グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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<クラス>紅葉の山で、犬と歩くトレッキングクラス

10月が過ぎ七山の尾歩山(おぽさん)も一気に紅葉してきました。

朝夕の寒さを肌で感じるようになり、この地区では灯油や薪の準備に追われているようです。

もちろんグッドボーイハート七山校も、同じように蓄えた薪を室内に運び込み寒い夜の暖とりに使っています。

色づき始めた山は視覚の情報に左右されやすい人間にとっては、この季節の楽しみです。

あの大変だった夏が終わり、過酷な冬を迎える前の、ほっとひとときの時間を犬と共に山を歩くことができるなんて最高です。

今回のトレッキングクラスでは生徒さんのおひとりが足元不調ということで、ピンチヒッターで犬のリードを持って山を歩くことになりました。

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まだ幼く興奮しやすい犬を落ち着かせながら歩くのは大変なことです。

ゆっくりと歩く犬を見ると「どうやったらあんなにゆっくりと歩けるようになるんですか?」と聞かれることがあります。

ゆっくりと歩く犬と共にいる飼い主さんはみなさん、それがどのようにしてできるようになったのかは記憶になりことと思います。

というのも、このトレッキングでの歩きですが、号令をかけたり犬に合図を送ったりせずに、自然に身についてくるものだからです。

トレッキングクラスのお約束はとにかく自分がバランスよく歩くこと、ただそれだけです。

そして、若い犬は必ず自分よりも後ろを歩くようにうまく誘導していくこと、これにも言葉は不要です。

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庭では興奮の激しい犬同志も、山に入ってしまうと不思議と落ち着きを取り戻していきます。

さっきまでの興奮はどこへというほどに、静かに山の地面を踏みしめながら歩くのです。

そしてこの季節、北風から吹く特別な情報を鼻でキャッチする楽しみは犬だけのものです。

どの犬も北側に高くその得意な鼻を持ち上げ、風に乗ってやってくるたくさんの臭いという情報をキャッチしています。

私達のように紅葉にうっとりすることのない犬も、北風の臭いにはうっとりしているように見えてしまいます。

たぶん、冬は犬が一番元気な季節です。

特別小さな犬にはお洋服が必要になるかもしれませんが、お家にこもりっきりにならず12月くらいまでは元気に山歩きをして欲しいものです。

とりあえず、毎日が大切な季節です。

紅葉

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<犬のしつけ方>犬のしつけは精神論ではないけど「応援する力」は本当の力になる

先日グッドボーイハート七山校で福岡の都心のマンションに生活する犬たちを同時にお預かりする機会を得ました。

2頭の犬は年齢もいっしょで1才未満という若さです。さらに、犬種も性別も同じです。違うのは多少体型に大小の差があるということとです。

見た目は同じように見える2頭の犬ですが、親の性質、繁殖は幼少期の環境、新しい飼い主として暮らした日々の環境や経験が違うため、その行動や内面には外からは見にくい大きな違いがありました。

特に違ったのは、他の犬に対するコミュニケーション力です。いわゆる他の犬に対する社会的行動です。社会化という過程を通して学習していくコミュニケーション力には違いがありました。

一頭の犬は慎重かつ積極的でありながら自分のスペースを守るためにできる行動や反応をしようと変化し続けている状態で、もう一頭の犬は、消極的で状況から逃げる行動習性を身に付け始めています。

初対面のふたりですが、対面時の反応はある程度予測できます。

一頭の犬は積極的に前進して臭いを嗅いで相手を調べた後は様々な反応で相手の応答を待ちますが、それに対する一頭の犬は小さくなる逃げる避けるをくり返し、狭い場所に隠れたり人の方に逃げ込んだりしようとする行動をします。

積極的な犬の方にイジメや暴力の要素のある接近の仕方であれば介入する必要がありますが、この場面はそうではありませんでした。

一般的な飼い主であれば可哀想と思って抱き上げたり自分のスペースに逃げ込ませて撫でていたり遠ざけたりするかもしれません。

実際見ていると小さくなっている消極的な犬は可哀想にも見えるのですが、生涯そうして逃げ続けていることの方が本当に可哀想なことだと思います。

逃げる犬の方が体格的にも多少負けていることもあったことと、積極的な犬と私の関係性がある程度進んでいることも含めて、過剰はひいきにはならない程度で逃げる犬を応援することにしました。

応援といっても気持ちだけではなく、本当に声を出して応援します。
「●●ちゃんガンバレ!、●●ちゃんガンバレ!」

まさに、あの有名なニッポンオリンピックの水泳競技のアナウンサーのようにひたすら同じエールをかけ続けました。

すると、消極的犬ちゃんの方がチラッと私の方を振り向きながらも体を伸ばして前を向きコミュニケーションに応じようと立ち上がってきました。

「●●ちゃんガンバレ!」というとまたチラっとこちらを見て背筋を伸ばしていきます。

相手の犬ちゃんも良し来たとばかり、コミュニケーションが成立し始めていることで落ち着きを取り戻し始めています。


さて、犬のしつけやトレーニングのベースは、あくまで犬という動物を科学的に捉えて理解する過程をもつべきです。

例えば、犬のしつけ方で紹介されている方法の中には、学習理論から外れた意味のないものもたくさん存在しているからです。

飼い主である自分が今犬に対して行っていることが、どのような仕組みで成り立っているのかとか、現在犬に提供している環境やコミュニケーションは犬という動物の習性に見合っているものなのかという観点も、犬を科学的に捉えることの中に入っています。

かといって、感情を抜きに犬と付き合えといっているのではありません。

わが愛犬のことをかわいい、いとおしいなど大切に思う気持ちがあってこそ犬のことを学びたいという気持ちも高まるものです。

ただ、犬を支える気持ちと行動というのは裏腹であってはいけません。

犬のことを大切に思うからこそ成長の機会を与えて見守る姿勢を自分自身が育てる必要があります。犬を過保護にすることや甘やかすことは決して犬のためにはならず、なっているのは自分のためだけなのです。

厳しい言葉のように聞こえるかもしれませんが、私達人間の社会にも同じようなことがたくさん起きているわけですから、知らぬ存ぜぬで通すことはできません。

「ただ応援する力」それだけのことですが、立ち上がる小さな犬ちゃんの姿に勇気をもらいました。

みなさんも今身近な誰かを応援していると思います。

本当に相手を思う応援の声は、一方的にかわいがることよりも必要とされているはずです。

飼い主さん、ガンバレ!

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<お知らせ>11月の犬語セミナー開催のお知らせ

2018年最後の犬語セミナー開催のお知らせです。

2018年11月25日(日曜日)

時間 12時30分~14時30分

参加費 おひとり2500円 当日払い

少人数制のゼミ形式のセミナーです。
お気軽にご参加ください。

お申込 グッドボーイハートへメールかもしくはお問い合わせフォームよりご連絡ください。

スカイプ利用で参加をご希望の方は、セミナー3日前までにメールもしくはお問い合わせフォームよりご連絡ください。

犬語セミナーは来年から不定期開催とさせていただきますが、都度ブログでお知らせします。


ちなみに今日は人間が決めた「犬の日」らしく、ペットのためのグッズ、ゴハン、防災、予防、美容などいろいろな特集があるようです。

犬のためといえば、物を買い与えることよりも相手を理解することだとグッドボーイハートは思うのです。

犬語セミナーで、ご参加お待ちしています。

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<クラス>今月も犬語セミナーを開催しました:お題は「預かりクラス時の犬の変化から学ぶ」

秋空の七山校で今月も犬語セミナーを開催しました。

今回、勉強の素材として取り上げた動画はグッドボーイハートのお預かりクラス時に撮影したものです。

犬の預かり期間に撮影した動画を通して、犬がどのように変化していくのか、行動観察を通して犬の状態を把握するという形で学びました。

通常の犬語セミナーではくり返し同じシーンを見ることで行動を細かく見ることで犬のコミュニケーションを学ぶクラスです。

しかし今回は、グッドボーイハート校でお預かりした犬の行動のビデオを使用したため、預かり中に変化する犬の行動を浅く長く捉えていただきました。

動画に登場してくれた犬くんは目の開かないうちに保護施設に保護された直後に現在の飼い主さんに迎え入れられました。

人が飼っていた家庭犬から生まれた犬ではなく、ゴミやえさをもらいながら生きてきた野良犬(もしくは野犬とも呼ばれる)の子供なので、社会的な発達にも難しさを伴います。

真剣に学ばれている飼い主さんにとっても新しい視点になればと、預かり中としては特別に長い時間をかけてビデオ撮影を行いました。

数日の預かりで変化する犬の行動。

行動がどのように変化するのか。

その行動はどのような意味を持つのか。

またその変化は犬のどのような状態を示しているのか。

今回のセミナーは奥が深く、かなり時間をかけて考えてもいくつもの見方のできるものです。

社会的に安定した行動をする発達した犬は、環境の変化が見られても行動に異様なほどの違いは見られません。

ところが社会的に不安定な犬ほど、預かり時は家庭で見られるのとは全く違う行動をするものです。

預かり時といっても、飼い主と同じような環境におかれると変わらない行動も、私のような専門的な知識をもつ者が接触をするとかなり違った行動をすることがあるのです。

セミナーに参加された犬くんの飼い主さんも、始めてみる犬の行動に大変興味深くご覧になられていました。

犬くんの年齢がまだ数ヶ月であることから、参加された若い犬と暮らす生徒さんたちも、自分の犬と比較しながら真剣に学ばれていました。

今回もスカイプ利用でご参加いただいたみなさん、遠隔では見にくい動画だとは思いますが共に学んで下さること心強く思います。

今年は来月に犬語セミナーを開催し、12月はお休みさせていただきます。

預かりクラスはトレーニングのためのクラスではありませんが、長い預かり期間を通して知りえることがたくさんあり、預かりクラスは訪問クラスと同じくらいグッドボーイハートでは大切なクラスです。

犬語セミナーは行動学という道具を通して犬のことを学ぶセミナーはまた同じように、グッドボーイハートにとっては大切な学びのクラスです。

来年から回数は経る予定ですが、今後も継続して参ります。

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<犬のこと>犬の後ろ脚の運び方がとても気になること

最近の小型犬たちの歩き方を見ていると、どうしても気になってしまうことがあります。

気になる歩き方とは、後ろ脚の運び方です。

犬の前脚と後ろ脚では長さが違います。

前脚はまっすぐな印象で、後ろ脚は曲がっていることをご存知だと思います。

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もともと山がお里の動物ですから、山の斜面を長時間歩くのに発達した体型なのです。

前脚も後脚も上にあげては下に降ろすという運び方で歩くのが犬の歩き方です。

ところが、最近の犬たちは前脚も後脚もあまり上にあげずに歩いています。

前脚は棒のように前に出るのですが、後脚の方は長くてまっすぐに前には出せないため、横から出すような歩き方になります。

武士の姿で裾の長いハカマを履いて歩く感じです。

右後ろ脚と左後ろ脚を交互に横に出しては前に運ばなければ、裾が長くて歩けません。

犬もそんな歩き方をしているのです。

同じような歩き方を人がするのは、アイススケートでも見ることができます。

足を滑らせながら歩くために、足を横に蹴るようにしてすべるため、左右の足が横に出ています。

脚を上にあげて歩かずに、横に出すようにして歩く犬は、小さいころ滑りやすい床面にいたのかもしれません。

サークルなどに入れられている環境でも、滑りやすい床面になっていることもあります。

また、サークルの中での立ち上がり行動や、飛びあがり行動も脚を湾曲させていきます。

様々な悪影響で後脚は次第に湾曲してきます。

後ろから見るとO脚になってしまうのです。

こうした後脚になってしまった犬は、坂道を歩くのが苦手です。

脚を上に持ち上げなければ、山歩きはできないからです。

山をあまり歩かない人も、山歩きをするといつも使わない筋肉が痛みを生じた経験を持たれた方もいるでしょう。

山歩きのように足を上にあげて歩く行動は、平な地面では必要ありませんから、足の筋肉も一部は使われずに退化してしまうのです。

坂道を歩けずにしゃがんでしまう犬ですが、そのうちにだんだん脚を上に持ち上げて歩けるようになります。

がに股になっている犬の脚がしっかりと上がっているのを見ることは、毎回感動します。

脚の筋力を鍛えて健康な体をつくるには、やっぱり山歩きが一番です。

飼い主さんの筋力作りにもおすすめします!

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<クラス>山登りに犬を連れていってもいいんですか?

先日はじめてのトレッキングクラスに参加してくださった飼い主さんと犬くんがいます。

今までは家庭訪問トレーニングクラスで犬の行動や習性について学んでいただきました。

ご家庭での環境作りや接し方の注意や、普段の生活の中で行動の変化を促すトレーニングをすすめます。

そして、家庭環境の整備がある程度すすまれてきたので、そろそろと思い体験のトレッキングクラスをお誘いしたのです。


グッドボーイハートの尾歩山トレッキングに参加される方がよくこんな風にいわれます。

「こんなに山だとは思わなかった。もっと普通かと思っていました。」と。

トレッキングクラスをお誘いしたのですが、普通な感じとはどんな感じなのでしょうか。

自分にとっては長靴でうろつくような庭になっている山が、都会暮らしの方にとっては「こんなに山」と受け取られているギャップがあるのですが、犬の方は大丈夫のようです。

だって、彼らは4つの脚をつかっているうえに、足裏にはパットというゴムもついています。

さらに、左右上下前後にバランスのとれる尾も本来は持っているはずなのです。

そして、低い姿勢で環境を把握できる、犬が最も誇る「鼻」を一番前に突き出しながら歩きます。

あしを出すたびに「気をつけて」と犬に声をかける飼い主さんもいますが、犬からしてみれば「気をつけるのはそっちの方だよ」とバランスの悪い人間の姿に目を覆いたくなっていることだろうと察します。


このはじめての犬との山歩き中に「トレッキングシューズをはいてくればよかった~」とおっしゃったので「えー、山登りされるんですか?どんな山だと思われましたか?」とお尋ねしました。

なんでもご家族で山登りに行くのを趣味にされているとのことでした。

しかも、その山登りですが犬は留守番させていかれるとの事です。

「えー。。。飼い主さんが山で犬が留守番ですか?それはうちにいた犬が聞いたら相当ビックリしますよ。」

ですが実際はよく「犬を山登りに連れていってもいいんですか?」と聞かれることがあります。

山のにおいをつけて飼い主が戻ってくるのに犬だけお留守番とは拷問みたいなものですね。


ごくまれに、保護地区や遺産地区では犬の排泄が環境汚染につながるという理由で許可されていない場合もありますが、それは特殊なケースです。

むしろ、山登りに行くのに犬を連れていかない理由がほとんど思い当らないばかりか、犬の最も大切な仕事は、山歩き中に飼い主が無事に戻って来れる様に飼い主を守ることなのです。

犬が一番やらなくてはいけない仕事を取り上げてしまい、お家の中で何もしなくていいのよといわれても、犬はさびしくやりがいのない毎日を送るしかありません。

犬も冒険していいではありませんか。

いや、むしろ犬は冒険する動物です。

しかも、飼い主といっしょに冒険する動物なのです。

グッドボーイハートのトレッキングクラスが犬との山登りのきっかけになれば、ものすごくうれしいです。

こてつトレッキング


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<犬のしつけ方>犬の分離不安症という赤ちゃん病も他の犬には通じないこと

犬の分離不安症や分離不安傾向などの行動や問題については、このブログでも数回にわたって取り上げてお話ししてきました。

犬の分離不安は複雑化する飼育環境と飼い主と犬の関係性、犬の繁殖や販売などの受け渡し方法など、いくつもの要因が絡まりあって起こる症状です。

分離不安を病気と位置づけて話を進めるつもりはありませんが、ここで症状という言葉を使わせていただくのは、あくまで分離不安傾向の高い行動は、犬の個体に定着してしまう行動とは別に考えていただきたいという意図を含みます。

この分離不安という言葉は、以前もご説明したとおり、児童心理学の分野から発生した言葉です。

飼い主が犬から離れることで犬がひとりになると不安定な行動を示すことが、赤ちゃんの生育時に母親に対して見せる行動と同じであること、さらにその行動を引き起こしている脳内の状態を同じであることが科学的にも明らかにされつつあるため、分離不安という言葉が犬にも用いられるようになりました。

犬の分離不安を取り上げる記事や情報は増え続けており、ペット化した犬という動物の行動やその脳の発達がますます不安定な状態を強いられていることを痛感しています。

犬の分離不安をご存知のない方のために簡単にご説明しますが、分離不安傾向の強い犬は、飼い主が自分の元を離れると奇声をあげるように泣き叫ぶ、まさにキーというような音を出すのが特徴です。

それらの泣き叫ぶ声を聞いた人の多くは、最初は子供が奇声を発しているのか、もしくは何か特別な動物が絞め殺されているのかとビックリするような声です。

犬が飼い主を呼び戻すときや要求するときに使う「ワンワン」といった犬らしい声とは違う声で、喉を締め上げるようにして出す声を聞くと、明らかに分離不安の状態に陥っていることがわかります。

その奇声を発している犬は、単純に叱ったりすることで吠え止むことができません。

なぜなら、行動修正を求められているということは、人側の反応に対し犬なりの反応を示すための感性(センサー)というが必要なのですが、このセンサーが若干壊れかけている状態だからです。

犬は本来集団で行動する動物で、子犬のときの待機(留守番)にしても複数でする習性を持つため、幼少期(生後3ヶ月)までにひとりで待機(留守番)できるようにするための環境作りには、入念な環境整備が必要です。

この環境整備が不十分な状態となり、その上犬を迎えた飼い主が犬の行動についての理解が不足した状態となると、子犬はコミュニケーションに不安を抱えることになり一気に分離不安状態へと突入していきます。

この分離不安傾向のある犬の場合は何才になっても、つまり老犬になっても赤ちゃん行動をくり返します。成熟しないというのも特徴のひとつです。

抑制がうまく働かない、つまり抑制が効きすぎたり効かなかったりする状態になります。

ストレスに弱く脳に混乱を生じやすいため、てんかんのような症状を併発することもあります。

分離不安傾向の犬は、飼い主以外の人にも赤ちゃん行動を伴って接触します。

手をかけたり甘噛みしたりとびついたり、お腹を見せて寝転がったりお腹を触ってとひっくり返ったりします。

犬によっては人見知りの状態となり、飼い主以外の人には近付かなくなる他人に不安を抱える行動をすることもあります。この場合は他人が近付こうとすると逃げる行動が見られます。

分離不安の犬は社会不安も高いため、他の犬と対等に接することもできません。たいていは逃げる、逃げられなければ牙を見せたり空咬みという咬み付き行動をします。

騒いで飼い主に抱き上げられることを覚えてしまう犬も多いようです。

人は犬が赤ちゃん的な行動をとると「かわいいわね~」とどちらかというと好意的に反応することが高いのです。

唸ったり吠え立てたりされることよりも、お腹を見せたりオシッコをしかぶる「失禁」行動をすることの方が弱々しい印象を与えるので歓迎されるのでしょう。

人はそもそも動物が怖いのですから(だから人社会を構築してきたのですから)、動物が赤ようにちゃんの振舞うことを歓迎する傾向は強いのです。

ところが、他の犬たちを騙すことはできません。

子犬には子犬特有の臭いがあります。その子犬の臭いがなくなったとき、子犬はもう子犬ではないのです。

犬たちは分離不安の犬の臭いを十分に嗅いだあと「お前は子犬じゃないな」と受け取ります。

それなのに犬が逃げる行動を取れば、当然のことですが攻撃されます。

「逃げるものは攻撃する」という行動の習性は、犬だけでなく非常に多くの動物のもつ習性です。

同じ習性を人も持っているのですが、心当たりはないでしょうか。

攻撃されているものを攻撃するのです。ワイドショーなどで、誰かが攻撃のターゲットになると一成にみんなでかかっていくのは、動物の行動習性を見るようなもので、当たり前のこととはいえ人も弱い動物であることを確信してしまいます。

分離不安行動の犬の赤ちゃん行動は、他の犬を騙すことはできません。

分離不安となる犬は社会的に他の犬と関わることができなくなってしまいます。

複雑かつ時間のかかる、犬の分離不安行動の解決について、飼い主とその周辺の人々を含めて、みんなで考え行動する必要がありそうです。

プリンとフレーバーボーン

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<クラス>犬の預かりクラスでできること:犬を一面で判断しないこと

秋の飼い主さんたちの行事で連続したお預かりクラスが、ひとまず終わりそうです。

グッドボーイハートのお預かりクラスは一般的な預かりトレーニングではありません。

犬を預けてトレーニングしてもらい返すという預かりトレーニングは行っていません。

なぜなら、犬の行動を作っているのはベースである基本的な性質を元にした環境要因であるからです。

犬の行動にどのような環境が影響を与えているのかを、飼い主が理解して変化させていかなければ、犬を飼うことはできません。

環境がほとんど変化しない動物を飼う環境とは、水槽のように一定した環境を維持するような方法によってのみです。

動物園の飼育場所も同じように環境が変化しないため、人と暮らすために必要な社会的な性質を育てる必要がありません。

犬をケージやサークルだけで飼い続けることは環境を一定させることにはなりますが、それでは犬を人が飼っているとか人が犬と暮らしているとは到底いえません。

ふつうに犬と暮らすという当たり前のことの中にこそ、犬の行動に影響を与えている環境がたくさんあるのです。

お預かりクラスでは、いつもと異なる環境で犬を預かります。

いつもと異なるといっても、家庭で犬が生活している中で最低ベースで必要な環境は預かりクラス中にも継続させます。

たとえば、お預かりクラスはクレーとトレーニングができることがお預かりの条件となっています。

いつも飼い主の膝の上に抱っこされているような状態では、お預かりはできないということです。

クレートや食器やマットがいつもと同じ、食べているものもいつもと同じ、排泄する場所はいつもと違う、お世話をする人も違います。

こうした預かり時の環境の変化で、家庭にいるとのは違う行動をするようになるのは犬としては当たり前のことです。


預かり時の犬の行動ですが、預かりの日数が増えてくると日に日に変化が見られます。

変化する犬の行動、その変化の過程を見ていると、犬の現在の行動がどのようにして現れるようになったのかが少し見えてくるのです。

家庭訪問トレーニングでは日常的な犬の行動をできるだけ直接見たいのですが、警戒心の高い犬ほどいつもと同じ行動をしません。

警戒していますから、どちらかというと大人しくなってしまいます。

来客に対して防衛が高くなるため、いつも以上に興奮していたり攻撃的になってしまい、やはり普段の行動をみせてくれません。

慣れてきて日常的な行動をとるようになったとしても、今度は飼い主さんの方がいつもと同じように接しないため、犬の行動に影響を与えている細部がわかりにくくなります。

預かり時に変化する犬の行動は、普段の家庭での生活に近い行動に戻っていくという過程から始まるので、犬がいつもどのような環境にいるのか、飼い主さんがどのように接する癖があるのかを知ることができます。

犬の預かり時のビデオを飼い主に見せると驚かれることがあります。

普段見ている自分の犬とは違うように見えるからです。

ビデオを通して客観的に見ることができるからいつもと違うように見れるというのもあるでしょう。

また、飼い主は普段は犬の一面しか見ていないともいえるのです。

飼い主の見ている犬の一面とは、犬にこうして欲しいと願っている部分でもあるのです。

ところが、犬の望んだその行動が犬にとって負担の大きなものであると、犬にはストレスがかかりますので、飼い主の全く望まない行動をするようになります。

お利口さんでいて欲しいと育てた子供が最初はお利口に振る舞うのですが、本来の自分が確立されないために、反発に転じ全く手に負えなくなるという状態だといえばいいでしょうか。

どれが正解ということでもありませんが、犬もひとつの命として誕生し人と摩擦を繰り返しながら生きている上に、犬に常に不自由なのです。

犬という動物として、少しの時間でも犬らしく、犬という動物として人と関わる時間を持ってほしいのです。

お預かりクラスにかかる体力、気力と時間は大変なもので、さらにそのことを消化する時間はその数十倍必要です。

ですが、犬のことを知りたいという単純な欲求が勝つため、効率を無視して活動してしまいます。

それでも、何かを見つけたときの喜びは計り知れないものです。

犬が自分の探究心の火をともし続けてくれる存在であり、生徒さんたちが共に成長していただける存在であってありがたいことばかりです。

アルクと彼岸花

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<犬のしつけ方>犬のしつけ方、いろいろ探して試したけど結局わからなくなってしまった方へ

彼岸の季節になると、きっちりと花を咲かせてくれる彼岸花が七山でも見られるようになりました。

お米の収穫時期と重なるので、彼岸花を見ると新米を連想してしまい、結局は花よりだんごなのは犬と同じようです。


さて、犬のしつけ方のご相談でご連絡をいただくときに、同じような壁にぶつかっていらっしゃるのだなと感じるようになりました。

犬のしつけ方についていろいろと調べてたくさんの情報を得たのでいろいろやってみたけれど、一体どれがいいのかわからなくなってしまったというものです。

10年前にはあまりなかったことですが、現在のように誰でもスマホを使って簡単にネット検索ができるようになった背景があります。

ネット検索は広告宣伝や収益と常に結びついているために、みなさんの検索しやすい情報が散乱している状態になっているからです。

しかもその情報の中には、いろんなページのコピー&ペーストであったり、本に書いてあることの受け売りだったり、はたまたフェイクニュースだったりといい加減なものもたくさんあります。

特に犬のしつけ方に関しては、「これをすれば犬の困った行動がなくなりお利口さんになる」というようなハウツー的な情報には注意が必要です。

逆に、犬はこのような動物です、犬の習性にはこうした行動がありますといった情報は、まず疑いを持ちながらも精査していく情報のひとつとして取り上げていくことができます。

一般の方が犬の行動を読み解けるようになるまでは、かなり時間がかかってしまいます。

そのうちに犬はどんどん成長したり、難しい行動がますます難しくなるといった状態に至ってしまいます。

そのために、焦りが出てしまい早く解決しなければいけないと思って、ハウツー情報に頼って犬のしつけにとりかかってしまうというお気持ちもよくわかります。

ところがこの対処法ですが、そう長くは続きません。

一旦はよくなったように思えても、次に膨らむときには前以上の問題となって浮上してきます。

犬をノックアウトさせるようなしつけの方法になると効果があったとはいえますが、時間をかけて成長を促していき発達の機会を与えるという「育てる」時間も奪われてしまいます。

大人しい犬になったとしても、飼い主さんとの関係は難しいものになってしまうこともあります。

犬の行動を読み解けるようになるのに、何が一番難しいのしょうか。

それは、犬の行動に影響を与えているのは飼い主である自分自身だということです。

飼い主が自分の行動を客観的に見ることのできる機会を得られなければ、犬の行動を変えることはできません。

飼い主は無意識にやっている日常的な行動が犬に影響を与えているとは、なかなか考えられないのです。

こうなると第三者的な立場に立って説明を行う人が必要となります。

家庭犬インストラクターという仕事はこの第三者的な立場として入っていくことです。

直接、犬をしつけて飼い主に渡すのは、家庭犬インストラクターの仕事ではありません。

自分の役割は、犬を理解する力を身につける人をひとりでも多く育てていくことです。

23日は犬語セミナーを開催します。

このセミナーも同じ目的を持っています。

今回もまた、スカイプ利用でのご参加を受付ました。

インターネットという道具を有効に利用して、日本全国から犬語セミナーに参加してくださる方々といっしょに、この何もない七山で犬のことを真剣に考えます。

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<犬のこと>子犬のトイレのしつけは将来にわたり犬の行動に影響を与えます

今月は生後6ヶ月の犬ちゃんがお預かりクラスを利用しています。

若干長めのお預かりになるので、預かり中にステップアップして行動の範囲を広げていきます。

預かりの犬のテリトリーの広げ方も、家庭でのトイレのしつけができているかどうかが大きく影響します。

家庭内でトイレのしつけができないような状態では、預かったときに適切にテリトリーを作りながら安定を図るというのは犬にとっては難しいことだからです。

逆に、家庭内できちんとトイレトレーニングができていると、預かりや屋外活動を始めたときの行動がより早く安定します。

家庭内でのトイレトレーニングも、寝床のテリトリーから輪が広がるようにいくつもの境界線を広げていく形で行いながら、ベランダや庭といった屋外スペースに排泄場所を獲得できている犬たちは、テリトリーの安定度が高くなります。

逆に、室内拘束状態となってトイレがいつも室内のトイレトレーという環境になると、そのことは犬の行動にも影響します。

犬が家庭内で適切な排泄行動をするようになったら、やっと次のテリトリーで行動ができるようになります。

つまりやっと散歩に出られるようになるということです。

たくさんの刺激にたださらすことが社会化だという検討違いな考え方や方法論が横行しています。

トイレのしつけもできていないような状態で屋外の刺激にさらすことは、社会化を後退させることになるためおすすめできません。

さて、現在預かり中の犬ちゃんですがご自宅に来る前からトレーニングのご相談を受けていたため環境整備がスムーズに進みました。

飼い主さんの努力もあってトイレのしつけは早い時期に終了していました。

預かり中も庭で排泄の機会を与えるようにすると、庭の端の方で排泄を行います。

庭に出る前に広めのテラスがあるのでそのスペースがひとつの境界線になって安定するようです。

またテラスが地面よりも高く階段3つ分くらい上にあるため、そのことも犬の行動を安定させるのに役立っています。

室内の一定の場所で過ごさせるように練習しても、室内で排泄の失敗をすることはありません。

排泄欲求が高まり庭への戸口に早くたどり着けるように、室内環境も一度に広げずに少しずつ広げていきます。

預かり中に行動を安定させるために、排泄の管理についてはかなり慎重に行っています。


同じことですが、家庭内で排泄行動が安定している犬は、旅行先などでの排泄の失敗もほとんどありません。

ただこの場合も、室内のトイレトレーで排泄をする習慣をもつ犬の場合には若干不安定になってしまいます。

日本国内では、室内にトイレ場所があるのが普通になりつつありますが、海外では室内トイレを見ることがまずありません。

小型犬でも庭に出られるようにペットドアをもうけている家がほとんどで、みな庭やベランダなどの屋外で排泄をしています。

この室内のリビングというゴハンを食べる場所に犬のトイレ場があるという光景が、異様に思われていないのはなぜだろうと不思議でなりません。

大型犬の場合には排泄量の多さからなのか、子犬の時期から庭で排泄させられるご家庭も多いようですが、大型犬もサークルに入れられて排泄を強いられているのを見ると、のちの行動に影響を及ぼしてしまうと思い危機感を覚えます。

テリトリーが安定していると犬の自由行動範囲も広がっていきます。

つまり犬の自律した行動が引き出せていけるということです。

犬が自分のテリトリーを主張しすぎると人が犬を呼んでも帰ってこなくなるという逆の問題も生じてきます。そこは人との関係性の問題なので、しっかりと取組みましょう。

犬が成長していけば次の新しい課題が出てくるのは当然のことです。

こうして人も犬も動物としてひとつずつ成長していくのだと思うのです。

そうなるのが嫌だからと犬を閉塞的な空間に閉じ込めてしまうと、犬の豊かな生活と性質の発達はできません。

つまりはどちらかを飼い主が選択する必要があるということです。

犬とどのように暮らしていきたいのか価値観も様々でしょうが、お互い様とまではいかなくても家族である犬がそれなりに動物として成長し豊かな感情で安定して生活できるようにしたいものです。

預かり犬ちゃんですが、いろいろと行動を起こしてくれるので行動観察の素材として楽しませていただいています。

また、その様子をお知らせします。

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