今日はやはり10年前の今日を思い出す日となりました。
たくさんの不幸が生まれたあの震災で、わが身にもしこのことが起きたらと考えるきっかけをいただきました。
そのとき私はまだ生前のオポと七山にいました。
お昼ころからお客様をお迎えしていっしょに山を歩き、午後になってパソコンを立ち上げたときに起きていることを知ったのです。
まだガラ携でしたし、情報も断片的でしたが、家や自動車が津波に触られる風景を見てこの中にいくつの犬の命が人と共に流されただろうかと思いました。
大型犬のオポを連れて逃げる場所など山の上以外にはないと思いました。
私とオポにとっては歩く体力と結束力だけが一緒に逃げ去る道具だと考えました。
しかし、普通に犬を飼っている方には、これをきっかけにクレートトレーニングは必須とますます思うようになりました。
小さな犬を抱きかかえて避難している方もいましたが、やはりバッグよりもクレートをもって避難する方が何よりも安全ですし、犬の安心度も違います。
クレートトレーニングを始めるときは「小さな入れ物にいれてかわいそう」と思ったという飼い主も、その意味や役割を知るとこの道具の必要性をきちんと理解してくださいます。
クレートは犬を閉じ込めるものではありません。
むしろ犬の世界を広がるためのものです。
そして何よりも、災害時の避難には必ず日常的に利用しているクレートを持ち出して下さい。
小さな犬はクレートの中に待機させて移動
大きな犬はクレートを折りたたんで移動させ適切な場所で組み立てます。
そして何よりも大切なことは、有事が起きてもパニックを起こさず飼い主と共に行動できるような犬として成長をさせるために「犬のしつけ」をすることです。
犬のしつけの究極の目指すところとは、芸をさせたり、ドッグランで遊ばせたり、お留守番させることではありません。
災害という場面においてでさえも人との信頼関係の中で最後までともに頑張ることのできずつながりを作ることだと思っています。
そこに至る方はほんの一握りだとは思いますが、ぜひここまでやってきてください。
10年前のあの災害時には国内はもとより海外からもレスキューとしてトレーニングを受けた犬たちが現場にやってきました。
災害という危険な場におかれてもなお平常を保ちつつ任務にあたるのは、厳しく叱られたからはなく、人と大切なつながりを作るための規律をお互いに守り続けたからです。
人と人の間にですらこの規律やもはやなくなりつつあります。
私にできること、また今年の今日も深く考え生きている限りお返ししていきます。
Author Archives: miyatake
10年たって考える「このコを連れてどのように避難するのか。」
日頃からテンションの高すぎる犬、実は楽しいわけではないのです。
日本で見かける犬たちは他国と比較しても圧倒的に小型犬が多いです。
運転中に見かける犬たち、パグ、プードル、チワワ、ミニチュアダックス、マルチーズ、シーズー、フレンチブルドッグ、豆柴犬…など、流行を追いやすい日本人の飼う犬は小型犬種に偏っています。
これも都心の住宅事情によるものなのでしょうが、この犬の小型化は少し危険な方向に流れつつあります。
小さな犬→かわいい→抱っこするもの という一方的な愛護の価値観へとつながります。
人の一方的な価値観の変化にとどまるのであれば、それに異論を唱えるつもりはありません。
しかし、この犬の小型化+人の犬に対する価値観の変化が、犬の行動に影響を及ぼしているという事実が出てきました。
なので今日はあえて、このことが犬という動物にとって危険で不利益なものであるということを説明します。
もし、犬が日常的に以下のような行動をしているのであれば、これはとても危険なシグナルです。
走り回る、
飛び上がる、
尾をふっている、
おもちゃをおいかける、
落ちているものをすぐに口にする、
尾を追う、
穴掘り行動を繰り返す、
ごはんを飲むようにたべる…。
これらの行動は犬が興奮している=テンションの高くなっている行動例のいくつかです。
もちろん犬は興奮することがあります。
それは人が興奮することがあるのと同じように「場合によっては興奮することがある」という程度です。
ところが犬の興奮行動が日常化しているとなると、正常な状態とはいえません。
犬の脳内はかなりテンションの高い状態で、何かに執着行動や、同じ行動を繰り返す常同行動が頻発になっているのです。
もっと危険なことは、
犬がこのように興奮した状態であることを見た人が「犬が喜んでいる」と勘違いしていることです。
おもちゃが好き
人が好き
来客が好き
ガムが好き
ごはんが好き
…。
なんでも犬が興奮するもの犬が好きだと思い込んではいないでしょうか?
ドッグランが好き
犬が好き
走るのが好き
…。
なんでもこれで片付けではいないでしょうか。
これはとても危険なことです。
犬が発しているストレスシグナルを、犬が幸せだと勘違いしているのですから全く危険なことです。
適切に接し、適切な生活練習を重ねていけば、犬の状態によって期間は異なれど、犬は正常な行動を取り戻していきます。
つまり犬の脳内は落ち着きを取り戻し、リラックス感を思い出していきます。
犬は性格で興奮しているのではなく、人がつくった環境の中で興奮を続けてハイな状態になっているのです。
ハイな状態は動物にとっては「幸せ」というのかもしれません。
人であっても「ハイだな」と感じる人はたくさんいるし、本人は自分は幸せだと思っているかもしれません。
でもハイな状態は疲れます。
そしていつかどーんと落ちたり、パニックになったり、壊れていきます。
犬たちの悲鳴に気づいてあげてください。
あなたの犬はハイなだけではないでしょうか?
過去のブログ記事→犬のとびつき、走り回る行動の理由
犬のゆったりとした時間は生活空間の広さでできる。
久しぶりに七山に到着すると、うぐいすの鳴き声で出迎えられました。
だんだんとせわしくなるうぐいすのあの聞きなれた鳴き方も、このころはまだ風情を感じられます。
春が来たのだと実感できる、そんなときです。
七山で過ごしていると一日がものすごく長く感じられます。
私だけでなく預かりクラスを利用していっしょに過ごしている犬も、きっとすごく長い一日を過ごしているではないかと思います。
クラスの最中に様々な犬の行動を説明するときに、「時間」と「空間」という素材が犬に与えている影響についてお話することがあります。
自分のテリトリーの中にしっかりとした余裕のある「空間」を持っている犬は、余裕をもって「時間の経過」を感じることができると感じています。
感じています、というあいまいな言い方になってしまうのは、科学的に説明するようなデータがなく、あくまで私個人が犬の行動を見ていて「そう感じる」というレベルだからです。
この曖昧な感覚を、先ほどYouTubeのニュース配信の中で科学者の武田邦彦先生が軽くコメントされたのでびっくりしてブログに記しておきます。
武田氏はこのようにコメントされました。
時間の流れは、空間が小さいほど早い。
空間が倍になると時間は1+4分の1になる。
数式としてあるということでした。
武田先生に後押してもらったようで(話題は全然違ったのですが)自分としてはうれしい限りでした。
しかし、ここで大きな間違いをしないように注意点を加えます。
広い場所を犬に与えることが余裕を得られるのだと単純に誤解しないでください。
ドッグランや広場や広い場所に犬を放たれることで、犬にリラックスや余裕が生まれるということではないのです。
犬に時間の流れの余裕を与える空間とは「生活空間というテリトリー」の広さです。
さらに「生活空間というテリトリー」は犬が安心して過ごすのことのできる場所になっている必要があります。
「空間」といっても場所さえあればいいということではないのです。
例えるなら、自分の寝室として30畳もの広さの部屋を与えられ、その中にベッドもなにもなく、この広い空間で時間の余裕を生み出して下さいといわれてもそれはできないのです。
安全と安心を自分に得ることのできないただ広いだけの寝室空間は、自分の中に「不安」を生み出します。
結果その「不安」はドキドキを生み出し、心臓の鼓動が早くなると同時にたくさんの時間を失ってしまいます。
有名な本「像の心臓、ネズミの心臓」につながりそうです。
だからこそ大切なのは、犬が毎日生きている暮らしの場をきちんと整えること、考えるならそこを真剣に考えることです。
そしてできることから少しずつ、始めなければなにも変わりません。
犬は忙しく生きたいとは思えない。
動物はゆっくりと生きる生き物で、本当なら犬の10年はもっとゆっくりしたものなのではないかと考えています。
私ひとりが考えても仕方のないことですが、そのうち私のとなりにいる人が考えて、そして次の人が考え、そして一頭の犬の生涯が変われば、それだけでとてもうれしいです。
特別に教えます!犬と関係を作るために犬を叱る必要はありません。
今日のブログ記事を目にした方は本当にラッキーです。
すごく大切なことですので飼い主さんにクラス中に特別にお伝えするようなことですが、あまりにも多くなってきたので特別に教えます。
気が変わったら削除しますのでお早目にお目通しください。(笑)
犬との関係作りにおいて、犬をほめたり叱ったりする必要がたくさんあると思っているなら大きな勘違いです。
でも安心してください。その勘違いを私もやっていました。
もう数十年にわたって犬のしつけ方やトレーニングを指導してきました。
もっと前の使役犬の訓練士のときにはチョークチェーンも使っていました。
家庭犬のインストラクターになってからは、ごほうび(報酬)トレーニングもやりました。
これはどちらもオペラント条件付けという「強化」の法則にのっとったトレーニングの手法です。
でも今はどちらも犬のしつけやトレーニングの道具として必要としていません。
犬とコミュニケーションをとる過程で「ごほうび」や「罰」の道具を用いる必要性を感じないと同時に、この道具の多様は犬と人の関係性を表面的なものに抑えてしまうと思っているからです。
ところが、今でもまだこのドツボにはまってもがいている飼い主さんがたくさんいます。
ほめなければいけないと思っているから、叱らなければいけないとおも思っているのです。
もし、飼い主であるあなたが「犬のことを叱ってばっかりいる気がする。」と思っているなら、いろんなことが誤解されているようなのでここで一度整理しましょう。
いくつか代表的な間違いが三つありますのでここに項目別に説明します。
・犬に対する合図(コマンドともいわれる)オスワリ、フセ、マテなどは叱る言葉ではない。
犬に対して、オスワリをさせてください、フセをさせてください、というと、大きな声で「オスワリ!オスワリ!」や「フセ」と怒鳴るように言われることを耳にしますが、これはそもそも間違っています。オスワリやフセなどの合図は、ひとつのシグナルであって叱るために使う言葉ではありません。
シグナルなのでできるだけフラットな音で「オスワリ」「フセ」と発することができればいいのです。
犬には音声シグナルの聞き分けが人ほどには高くないといわれますが、この三つくらいの聞き分けはいずれできるようになります。
もちろん犬の中には聴覚的に問題をかかえている犬もいるかもしれませんが、視覚的なシグナルで補えばこれも解決します。
特に犬に対して怒鳴るような大声でオスワリをいう風景を見るときには、犬がなんどかオスワリといっても座らない、フセといってもフセないときです。
脅しをかけないとオスワリやフセをしないような状態では、それは合図とはいえません。
「合図はいわれたらするもの」そう教えることの方がよほど大切なのです。
・犬がとびついてきたときにダメ!といって叱る必要はない
これを読んで驚きましたか?「犬に飛びつかれないでください。」というルールはとても大切なルールなのでみなさんにお伝えしています。
しかし飛びついた後に叱っても効果はありません。
飛びつかれた段階ですでに「スキ」があるのですから、それを叱ったとしても悪いと犬が理解することもありません。
「犬が飛びついたときに叱るのでしょっちゅう叱っていて気分が落ち込みます。」と言われることもあります。
これも同じですが、とびつかれないようにすることに価値があるので、そもそも方向性が間違っています。
その飼い主さんの犬に私は飛びつかれることがありません。
だから私は叱ることもありません。
犬に対して「駄目よーダメダメ」と少し古いお笑い芸人の一発芸のような言葉を発しているとしたらもう一度「とびつきをさせない」ということの意味を考えましょう。
犬はやったことしか覚えていきません。
飛びついた後にダメだと叱ることで正しく伝えることはできないのです。
・犬がリードを引っ張ることを叱っても、人の後ろをついて歩くことは覚えません。
これもよく見る犬を散歩させる飼い主の行動のパターンです。
犬に引っ張られながら歩きつつリードを後ろに引いて「ダメ」を繰り返して叱ることもまた必要のないことです。
二つ目の犬のとびつき例の説明と同じになりますが、犬がリードを引っ張ることを叱っても犬は正しい散歩の仕方を身に着けることはできません。
犬がかわいそうだから叱ってはいけないと言っているのではなく、効果がないからやる必要がないということです。
犬に散歩のさせ方をちゃんと教えたいのなら、もっと違うところから教えていく必要があります。
その方法とは…。クラスの中でご説明していますね。
逆をいうと、犬がきちんと歩いているからと「イイ子、イイ子」とほめながら歩く必要もないのです。
あくまで自分の気持ちを満たすために「おりこう」とか「いいこだね」などのかけ言葉はもちろんかまいません。
やさしい音色の声は犬にも伝わるし、犬は飼い主が満足していて安定していることをすぐに受け取れるようになります。
でも、頭をなでてほめたり、上手上手を犬のために繰り返しているならその必要はないということです。
犬は自分がやるべきことを理解し、そしてただそれをやっているだけ、そしてそのことに犬自身も満足をしていれば、そんなイレギュラーな歩き方はしないのです。
もちろん都心は散歩コースの環境があまりにも乱れています。
これでは犬は落ち着きをなくしてしまうと思うようなコンクリートが続く場所ばかりです。
環境を選ぶこともまたトレーニングの要素のひとつですが、犬を叱ったりほめたりすることよりもずっと重要なのです。
今日は特別授業でした。
お役に立てれば幸いです。

犬の育成は家庭にあり!自然農園という環境ですくすくと育つ犬くんのこと
グッドボーイハートが家庭訪問レッスンにこだわっている最大の理由をご存じでしょうか?
それはグッドボーイハートの犬のしつけ方・トレーニングのベースは犬が育つ家庭にありと考えているからです。
その家庭という環境の中のひとつ「犬の発育と成長に影響を与える外的要因としての環境」というのがあります。
簡単にいえばこんなことです。
・犬の排泄場所をどこに設置するか
・犬の寝場所をどこに設置するか
・犬の食事をどこでさせるか
・犬の日々の活動をどのようにどこでさせるのか
これらはすべて犬の成長と発達のために整えるべき要素です。
馬の言葉を拝借するなら「犬を家庭で育成するための場作り」といえます。
家庭訪問レッスンでは思わぬところを家庭犬のインストラクターである私に指摘されて困惑される飼い主さんもいます。
なぜ排泄場所が室内のトイレシーツではだめなのか?
なぜお庭を犬のために開放する必要があるのか?
犬にとっては動物としての自然な欲求なのですが、犬という動物を理解できなければこの仕組みはなかなかわからないようです。
特に洋犬の純血種を飼われる方の中には、室内完全飼育の意味を取り違えている場合も多々あります。
先日久しぶりに家庭訪問レッスンで伺ったご家庭の庭が、見事な自然農園として生まれ変わっていました。
子供さんたちが成長して庭を全く使っていなかったということですが、犬にとっての庭環境の必要性をご説明したところ、すぐに庭の復活に向けて活動を開始されました。
ところがその庭の生まれ変わりは、本当に見事だったのです。
到着したときには「家を間違えたかな?(失礼)」と思ったほどに外観も変化していました。
自然農園では土が生命を取り戻し、草が命を芽吹き、虫が生まれ、鳥がやってきます。
そして犬くんは雑草を食べ、小さな虫を追いかけ、野生動物の見張り番をするようになりました。
何よりも犬のしぐさや目つきや表情に「余裕」が感じられるようになりました。
余裕が生まれるとコミュニケーションを理解する力も発達します。
トレーニングクラスの環境整備といってもここまで自主的に勉強して取り組まれることはまれだとは思います。
でもそのセンスの中に人が犬と暮らしていく可能性を見出せるのです。
だから運転辛い、移動がきつい、でも家庭訪問レッスンをなかなか終了することができません。
そこで「野菜の種」をいただきました。
なかなか実行できかった私ですがこの春はとりあえず「種まき」から。
犬が育つ環境を育てる。これこそ犬のトレーニングクラスの学びです。
自然農園で成長するフレンチブルドッグくん
「先生には犬のテリトリーが見えるんですね。」というコメントについて。
家庭訪問レッスンのメリットは、犬が育っている環境を細かく見ることができるということ。
次に、犬の普段の行動を直接自分の目で確認することができるということ、です。
他にもたくさんのメリットがあって、その中に飼い主さんとマンツーマンで話ができるということがあります。
セミナーはゼミ形式のクラスでは、他の方が気になって質問できない方もたくさんいます。
こんな質問聞いてもいいのかなとなるところをマンツーマンだと次第に遠慮せずに質問してくれます。
中には「先生何歳ですか?」といった質問に及ぶこともあるのですが、その前にもっと犬のことで聞きたいことが山積みであるでしょう。
その生徒さんからの質問は私の発想の思いもよばない内容になったり、ああそこがわからないのかとか、ああそんな風に感じられるのかとかそうした飼い主さんの味方や考え方を知る貴重な機会です。
先日、家庭訪問レッスンに伺ったときに、生徒さんと「犬のテリトリー」の話になりました。
もう数年クラスを継続されていて、飼い主さんの理解力や情報力は上級者レベルです。
駆け出しのドッグインストラクターよりは圧倒的に高いレベルの知識を備えていらっしゃるような状態です。
犬の行動がどのように決められいくのか、表面的な話ではなく「犬のテリトリー構成」
という行動学的な内容でお話しすることでより犬について興味を持ってくださいました。
その説明が終わると、こういわれたのです。
「先生には犬のテリトリーが見えるのですね。」
これは質問というよりも感想にあたるコメントです。
ですが質問同様に「なるほど、飼い主さんはそのように見ているのだと知ることができました。」
わたしはこうお答えしました。
「私が見ているのは、犬がテリトリーを守っているとき、そして私のテリトリーを侵害しようとしているとき、の二つなんです。」
そうすると飼い主さんはとても納得された様子でした。
グッドボーイハートのトレーニングクラスを受講されている方なら、きっとこの言葉の意味を分かっていただけると思います。
こうして私はどのような説明をすれば、飼い主がより早く理解にたどり着けるのかをクラスを通して学んでいます。
この数十年の空いたに何件のプライベートクラスを開催したのか数えることもできませんが、この間に生徒さんからたくさんの質問を受けることで自分も学びを重ねることができました。
以前、とても有名な方(誰であったか思い出せないのですが…)がこんな感じのことを言われていました。
まず自分が理解するのに1年かかったらそれを人に説明できるようになるのにさらに数年が必要になると。
このことは全く自分に当てはまります。
私がわかっていることを人がわかるように説明するのにとても時間がかかるのです。
自分の中での消化する時間というのが必要になるからです。
だから気長にお付き合いいただきたいと思います。
20年前の私は今の私と別人ですし、10年前に犬について知っていたことももはやほんの少しだったり間違っていることもたくさんありました。
今では結構いい線まで来ていると思います。
すごく時間がかかりたくさんの学ぶ時間をいただきました。
と思ったら結構年齢もとってしまい、せっかく学んだことをどのようにみなさんにお伝えしていったらいいのかと今考えているところです。
とりあえず、ブログという方法があります。
もう若い方は文字もあまり読まないらしいですが、動画配信まで遠いのでブログをつづっていきます。
どなたかもっとできる方は、それぞれの立場で犬にとって大切なことを伝えていってください。

お預かりクラスで伸びをするレオンちゃん
グループトレッキングクラスを開催しました。
気持ちの良い週末でした。
福岡県はまだ自粛期間中ですが、自然の中を歩くことくらいは許していただきたいです。
七山でグループトレッキングクラスを開催しました。
まだ木々には小さな芽が吹いているくらいです。
風の通り抜ける気持ちの良い山を知っている犬と知らない犬と、いっしょにグループとなって歩いていきます。
回数を重ねるうちに人と人もお互いを知るようになります。
飼い主の安心感が犬にも落ち着きを与えていきます。
犬にとって山を歩くという行動は、犬の脳の中の一番中心部に入っている最も重要な情報です。
普段は歩かない土の上、いつもは歩いていないバランスの悪い坂道、たくさんの動物の足跡の匂い…。
こうした山の環境が犬を呼び覚ますきっかけになると思うことからトレッキングクラスは成り立っています。
犬を呼び覚ますなどどういう意味か?と思われるかもしれません。
しかし飼い主の中には「自分の犬は人だと思っている」という人もいるのです。
おそらくそれはうちの子自慢の言葉なのかもしれませんが、犬にとっては危険なことです。
犬は犬として生きる権利というのを持っている。
犬は山を歩く権利を持っているのです。
犬が犬としての自覚と尊厳を取り戻すために、犬のことを学びましょう。
3月は28日に開催予定です。
馬の世界の「馴致」という社会化の必要性は当然犬にもあるのをご存じでしょうか。
先日おすすめの本の記事で紹介した「馬はなぜ走るのか?」の中に“馴致”
という学習についての内容がありました。
馴致といえば犬の社会化トレーニングでも使用される言葉で、馬でも使うのかと思ったのですがどうやら競走馬では馴致は「乗り慣らし」として周知されている言葉だということを知りました。
そういえば「馴れる」の文字は馬偏なので、至極納得です。
本の中にある競走馬でいうところの「馴致」の内容がとてもわかりやすいもので引用を含みながら紹介します。
サラブレッドとして繁殖された馬が競走馬になるためには訓練が必要だがそれをする前段階として「馴致」を説明されています。
ここから引用
馬に対して競走馬としての訓練を始めるには、その前段階として、
1.人間の存在に馴らす
2.人間の指示に従うようにする
というふたつのステップが必要になる。馬を人に慣れされる、あるいは競走馬として扱うことに馴れさせる、いわゆる「馴致」である。
引用ここまで「馬ははぜ走るのか」より
この二つはサラブレッドが競走馬になるために必要なことはもちろんながら、その前段階としての馬が人に飼育される動物になるために必須項目なのです。
この馴致は犬のしつけ方やトレーニングの世界では「社会化」と言われます。
犬の社会化は広義の意味で、その中に馴致という狭義の部分が入っているのは馬と同じです。
「犬の社会化」という言葉はここ10年くらい前から日本では認知が広がり始めました。
今は一般の飼い主でも「社会化」という言葉を知っていることが多く、変わったなという印象を受けます。
犬の社会化が認知され始めたのは「犬はきちんと社会化されないと成犬になったときに吠えたり噛んだりするようになるますよ」という動物病院やペットショップなど飼い主がはじめに接触する犬の専門家からの指導によるものだと推測します。
言葉上では正論である前出の一文ですが、そのやり方についてはひどく間違ったものになってしまった結果が今の犬たちに表れています。
犬の社会化をたくさんの人や犬に会わせること、いろんな場所につれていくこと、たくさんの刺激を与えることだということは犬の社会性を発達させるよりむしろ疎外してしまいます。
犬の社会性を育てる際の基盤になるのは犬でもやはり「馴致」なのです。
1 犬を人に馴らす
2 犬が人に従えるようになる
この二つの犬の馴致についてご存じでしょうか。
例えば、犬を人に馴らすとは人が抱き上げたりなでたり食べ物を与えたりほめたりすることではありません。
そもそも子犬が人に馴れているものだと思い、最初から友達のようになれなれしく接するでもありません。
子犬にもっとも大切なこの馴致の過程について、この馬の本はとても参考になる内容が書いてあります。
そろそろ読んでみたくなりましたね。
「犬の馴致」についてもっと学びましょう。
関連ブログ記事→
おすすめの本「馬はなぜ走るのか」には犬に通じる話題が満載です。

梅の咲く季節に七山では別世界の雪景色の中で興奮する若い犬くん。
今日は冬の呼び戻しで大変な雪になりました。
この雪、七山でもおそらくこの池原地区だけろうなと思っていましたが予想通りでした。
唐津や七山の中央付近では積雪はなく、谷間のこの地区だけに雪が集中したのです。
例年のことなので驚くこともありませんが「あーまた雪か…」と作業が増えるのと体力を使うので朝からテンションが下がりっぱなしです。
ところが、当然のことながらお預かり中の若い犬ちゃんはテンションマックスとなりました。
地面をにおいとりしながらのジャンプジャンプ。
走る走る。滑る滑る。
いつもなら興奮を早く収めたいのですが、生涯ではじめてのこんな大雪に興奮しない子供だとしたらそれはそれで感受性が疑われます。
まだ1歳くらいの少年犬には許される不作法のいろいろ。
大爆走に付き合いながら、飼い主さんの代わりに写真とビデオを撮り続けこちらは足も手も体も凍り付かんばかりです。
若い犬ちゃんはまったく収まることなく遊んでいますが、適当に切り上げさせないとその後が大変です。
時間をみてはクレートで休ませると繰り返し、今日一日雪を楽しみながら、私はいろいろと雪作業を重ねて一日が終わりました。
飼い主さんには写真を添えてお預かりの報告をしました。
天候の変化に犬の行動が変わり、それも含めての行動を管理するのが私の仕事です。
自然を体感させる良い機会となりました。
ということでブログがなかなか更新できない言い訳をしました。
書きたいことは山ほどあります。
今しばらくお待ちください。
「自然が好き」とは簡単にはいかないが「自然の中にいる犬が好き」なら納得できる
福岡の都市空間を車で行ったり来たりする仕事をもう長く続けています。
家庭訪問形式のトレーニングクラスをどうしてもやめることができないからです。
一時は博多駅の近くにドッグスクールを持って、そこに通学で通ってきていただいたこともありました。
しかしやっぱり犬の問題となる行動に取り組むためには、犬の社会性を養う方法をお伝えするには、最初はご家庭が一番だという結論に達しました。
犬が日常生活を暮らしている家庭の中での「様子=行動」の実際を見た方がより犬のことがわかり、その環境の中で起きている問題を解決する糸口も見つけやすいのです。
しかし同時に犬には自然と関わる時間がすごく大切なのだということをお伝えしたいとも思っています。
家庭訪問クラスを続けながら、いつかチャンスをつくって犬といっしょに七山のグッドボーイハートを訪れてくださる機会を私が一番待ち望んでいます。
今日もまたはじめて犬ちゃんとご家族がいっしょにグッドボーイハートの尾歩山にトレッキング体験に来てくださいました。
小さな子供たちもいっしょに、ワーワーと楽しく山を歩きました。
まだ小学生だというお姉ちゃんもバランスを取りながら、数か月の犬ちゃんといっしょにはじめての山歩きです。
「山に来るのははじめて?こんなところはどんな感じ?」と聞いてみました。
「気持ちがいいから好き、でも虫が嫌い!」
子供は正直です。
私だって答えは同じです。
自然はとても気持ちがいい、でも虫は大嫌いです。
でも私が虫が嫌いだからといって自然の中で過ごす犬の姿を見る機会を失うことは考えられません。
すべてを受け入れることはできないかもしれない、それでもやっぱり自然は犬にとって必要なのです。
少々くだらない話ですが、パソコンに出てきた「あなたの将来の夢を探す適職診断」というアンケートに答えてみました。
35個のたわいのない質問に答えると自分の適職が出るいうものでした。
結果に苦笑しました。
「あなたは・・・
自然と触れ合うのが好きなタイプ です。」
ということで、納得せざるを得ない結果となりました。
今日はいっしょに参加してくれた小さな未来の少年に「ぞうさんは?」
といわれてしまいました。
ぞうさんもたしかに自然の一部ではあるけれど、ここでは準備できそうにありません。
身の丈にあった自然のサイズの中で犬の世界は広がります。
虫が出動を始めています。
戦いが始まります。