お預かりクラスに来ている犬たちと春の心地よい日差しの中で過ごす時間をもらいました。
自然の空気と音の中で、なんにもないただの山の中で、犬が草をかんだり、走ったり、寝ていたり、歩いたりしている姿を横目にみながら作業をするのが一番好きな時間です。
都会のマンションの生活で息苦しそうな犬も、お預かりの三日目くらいになるとようやく深呼吸をするようにゆるやかになっていくのが感じられます。
犬にボールをなげたり木々を投げたりすることもあるのですが、たいていの場合には草刈りしたり修理したり、山をウロウロと探索したり、蜂の巣箱をのぞきに行ったりする私の足元をついて回る犬たち。
ただそれだけのことだけど、かわいいと思ったり大切だと思ったりしています。
お預かりする犬の中にはかなり精神が病んでしまい、ワンワンワンと連続の吠えが止まらなかったり、人を見ると人から目線を外すことができないほど執着している犬もいます。
人との距離感がわからず近付くととびついたりキャンキャン吠えたりする犬もまた犬の精神が病んでいる状態です。
犬は人との関係をつくるのに1年間くらいはかかると思いますが、人の接し方が犬の習性にあわない場合にはたいてい人に対して「逃げる」姿勢を崩していません。
人に要求したり甘えたりキャンキャンいう犬ほど、フリーになると走り出しコントロールがききません。
そんな犬たちでも預かりクラスの3日目になると、少し変化が見られます。
多分自宅にもどったらすぐに元に戻ろうだろうなと思いつつも、少しでもその犬の精神の傷が癒されたのならよかったと思いつつ飼い主さんにお返しします。
大好きな犬だからすべての犬に幸せになって欲しいと思うのですが、都市環境はなかなかそれを許してくれません。
本当に気持ちが自由になった犬が、自ら人のグループに入って自ら従うようになるには3年がかかるでしょうか。
3という数字は山の形です。
お預かりクラス最低3日は預けてください、がグッドボーイハートのお願いです。
山の力を借りて、犬たちの心が少しでも自由になりますように。
Author Archives: miyatake
<クラス>自然の中で犬を見ていると犬がどんどん自由になるのがわかる。
<犬のこと>犬を可愛がる前に飼い主がすべきことは「●●こと」です。
犬の飼い主さんのほとんどは、犬のことを我が子のようにかわいがって育てています。
犬を抱きしめたり、なでたり、おやつを与えたり、いっしょに寝たり、ほめたりすることが飼い主の思っている
「犬を可愛がる」という行為なのです。
犬を可愛いと思う気持ち、大切だと思う気持ち、我が子のように愛する気持ちは全部歓迎されるべきことです。
でも、犬を可愛がる前に飼い主がやらなければいけないことを放棄してしまうと、とたんに犬たちはストレス行動を連発するようになります。
ストレス行動の多いパターンとしては、吠える、噛みつく、興奮するの三つです。
このうち三つ目の犬が興奮する行動は、犬が喜んでいる行動だと受け取る飼い主が多いため、ますます問題を悪化させていきます。
ストレス性行動が多発しているのに、吠える、噛みつくという人に嫌悪感を起こさせる行動が犬側に出ない場合、犬は興奮することだけを上昇させていきます。
結果として、自律神経が失調したような長い興奮行動や発作、破壊行動や遠吠えなどが犬に見られるようになるころには、根本的に環境を立て直ししなければ犬の行動を改善することができません。
犬は長いストレスから解放されることが難しくなっているのです。
では犬を可愛がることはいけないことなのかというと、決してそうではありません。
ルールは三つ。
1、犬を自律する動物として尊重すること。
(犬はぬいぐるみではない)
2、犬が人を理解するまで、まずは管理ができること。
(動物との暮らしの基本)
3、犬を犬として理解し育てること。
(犬の親はあなたしかいない。先住犬に任せないこと。)
この三つのルールの意味がまず分からないという人は、すぐにドッグスクールなり動物行動学を学べる場所に行って学ばれることをおすすめします。
動物に対する理解は、日本は欧米に比較してもかなり水準が低いのです。
動物がいつも身近な存在であり、動物を飼うという行為を積極的にしてこなかった日本ならではの文化の中にはたくさんのすばらしいものがあります。
でも犬という動物を自分たちの領域(家や庭)の中に招いて管理して飼うという行為には、一定の知識が必要だということをどうしても理解していただく必要があります。
可愛がるだけでは犬は不幸になるのです。
犬は不安を抱えやすく、おびえやすく、おどおどした動物になってしまいます。
犬は本来明るく、しかし穏やかでゆっくりした動物であると私は思います。
犬が犬であることを尊重される権利があるということも、そしてそれが動物を本当に愛することだということを共感していただける方が増えています。
社会は変化しつつあるのでしょうが、右と左に大きく分かれていくように感じています。
あなたはどちらに行くのでしょうか。
わたしはやっぱり犬になって考える方向へ進みます。
<クラス>春の陽気あふれる太陽と共に成長する犬たち
本来の春休みが始まり、自粛していた子どもたちも大人たちも太陽の下に走り出しているようです。
週末の連休は唐津方面もドライブの車が押し寄せ、新型コロナウイルスは人の陽気で後退して欲しいものです。
旅行がキャンセルになった飼い主さんから「せっかく山で過ごす機会だったから」と大切な犬ちゃんをお預かりしたので、ご期待に応えるべく七山学校で満喫して過ごしました。
プライベートトレッキングクラスにご参加の犬ちゃんといっしょにトレッキングクラスで先輩になっていただきました。
小さい頃からの過ごし慣れた七山の空気は、小さな犬ちゃんの脳にどのような変化を起こしているのか、知ることができるのはその行動や表情からのみです。
お預かりクラス初日で見られたストレス行動は翌日にはなくなり、表情も体の動かし方も変化していくのを見るのは観察していて楽しいものです。
次に考えるのはこうした機会が日常生活の中でどのような形であれば訪れるのかということです。
連想から妄想から仮想にいたるまであらゆる可能性を考えては現実と照らし合わせています。
必要なのは自然あふれる環境と犬、そして飼い主さん。
できることは限られていても、やってみるのとやらないのでは大きな違いです。
犬たちとの限られた時間をひとつでも楽しいものにしていただくために、発想転換をこれからも続けます。
<受講生のコトバ・ななちゃん編>ブラックななちゃんの成長はいつも家族と共に!
グッドボーイハートの受講生の飼い主さんからいただいたクラス受講の感想文を紹介しています。
今回はミックス犬のナナちゃんの飼い主さんからいただきました。
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動物が大好きな我が家の家族が、生まれたばかりのナナに出会いました。
生後7週間くらいで我が家に来た「おとなしい」真っ黒い女の子。
知人宅で出産された子犬にみんなで面接にいった際に「姉妹の中で一番大人しいから育てやすいですよと」といわれ、飼い主として子犬を迎えることになりました。
我が家に来たナナはただただ可愛くて小さくて…。
すぐに我が家の子ども達の「ぬいぐるみ」になったのですが、一週間でトイレの失敗がつづく、夜泣きがひどくなる、甘噛みが強くなるなど、あっという間にどうすればいいのかわからなくなりなした。
少し様子を見守りましたが引き続きナナのお漏らしや甘噛みも酷くなる一方で、簡単に子犬のしつけができると思っていたことが大間違いだったことに気づきました。
里子にもらった真っ黒いナナは大型犬の雑種です。
育て方を一歩間違えれば我が子(7歳と9歳)の命に関わると危機を感じてネットで色々な教室をしらべはじめました。
まだ予防接種も終わっていない子犬との戦いの日々でした。
ネットで調べてお問い合わせすると大体の所から直ぐに返事をもらいました。
「ちょっと既に手遅れかもしれません。」と言われたり、「予防接種が終わってからしかしつけはできません」と言われたり、もちろん「早めに訓練しましょう」と言うトレーナーさんもいらっしゃいました。
グッドボーイハートのホームページをみつけていろいろと読んでいたら「最終的なしつけは家庭内で」といった信念のドッグスクールだとわかりました。
読み進めるうちにすごく共感を持って連絡させて頂きました。
早速、家庭訪問をしてくれる初回カウンセリングを申し込み、いよいよ宮武さんとご対面!
最初の15分で希望の光に満ち溢れました(笑)
トイレの失敗問題は瞬殺で解決、ナナのやっていることを犬の習性と本能という形で分かりやすく説明して頂き全て納得でした。
尻尾を何故追いかけているのか、それにどんな意味があるのか?
お腹を見せて寝ている様子にどんな意味があるのか?
子犬を抱っこしてお散歩することがダメな理由など、ネットで調べてやってた事すべてが間違っていることを教えてもらいました。
里子として引き取る形でもらったため、あまりナナの育った環境や親犬の情報が無いことに一切こだわらず、今の状況を理解していただきこれからどうすれば良いのかのみをトレーニングしていただきました。
毎回、家族で宮武さんが来るのを楽しみにしていました。
今日は何を教わるのかなーーーっと心待にしてました。
うちには育ち盛りの子どもがが二人いるので、子ども達からの質問やリクエストもたくさんだったのですが、心良く受けてもらい本当に助かりました。
宮武さんと過ごすようになって、自然にもらう力がどれだけ偉大で私たちに与える影響があるのかと再確認しました。
犬が自然に触れて自由に走れることがどれだけ幸せなことなのか!
もともとコンクリートジャングルのニューヨークで育った子ども達は虫も土も触れる機会がありませんでした。
ナナといっしょに七山に山登りに行くようになって、虫やカエルを見るのが楽しみになっていきました。
きっと犬のナナも同じ気持ちなんだろうと思います。
私の方はまず山歩きのためにスニーカーを買うところから始まりました。
全くアウトドアでなかった私ですが、今では油山に行ったり阿蘇の行ったり、夏は川に行ったり。
人間だけが遊ぶところでなく、犬も一緒に遊べるところはやっぱり自然の中にあったんだと体感しています!
ナナはとても興奮しやすい性格で、小心者なんです。
家族全員が落ち着いて接しないと、興奮が高まってコントロールが効かなくなってしまいます。
子ども達も私も一年間のトレーニングで一緒に成長しました。
今では立派に体重20キロの犬を子供達だけでもお散歩に連れて行けるようになりました。
ナナが言いたいこともやっと分かるようになって、みんなの気持ちが一つになれたのは宮武さんのおかげです。
まだまだトレーニングは続いてますが、宮武さんが一緒にいてくれること心から感謝してます。
常に平常心を持ち続けること、それを子ども達にも伝えることこれからも続けていきます!
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実は子犬育ては子犬が産まれた瞬間からもう始まっています。
一般のご家庭で生まれた犬の中には、最初にお世話の仕方で子犬たちをかなり不安定な状態に追い込んでしまうことがあります。
それが子犬を抱っこすることです。
子犬が目が開かないうち、つまり子犬が自分で意思表示をできるようになる前に人の膝に抱いたままにしておくと子犬の行動は不安定になっていきます。
ナナちゃんの場合にも生まれたご家庭でも子供さんが抱っこ、そして里親となったご家庭でも子供さんたちがナナちゃんをぬいぐるみのように抱っこしていたことが問題行動を大きくしてしまいました。
犬の行動というのは、こちらが殴ったから相手が自分を怖がるという単純なものばかりではないのです。
むしろなぜ甘噛みをするのか、なぜ吠えるのか、など日常的な飼い主側の接し方や環境が結果として犬の行動に影響を与えていることがほとんどです。
ですがこれを理解できるようになるにはかなりの長い時間が必要です。
だから最初はこちらから提案するルールを丸のみしていただくしかありません。
よくわからないけどやってみる、まずはやってみていただいて結果を出していただくしかないのです。
犬のことはそのうちにわかるようになりますが、わかるようになってから接し方や環境を変えようと思っていたら永遠に変わらないのです。
ナナちゃんのご家族は協力して一定のルールを守ってくださいました。
子供たちも急なルールの変更にはじめは戸惑っていたようですが、ナナのためと思ってがんばってくれました。
そして遊ぶときにはいっぱい遊んでくれました。
自分たちができることはする、相手を尊重する、子どもたちなりにナナちゃんと関わることを学んでいました。
中型犬といっても20キロもあれば人がケガをするようなサイズです。
真剣勝負の犬のしつけに臨んでいただき、ナナちゃんの成長を見ることができるようになりました。
甘噛みは子供にとっては痛く、今まで抱っこしていたナナへの接し方を変えることは子供たちにとっては気持ちを抑える大変なことだったと思いますが、家族みんなでしっかりと頑張ったのだなと感心しました。
ナナちゃんはまだまだ伸びしろがありますから、これからさらに落ち着きを身に着けていくと思います。
犬は犬として理解し正しく接することで落ち着きを取り戻します。
同時に家族が仲良く平和であることは同じくらい大切なことです。
家族はナナちゃんにとっての基盤になるもの、家族の強さはいつか自分の強さとなっていくでしょう。
ナナちゃんの成長を楽しみにしています。
ブライダルハートオポのホームページがリニューアル!
オポ企画のひとつブライダルハートオポは福岡・唐津の結婚相談所です。
今までのホームページから新しいホームページへと大リニューアルしました。
博多区の結婚相談所Bridal Heart OPPO のホームページはこちらへ
「出会いに感謝しつながりの中で学ぶ」気持ちの中から結婚相談所にオポの名前をかりました。
新しいホームページにはついにペットと婚活のページも追加されています。
詳細は近日中に公開(10日以内には絶対!)お約束します。
ぜひご覧ください!
http://www.oppo-love.jp/
Bridal Heart OPPOは博多区の結婚相談所というアプローチで博多から世界へ向けてオポから学んだことを発信していきます。
<83ハチミツオポ>ついに蜂箱に誘引ルアーを取り付けました。
オポ企画のひとつ83ハチミツオポ。
グッドボーイハート七山の敷地に日本ミツバチに来ていただこう、そして美味しいハチミツをおすそ分けしていただき自然に感謝する生活を送ろうというのが<83ハチミツオポ>の趣旨です。
今年は日本ミツバチに注目することです。
身近な生物との関係性を高めるためにすることは、まずは観察すること。
ここはグッドボーイハートの犬との関わりのスタートと同じです。
いきなり捕まえたり抱きしめたり、ましてや好きです!という告白などは逆効果なのです。
そこで日本ミツバチを観察しようとしているのですが相手が見つからない。
ということで今年ダメでもとりあえず巣箱を置いてみようということになり設置した巣箱に本日ルアーを取り付けました。
ルアーとは釣りのルアーと同じで動物を誘引するための道具です。
日本ミツバチの場合はキンリョウヘンという蘭の一種の花の匂いをルアーとして使用します。
誘引はあくまで誘引です。臭いに引き寄せられたミツバチが巣箱を置いてある環境を住むのに良しを判断しなければ引っ越ししてくれることはありません。
犬のトレーニングでは犬を動かすときに使うフードやオヤツのことを同じようにルアーといいます。
あくまで犬の行動を引き出すためのもののフードのルアーなのですが、多くの方が犬に行動させるための賄賂となっています。
日本ミツバチの場合にはにおいのルアーから蜜は取れないので賄賂になることはありません。
ルアーと取り付けた巣箱の設置ですが、日本ミツバチの気持ちになって相当悩んだ末に場所を決めました。
あとは待つだけ。
すでに来年の巣箱設置に向かって気持ちが進んでいます。
<人イヌにあう>飼い主は犬にとってリーダーなのか、それとも親なのか?
コンラート・ローレンツの著書「人イヌにあう」を一緒に読み解く時間です。
若干、専門的な内容になってきますので、興味のある方だけお読みいただければと思います。
本をお持ちの方は36ページを開けてください。
●イヌの祖先はオオカミなのか?それともジャッカルなのか?
このページの全般に書かれているオオカミの血を引く犬、とジャッカルの血を引く犬について先に説明しておきます。
オオカミにもたくさんの種類があります。
たとえばインドオオカミ、日本オオカミといってもどちらもオオカミという種の中に入ります。
ジャッカルにも同じように種類が分かれます。
オオカミとジャッカルは動物としては別の種になるのですが、イヌ科の動物たちは非常に血液が近く交雑することができます。
オオカミとジャッカルは交配して子供を産むことができるのです。
同じくイヌも、オオカミとイヌで交配して子供を産むことができます。
また、ジャッカルとイヌも交雑が可能です。
イヌはオオカミの祖先だという話はよく聞かれたことがあると思います。
歴史的な証拠の中ではオオカミの方が出現した歴史が古く、イヌはその後とされているからです。
またジャッカルもイヌよりも古い時代に出現したという学説が一般的なのです。
ローレンツは行動学的な分析の観点から、イヌはオオカミの血を強く引くものと、ジャッカルの血を強く引くものがあると当初考えていたようです。
ジャッカルとオオカミでは捕食とする対象が異なるため、群れの結束性も違っています。
この違いをジャッカルの血を引くイヌと飼い主との関係性、
オオカミの血を引くイヌと飼い主との関係性と分けて、説明しているのがこの部分なのです。
●ローレンツの本からオオカミとジャッカルの違いを読み解く
引用ここから36ページの最後部から~
家畜化のしるし、とくに子供っぽさの残存は、オオカミの血統を引くイヌの場合、中央ヨーロッパ産のイヌよりもはるかに顕著ではない。
この統制の現れ方は、オオカミ特融の性質に由来する。
まったく異なったタイプの依存状態にとってかわられている。
ジャッカルが屍肉獣であるのにたいして、オオカミはほとんど純粋に捕食獣であり、極寒期にみずからの生命を保つ唯一の食糧である大きな動物を殺すのに、仲間の助けにたよる必要があるのだ。
~引用おわり
家畜化とは人に飼われるようになった経緯のことで、家畜動物とは人に管理されて飼うことのできる動物のことです。
イヌは家畜化された動物になります。
家畜化された動物の中でも人を親のようにしたう行動や愛着を見せることを、子どもっぽさの残存と説明しています。
そのイヌの子供っぽさが、オオカミの血を引くイヌとジャッカルの血を引くイヌとでは違うというのです。
引用ここから~
群れの大きな要求にこたえる十分な食料を得るためには、オオカミたちは非常に広範囲にわたって走り回ざるをえないし、大きな獣を攻撃するときにはおたがいにしっかりとたすけあわなければならない。
厳しい社会的な組織、群れのリーダーにたいする真の忠誠とメンバー相互の完全な協力は、種の生存をかけての厳しいたたかいに勝ちぬく条件なのである。
オオカミのこうした特性は、ジャッカルとオオカミ系のイヌの気質に見られる非常に顕著な相違を疑問の余地なく説明するものであり、それはイヌを本当に理解している人間にはおのずと明らかである。
前者が自分の主人を親として遇するのにたいし、後者は飼い主を群れのリーダーの位置においてみるのであり、したがって彼らの行動は異なったかたちをとるのである。
~引用おわり
オオカミは捕食動物で自分よりも大きな獣をグループの力で倒していくため、群れの協力関係や結束力が絶対になります。
人間の兵法もオオカミの兵法をまねされるほどオオカミは規律の高い軍隊組織なので、それが日常の主従関係にも影響しています。
ジャッカルは屍肉、つまり死んだ動物を拾って食べるような動物なので、グループよりも単体でいることの方が利益が高く、また誰かに餌をもらえるような環境ではすぐにそちらを選ぶであろうという動物だ、という意味なのです。
ジャッカルは死肉を食べるだけでなくネズミ、ウサギ、イタチなどの小さな動物も狩って食べます。
穴の中に住む動物を狩るため穴掘りも得意で、犬の中では小さなテリア種はジャッカルに行動が似てます。
顔つきでいうとジャックラッセルのような長細い顔がジャッカルの頭部に似ているなと思います。
●犬はオオカミの血をひくのか、ジャッカルの血を引くのか?
この理論は遺伝子学的にオオカミの方に軍配があがりつつあります。
個人的には地域によってイヌがどのような他の動物と交雑してきたのかは違いがあると思っています。
イヌは環境に適応しやすいその性質を生かして様々な遺伝的な変異を遂げてきましたので、オオカミの気質が強い犬もいれば、ジャッカルの気質の強い犬もいると考えています。
この題目に対する答えは、これと決めつけることが重要なのではなくどちらの可能性もあると柔軟にみることで自分の犬を読み解くヒントとするのが私たちが情報を有効に活用できる
●犬は飼い主をリーダーとみなすのか?それとも親とみなしているのか?
そこで飼い主としては一番知りたい部分に入ります。
飼い主は犬との関係性の中で「犬のリーダーになる」という教えを守ろうとします。
誰でも口にする教えなので「犬にとって飼い主はリーダーなんですよ。」という説明は、すべての飼い主を納得させます。
社会的なグループの中には、規律を保つリーダーという存在が必要でそれが飼い主であるということは社会的な動物である人間にとっては分かりやすい話です。
同時に社会的な動物である私たちだからこそ、グループというものの成り立ちを理解して協力しあいながら秩序を保つ関係性を犬と作ることができるのです。
実は小さな家族もこの組織のひとつです。
家族の中にオスのリーダーであるお父さんがいて、メスのリーダーであるお母さんがいます。
そしてその家族という群れに属する子供たちがいます。
家族の中にいる小さな子供たちはただ依存して甘える存在ですが、小学生高学年くらいになってくると家庭の中で自分の役割を発揮できるようになります。
家を守ったり整備したり、自分よりも小さな存在を守ったりできるようになるのです。
家族もひとつの群れの単位になります。
ということは飼い主はリーダーでもあり親でもあるという形がすべての犬に適応できるというのが私の今の考えです。
犬が飼い主をリーダーとみているのか、ただ親として甘えているだけなのかの違いについてはその行動に見ることができます。
あなたの犬は幼稚園生の子供のようにずっと親に依存しつづける幼稚性の高い犬でしょうか、それとも飼い主を守ろうとしたりテリトリーを守ろうとする役割を持とうとするでしょうか。
犬の服従性と幼稚性のバランスについては考える価値のある話題です。
どちらの性質を強く備えているのか、このふたつの性質はどちらも社会生活を送る上で必要なものですべての犬が持っていますので、うちの犬にはどちらもないということはありません。
ただ犬たいして絶対にやってはいけない見方があります。
幼稚性が高いとされている犬がキャンキャン吠えたり、モノをこわしたり、騒いだりするのを性質のせいだとして「生まれつき」という言葉で放置することです。
その犬のわがままな行動はすべて飼い主が身に着けさせたもので、犬には罪はありません。
どんなに幼稚な犬も、脳が未発達な場合にも、コミュニケーションというものが成立している限りは犬は落ち着いて過ごす権利を持ち、それを提供するのが飼い主の役割です。
飼い主の役割を犬をかわいがることとすることはもちろんですが、可愛がりがいつのまにか甘やかしになっている現在の社会は、子育てにも共通することのように思えます。
動物にとって成長を阻害されるということはひとつの虐待であるというのは言い過ぎかもしれませんが、言い過ぎるくらいでないと歯止めが利かないと感じはじめています。
ローレンツの本の引用部分にもあったように「本当にイヌを理解している人は」という部分に自分が入ることができるようにと学び続けたい方は、いっしょに学びましょう。
<犬のこと>グッドボーイハートのゴン太くんたち
先日ダンナくんと会話しているときに「ごんた」という言葉を聞き、思わず聞き返しました。
「ゴンタって。あのゴンタくんのゴンタのこと?」
「そうそう、あのゴンタくんのこと、のっぽさんといっしょにいた…」
のっぽさんお相棒もゴンタくんでしたね。
私がいいたかったのは犬用のジャーキーのキャラクターとして登場したゴン太くんの方です。。
黄色のラブラドルリトリバーなのだと思いますが、若干ミックスのようにも思える風貌の犬くんです。
ダンナくんがいうには、関西では聞き分けのない子供にいうときに「そんなごんたゆうたらあかん」っていうらしいのです。
関西では一般的に使うらしいのですが「ごんた」にそんな意味があることを知りませんでした。
だからあの犬のゴン太くんはいかにもしつけが必要な感じの犬だったのだと納得しました。
その後、わたしの中ではゴンタの活用法が広がりました。
お預かりの犬ちゃんがなかなか聞き分けないときにも使うようになり。
「〇〇ちゃんがゴンタいう」みたいないい方になりました。
そうすると、預かり犬ちゃんが来るたびに「〇〇くんがゴンタいってクレートに入らない」とか
「〇〇ちゃんがゴンタいってゴハンを残す」とか。
ゴンタって結構たくさんいるじゃないかとなってきたのです。
ご自宅にもゴンタくんがいるでしょうか。
どのゴンタくんも成長が楽しみです!
※写真はお預かり中の犬ちゃんたち、ゴンタくんたちではありません!
<犬のこと>どうやって可愛がったらいいのかわからなくなった飼い主さんたちに伝えたいこと
トレーニングにはいろいろな方向性や仕組みがありますが、グッドボーイハートで一貫してお伝えしていることがあります。
それは「犬は犬であるということ」を忘れないで欲しいということです。
当たり前すぎることなのですが、これが当たり前になっていないから人と犬との間にいろいろと行き違いがあるのです。
犬は犬のことを犬だと思っています。当たり前なんですが本当にそうです。
さらに当然のことですが、犬は犬のコミュニケーションで会話します。
だからタロウという犬に花子という犬が飛びついていけば、タロウは当然逃げるか構えるか、もしくはガルルと威嚇するなどして自分を守るでしょう。
花子に飛びつかれたタロウは「わたしが好きなのね、お利口さんね」といって抱きしめたりはしないのです。
でも花子に飛びつかれた人間の飼い主は「私が好きなのね。」といってコミュニケーションが始まります。
犬のとびつく行動は興奮している状態なので、上手に交わしてくださいねとお伝えすると、こんどは飼い主側が「どのように接していいかわからない」といいます。
犬が落ち着いてるのであれば、ただいま、と声をかえていいし、おりこうさんねと微笑みかけても全然構いません。
犬たちが留守番のあとなどにとても興奮してしまうのは、やはりひとりぼっちで、もしくは多頭で、もしくは閉じこもりがちの生活の中で何か不安な部分があるからなのです。
ひとりで生活空間から出ることができない、ひとりではゴハンも食べられない、ひとりでは逃げることもできない、そんな生活をしている犬がいつもストレスフリーであると考えることはあまりにも楽天的です。
人と犬の関係がある程度落ち着くまでは、犬が興奮しているときにいきなり抱きしめたり抱きあげたりほおずりしたりはしないので欲しいのです。
かれら犬がいつでも「落ち着いて人と接する」ことができるようになるまで、それほど時間はかからないはずです。
といいたいところですが、最近は繁殖犬の経験値が低いことが影響してか、人に興奮しやすい犬が増えてきました。
親犬もまたその親犬も犬舎で人とは隔離されて生活しており、人のことをあまり理解していません。
人と暮らしてきた経験も社会的な活動もほとんどもたない繁殖犬が多いのです。
そんな繁殖犬から生まれた子犬たちに人との暮らしを学ぶのに急がせるのはフェアではないと感じます。
ですがトレーニングでいろいろとお伝えするには時間制限もあります。
できるだけ長く細くトレーニングを続けていただき、犬の成長や変化をゆっくりと見守ってほしいのですが、人は何かと急ぐものです。
グッドボーイハートというドッグスクールは、どちらかというとじっくりとゆっくりとお付き合い下さる方に向いています。
犬と共に飼い主としても成長したいと思われる方にはもってこいのドッグスクールです。
犬のことを学びはじめて30年以上になりますが、この私でもまだまだ毎日が学びの日々です。
犬の学びは私たち人間についての学びでもあることが面白いところです。
犬について人についてまだまだじっくりと学びます。
きっとボケるまでそうしているかなと最近思うようになりました。
<クラス>春の暖かな日に大濠公園でお散歩レッスン
家庭訪問クラスを受講されている生徒さんと、大濠公園でお散歩レッスンのために待ち合わせしていました。
室内にこもりがちになっている子供たちも大人たちも、大濠公園に大集合だったようでものすごい人となっていました。
今日はちょっと人が多すぎてお散歩レッスンには厳しかったなかなと思いつつ、散歩している犬たちをチェックしていきます。
一部の犬たちをのぞきわりとゆっくりと散歩をしていて、リードをたるませながら飼い主の足元に歩いている犬たちが多く、ずいぶんとマナーアップしてきたなと関心しました。
こちらの犬ちゃんたち2頭も雑踏の中を上手にかつリラックスして歩いていきました。
止まったり、歩いたり、と飼い主さんと歩調を合わせながら歩きます。
2頭が仲良く寄り添うように歩いていますので、通り過ぎる人たちもにっこりと微笑みながら見守ってくれました。
少し歩いたら犬たちに遊びの時間も必要です。
公園の隠れ場をみつけながら、いっしょに走ったり、木をなげたりかじったり取り合ったりしてしばらく土の上で遊びました。
どちらも都会のど真ん中のマンションで生活していますので、土や草や新鮮な空気に触れる機会が少なくなりストレスもたまりがちです。
犬が自然と触れ合う時間は飼い主さんにとっても息抜きの時間になるはずです。
これが何の役にたつんだろうと思うようなことこそ、犬にとっては必要なのです。
人間は必要なことしかしないようにできているのでしょうか。
緑の中でぼーっとしたり、深呼吸したり、花をみたり、池にあそんでいるカモをながえめたりするようなどうでもいい時間が、本当に動物にとっては必要ではないかなと思います。
そんなどうでもいい時間を犬たちは共有してくれるばかりでなく、心地よさも共有してくれます。
そんな相手はなかなかいるものではありません。
犬たちがお互いに何を話しているのかは実際にはわかりませんが、時間や場所や気持ちを共有することができれば、少しだけ勇気もわいてくると思います。
ひとりじゃない、だれかと一緒に生きている、そしてその絆は少しずつ強くなっていくはずだという気持ちが自分の生きる力となってくれます。