グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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<犬のしつけ方>犬にとって良さそうで良くない“犬専用の部屋”

犬を自分の家族の一員だととらえ、愛情をもって可愛がってくださる方が本当に増えていると感じます。

ただ、その愛情の中には犬の擬人化によって起きる行き違いが生じていることも忘れてはなりません。

行き違いのひとつに、犬に専用の部屋を与えるということがあります。

子供部屋を子供に提供するような感覚で、犬もしくは犬たち専用の部屋を与えるという考え方に発展してしまうようです。

実は犬にとって犬専用の部屋を与えられそこで過ごすことは、落ち着けない生活環境になってしまうのです。


誤解を恐れずに率直に言うと、犬専用の部屋を与えるということは犬を人を分けて生活するということになります。

つまり、犬舎のようなものが室内に設置されていると考えるといいでしょう。

犬は犬だけのスペースで暮らし、人が犬を抱っこしたいときだけその部屋から出すといった風景になると、ペットショップの限られたスペースで犬だけで過ごしているのに、人が接するときには抱っこしたりリードをつけて出しているのと同じことになります。

最近ではペットショップも動物福祉の観点やディスプレイの効果を考えてでしょうが、畳数畳のスペースに犬を展示されていることがあります。

まさに、犬部屋に犬だけが入っている風景で、一般家庭の犬部屋のようだなと思うのです。


では、なぜ犬専用の部屋が犬にとって不利益なのでしょうか。

それは、空間を共有しないということは、同じ「家族=群れ」ではないということを意味しているからです。

別居といったらいいでしょうか。

時々あって、人の都合で接するけれど、あとは別居生活です。

さらに、ペットショップや集合犬舎よりも犬専用の部屋の方が乱れていることが多いのです。

そもそも犬ができるだけ自由に過ごせるようにということで与えられている犬専用の部屋です。

できるだけ自由にというのは裏を返せば、トイレの失敗してもいいのよ、家具をかじってもそんなに気にしないからね、ソファは犬のものだからご自由に汚してくださいなと、毛が多少落ちても大丈夫など、生活の気疲れを減らす人側の思惑の上になりたっています。

ということは、犬の生活環境の管理が不安定になってしまうということです。

その点、集合犬舎などでは衛生第一、安全第一と叩き込まれて犬の管理を行っています。

収容数が非常に多いので、きちんと管理していないと大変な状況になるからです。

若いころに勤めていた盲導犬育成施設は多いときでは60頭を越える程の犬が収容されていました。

管理を厳しくするのは、犬たちが安全かつ安心して生活していくための犬舎の管理規則なのです。


その点、家庭内での犬専用の部屋は、とても不安定な状態になっています。

犬を愛するという気持ちでやっていることが、実は犬を窮地に追いやることになっているかもしれません。

犬と家族でいたいなら、まず空間を共有して人が生活をするスペースの中で共に暮らせるようなしつけをやっていきましょう。

ハロ1

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<本の紹介>かくれた次元:エドワード・T・ホール

最近は便利なものですぐにネットで検索ができるので、生徒さんたちが情報過剰になっていると感じます。

その過剰な情報の中には、明らかに違っているもしくは見方があまりにも人によりすぎていて吐き気がしそうなものまで入っています。

人にとびつくのは人のことが大好きだから。

人の口をなめるのは人のことが大好きだから。

犬が何をやっても人が好きだといってしまうことで飼い主側も納得してしまうという負の渦の中に巻き込まれていないでしょうか?

逆に極端に、犬が手をなめているのは強迫性神経障害であるとか、犬が他の犬の吠えるのは発達障害であるなどあまりにも簡単に障害という印鑑を押して恐怖を抱いてしまうこともまた正しい状況を把握することから遠ざかってしまいます。


犬のことを正しく理解しようなどとは、異なる種の動物であれば困難であることは当たり前のことなのです。

でも時間をかける余裕がないし、早く知って解決したい終わりにしたいという気持ちがものの見方をゆがめてしまうこともあります。

いつもお話ししているとおり、犬のことを知るにあたってハウツー本は必要ありません。

動物の仕組みを理解したり考えるヒントをくれたり、ああそういう見方もあるんだなと考えさせられる本に興味があります。

限られた時間の中で本を読むのですから、セレクトして読まなければもったいないという気持ちもあり、いつも本を手にとるときにはどきどきします。

ガッカリすることもありますが、このブログでご紹介する本は時間を割いて読んでよかったと思えた本ばかりです。

そこで今回はこの本「かくれた次元」をご紹介します。


「かくれた次元」という本の題名からすると、精神世界的な本と誤解されるかもしれませんが、これはかなり行動観察に基づいた科学的な本です。

書籍名の「かくれた次元」の意味を考えると、本書の冒頭にあるように「体験は文化によってかたどられているのだから、そこにはかくされた次元という文化が存在するのだという」という仮説を証明するために実際の事象を用いて説明が進められます。

事象として取り上げられているのが動物間の距離に関するテーマです。

動物たちが種により場によりまた実際の距離感によって混み合いをどのように回避しようとするのかなどがわかりやすく記されています。

動物が他者に近づける臨界距離、逃げる必要を感じる逃走距離といった言葉も、この本の中で初めてエドワードTホールが取り上げたのではないでしょうか。ここはあくまで推測であって事実とは間違いもあるかもしれませんのでご了承ください。

この他者との距離感を、住む場所の違いによる文化として捉えているのがわかりやすいところで、特に日本人に関する記述が他の国の人とは違うことが詳細に述べられているため、文化の違いが知覚文化距離(プロクセミックス proxemics)の違いに影響をしていることを自らの経験も通して理解することができます。

そこから、犬と人という異なる文化を持つ動物が異なる知覚文化距離を持つ事はあまりにも明らかだという理解に発展し、犬との距離感や空間について考える素材をもらえるという訳です。

どの本にも答えはありません。結局は自分で考えなければならないのだということです。

こうした自分に考えるヒントをくれる本に自分がドキドキしてしまうのです。

考えることが楽しく、発見することが楽しく、それが犬のこととなればなおさらのことなのです。

もちろん、机上の空想には終わりません。

考える過程を通して、ああだから犬たちは距離を近付け過ぎるとストレスを感じるのだという理解につながり、犬の適切なフィードバックを受けられるようになり、現実的な関係性に発展していくのです。

良い本との出会いは、良い師や友人に出会った気持ちになるものです。

暑い夏の日のお昼寝タイムの前にでもどうぞ。

かくれた次元表紙
他にもお薦めの本を紹介しています。↓

goodboyheartの本棚




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<クラス>家庭訪問トレーニングクラスで犬のボールボーイを務める

先日テレビでウインブルドンを少しだけ観賞しました。

日本選手の暑い戦いに、スポーツではあまりエキサイトしない自分ですがちょっとだけ力が入るのを感じました。

というのも、学生時代にテニス部に所属していた事がありまして、下手だったのですが練習だけは毎日倒れるほどした青春の思い出がよみがえるからです。

自分が経験したことのあるスポーツを見ると、自然と使った筋肉や体の感覚が反応するのがわかります。

だから、やったことのないスポーツ観戦よりも、経験したことのあるスポーツの方が脳が活性化するのではないかと思うのです。


ところで、そのウインブルドンの暑い戦いの中でどうしても気になってしまうのが「ボールボーイ」の存在です。

ボールボーイとは余分なボールを素早く走って取りにいったり、選手にボールを投げ渡したりする役割を果たしている青年たちで、コートを囲むように立っていたり、地面に手をつけて走り出す体勢でスタンバイしていたりします。

テニス部でも下級生時代は、ボール拾いといわれるこのボールボーイ役と、素振りと、ランニングなどの基礎体力作りしかさせてもらえないので、むしろラケットを握ってボールを打つよりも、ボールボーイとしていかに上手くボールを処理できるかということに専念していたように思えます。

このボールボーイの姿を見ながら「そういえば、この前あの犬ちゃんのボールボーイをやったばかりだった…」と思い出したことがありました。


犬のボールボーイとはどんなことなのか。

ある家庭訪問の犬のトレーニングクラスで「お庭でのボール遊び」を飼い主さんに指導しているときのことでした。

その犬ちゃんはリトリバー種といわれる「運び屋」なので、ボールを持ってくることはかなり得意分野なのです。

飼い主さんいわく「ある程度持ってくるのだけど1回で終わってしまう」ということで、ボール遊びを継続させようという練習をしていたのです。

最初に私の方で「こんな風にお願いします」と犬ちゃんと数回のボール拾い遊びをするのを飼い主さんに見ていただきました。

その後、飼い主さんに同じようにやっていただくのですが、最初はタイミングが合わず犬ちゃんが微妙な位置でボールを口から離してしまいます。

数個のボールを使ってボール遊びを継続していくように教えるため、その微妙にこぼれ落ちたボールを飼い主の元に返す「ボールボーイ」役が必要となるわけです。

そこで当然のことですが、私がボールボーイとなって犬ちゃんのこぼした球を拾っては飼い主さんにワンバウンドで投げる(ワンバウンド!これがボール渡しの鉄則でした)を繰り返します。

もともとテニス部に入ろうと思ったのも、犬の訓練士になるには体力が必要だから体力づくりをする必要があるというのがその理由でした。

まさかこんな形であの過酷なボール拾いの経験が役立とうとは、その当時は知る由も在りません。

卒業してうん十年がたち、到底18歳の体力はかげろうとなった今の自分にとって、ボールボーイに絶えうる時間はほんのわずかしかありません。

ほど良いところで犬ちゃんもボール遊びを切り上げることになりました。

今週はきっと練習を重ねて、私のボールボーイはお役ゴメンとなることを願っています。

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<犬のしつけ方>犬のトイレトレーニングは生後3ヶ月までに完了すること

犬のしつけやトレーニングのご相談の中で最も多いのが「トイレの失敗」です。

犬の問題行動を解決するドッグトレーナー(正しくはドッグインストラクター)といえば、吠えたり噛みついたりする問題を解決する仕事だと思われがちです。

犬が吠えることや噛み付くことは飼い主や近所の人にとっても迷惑なことなので、ご相談内容としてはもちろんあるのですが、もっと相談件数が多いのが「トイレの失敗」とみなさんがいわれるところの、犬の不適切な排泄行動です。

特に、室内飼育の犬の不適切な排泄行動による室内でのトイレの失敗は、人が精神的にとてもダメージを受けることです。

室内をきれいに保ちたい、空気をきれいにしたい、お掃除をしっかりしたいという気持からです。

そのきれいに整えられた空間が犬の排泄によって一気に乱されてしまうわけですから、飼い主としてはたまったものではありません。

多くの室内飼育の子犬たちは、家に迎え入れられたときは「サークル」という管理道具を使って過ごしていることが多いようです。

そもそもこのサークルという管理方法が不適切だから「トイレの失敗問題」が起きるのです。※関連過去記事を最後尾に添付していますのでご覧ください。


犬の「トイレの失敗問題」のご相談の月齢ですが、若い犬で生後3ヶ月、年齢が立つと3才や4才になってもまだ適切な場所で排泄ができないという異常事態が発生しているようです。

犬が何才になると適切な場所で排泄できるようになるのかというと、実はみなさんが思っているよりもずっと早い時期です。

犬は生後21日で自力の排泄行動がスタートするときに適切な排泄行動を引き出せるようになります。

自力で排泄というのは、今まで母犬に排泄の処理をされていたことがなくなり、自らの脚で立ち上がり寝場所からは離れた場所で排泄をするようになるという意味です。


ではなぜ、何才になっても犬の「トイレの失敗問題」が続いているのでしょうか。

ほとんどは犬の問題ではなく、飼い主の提供した環境が整っていないという飼い主側の問題です。

問題のひとつには、犬が未熟なままで発達がなされないため、おもらし状態で排泄を不適切にしてしまうということも含まれます。


表題には「犬のトイレトレーニングは生後3ヶ月までに完了」と書きましたが、本来なら犬のトイレトレーニングは生後1ヶ月半で完了していることが本来の犬の行動です。

この生後1ヶ月半から3ヶ月の間にわたり、犬が繁殖者やペットショップから新しい飼い主の元に引き渡され生活環境が激変してしまうという状況を考慮すると、生後3ヶ月では完了しておくべきことと長めに設定しています。

犬と暮らし始めたばかりの人がいて、生後1才近くになろうとしているのに排泄を不適切にするトイレの失敗問題が起きているのであれば、それは犬のストレス性行動として捉え、早速問題解決のための努力を始めてください。

ベランダのトイレスペースで排泄する空ちゃん

ベランダのトイレスペースで排泄する空ちゃん



過去ブログ記事

<犬のしつけ方>犬のトイレの失敗はそのうちに良くなると期待しないで。犬のトイレのしつけは自律的行動を引き出すことから始まる大切な社会化学習です。

<犬のしつけ方>犬の社会性に大きな影響を与える犬用のケイジとサークル使いの注意点

<犬のしつけ方>子犬のトイレ失敗はいつまでに解決する?


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<犬のこと>夫婦喧嘩は犬も食わないのは本当なのか?

犬にまつわることわざは山ほどありますが、誰でも口にすることわざにこんなものがあります。

「夫婦喧嘩は犬も食わない」

このことわざ、いつも気になっています。

意味としてはとても単純で、要するに夫婦喧嘩というのは、何でも食べる犬すらも見向きもしないほど関わる必要のないものだということのようです。

夫婦喧嘩はそのうちよくなるから仲裁の必要のないことらしいのですが、本当に犬も食わないのか疑問なのです。

なぜなら、トレーニングクラス中に生徒さんから家族間の喧嘩(つまりは夫婦喧嘩)にまつわる犬の行動について説明を受ける機会があるのですが、どうやら犬たちは無関心ではないようです。


夫婦喧嘩のときにしている犬の行動ですが、過去に次のような行動をしていると聞いたことがあります。

夫婦で言い合っていると真ん中に入ってきてワンワンと吠える

夫婦で喧嘩していると庭に出ていって戻って来ない

夫婦で喧嘩しているとクレートに入って出てこない

夫婦で喧嘩していると自分のベッドに伏せて大人しくこちらを見ていた

夫婦でつかみあっていると、部屋の端にいってブルブルと震えていた


ご家族の喧嘩の状態がよくわからないのですが、無関心な犬だけでもなさそうです。

庭に出て行ったり、クレートに入ったりベッドにテリトリーを持つ犬たちは、より安全は場所に回避をしているのでしょう。

ブルブルと震える犬は、逃走もしくは闘争モードが高まっていく状態を示しています。

夫婦の間に立って吠える犬は、旗から見るといかにも喧嘩を制裁したりとめているように思えますが、この状況下で出る吠える行動は興奮行動もしくは闘争行動ですから、制裁というよりも自分も攻撃性を出現させている状態という風に見られます。

全く関与していないように見える犬ですら、顔を背けて無関心を装いながらもハアハアと息遣いをしたり息を殺したりして、状況の変化を感じているようでもあります。


どうやら、夫婦間の喧嘩は犬にとっては食わないどころか、最大の関心時のようです。

ことわざの生まれた生活環境と今では明らかに異なるのが空間の使い方です。

空間の使い方が変わってくると、関係性が変わってきます。

ご夫婦の喧嘩のエネルギーも、一昔前と同じとはいえなくなってきているのでしょう。

ドラマなどで見られる喧嘩するときに「外にでろ」というのは、妥当な方法なのかもしれません。

狭い都会では、外で夫婦喧嘩するとそれはそれでご近所に影響があるということで、なかなか適切な場所も見つかりません。

喧嘩は仲良くなるために必要な攻撃性だと思います。あとは、犬との関係性を高めることがストレスを最小限にとどめる秘策でしょう。

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<犬のしつけ方>犬のことを学びたいならハウツー本とサヨナラしよう

生徒さんやご縁があって出会った方から「ブログを読んでいます!」と言われると、素直にうれしい気持ちになります。

グッドボーイハートのブログを勉強の素材として下さっているということで、未熟で恥ずかしいという気持ちもありますが、恥ずかしくないようにしっかりと学びを重ねていかなければという引き締めにもなります。

ブログを読んで下さる方やグッドボーイハートで学んで下さる方によく受ける質問があります。

質問とは「先生はどうやって犬のことを学んで来られたのですか?」というものです。

正確には学んだ過去形ではなく現在も学び続けているのですが、自分なりにとお答えするのが一番かと思います。

今までに仕事として勤務した犬を管理収容する施設や、訓練学校で先輩としてたくさんのことを見せて教えていただいたことがありました。ですが、それらはそのまま犬の理解として受け取ることができず自分なりになんども消化する必要のあるものでした。

若いころには犬の行動学に関する本がほとんどなく、わずかな本でも読みあさり、そのうちにセミナーが開催されると遠方よく参加したものです。国内はもとより海外で開催されたセミナーにも関心のあるものには出かけて行き学びました。

それらのセミナーの内容はそれなりに理解はできましたが、犬を知るには十分といえるものではありませんでした。

犬という動物についての学びが一気に深まったのは、七山でオポという犬と暮らし始めてからです。

見方がかわり読む本の分野も変わり、犬の本質を知るみ道が少し開かれたのです。

犬のことを真剣に学ぼうとされていても、どうしたらいいのかというハウツー本は足かせになるばかりです。

犬とはそもそもどういう動物なのだろうという、知っていそうで案外知らないことの方に焦点をあてると見えないものが見えてきます。

知らないと思うことは勇気のいるし、大切に思う犬のこととなるとなおさらです。

ただ知りたい、そういう思いで進んで来たのですが、単純であることも時には役に立つのかもしれません。

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<日々のこと>動物取扱業責任者研修会を受講しました

毎年1回、動物取扱業者に義務つけられている研修会に参加しました。

今回の主なテーマは以下のものでした。

動物愛護管理法の改正
動物由来感染症
狂犬病
マイクロチップ

研修内容の中から、皆さんも関心のありそうなことをいくつかをご紹介します。


この業界の法的な整備はまだ比較的新しく、ルールも表面的で不思議なものがたくさんあります。


例えば、犬猫の販売年齢に関する法律の制限は現時点では以下のようになっています。

「生後49日以内の犬猫の繁殖業者からの引渡等の禁止」

法律改正の検討事項として、「生後56日以内の犬猫の繁殖業者からの引渡等の禁止」とあります。

犬猫を早く親から引き離すと個体の社会化に悪い影響を与えるということで、改正が進められているのです。

飼い主さんもできるだけ長く親犬と過ごさせた方がいいと思われているようです。

子犬期の成長と発達のために、母犬や同胎犬といっしょに過ごさせた方がいいというのは当然のことのように思われます。しかし、ここには落とし穴があります。

単に母犬と長く置くということが社会化ではないのです。

日数という数字を合わせただけでは、動物は社会化しないのです。社会化はそんなに単純な仕組みではないということです。

むしろ、不適切なスペースに収容する時間が長くなるとことが子犬期のトラウマをつくつてしまいます。

不適切なスペースとは、サークルやケイジの中、他の犬の鳴き声が聞こえる空間、臭いのきつい空間、動きの取れない空間などです。

また、繁殖を繰り返す繁殖犬として人が利用している犬の中には、ストレスが強くかかり子犬と上手くコミュニケーションがとれない母犬もいます。

このような状態で母犬と同じスペースに長く置かれても、社会化は難しくなるばかりです。


法律の中には、犬猫の保管や展示のスペースについてもあります。

保管や展示の広さは、動物の体長の2倍以上の広さであることとされています。

逆から読むと、体長の2倍あればいいともいえます。

法律とはなかなか抜け道の多いものです。


また、毎年紹介される狂犬病に感染した子供達の症状のビデオを見るのは心苦しいものです。

日本は狂犬病が長らく発生していない国ではありますが、決して狂犬病がクリアな国とはいえません。狂犬病は他国入ってくる可能性が高く、その防衛に対して防御が甘すぎるため、いつでも狂犬病が国内に入る可能性があると思っておいたほうがいいでしょう。

ネットでは「RABIES」のワードで検索されると、狂犬病の感染に関する情報の動画を確認できます。特に人の感染動画は興味本位では見ることをお薦めしません。攻撃性と致死率100%という狂犬病は、犬という動物と共に暮らす上では、見てみぬふりをできない病気であるという認識は必要でしょう。

動物由来感染症については「手洗いの励行」「節度ある触れ合い」が予防のポイントとして紹介されています。
当たり前のことのように思えますが、案外なれてしまってできないことも多いものです。

最後に突っ込みをひとつ。

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Posted in 日々のこと, 犬のこと

<犬のしつけ方>犬のしつけは飼い主が主役:ドッグトレーナーが犬をトレーニングしてくれるという思い違いは今すぐ解決

犬のしつけやトレーニングについてのご相談の中で、とても多い間違いが「犬を訓練してください」というご依頼です。

犬の問題となる行動や犬のしつけを、ドッグトレーナーが家庭を訪問して瞬時に解決してしまうと勘違いをされていることがあるのです。

テレビ番組の中で、ドッグトレーナーが家庭を訪問して犬をトレーニングすると犬が瞬時に変わってしまう様子を見てそう思うのかもしれません。


犬のしつけや問題行動の解決のためのトレーニングをドッグトレーナーが犬に教えることで解決してもほとんど意味がありません。

意味がないどころか、飼い主は愛犬のことを理解し関係を作るという大切なチャンスを失ってしまいます。

こうした思い違いは、犬のしつけや問題行動の解決を犬だけの問題だと思っているところから起きてしまいます。

犬の困った行動は、犬の問題ではありません。

むしろ、犬を飼育するまさに、犬を飼い育てている環境に問題があります。

その環境のもっとも重要な因子が飼い主なのです。

そのため、飼い主が犬のしつけに主役となって取組むことでしか、この問題は解決しないのです。


思い込みのきっかけになったかもしれないテレビ番組はどうなの?と思われるでしょうか。

犬に関するテレビ番組の裏にはいろんな仕掛けがありますから、放送されていない時間に何か一時的には即効性のある対処法を用いた可能性もあります。

もしそうでないとしても、犬は非常に警戒心が高く人の見分ける力があります。

家庭で問題行動を起こしている犬ほど、人との関わりが強く人をよく観察する力を持っているのです。

ドッグトレーナーやドッグインストラクターといった職業の人間が、一般の人と明らかに違うということを犬たちはすぐに見破ります。

そのことが一時的に犬の行動に影響を与えるのです。

散歩中に他の犬に吠えていた行動が、ドッグトレーナーが犬のリードを持つと吠え止むといったことは全く珍しいことではありません。

これらの行動を見て、ドッグトレーナーが犬を「修理」して戻してくれるという勘違いをされるのでしょう。

ですが、これは犬のしつけとしては成功しません。

犬は飼い主のつくる環境によって行動を変化させています。

飼い主自身が犬を理解し、犬に必要な活動やしつけを提供し、犬と関係を築く時間を持たなければ、犬の問題行動は解決しないのです。


犬のしつけをオスワリやフセを教えることだけと思っていると、間違ってしまうかもしれません。

確かに、ドッグトレーナーが犬にオスワリやフセを教えて飼い主に戻すことはできます。

でも、この犬はいつどのような時にでも飼い主が要求するとオスワリやフセをするようになるわけではないのです。

オヤツがあるとする、餌のときにはするけれど、本当に必要なときには言う事を聞かない以前と変わりのない犬がそこにはいるのです。

変わっていないのは、飼い主の方だからです。

犬にきちんとしつけをして犬が社会的に安定して生きていくことができるように成長を促すのは、飼い主の役割です。

ドッグインストラクターとして私ができることは、飼い主さんに学びの機会を提供することだけです。

犬のしつけは、犬との関係をつくる貴重で楽しい時間です。

しつけやトレーニングの時間を通して、犬を今以上に理解することができ、そして犬との関係性が深められます。

早くよくなればいい、誰か犬のしつけをやってくれないかなという気持ちは、犬と向き合うことを避けていることになります。

そしてこのことに一番気付いているのは、犬自身なのです。

犬とどのような関係を築いていきたいでしょうか。

犬はあなたの家族の一員なのでしょうか。

犬のしつけには毅然とした態度やたくさんのエネルギーも必要ですが、費やした以上の喜びが戻ってくることは、犬と向き合った方だけが体験する特権です。

犬と暮らすすべてのみなさんに知っていただきたいことです。

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<犬のこと>人がテーブル下に落とした食べ物をとる犬の行動も様々なこと

ドッグインストラクターという商業柄当然のことですが、家庭内での犬の行動を比較するのが習慣になっています。

犬のしつけ方教室というと、オスワリがどのくらいできるのかとか、散歩中に人の横について歩けるのかなどの行動ばかりを観察していると思われるかもしれませんが、実はそれだけではありません。

犬に対するしつけやトレーニングで大切なことのひとつに、その犬の個性をよく把握しておくということがあります。

直接的にその犬を理解するという目的と同時に、犬の行動をあらかじめ予測するために役立ちます。

人側がこうしたら犬はきっとこう反応だろうなという行動をある程度予測することで、犬に対してどのように接すればいいのか、どのように学習を促していくのかという過程を組み立てていくからです。

こうした犬の理解のための観察素材としては、散歩の様子やオスワリの学習よりももっと日常的な行動についての情報の方がより重要です。


それでよく飼い主さんとの会話の中でいろいろとお尋ねしています。

先日は、人が食べているときにテーブルの下に落としたものを犬が拾いに来ますよねという話題になりました。

人の食べこぼしを犬が食べることを許すかどうかというのは、ご家庭によってルールは様々でしょう。

犬のしつけとしては、食べ物を落としたときに「それダメだよ」とゆっくりと声かけして、犬が食べずにいられれば十分にしつけができているといえます。

わたしの飼っていた犬については、人が食べても良いと許可したものについては、拾っても良いというルールを導入していました。


床に落ちたものを食べさせても、それが拾い喰いという悪しき習慣につながるわけではありません。

落ちたものが犬が口にしてはいけない食材であることもあるでしょうから、食べてはいけないといわれたときにはきちんと応じるというのは最低のルールとして必要です。

ところが、犬の中には人の食べこぼしを拾いに来る犬の中にはそんな制止の余裕のない犬もいるようです。

人が食べこぼした食べ物がテーブル下の床に落ちる前には走り出し、落ちた瞬間には即座にその食べ物を口にしてしまうという早業犬も案外いるようです。

飼い主の報告によると、それらの犬たちは猛ダッシュで走ってきて食べ物を拾うと別の場所へ走っていき一気に飲み込んでしまうというのです。

行動の様子からすると、誰かに取られまいとして慌てて食べているということですが、競い合っているのは多頭飼育されている犬の場合もあるでしょうし、飼い主の場合もあります。


これらの早業犬たちとは違って、状況をよく確認した上で、落ち着いた行動で落ちた食べ物を拾って食べる犬たちもいます。

このケースでは、飼い主が食べ物を落とした瞬間にそれを見ている間は犬は顔を背けており、飼い主が落ちたものがわからずに放置してしまうと、犬の方が行動を起こします。

しかし、その行動は食べ物に走ってくるというものではありません。

ゆっくりと立ちあがった上で食べ物の落ちている方向になにげなく前進してきて、少し鼻をおとしながら偶然のように食べ物を拾っていきます。

飼い主から「ダメだよ」と指摘がはいればいつでも行動を変化させることのある余裕を感じられる行動で、状況がいつ変化するかもしれない状態での行動への配慮が見られます。


この二つのタイプの犬は、どちらも落ちた食べ物を食べることを目的とした行動ですが、その行動のパターンには飼い主との関係や犬の性質(性格)を見ることができます。

こんな、日常のなんでもない行動について飼い主さんに質問をくり返していくと、犬の個性がより理解できるようになります。

そしてなによりも、最初は的確に質問に答えられない生徒さんたちも、質問をくり返すうちに観察力が増していくという学習が起こります。

今までとは異なる面から犬の行動を観察できるようになるということが、飼い主として最初に必要な学習事項なので、楽しみながら犬を観察していただきたいです。

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<犬のしつけ方>犬への声かけが犬を不安にさせることもある:怖がる犬をなだめないで欲しい理由とは

犬に対する飼い主や人の声かけが、人の思惑とは別の方向に向ってしまうことがあります。

最も多くみられる間違いで、人側がなかなか改善できないのが、怖がる犬に対するなだめ行為です。

怖がる犬に対するなだめ行為とは、まさに、なだめるということを目的とした声かけです。

人の犬に対するなだめ行為について例をあげてみましょう。

散歩中に環境の変化に適応できず、硬直して動けなくなり立ち止まって尾を下げている犬がいるとします。

それを見た人の多くは、犬をなだめようとします。

犬に対して「大丈夫よ~」とやさしい声をかけて、体をさすっている行為を見かけることもあるでしょう。

もしくは、犬を抱きあげた上で赤ちゃんのように上下左右に振って、抱っこしてあやしながら「大丈夫よ、怖くないわよ~」となだめてはいないでしょうか?

犬を抱っこしてあやしている状態は、犬を赤ちゃんと取り違えている擬人化した行為になります。

抱っこという行為自体が犬に対して負担をかけるペット化の接し方ですから、抱っこをせがむ犬は当然社会的に不安定な状態にあります。

犬という動物に対する対応としてこれらの接し方が不適切だということは理解されやすく納得もいくでしょう。

しかし、体をさすってやさしく声をかけるなだめがなぜ犬にいけないのかというのはわかりにくいことです。

そもそも、なだめるというのは相手に状況を理解させて説得したり、納得させたりするための時間稼ぎです。

説得の行為に関しては言葉のコミュニケーションを用いて理解させるという方法です。

そのなだめる行為に、体に触れるという接触を伴う人が用いる落ち着かせのコミュニケーションが入っています。

犬にこうした行為が通じない理由は、簡潔にいえば人と犬ではコミュニケーション方法が違うということです。

では、怖がって尾を下げて震えている犬がいたとしたら、犬だけで生きている群れの犬たちはどうするでしょうか?

犬が怖がる状態を脱却する方法は、自力で快復するのを待つというやり方になります。

同時に、群れの強さを感じることができれば、群れの安定度によって犬の快復力は高まっていきます。

つまり、その犬の近くで普段と変わらず堂々と振舞うことが、怖がっている犬の快復力を高める方法です。

怖がっている犬が必要としているのは、やさしく声をかける人間ではありません。

やさしい声は違う面からみると、弱弱しい声ということです。

怖がっている犬が必要としているのは、弱い動物ではなく群れを率いてくれる強くてたくましい存在なのです。

何かあっても群れのために戦う意志があるトップの犬たちがいて、規律のある群れにいると犬は自律した快復力が高まっていきます。

逆に、やさしく語りかける飼い主の声となでる手は、犬が怖がっていることをさらに強化する(その行動を高める)要因となってしまいます。

犬はますます、怖がることをやめられなくなっていくのです。

飼い主の気を引くために、わざと怖がっているわけではありません。

怖がりの強い犬は自律性が育ちにくく依存性が高まりやすいため、飼い主に対する依存性を高めてしまう行為によって飼い主の反応が出やすい行動をしてしまうということです。

犬が怖がることを改善したいと願う飼い主が、実は犬の怖がる行為を高めているということに多くの飼い主は気づいていません。

動物の行動学的にはとてもシンプルな構造なのですが、行動に変化が見られないということは、何か周りの環境に要因があるということです。

最も大きな要因が飼い主のつくった環境(生活環境のすべてを含む)と飼い主の接し方です。

だから、飼い主が変われば犬の行動は案外簡単に変わってしまうのです。

預かりのトレーニングで結果が出やすいのは当然のことなのですが、同時に飼い主の元にもどれば以前と同じになりやすいということです。

人と犬ではコミュニケーションの方法が違うということ、当たり前のことなのですが再度確認しましょう。

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