先日、はじめての体験お泊りかつ長期のお預かりクラスに来ていた犬ちゃんのご自宅に家庭訪問に伺いました。
お預かりクラスの後はご自宅でいろいろな変化が起きる可能性があり、ワクワクドキドキの家庭訪問クラスとなりました。
変化の中には、飼い主さんのいう「良くなった」というのもあるし、反動として「難しくなった」というものもあります。
どちらも成長過程の一つでアップダウンしているだけですが、飼い主さんの方は長い見通しがたたないため、上がれば嬉しいし下がれば残念と思うのも仕方ありません。
今回の犬ちゃんはどうだったのかな?
「帰宅されたから何か変化がありましたか?」とお尋ねする前に、生徒さんの方から「お預かりから帰ってすごく変わったんです!!」とご報告がありました。
ご報告の感じからすると「いいこと」のようですね。
その犬ちゃんに起きた変化とは身体的変化でした。
「すごく動きが俊敏になったんです!左右に体を振って動くようになったんです!」ということでした。
なるほど、それなら納得できます。
体は大きいのに、むしろ大きすぎる自分の体をどのように動かしていいのかわららない若者のような犬ちゃんは結構あちこちにぶつかったり、階段が登れないとか、左右に転げそうとかいろいろとありました。
お預かりクラス中はかなり急坂に立ち止まっていたり、待たせられたりしていましたので、体のバランスをとる力が身に付いたのだと思います。
それで俊敏な動きになったのであることは間違いありません。
「人のものをとったときも動きが早くて捕まらないんです…」
というのは良い行動とはいえませんが、以前よりも早く動けるようになったことで犬は自信をつけたことでしょう。
さらに「フェイントをかけて投げるふりをしたボールを以前はないのに追いかけたのですが、今はフェイントだと見破ります。」
これもお預かりクラスで環境をよく観察するという学習をした成果ですね。
そして最後にもうひとつありました。
レッスン中にテーブルでお話する際に「足元に伏せてマテをさせてください」とお願いしたのですが、なんとちゃんと伏せて待っています。
いままでは立ち上がろうとしたり飼い主さんにまとわりついたりとごねていた「ゴンタくん」だったのですが、ちゃんと伏せて待っているではありませんか。
「なんだかすごく落ち着いていますね。」と私も驚きました。
お預かりクラスはトレーニングのためのクラスではありません。
犬のしつけはあくまで飼い主さんがというのがグッドボーイハートのポリシーだからです。
ただ、お預かりクラスではわたしが飼い主さんの立場となって犬と向き合います。
普段のご家庭ではできないような体験学習を通して犬の脳に刺激を与えていきます。
脳が若く柔らかいほど吸収が早く変化も訪れることは否定しません。
この犬ちゃんの脳の中にもなんらかの経験が学習として入りそれが根付きそうにあるのかと思うと心からワクワクします。
お預かりクラスで起きた変化を飼い主さんが大切にしてくださることで家庭訪問レッスンがまた生かされていきます。
次回の訪問レッスンもまた楽しみです。
Author Archives: miyatake
お預かりクラスを終えて「帰宅してからすごく変わったことがあったんです!」
お知らせ「年末年始のお預かりクラスのご予約お急ぎください。」
寒さが増してきましたね。
七山はもっと冷え込んでおります。
そんな越冬準備のために薪ストーブ用の木を生徒さんからいただくことができました。
すごく助かりました!ありがとうございます。
他にも庭木処分する予定だとか、公園に木が置いてあるよといったお声かけ大歓迎です。
ゴミで燃すくらいなら私たちの暖のために薪をいただければ嬉しいです。
さて、年末年始のお預かりクラスについてグッドボーイハートからのお知らせです。
年末年始のお預かりクラスのお問合せが増えています。
みなさんの犬ちゃんたちを安心安全かつ楽しくお預かりするためのスケジュールを立てる予定です。
もし年末年始にお預かりをご希望の場合には早めにご予約いただきますようお願いいたします。
畜産のアニマルウェルフェアに学ぶ動物のストレス管理とチェックについて
先日のブログ記事で動物福祉についての話題を取り上げました。
以下の講義をEラーニングで受講させていただき、その中から犬との暮らしに役立ててただけそうなことがありました。
公益社団法人日本動物福祉協会主催「第8回動物福祉市民講座」
講義題目「乳牛のアニマルウェルフェアを分かりやすく」
講師 瀬尾 哲也 先生【帯広畜産大学 畜産学部 准教授 / (一社)アニマルウェルフェア畜産協会 代表理事】
瀬尾先生の講義の中では、畜産の現場でアニマルウェルフェア(動物福祉)を実現させるための指針としていくつかの具体的なチェック項目について紹介されました。
動物の健全な身体の維持に関わるチェック、そして動物の健全な精神の維持に関わるチェックがあります。
身体のチェックは分かりやすいものが多い中、健全な精神については知るにはどうしたらいいのかと思われるかもしれません。
そのチェック項目はグッドボーイハートの生徒さんならみなさんが持っているストレス性行動のチェック項目と同じようなものでした。
たとえば、牛の場合には次のような異常行動をする牛がいないことが基準をクリアしていると紹介されました。
その異常行動とは、
・犬座姿勢(オスワリの形で座る)
・舌遊び
・異物舐め(牛舎の柵などを長く舐める)
などが紹介されました。
しかも基準をクリアするためには、こうした異常行動をする牛が一頭もいないという数字だったのです。
異常行動のチェックは動物を管理する上では必須の項目だという認識はありましたが、その数が「一頭もいない」という厳しい数字であることを始めてしりました。
犬であれば、
・長い時間手をなめる
・サークルやケージの柵をなめたりかじったりする
・2本脚立ちをする
といった行動が上記の牛の行動と同等のストレスシグナルです。
多くの家庭犬たちがこの異常行動をしていますので、飼い主としては冷や汗の出るところです。
理由については後述します。
他のストレス値として、人に対する逃走反応スコアについても紹介されました。
人に対してどの程度の恐れを抱いているのかという反応のスコアです。
牛の場合には、後ろに身を引く距離で測るそうです。
犬の場合にも同じように後ろに身を引く行動でも測りますが、逆に人に飛びつく(攻撃のパターン)行動でも測ることになります。
また管理に関する基準の中には、尾を切る「断尾」が一頭もないことが基準とのことでした。
多くの犬たちがいまだ尾を切り落とされている家庭犬が本当に動物として尊重されているのかを真剣に考える必要がありそうです。
では先の犬の手舐め行動(ストレス性行動の中の自虐行動)は牛舎で飼われている犬よりも多い理由について説明します。
犬は他の家畜化された動物たちとは一線を画す動物であることを動物行動学者のコンラート・ローレンツ博士がその著書に書いています。
牛や豚のように長い歴史をかけて管理される家畜として人為的な繁殖してきた動物と犬では異なるのです。
犬はその多くが(純血種の多くもまた)本来の犬としての機能性を人が役立たせてきた動物です。
家庭の中に長い時間にわたり閉じ込めたり犬としての活動をする機会を失うとストレス性行動が多発します。
そのため牛では一頭も見逃されない舌遊び的なストレス性行動が、家庭の犬では多発することになります。
他にも不十分な計画による人為的な繁殖や、繁殖の過程も犬たちの将来の行動に影響をしていることでしょう。
牛の方が明らかに犬よりもきつく管理された動物であるにも関わらず、犬の方がストレス行動が多いという事実には驚きと反省が必要です。
その他、瀬尾先生のお話の中には犬の行動について理解を深めるためのいくつものヒントや、これまでそうではないかと予測していたことに対する革新的な後押しをいただきました。
今後また記事として記録していきます。
今回は貴重なセミナーを無料で提供して下さった瀬尾先生と日本動物福祉協会、そしてセミナーの開催をご連絡してくださったGBH生の皆様に感謝いたします。
犬との生活、犬のしつけ方も動物福祉の視点で考える時代になった
先日ドラマ大草原小さな家に出てくる動物たちが犬も含めて人に利用される家畜として大切にされている歴史についてお話しました。
いまや犬は家族の一員ですから家畜という言葉はもう時代にはあいません。
それでも犬は人が生活のために必要であるという理由で繁殖したり売買や譲渡することのできる動物であるという現実をまず受け入れておく必要があります。
その基盤の中で考えなければいけないのは、人と暮らす動物が幸せであるかどうかということです。
グッドタイミングで、公益社団法人日本動物福祉協会主催のEラーニング「第8回動物福祉市民講座」を受講しました。
内容が面白すぎて繰り返しみているためまだ第一部の瀬尾先生の講義を伺ったところです。
講義題目「乳牛のアニマルウェルフェアを分かりやすく」
講師 瀬尾 哲也 先生【帯広畜産大学 畜産学部 准教授 / (一社)アニマルウェルフェア畜産協会 代表理事】
瀬尾先生の講義の題目の中にある「アニマルウェルフェア」とはまさに「動物福祉」を英訳した言葉です。瀬尾先生の講義の一部にはこのような説明がありました。
動物の飼育には動物福祉という考え方がイギリスを中心に広まっている。
動物福祉とは福祉という言葉から人の弱者を支援するサービスと誤解されているがそうではない。
“Animal Welfare”は「動物福祉」や「家畜福祉」と訳される。
“Welfare”には「幸福」や「良く生きること」という意味もある
畜産技術協会では「快適性に配慮した家畜の飼養管理」とし、アニマルウェルフェアとカタカナ表記している。
※引用ここまで
動物福祉という考え方は動物を管理飼育するすべてのものが考える必要のある知識であることは間違いありません。
畜産などでたくさんの動物を管理する場合には必須の規則です。
ここで瀬尾先生は動物愛護とアニマルウェルフェアの違いについても触れられました。
とても参考になる内容なので引用させていただきます。
愛護とアニマルウェルフェアの違い
愛護:かわいがり保護すること。
主語は人間。
動物を愛する情動。
アニマルウェルフェア:
客観的に動物の快適性の配慮を目指す。
動物の立場でとらえる。
※引用ここまで
瀬尾先生の講義のプリントのとおり、動物愛護とは動物をかわいがる人の情動のことであって、動物にとってはどうでも良いことなのです。
そもそもは子供たちに動物をかわいがる精神を教育しようというのが動物愛護です。
犬を飼うために必要なのは動物愛護ではなく動物福祉の方です。
もう十年以上前からこの議論はあったはずですがまだまだ一般の方々にはこのことが伝わらない、浸透していきません。
畜産の場合には多頭での飼育になるため「動物の日々の快適性にたいする配慮」がとても重要になります。
しかし犬も同じように「動物の快適性の配慮」が最も大切なのです。
犬は室内飼育が多いし、エアコンもあるし、毛布もあるし、清潔だし、快適性は十分に確保されていると思いますか?
犬が適切な場所、テリトリーの外で排泄ができる環境や、犬が土や草に触れられる時間、犬が日向ぼっこする場所や時間はありますか?
犬は臭いに敏感な動物なのに、部屋はいつも閉め切ったまま、食べ物や清掃品や洗剤の臭いに囲まれて過ごしてはいないでしょうか?
犬の立場になってとらえるためには、犬を科学的に動物として理解する必要があるのです。
そのために、犬の歴史、習性、行動、機能性、遺伝について学ぶためにドッグスクールが存在しています。
いろいろなドッグスクールがある中でグッドボーイハートは犬について学ぶための学校であると宣言します。
飼い主が犬のことを理解すること、それが犬の行動の改善につながり、犬と人の幸せにつながる、その中で犬の動物福祉を実現させること、それがグッドボーイハートの目指すところです。
瀬尾先生のアニマルウェルフェア基準にもとづく畜産の話の中でまだ興味深い内容がありますので次回もそのことに触れます。
開拓のドラマ「大草原の小さな家」に見る犬の姿
お預かりクラスの合間に七山の尾歩山の刈込みに疲れてきて、何か励ましになるような物語を見ようと思いついたのが「大草原の小さな家」でした。
テレビ放送されたアメリカドラマですが、あまりにも古すぎてそれなりの年齢の人しか知らないとは思います。
アメリカ大陸を開拓する移民のお話なので、先住民族との複雑な歴史など正確に描かれているとは思えませんが、大地を開拓する過程にはリアル感を感じます。
その大草原の小さな家の最初の最初。シーズン1のエピソード1を見たのですが、なかなか感慨深いものがありました。
① 犬の話から始まったこと
② 馬・犬・牛などの動物が人の生活を支えていたこと
この二つです。
① 犬の話から始まったこと
大草原の小さな家の1回目の前半は犬の話でした。
新しい土地を求めて移動する父、母、娘3人。そして同伴するのは中型犬(日本では大型にはいる)毛足の長いテリア種の犬でした。
テリア種はネズミなどの害獣を取るのが役割の犬です。
おそらく大陸に渡る船に乗せられてきた犬の末裔なのでしょう。
そのテリアのジャックという犬は開拓のために移民する家族の一員として暮らしています。
新しい土地を求めて移動する家族を乗せた馬車に寄り添いながら走り続けます。
実際に馬車に同伴できる犬もいたのでしょう。
犬はかなり長く走ることができる動物でしたがテリア種になると脚も短くオオカミのようにはいかなかったはずですが。
さらにジャックは毛むくじゃらなのにかなり汚れているしとてもシャンプーされている様子はありません。
ジャックは屋外と室内を出入り自由で、日ごろは家族と家畜を守るための番犬として大切にされています。
一度だけ家畜の場所につながれるシーンがあります。
ジャックをつなぐ父親に「今まで一度もつないだことがないのに、かわいそう」と同情する娘。
犬をつないだ綱を外そうとした娘が強く怒られます。
犬をどのように扱うのか厳しいルールがあったことがうかがえます。
そして何よりも、ジャックはよく人のいうことをききます。
子供たちの言うことももちろん聞きます。
子供の外出について来ようとする犬に「ジャック。ゴーホーム。」といって家に戻ることを教えます。
犬はそれに従い家畜場に戻ります。
「家にもどりなさい」の合図。
「オイデ」よりももっと難しい合図です。
犬と人の関係を考える上でとても考えさせるドラマです。
② 馬・犬・牛などの動物が人の生活を支えていたこと
大草原の小さな家の第一話にはたくさんの人と暮らす動物が登場します。
移動の際には馬車が活躍、馬の扱いを知っていなければ大陸を移動することもできません。
畑を作るには牛が必要です。
牛の扱いと管理は絶対でした。
そして鳥を育てて卵を食べること。
そして何より犬の存在の大きさが心に響きます。
動物を利用しているといえばそのとおりです。
動物の持っている能力を利用して人の生活を豊かにしようとする。
可哀そうだと思うかもしれませんが、みなさんのそばにいるお人形のような風貌の犬たちも同じ目的で販売されているのです。
考えなければいけないのは、彼らが動物として幸せに生きていくということはどういうことかということです。
動物福祉という言葉についてそろそろ考えてみる時代です。

犬のしつけ方ポイント「大技を習う前に基本を叩き込むこと」
学生時代にテニス部に入部してからというもの華やかなサービスエースやスマッシュや見事なロブにあこがれていたのに、部活のほとんどの時間はランニングと素振りでした。
素振りはテニスの基礎の基礎。
素振りだけで終わり玉を一度も打つことがなかった日もありました。
華やかなプレーをやってみたいけれどその前には基礎作りというのがあり、犬のしつけ方にもその基礎があります。
ところが習い事と同じように何か目立つようなことから取り組んでしまう失敗が犬のしつけ方の中でもありがちです。
「犬に何か教えていることがありますか?」といいう飼い主に対する質問に対して案外多い答えが次の答えです。
「オスワリ、あとオテを教えました。」
と誇らしげに飼い主が言います。
なぜかゴハンを与えるときにオスワリというのはものすごくメジャーな犬に対するかけことばのようでほとんどの犬がオスワリをしてゴハンをもらっています。
次の「オテ」ですが、これは実際には犬のしつけ方という分野とは無関係です。
「オテ」は犬のしつけというよりも“犬の芸”の方です。
芸とは犬が普通に人に対してあまりしないことを、合図を使ってさせるというものです。
それが「オテ」です。
他者に手をかけるこの「オテ」行動は、犬と犬のコミュニケーションなら友愛とは別の意味を示す、つまり強い主張行動になります。
大人しい犬なら人にしそうにない行動ですが、オヤツひとつですぐにできるようになります。
でもどんなに「オテ」ができる犬でも一番難しい合図はすぐにはできません。
一番難しい合図、犬のしつけの大技といえば「オイデ」です。
室内でオヤツひとつあれば教えられる「オイデ」も、もし屋外でリードが外れてしまったら、犬が走り出したらあなたの犬は「オイデ」に反応して戻ってくるでしょうか。
これもありがちなしつけの失敗ですが、まだ十分にコミュニケーションがとれていな犬のリードを屋外で外してオイデの練習をさせてはいないでしょうか。
あなた犬が生後数ヶ月ならきっと飼い主のオイデに単純に反応します。
しかしその犬は生後8ケ月になるとオイデといっても戻って来ない犬になります。
幼くて飼い主から離れられなかった子犬は、成長と共に飼い主から離れていくようになる。
オイデが出来ていたのではなく、離れることができなかっただけなのです。
犬に「オイデ」というしつけの大技を教える前に、もっと大切な基本を教えておく必要があります。
犬のしつけの基礎の基礎。それは「マテ」です。
いついかなるときでも、ある程度の時間のマテができるようになること。
これが犬のしつけ方の基本の基本です。
ゴハンやオヤツのお預けのマテができる犬も飼い主が離れて戻るまでのマテはなかなかできません。
このマテ(待機)こそ犬が犬として一番やらなければいけない行動です。
ひとりでもできる役割で忍耐も必要です。
マテは犬がじっとしている行動なので動きがなく動画映えもインスタ映えもしません。
それでもマテができる犬は本当に強いのです。
マテがどのくらい(距離や時間だけではなく状況別に)できるでしょうか?
インターホンが鳴っても「ベッドでマテ」ができるでしょうか?
オヤツがなくてもできるでしょうか?
犬のしつけの基礎の基礎からもう一度見直してみましょう。
2020・OPPODAY・感謝の一日今年も開催します!
一年は早いですね。
いろいろあった令和2年ですが、今年も一年を感謝して来年を迎えるために開催するOPPODAYを今年も開催しますのでお知らせします。
2020年12月13日 (日) 12時~17時
GoodBoyHeartの感謝の一日
今年もオポの日を開催いたします。
12時~17時まで
お好きなお時間にお立ち寄りください。
お出かけのついで。
通りがかりの休憩で。
犬ちゃんたちは広場で遊んで下さい。
グッドボーイハート七山でお待ちしています。
佐賀県唐津市七山池原甲2416-4
※10時~12時はトレッキングクラスを開催します。
(グループトレッキングクラスは要予約)
気軽なお立ち寄りはご予約不要です。
お待ちしています。
紅葉の尾歩山でトレッキングクラス開催しました。
好天に恵まれた週末、犬といっしょにお出かけされた方も多かったでしょう。
グッドボーイハート七山でも手入れ中の尾歩山で紅葉を楽しみながら程よい頭数でのトレッキング開催できました。
トレッキングに慣れている方が多かったので、いつもとは違うコースも通りました。
普段通っていない山道は地面が地ならしされておらず凸凹。
歩きにくいのがひとつの鍛錬になります。
山歩きになれていない人の方は、最初は怖い、すべる…。
バランスがとれず犬のリードに負担がかかります。
上手に歩けるようになると、犬のリードもたるみが出るようになります。
飼い主さん口々に「山ではお利口!」と言われていましたが、山には山の礼儀というものがあります。
成敗するのは飼い主ではなくもっと大きな自然の力であることを犬の遺伝子は知っているのかもしれません。
尾歩山の縦走で数日前の山の手入れ中に紛失した愛用のノコギリも回収できました。
庭も大きく手入れして、預かりの犬ちゃんが帰宅。
そして新米のまた預かりの犬ちゃんが到着しました。
しばらく楽しく犬の行動を楽しみつつ、山での時間で自己成長を促します。
犬の行動を決める「メンタルマップ」について考えてみました。
犬の逃走行動についての数日前に記述したブログ記事から広げました。
関連ブログ記事→“警察犬が山で逃走した事件”についての個人的な考え・犬の衝動性について
話題を広げて一回目は逃げだした犬がどうやったら戻れるかというお話をしました。
犬の行動を決める道具のひとつは“犬の足裏のパッドの臭い”だった
犬が地面に鼻先をつけたまま「臭いの足跡」を追跡している姿を一度は見られたことがあるでしょう。
今回は犬の行動を決める道具として二つめを考えてみます。
少し難しい話になりますので、繰り返し読んで下さいね。
犬が行動を決める道具として二つ目に考えるのは「メンタルマップ」です。
メンタルマップという言葉を聞いたことがありますか?
私は初めてこのメンタルマップについて考えるようになったのは、自分が盲導犬を訓練し育成する仕事をしていたときに、視覚障害者の方々がどのように歩いているのかを知ったときでした。
それは普段から自分が使っているのと同じシステムだったのです。
メンタルマップとは自分の頭の中にある地図です。
歩いているときにも、車を運転しているときにも、地下鉄を乗り換えるときにも、スーパーの中を移動しているときにも、このメンタルマップの活用によって行動がスムーズになります。
メンタルマップという頭の中の地図には二つの要素が必要です。
ひとつは「自分」もうひとつは「地図」です。
地図の中に自分が今どこにいるのかという位置があって、動物はいつもその中で活動をしています。
たとえ室内であっても庭であってもメンタルマップは常日頃から利用されているのでそれを意識することはありません。
むしろメンタルマップが頭の中から紛失してしまったときに、その大切さに気づきます。
わたしは最近よく運転しているときにメンタルマップを紛失することがあります。
なぜならカーナビを使用することになったからです。
カーナビのいうとおりに、まっすぐ、曲がって、左へ、右へと言われたとおりにハンドルを切って運転をすすめると、自分の頭の中には地図が出来上がりません。
特に初めていく場所では全く地図がないため、1本でも違う道へ入ってしまうと間違えたみちをまっすぐに戻ってこなければ迷子になってしまいます。
犬たちの迷子は実はこうしたカーナビ状態で起きてしまいます。
犬にはひとつめの足跡の地図があります。
でもこの臭いの足跡は一本線になっています。
もし少しでも道を外れてしまって臭いの足跡の線を失ってしまうことになれば、何かで臭いが消されてしまったら自分が今どこにいるのかが分からなくなってしまいます。
ところが犬にもメンタルマップがあるはずです。(科学的にはまだ証明されていないようですが、脳の構造からして私はあると考えています。)
メンタルマップの作り方が私たち人間と犬で違うとすれば、私たちは視覚的に地図を把握しますが、犬は臭いの流れによって地図を把握します。
そのため都心の高い建物などで風の流れが不自然だったり全体を流れる風がさえぎられると臭いのメンタルマップの作成はできなくなります。
ところが山や畑などのゆるやかに風の流れる環境では、臭いの流れによって全体を把握することができます。
臭いが大きく遮断されるとすれば川の流れです。
一直線に流れる川の流れる臭いは山と山の臭いを遮断するでしょう。
動物たちにとって谷とはひとつの大きな境界線だったはずです。
そして、私がカーナビを使うたびにメンタルマップの作成ができずに脳内が退化していくように、犬たちも常日頃からメンタルマップの作成ができずに行動にストレスを感じています。
昭和の初期にはまだ高い建物やマンションが少なかったので、地域の犬たちの頭の中にはメンタルマップが存在していたのかと思います。
人々の頭の中には「地図」と「自分をさす➨」が存在するという話は、あの養老猛司先生の話の中にもありました。
また詳しく勉強していきます。
犬の行動を決める道具のひとつは“犬の足裏のパッドの臭い”だった
犬の逃走行動についての数日前に記述したブログ記事に関連した内容です。
関連ブログ記事→“警察犬が山で逃走した事件”についての個人的な考え・犬の衝動性について
もし犬が逃走後に戻ってくるとしたら、どのようなルートをたどって帰ってくるのでしょうか。
ひとつは自分の歩いた足跡の臭いを嗅ぎながら戻る、という方法です。
ヘンゼルとグレーテルが迷子にならないようにパンくずを置きながら道を歩いていったように、犬も迷子にならないように自分の足裏にある汗腺から臭いを出しながら歩いています。
飼い主なら一度は犬のパッドの臭いを嗅いだことがあるかと思いますが、独特の臭いがしますね。
あの足裏の臭いを地面につけておくことが移動中のマーキング行動になっているのです。
この地面の臭いについた臭いですが、こんな風についているとします。
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でもこれではどちらが来た方向かわかりませんね。
実際には犬にはこのように臭いを取ります。
⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒
犬は自分が歩いてきた方向が分かります。
なぜなら、臭いの分子の量が違っているからです。
新しい臭いは臭いの量が多く、古い臭いは臭いの量が少ない。
この臭いの量で今なのか、ちょっと前なのか、それともずっと前なのかを判断しています。
特に山や畑などの土の上に残された臭いをとるのはとても得意です。
他の動物を追跡する際にも使われる土の上に犬の鼻先を付けて歩く追跡行動は犬が最も得意とするところですが、この動物の歩いていった方向を知ることも同じ原理で成り立っています。
しかしアスファルトの上には臭いがつきにくい上に、自分の歩いたあとにきつい臭いのゴム製の靴を履いた人間が歩くことで臭いはますます減っていきます。
ウロウロとすればますます臭いは攪乱されてしまいます。
都市空間で迷子の多い理由は臭いが判別しにくいということもありますが実は他にも理由があります。
次に続きます。