからです。ガサガサという音がしたらそちらに走り出してしまうかもしれません。
 また、未熟な犬は環境を把握することが得意ではありません。周囲の全体を捉え前進すべきか立ち止まるべきか引き返すべきかを判断する前に、目の前の茂みにヘビがいることに気づくのか鼻先をつっこんで怪我をしてしまうことの方が多いからです。
 ということは未熟な犬は世界が小さくなるということです。何も変わることのない柵の中に入れられて遊んでいるように見えながらただ興奮している犬達の姿を見ると、犬は人間から提供されたもの以外を楽しむ自由はもうないのだろうかと感じることもあります。
 環境を把握して行動ができるという自律性は動物の精神を安定させるベースのようなものです。実際に自分に当てはめて考えてみても、環境を把握しこれから起きることを予測できることが自分にとっての最大の安全確保になっています。予測といっても将来のことを予測するような力はだれにもありません。それでも動物は一歩先のことを知りながら時間と空間を進んでいるのではないかと思うのです。その一歩を踏み出すべきか止まるべきか、判断を誤るなら出きるものの後ろをついたほうが懸命だということです。

●下刈り中にみる犬の行動
 今回のクラスでは歩く距離を調整したあと庭で下刈りをいっしょにしてもらいました。下刈りとは山を育てるための作業で、小さな木々の間に生えてくる草や萱や木々を刈り取っていく作業です。
 人々が庭で下刈りをしているときの犬の行動もそれぞれに違います。飼い主の近くをずっとついてきて草の臭いを嗅いでいる犬、飼い主の近くに居場所を獲得して飼い主の作業を待っている犬、飼い主の方をみて鼻をならしたりする犬、それぞれに飼い主との関係性と犬の性質を表現しています。
 山歩きのときと状況は似ているのですが、移動という行動を伴っていません。作業をしている飼い主は土の方を見ているわけですから犬の方は見ていません。飼い主に依存している犬は(大半の犬は依存していますが)、いつもと違う状況に不安な状態に陥ります。犬によってはテラスにおいてあるクレートの中に入って出てこなくなったり、車の下にもぐったりすることもあります。飼い主が見ていないと行動が不安定になるため最小のテリトリーに戻ってしまうためです。
 こうした犬の行動を見ることで飼い主さんが気づくこともたくさんあります。なぜ犬はテラスに帰ってしまうのだろう、なぜ犬はこちらを見て鼻を鳴らしているなろう、なぜ犬は落ち着きなく動くものを常に追っているのだろう、そんな疑問が生じることが大切です。
 犬のトレーニングやしつけというと、何か犬に問題がないと関心をもたれないことがまだまだあります。犬に問題を感じたらすぐに対応をしてほしいとは思いますが、もし犬に問題を感じていなくても、犬の行動に少しでも「なんでだろう?」を見出せたら、それはもう犬のことを学ぶチャンスです。もう何十年も仕事をしている自分でも、犬に対するなんでだろう?はいつも存在します。そしてその疑問についてまず仮説をたててじっくりと時間をかけて納得するまで追い続けていくことを楽しいと思っています。犬の行動でいうところの追跡作業ということでしょうが、よほど関心がなければこれほどの追跡はないでしょうから、自分ながら本当にはまってしまったという他ありません。

●おまけ

 下刈りは庭のほんの一部でしたがそれでもすっきりとして風通しがよくなりました。里山の境界線なので藪にしてしまうようなことがあったら境界線を預かる身として面目がありません。お手伝いには心から感謝しています。お昼タイムはいつもは自宅で作らないものということで、博多駅周辺ではよくみかけるパンケーキにしました。しかも玄米粉でつくったパンケーキに豆乳ベースの生クリームをのせたものです。
 七山は水が本当においしいので安いコーヒー豆でもゴハンでもなんでも本当においしいです。水はすべての基本ですね。パンケーキを食べながら日本の山は水の宝庫、海外の人たちが山を買い取ってしまわないように山を守っていく必要があるねという話をしました。山を守るためには里山に住むしかありません。そして山の手入れを汗水たらしてして、山のおいしい水をいただきます。山があれば動物たちが住めるし、空気がきれいになるし、健康な土がたくさん育ちます。そして命もまたそこから生まれます。


dav

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おすすめのアイテム「ウォータードッグガーデンのサインプレート」

 犬のマークのステッカーが張ってある車をよく見かけます。生徒さん達の車にもそれぞれの犬種のステッカーを張ってあるのを見かけます。ミックスとか雑種というステッカーがあったり、ドッグという犬マークのステッカーもあります。ところが不思議に感じることがあります。車にはステッカーを貼るのに反対に庭や玄関にはステッカーを貼ることが少なくなったような気がするのです。


●「犬がいます」のサインプレートを見かけたことはありますか?
 その方の家に犬がいるかどうかのサインを見分ける方法は行政登録したときにいただくステッカーでした。あの「犬」と書いてあるものです。毎年狂犬病予防の注射を接種したときにいただくので何枚を貼ってあるご家庭もありますね。

犬丸ステッカー
このステッカーは「うちにいる犬は登録と狂犬病予防接種を済ませていますよ。」という目印として貼られていました。

 しかし、本来の犬がいることを知らせるサインプレートはまた別の目的を持っています。

●「犬がいます」のサインプレートの役割とは

 犬がいることを知らせるサインプレートですが、サインプレートを貼るメリットとは何でしょうか。

サインプレート猛犬注意
 そのサインプレートの効果を知りたいなら、実際に自分が訪問するほうの立場になって考えてみるといいでしょう。玄関で「猛犬注意」のサインプレートを見たら、一旦心構えをできますね。この家には犬がいるんだなと前もって知っておけば、インターホンを鳴らしたあとに犬が吠えてもビックリすることがありません。
 サインプレートがないことで来客や宅配便の方をビックリさせてしまったこともあるかもしれません。すべての人が犬がOKなわけではありません。最近の犬たちは室内から走り出てきますので、犬が苦手な人だったら小さな犬でもビックリします。その上、小さな犬の方が吠えたり唸ったりするのは激しいこともあります。
 相手にはっきりと知らせたいなら、文字版の小さなサインプレートは見逃しがちです。玄関というよりは、門のところくらいにはっきりとわかるように犬がいることを知らせるプレートを貼り付けておくことは来客に対するマナーになります。さらに、来客が犬がいることを知っていてくれるほうが、犬を驚かせることもなく犬達にも安心感を与えます。

●泥棒よけサインプレート

 犬がいることを知らせるサインプレートの中には、威嚇する怖い犬の顔を描いたものもあります。泥棒よけのサインプレートです。


サインプレート猛犬注意2
こうしたサインプレートは少し人を脅かすようなプレートではありますが、吠える犬がいる家には泥棒も入ることを躊躇するでしょう。中には「GUARD DOG 防衛犬(番犬)」とか、「POLICE DOG (警察犬)」と書かれたプレートもあります。実際ある程度の効果はあるでしょう。

 泥棒よけの必要がなければ、単に犬がいるということを視覚的にアピールできるサインプレートをかけることはお勧めしたいことです。特に庭に犬が出ることがあるなら、玄関でなくても庭の柵越しにプレートを掲げて、犬がいるから注意して通ってねと伝えることもできるでしょう。
サインプレートは犬にとって安心できる環境を整えるために役立つこともあるのです。


●ウォータードッグガーデンのサインプレート

 「犬がいます」のサインプレートにはいろんなものがあります。ホームセンターや100円ショップでは古風な「猛犬注意」の文字版プレートが販売されています。しかし、やっぱり家の玄関のことだし、ちょっとおしゃれなサインプレートが飾りたいなら、こちらのサインプレートをおすすめします。

 吉祥寺のセンスあるお店「ウォータードッグガーデン」のサインプレートです。

グッドボーイハート七山校の入り口に貼ってあります。
「このプレートってどこで販売しているんですか?」となんどか尋ねられたことがありました。
下の写真の中の右上のオレンジのプレートと、ひとつ奥に見える「BE CAREFUL」と書かれたオレンジ色のサインプレートです。

dav
ここに飾って10年立ちますが、自然の遠慮ない雨風にさらされてきました。その結果このくらいの劣化なら十分活躍してくれていると思います。素材はステンレスのようです。英語文字の意味はわからなくても、犬がいるということがわかればいいのかなと思います。プレートのサイズが大きくて分かりやすい!という理由で購入しましたが、大きいけどブサイクではありません。センスあるプレートと堂々と貼り付けておけるのもメリットですね。


通販ショップはこちらです。


WATER DOG GARDEN ウォータードッグガーデン通販ショップ


通販専門のお店ではないので手間のかかる購入方法ですが、品数が少なくいつも在庫切れなのでもし在庫があったら幸運です。

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老犬とともに暮らしながら子犬を迎えるときに注意したいこと

 多頭飼育をされるご家庭が増えてきたようです。どのような状況でも、新しく子犬を迎えるということにはいろいろな配慮が必要です。中でも特に注意してあげたいのは、一緒に暮らしている犬が10歳を超える年齢に達する老犬になっているときです。
 10歳といえばまだまだ若く老犬と呼ぶには早すぎますが、若年寄くらいの年齢には達しています。先住犬が10歳を超えてから子犬を迎えるときには、いろんなことを細かく配慮してあげたいものです。


●子犬中心の生活にならないように
 どの年齢でも先住犬がいるときには、子犬中心の生活にならないように配慮してあげる必要があります。子犬は人との生活をはじめたばかりです。排泄に行く時間を細かく定めてトイレトレーニングを行ったり、クレートに一時的に休憩させるクレートトレーニングの時間があったり、庭で過ごす時間など生活のタイムスケジュールと、生活空間の使い方に慣れるために、しばらくはつきっきりでのお世話が必要になります。
 この子犬の生活の世話によって飼い主の動きが多くなってしまうため、つい子犬中心の生活になってしまうことがあります。今まで先住犬と過ごしていた時間を変えずに子犬のお世話も増やしてしまうと、とても時間がないと感じられるかもしれません。つい先住犬が老犬であれば、リビングでゆっくり昼寝やひなたぼっこ、飼い主さんとゆっくりと過ごす夜の時間だったひとときの間にも、子犬のお世話で飼い主が動いてしまうたびに老犬も落ち着かなくなってしまうかもしれません。それまでの犬と飼い主の関係性によって反応はさまざまですが、もし老犬が落ち着かない様子になるときには家族が交代で子犬のお世話に当たるなどの配慮が必要です。もし家族がおらずひとりで2頭の犬の世話をする必要があるなら、犬たちのお世話にかかる時間をたくさんとれるように仕事や他の用事を少し減らして時間調整をする必要性もあります。
 老犬の中には子犬の世話をするたびに鼻を鳴らしたり後追いをするような状態になることも考えられます。かといって老犬を必要以上になでたり触ったりしてなだめようとするとそれも逆効果になります。子犬に必要な時間については、老犬には「ちょっと待ってね。」ときちんと区別をつけてあげることで、老犬も次第に落ち着きを取り戻します。


●老犬が子犬を受け入れないのはよくあること
 子犬はお母さん犬から離されたばかりです。当然ですが、お母さん犬の代わりになってくれる存在を捜しています。そのため、成犬を見ると寄っていって自分の世話を受け入れさせるような行動をします。舌をペロペロと出して成犬の口元をなめたり、ついて回ったり、腹部を見せたりします。現在の成犬の多くは子犬をなかなか受け入れませんので、無視をしたり相手にしません。子犬から逃げる成犬もいます。
 成犬に受け入れを拒否されてしまうと、子犬はますます興奮してきます。とびあがったり、相手をされないと飛びついたり、手をかけたり、甘噛みをしたりします。成犬はとてもうっとうしくなり、吠えたり唸ったり軽く牙を当てることもあるかもしれません。子犬の方は世話を拒否されて居場所を獲得できず、部屋の中を走り回るなどの興奮した行動をしてしまうことがあります。
 成犬が吠えたり唸ったりするのを子犬に対する教育だと勘違いされていることがありますが、よく観察とその多くは拒否行動になっています。子犬の要求や興奮を抑える行動とは多少違いがありますので慎重に観察してください。
 こうした成犬、特に老犬が子犬を受け入れない行動をするとガッカリされることがあります。しかし、これは仕方のないことです。特に老犬については子犬の面倒を見ることを期待してはいけません。子犬にこのことを理解させることは難しいことですが、子犬が興奮しすぎて老犬に激しくアクションするのはのちのお互いの関係性を難しくしてしまいます。子犬の面倒を見るのは人であることを時間をかけて教える必要があります。


●生活のスペースをゆっくりと子犬に提供していくこと
 子犬をゆっくりと老犬の生活の中に入れていくためには、スペースをゆっくりと子犬に提供してくことです。老犬が子犬を受け入れしない限り、老犬のテリトリーの中に子犬が入ることを老犬は不快に感じます。ストレスの行動を出したり、隅っこにいったり鼻をならしたりすることもあるかもしれません。
 子犬を室内に慣らすときには子犬の本拠地であるクレートを老犬のメインスペースとは別の部屋に設置します。その上で、子犬の遊び場も子犬のクレート近くにつくるようにして老犬のくつろぎスペースを邪魔しないように配慮します。一日のうちの少しの時間を老犬といっしょに過ごすようにスペースの区切りを解放します。しかし、部屋のつくりなどで老犬の居場所に排泄をするようなことがあれば、その時間配分も工夫してあげる必要があります。自分の居場所を子犬の排泄で汚されるのは老犬にとってとても強いストレスになることを理解してあげましょう。
 大型犬であれば早い時期に庭で排泄ができるようになります。管理の方法ひとつですぐに子犬は庭に排泄場所を獲得するでしょう。老犬はこれだけでもひとつのストレスをクリアできます。また子犬はひとりで休めるようにクレートトレーニングを休息や睡眠、留守番のときに活用して練習を行います。子犬が人のそばでないと落ち着けないようになってしまうと、老犬はますます子犬との関係が難しくなってしまいます。

 こうした子犬の管理を続けながら時間をかけて老犬の生活に子犬が入ってこれるように配慮してあげてほしいのです。特にずっとひとりで過ごしてきた老犬にとって子犬の登場は大きな壁です。年をとるほどに環境を変えたくないと感じるのは、人でも同じことではないでしょうか。孫はとてもかわいいけど、お世話をするのはときどきでいいと感じられることもあるでしょう。老犬にとってエネルギーの高い子犬は、時に疲れる存在にもなるのです。老犬のペースを維持しながら子犬を家族として迎え入れ、お互いに時間をかけて関係をつくっていくことと、子犬をきちんと物理的にも管理をすることは、老犬の家庭に子犬を迎えるときにぜひ気をつけてあげてほしいことです。


dav

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