人と関わりの深い犬は、人の医療の発達の中で確実に寿命を延ばしているようです。
20年前なら、12歳といえば相当の老犬だという印象を受けたり、
15歳まで生きたというと、神がかったように思えたのですが、今ではそうでもありません。
もちろん、人と同じように犬の寿命には個体差があります。
犬という動物の生きる時間を考えれば、10歳まで生きれば十分な時間だといえます。
生物学的には活動しない動物ほど長く生き、活動する動物は寿命が短いという見方もあります。
だから、10歳を越えての昇天は、長くも短くもなくその犬が活動する分は使ったという風に見るようにしています。
今日は2組のペアのトレッキングでしたが、いずれも10歳を越える犬たちでした。
12歳が2頭、そして14歳が1頭です。
若い犬たちが歩くのと同じ山のコースをゆっくりペースで歩きます。
息切れしたり疲れることもなく、淡々と上っていくのは小型犬ならではの活動力かなと関心します。
自分がどのように老後を生きていきたいのか、この年齢になると考えることがあります。
その生き方の望みはやはりそれぞれなのでしょうが、自分としては活動を終えたと同時に死を迎えられればと思うのです。
そうなるためには活動し続けるしかないのですが、できるだけ人の世話にならないようできることはするということでしょうか。
老犬たちのトレッキングする姿には勇気をもらいます。
ついこの前まであんなに元気だったのに、と自分もいわれたいと思ってしまうのは欲深いことでしょうか。
梅雨の晴れ間に絶好のコンディションで老犬たちとトレッキングできて、良い時間をもらいました。
もしも老犬が家庭の中にいたとして、その犬がどのように過ごしていたとしても、最後までその自律性を支えてあげてください。
老犬の過ごし方それぞれ、それでよしだと思います。
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<クラス>老犬のトレッキングクラス:老犬の過ごし方もさまざま
<犬のしつけ方>教えていることがある時突然できるようになるのは何故?
犬にいろいろな学習を促すいわゆる犬のしつけやトレーニングの中で起きる、不思議な「トレーニングあるある」のひとつに「いきなりできるようになる現象」というのがあります。
犬ができるようになる内容は犬によって様々で、特定のものではありません。
具体例として以下にあげますが、実際にいろいろとあります。
ペットドアをいきなり通れるようになった
ハウスというと、いきなり合図で入れるようになった
吠えているときに「イケナイ」という声に、ある日突然反応して吠えるのを止めるなるようになった
リードをつけるときに突然オスワリができるようになった
このいきなりできる行動の多くは、行動をするという積極的な反応の場合に起きています。
上記にあげた例の中で、イケナイというと吠えるのを止めるようになったという反応は、行動をしなくなったケースなので、該当しないように思われるかもしれません。
ただ、この行動も実際に確認してみると、吠えるのを止めると同時に飼い主の声に対して集中して注意を払うという行動に置き換えられているのがわかります。
結果、吠えるのを止める行為にいたったということですが、やはり「できるようになった」部門に入る行動改善です。
飼い主は口々に「今まで全くできなかったのに、何故できるようになったのかわからない」といいます。
こうした行動の変化は、自分達の身近にも起きていることがあります。
同じことを何回も練習をくり返すと、練習が一定期間に達してできるようになるということです。
犬にハウスといったらハウスに入るトレーニングなどは、犬をどのようにしてハウスに誘導するのかで行動の定着性が変わってきます。
同じ行動をくり返せば定着するわけですから、ハウスといって犬を抱えあげてハウスに入れることを何万回くり返しても犬は言葉でハウスに入るようにはなりません。
イケナイといって犬が吠えるのを止めるトレーニングについても、犬が飼い主の言葉に集中する素材がどこにもないとすれば、この練習を何回くり返しても犬は吠えるのを止めません。
犬が飼い主の合図という言葉に集中する素材とは、常日頃からわかりやすく伝える努力を飼い主側が続けていくことと、犬を惹きつける声を出せるようになるかどうかも大切な要因です。
声の出し方については、犬は反応度がかなり違います。
知らず知らずのうちに飼い主が犬が反応しやすい声を出せるようになっていることもあります。
練習しているのは犬ではなく飼い主の方なのかもしれませんね。
いずれにしても、犬の落ち着かせにとって大切だと思うルールは、いい加減な気持ちで導入せずに犬ができるようになるところまで継続することです。
それは数ヶ月かかることもありますが、練習の成果は必ずやってきます。
あきらめないこと、犬との関係作りのキーワードです。
<記事掲載>ダイヤモンドオンライン記事:秋田犬は本当に忠犬か?ハチ公の美談には裏話も
様々な記事をネットで配信しているDIAMOND ONLINE(ダイヤモンド オンライン)から取材を受けました。
タイヤモンドオンラインは週刊ダイヤモンドがネット版として配信しているニュースサイトです。
取材内容は少し前に話題になったロシアのフィギュアスケートのアリーナ・ザギトワ選手に秋田犬が贈呈されたことに関連したものでした。
取材依頼の理由についてライターの方から、当ブログの秋田犬に関する記事に関心を持ったということでしたので今回取材協力させていただきました。
その秋田犬に関する過去ブログはこちらからどうぞ↓
渋谷の忠犬ハチ公は普通の野良犬だったという事実:犬のFACT(ファクト)をそのまま尊重することについて
電話取材でしたが、犬のことをご存じない方なのに深く組みとってくださり、さすがにプロのライターは違うなと感じさせられる記事でした。
タイヤモンドオンラインに掲載された記事はこちらからご覧になれます↓
秋田犬は本当に忠犬か?ハチ公の美談には裏話も
ザギトワ選手に秋田犬が贈呈されたことの是非を問うつもりはありません。
地元の珍しい純血種を他国の人に与えて親交を図ろうとする政治的行動は、江戸時代以前から行われてきたもので、古すぎるといえばそうですが特別なことではありません。
ただ、社会的に影響を与えやすいこうしたメディアの報道や情報について、みなさんには自分で考える力をつけていただきたいと思います。
人が飼う動物と本当の心触れ合えば、いつしかその苦しみにも触れることになります。
そして深く考え悩み、成長する機会を得られるのは犬と暮らす平等の機会です。
どんな形であれ、犬を家族として迎え入れられたのですから、いつかその瞬間を得られることを願っています。
〈クラス〉テントクラスの風景:犬はテントでどう過ごしているのか?
まだテントクラスをご存知ない生徒さんに「今日は、テントクラスなので七山に泊まりなんです。」とお伝えすると、たいてい同じような質問を受けます。
その質問とは「犬はどこに寝るんですか?」というものです。
「犬はテントの外に寝るのか、犬はテントの中に寝るのか?」がみなさんの一番の疑問のようですね。
テントクラスの際には、犬は飼い主といっしょにテントの中に寝ています。
室内で暮らしている犬であれば当然のことと思われるでしょうが、実は屋外飼育の犬もテントの中に寝ています。
日常的な空間ではないので、テントの中で飼い主と落ちついて眠れるようになるためにはいくつもの克服しなければならないことがあります。
飼い主と一緒に寝ている犬の方が早くテントで眠れるようになると思われるかもしれません。
実際、飼い主のベッドで寝ている犬は飼い主のシュラフの中に入ってきたり体の上に乗ったりして飼い主のスペースの中で過ごそうとするため、いつもと変わらないといえば変わりません。
ですが、テントクラスは犬たちに自然力を発揮してもらい、何かあるときにはいち早く人に伝えて安全を確保しようとする目的も入っています。
犬が人に依存的になりすぎると、自然の中でも犬は人に守られてしまうことになり、自律力をアップするせっかくの自然学習の機会が生かされません。大変もったいないことです。
実際、山中にテントを張っていますのでテントの中に入っているとテントの周囲をうろつく動物の気配などを身近に感じることができます。
テントに入っているときにテントの外に動物が通ったとしても、その動物が自分達を襲撃する気配がなくただ通り過ぎるだけの存在であったなら、気配を潜めてテントで様子を伺うというのが動物としての安全な判断です。
もちろん、気配を察する力はあっても、野生動物の気配にビクビクしてしまうのは家庭犬としては当然のことですので、最初は動物の気配を犬が受け取った段階で「静かに…」といって衝動性を抑えるのは飼い主の役割です。
最初は飼い主の安定度が犬に直結してしまうため、飼い主自身が経験を積むことが大切になります。
熟練の生徒さんになるとこの辺は上手に対応しているのを見ると、経験というのは大きな糧になるのだと痛感するところです。
普段は写真撮影に時間を費やすのはもったいないため控えていますが、今回特別にテント内の写真を撮ってきていただきました。
テントで休む犬たちの寝顔です。
自分のテント泊のときには、いつも不思議な夢を見ます。
そのいくつかは過去にこのブログでもご紹介しました。
犬たちはどんな感覚を得ているのかと気になるところですが、朝テントから出てくる犬の顔を見ると、単純に朝を迎えられた喜びに満たされていると感じます。
自然の中では一晩を越すことがいかに大変なことかということ、そのことが瞬間を生きる力を高めてくれるのかもしれません。
〈クラス〉梅雨の合間に犬とテントクラス
週末は犬といっしょにテントで休むテントクラスを開催しました。
長い間テントクラスに参加している犬と飼い主さんなので、安心して山入りを見送れます。
ゆっくりと時間をかけて作ってきた関係だから、犬も飼い主さんもリラックスして過ごしているのを感じられます。
梅雨入りしていますからコンディションは十分とはいえませんが、屋外は快適さばかりではありません。
面倒なことも大変なことも、楽しめる動物は強いですね。犬と暮らすことにも繋がります。
犬が山にしたしんで動物力を発揮できるようになると、凄いなと驚くことばかりです。
犬はやっぱり山の生き物であることを痛感して、人としての反省するばかりです。
初心者の方はテントクラスのまえに、まずプライベートトレッキングクラスで経験を重ねてみましょう。
犬と出会ったのに、犬と自然を楽しむ時間がないなどもったいないことです。
ただ、家庭で落ち着かず問題を抱えている状態でいきなり自然環境に連れ出すことはおすすめできません。
動物は衝動性を抑えられない状態で、自由な環境にさらされることがストレスにもつながるからです。
犬との山歩きやテントクラスを安全に楽しむために、家庭内で問題がある場合にはまず家庭内の犬のしつけから地道に取組んでいきましょう。
遠いように感じる道のりも、歩き進めばそんなに遠くはありません。
遠いと感じてしまうのは、まだ一歩も踏み出せないでいるときなのかもしれません。
<犬のしつけ方>放置しても改善しない犬の分離不安行動
分離不安という言葉をあまり使いたくはないのですが、犬の状態をある程度把握していただくために納得しやすい表現として使用させていただきます。
犬の分離不安行動とは、もっと的確な表現をするなら、次の2つの要素を複合している状態の犬だと思ってください。
2つの要素とは以下のとおりです。
・安心できる自分のテリトリーを持っていない
・飼い主に対して依存執着行動を表現している
特に後者の飼い主に対して依存執着行動を示すことについては、とても分かりやすい行動のため、分離不安行動を特徴づける行動ともいえます。
飼い主が離れると騒いだり、飼い主の気を引く行動をします。
飼い主を自分の要求に応じて行動させるための甘え行動や脅し行動が見られるようになります。
脅し行動の中には、軽い甘咬みや首元に手を近づけると手をなめるといった行動から始まり、しまいには出血するほど咬みつく、あざができるほど咬むといった攻撃性行動にまで発展していくことがあります。
犬によっては、咬みつき行動が少なく甘え行動が中心となりながら、そのうち飼い主が離れると不安定になるパニック行動や興奮行動が見られるだけの場合もあります。
咬みつき行動がでないこうした犬たちは、飼い主が大好きという間違った行動評価を受けながら生涯を終えることもあるのかもしれません。
逆に、咬みつき行動が出た場合は飼い主にとってはとても辛く苦しいことになります。
しかし実際には、咬みつき行動が出始めると飼い主はなんらかの方法でこの問題を解決しようと犬との関係改善に踏み切ることになるでしょうから、こちらの行動の方が飼い主と犬はより良い関係を築く可能性が高まるということにもなるのです。
犬の落ち着かない行動はすべて犬からのメッセージなので、飼い主がどの程度真摯にこのメッセージを受け取るのかで、犬と飼い主の関係性は決まっていくともいえるのです。
とはいえ、飼い主は時には誤った対応をしてしまうことがあります。
飼い主に依存執着する行動からかみつき行動に発展してしまった犬に対して、放置という方法で改善を図ろうとするものです。
分離不安の犬にクレートトレーニングをして長い時間留守番をさせても、犬の分離不安行動は改善されません。
それでも室内犬ではクレートトレーニングが必要なのは、犬に最低でも安全なテリトリーを獲得させることで犬を安全に管理したいからです。
分離不安の犬を外飼いにして数ヶ月もしくは数年にわたって放置したとしても、犬の分離不安行動は改善されません。
犬をひとりにする時間をつくればそのうちに改善しそうな分離不安ですが、外飼いの犬でも分離不安症になってしまうことはあるのです。
保育園や預かり訓練に出しても、犬の分離不安は解決できません。
管理の行き届いた場所で一旦は落ち着いたように見える犬の状態も、飼い主の元にもどればすぐに復活してしまいます。
とにかく犬の分離不安行動は放置しても改善しないということを考えてみてください。
では、どのように改善できるのか。
それは分離不安行動がどのように作られたのかというところに焦点をあてれば見えてきます。
犬のは分離不安行動をつくっているのは、人が飼うという環境の中で起こります。
分離不安行動を作った接し方、環境、犬の性質、思いつくもの全てを書き出してみてください。
分離不安状態に影響を与えている環境を改善すること以外に、解決の道はありません。
そしてその環境の最も強い要因が「飼い主」なのです。
犬は環境にとても敏感な動物で、表面的な接し方ではごまかすことができません。
犬はいつも真実を知っているし、それを教えてくれるすばらしい生き物です。
重度の分離不安行動をかかえている犬がそばにいると、こちらも大変落ち着かなくなってしまいます。
その大変な問題にも解決の糸口があることを、犬自身が教えてくれます。
人として学ぶ機会に犬がいてくれる有難さを十分に感じています。
犬たちが心身ともに健康で朗らかでいるためにお手伝いできることを、飼い主さんといっしょにこれからも取り組んでいきます。
〈お知らせ〉車が新しくなりました。
七山に移転してからずっと大切な足として活躍してくれたエクストレイルとお別れすることになりました。
山暮らしを始めたときに出会った重厚な車でした。
たくさんの荷物を運んでくれて、不安な悪路でも頼れるパートナーでした。
大活躍してくれて、とても頼りになったエクストレイルくん。
なかなか手放せなかったのですが、気持ちを切り替えて、お別れすることになりました。
今までありがとう。
本当に感謝しています。
新しい相棒は、はじめての軽自動車、はじめてのスズキ車です。
荷物は以前ほど乗せらませんが、小さくて小回りが利いて、燃費が良くてと、今の活動内容にはピッタリの車です。
これから長くお付き合いしてきます。
ゆっくりと、良い関係をつくっていこうと思います。
という事で車が変わりましたのでお知らせしておきます。
〈クラス〉犬語セミナー開催しました。
毎月、七山校で月に1回開催している犬語セミナー
今月もたくさんの方にご参加頂き、皆で学びました。
今回は、犬語セミナーとしてはイレギュラーなビデオ素材を使いました。
使用した動画は、某テレビ局で最近放送されたものです。
競技会で活躍する多頭飼育の犬たちの留守中の様子をカメラで撮影したものでした。
映像にはナレーションで犬の行動の説明がついていますが、その内容が項目学的には疑問をいだくものでした。
普通の飼い主ならどうみるのか、問いかけてみました。
参加者の方の反応は、実際ビックリといった感じでした。
行動分析についても、参加者のほとんどがナレーションとは違う意見を持たれていました。
七山まで犬についてセミナーを聴きに来られる方々なので、普通の飼い主とはいえないのかも知れませんが、それでも、少し安心しました。
テレビは影響力が強く、放送されるとそれが真実になってしまいます。
自分で考える習慣をなくしてしまい、情報だけを受けとるのは危険です。
犬語セミナーは、自分で考える習慣をつけるためのセミナーでもあります。
思い込んでいることについては、何度も動画をみて確認しましょう。
幸い、今は簡単に動画がとれます。
自分で考える犬語セミナーは毎月第4日曜日に七山校で開催します。
<クラス>家族いっしょに共感する時間:プライベートトレッキングクラス
雨が降ると梅雨入りしたかのようにシトシトと降り続く季節です。
それでもまだ5月、晴れ間のときには心地よい風が通る尾歩山。
この季節はプライベートトレッキングクラスのご利用が多く、とてもうれしいです。
うれしいのは、犬という動物そのものについて、もっと知りたいという気持ちを持ってトレッキングクラスに参加してくださるということが一番ですが、他にもいろいろとうれしいことがあります。
なにより、犬がとても充実しているように感じられるからです。
普段は家庭訪問を通して室内で見る犬たちが、山歩きをしているときにはいつもとは違うのです。
それは、楽しそうとか、喜んでいるという単純なことではなく、言葉では表現することが難しい感覚なのです。
その犬の「なんとなくいつもとは違う感じ」を、飼い主自身が受け取られるようになると、犬との関係性は今までとは違う新しい対等なものに近付いていく可能性を感じてしまいます。
その飼い主と犬の変化にワクワクしてしまうのです。
プライベートトレッキングクラスでの犬の行動は、最初はかなり不安定なことがあります。
土や獣の臭いに興奮したり、ウロウロと多動な動きをします。
普段から完全に拘束されているため行動の自律性が育っていません。
飼い主との関係性もトレッキングに影響するため、トレッキングクラスを通して学ぶことは限りなくあります。
「うちの犬もちゃんと歩けるようになるのだろうか?」というご質問を受けることもあります。
どんな練習やトレーニングも、結果ではないのですがやはり結果は知りたいですよね。
この段階でお伝えできることは、犬には可能性があり犬という動物として生きることについては躊躇はありません。
あとは、飼い主である人が犬が犬でいられる時間と場所にどれだけ付き合えるかということではないでしょうか。
山歩きをはじめたばかりの生徒さんは、犬よりもっと足元が不安定で「キャー」となってしまうこともよくあります。
最初はこけてズボンが真っ黒ということもあるので、着替えを持ってきたり、虫除けを持参したりと防衛の準備も結構大変です。
そんな大変さも苦にならないほど充実した時間が過ごせるのであれば、犬との山歩きの魅力は半端ないということではないでしょうか。
うれしいことのひとつに、自分が山で過ごせる時間をいただけるということです。
土のにおい、草のにおい、風が肌に当たる感覚、そして足裏のやわらかさを感じること、自分にとっても貴重な時間です。
<犬のこと>犬は湿気に弱い動物:この季節「湿度管理」に気をつけてください!
梅雨前のこの季節、雨が降りそうで降らない不安定な天候が続きます。
急に体調を崩してしまう犬も増えているようです。
犬の生活管理に注意を怠らない飼い主さんたちは、室内や屋外の飼育場所の温度管理にはかなり気を使われているようです。
犬は人のように汗を書きにくく一年中分厚い毛皮を着ているため、熱中症になりやすいというのは多くの飼い主さんが情報として持っているようです。
ところが、案外気づかれていないことがあります。
それは、温度管理と同じレベルで重要な湿度管理についてです。
まだ5月というこの季節は、真夏ように連日にわたり気温が高くなることがありません。
気温が25度程度であれば、危険性はないように思われます。
気温があまり高くなくとも、犬の息づかいが早くなってきたり、グッタリした様子をみせるようでしたら、湿度の方を確認してみてください。
犬の毛質やサイズによって個体差はありますが、湿度は60%を越えると犬の体には多少のストレスを与えるような環境になってしまいます。
室内にいるから大丈夫ではないかと思ってしまうのですが、実はそうではないのです。
土の上で生活している犬たちは、暑ければ土を掘って冷たい地面の上に体をうずめて冷気をとっています。
また、日陰で風当たりの良いところは湿度が低く保たれており、好んでこういった場所に身を隠しています。
これに反して、室内は風通しが悪く、土のような冷たさもありません。
体を冷すようなアルミ製のシートなども販売されていますが、土は冷却シートよりも冷たく心地よいのです。
風通しが悪く湿気を発しやすい室内には、エアコンという文明の利器がありますから、除湿で対応していただくしかありません。
特にクレートトレーニング中の犬については、クレート内の湿度が上昇しやすくなってしまいます。
除湿をしっかりかけて、扇風機を回して、室内の空気を循環させてあげましょう。
屋外の犬たちもコンクリートジャングルの中で、風を受けることができなくなっています。
地面は固められて大変暑く、熱気は下りてくるため逃げ場を失います。
屋外用の大きな扇風機を使ったり、日中は土間や玄関スペースや家の一部にいれるように練習するなどの配慮も都心では必要になってきているようです。
人為的に繁殖されている純血種犬の場合、自然環境で生きていくように設計されていません。
あくまでも、人が管理することが前提で人がデザインした犬たちです。
呼吸のしにくい鼻、分厚い毛、長くからまる被毛、脂肪のつきやすい体質など、犬はかなり厳重に管理しなければいけないようになっています。それが純血種犬だと理解しましょう。
愛犬に最適な湿度の基準をみつけるためには、温度と湿度管理をしながら犬の状態を把握して、その犬にあった環境を見つけていくことです。
留守中の気温の変化に対する反応は、リモートカメラでチェックできますね。
人工的な場所で、人工的に作った犬たちを飼うこと。
犬に負担を強いていることを認めた上で、エアコン代は必要と割り切ることも大切です。