グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬に寄り添い自然に近づいた人のこと:昭和の犬の映画「ベンジー」のドッグトレーナーとの出会い

 映画やドラマの中に犬を含めて動物が登場すると、ついその動物の行動の方に注目してしまいます。注目する理由は、映画の中で動物がどのように使われているのか、その映画の撮影中に動物がストレスを感じていないかどうかを読み取ろうとしてしまいます。

● 子供のころに見た忘れられない犬の映画

 もちろんこうした見方をするようになったのは犬のトレーニングを仕事にするようになってからです。それまでの学生時代に見たものはただ脚本を通して擬人化もしくはヒーロー化した犬を見て単純に感動していました。小学生時代に見た犬が登場する映画の中で最初に感動した画があります。アメリカ映画の「ベンジー」という映画です。
 1960年代の映画であったと記憶しています。映画「ベンジー」のストーリーはいたって単純なもので、ベンジーがヒーローとして子供たちと自身の彼女犬を助け出すという子供にはわかりやすいものでした。ベンジーの主役だった俳優犬(フィルムドッグ)は、カリフォルニアのアニマルシェルター(保護施設)で子犬のころに保護された犬で、ヒギンスと名づけられていました。
 考えるとすでにこの時代にはアメリカでは保護施設が犬で満杯になり、保護施設から請出して再び家族として迎える保護犬というものが存在していたことになります。曖昧な記憶ですがベンジーを演じたヒギンスが捨て犬だったのにスクリーンのヒーローとして活躍したことは、映画の宣伝に多いに使われていました。当時小学生の自分にとっても、とても衝撃的なことでした。そのヒギンスですがテリア種のミックス犬でそれまでにヒーローとして知られていたシェパードなどの立派な犬とは容貌が明らかに違うことも新しい価値観として注目されたのかもしれません。

 犬のトレーニングの仕事をするようになってからは一度だけベンジーの映画を見ました。レンタルビデオショップにあったのかと思います。ドッグトレーニングとして見ると、その行動の正確さは本当に見事でどうやって教えたのかといつも不思議でした。それは、犬の芸当に関心があるからではありません。家庭犬にお互いの楽しみを越した芸が必要だも思ってはいません。ただ、このヒギンスとトレーナーはどんな関係だったのだろうかという関心が高まってしまったのです。


● ベンジーのトレーナーとの出会い

 そのベンジーの映画でフィルムドッグトレーナーのひとりとして参加したドッグトレーナーと福岡で会う機会があったのです。経過としてはこうでした。グッドボーイハートの博多駅南校があったころに、博多でフィルムドッグのセミナーを開催したいので場所を貸していただけないかという相談を受けました。生徒さんたちも楽しめるような内容であればという確認をして、セミナー会場として使っていただくことになりました。一般の方とグッドボーイハートの生徒さんも数名参加されていたと思います。そのセミナーのドッグトレーナーのうちの一人がベンジー(ヒギンス)のトレーニングを担当していたと紹介されたのです。ヒギンスはとても学習能力が高く積極的に取り組む特別な犬であったようです。とても楽しい時間だったと語られていました。
 フィルムドッグセミナーでは行動を起こしたら報酬を与える正の強化法が使われていました。ヒギンスも同じように報酬で行動を強化されていたのかどうかはわかりません。ただ、担当のトレーナーがその犬からたくさんのことを学んだといわれたのは印象的でした。
 会場を提供した者ということで個人的にそのトレーナーの方に紹介されました。紹介の際に知人が「オポという犬を飼っていらっしゃるんですよ。」と伝えてくださいました。「オポ?あのイルカのオポですね。」という返答をいただきました。それまでオポという名前を聞いて「イルカのオポ」と返されたことは一度もありませんでした。そのトレーナーさんがイルカのオポのことをご存知だったことを知り、それだけで本当にうれしくなりました。


● 犬と寄り添うことで出会った世界への共感

 そのベンジー担当のトレーナーさんがお昼休みにいくつかの民芸品を販売されていました。通訳の方によると先日結婚されたばかりだとのことで、その家族がこの民芸品を作っているということでした。写真を見せていただくとそのご家族は衣服を一部しかみにつけていないような部族の方だったのです。トレーナーの彼女は白い色のアメリカ人だったので少し驚きました。おみやげの民芸品の中から、いろんな動物の顔をしているお面というのを購入しました。お祭りのときに部族で使うらしく運気もあがるよといわれた物です。現在はグッドボーイハート七山校の玄関ホールに飾ってあります。

 個人的に深くお話しできなかったのは残念でしたが、犬に対する気持ちや姿勢、犬を通して学んだ時間、そんなことが新しい世界のパートナーとの出会いにつながったのではないかと思います。セミナーが終わって帰られる間際に「ヒーリング用のベッドが置いてあったけど、あれは何に使うのですか?」と尋ねられました。控え室に使っていただいた部屋に折りたたんだ人用のヒーリングに使うベッドを立てかけてあったのを見られたようです。「わたしが飼い主さんにヒーリングをさせていただくためのベッドです。」とお伝えしました。彼女は「本当にすばらしいこと。いつかいっしょにセミナーをしましょうね!」と言って立ち去られました。

 犬のトレーニングの仕事をしているのに、犬のヒーリングや人のヒーリングまでするようなったことで、人によってはわかりにくいと感じられることもあるとは思います。しかしこのとき、犬を通して学び同じ道を歩いている人がいるのだという心強さを得たのです。ありがたく不思議な出会いでしたが、ベンジーという犬が引き寄せてくれた貴重な出会いであったと感謝しています。
 

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