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<犬のしつけ方>犬の分離不安症という赤ちゃん病も他の犬には通じないこと

犬の分離不安症や分離不安傾向などの行動や問題については、このブログでも数回にわたって取り上げてお話ししてきました。

犬の分離不安は複雑化する飼育環境と飼い主と犬の関係性、犬の繁殖や販売などの受け渡し方法など、いくつもの要因が絡まりあって起こる症状です。

分離不安を病気と位置づけて話を進めるつもりはありませんが、ここで症状という言葉を使わせていただくのは、あくまで分離不安傾向の高い行動は、犬の個体に定着してしまう行動とは別に考えていただきたいという意図を含みます。

この分離不安という言葉は、以前もご説明したとおり、児童心理学の分野から発生した言葉です。

飼い主が犬から離れることで犬がひとりになると不安定な行動を示すことが、赤ちゃんの生育時に母親に対して見せる行動と同じであること、さらにその行動を引き起こしている脳内の状態を同じであることが科学的にも明らかにされつつあるため、分離不安という言葉が犬にも用いられるようになりました。

犬の分離不安を取り上げる記事や情報は増え続けており、ペット化した犬という動物の行動やその脳の発達がますます不安定な状態を強いられていることを痛感しています。

犬の分離不安をご存知のない方のために簡単にご説明しますが、分離不安傾向の強い犬は、飼い主が自分の元を離れると奇声をあげるように泣き叫ぶ、まさにキーというような音を出すのが特徴です。

それらの泣き叫ぶ声を聞いた人の多くは、最初は子供が奇声を発しているのか、もしくは何か特別な動物が絞め殺されているのかとビックリするような声です。

犬が飼い主を呼び戻すときや要求するときに使う「ワンワン」といった犬らしい声とは違う声で、喉を締め上げるようにして出す声を聞くと、明らかに分離不安の状態に陥っていることがわかります。

その奇声を発している犬は、単純に叱ったりすることで吠え止むことができません。

なぜなら、行動修正を求められているということは、人側の反応に対し犬なりの反応を示すための感性(センサー)というが必要なのですが、このセンサーが若干壊れかけている状態だからです。

犬は本来集団で行動する動物で、子犬のときの待機(留守番)にしても複数でする習性を持つため、幼少期(生後3ヶ月)までにひとりで待機(留守番)できるようにするための環境作りには、入念な環境整備が必要です。

この環境整備が不十分な状態となり、その上犬を迎えた飼い主が犬の行動についての理解が不足した状態となると、子犬はコミュニケーションに不安を抱えることになり一気に分離不安状態へと突入していきます。

この分離不安傾向のある犬の場合は何才になっても、つまり老犬になっても赤ちゃん行動をくり返します。成熟しないというのも特徴のひとつです。

抑制がうまく働かない、つまり抑制が効きすぎたり効かなかったりする状態になります。

ストレスに弱く脳に混乱を生じやすいため、てんかんのような症状を併発することもあります。

分離不安傾向の犬は、飼い主以外の人にも赤ちゃん行動を伴って接触します。

手をかけたり甘噛みしたりとびついたり、お腹を見せて寝転がったりお腹を触ってとひっくり返ったりします。

犬によっては人見知りの状態となり、飼い主以外の人には近付かなくなる他人に不安を抱える行動をすることもあります。この場合は他人が近付こうとすると逃げる行動が見られます。

分離不安の犬は社会不安も高いため、他の犬と対等に接することもできません。たいていは逃げる、逃げられなければ牙を見せたり空咬みという咬み付き行動をします。

騒いで飼い主に抱き上げられることを覚えてしまう犬も多いようです。

人は犬が赤ちゃん的な行動をとると「かわいいわね~」とどちらかというと好意的に反応することが高いのです。

唸ったり吠え立てたりされることよりも、お腹を見せたりオシッコをしかぶる「失禁」行動をすることの方が弱々しい印象を与えるので歓迎されるのでしょう。

人はそもそも動物が怖いのですから(だから人社会を構築してきたのですから)、動物が赤ようにちゃんの振舞うことを歓迎する傾向は強いのです。

ところが、他の犬たちを騙すことはできません。

子犬には子犬特有の臭いがあります。その子犬の臭いがなくなったとき、子犬はもう子犬ではないのです。

犬たちは分離不安の犬の臭いを十分に嗅いだあと「お前は子犬じゃないな」と受け取ります。

それなのに犬が逃げる行動を取れば、当然のことですが攻撃されます。

「逃げるものは攻撃する」という行動の習性は、犬だけでなく非常に多くの動物のもつ習性です。

同じ習性を人も持っているのですが、心当たりはないでしょうか。

攻撃されているものを攻撃するのです。ワイドショーなどで、誰かが攻撃のターゲットになると一成にみんなでかかっていくのは、動物の行動習性を見るようなもので、当たり前のこととはいえ人も弱い動物であることを確信してしまいます。

分離不安行動の犬の赤ちゃん行動は、他の犬を騙すことはできません。

分離不安となる犬は社会的に他の犬と関わることができなくなってしまいます。

複雑かつ時間のかかる、犬の分離不安行動の解決について、飼い主とその周辺の人々を含めて、みんなで考え行動する必要がありそうです。

プリンとフレーバーボーン