グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬語セミナーで学ぶ犬の社会性:犬のパーソナルスペースは距離感から生まれる

 週末に七山校で犬語セミナーを開催しました。単純なビデオセッションながら毎回どのような学びがあるかわからないビックリ箱のようなセミナーです。


● 犬語セミナーの学びのひとつ、犬の評価とは

 犬語セミナーは初心者クラスでは犬の行動を観察して読み取りができるようになることからはじめます。参加しているうちによく見ることができるようになると、その行動を分析していきます。それができるようになると今度は犬の性質や状態の評価にうつっていきます。

 一番難しいのが「犬の評価」のところですが、今回は上級者ががっちりを参加されたので遠慮なく質問のレベルを上げて犬の評価について考えるセミナーとしました。犬語セミナーを少人数制のセミナーにしている理由は、参加者の理解の段階を把握することで質問や説明の内容を変えて、ステップアップするプライベートクラスの延長ととらえているからです。

 数十人が集まるセミナーの講師をさせていただくこともありますが、どうしても表面的なことになってしまいます。深く伝えようとすると多くが理解できないままに終わってしまい欲張って未消化セミナーになってしまった反省もあります。おひとりおひとりの理解度を把握するにはやはり直接質問して答えていただくしかないというのが今のクラスの形式につながっています。

 犬の評価についてですが、ここでいう評価とは競技会やテストでの合否とは全く違います。どれが正しくてどれが間違っているというものでもありません。また誰かと競って順位を争うものでもありません。犬はそんなことに関心はありませんが人は競うことに快感を覚える動物かもしれません。

 犬の性質はさまざまです。そのどれもが個性であり、性質に正否はありません。その犬の性質をある程度理解しておくことは、犬の必要性を理解して接し方や環境整備を行う上で必要な情報です。犬の人為的に繁殖をくり返した結果、犬は非常にバラエティにとんだサイズや形に変化していきました。その中で犬に起きている犬の負担についてもきちんと知る必要があります。

 犬の行動評価の中には犬の発達と成長の段階の評価というものもあります。実はこれが一番大切な大切な評価です。飼い主さんがもっとも影響を与えるところであり、飼い主次第でいくらでも発達と成長の速度や内容を変化させていくことができるからです。その成長と発達の中でも重要事項の中にひとつに入る「パーソナルスペースの獲得」が今回のセミナーの焦点でした。


● 犬語セミナでの今回の学びは犬と犬の行動が作る距離感とパーソナルスペース

 グッドボーイハートの生徒さんなら上記の小見出しを見たらまず「えー、私も受講したかった」と思われるのではないでしょうか。犬がどのようなステップでパーソナルスペースを獲得しているのか、犬がパーソナルスペースをつくっていない状態をどのような行動で表現しているのかなど、犬のパーソナルスペースの発達に関する行動は、日々の生活の中でいつも見ることができるからです。

 パーソナルスペースという言葉は、分離不安と同様に人の心理学で使用されている言葉ですが、わかりやすいのでこの言葉を使用しています。動物にとってのパーソナルスペースの重要性についてはいうまでもありません。自分の最も小さな領域ということで、言い換えればもっとも小さなテリトリーということもできます。この領域を守るのは自分を守ることであり、また他者との安定した関係性をつくる基盤にもなります。言い換えれば、パーソナルスペースが獲得できていない犬は、他者に対して依存的になるかもしくは過剰に防衛してしまうのです。

 たとえば、分離不安傾向のある行動がでている犬は、当然のことながら安定したパーソナルスペースを獲得できていません。獲得するというのは成長と発達の中で形成できていないということです。つまり、パーソナルスペースの形成は成長と発達の過程で最重要事項なのです。

 このパーソナルスペースですが、分離不安の例でもわかるように距離感がはかれるかどうかという風に見ていくとわかりやすいのです。犬語セミナーのビデオでは犬と犬の距離感がどのようにとられているのかを見ながら、その犬のパーソナルスペースの形成について学びました。

● 犬のパーソナルスペースが形成されていないのはなぜか

 パーソナルスペースは1才半ころから安定をみせるようになります。もしそのパーソナルスペースが形成されていない状態であれば、うちの犬はなぜそうなったのだろうと思いにふけってしまうかもしれません。それにはたくさんの理由がありますが、一番影響を与えたのは幼少期もしくは現在犬に接している人の接し方にあります。

 接し方といっても普段から犬に接するのをすべて接し方といって漠然すぎるかもしれません。どんなことも接し方です。たとえば、犬を自分の体の上に乗せて寝ている、犬を抱っこする習慣がある、犬を抱きしめたりはぐしたりするのが好き、犬の頭に手を当てて撫でているなど、どの例も犬のパーソナルスペースを侵す方法であり、パーソナルスペースの形成を阻害しています。

 犬が寝ていると犬の近くに寝たり犬の体に触れて寝ようとする人もいます。犬にパーソナルスペースの形成がなされていれば、犬は自分から距離をとって別の場所に寝ようとします。ところが犬も同じように人にべったりとひっついて寝てしまようであれば、犬はパーソナルスペースの形成不全とみなされます。同じく人もパーソナルスペースの形成が不安定というお知らせですので、犬を触る以外の方法で安定をはかれるようにいろいろと工夫をしてみてください。たとえそれが抱き枕であっても、犬に抱きついて寝るよりはよいかと思います。犬の成長を阻害すれば犬は不安定な状態を強いられるからです。

●他のパーソナルスペースについての過去のブログはこちらからご覧ください。

・犬のパーソナルスペース

・犬のパーソナルスペース<つづき>

・犬との正しいあいさつを知っていますか?

犬と犬をオンリードで会わせてはいけない理由

・ゴールデンリトリバーによる子供の死亡事故について:もっと深く考えることで見えてくる犬の姿

・ゴールデンリトリバーによる子供の死亡事故について:もっと深く考えることで見えてくる犬の姿2


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