ブログのネタの多くはトレーニングやヒーリングのクラスのときに飼い主からいただく質問で成り立っています。
ひとりの飼い主さんが疑問と感じられることは、多くの飼い主さんが疑問に感じておられること。
できるだけ日常の疑問にお答えすることで、グッドボーイハートのブログがちょっとだけ犬との暮らしに役立てば幸いです。
今回のある飼い主さんの質問は犬の食事に関することでした。
「先生、犬に食べさせてはいけないのはどんな食べ物ですか?」
多くの飼い主が知っている犬に食べさせてはいけないものはこんなものでしょうか。
たとえば玉ねぎ、これはとても有名ですが犬の中には玉ねぎを食べたことで血液が破壊されてしまう急性の状態に陥る場合があり、非常に危険だとして玉ねぎを与えないようにといわれています。
犬の方も生の玉ねぎを差し出されて食べることはほとんどないくらい好みではないようです。
ですが玉ねぎ中毒は玉ねぎのエキスもダメということで、味噌汁に入っている玉ねぎすら危険だとされています。
ところが、昭和の犬たちは玉ねぎをよく食べていました。
私達世代(昭和ということで)では、犬には残飯を与えることは普通のことでしたので、犬が玉ねぎ入りの食事を食べていたことを知っている方も多いでしょう。
ちなみに、うちの柴犬やスピッツミックス犬も玉ねぎエキスたっぷりのすき焼きの残りやハンバーグのかけらは大好物でした。
そんな事実もあるのですがといっても生徒さんには勧められないので玉ねぎ、ネギ類は犬が好まないので与えないで下さいとお願いしています。
他にも、子供が好まないものを犬は食べられません。
香辛料とか消化の悪いものや咀嚼が大変必要な硬いオカキや大豆製品などです。
大豆などはそのまま便の中にでてきてしまいます。種子と同じ扱いになっているようです。
人もあまり得意ではないがなんとか食べられるという油に火を通したもの、たとえば天ぷらも反応が高いです。
これは油が酸化したものを受け付けないということですが、本来なら人間も受け付けません。
ちなみに私は有名なてんぷら店のてんぷらを食べた場合でも、消化不良によって震えが止まらなくなったこともあります。
犬レベルで酸化した油に弱いタイプなので、犬の状態がよくわかります。
天ぷらを食べた犬の中にも強く反応した犬がいます。
人間のサイズからすると1個の天ぷらがずい分と油を含んでいますので、犬の消化器官は追いつかないこともありますので危険です。
あえて危険をおかす必要もありませんから、揚げ物の天ぷらと、天ぷらかまぼこなども避けた方が無難です。
果物の中にも食べられないものがあるのですが、こちらは個体差が激しいです。
犬によって好んで食べるとか、食べない、食べても嘔吐すると分かれています。
たとえば、みかん、いちご、りんご、バナナ、柿。キュウイなどありますが、ほかにもあるでしょう。
くだものは人でも好き嫌いが激しいのではないでしょうか。
くだものは酵素が強いためものによっては十分に発酵(つまり腐敗)していなければ犬が消化しきれない場合もあります。
チャレンジして食べた犬も嘔吐したものは次に与えたときに警戒をするようになります。
犬の自然な条件付け学習反応です。
一度胃が拒否してしまうとなかなか受け付けない、これで自分の身を守っているわけです。
しかし本来なら、学習せずとも食べられるものと食べられないものを区別できるのが犬なはずです。
動物にとっての基本的かつ重大な情報なのですが、親犬に教えられなくとも食べられるものと食べられないものを知っています。
そのため、犬は山の中できのこ類を口にすることはありません。
本当にまれに、きのこ類を食べようとする犬がいますが、遺伝的な情報がかなり混乱を生じている結果なのでしょう。もちろん純血種犬です。
ここで、ある生徒犬くんに実際に起きたエピソードをご紹介しましょう。
その犬くんは海外で生産されている大手のよくみかけるしかも高価なドライフードを食べていました。
数年前に血液検査で数値が不安定となり、療法食としてのドライフードをすすめられたのがきっかけだったようです。
ところがトレーニングクラスを開始されるようになってから食事に関心を持たれるようになり、身近で手に入る食材を使って犬にゴハンを手作りでつくって与えるようにされました。
まず最初に変化したのは体型です。
ぽっちゃりボッテリしていた犬くんのウエストが細くなって肉もしまってうらやましい限りでした。
さらにビックリするお話しを聞くことができました。
その犬くんは今まで食べていたオヤツを吐き出すようになり、全く食べられなくなったとのことでした。
いずれもペットショップで普通に販売されている犬用のオヤツでいくつかの添加物が入っているような記述のあるものでした。
それほど安くはないもので日持ちのするものを選ばれていたのでしょうが、そうしたオヤツを犬くんの体が受け付けなくなったのです。
オヤツも野菜や芋やくだものに変えられて、ヤクトさんのジャーキーも使っていただきました。
もちろん犬くんは喜んで食べてくれていました。
それよりももっとうれしいのは、犬の選択にあわせて飼い主さんが食べ物を変えられ、そして犬くんの感性がよみがえってきたことです。
本当に食べられるものを食べ、食べられないものは食べないというのが犬のルールですが、犬は自分では食べ物を得られないので、ついつい欲張って食べてしまいます。
本当は本人の口に合わないものを食べてしまうこともありますが、そういうときには体や行動などにメッセージとして現れてくるものです。
冒頭の質問に対する答えは、食べられると食べられないを人が決めるのではなく犬の体がその感性を取り戻すこと、です。
オポは生の大根とカブが大好きでした。
食の消化力は人も様々、犬も様々。
みなさんのうちの犬ちゃんたちの体が喜ぶ食を見つけてください。
Author Archives: miyatake
<犬のしつけ方>犬に食べさせてはいけないのはどんな食べ物ですか?
<クラス>犬とのトレッキングクラスで新しい生物発見!
プライベートトレッキングクラスのときに預かりクラスの犬くんを同行させてもらいいっしょに山歩きしました。
預かりの犬をトレッキングクラスに同行させていただけるのはとてもうれしいことです。
プライベートクラス参加の犬くんにとっても心地良く勉強できる時間になってくれるでしょう。
どちらもオスの犬くんでどちらも消極的で多少の緊張感を感じます。
その緊張感ですが、山歩きを始めると次第に解けていくのがわかります。
犬のことよりももっと広い環境を受け取ることにセンサーが向っていき、緊張していた相手も今や共に行動する仲間として認識されていきます。
歩きながら落ち着きを取り戻してずい分山の奥へと進んだところ、小さな生き物を見かけました。
数秒じっとしていたのでしっかりと見たのですが、はじめはネズミだと思い込みました。
こんな山の中にネズミがいるなんて珍しいね、と話ながら登ったのですが、どうも合点がいかずに調べてみました。
たくさんの画像をみたところどうやらそのネズミだと勘違いした生き物は「ジネズミ」だったようです。
ジネズミは九州の山手にも生育するモグラの一種とのことでした。
もうこの山に登って12年になろうとするのに、12年目にしてはじめて見た生物です。
めったに姿を現すことがないということで、偶然とはいえある意味深いメッセージです。
メッセージとしては「知ったと思い込むな、まだまだ知らない事がたくさんあるよ」というところでしょうか。
ワクワクするような気もするし、まだ宿題が残っているのかとため息をつく気持ちにもなるし、結構複雑です。
ジネズミを見たあと犬たちに「臭いしないの?」と問いかけたのですが、犬の反応は低かったです。
危険でもないし食べるものでもない、犬にとってジネズミはそんな存在なのでしょう。
ちなみにジネズミは準絶滅危惧動物とのことでした。
人も犬も数限りない種類の中のひとつでしかないのに、こうして縁あって近付けたのはこれも偶然とは言えない気がしています。
だからこそ学ぶ、犬から人のことも学びます。
<クラス>お預かりのクラスで犬と犬のコミュニケーションを学びながら探る
お預かりクラスで3頭の犬ちゃんたちが集まりました。
気候も天候も良くていっしょに過ごすには抜群の日となりました。
お預かりの理由はご旅行やお仕事と様々ですが、中には他の犬とのコミュニケーションを少し進展させたいという理由で預かりを受けることもあります。
いっしょに過ごすことで犬たちに負担がかからないようにと、どちらの犬にとっても学びになるようにセッティングするのですが、コミュニケーション力の促進はそう簡単ではありません。
子犬期の生後6ヶ月くらいまでは成長と発達に柔軟性があります。
今回お預かりした犬ちゃんの中にも、最初の預かりのときには尾を巻いて逃げたり怯えたりしていた犬ちゃんもいます。
その犬ちゃんも現時点ではずい分と積極的かつリラックスして犬と共に過ごせるようになりました。
犬の中でコミュニケーションの誘導力を持つ犬はなかなか現れません。
ほとんどの犬が「待ち」の状態で、状況が変化するのを任せる姿勢に変わっていきます。
そしてその多くが、何事も起こらねばそれで良しという浅いコミュニケーションでおさまることになります。
この状態では、犬と犬が同じスペースに共に過ごしていても、喧嘩もなく会話もほとんどなく、みたところ落ち着いているのですがつながりはあまり感じられません。
何か事が起これば散々と別の方向へ逃げさってしまうような関係です。
もちろんそれが悪いというのではありません。
人と人の関係もすでにそのようなものになりつつあります。
となりに住んでいる人が誰だかわからない、話をすることもほとんどないというのも普通のことです。
別に、人生の中に喧嘩したり仲直りしたりしながら関係を進めていける相手がいるということもあります。
犬と犬は単に仲良しさんではありません。
犬のお友達が欲しいということをよく飼い主さんから相談されますが、お友達というのは小競り合いがあったり仲良くなったりをくり返している関係のことをいうのではないでしょうか。
犬でいう表面的に社交的な関係とは、関わりを持たないということなのです。
預かり中の3頭の犬ちゃんたちと共に庭で過ごしながら、犬同志の関係に必要以上に関与しないけれど、必要なときには関与する姿勢で見守り続け、私自身もまだまだ学んでおります。
自分でも不思議ですが、犬についてこれだけ学んでいてもまだ学びたい知りたい探りたいという気持ちがなくならないのです。
ある程度犬の行動や感覚を理解し始めていても、それを飼い主さんに伝えるためのツールがまだ不足しているため、そのツール探しのためにも学び続けています。
わかったと思った瞬間から人に伝えられるようになるまで数年かかっているような気がします。
今日私が知りえたことをみなさんにお伝えできるのが数年先になるということなので気の遠い話ですね。
そのうちに犬は成長してしまいますから、数年を待たずにぜひ今いっしょに学んでください。
犬の行動に問題を抱えている飼い主さんも、問題を抱えていない飼い主さんも大歓迎です。
<クラス>お散歩代行サービスで考えるいろいろ
お散歩代行のクラスをご利用いただいたので、唐津の海辺を生徒犬ちゃんと散歩する機会を得られました。
休日のお昼だというのに広い海辺に誰もいません。
日差しが素肌に心地良く波打つ音には心が安らぎます。
どちらかというと山派ですが、たまには海に下りてきてこうして地平線を拝ませてもらえるのもありがたいことです。
散歩中に小学生の子供さんに声をかけられました。
「さわってもいいですか?」と礼儀正しく声をかけてくるしっかりした子供。
礼儀正しい子供に丁寧に断りをいれて、承諾してもらいました。
本当は子供たちに犬は触るべきものではないことを伝えてあげたいのだけど、時間も許さずつい逃げ言葉になってしまいます。
動物を触れてみたいという子供の気持ちも大切にしてあげたいですが、時間をかけて触れ合えるようになるのが人と動物だという本質について子供たちい知って欲しいという気持ちの方が強いのです。
海岸線をどこまでも歩いても歩けるほど唐津の海辺は続きます。
視界に入る部分を歩いていけば半日以上かかるかもしれません。
こんなに空間があるのに、どうして犬たちは窮屈になってしまうのだろうと思います。
人は屋外で過ごすことがあまり得意でなくなってしまったので、犬を室内に呼び込みいっしょにテレビを見ることを強いているのかもしれません。
犬は活動することが不得意となり、活動しない犬ほど大人しくて飼いやすいといわれるようになるのです。
犬は人といっしょに活動してくれる最高にすばらしい友達だったのだけど、今やカウチポテトの友になりつつあります。
屋外にでるのが億劫にならないこの時期に、犬といっしょに風や太陽や草の香りや昆虫たちと遊ぶのも悪くありません。
家庭訪問でのトレーニングクラスやトレッキングクラスや預かりクラスが続く毎日ですが、お散歩代行をするシッティングクラスの依頼を受けます。シッティングサービスはグッドボーイハートのトレーニングクラスを受講されている生徒さんのみが対象です。
グッドボーイハートやトレーニングスクールなので、迅速に対応できるペットシッティングサービスを提供できる状態ではありません。
比較的早めにシッティング依頼が必要になりますので、ご予定が事前にわかっている場合にのみご利用いただいています。
お散歩代行をさせていただくときもグッドボーイハートならではのクラスです。
飼い主さん不在のときに犬のお世話をさせていただくことで気付く犬のことはすべて飼い主さんにお伝えしていきます。
グッドボーイハートは常に学ぶ場所。
楽しくときに厳しくまじめに、でもやっぱり楽しく学んでいきます。
<お知らせ>ヤクトさんの鹿肉ジャーキー新商品が到着しました!
以前ご紹介してお待ちかねだった鹿肉ジャーキーがグッドボーイハートに到着しましたので販売を開始しています。
商品のご紹介
価格はすべて税込です。
鹿肉 赤身ジャーキー 50グラム 定価864円→ グッドボーイハート価格 680円
鹿肉 赤身ジャーキー 100グラム 定価1620円→ グッドボーイハート価格 1300円
鹿肉 こうじ入りジャーキー 40グラム 定価972円→ グッドボーイハート価格 770円
鹿肉 こうじ入りジャーキー 80グラム 定価1944円→ グッドボーイハート価格 1500円
鹿肉 脾臓(ひぞう)ジャーキー 30グラム 定価972円→ グッドボーイハート価格 770円
鹿肉 脾臓(ひぞう)ジャーキー 60グラム 定価1944円→ グッドボーイハート価格 1500円
大分で猟師をしているヤクトさんが獲れたての鹿肉を丁寧にさばいて調理してくれています。
お値段が高いと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、その工程の手間を商品の質をみれば納得されるはずです。
脾臓(ひぞう)ジャーキーは数が少ないのでなかなか入手できなかったのですが、今回数個をいただけました。
こうじジャーキーは今回新商品として入荷してきました。
赤身ジャーキーは定番で人気がありいつも取り扱っています。
作りたてなので風味がすごいです。
食欲の秋に鹿肉ジャーキーで犬も大満足するでしょう。
クラスを受講されている方には、レッスン時にお渡ししますのでお気軽にお声かけください。
<クラス>老犬たちのトレッキングクラス
グッドボーイハートの活動は、季節が変わるようにこれまで形を変えて移り変わってきました。
はじめに家庭訪問形式のトレーニングスタイルから始まり、次に通学できる学校を博多駅近くにつくり、その後は山での勉強と七山へ移り、今は家庭訪問クラスを七山のクラスを併設する現在の形となりました。
グッドボーイハートの設立が2000年からなので今年で18年目です。
たくさんの出会いを頂くと共に、共に学んだ仲間たちとの別れも始まっています。
今日は12歳~15歳まで、子犬のころからグッドボーイハートで育った犬たちと生徒さんたちと共に山歩きを楽しみました。
老犬たちのペースでの山歩きなので気負うこともなくゆっくりまったりと呼吸を深めながら歩きます。
山にはきれいな空気があるし、スペースはいっぱいあるし、時間もたくさんあります。
老犬たちの山を歩く姿を見ながら「元気に過ごしてくれているようでよかった」とただほっとしてしまいます。
同時に、犬たちの生きる時間を変えることはできないけれど、今日一日ができるだけゆっくりした時間になるようにと深く呼吸するようにしています。
犬と人は生きている時間の長さが違いすぎます。
犬は人の十分の一しか生きていないのですが、犬たち自信は生きるのに必要な時間を十分にもちあわせているはずです。
でも、その犬の時間の多くを奪ってしまうのは、わたしたち人間の方ではないでしょうか。
人は忙しく呼吸もあわただしく犬たちをせかしてしまいます。
山にいるときはせめてゆっくりと呼吸をしながら、時間の流れがゆっくりなりますようにと思うのです。
2007年に七山に来てからずっとなり続けている柚子の木にたくさんの実がなりました。
柚子の実を生徒さんが取ってくださったので、みなさんのおみやげに持ち帰っていただきました。
山で犬と過ごすことは本当に地味な特別なことではありませんが、山で過ごしている犬たちはなぜか幸せそうに見えてしまいます。
老犬もこれから移動や歩行が困難になり、山で過ごす時間も少なくなってしまうかもしれません。
それでもきっと彼らは、ここで過ごしたことを体に記憶してくれていると思います。
本当に良い季節。
飼い主さんたちには、犬と共に山の空気を吸いに、山歩きに出かけてほしいです。
<受講生のコトバ・さくちゃん編>クレートトレーニングで苦戦したサクちゃんのしつけの日々
グッドボーイハートのトレーニングクラスを受講されて成長されたたくさんの飼い主さんの中から、クラスを受講した感想を言葉としていただくことができました。
今回は柴犬のサクちゃんの飼い主さんからいただいたメッセージを掲載させていただきます。
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柴犬のサクいうオス犬と暮らしています。
トレーニングの相談をしたときにサクは1才半くらいになっていました。
成長と共になのでしょうが、サクは大きな物音がしたときなどに、大変驚くことがありました。そして、その驚いた犬に私や子供が噛まれることがたびたびありましたが、はじめはあまり気にしていませんでした。
しかしある時、とうとう私が太ももを強く噛まれて大きな裂傷ができたことから、このままではマズいと思って家庭訪問トレーニングクラスの受講の申し込みをしました。
トレーニングの過程の中で一番苦しかったのは、クレートトレーニングでした。
夜になって犬をクレートに入れる時間、うちでは22時ごろになると、犬がそわそわしはじめ同時にブルブルと震えだすことがありました。
「ハウス」と言うと部屋の中を逃げ回ってしまうため、追い込んでリードをつけてクレートにいれるようにしました。
クレートの奥でブルブル震え続けるサクを見るのが虐待をしているように思えてしまい、必要なこととはいえ、なんとも複雑な心境でした。
クレートの入り口をしめた後も、前足で入り口をガリガリとひっかき続けるわ、クンクン、キャンキャン鳴くわ、暴れるわ、下痢をしてクレートの中がウンチまみれになるわ、いろんなトラブルがありました。
サクの騒ぐ音で、人の方が夜中に眠れなくなったこともあります。
それで先生に相談の上、一時はクレートの戸を閉めるのを諦めてしまったこともあります。
結局クレートの入り口を閉めても騒がないようになったことから、サクの騒いだ過程が今となっては私のエネルギーの弱さや、リーダーシップの欠如に拠るものだということがわかってきました。
でも、その時は気持ちも弱くなってしまい、諦めかけてしまうのもサクに伝わってしまったのかもしれません。
犬のトレーニングクラスで学ばせていただいたことは、挙げるときりがありません。
一番大切な学びは、自分自身が犬を飼うのにふさわしい人間にならないといけないということでした。
犬を飼うということは、本当はものすごい覚悟が必要なことで、それができない人間には本当は買う資格がないのだ、ということを感じています。
そしてサクの問題行動のすべては、飼い主の私のせいだったということが分かりました。
散歩に連れて行こうとすると逃げて捕まらなかったので、散歩もほとんど連れていっていませんでした。
嫌がることを無理やりしてはいけない、という思い込みが、ますます問題のある犬にしていました。
行きたがれば家の中のどこへでも行かせていましたし、境界(テリトリーのあり方)やルールを全く設けていませんでした。
撫でて可愛がることが愛情だとはき違えてしまい、犬を撫でたりなだめたりし続けたことが、違っていたこともはじめは気付きませんでした。
犬のトレーニングのクラスを受講したことで、私の人生観も変わりました。
本当に大きな影響を与えていただいたと思います。
ありがとうございました。
何ども「サクちゃんを山に連れてきてください」とお誘いを受けましたがまだ行けていません。
近いうちに、サクを山に連れて行きたいと思っています。
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小さなころから苦手なことはさせることなく自由にさせて育ててしまった結果、環境の変化に弱くビクビクした行動をするようになってしまうことがあります。
適切な時期に社会化学習を促せないでいると、まだ散歩に出始めのころから散歩をいやがったり、落ち着かないため好き勝手な場所で排泄をしたりと自由にさせている行動が実はストレスを抱えている行動になっていることもあります。
どこにでもいる犬という存在についてわかりきっていると思って犬を飼われてしまうのですが、実は犬の行動はそれほど人に知られていません。
犬のストレスのシグナルも見逃しがちとなり、結果犬が噛み付くようになったことで何かが違っているかもしれないと気づかれる飼い主さんもたくさんいます。
ところが、犬という動物の拒否反応はかなり高いため、新しい環境に適応させるには飼い主として多大なエネルギーを使うことがあります。
日々の仕事で忙しい上に、犬と向き合いながらしつけを行うのは実際には大変なこともあります。
サクちゃんも大人しいように見えながら、若いオスにありがちなエネルギーたっぷりの反抗行動をくり返しましたから、飼い主さんはかなり気合を必要とされていました。
最後に飼い主を支えるのは、飼い主としての責任ではありますが、そんな簡単な言葉で逃げ惑う犬と向き合うことも難しいのです。
本当にそこを乗り越えてこられるのは、やはり犬を愛する力という人間力しかないのかなと思います。
ヤダヤダと暴れるサクちゃんと向き合われた日々は、これから少しずつ懐かしく思い出されることでしょう。
そんなサクちゃんをいつか七山で迎えることを今から楽しみにしています。
<犬のこと>犬との出会い、これって運命なのかそれとも使命なのかと悩む方へ
犬のしつけ方教室に通ったり、犬のトレーニングスクールご相談される方の中には、そもそもの問題「なぜ、自分は犬を飼ってしまったんだろう…」という大きな柱にぶつかることがあるかもしれません。
犬との思い描いた暮らしが夢のまた夢のような気がする日々。
帰宅すると犬が排泄まみれになっている、犬があちこちでするトイレの始末におわれる日々。
かわいいと差し出した手に噛み付いてくる、洋服にまで甘噛みされるがこれがまた相当痛い。
日々家具が破壊されていく、楽しみにしていた散歩に出たら歩かないとかすごく引っ張るなどなど。
犬を飼いはじめて増えた犬に関する悩みが自分の中で大きくなればなるほど、自分と犬との出会いは一体なんだったのだろうと悩む方も少なくないと思います。
こんなに忙しいのになんで犬を飼ってしまったんだろう。
犬を飼うなど自分の人生の中にはなかったはずなのにどうしてこの犬が今ここにいるのだろう。
ついには、この犬を迎えたのは何か自分に対する試練に違いないのだと思い始めます。
犬の生年月日で相性占いをしたり、姓名判断をした経験のある方も案外多いのでご安心ください。
出会いの関係性というのは不思議なものです。
出会って盛り上がり最高に気分の良いときには、占う必要もなく相手は出会うべくして出会った運命の者であると決め付けられます。
ところが、関係が上手くいかなくなった途端、私達は本当に相性がいいのだろうかと疑い深くなり占いにその答えを求めてしまうこともあります。
たかが犬との出会いかもしれませんが、毎日の生活が大きく変わる大問題なだけに、この問題を隅に追いやることもできません。
占いの結果がどうであれ、あなたの犬とあなたは出会う必要があって出会ったのだということだけは事実ではないでしょうか?
これだけたくさんの人と犬がいて、共に家族としてひとつ屋根の下に暮らすことになったというのは、学びがどのようなものであれ必然的な出会いとしか思えません。
この出会いはとても大切で有難いものだったと思えるのは、きっと犬と暮らし始めたずっとあとになってやってくるものです。
そのときにはもう犬は自分のそばにはいないかもしれませんが、犬と暮らした日々だけは飼い主さんの心に刻まれることでしょう。
そう、今悩んでいる犬のとびつきも、甘噛みも、イタズラも、排泄の失敗も、飼い主であるみなさんが真剣に犬に向き合う限りは、確実に良い方向へと変化していきます。
良い方向というのは、人にとって都合の良い方向ではありません。
まず犬にとってできるだけ良い道であり、人にとってもさほどストレスのかからない方法であることを望みます。
<クラス>紅葉の山で、犬と歩くトレッキングクラス
10月が過ぎ七山の尾歩山(おぽさん)も一気に紅葉してきました。
朝夕の寒さを肌で感じるようになり、この地区では灯油や薪の準備に追われているようです。
もちろんグッドボーイハート七山校も、同じように蓄えた薪を室内に運び込み寒い夜の暖とりに使っています。
色づき始めた山は視覚の情報に左右されやすい人間にとっては、この季節の楽しみです。
あの大変だった夏が終わり、過酷な冬を迎える前の、ほっとひとときの時間を犬と共に山を歩くことができるなんて最高です。
今回のトレッキングクラスでは生徒さんのおひとりが足元不調ということで、ピンチヒッターで犬のリードを持って山を歩くことになりました。
まだ幼く興奮しやすい犬を落ち着かせながら歩くのは大変なことです。
ゆっくりと歩く犬を見ると「どうやったらあんなにゆっくりと歩けるようになるんですか?」と聞かれることがあります。
ゆっくりと歩く犬と共にいる飼い主さんはみなさん、それがどのようにしてできるようになったのかは記憶になりことと思います。
というのも、このトレッキングでの歩きですが、号令をかけたり犬に合図を送ったりせずに、自然に身についてくるものだからです。
トレッキングクラスのお約束はとにかく自分がバランスよく歩くこと、ただそれだけです。
そして、若い犬は必ず自分よりも後ろを歩くようにうまく誘導していくこと、これにも言葉は不要です。
庭では興奮の激しい犬同志も、山に入ってしまうと不思議と落ち着きを取り戻していきます。
さっきまでの興奮はどこへというほどに、静かに山の地面を踏みしめながら歩くのです。
そしてこの季節、北風から吹く特別な情報を鼻でキャッチする楽しみは犬だけのものです。
どの犬も北側に高くその得意な鼻を持ち上げ、風に乗ってやってくるたくさんの臭いという情報をキャッチしています。
私達のように紅葉にうっとりすることのない犬も、北風の臭いにはうっとりしているように見えてしまいます。
たぶん、冬は犬が一番元気な季節です。
特別小さな犬にはお洋服が必要になるかもしれませんが、お家にこもりっきりにならず12月くらいまでは元気に山歩きをして欲しいものです。
とりあえず、毎日が大切な季節です。
<犬のしつけ方>犬のしつけは精神論ではないけど「応援する力」は本当の力になる
先日グッドボーイハート七山校で福岡の都心のマンションに生活する犬たちを同時にお預かりする機会を得ました。
2頭の犬は年齢もいっしょで1才未満という若さです。さらに、犬種も性別も同じです。違うのは多少体型に大小の差があるということとです。
見た目は同じように見える2頭の犬ですが、親の性質、繁殖は幼少期の環境、新しい飼い主として暮らした日々の環境や経験が違うため、その行動や内面には外からは見にくい大きな違いがありました。
特に違ったのは、他の犬に対するコミュニケーション力です。いわゆる他の犬に対する社会的行動です。社会化という過程を通して学習していくコミュニケーション力には違いがありました。
一頭の犬は慎重かつ積極的でありながら自分のスペースを守るためにできる行動や反応をしようと変化し続けている状態で、もう一頭の犬は、消極的で状況から逃げる行動習性を身に付け始めています。
初対面のふたりですが、対面時の反応はある程度予測できます。
一頭の犬は積極的に前進して臭いを嗅いで相手を調べた後は様々な反応で相手の応答を待ちますが、それに対する一頭の犬は小さくなる逃げる避けるをくり返し、狭い場所に隠れたり人の方に逃げ込んだりしようとする行動をします。
積極的な犬の方にイジメや暴力の要素のある接近の仕方であれば介入する必要がありますが、この場面はそうではありませんでした。
一般的な飼い主であれば可哀想と思って抱き上げたり自分のスペースに逃げ込ませて撫でていたり遠ざけたりするかもしれません。
実際見ていると小さくなっている消極的な犬は可哀想にも見えるのですが、生涯そうして逃げ続けていることの方が本当に可哀想なことだと思います。
逃げる犬の方が体格的にも多少負けていることもあったことと、積極的な犬と私の関係性がある程度進んでいることも含めて、過剰はひいきにはならない程度で逃げる犬を応援することにしました。
応援といっても気持ちだけではなく、本当に声を出して応援します。
「●●ちゃんガンバレ!、●●ちゃんガンバレ!」
まさに、あの有名なニッポンオリンピックの水泳競技のアナウンサーのようにひたすら同じエールをかけ続けました。
すると、消極的犬ちゃんの方がチラッと私の方を振り向きながらも体を伸ばして前を向きコミュニケーションに応じようと立ち上がってきました。
「●●ちゃんガンバレ!」というとまたチラっとこちらを見て背筋を伸ばしていきます。
相手の犬ちゃんも良し来たとばかり、コミュニケーションが成立し始めていることで落ち着きを取り戻し始めています。
さて、犬のしつけやトレーニングのベースは、あくまで犬という動物を科学的に捉えて理解する過程をもつべきです。
例えば、犬のしつけ方で紹介されている方法の中には、学習理論から外れた意味のないものもたくさん存在しているからです。
飼い主である自分が今犬に対して行っていることが、どのような仕組みで成り立っているのかとか、現在犬に提供している環境やコミュニケーションは犬という動物の習性に見合っているものなのかという観点も、犬を科学的に捉えることの中に入っています。
かといって、感情を抜きに犬と付き合えといっているのではありません。
わが愛犬のことをかわいい、いとおしいなど大切に思う気持ちがあってこそ犬のことを学びたいという気持ちも高まるものです。
ただ、犬を支える気持ちと行動というのは裏腹であってはいけません。
犬のことを大切に思うからこそ成長の機会を与えて見守る姿勢を自分自身が育てる必要があります。犬を過保護にすることや甘やかすことは決して犬のためにはならず、なっているのは自分のためだけなのです。
厳しい言葉のように聞こえるかもしれませんが、私達人間の社会にも同じようなことがたくさん起きているわけですから、知らぬ存ぜぬで通すことはできません。
「ただ応援する力」それだけのことですが、立ち上がる小さな犬ちゃんの姿に勇気をもらいました。
みなさんも今身近な誰かを応援していると思います。
本当に相手を思う応援の声は、一方的にかわいがることよりも必要とされているはずです。
飼い主さん、ガンバレ!