グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬とのトレッキングクラスで学ぶ:犬の行動の落ち着きとストレスの区別

 梅雨らしく雨が降らないのも困りますが、週末の犬といっしょの山歩きクラスができたのはありがたいことです。トレッキングクラスのあとは犬語セミナーを開催しました。常連だけのセミナーとなり内容もとても濃いものとなりましたのでほんの少しだけ紹介します。


●犬語セミナー前の山歩きクラスの様子

 植林から10年たって森が急に変化しはじめました。ずっと目的をもって続けていくと何かが途中で急に変化しはじめるのは、犬の成長と同じです。その裏の尾歩山(おぽさん)の手入れをしながら山道を一歩ずつ登っていく犬との山歩きは、一秩序を保ちつつ緩やかにときが流れていきます。好き勝手に伸び続ける木々の混乱した尾根部分の手入れを続けるとやっと風が通るようになり、風を受けてじっと立っている犬の姿を見ているとなんとなくほっとしてしまいます。

 犬との山歩きを山遊びを間違えてしまわれることもありますが、犬が山を歩くときはとてもゆっくりとしています。途中で森の手入れのために立ち止まっても、犬たちも同じように立ち止まっています。休みをとる犬は伏せていることもあるし、作業を見守る犬もいます。倒れた竹が壁となってしまうのでこれらを取り去るためにガサガサをする作業中には、自分の安全をキープしようと構えをとる犬もいます。

 いずれにしても犬はみな協力的でわたしたちの作業を邪魔しようとはしません。犬の行動をずっと観察していると、人の山の手入れによってより環境が安定することを少しの変化で読み取ってくれているように感じたこともあります。もちろん犬により様々ですが、結局犬は人の行動をよく観察するのだなというのをいつもながらに痛感します。山といっても里のすぐ上の山です。

 人はずっと山を利用して生きてきました。食べ物に限らず生活道具にしてもそうです。家だって木と土でできています。人が利用すると山は荒れていきます。だからずっと手を入れ続ける必要があります。そうされていない場所は環境が乱れて混沌としています。尾歩山からはその無残な姿が見える場所もありますが、少しずつですができるところから手入れを続けていこうと思います。そしてその場に犬が共にいてくれることが、本当に心強く感じられるのです。


● どの犬も山ではゆっくりと歩くことができるのか?

 犬のストレスが蓄積されているときには、行動や穏やかではありません。犬はストレスを発散する行動をしてしまいます。山に入ると土や森のにおいに興奮してしまい、走り回ったりリードをひっぱったり飛びあがったり落ちているものを次々に口の中にいれてしまったりします。こうしたストレス行動が出てしまうのは、今の環境があまりにも犬にとって厳しいというお知らせです。ところが山で走り出すのは危険です。木々で目をついたり転んだりすることもあります。もしくは、他の野生動物や昆虫など危険な生き物の攻撃性を引き出してしまい、大ケガをすることもあります。
 
 犬に自由行動の時間を与えるとこうした興奮行動が予測されるため、ドッグランなどの遊び場では障害となるような椅子はテーブルは敷地の脇の方においてあります。ドッグランという名前のとおり、その柵の中で犬のリードを放したら、犬は走り回ってしまいます。そのため、事前に犬にとって危険なものを取り去っておく必要がありです。その運動場のように整備された平坦な地面の上を犬は走り回っているということです。しかし、そもそも犬が円形に走り回ること自体がストレス行動であるのに、そのストレス行動をさせるためにわざわざドッグランに連れて行くのも不思議なことです。

 犬との都会暮らしの経験のあるわたしも月に数回でしたが犬を山に連れてくると最初は興奮を抑えておくことが大変なことでした。長くそこに過ごしているとやっと落ち着きを取り戻して今からというときに帰宅の時間となり、犬にはさらにストレスを与えていたと申し訳なく思っています。いつも犬と過ごす場所で他人や他の犬と出会わないようにと、場所選びにも難航しました。七山校に移った理由のひとつには、生徒さんたちが安心して山での時間を過ごせる場所が欲しいということでした。


● 犬の行動が走り回り行動から落ち着き行動に変化していくために必要なこととは

 日帰りであってもくり返し山歩きを続けていくと、山での過ごし方は変わってきます。歩く速度は飼い主の影響を受けやすいため、飼い主側で安定した速度をキープしてあげるといいのです。頂上や特定の場所に到達することを意識しすぎるとどうしても早歩きになってしまいます。作業をしながらのぼっているのは、その場その場で立ち止まることを犬にわかりやすく伝えるためです。作業をするためにしっかりと地面に足をつけて立つ必要もあり、人が安定して立っていることを犬に伝えることにもなります。

 犬の安心は安定から得られています。その安定に影響を与えているのが人の安定度です。落ち着きといえばもっとわかりやすいでしょうか。どのような時に落ち着いていますか?という答えに対して多いのは、落ち着いている人のそばにいるときというものです。落ち着きは影響を与えやすいのは、時には利点となり時には欠点となります。飼い主が落ち着きを失うと犬も落ち着いてしまうという欠点です。良い方向に影響すれば、飼い主が落ち着けば犬も落ち着きを学び始めます。

 学習というと何かの号令を出してそれに従うことだけと思われがちですが、そういうことでもありません。落ち着く行動をくり返すとそれが気持ちの習慣になり次第に身に付いていきます。犬も同じように、落ち着いた行動をくり返していくと次第に落ち着いた行動をするようになります。それが集団になるとますます影響力が強くなるから不思議です。単位が2から3になるだけでかなり変化してしまうのです。力の法則なのですが本当に不思議だなと感じています。

 話を元に戻します。犬との山歩きで学ぶことはいつもの生活と同じです。ストレス行動はできるだけ管理しながら減らしていくこと、そして落ち着き行動は管理をゆるめながら増やしていくことです。単純なようですが料理と一緒でさじ加減が難しいのですね。もちろんインストラクターであるわたしが指導しています。今は管理のとき、今は少し様子をみるなど少しずつ覚えていただければそのさじ加減も身に付いていきます。犬が落ち着いて山を歩く姿をぜひ見てそして感じてください。ゆっくりした時間が犬の中に流れていることを知ってください。

 次回は、午後のクラス「犬語セミナーでの学び」をご紹介します。

ショコラ尾歩山