グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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Monthly Archives: 7月 2016

本当に怖い動物とは「前編」

先日トレッキングクラスに参加した飼い主さんと、山の中で出会ったら怖い動物話で盛り上がりました。

山の中で出会ったら怖い動物といえば、みなさんにとっては何でしょうか。
怖い動物というと体のサイズの大きな動物を思い浮かべるため、福岡佐賀近郊ではイノシシが比較的大きな動物になります。イノシシにあったら怖いと思うのは当然のことでしょう。
私はオポと散歩中になんどもイノシシに遭遇したことがあります。オポが山で落ち着いた行動をするようになり安定していたため、最初のころに緊張していたのは私の方でした。悲鳴や奇声をあげたりするタイプではないのですが、行動力と思考力が確実に低下していました。それでも私にはオポという先生がいましたので、オポの行動をよくみて同じように安定を取り戻すことが可能でした。練習の甲斐あってイノシシを発見してもうまく対応できるように成長していきました。

イノシシ以外のこの近辺の山で遭遇する可能性のある動物には、次のようなものがいます。
四つ脚の動物はタヌキ、イタチ、テン、アナグマ、キツネです。
このうち、イタチ、テン、アナグマはイタチ科ですが、イタチ、テンがすばやく逃げるのに対し、アナグマは反応が鈍く出会う可能性も高いです。七山校の裏庭ではよく穴をほって昆虫を食べているのを1メートルくらいの近距離で見ることができますが、相手は気づいていないようでした。気づけば急いで逃げますので犬が追いさえしなければ怖くはありません。

キツネとタヌキは昔話にもよく出てくる、人と交流の深い動物です。
キツネはイヌ科キツネ属です。九州にキツネがいると聞いて驚かれることもありますが、キツネは昔話のとおり非常に警戒心が強く、簡単に人の前に姿を現しません。犬を連れていればなおさらのことです。車にひかれることもないので遺体を見る機会も少ないでしょう。

この中で犬にとって一番やっかいなのはタヌキかもしれません。タヌキもイヌ科です。
タヌキはよく車にひかれます。山に見るときには動きが遅い感じはしないのですが、キツネと比較すると警戒心が低いのかもしれません。そのため人との遭遇も多く、餌付けされてしまうことも多いため注意が必要です。
餌付けされた野生動物は人への執着が高く、必要以上に人に接近するためイヌとのトラブルmも多くなります。タヌキはこの良い例かもしれません。まず餌付けを行わないこと、イヌのタヌキに対する反応は、他の動物とは少し異なるのではないかというのが、私の現在の見方です。イヌと歩いているときにタヌキに遭遇した経験のある方は、そのときのイヌの反応をぜひ教えてください。

次に鳥がいます。大きなサイズの雑食の鳥といえば、トンビとカラスです。
オポと山歩き中にトンビに狙われた経験がありました。私が白い帽子をかぶっていたので、獲物とまちがえられたようで、私の膝元でV字を描きまっすぐに空へと帰っていきました。
このときもオポと私がほぼ横列だったはずですが、オポは全く歩速をおとすことなくゆっくりと前進をつづけました。立ち止まって停止した思考の快復をまったのは私の方です。以後白い帽子をかぶるのを止めました。

後編へ続く

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Posted in 犬のこと, 自然のこと, オポのこと

パピートレーニング<子犬と子犬の遊び>

子犬を迎えるのは生後7週齢から8週齢くらいです。少し早いと思われるかもしれませんが、この時期に迎えることで子犬に成長過程で必要なことを経験させることができます。

子犬を迎えた家庭で飼い主がやらなければいけないことは山のようにありますが、この中には難しいこともあります。そのひとつは子犬と子犬を適切に遊ばせる機会をつくるということです。

難しい理由はいくつかあります。たとえば、その子犬にあった性質の犬がみつかるかどうかわからないということです。子犬の性質もさまざまです。同じ犬種では似たような遊び行動が見られるため比較的安定した遊びを見られることがありますが、犬種よりも個性の方が強いため同種でも相性があわないこともあります。

問題をもっと難しくしているのは、子犬が人に飼われる環境に暮らし始めることで子犬の成長がストップしてしまったり、子犬が人に対して優位性を高めてしまうということです。子犬が母犬や他の兄弟犬たちといっしょに過ごしている姿をイメージしてください。子犬は特別な存在ではなく、他の兄弟たちと同等に扱われ、生後7週齢になると飛んだり跳ねたりする行動が増える子犬については、母犬を含め成犬は厳しく接します。

これに対して家庭に迎えられた子犬は、飼い主にダッコされ飛びついたり飛び跳ねたることも許されています。ワンワン吠えれば吠えるのを止めさせようとする飼い主から食べ物をもらえるし、怖がる反応を示せば「かわいそうに」と抱き上げられることもあるでしょう。

こうした家庭内での接し方が、子犬と子犬がうまくいかない理由にもつながるのです。
遊びは対等なものです。どちらかが自分の優位を占めそうとすると、相手は遊びを止めてしまいます。イライラして吠えると相手のテンションが上がりすぎて興奮が激しくなります。子犬の遊び方をみていると、ご家庭でどのように接しているのかが見えるのです。

人の接し方だけでなく、子犬の日常のストレスも子犬のコミュニケーション力に影響します。
生後8週齢を過ぎると、感覚が増し外界の音を含む刺激に反応が高くなります。順応性が育たないと子犬のストレスは強くなり、それが激しいコミュニケーションとして表現されてしまい、遊びも興奮遊びになります。

パピーウォーカーの指導員を勤めていたことがあります。盲導犬育成施設による計画繁殖された子犬たちなので、親犬のストレス管理から行われ交配、繁殖についても十分な準備の上行われます。生まれた子犬たちの社会性にも常に配慮が払われ、その子犬に適したパピーウォーカーさんを選びます。それでも子犬の気質が安定しないことがあります。団体として決められた接し方のルールがある上に同じ母犬から生まれた子犬でも、日常的な接し方の少しの違いが子犬に影響を与えていることがわかります。

また、子犬の興奮遊びを放置することは危険です。子犬のころは仲良く遊んでいたんですという犬が、成長して他の犬が苦手になるような状態は子犬の興奮を放置した結果起きることがあります。子犬の興奮を、子犬を管理する親犬や成犬は見逃しません。厳しく止めに入ると子犬は悲鳴を上げて逃げることもあります。でもこうした適切な制御は子犬にとって必要なことなのです。

子犬遊びの質を見極められない方は、専門家の立会いの下で子犬を遊ばせることで子犬について学んでください。多頭の犬があつまるパピーパーティは違う性質の異なる環境で生活している犬たちがの集まりです。パピーパーティに参加して社会性を落としてしまう犬がいることも事実です。子犬が隠れたり、走り回ったり、吠えたり、膝にのってきたりする行動をしたときは、異なる状況での遊び学習をおすすめします。

パピーパーティは海外から入ってきたものですが、成長後の影響について追跡は難しいです。子犬同士が集まっているのをみたいという飼い主の欲求を満足させるものになっていることもあります。また、子犬期には成犬のような吠える咬みつくという行動が出にくいため、多頭があつまってもその危険性についてわかりにくいという面があります。子犬のことを理解するためには、パピーパーティよりも子犬の行動としつけについて学ばれることをおすすめします。

子犬期の経験は子犬にとってとても大切です。それは誰もがわかっていることでしょうが、かわいい子犬をきちんと理解するためには、飼い主の知識だけでなく飼い主の自制を必要としていることを胸に、成長を見守ってあげてください。子犬にはストレスがないという思い込みをすてて子犬をよく観察してください。子犬は不安定な環境で常にストレスと戦っています。たとえば、子犬が自宅で家具をかじるような行動を見せ始めたら要注意です。子犬は吠えたり咬みついたりはしませんが、行動しやすく子犬のシグナルはわかりやすいものです。子犬のサインを早く受け取ってあげましょう。

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発見する楽しみ

先日博多駅の商業施設の中を歩いているときに思ったことがあります。いろんな店が入っているのだけど、それぞれの店においてあるものが幅広いなということです。たとえば、洋服の店にアクセサリー、マグカップ、文房具やシールがあるとか、家具屋さんに洋服、財布があるという感じでどの店も雑貨店のようです。ものにあふれる時代なので、どうしたら売れるのかを考えた上での作戦なのでしょう。

洋服の並べ方にも工夫があるなと思います。パンツやシャツを別々に置くのではなく、あらゆる商品が混ざったように置いてあったり飾ってあります。大量に同じ商品を販売する店ではできない販売方法かもしれませんが、同じものが数点という店になると、同じ場所においてあるよりも1点1点がことなるものとしてディスプレイされている方がお店に滞在する時間が長くなりそうです。

買い物をすることの楽しみは「買う」という行為よりも「探す」という行為にあります。これらの陳列方法だと「探す」行為が複雑ではあるけれど、さらにそのことが「探す」欲求を高めてくれるためその欲求が満たされます。「探す」欲求、つまり探索欲求はどのような動物にとっても高い欲求です。

犬が探索をしている行動を見たことがあるでしょうか。限られた空間でも犬は探索をします。たとえば、部屋の中においてあるクッキーのいれものを探し当てられたことはないでしょうか。犬の探索行動は臭いを追う行動です。鼻をつかって臭いを追跡するような行動をとります。地面に鼻をつけたまま歩くこともあるし、地面から顔を上げて定期的に臭いを確認しながらその場所に近づいていくこともあります。野いちごをとるときにも、臭いを確認しながら鼻で探しあてます。

どんな動物も食べるためには探し当てることが大切であったわけで、犬が探索欲求をもとに行動を起こして満足を得られることは、犬の動物としての自由度を感じられる行動でもあります。これは「ただ与えられる」という事では満たされない欲求です。

犬と同じように人にも探索欲求があります。犬の気持ちを知りたければ、自分が探索しているときの集中力の高さに注目してください。人は目で探索しますが、探しあてたときの喜びは同じものです。ですがそれを手にしてしまうと、すぐに次のものを探しはじめるときは、探索欲求はあまり満たされていません。冒頭の買い物をイメージするとわかりやすいですね。

探索欲求はただものを探すという行動ではなく、「発見」をくり返していく原始的な行動です。「発見」は物質化したものを探す行為だけをさすのではなく、目にみえない感覚や知識を探す行為でもあります。

犬にも物質的なもの、たとえば食べ物ばかりを探す行動が増えてしまうことがあります。食べ物を使ったトレーニングは必要なこともありますが、偏りすぎると別の発見をする機会を失ってしまいます。

犬のことを理解するために学ぶことの楽しさは、この「発見」です。
真に満たされる探索を、犬も人も楽しみたいものです。

Sniff Out!

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犬の車酔い

今日七山校にはじめてきた犬が車酔いをしてしまい、テンションの低い状態で到着しました。山道での蛇行が車酔いを強めてしまうようです。

車酔いについては私も関心があります。物心ついたころから高校生くらいまでは乗り物酔いがひどかったからです。結局自分のときには、バスのときは一番前の席に座るという対応程度となり、つらい思いをしました。

犬の車酔い対応は犬によって多少違いがありますが、基本的に小型から中型の犬についてはクレートやケージに入れた状態で車に乗せることをお願いしています。ただクレートトレーニングが車以外の場所でうまくいっていないときは、いきなり車でクレートにいれることは負担がかかります。

小型の犬の中には飼い主がダッコしていると酔わずに寝てしまうということもあるようです。室内でのクレートが活用されておらず、飼い主さんにダッコされていることが多い犬の場合には、ストレスの回避も飼い主依存型になってしまいます。

まずはクレートで安心できるスペースが確保されているかどうかをチェックしてみてください。
クレートについてもう1点は、クレートが大きすぎると中で犬が揺れてしまいます。移動用のクレートはひとつサイズの小さなものを選ぶか、移動中はクレートの中にクッションなどをいれて、サイズが小さくなるように調整してあげる方法もあります。

他に車酔いを回避できたおもしろい事例があります。オポを連れてプライベートクラスを行っていたときに、非常に臆病だったけど成犬のオポに対して服従する行動を示した青年期の犬がいました。車酔いは永久歯に生え変わったころから1歳半くらいまでにかけて多いため、ちょうどその年齢にあたっていたということもあります。その車酔いをする犬が乗っている車に、私とオポもいっしょに乗車しました。犬の社会的な安定度を利用して車酔いに対応できるかどうかのテストでした。結果は見事に、安定度大です。その犬は車酔いをせずに車に乗ることができました。
社会的な安定が見られるようになれば、克服できるというよい例です。ただ犬の社会から遠ざけられている現代の環境では、安定を築き上げていくのに少しの努力が必要です。七山校に来てからは、オポの力を別の練習方法で築いていくことができるようになったため、犬たちの車酔いも少しずつ減ってきました。

冒頭のワンちゃんですが、帰りは車酔いなしで帰宅したとのことでした。
いろんな不思議がつながっていきます。だから犬はおもしろいなと思います。

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犬のストレスを回避する力

ストレスをいうと、うちの犬にストレスなんかあるはずがないとか、ゴハンを食べて寝ているだけなのに、犬になんのストレスがあるっていうんですか?といわれることもあります。

ストレスはどのような動物にもあります。ただ、どのような状況がストレスになるのかとか、どのようにストレスを表現するのかということが、人と犬の動物としての違いや、犬でも個体によって異なるということです。

ストレスは受け続けるだけでなく、動物はさまざまな方法でストレスを回避しようとする行動をしています。このストレスを回避する力も、犬の個体によって違いがあることがわかります。

どんな犬もストレスを感じる状況といえば、「暑さ」と「寒さ」。
犬が暑さを感じたときに、日陰に移動したり、冷たい床の上に移動するのは、暑さというストレスから回避してよりよい環境を選択する力です。同じように、寒ければストーブの前へいたり、コタツに入ってしまうということもあります。
この温度によるストレスから回避するための行動を全ての犬が行えるように思うのですが、まれにこの回避行動ができない犬がいます。たとえば暑い場所から動けずに熱射病になってしまうこともあるのです。

人の場合にも似たような事故があります。暑さを感じることができず、室内で熱射病にかかってしまったという老齢者に関するニュースを耳にされたことはないでしょうか。

犬の場合には年齢には限らず、暑さを回避できないどいう行動が実際に起きていることは事実です。老齢犬や子犬にも見られるし、精神的に未熟で鼻を鳴らす行動が残っている成犬にも同じような現象が起きています。

どうしてこのようなことが起きるのかについては慎重にとらえたいと思いますが、日常的に不安定な行動が出ている犬に、ストレスを回避できない行動が見られることがあります。
老犬や子犬は、いろいろな場面でサポートが必要な年齢です。そのため、温度によるストレスを回避できない状態であれば、それについてもサポートを行う必要があると思います。
成犬で自主的に行動できる環境を与えられているにもかかわらず、暑さや寒さを回避できない犬については、なにか行動制限が強くかかっている状態を知り、飼い主として改善できることについて考えてみてください。

ストレスを回避する力は、動物にとって必要な力です。
どの犬も適切に持つ事のできる力を発揮できる環境を整えていく、これも飼い主の役割だと思います。

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子犬のにおい

犬は乳歯から永久歯に生え変わるのが生後5ヶ月~6ヶ月齢くらいです。この時期が子犬といわれる時代です。そのうち、生後6ヶ月までを発達段階に応じてさらに細かくわけることができます。生後2ヶ月齢が人の3歳くらい、3ヶ月齢で6歳くらい、そして永久歯が生えるころは小学校高学年くらいです。

生後2ヶ月齢くらいまでは、毛質は成犬のような硬い毛ではなくふわふわとした毛です。生後3ヶ月くらいになると艶のあるやわらいけどしっかりした毛になってきます。このふわふわとした幼い子犬特有の毛の時期、おなじように子犬の特徴であるのが、独特の子犬臭です。子犬と接する機会があれば、その独特のにおいにビックリされることもあるでしょう。犬の臭いがするからとシャンプーされてしまうことがあるようですが、子犬にとって大切な臭いだということをご存知でしょうか。

独特の子犬臭、どういう目的のためにあると思いますか?
犬、臭い、臭いつけ、役割。こういうキーワードをあげてくると何を想像しますか?

犬が臭いでつくる世界を大切にしています。犬はお互いの臭いで相手を認識することができ、排泄の臭いつけによって自分のテリトリーを獲得したり、他の犬とのコミュニケーションをとったりします。ということは、子犬の発している臭いもなんらかのメッセージであるということです。それも、他の動物に対するものではなく、同種の犬に対して発せられるメッセージです。

この臭いが子犬特有なものであることから、「自分は幼い犬である」ことを知らせるメッセージであることがわかります。
この臭いは大変強いものです。子犬が少し離れた場所にいても、臭いで存在を知らせています。でもこの年齢ではまだ群れのテリトリーをまもれないし、個体のスペースをまもることすらできません。子犬は成犬の後をついて回ったり、近くで休んだり、子犬たちだけのときには巣穴に引っ込んだりします。

臭いは成犬に居場所を知らせるためにも役立っているのでしょうが、実際には親犬は子犬の行動を強く制限したりはしません。子犬が親犬やテリトリーから離れすぎてしまうとキューキューと鼻を鳴らすため、音に応じて子犬を迎えにいくという行動をします。こういうときには音の方が合図になっていますが、子犬を探すのに役立つ臭いではあるでしょう。

子犬の独特のにおいはもっと別の形で活用されています。親犬でなくとも成犬と子犬をあわせると、成犬が成犬と対面させたときとは明らかにことなる反応を示すことがわかります。同じ群れの仲間でなくても、すべてのおとなの犬たちは子犬を攻撃することはありません。

おとなの犬の子犬に対する反応はさまざまです。たとえば、子犬をグループに受け入れる犬、子犬を無視する犬、子犬をさける犬、子犬がそばにいるとよだれを垂らすような犬もいます。子犬は成犬にとって歓迎されるというよりは、どちらかというと避けられる存在になっているようです。近づけさせないための威嚇をされることはあります。ですが成犬のような扱いを受けることはまずありません。

もちろん、ストレスが過剰となり普通の精神状態でない犬にとっては、子犬はストレスの塊です。成犬がルールを破って子犬を攻撃することもありますので、知らない犬と子犬を接触させることはおすすめしません。

子犬のにおいが消えるころをよく観察してください。子犬が乳歯のころに子犬のにおいは消えてしまいます。成長と発達の過程を見逃さず、飼い主としてその犬の月齢にあった接し方を心がけると子犬は安定した性質に育ちます。

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成犬を迎えるための譲渡会

熊本県動物管理センターへボランティア活動に行ってきました。寄贈された中古の犬舎を運搬し、センターの犬たちのお世話を少しだけお手伝いしました。

明後日、同施設内で熊本県が主催になって行われる譲渡会をひかえ、職員やボランティアのみなさんもその準備に忙しい様子でした。熊本のローカルテレビの取材も入り、被災後の動物管理センター内が多少混乱した状態を継続していることを、一般のみなさんにも知っていただくための情報提供も行われているとのことでした。

譲渡犬の中には、生後8週齢くらいの子犬たちも含まれています。動物愛護施設や保健所から犬を譲り受けようとする方々の多くが、成犬よりも子犬を希望されます。子犬の方がなつきやすい、かわいい、愛着がわくというのがその理由のようです。

でも、犬を迎えるには子犬よりも成犬の方がいいという点もあります。
たとえば、子犬には子犬を育てる環境が必要です。昼間は家族が外出してしまい、子犬がひとりになるのは、子犬を育てる環境として不十分です。子供さんに子犬育てを任せることはできません。子犬を育てる環境を整えていないのに子犬を迎えてしまうと、犬の成長と発達に影響を及ぼし、成犬になってから問題行動が起きる可能性があったり、人との接触が難しく、庭につないだまま飼うことになってしまうかもしれません。

その点、成犬は一定の時間であればひとりで留守番することができます。犬の性質も表面化しているため、どのような行動が出やすいのかを予測することも可能です。成犬の習慣化した行動には、好ましいものと、好ましくないものの両方がありますが、それらを事前に知った上で、犬を迎えることができるのです。そのため、自分が犬を迎えようとしている環境に、一番適してる犬を迎えることが可能です。

成犬の場合には、多頭で飼育されている環境では行動を抑えていることがあります。おとなしかったりあまり動かない犬が、一頭になると変わってしまうようになることもありますが、犬が変わったわけではありません。変わったのは環境です。
こうした間違いを防ぐためには、一頭ずつ個別に扱われる状況をつくる必要があります。ケージや犬舎をわける、食事をわける、一対一で接する、一定のテリトリーを与えるなどです。施設内でも可能な限りこれを行うことができますし、保護団体が一時預かりをする間にこうした環境を整えて、十分なケアをされていることもあります。

犬をどのようなところから譲渡するのかによって、成犬の見方は変わってきます。犬を見極める自信のない方は、信頼できる保護団体が預かっている犬や、ボランティアやプロのアドバイスを受けることが可能な環境で、犬との面会を行ってください。

今回の熊本の動物管理施設のボランティアを通して、私も様々なことを学んでいます。地震をきっかけに譲渡が必要な犬が急増したことによって、混乱を生じていることは事実です。ですが、これをどのように解決することが動物たちにとって有益であるのかを考える必要もあります。被災時とはいえ、人が犬を飼うというところから始まったことです。

譲渡のシステムもまた、人が犬を飼うために必要なシステムです。犬と暮らしているすべてのみなさんに知っていただきたいシステムです。これらのシステムはまだこれから整えていく必要があります。すでに犬と暮らしている方も、この譲渡に関するシステム作りに関心をもって参加してください。


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