前回のブログでドイツでは犬は室内に排泄する習慣がないことをご紹介しました。
このブログで紹介するまでもなく、犬を犬として扱うドイツではこうした犬の習性を大切に扱うことは日本でも知られています。
むしろ日本人は「外で排泄させるなんて犬がかわいそう」という発想にいたってしまい、今のような犬の飼い方になってきたのではないかと思いますが、本当に犬が可哀そうでしょうか。
たしかにマンションなどの集合住宅では庭もなく屋外トイレの確保はかなり大変です。
ですが少しの工夫で犬の世界が広がるとしたらどうでしょうか。
実は先日、家庭訪問レッスンのときに室内トイレからベランダトイレへと環境を移行中の犬ちゃんの環境が激変していて驚きました。
驚いたのは飼い主さんお手製というベランダに通じるペットドアです。
全くドアのない場所にどうやって設置されたのかと思うほどの人も犬も通れるドア
よく見ると廃材のドアを加工してご主人が作ったというのですから驚きです。
排泄をする場所も手作りされてすぐに掃除ができる形に整えてありました。
小型犬だったら簡単に設置できるベランダへのペットドアですが、大型犬となるとそうはいきません。
まずサイズがない、あったとしても料金が高い、なにより大変なリフォームとなってしまいます。
そしてもっと問題なのは、ペットドアが大きいと重たくなり大型犬にかかる負担も強くなってしまいます。
実は私も黒ラブのオポと暮らしていたときにこのドア問題ではかなり悩みました。
オポの自由な排泄のために庭への通路を確保したかったのですが、なにしろ犬のサイズは40キロ近いのです。
里山ということもあり、ドアを開けたままにしておくといろんな生物がドアという境界線を越して室内に入ってきてしまいます。
そのことでトラブルが多く、なんとかしてオポだけが利用できるペットドアをと考えたのです。
そして考え出したのがビニールを下げたペットドアです。
写真はこちらのブログ記事で紹介しています。
「犬の排泄行動に自由を与えよう!」
このオポ用のドアの写真をレッスンのときにご主人に見ていただきました。
そうすると「ああなるほどね」と何かひらめかれたようで、その後すぐにこの素敵なドアが設置されたということです。
短い動画ですが犬のメイちゃんがうれしげに通行する姿を見てください。
ベランダへのドアが設置されてからメイちゃんは自由にベランダに排泄に出られるようになり、またベランダでよくひなたぼっこしたり、オモチャをもっていったりして自分のスペースを楽しんでいるとのことでした。
風に当たったり日光に当たったりする場所で排泄ができるというのは犬という動物の基本です。
マンションでいろいろと難しい方も、このひとつの広がりで犬の行動は激変してしまうことをぜひ知ってください。
メイちゃんの成長がこれからも楽しみです。
Author Archives: miyatake
<犬のこと・動画>飼い主さん自家製のペットドアでベランダへ排泄にでるご機嫌なメイちゃん
<犬のこと>やっぱり!ドイツはペットシーツがいらない国
犬の先進国として有名なドイツ。
ドイツでは犬は…というと、ほとんどの方は「ドイツはイヌの先進国だそうですね。」と相槌をうってくれます。
テレビ番組の影響もあるのでしょうが、ドイツの犬事情はわりと知れ渡っているようです。
そのドイツの犬事情を今回久しぶりに生情報として聞くことができました。
というのも、カウンセリングに伺ったご家庭にドイツから一時帰国されているご家族が同席されてお話をする機会を得られたからです。
そもそも室内で犬に排泄をさせる習慣があることを不思議に思っているわたしですが、日本ではなかなかこのことを納得してくださらない飼い主さんもいます。
お互いに価値観の違いとして片付けるしかないのですが、何が犬にとっての普通なのかを説明しておくことはドッグスクールとしての義務なのでつい熱弁をふるってしまいます。
こちらが正しいことを伝えたいのではなく、犬という動物としてどうなのかという部分で譲り難い部分だからです。
ドイツに在住されている日本の方に、ここぞとばかりに質問しました。
ドイツには犬が室内に排泄するという習慣はありませんよね。
「はい、もちろんありません。全く考えられない。」
ドイツにはペットシーツはありませんよね。
「見たこともないです。ドイツの犬たちは屋外で排泄をしますが、きちんとしつけられています。」
ということでした。
やっぱりですね。ヨーロッパの多くの国がペットシーツを販売していないのですが、老犬のためか1枚100円くらいではあるかもしれません。
ドイツをはじめとする、イギリス、フランスは純血種をたくさん作りだした国で小型犬も決して少なくはありません。
むしろドイツではテリア種などの小さな犬はたくさん見かけられます。
小さいから室内で排泄をさせるということはないのです。
そのドイツ在住のご家族によると、ドイツでは犬のしつけがされているかどうかは登録されている情報からでもわかるし、吠えや噛みつきはすぐに裁判になってしまうということでした。
犬を動物として正しく飼育していくことができないものは、犬を飼う資格はないということです。
ところが日本では、犬を正しく飼う方法として室内で排泄をさせる習慣を犬に強要しています。
ペットシーツは今やどのスーパーにも置いてある商品で、これだけですごいゴミが出ていることになります。
犬に室内で排泄をさせたい飼い主の理由
一番多いのは、外でしか排泄しなくなったら毎日散歩に出なければいけなくなるからというものです。
庭のない敷地で飼うなら、朝晩の散歩は飼い主の義務でもあります。
ドイツでは当然犬を散歩に連れ出します。
二つ目の理由は、老犬になって歩けなくなったときに困るから室内でしてほしいというもの。
これは老犬になってから犬が選択をするときに考えることで、子犬のころから室内トイレを強要する理由にはなりません。
二つとも犬の立場に立っているようで、実は人側の都合による理由ではないでしょうか。
ちなみにドイツでは小さな犬を抱きかかけて移動させることはあっても、犬の抱っこはありません。
犬はそもそも外でしつけをされてから室内にいれられる動物なので、犬はあくまで動物であって抱っこするペットという扱いは受けていません。
公共機関でもカフェでも小さな犬が人の膝の上に抱っこされているのは、大変違和感のある光景なのです。
犬はイヌとして扱われているそれがドイツです。
良い部分も難しい部分もあるとは思います。
100%ドイツの犬育てが良いとはいいませんが、排泄の場所と抱っこの習慣がないことは100%共感します。
この二つは犬の生涯の行動にずっと影響を及ぼす行動だからです。
<犬のこと>ラグビーワールドカップの人気に乗って犬のはなし
ラグビーワールドカップの日本チームの活躍がすごいですね。
毎日ラジオを聞いているので躍動感が伝わってきます。
そのラグビーワールドカップのニュースを聞きながら思ったことです。
ラグビーのプレーの中にジャッカルというプレーがあるということで、それがすごいという話がラジオで盛り上がっておりました。
パーソナリティがなぜそのプレーにジャッカルという名前がついているのかを解説しました。
「ジャッカルは立ったまま餌を食べるから、ラグビーのプレーの中で立ったままボールを拾う行為をジャッカルと名付けそうですよ。」という説明でした。
まあ、ここまではなるほどね、というところです。
ラグビーの発祥はイギリスではなかったかと思ったのですが、現在イギリスにはジャッカルはいません。
発祥地が不明なのか、ラグビーがイギリスで生まれたときにジャッカルが生育していたのかと、運転しながら少し頭が混乱してきました。
続いてパーソナリティがいったコメントで大混乱です。
「ジャッカルってハイエナみたいな動物ですよね。」
というコメントだったからです。
いや。ジャッカルはイヌ科の動物です。
ジャッカルという動物が一般的にはあまり知られていないのだとびっくりしました。
しかし、そもそも立ったまま食べ物を食べる動物に例えるならば、なぜジャッカルではなくドッグ(犬)とかウルフ(オオカミ)ではいけなかったのでしょうか。
犬もオオカミもたったまま食べ物を食べます。
ジャッカルよりはより身近な動物であったのではないかと思います。
オオカミよりもジャッカルの方が小柄で残飯をとりに来る可能性も高く、犬に近い動物でしょうから目にする機会は多かったかもしれません。
しかし、それなら犬はラグビーの発祥より以前に人と暮らしていたのですから「ドッグ」と名付けられなかったのはなぜなんだろうと考えていました。
そのうち訪問レッスンのご家庭に到着してこの考えはとん挫したわけですが、こんなことを考えるのも自分くらいかと半ば自身であきれております。
日本チームのみなさまにはますますジャッカルを含めたプレーで観衆を魅了してくださるでしょう。
名付けられたジャッカルは地球上にいろんな種として生育していますがその一部は絶滅危惧種なのです。
ジャッカル見たことがない方、ぜひ写真だけでもご覧ください。
<クラス>秋のお預かりクラス&トレッキングクラス
大きな台風で被害を受けられたみなさまにお見舞い申し上げます。
ものすごく離れている七山のある唐津でも突風が吹き荒れており、台風直撃された地域のことが気がかりな週末でした。
自然の猛威が近づいてくると予測することができるような文明を持っている人間は、やはりその猛威が近づいてくるとわかっていても身動きができないような動物でもあります。
自分もきっと身に危険が迫っていても住み慣れた場所を離れることはできないかもしれないと想像して、そうならいずれこの七山で土砂に埋もれてしまうこともあるだろうから今この時を楽しもうと開き直ってみました。
動物が一番活発になる季節。
お預かりのクラスとトレッキングクラスが増えて、学びの多い週末を過ごせました。
お預かりクラスが続いてくる犬ちゃんの様子が変化していってうれしいことや、お預かりクラスが初めてて飼い主さんを呼び続ける犬ちゃんに手を焼きつつもやり取りの中で変化が起きるのを待つのも疲れるけれどやりがいのあることです。
トレッキングクラスは最高の季節。
動物たちが山をウロウロするこの季節は1月くらいまででしょうか。
山にはたくさんの動物の気配があります。
青くてたくさんついていた柿の実が忽然となくなる事件がまた今年もありました。
あの青い柿は一体だれが持ち去っているのか本当に不思議です。
いつかこの謎が解けたときに、また少し山の住人に近付いた気持ちになれそうです。
北風を受けて気持ちよさそうな犬たちの表情。
冬到来の前に蓄えを探すためにテンションが上がる動物の姿。
私たち人間の中にもまだ残るこの感じは絶対に犬たちの遺伝子の中にも残っているはずです。
このワクワク感を共感できるのはこの季節だけです。
週に1回のお休みもおちおちと休んではいられません。
犬との山歩き、ぜひお出かけください。
<犬のこと>「こんな日が来るとは夢にも思いませんでした」…
生徒さんとご予約の変更などのやり取りのためにラインアドレスを交換させていただくことが多くなりました。
生徒さんの中にはレッスン中に解決した問題があったり、一山超えることがあるとうれしい報告を送ってくださる方もいらっしゃいます。
毎週のレッスンのときに「前回の宿題どこまでできたかな?」と想像しながらご家庭に伺うのも楽しいものなのですが、ラインでご報告をいただいたときには飼い主さんのうれしさが伝わってきて、それもまたうれしいものです。
先日もある生徒さんから犬ちゃんの写真が送られてきました。
コメントには「こんな日が来るとは夢にも思いませんでした。」とあります。
写真よりもコメントの方にびっくりしてしまい、思わず三度見してしまいました。
送られてきた写真はこちらです。
生後5ケ月になる犬ちゃんのお昼寝タイムの写真でした。
犬が自分から初めてハウスの中で寝ているのを見たので感激したとのことでした。
犬が休みたいときにハウスに入って寝るのは、ハウスを日常的に使われている方なら珍しくない光景です。
ハウストレーニングをしなくても、ハウスをリビングに置けば入って休もうとする犬はたくさんいます。
ですがこの犬ちゃんのように設置したハウスが自分の巣穴となるのに少し時間がかかる犬もいます。
全く珍しいことではなく、環境の変化を受け入れていくのにほんの少しの時間がかかるというだけのことです。
その間は飼い主による管理が必要になるのです。
ところが、なかなか変化が見られないと辛抱たまらずに諦めてしまう飼い主さんもいます。
あと少し頑張れば安定したのになと残念に思うこともありますが、そこは飼い主さんの決められることなので仕方のないことです。
犬にも一定のルールを受け入れさせるガマンを教えるトレーニングですが、飼い主側も同じようにガマンしなければいけないことがあります。
必要以上に触らないようにとか、抱っこしてはいけませんとか、赤ちゃんのように扱わないとか、散歩に行かなければいけないとかですね。
人が飼う犬という動物との暮らし、もちろん人側が優勢であることは否定しませんがそれでもお互いに自制しあうという距離感は必要なのです。
ハウスに入って寝ている犬ちゃんの写真と飼い主さんのコメントを拝見して、こうした普通の風景が犬との生活の中にあるということをお伝えできてよかったと安堵しました。
同時に、この距離感をうまく保ちながら距離ではなく深い関係を築いでいかれると、また新しい気づきがたくさん生まれられるだろうと楽しみでもあります。
人からみればただのペットの犬のこと、でも私にとっては尊敬してやまない愛する犬のことなのです。
ブログ掲載に快く応じてくださった生徒さんからコメントも使ってくださいと言われ、うれしいお気持ちが伝わってきました。
まだまだ若い犬ちゃんですからこれから山あり谷ありでしょうが、一緒に歩いて行けるということが幸せですね。
<日々のこと>生まれては消えるオポパンの夢
いつもグッドボーイハートのブログを読んでくださりありがとうございます。
いろんなことを考えすぎて私の脳もパンパンなので、今日はどうでもいいことを書かせていただきます。
先日、レッスンのときに生徒さんからパンをいただきました。
パン教室を開かれているそうで『干支のパン』ということで、ハリネズミのかわいいパンをいただいたのです。
パンといえばいつか実現させたい生産性のないベーカリー「オポパン」のこと。
パン屋さんをやりたいと思ったのは、犬の訓練士になりたいと思った後でした。
訓練士になれなかったらパン屋さんをやりたいくらいの順番でした。
結局、犬の訓練士いわゆるドッグトレーナーとかドッグインストラクターといわれる現在の仕事をさせていただくことになりパン屋さんになりたい夢は消えていきました。
やっていることが充実しているから別の夢を追う必要もなくなったからでしょう。
オポという犬と出会ってグッドボーイハートという出会いと学びの場をつくって、たくさんの犬たちとその飼い主さんと共に学んでいます。
そしてその人生の中に別れと出会いがまたあって、新しい「オポ」という場もできました。
オポが教えてくれたのでつくった七山の基地での活動も整備しながら少しずつ、かかわることを楽しみながらやってきました。
そしてまたその道の中で「オポパン」という宝物が生まれたいいなと想像を巡らしたりしていました。
私の頭の中での小さな妄想のことです。
オポが「パン」という単語を聞いたときの何とも言えないその表情が忘れられなくて「オポパン」作りたいなと思ったのです。
そして先日パン教室を開いている生徒さんの犬ちゃんのレッスンに通いながら、パン教室の雰囲気だけを味わっていたのです。
そこでいただいたハリネズミのかわいいパン。
すごく素敵でおいしいパン。
こんなパンを作れるようになるには何年も時間と努力を根気強く積み重ねてこられたのだろうなと味わいつつもパクリといただきました。
オポパン。そんなに簡単じゃないんだなとオポパンの夢が少し遠くに消えていきました。
オポパンの前にハチミツオポ…。
その前に草刈りか、巣箱作りか…。
まずは目の前にある大切なことから一歩ずつです。
<犬のこと>初めてなのに目的地がわかる犬たちのテレパシーについて考えたこと
犬という動物の能力のすごいところを発見するのは、犬たちと関わる中で一番楽しいことかもしれません。
ほんの一粒のドッグフードを探し当てる嗅覚のすごさや、ほんの小さなささやきが聞こえてしまう聴覚の恐ろしさ。
跳躍力の驚きや、狭いところをくぐることができる柔軟性、絶対に追いつかない速さで走ることなど、私たちではかなうことのできないことをやってくれるそんな動物が自分の友達としてそばにいてくれることに感動するのです。
先日もそんな驚くべきことがありました。
はじめて預かり犬ちゃんを車で移動させていたときのことです。
預かり犬ちゃんの落ち着かせのために、グッドボーイハートに到着する前にある場所の駐車場に止めるつもりでした。
その目的地に近付いてきたときにピーピーと鼻ならしを始めたのです。
鼻ならしは次第に強くなり、到着したときにはギャンギャンに変っていました。
次にその場から走り出し本当の目的地(預かり場所)に到着しようとしたときにも、場が近づいてくると同じようにキュンキュン言い始めました。
一度も連れて行ったことのない場所で、駐車スペースにはいってもいない移動中に鼻を鳴らすということは、目的地に到着するいうことをなんらかの形で察知したということです。
目的地を知っているのは私だけで、それを知っていたということですから、人の何かの状態に反応をしたということになります。
こうなると読心術的なテレパシーではないかと考えます。
テレパシーは科学的には否定されるようなものでもありませんが、同時に肯定することも証明することも難しいものです。
犬が人から受け取る合図というにはいろんなものがあって、どんなに些細な情報も見逃しません。
特に臭いのシグナルについては人が知り得ない臭いを嗅ぎ取るので、人がいつの間にか不安の臭いや安心の臭いを出していることも犬に伝わっています。
ただし、上記でご紹介した到着地を事前に把握した状況というのは、犬ちゃんはクレートの中にはいっていてカバーもかかっていて私を見ることもできないし、臭いを嗅ぐこともかなり困難な状態でした。
一番犬が受け取りやすい臭いのシグナルもかぎ分けるのは難しかったであろうと考えると、やっぱり読心術なのかなと思います。
肯定されないけれど否定もできない犬のテレパシー能力。
犬との生活のいろんな場面でドキッとすることはたくさんあるけど、ここまで読みこまれると怖いと感じると同時に、相手も疲れるだろうと思います。
誤解を恐れずに言ってしまうと、相手に執着しすぎると自分を失ってしまうこともありますよということです。
本来なら生きていくために最大限活用すべき犬の能力が、行き過ぎてしまうと自分を苦しめてしまうことにもなりかねません。
また、脳の構造上の問題からもこのような特異な能力が発揮されてしまうことがあります。
人にも同じようなことがあり、オリバーサックス先生の本の中にも異常な脳で人が知り得ないことを知ると同時に日常生活が難しいという人々のことが紹介されていました。
犬は特に人為的な繁殖を繰り返しているために、脳の構造に異常が出ることは珍しくなく、その異常が「特異性」という能力として出てきても全く不思議ではないのです。
こうなると、その犬にとって何をすることが犬の生活を安定させていくことになるのか、考えて考えてを繰り返す毎日です。
<受講生のコトバ・きいろちゃん編>犬を理解するともっと知りたくなる、犬との暮らしを愉しんでいます。
グッドボーイハートのクラスを受講してくださった生徒さんからのクラス受講の感想をいただきました。
今回はきいろちゃんの飼い主さんからいただいたものです。
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福岡に来て12年たち
2019年9月にパートナーである
ミニチュアシュナウザーのきいろを我が家に迎えました。
私は、子供の頃から犬が家にいる生活が当たり前として育ちました。
祖母の家には太い鎖に繋がれたジャーマンシェパードがおり、
学校帰りに寄る親戚の家には、今で言う保護犬の雑種、
自宅にはその当時ハイカラだったプードル、柴犬、雑種、マルチーズと歴代の犬たちがいました。
わざわざ『犬と関わる』ということを意識しないくらい犬との暮らしがそこにありました。
上記の経験があったので、
昨年ひょんなことから縁があり、我が家にきいろを迎える事になった時は、やっと犬との生活に戻れる!と喜んでいました。
福岡に来て一人暮らしを初めて、なんとなく仕事と家のことだけで時間を使っていて、物足りなかったと感じていたんだと思います。
犬と暮らせば、帰ったら盛大に喜んでくれて、規則正しい生活も自然とできて、一緒に遊んで、かわいく癒されると思うと、本当に久しぶりにワクワクしながら迎える日を心待ちにしていました。
いよいよ、お迎えの日
いざ、自宅へ迎えた日
生後3ヶ月の仔犬と対峙してみて
『…こわい』
と本気で思いました。
あんなに自然に接していた犬のはずなのに…。
目の前の、怯えて小さくてかわいい犬に対して、全く接し方がわからなかったからです。
信じられませんでしたが、本当に不安でしかありませんでした。
そんな自分に動揺しながら、数日過ごしてみました。
ゲージの中で飛び回るきいろ
トイレトレーの上で寝るきいろ
何か要求しているようだけれど
ご飯以外何を欲しているのかさっぱりわからず、頭を抱える日々でした。
ネット、本屋で調べまわり勉強もしてみました。
でも、何ひとつピンときませんでした。
そもそも調べ方が悪かったのかもしれませんが、目の前のきいろに対して無力感しかありません。
大袈裟のように聞こえるかもしれませんが
そんな気持ちで泣きそうな日々でした。
実家で飼っていた犬たちは、本に載っているような芸をしなかったし
好きな部屋や庭で勝手に寝ていましたし
親がフードで悩んでいたことも見たことがありませんでした。
飼い主も犬もとても自由でした。
ふと、思い返したら全然違ったのです。
草の匂いが間近にする広い家と
いまの私の1LDKの部屋
残飯と栄養バランスが考えられているフード
数えるとキリがないですが
その頃にはなんとなく気がついていた。
違和感の原因がわかった気がしました。
そこで、たどり着いたのがグッドボーイハートでした。
ホームページを見つけてすぐに電話をして
宮武さんと出会う事になります。
そこからは、怒涛のように
犬という生き物を理解していると
勝手に勘違いしていた私の教育だったと思います。
先生は毎回きいろを、よく観察され
私が理解するように話をしてくださっていました。
目からウロコとはこんなことか!と思うばかりで、なかなか進歩しない飼い主です。
お散歩のマスターもなかなか遅かった飼い主です。
それでも、きいろはきいろのペースで成長してくれています。
断然、不十分の方が上回っていますが
成長の遅い飼い主と一緒に
『今日も先生くるから頑張るよ!』と励まし合っています。
そして、今の犬を取り巻く現状について…
マンションで飼育される小型犬について…などたくさんの犬についての事を学ぶにつれ、私の違和感の原因も自分で探り当てることができて、私が理想とする犬との暮らしのイメージと、飼い始めた時の無力感の穴埋め作業ができるようになりました。
今ではレッスンを重ねるにつれ、きいろとの生活を愉しむことができるようになっています。
お迎えする前の期待とは全く違う次元での愉しさです。
お散歩でもお留守番でも全ての反応が、きいろを理解する指標になります。
愉しむことは理解できるからなんだと気がつき、これは私にとって、とても大切な要素になっています。
表情や仕草や行動を形容の可愛さから、もっと深い部分で理解することができているように感じるからです。
理解すると、もっと知りたくなる
うまく言えませんが、生き物として、パートナーとして唯一無二の存在として捉えると、ぐっと関係性が変わったのを感じました。
これは、私ときいろのレッスンの道のりを過ごして心で会得できた、宮武先生からの教えだと確信しています。
きいろを迎えた時から、まだ生活の環境は変わっていません。
いずれ、希望とすれば庭のあるような場所へ引っ越すこと
そして、まだまだ辿り着いていない
きいろとの『共同作業』の感覚を味わうのが夢です。
まだ1年
これからきいろがどんな犬へ成長していくのか楽しみでもあり、私次第というプレッシャーも感じながら、きいろとの共同生活を愉しんで暮らしていこうと思います。
最後に、あんなに不安だったきいろと私の生活は今とても心は豊かです。
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小さいころに豊に犬と暮らした生活を思い起こしながら、新しくきいろちゃんという家族を迎えてはじまった犬との生活。
環境の違いや、いつの間にか生まれてしまった周囲から入ってくる情報による価値観に振り回されてしまうと自分のいたところを見失うこともありますね。
思い起こせばそうだったという記憶を頼りに、元居た場所にもどってきた飼い主さんがきいろちゃんとの関係を築いていかれるのにはあまり時間がかかりませんでした。
排泄の場所は環境を整えるのもすぐに習得されて2回目のレッスンのときにはきいろちゃんが適切な場所で排泄をして落ち着いていたことをよく覚えています。
犬との暮らしには犬と対話するセンスをもともと持っている方と、努力して身に着ける方の二つがあります。
どちらにしても謙虚に学ぶ姿勢は大切ですが、センスのある方はやはり習得が違います。
きいろちゃんの飼い主さんは持ち前のセンスを磨き続けてきた方といえます。
たくさんの勉強と学びの姿勢を持っていらしたこともきいろちゃんを助けてくれました。
きいろちゃんの持ち前の良さがちゃんと発揮されて、スクスクと育っていくのを私たちも愉しみました。
いっしょにいて心地よさを感じられる犬ちゃんです。
失敗も笑って許されるようなそんなふんわりした空気を醸し出してくれます。
それもこれも、飼い主さんの作って来た空間で起きていること。
そしてこれからきいろちゃんと飼い主さんがどんな夢を実現されていくのか、とても楽しみにしています。
<おすすめのアイテム>ブログで紹介した国産首輪が大人気
先日このブログでご紹介した国産の首輪とリードが大人気です。
優れモノだからもっと早くご紹介すればよかったと思っています。
紹介が遅くなりすみませんでした。
お勧めしている犬用の首輪とリードは日本の工作所「瀬川製作所」で制作されています。
ドイツなめしという商品でレザーは本場のドイツでなめされた上質のものです。
その後の加工は工場でされていてとても丁寧で驚きます。
もちろんとても古いメーカーなので私は若いころから愛用していたリードですが、いわゆる「犬のリードと首輪」というイメージが強く新しいものに負けてしまうようです。
注文しても作り置きがないものは「今から作ります」くらいの時間感覚、ゆるやかです。
古いものやクラシカルなものの良さが見直される時代になった今、瀬川製作所の首輪も飼い主さんたちになかなか人気です。
この瀬川製作所の犬用首輪の良いところいくつかあげます。
まずレザーの質です。
レザーは使い込むうちに割れてしまうような粗悪なものもあります。
でもこの瀬川製作所の首輪とリードの皮は上質なので、使い込むほどに柔らかく変化していきます。
もちろん油で拭くなどの手入れをすると最高に良いです。
首輪の方は犬の脂分も少し仕込んでいくようで次第に柔らかくなってきます。
金具がしっかりしています。
リードをつける部分が二重のDカンになっています。
抜ける心配が一つ減りますね。
一番危険なベルト式の金具部分ですが大きなサイズのものには折り返しがあります。
首輪のサイズが大きくなると金具の遊びも増えるため鋭利な突起は気になりますがこれなら安全です。
この金具がとがっているものは他の犬や自分自身を傷つけることがあるので注意してください。
ベルト式の金具が他の犬の目に入ってしまった事故などの症例もあります。
金具の先はとがっていないもの、折り返してあるか丸みのあるものを選んで欲しいです。
名前を刻印する金属のプレートもついています。
マジックで名前を書くこともできますが、金具に電話番号を打ち付けることも可能です。
金具プレートに電話番号をいれられうようにグッドボーイハートで準備中なのでしばらくお待ちください。準備でき次第ブログでお知らせします。
金具の質が良いです。
きれいに仕上げているので手で触ってもざらつきがありません。
レザーの色がきれいです。
色は使い込むほどに変化していきますので経年の変化を楽しめます。
厚みがありしっかりとしています。
ベルト穴が楕円形で入れやすく抜けにくいタイプです。
いいところだらけなのですがもうひとつ。
ビックリするほどお安いということです。
商品によっては直送となることが結構あります。
直送となると送料をご負担いただくことになりますが、それでも1000円から3000円の範囲内で購入できます。
色違いで揃えたいほどのお品です。
グッドボーイハートさんの生徒さんにはもちろんお値引き価格でお渡ししています。
一般の方にも使っていただけるようにと考えていますのでお気軽にお問合せください。
在庫は持っていませんので気になったら早めにご依頼ください。
なかなかたくさんのモノを比較する機会も得られないので難しいものですが、瀬川製作所の首輪とリードは絶対に質が良いことを保証します。
ぜひより良いリードと首輪を準備して、犬が安心安全、そして快適に暮らせるようにお手伝いください。
<犬のこと>好き勝手させる方が犬にとってはストレスです
犬を大切に我が子のように育てて暮らしていらっしゃる方なら、犬にどのくらいのストレスがかかっているのか心配されるのは当然です。
どの飼い主さんも「犬にとってストレス」という言葉に素早く反応してしまいます。
お留守番をさせるのがストレスなのか
散歩に連れていかないのがストレスなのか
抱っこしてあげないのがストレスなのか
もう訳がわからなくなってしまっているのではないかと思いますのでいったん整理しましょう。
まず、犬は成長を促されていないかぎり「未熟」であるということ。
そしてその未熟な犬はどの犬にも成長する機会という権利を持っているという認識を改めて共有したいのです。
その上でいうと、犬にとって一番のストレスは未熟で精神的に成長していない、つまり発達していない状態にあるということです。
これはどの動物にとっても最大のストレスになります。
赤ちゃんと同じ状態でありながら、危険を感知するセンサーだけが発達してしまうのですから、常に要求したり騒いだりパニックしたりするような状態になってしまいます。
犬は成長という機会を与えられると、社会的な態度というのが身についてきます。
犬には犬という動物の性質の特徴である「服従性」という性質があります。
これは所属するグループの主たるものに従うという性質です。
服従という言葉の響きにマイナスの響きもあるので受け付けない方もいらっしゃるかもしれませんが、服従は決して上から下に押さえつけるようなものではありません。
服従性とは下が認める主たるものへの敬意を含む従う行為なのです。
成長と共に芽生えるこの服従性が育てられないと、犬には未熟性が残ります。
未熟性が残る犬は常に接触を求め、とびつき、鼻をならし、手をかけてきます。
怯えや震え、逃げといった行動もよくみられます。
犬を成長させていない状態なのに、犬のストレスになるからと犬の好きなようにさせてあげることは犬にとっては決してメリットのない負のスパイラルなのです。
犬が少しでも嫌がったらストレスになるからと手出しをしていないでしょうか。
犬が少しでも鼻をならしたらストレスになるからと全部やってあげてはいないでしょうか。
未熟性を高められた犬たちはよく鼻をならし要求をしますが、同時にうなったりあまがみするという攻撃性も引き出されてきます。
人の子供と同じように子供を社会的に成長させずに過保護にしてしまうと子供のストレスが攻撃性となって表出してしまうのです。
子供の年齢でいうと20歳から30歳にかけて厳しい家族への殺意が芽生えるようになるようですが、犬も同じように1歳半から3歳にかけてこの突発的な攻撃性が見られることがあります。
犬にストレスをかけないようにと犬の好きようにさせているように見えて、実は犬に過大なストレスを与えているとすればどうでしょうか。
社会性の高い動物は、家族間で社会的なお互いを尊重し役割を認め合う関係が築き上げられることが最も強い精神性を持つということです。
犬たちをみて日々思うこと。
とても大切にされているのだけど犬としての最もキーの部分が引き出されていないこと。
すごく深い問題なので、取り組む飼い主さんは少ないかもしれません。
でもグッドボーイハートの生徒さんなら、ぜひトライしてください。
犬の服従心は犬の中心にあります。