少し前から読み進めてきた本『「風の谷」という希望 残すに値する未来をつくる 安宅和人氏著』がいよいよクライマックスに近づいてきました。この本の莫大な情報の多くをまだ十分に理解していないのですが、これからそのパズルのパーツを取り出して楽しむことになりそうです。
それで早速、この本の第一章の30ページに出てきたパーツをひろいました。
とはいえ、このまま行けば、人類は映画『ブレードランナー』で描かれたような、都市にしか住む場所のない未来へと一直線に向かうことになる。
『「風の谷」という希望 残すに値する未来をつくる』より引用
映画ブレードランナーとはどのような世界なのか、アマゾンプライムで検索して早速見たのですが、どうやらそれはこの映画の2作目だったようです。映画通でもないので映像から感じる未来都市を体感できればとふわりと「ブレードランナー2049」を見ていました。
ところが後半に入って「犬」が登場したために画面に釘付けになりました。シェパードくらいのサイズのミックス犬なのかふわるふわとした独特の毛質ですが、雰囲気満載の犬でした。
映画ではレプリカントと呼ばれる人造人間と人の関わりが中心なので、その犬を見た男性が「これは本物か?」と問います。もはやこの時代には本物の動物も樹木も存在していなかったようですが、私の中では本物であって欲しいという気持ちが高まり、やはり犬は人類最強の友なのだと印象付けるシーンでした。
さて、今回の話題はここからです。
このシーンの少し前に戻ります。ハリソンフォード演ずる男性(この犬の飼い主でもある)とこの犬が一緒に歩いてきて部屋の入口まで来る。男が立ち止まると犬もすぐ横後ろに立ち止まる。男が「ステイ」といって歩き出します。
2049年の近未来の都市空間でもステイの合図が使われているとは、なんとも感慨深いと思ったのです。すべてが破壊された世界に残された人と犬が、寄り添って生きているだけでも素晴らしいことなのに、まだこの段階にいたって犬は「ステイ」に応じているのです。
私が見た映画は吹替版であったにも関わらず、「ステイ」の合図は「マテ」ではなく「ステイ」のままでした。吹替なら「マテ」としてもよさそうなものなのに、なぜ「ステイ」のままだったのだろうと考えました。「ステイ」に込められているのは言葉としての意味ではなくシグナルとしての役割だからかと…。
犬にとっての号令(合図)とはシグナルであること、例えばこのシーンに犬がウォンと吠えたとしてもそれを和訳する必要はありません。訳などどうでも良いことなのかもしれませんが、たった一言の号令が示す人と犬の関係性はどうでも良いことではありません。
犬にしつけること、トレーニングすることは、決して複雑で難しいことではありません。このステイが表しているように、犬にポジションを与え犬もまたそれを果たす、ただそれだけのことなのです。どんなにたくさんのことができるようになってもステイ(マテ)ができていないのなら、関係づくりはこれからです。
「ステイ」、愛しい我が犬にかける美しい言葉。




