グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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<犬のこと>落語「いぬ」から学ぶ犬のこと

このブログを読まれている方はほとんどご存知かと思うのですが、私は比較的フラットな感じであまり騒いだりはしゃいだりすることがありません。

中学、高校と女子校にいましたが、中性的な立場でキャーキャーと騒ぐ女子達の中にいても、どちらかというと落ち着かせる機能を働かせる方でした。

その私でも、面白いと思ったりすることはもちろんあります。

その面白さはばかばかしいということよりも、へーなるほど面白いなと納得するようなことがほとんどです。

今年一番最初に面白かったことは、年末から続けてみてしまった桂枝雀師匠の落語の中にありました。

動画を検索して見たのでお題のなかに「いぬ」というのを見つけてしまいました。

どうやら干支にちなんだお題として毎年紹介されたいたもののようで、この年は戌年だったのでしょう。

その「いぬ」というお題の落語の中に登場する犬たちのはなしがほとんど最もな話なのです。


要約すると、ある人が突然犬の話がわかるようになり、夜酒を飲んで帰る途中に犬の集会に出くわして話を聴くというところからはじまります。

犬たちは人に飼われている犬で、鎖や首輪を自分達で外して夜こうして集会をしているとのことでした。

犬はいうにはこんなことでした。

もともとは自由に過ごしていたのだけど、人が鎖や首輪という道具をつくって犬を飼うということになった。

それなら人も利用のし甲斐もあるので、犬の方で飼われて利用してやろうということでこうやってみたということらしいです。

ところが人は案外犬が期待していたのとは違ったらしく落胆することも多いとのこと。

以前は残飯でいいごはんだったのに、ドッグフードなどというものをつくってしまいどうにかしてほしいという嘆願。

さらには、人があまりに横着なために人とは縁を切ろうと考える過激な意見も若い犬の中には出ているということ。

それで、どうか大自然の法則にのっとった形ですすめてもらえないだろうかという風に人に訴える長老の犬。

台本を書かれたのがどなたかわかりませんが、犬という動物のことをよくわかっているなと感嘆したのです。

犬のことをたくさん勉強して犬の専門家などになってしまう人たちの方が、こうした発想には至らなくなります。

それは、犬の専門家の多くが人の都合にたって考えることも共に学んでしまうからでしょう。

私達が幸せになるためには犬をどうしたらいいのか。

どのように手をかけず犬にいうことを聞かせ大人しくして、人のペットにすることができるのか、そんなことばかりを学んでしまうようではこの落語は笑えないどころかツボにもはいってきません。

興味のある方、ぜひ一度「いぬ」という落語を聴いてください。

もう時代が流れすぎてしまい、小さいころに野良犬がそばにいた記憶を持つ人々も化石に近付きつつあります。

きっと私もその生き証人のひとりなので、私達が生きている間に考え方の立ち居地だけでも改めていけないかと思います。

あるくあずかり3

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<犬のこと>犬の寒さ対策の悩みをどう解決するか?過保護になりすぎず安心に過ごすためには

年を明けていよいよ厳しい冬が到来してきた感じです。

急な気温の変化に犬の体調不良に不安な気持ちになることもあるかもしれません。

この時期、私達でも発熱、下痢嘔吐、くしゃみ咳といった風邪症状も出やすい時期なので、犬にも同じようなことが起きても不思議ではありません。

しかし、犬は本来屋外に住んでいる動物ですし、普段から靴下を履く生活はしていません。

洋服も一張羅を羽織って一年中同じもので過ごしていますので、どのように寒さを越えさせればいいのか悩むところです。

これまた動物なので人と同じ原理になりますが、まずは個体差というのがあるのを認めることにしましょう。

個体差の中にはもって生まれた被毛の暑さ、犬の大きさというサイズ、脂肪の厚みがいわゆる洋服の部分に相当するものです。

分厚い脂肪をもっていて二重になる毛というコートをもっていれば犬は体温保持ができるので寒さ対策は特に必要ありません。

具体的には、屋外で飼育されていた雑種犬や柴犬、秋田犬などの日本犬の方はこちらのグループに入ります。

またサイズの大きな犬、ラブラドールリトリバー、ゴールデンリトリバー、ボーダーコリーなどもこちらに入ります。

中型犬や大型犬の北地方から来た犬たちは屋外での作業のために必要な寒さ対策ができています。


寒さ対策に悩まなければいけないのは小型犬たちです。

小型犬の多くが室内飼育が長くなり、被毛が薄く寒さを十分に保持できません。

中では流行のプードルは比較的脂肪がつきやすく持ち上げると案外体重があるのと被毛のくるくるのなかに空気層ができやすいため冬でも結構元気に動いているのをみます。

洋服がなくともあまり震えている犬を見かけません。

同じようにミニチュアダックスも脂肪がしっかりとついており、洋服とはあまり縁のない犬種です。

チワワ、イタリアングレーハウンド、ミニチュアピンシャーなどは、しっかりとした防寒洋服を着せてあげる必要があるでしょう。

これらの犬たちは、室内温度によっては室内でも服が必要になることがあります。

しかし、いつも服を着ることは犬の皮膚の感覚を麻痺させてしまいのちのコミュニケーションにも影響が出やすいものです。

できれば室内を暖かく保ってあげることで室内では服を着なくてもいいような環境にしてあげてほしいものです。


小型犬は床から20センチくらいの場所にいるのですから、床面の暖かさが大切です。

犬用のベッド、犬用ベッドの前には遠赤外線のストーブなどを設置していただき、好きなときに温まるという風にしてあげると犬の方で調整もできます。


ただ最近の犬の中には自律神経のバランスが不調な犬も増えています。

自律神経とは様々な体の具合を調整する神経機能ですが、これが失調していると体温調節もままならなくなってしまいます。

暖かく保持するのも難しければ、体温を下げる機能もできないのです。

自律神経のシステムは人と同じで、調整できるようにバランスをとるためにできることもいろいろあります。

どんなに暖かくして洋服を着せて暖をとらせようとしても、大元の体温調節機能のダイヤルが崩れているならどうしようもないのです。

自律神経のバランスを発達させるためにできることはなんだろうか。

結局はここを考えることが大切な根の部分になります。

自律神経は自律の神経、自律を促していくことは自律神経の発達をささえる根本治療です。

ゆずおくらいり

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<日々のこと>今年最後のクラスが終了して思うこと

七山に通学レッスンに来られた生徒さんと犬ちゃんを先ほどお見送りして今年もお仕事を終えたといいたいところですが、預かり犬ちゃんたちがワイワイとしていますので、いっしょに年越しとなります。

グッドボーイハートという学校を通して、たくさんの人と暮らす犬と関わりを持たせていただき今年で19年目を迎え、来年は20年を迎えることになります。

家庭犬より以前の犬の仕事の期間も含めるともっともっと長い時間、犬という動物に深く関わることで犬について学ぶチャンスを人一倍いただいています。

家庭犬のしつけとは、犬が人のもとで安心して暮らせるように環境と関係を整えて築き上げていくことです。

一方、人犬との関係を深める中で生まれる種を越えた特別の関係を得られ、動物から学びつつ楽しみを分けてもらえます。

犬と人が暮らすというのはどこにでもあることなのだけど、自分にとっては特別のことのように思えてなりません。

犬についてこうだと思ったことがそうでなかったのではないかと思うことも度々で、今でも反省をくり返すばかりです。

学んでも学んでも学び足りないと感じることばかりで、どのように環境を整えていけばいいのか、どのように伝えていけばいいのかなどいつも悩みつつ壁にぶつかりつつ悔しい思いもしながら犬と、そして人と向き合ってきました。

この今の段階で私が犬について思うことは、犬という動物は本質的にはやはり、ゆったりとした穏やかな動物であるということです。

犬好きの方の中には、犬が走り回ったりはしゃいだり擦り寄ったり鼻を鳴らしたりすることを楽しい性格だと思う場合もあるかもしれません。

子犬が走ったりはしゃいだりして楽しんでいるのは、子犬らしくかわいいと感じることはできます。

ただ、成犬になった大人の犬たちがすぐに興奮してしまったりテンションが上がったり、他人や他の犬の存在に攻撃したりもしくは興奮してとびついたり走り回ったり擦り寄ったりする行動を見ると、その犬はまだ十分に落ち着くことができない状態にあるのだと判断します。

おそらく最近では多くの人が、落ち着いて穏やかに過ごしている犬を見かけることがほとんどなくなってしまったのでしょう。

昭和のはじめくらいにリードをつけずにウロウロと散策しながら人と距離をとりながら待ったりと過ごしていた犬たちをもう見かけることもありません。

常に狭いスペースの中に拘束され、不自由さとストレスと戦いながら、不安や緊張で落ちつかなくなったり興奮したりパニックしたりする姿を喜ぶ飼い主と共にすごく高いテンションで過ごしている犬が増えています。

平成の平の字のようにフラットでゆるぎない気持ちと心と関係性は、犬の中にも人との関係の中にもなかなか見出すことはできませんでした。

でも、それでもなお諦めません。

犬という動物が本当に求めているもの、犬という動物のすばらしい安定と穏やかさをほんの少しでも取り戻せるように、そしてそれを飼い主さんと共に感じ喜びとしたい、これが今年の最後に思ったことです。


結局、七山では雪景色は見られませんでしたが、冬はまだまだこれからです。

良いお年をお迎えください。

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<犬のこと>週末は寒波が来るらしい、どのくらい暖かくしてあげたらいいかわからない

クリスマスを終えていよいよ冬到来というところでしょうか。

今週終盤には寒波が来るらしいということで、冬の警戒モードもますます高まります。

犬たちの中には急な気温の変化に対して下痢などの反応を示すこともあるようです。

本来は屋外で過ごすのが中心の動物でしたが、室内飼育が増えて活動量が減ってしまい、また室内の快適空間に慣れすぎていることから、犬もずい分弱くなったものだなと思います。

犬なんだからもう少しがんばって欲しいという気持ちと、ここまで過保護に育てられているのだからがんばれという方が酷だろうという二つの気持ちが行き来してしまうときです。

犬も人と同じように過保護にしすぎるとやはり弱くなってしまうものです。

昔の話をしても仕方ありませんが、もう少し気温も低く家も隙間だらけだったのにろくな暖房設備もない昭和の時代に、あんなにがんばって過ごしたのに、暖かい生活に慣れてしまうとついつい自分自身も過保護にしてしまいます。

犬たちに対して無理をしてほしいとは思いませんが、過保護を控え適切に寒さを楽しめる程度にはしていたいなと思います。

つまり、少し寒くての散歩には出て欲しいのです。

ところが散歩といってもリラックスして楽しめる散歩でなければ、寒さを乗り切ることもできません。

だからこそまずは、散歩がリラックスしてできるような社会性を身につけつつ、寒さを心地良いと感じられる強さを身につけてほしいのです。

犬のしつけや社会性の発達、寒暖に対する耐久性などは全く無関係のことと思われがちですが、自分との戦いのひとつでもありますから、やはり自分に強い動物がいろいろな面でがまんも効くのです。

つまりは心が強ければ体も強いということになります。

お恥ずかしい話ですが、実は最近風邪を引いてしまいました。

本当に軽い鼻かぜなのですが、めったに風邪を引くことはなくなっていたので多少ショックでした。

自分を甘やかしたつもりはないけれど、年齢には逆らえない部分もあるということでしょうか。

犬も若いうちに鍛え、年齢にあわせて順応性をもちながら環境を整えてあげてほしいです。

次回は暖かくする作戦について書くことにします。

ちなみに私の風邪はショック療法で改善させました。

この寒い時期にバイクにのってかなり寒さを味わってからお風呂で温める逆療法です。

結構応えましたが、体の甘えを許さないよというメッセージは効いたようです。

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<クラス>家庭訪問トレーニングを利用して合同の散歩練習会

グッドボーイハートが提供する家庭訪問ドッグトレーニングのしつけ方指導は、各ご家庭の環境にあわせて行うプライベートクラスが基本の形です。

この基本形をアレンジして行う合同トレーニングはあまり頻繁に開催していませんが、条件や相性によっては合同トレーニングを開催することがあります。

合同トレーニングとは、2つのご家庭のレッスンを同じ場所で同時に開催するというものです。

主には、2頭の犬たちがいっしょに散歩の練習をするトレーニングクラス、同時に2頭の犬の対面を通して犬の社会性の発達の具合や今後の課題を探っていくためのクラスです。

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犬と犬を対面させすクラスは普段は七山の良い環境を使いながら行っています。

狭い室内や限られた空間、ストレスを得やすい都心の臭いなどに囲まれていない管理されたスペースを利用することで、犬と犬の対面に良い変化を促していくことを目的としているからです。

時にはこの犬と犬の対面は、飼い主さん不在のお預かりクラス時に行うこともあります。

これも、飼い主さん不在である方が犬の一方上の行動が引き出されそうだと判断したときにはお試しでもやってみています。

犬の可能性は自分たちの想像の範囲を超えていますので、時間と空間を有効に活用しながら犬の今のコミュニケーション力とこれからの成長の兆しを見つけていけることはとても楽しい時間です。

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今回、合同で散歩と対面のトレーニングクラスを開催したのは、生後4ヶ月になる黒柴の犬ちゃんと、生後5ヶ月になるシュナウザーの犬ちゃんです。

お住いや普段過ごしている犬の環境、犬たちのコミュニケーション力の発達の程度、飼い主さんのお世話の時間や労力のかけ方や熱心度、そしてそれらの環境を通して現在成長中の犬ちゃんたちにある程度の似た部分を見つけることができてお声かけしました。

子犬同士の対面で、しかもリードをうまく利用しながらの対面は、実際にはひとりではなかなか大変なものです。

普段はリードをつけているときには絶対に他の犬と対面させることがないようにとお願いしていますが、こうした練習の際には、私自身が2頭の犬のリードをコントロールしながら対面が順調に進むように環境の調整をしていきます。


場所は都心の中でも森の臭いがして開放感があり、そして広場ではなく人通りも犬もいない場所を選びました。
あいにくあまり天候がよくなかったのですが、このことで犬の散歩をしている人もほとんどおらず、好条件でのクラス開催となりました。

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わたしが何をやっているのか、犬たちがどのようにコミュニケーションをとろうとしているのか、合間合間に説明をしながら、犬が必要としていること、犬を落ち着かせること、犬と犬が対面することの意味などを学んでいただきます。

この対面はビデオに撮影してもらいました。次回の犬語セミナーで飼い主さんたちといっしょに見ることができればと思っています。

次回の犬語セミナーですが、来年の1月の月末の日曜日に調整をすすめています。

決まり次第、ブログで紹介させていただきます。

犬たちのこれからの成長がますます楽しみです。成長は楽しいこともありますが、辛いことも難しいこともあります。それは自分達の成長と同じです。

どちらかというと相当大変だったことの方が自分を成長させてくれたと感じられるはずです。

犬も大変な思いをするのですが、それが成長の過程の中で起きることであれば、犬もそれを乗り越える力を持っています。犬のことを信頼しましょう。それが犬に対する本当の愛情です。

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<日々のこと>年末に受け取るお知らせに思うこと

年末が近付くこの月は、ご縁のあった犬たちの旅立ちの報告を受ける時期でもあります。

ご家族とって大切でかけがえのない犬という家族を失われた悲しみは計り知れず、またしばらく会う機会のなかった犬たちにも、もうこの世で会うことはないのだという自分のさびしさは仕方のないこととまずは受け取ります。

同時に、可愛がられて育った犬たちが無事に生を終えたことに対する安堵と看取られた飼い主さんに対する感謝の気持ちもわいてきて感無量になります。

つい先日も、16年前にお世話をさせていただいた盲導犬の育成施設でお預けしたパピーウォーカーさんの育てた犬が家庭犬として引き取られたあと、そのご家庭で生涯を追えた旨のお知らせをいただきました。

パピーウォーカーから飼い主となった家族の変化はあれど、家族として長いあいだ大切に、また楽しく過ごしていただいたことを聞いて本当にうれしくまたありがたく思うのです。


犬は四つ脚の動物ですから10年も生きれば長生きといえるでしょう。

十三年とか、十五歳ともなると、ずい分長生きをしたものだなと関心するところです。

人と比べるとあまりにも短い一生ではありますが、犬にとっては十分な月日であることを認めていかなければなりません。

十年というと、季節が10回しかめぐってこないということです。

一歳の冬、二歳の冬、そして三歳の冬。。。

あっという間の10回の季節です。

その1回1回の季節を犬たちはどのように感じ、どのように成長していくのか、それを実現できるのは飼い主でしかありません。

長生きすればそれはそれでいいですし、長らえることがなくても毎年毎年の季節を思いっきり過ごすことができれば、動物としてはそれで十分ではないでしょうか。

犬自身は自分があと何年生きるとか、何日生きるなどと計算して喜びを分散させることもないし、求めすぎることもないのです。

この冬、みなさんと犬たちがどのような季節を越えていかれるのか、ぜひ楽しんでいただきたいと思います。

お金をかける必要はありませんが、時間と空間という余裕が必要です。

その余裕がなかなかなく、そのうちにと思っているうちに犬は短い生涯を終えてしまうのかもしれません。

目の前に元気な犬がいるのなら、まだまだ犬と共にこの季節を楽しみつつ成長の機会を得てください。

この冬の楽しい思い出を聞かせていただくこと、私も楽しみにしています。

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<動画>来客の時に興奮する犬を落ち着かせる方法:「インターホンでハウス」はハウストレーニングの必須項目です。

犬は環境の変化に対して敏感に反応します。

室内飼育の犬の場合には、犬が住処としている室内に異変が生じると大変興奮します。

誰であれテリトリーを侵入する気配を察すると、吠えたり玄関に走り出す犬はそう珍しくはありません。

テリトリーを守るという行動は犬の習性に応じた行動です。

犬が来客時に吠えたり興奮したとしても、来客が飼い主の友人や知人であることを理解して落ち着きを取り戻すのであれば全く問題ありません。

ですが、来客が誰であるかを確認するまでの間、犬は大変不安定な状態に陥ることがあります。


特に室内飼育の犬の場合には、屋外の犬とちがって逃げる場所がない最後のテリトリーになるため、来客の合図には過剰に反応するのです。

来客の時には犬をできるだけ落ち着かせてあげる必要があるのですが、どうもやり方によっては全く間違っている方法を取られることがあります。

絶対にやって欲しくないのは、吠える犬を抱っこして玄関に出迎えに行くことです。

いろいろと理由はありますが、落ち着かせという自律力を育てるためには、抱っこは落ち着かせにはなりません。

とても依存した形で飼い主の抱き上げに頼るという依存行動となります。

犬によってはさらに不安を抱えやすくなり、分離不安の犬であればそれが悪化していくでしょう。


では、対応としてはどのような形が最もやりやすいのかというと、やはりテリトリーを活用したハウストレーニングです。

インターホンがなったらハウスに戻るように教える練習をした成果を生徒さんから動画でいただきましたのでご覧ください。


犬のリキちゃんがペットボトルのトリートボールで遊び中にインターホンがなり、飼い主さんがハウスを促す映像です。↓


     ※画像をクリックすると動画再生します。

動画を見ていただくと分かるのですが、まず飼い主さんがとても落ち着いているということです。

飼い主さんが慌てたり興奮したりすると犬も興奮してしまいます。

また、抵抗なくハウスに入るリキちゃんも印象的かもしれません。

ハウスは犬にとって大切な落ち着ける場所であるはず、ハウスに入りたがらないのであれば飼い主としていろいろと考え直す必要があります。

リキちゃんがハウスに入ったあとに騒いでいないのも高く評価できる行動です。


犬のしつけは習慣化していくのが基本ですが、習慣化のためにはくり返し練習が効果的です。

くり返し練習に入る際にはオヤツがなくてもできるようにしてから行う事も大切なことです。

難しいようですが意外に簡単なトレーニングです。

来客の時に犬を落ち着かせ安心させるトレーニングとしてぜひトライしてください。


他にもインターホンでハウスの動画をアップしていますのであわせてご覧ください。

ブログ記事:インターホンに吠える犬“インターホンダッシュ”に対応する:インターホンに吠えるを解決するためのヒント

参考ブログ記事:
インターホンに吠える犬“インターホンダッシュ”に対応する:なぜ犬はインターホンに吠えるのか

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<犬のこと>数合わせでは動物は幸せになれない

先日、仕事つながりで親しくなり共感を得られることでお付き合いが長くなった友人と会う機会がありました。

お互いに会ったときには、犬のことばかりでなく、日常を取り巻く動物に関わる問題について話がつきません。

一気に「これってどう思う?」と意見を交わしながらあっという間に時間が過ぎてしまいます。


今回の話題は、奄美大島に生育する日本の天然記念動物に指定されている「アマミノクロウサギ」の絶滅に関すること、北海道のアイヌ館のヒグマの引き取り先がイギリスのワイルドパークになったいきさつや内容、昨今の犬の異常な行動などでした。

この話の流れで友人と「人に飼われる動物は弱者であるかどうか」「処分される動物は可哀想なのか」などと、普段はお互いに誰にも問いかけられないようなことを問いかけあって話を深めていきました。

自分としては、人に飼われる動物が弱者であると思うことはありません。

動物のことを、動物の立場に立ってなどというのは身の程知らずではないかというのが私の姿勢です。

人と動物はあくまで対等な立場であると考えています。


人に飼われる動物やペットが、人にえさをもらわないと生きていくことができない存在であったとしても、やはり動物は人と対等であるべきだと思うのです。

なぜかというと、人が飼う動物や展示動物、そして犬や猫などのペットは、人が必要とするからそのように存在させられている動物だからです。

人の必要性に応じて繁殖されたり、育てられたりしている犬は、必要とされている段階ですでに人と対等であると思い、そしてまた、犬という動物が人と対等であると考えるからこそ、一定のルールは必要だとも思っています。

犬をどのように繁殖するのか、どのように販売するのか、どのように訓練するのか、また大きくはどのように飼われるのかといったことの最低のルールがなければ、この対等性を姿勢として示したことにはなりません。


これまでにたくさんの家庭犬のお世話をさせていただいたこと、たった一頭の犬が幸せになることがどんなに大変なことなのか本当に身に沁みています。

ところが、動物の幸せというのはなぜか数で図られてしまうこともあります。

野生動物は数が少なくなったら処分してはいけない。

ペットは一匹でも少なく処分すべきなのだ。

国内にはこんなにたくさんのペットが飼育されているから、日本はペット大国だ、とかそのような次元の低い話はもうそろそろ終わりにしたいのです。


むしろ、もう少し本質に目を向けるなら、あなたのもっとも身近にいる犬は幸せなのでしょうか。

あなたの身近にみる犬にストレス信号を出している犬はいないでしょうか。

そうしたことにもっと注意を払ってあげてほしいのです。

動物、特に犬のストレス行動は行動学的にある程度明らかになっており、だれでも観察によって図ることができます。

そのストレス信号を図ることこそが、動物の幸せのレベルを知るきっかけになるのです。

友人との話は、犬たちの行動を見て一般の人々が理解できるようになることはあるのだろうかという話にまでつながっていきました。

期待はしない、だけど希望は持ちます。


マザーテレサの有名な逸話がですが、ある方がマザーテレサのお手伝いをして貧しい人々を助けたいと申し出ら得たところ、帰って家族のお世話をしなさいといわれたとのことです。

本当の話かどうはわかりませんが、最も身近な動物の異変について目を向けることができること、ここからスタートしてはと痛感します。

自分は犬の行動と訓練の専門家ですが、他の動物の行動にももちろん興味があります。

特に身近に接する動物には関心を持っています。

動物行動学の本を読むのは今でも大好きです。

興味と関心という好奇心は、規律の中では暴走しません。

今年もあと少しになりましたが、限られた時間でまだみなさんといっしょに、やっぱり犬のこと動物のこと、まだまだ学んでまいります。

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<犬のしつけ方>犬のかみつきは攻撃性のひとつの方法:いつどのように使われるのかを問題としよう

犬のことを知るにあたって、どうしても避けていただきたくないのが犬の攻撃性についてです。

犬を飼っっている人、犬を飼おうと思っている人、過去に犬と接したことのある人の中でも特に犬大好きな方にとっては、犬が攻撃する動物だということをわかっているようでわかっていないことがあるものです。

他者への攻撃性というのは動物であればだれでも持っているのが当然です。

攻撃は自分を守る術であり、攻撃性は社会的に必要な力です。

重要なのは攻撃性を持つことではありません。

その攻撃性が他者に対する攻撃性をいつどのような形で使うのか、ということなのです。


犬も人と同じように攻撃性を持つのですが、犬の場合にはその攻撃の破壊力が人の何十倍も高いということなのです。

イヌ科の動物の中でもヨーロッパや北米のオオカミになると、体重が50キロにもなり人ひとりとあまり変わらぬサイズになります。

これほどの大きなイヌ科動物と人が素手で戦った場合に、どちらが勝利すると予測できるでしょうか。

当然、圧倒的強さでイヌ科動物の勝利となります。

人が武器を発達させてきたのは、獲物を狩るためだけではありません。自分を攻撃する動物から自分を守るために武器を発達させてきたのですし、今直、同属から身を守るために新兵器を作り続けます。

犬は全く変わらない方法でその攻撃性を維持させているという点では、動物としては人よりもずっと安心できる存在なのかもしれませんが、犬は本来は人よりも強い動物であると考えて理解する必要もあるのです。

犬の社会的行動である攻撃性行動つまり犬の咬みつきについては、その程度を重要視して欲しいということを数度にわたってこのブログでもお伝えしてきました。

その次に考えていただきたいことが、その攻撃性が誰に対していつどのように使われるのかということなのです。

攻撃性を示す対象が飼い主もしくは飼い主の知人である場合には、緊急対応が必要であると同時に
かみつきの質はかなり悪いもので真剣に捉えてください。

本来なら、自分は噛み付かれてもいいが他人に咬みついたら一大事だと判断されるでしょうが、むしろ犬の攻撃性のたちの悪さからいうと、他人に対する咬みつきよりも食べ物をもらって世話をされている飼い主に咬みつくことの方がよほど犬としては重要なことです。

食べ物をもらっている飼い主に咬みつきが起きている場合には、そのほとんどが恐怖からではなく頼りない飼い主に対する不安や支配と両立する甘えによって生じていることが多いからです。

こうした飼い主に対する不安と甘えから発した攻撃性行動が出てしまっている場合には、同時に逃げる行動の特徴も身につけているのです。

飼い主の元に逃げる自分の住処に逃げる、これが攻撃性を必要でない場合に使うようになった犬の行動として現れます。

咬みつきにいたる攻撃性という強さと、鼻をならして甘えたり飼い主の足元に逃げるという行動があまりにも極端なため、甘えの部分を見てしまう飼い主にとってはなぜ自分の犬が豹変して噛み付いてしまうのかなかなか理解できないかもしれません。

ところがこの、咬みつきという攻撃性行動と、飼い主の元に逃げるという逃走行動は全く同じところから出発しているのだということを理解することができるでしょうか。

一番厄介な咬みつきで更生にも時間のかかる咬みつきでもあります。

なぜなら、この咬みつきは飼い主との関係で作られたものであり、そもそも大変ビビリで弱い動物に、咬みつくという行動によっていやことを逃げることができるということも覚えさせてしまったからです。

弱い動物は常に逃げようとするということを忘れてはいけません。

最初に教えなければいけないことは、逃げないことと、逃げる必要のないこと、甘えや興奮を抑制することの重要性です。

犬の親であればまず一番に教えなければいけないことを子犬に伝えずに子犬を抱っこしたりとびつかせたり、甘噛みを放任したりしてやり過ごしてしまうことは、犬が本来発揮すべき攻撃性を全く違うところで使うことになり、犬自身が社会から放り出されてしまうことになります。

犬が強い犬になるということは咬みつく犬になることではなく、我慢強く辛抱強く、ストレスと戦いながら周囲の安定をはかるべく自分の能力を発揮することです。

犬が自分の居場所をしっかりともち、その居場所があるのは飼い主との関係の上で成り立っていることなのだと知ることで関係を作っていくこと、それが犬と飼い主のルールになるのですが、その間に攻撃性は必要ありません。

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<犬のしつけ方>犬のかみつきの危険性のシグナル、このかみつきが出たら緊急対応が必要です。

犬を家族として可愛がる方、犬を家族として迎え入れようとする方々の多くが忘れてしまうのは、犬は咬みつく可能性のある動物であるということです。

犬にとって「咬みつき行動」そのものは異常行動でもなんでもありません。

犬が咬みつく行動が異常だと判断されるのは、犬の咬みつきが生じる状況や程度を含めて判断されるものです。

犬が飼い主に咬みつくということが全く想像できないわけではないのでしょうが、犬を迎え入れる段階では夢のような楽しいイメージばかりが膨らんでいます。

実際に犬に咬みつかれてしまうと、まさか犬が自分や家族を咬みついて傷つけることがあるとは思わなかったという思いと、冷静に考えてみれば犬が咬みつく可能性は十分にあったのだという思いが交差して、飼い主側は混乱に陥ってしまいます。

かわいい犬が咬みつきに至るにはそれ相応の理由があったからだとか、偶発的に牙があたっただけだろうとか、こんなことはもう二度と起こるわけはないという気持ちで、問題視せずに過ごしてしまうことも多いようです。

咬みつきについては慎重な判断と対応が必要になりますが、もし次のような事実をきちんと認識できる目をお持ちでしたら、そのときにはすぐに対応をお願いします。

その事実とは、かみつきの重症度についての事実です。

特に生後6ヶ月未満の犬は乳歯をもち顎が発達していないため、ひどく咬みつかれることがあっても重症を負うことはありません。

そのため、子犬期の危険な咬みつきを見逃してしまうことが多いのです。

見逃して欲しくないかみつきの程度とは、咬みつかれた傷の状態で判断されます。

犬から咬みつかれたときに、出血は少なくとも咬みつかれた傷周辺に青いアザができるような場合には、緊急対応が必要となります。

アザや内出血の起きる咬みつきは、犬が咬みつく行為についてなんの抑制もかけずに行動を起こしたことを証明しています。

犬の咬みつきは大変危険で、犬は咬みつく可能性の十分にある動物ですが、彼らが人を社会的な対象とみなし、社会的な行為を身につけていれば、そこには必ず「抑制」というブレーキが存在しています。

子犬期にはこのブレーキが身に付いていない危険性があり、そのまま成犬になることは大変危険です。

犬の咬みつき行動は咬みつかれた人を不幸にするばかりでなく、結果として咬みついた犬そのものも不幸にしています。

咬みつきの緊急対応については、必ず行動学などの専門家の指導に従って行ってください。

ごほうびや罰を規則にのっとらずに与えてしまう行動は、咬みつきの出ている犬の行動をさらに悪化させることになり大変危険です。

犬はすばらしい動物ですが、すばらしい動物となるためには、犬の習性や行動を理解し、犬が正常に発達して成長できるように飼い主側が協力する必要があります。

そのベースがあってこそはじめて、犬は人のそばですばらしい動物となり得るのです。

咬みつきの対応はできるだけ早期に慎重にが基本です。

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