山ではお盆とともに暑さも通り過ぎていきました。
この夏も厳しい季節にも関わらず、トレッキングクラスやお預かりクラスをご利用いただきましたが、無事に夏を超えることができてホッとしています。
夏山トレッキングは虫との闘い
特に、トレッキングクラスの方は虫よけグッズや洋服の装備が大変でした。夏の山は吸血する虫たちとの闘いです。蚊、ブヨ、アブが私の中での三大吸血昆虫です。
山だからどこにでもこの虫たちがいるわけではありません。オポハウス周辺やオポ広場には、これらの虫はあまりいません。
その理由は、様々な種類のたくさんのトンボたちが低空飛行をしているからです。私の苦手な吸血昆虫たちをなんとトンボが捕食します。トンボたちが虫を探して右往左往と飛行しているのを見ると、ガンバレ!とエールを送ります。

虫の来ないオポ広場でくつろぐ犬達と写真撮影をするダンナくん
トンボが飛び交える開けた場所には、蚊もブヨもアブも簡単には近づけないのです。全くいないわけではないのですが、上空を自分を食べるトンボが飛んでいるわけですから、数はほんとに少ないのです。
ところが山歩きのコースに入ると、樹々に覆われた山の斜面には隠れ家がいっぱいです。障害物が多すぎてトンボは山の中を飛ぶことができません。吸血昆虫たちにとっては、素敵な隠れ家です。昆虫たちの主食は血液ではなく樹液や花の蜜の方ですから、あちこちに吸血昆虫が暮らしています。
私達の血液を奪いにくるのは繁殖前のメスたちです。彼らの繁殖ためにわたしの血液が役に立つなら、という尊い気持ちになれば良いのですが、痒みと痛みが伴う献血はやっぱりお断りです。
夏山トレッキングコースは短じかくなり、早目に山から下りてきてオポ広場で遊んだり休憩したりしていたのですが、今年からの取り組みとして「川遊び」を始めました。
川遊びクラスの準備段階で起きた出来事
愛犬のオポがいた時代には「オポ先生の水泳教室」というクラスをやっていました。きっかけは家庭訪問クラスで「どうやったら犬が泳げるようになるのか」という相談を受けたことです。
相談者はすでに基本のトレーニングが終了している黒ラブちゃんだったので、黒ラブならオポと一緒に行けば泳げるようになるよ、ということでオポとその黒ラブちゃんと飼い主さんといっしょに海でレッスンをしたのが最初のオポ先生の水泳教室でした。
その後もプライベートクラスで「海や川で遊ばせたい」という要望を受けて、オポを連れて海レッスン、川レッスンをしていたのですが、最後にはグループクラスとして海で開催する海トレクラスとなりました。
泳ぎが大の得意だったオポも亡き今、注目されてしまうのは同じ黒ラブのジェイです。
まさか泳げないことないよね~と気楽にジェイを川に連れていったのですが、なんとビックリ、ジェイはまさかのカナヅチくんでした。川岸でジェイの垂れ目はさらに垂れていき、しょんぼりジェイはなかなか川に入ることができません。
オポの時のようにオモチャを投げて持ってこさせるようなこともしていませんし、川ではオモチャはすぐに流されてしまいます。それにジェイは投げるものに執着はさほどありません。
この段階でできることはひとつだけ、私が川に入ることです。たいした装備もしていなかったのに、つっかけのまま川の中にぐんぐんと歩いて入りました。腰のあたりまで水が来たころには諦めもついて、川を渡って川向うでジェイを待ちます。
少しだけぐずっていたジェイでしたが、ドボンと飛び込み川を渡ってきました。ジェイがうちに来た時には2歳前なのでジェイの子犬時代を知りませんが、おそらく川は初めてだったのでしょう。
それから他の生徒さんたちと川に行ったりと、4回ほど川に通ったときにはゆっくりと川を歩くように入り、少し体が浮き上がりそうになると浮力を使って足を前に運ぶようになりました。
ジェイ先生とはとても言えませんが、ジェイから少し目を離して他の犬達のお世話をすることができるようになってほっとしました。

川で過ごす犬のジェイ
犬との川遊びクラスってどんなことしているの?
このジェイの行動変化が、この質問の答えになります。川遊びクラスの目的は、犬が泳げるように何かをすることではありません。
トレッキングクラスにも共通しますが、どこでどうやって過ごすのかということだけを決めて、あとは犬がどのような行動をするのか、犬が何を感じているのか、犬がどのように変化していくのかを見守るのがクラスの目的です。
とはいえ、飼い主は犬が泳ぐ姿を一目見たいという気持ちが高まりますから、一所懸命に名前を呼んだり、樹々を投げたり葉っぱを投げてみたりしてしまいます。飼い主さんの気持ちもわかるのでそれはそれで楽しんでいただければと思います。
ですが、犬に何をやってほしいかとはっきりと伝えられないまま求め続けると犬はフラストレーションを感じます。泳げなくてもいいやという気持ちでゆっくりと見守っていれば、そのうちに水に入ってくる犬もいるし、ずっと川岸にいる犬もいます。
一緒に過ごすことで慣れていきますので焦らず繰り返し川遊びを続けていただきたいと思います。

川遊びに使っている場所は、お世話になっているご近所の方に相談して許可を得ることができた場所です。川遊びをするために事前に整備もしたのですが、梅雨や先日のお盆前の豪雨などでまたたくさんの枝やいろんなものが流れてきていました。
環境整備は完璧とはいいがたいですが、安全第一で夏の終わりのひとときを楽しんでいただきたいと思います。

人の夏休みは100回あるかもしれないけれど、犬の夏休みは10回から20回。
まだ終わっていない夏の時間を、自然の中で満喫しましょう。