グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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コロナと共に広がった犬の分離不安を性格や病気にせず犬の言葉を聞いてください。

認知されはじめた犬の分離不安

前回のYou Tube配信も含むSNSの普及によって認知されてきた言葉があります。

「犬の分離不安」です。

最近は「分離不安とはこのような状態で…」と話をすると

「あー、分離不安ですね。」と受け取りも早くなってきました。

犬の分離不安傾向やその行動についてご存じのない方のために簡単に説明します。

犬の分離不安とは、犬が一頭になるときや飼い主が犬から離れたときなどに落ち着きをなくしたり興奮したり怯えたりするような行動をする状態のことをいいます。

※犬の分離不安についてさらに詳しく知りたい方は、ブログ記事検索で「分離不安」と検索して他の記事もご覧ください。

 

犬の分離不安という性格はない

ところが、言葉は認知されはじめといっても「犬の分離不安」が正しく広がっているかというとそうではないようです。

どんなことも一度に広がるときは、言葉だけがひろがりその意味は曖昧に伝わってしまうということがよくありますので今はそのときなのかもしれません。

曖昧に伝わってしまったことの一つは、分離不安を犬の性格だと勘違いされていることです。

犬には「分離不安」という性格(性質)はありません。

分離不安は犬が飼育された環境によって作られた精神的な状態のことです。

もともとは児童心理学の言葉ですから「犬が不安を抱える」という言い方もどうかと思いますが、ここは伝わりやすさ前提で私もこの言葉を使っています。

分離不安という精神的な状態が犬の行動になって表れたときに「分離不安傾向の行動」となります。

 

犬の分離不安行動を作っているのは犬の飼育環境と飼い主である

これはあまりにもストレートな書き方かとも思いますが、伝わらなければ意味がないので直球で書きます。

犬の分離不安行動を作っているのは、犬の飼育環境や飼い主の犬に対する接し方そのものです。

どのような接し方が犬を分離不安に向けさせるのか、ブログ記事にもいろいろと書きましたので参考にしてください。

ここでは簡単にいうと「犬に触りたい」「犬を触ると気持ちが落ち着く」飼い主さんにはこの傾向がかなり高く、コロナ禍で分離不安犬は増大していることは確実だと思います。

分離不安は犬の性格ではなく、犬をとりまく飼い主を含む飼育環境にあると仮定するなら、犬の分離不安は環境を変化させれば解決するということになります。

これまでも実際に何頭もの分離不安行動の傾向がみられた犬について、改善が見られたケースがあります。

飼い主に飼育環境や接し方を改善してもらい、犬の分離不安行動が減少もしくは消滅した例。

飼い主側では難しかったが、預かりによって環境を変化させた結果、犬の分離不安行動が減少もしくは消滅した例。

これらのケースをいくつも見てきましたので、分離不安行動は環境改善でその多くは解決できるはずですが、そうならないこともあります。

なぜなら、環境の変化といっても飼い主がどの程度変化することができるのかという壁が一番大きいからです。

また、過去に飼い主から受けた精神的な状態が強く犬に根付いてしまった場合には、表面的な接し方の変化くらいでは犬の過去学習を消すことができません。

犬は学習する動物ですが、生命の危機に接するなどいわゆるトラウム的な学習については動物であるが故に書き換えることにはパワーが必要です。

 

犬の現代病となりつつある分離不安はこれからどうなる?

犬の分離不安は他の状態と同じく行動(症状)の度合い応じてその深刻さが図られます。

犬の行動の深刻さや犬の幼少期からの飼育環境の作り方などがそのレベルを決めています。

より強い分離不安は飼い主の環境だけで改善しようと思ってもうまくいないのですが、過去の例では預かりをすると非常に短時間に変化がみられることがあり、犬自身は正常な状態に自分を戻そうとしているのではないかと感じました。

この犬の分離不安ですが動物病院でも治療する病気のひとつとなっています。

分離不安対象の犬に治療薬も使われるようになってきています。

もちろん直接的な薬はありませんので、脳の症状を抑えるといった形での治療になります。

もはや犬の分離不安はトレーニングスクールよりも病院で治療という世の中になってきているのかもしれません。

こうなると「うちの犬は分離不安という病気で」というのがまかりとおる世の中になってきそうです。

飼い主が準備した環境の中で分離不安を作り、こんどはその分離不安に対して薬を与えるという実に微妙な感じになってきていて、何かがおかしいのではないかと思うのはまた私だけでしょうか。

犬に分離不安かもしれないと思える行動が見られたら、病気でもなく性格でもなく、まずは自分たちの環境に何か改善の可能性があるのだとより積極的にとらえて解決を試みましょう。

変えなければいけないのは「犬ではなく」

変える必要があるのは「飼い主の方」です。

これは飼い主に責任を求めるためにお伝えしているのではなく、

犬が飼い主に願っていることを聞いてほしいという私からの伝言です。